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平成29年2月28日 【照会先】 医薬・生活衛生局医療機器審査管理課 課長 磯部 総一郎 (2911) 課長補佐 小池 紘一郎 (2901) (代表電話) 03(5253)1111 (直通電話) 03(3595)2419 |
報道関係者各位
「先駆け審査指定制度」に基づき、医療機器(3品目)、体外診断用医薬品(1品目)及び再生医療等製品(3品目)を指定
~画期的な医療機器等の日本における開発を促進~
厚生労働省は、昨年11月までに指定申請があった医療機器9品目、体外診断用医薬品6品目、再生医療等製品13品目について評価を行い、本日付けで別紙の7品目を「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定しました。
「先駆け審査指定制度」とは、世界に先駆けて、革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品を日本で早期に実用化すべく、世界に先駆けて開発され、早期の開発段階で有効性が見込まれる医薬品、医療機器等を指定し、各種支援*による早期の実用化を目指すものです。今回、このうち 医療機器3品目 、体外診断用医薬品1品目、再生医療等製品3品目を指定します。
通常の新医療機器の場合、 12 か月を目標に審査を行っているものを、この制度を活用することで、審査期間の目標をこれまでの半分の 6 か月に短縮 することが可能になります。
今回の指定品目には、日本の大学発のシーズから開発が始まったものや、国内中小企業・ベンチャー企業が開発に携わるものもあり、日本における医療機器 、体外診断用医薬品、再生医療等製品 の早期実用化を支援することで、成長戦略に掲げるイノベーションの促進にもつながることが期待できます。
なお、前回(平成28年2月)に指定を行った癒着防止吸収性バリアは、開発企業(株式会社大塚製薬工場)から開発中止の報告があったため、今後速やかに薬事・食品衛生審議会薬事分科会へ報告し、指定を取り消す予定としています。
[*]先駆け審査指定されることによる優遇措置
指定を受けることで、 以下の優遇措置が得られる。
(1)優先相談(承認前の相談を優先的に行う)
(2)事前評価(承認申請前でも提出されたデータに基づいて順次事前評価を行う)
(3)優先審査(優先的に審査して総審査期間の目標を6ヶ月とする)
(4)審査パートナー制度( 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の 管理職を承認までの開発の進捗管理等を行うコンシェルジュとして設置する)
(別紙)
医療機器の指定品目
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品目名 |
品目概要 |
指定理由 |
1 |
人工気管 |
悪性腫瘍や狭窄性疾患のために切除した気管を再建するために用いる、ポリプロピレンメッシュとコラーゲンスポンジから成る人工気管である。 京都大学他と共同で第一医科(株)が開発を行っている。 |
(1) 気管欠損部位に留置し、気管の構造を保ち粘膜再建の足場となる点に新規性があり、画期性が高い。 (2) 気管欠損は、再建治療の長期化による QOL 低下、不完全な気管再建による呼吸不全や嚥下障害等により、最悪の場合、生命に直結する事象が発生する可能性もある。 (3) 臨床研究( 12 例)により、全例で高い有効性を示唆する結果(形態的・機能的に気管としての機能を保っている。)との報告がある。 (4) 国内での治験を経て、世界に先駆けて日本で承認申請予定。 |
2 |
ホウ素中性子捕捉療法( BNCT )システム |
ホウ素中性子捕捉療法( BNCT )※に用いる中性子線を照射するための装置である。適応疾患は、悪性神経膠腫と頭頸部癌である。 京都大学他及びステラファーマ(株)と協同で住友重機械工業(株)が開発を行っている。 ※ ホウ素薬剤を腫瘍組織に集積させた後、体外から中性子線を照射し、ホウ素と中性子の核反応を利用して腫瘍細胞を破壊する治療法。 |
