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平成30年6月15日 【照会先】 医薬・生活衛生局総務課国際薬事規制室 室長 中島 宣雅 (4223) 専門官 高梨 文人 (4224) (代表電話) 03(5253)1111 (直通電話) 03(3595)2431 |
報道関係者各位
第6回医薬品規制調和国際会議(ICH)が開催されました
平成 30 年6月2日から7日まで、第6回医薬品規制調和国際会議( ICH )が開催(於:神戸)され、主に以下の進捗がありました。
1. ICH ガイドラインを作成するための新規トピックとして、「連続生産」、「分析法の開発と Q2 (R1) (分析法バリデーション)の改訂」等の5課題を採択
2. ICH ガイドラインの作成(「 BCS に基づくバイオウェーバー( M9 )」のパブリックコメント案の合意等)
3.台湾食品薬物管理署( TFDA )が ICH メンバーとして承認。選出管理委員会メンバーの選挙が行われ、管理委員会メンバーが拡大。
4. ICH に併せて開催された IPRP 会合で、再生医療等製品の規制調和活動を推進
次回会合は、平成 30 年 11 月 10 日から 15 日まで、シャーロット(米国)で開催予定です。
以下では、本会合の進捗について詳細を説明します。
(参考)
1) ICH ( International Council for Harmonization of Technical Requirements for Pharmaceuticals for human use, 医薬品規制調和国際会議)は、平成2年に始まった日米 EU 医薬品規制調和国際会議を基礎に、平成 27 年にスイス法に基づく非営利法人として設立された組織です。医薬品の品質・有効性・安全性の評価等に係る技術的なガイドラインを作成し、各国の規制の調和等に貢献しています。本組織の詳細については、 ICH 法人の設置に関する 平成 27 年 10 月 26 日付け厚生労働省プレスリリース をご覧下さい。
2)
IPRP
(
International
Pharmaceutical Regulators Programme,
国際薬事規制当局プログラム)は、日本、米国、
EU
、カナダ、スイス等約
20
か国の規制当局が参加し、
ICH
では取り扱わない規制当局間の協力や規制調和、規制情報に関する交換を実施しています。年2回、
ICH
に併せて対面会合を開催します。
1.新規トピック等の採択
ICH ガイドラインを作成するための新規トピックとして、以下の5課題が採択されました。
(1)採択され、次回会合までの間に作業部会を設置するもの(3課題)
トピック(コード) |
提案団体 |
内容 |
連続生産( Q13 ) |
FDA |
連続生産に関連する定義、ハイレベルの科学的原則、規制側が求める事項(管理戦略、プロセスバリデーション、モデルの管理等) |
分析法の開発と Q2 (R1) (分析法バリデーション)の改訂( Q2(R2) / Q14 ) |
厚生労働省/ FDA |
新規の分析法の開発と利用を促進するための用語、目標設定、試験デザイン、管理戦略等/ NIR や NMR 等の新しい分析法に関するバリデーション手法の追加 |
CeSHarP ( C linical electronic Structured Harmonized Protocol )( M11 ) |
PhRMA |
臨床試験プロトコル文書のフォーマットの調和と電子化 |
(2)採択されたが、作業部会の設置時期を今後調整するもの(2課題)
トピック |
提案団体 |
内容 |
医薬品相互作用試験 |
FDA |
医薬品相互作用試験が必要となる基準、試験デザイン、結果解釈の手法 |
アダプティプ臨床試験 |
PhRMA |
アダプティブ臨床試験(試験の中間解析結果に基づく、予め計画された試験デザインの変更)の計画、実施、結果分析、審査に関する原則 |
その他、品質分野での今後のガイドライン作成を戦略的に取り組んでいくためのリフレクションペーパー( PhRMA 提案)が採択されました。今後、品質分野での新規トピック候補や優先度合を検討するための検討グループを設置予定です。
2. ICH ガイドラインの作成
既存の作業部会による ICH ガイドラインの作成について、下表のとおり進捗がありました。
ステップ |
作業部会名 |
内容 |
ステップ 2b 到達 ( ICH 総会で文書案の合意・今後各国でパブリックコメント手続を実施) |
M9 : BCS に基づくバイオウェーバー |
製剤の処方変更などの際に、生物学的同等性試験の代替として行う in vitro 試験(バイオウェーバー)の条件、実施方法等のガイドライン |
S11 :小児用医薬品開発のための非臨床試験 |
幼若動物試験の実施が必要となる基準、試験デザイン等のガイドライン ※ 本会合で基本合意。6月中目途で Step 2b の合意手続を実施予定。 |
|
Q3D(R1) :医薬品の元素不純物 |
既収載の元素不純物成分の許容値を修正するための補遺の改訂 |
|
ステップ4到達 ( ICH 総会で文書の採択・今後各国で通知等を発出) |
M8 :電子化申請様式( eCTD ) |
eCTD v4.0 の利用に関する留意点を示すための Q&A 等 |
E2B :症例報告の電子的送信 |
電子的送信システムに関する技術的補足をするための Q&A |
|
S9 :抗悪性腫瘍薬の非臨床試験 |
S9 ガイドラインの適用範囲等を明確化するための Q&A |
3. ICH の組織に関する変更
(1)新規メンバー、オブザーバーの承認
本会合では、台湾食品薬物管理署( TFDA )が新規の規制当局メンバーとして承認されました。また、モルドバ医薬品医療機器庁( MMDA )、マレーシア国家医薬品規制庁( NPRA )、トルコ医薬品医療機器庁( TITCK )、アルメニア医薬品医療技術専門科学センター( SCDMTE )が新規の規制当局オブザーバーとして承認されました。
これにより、 ICH メンバーは 16 団体、オブザーバーは 27 団体となりました。(末尾に一覧を掲載)
(2)選出管理委員会メンバーの選出
ICH 管理委員会は、 ICH 総会の議論の準備や ICH 法人の運営に関する事項の決定等を行っています。管理委員会はこれまで常任団体のみから構成されていましたが、今回会合において、選出メンバーを追加するための選挙が初めて行われ、投票の結果、以下のメンバーが選出されました。(任期は3年)
・規制当局:中国国家食品薬品監督管理総局( CFDA )、
シンガポール保健科学庁( HSA )、
韓国食品医薬品安全処( MFDS )
・産業界 :バイオテクノロジーイノベーション協会( BIO )、
国際ジェネリック・バイオシミラー医薬品協会( IGBA )
(参考) ICH 管理委員会の構成
・常任メンバー:日米欧の規制当局と産業界、カナダ・スイスの規制当局(計8団体)
・常任オブザーバー: WHO 、 IFPMA
・選出メンバー:最大、規制当局4団体まで、産業界2団体まで
4. IPRP で再生医療等製品の規制調和を推進
IPRP (国際薬事規制当局プログラム)では、平成 29 年に京都で開催された第 12 回薬事規制当局サミットの合意を受け、活動の一環として再生医療等製品の規制調和活動を推進しています。
今回会合では、ウイルス等を用いた遺伝子治療製品を人に投与したときの生体内分布( biodistribution )を評価するための試験デザイン・手法について科学的考え方をまとめたリフレクションペーパー※を合意しました。今後、 IPRP ウェブサイトで公表予定です。さらに、本文書をもとに ICH ガイドライン案を整備・提案していくことに各国から前向きな評価を得られました。
※ タイトル: ”Expectations for Biodistribution (BD) Assessments for Gene Therapy (GT) Products”
(参考) ICH 参加団体一覧(平成 30 年6月時点(下線:今回承認))
【メンバー( 16 団体)】
○ 創設規制当局メンバー (3) :厚生労働省/医薬品医療機器総合機構( MHLW/PMDA )、米国食品医薬品局( FDA )、欧州委員会/欧州医薬品庁( EC/EMA )
○ 創設産業界メンバー (3) :日本製薬工業協会( JPMA )、米国研究製薬工業協会( PhRMA )、欧州製薬団体連合会( EFPIA )
○ 常任規制当局メンバー (2) :ヘルスカナダ、スイスメディック
○ 規制当局メンバー (5) : ブラジル国家衛生監督庁( ANVISA )、中国国家食品薬品監督管理総局( CFDA )、シンガポール保健科学庁( HSA )、韓国食品医薬品安全処( MFDS )、台湾食品薬物管理署( TFDA )
○ 業界団体メンバー (3) :バイオテクノロジーイノベーション協会( BIO )、国際ジェネリック・バイオシミラー医薬品協会( IGBA )、世界セルフメディケーション協会( WSMI )
【オブザーバー( 27 団体)】
○ 常任オブザーバー (2) :世界保健機関( WHO )、国際製薬団体連合会( IFPMA )
○ 規制当局オブザーバー (12) :インド中央医薬品基準管理機構( CDSCO )、キューバ国家医薬品医療機器管理機関( CECMED )、メキシコ連邦衛生リスク対策委員会( COFEPRIS )、コロンビア医薬品食品監督庁( INVIMA )、南アフリカ医療製品規制当局( SAHPRA )、カザフスタン国家医薬品医療機器専門機関、ロシア連邦保健・社会発展省( Roszdravnadzor )、オーストラリア医療製品管理局( TGA )、モルドバ医薬品医療機器庁( MMDA )、マレーシア国家医薬品規制庁( NPRA )、アルメニア医薬品医療技術専門科学センター( SCDMTE )、トルコ医薬品医療機器庁( TITCK )
○ 地域調和イニシアティブ (6) :東南アジア諸国連合( ASEAN )、アジア太平洋経済協力( APEC )、東アフリカ共同体( EAC )、湾岸協力理事会( GCC )、汎アメリカ医薬品規制調和ネットワーク( PANDRH )、南部アフリカ開発共同体( SADC )
○ 業界団体オブザーバー (1) :医薬品原薬委員会( APIC )
○ 医薬品関連国際団体 (6) :ビル & メリンダ・ゲイツ財団( B&MGF )、国際医学団体協議会( CIOMS )、欧州医薬品医療品質部門( EDQM )、国際医薬品添加物機関( IPEC )、医薬品査察協同スキーム( PIC/S )、米国薬局方( USP )