(1) ホウ素薬剤と中性子の核反応を利用することで、正常細胞をほぼ傷つけることなく腫瘍細胞を破壊できる点に新規性があり、画期性が高い。 (2) 悪性神経膠腫及び頭頸部癌は、生命に重大な影響を及ぼす重篤な疾患である。 (3) 京都大学で実施した悪性神経膠腫を対象とした国内第 I 相治験( 12 例)で確認した 1 年生存率は 66.7 %、同大学で実施した頭頸部癌を対象とした臨床研究( 62 例)で確認した奏効率は 58 %であるとの報告があり、高い有効性が示唆されている。 (3) 国内で実施中の第 II 相治験の結果を踏まえ、世界に先駆けて日本で承認申請予定。
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3 |
UT-Heart |
本品は、病院で取得した心電図、心エコー、CTデータ等を用いて、コンピュータ上で患者個別の心臓を擬似的に再現し、植込みデバイスを使用した 心臓再同期療法 の効果予測の判断を補助する医療機器プログラムである。 東京大学発のベンチャー企業である(株)UT-Heart研究所の久田俊明東京大学名誉教授、杉浦清了東京大学特任教授のシーズを元に富士フイルム(株)と共同で開発を行う。 |
(1)
心臓再同期療法※を行った重症心不全患者の中で約30%が無効例と報告されており、無効例の診断は困難である。本品は
心臓再同期療法
の効果予測の判断を補助できる点に新規性があり、画期制が高い。
(2) 重症心不全は、生命に重大な影響を及ぼす重篤な疾患である。
(3)
臨床研究(11例)の結果から、本品を使用した心臓のポンプ機能の改善の効果予測は実際の効果と高い相関(相関係数※
0.94)を示したとの報告があり、高い有効性が期待できる。
(4) 国内での治験を経て、 世界に先駆けて日本で承認申請予定。 |
体外診断用医薬品・医療機器の指定品目
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品目名 |
品目概要 |
指定理由 |
1 |
がん関連遺伝子パネル検査システム |
固形がん患者の腫瘍組織中の DNA における遺伝子の異常(変異、増幅又は融合)の一括検出を目的とした、 DNA シークエンサー診断システム( DNA シークエンサー、テンプレート DNA 調製試薬及び解析プログラム)である。複数の遺伝子異常を一括検出することにより、がん患者の遺伝子異常プロファイリングを行い、診療方針決定の補助に用いる。 本システムは、国立がん研究センターにおいて開発した NCC オンコパネルを元に、同センターと共同でシスメックス(株)が開発を行っている。 |
(1) がん関連遺伝子の変異・増幅・融合を網羅的に検査する DNA シークエンサー診断システムであり、がん関連遺伝子の網羅的な測定を目的とした製品は、本邦ではこれまでに承認したものがない。 (2) 固形がんは、生命に重大な影響を及ぼす重篤な疾患である。 (3) 本システムによる遺伝子異常の一括検査は、組織採取による患者負担を大きく軽減させるとともに、遺伝子異常のプロファイリングを行うことにより、個々の患者に対する最適な診療方針の決定に資すると考えられる。 (4) 今後、がん関連遺伝子異常プロファイリングの有用性(がん診療方針決定の補助)を裏付けるために必要な試験を行い、世界に先駆けて日本で承認申請予定。 |
再生医療等製品の指定品目
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品目名 |
品目概要 |
指定理由 |
1 |
CLS2702C/D (口腔粘膜由来食道細胞シート) |
患者自身の口腔粘膜から採取した上皮細胞を培養した細胞シートであり、食道がんにおける広範囲内視鏡的粘膜下層剥離術( ESD )後の狭窄の抑制及び再上皮化までの日数の短縮目的とするものである。 東京女子医科大学の岡野光夫特任教授のシーズを元に、本大学と共同で(株)セルシードが開発を行っている。 |
(1)ESD 施術後の創傷部位に上皮細胞シートを用いる点に新規性があり、画期性が高い。 (2) 食道狭窄は、食物の通過障害やそれによる低栄養、誤嚥性肺炎を誘発し、患者の生活の質を著しく低下させる。また、現在の主な治療法である食道バルーン拡張術は、出血と穿孔のリスクを伴っている。 (3) 国内で 2 つの臨床研究( 19 例)が実施されており、高い有効性を示唆する結果(本品の使用による高い非狭窄率( 64 %))が得られたとの報告がある。 (4) 国内で臨床試験を実施中であり、世界に先駆けて日本で承認申請予定。 |
2 |
非自己 iPS 細胞由来ドパミン神経前駆細胞 |
パーキンソン病患者にドパミン神経前駆細胞を移植し、分泌・補充されるドパミンによりパーキンソン病の神経症状の改善を目的とした、 iPS 細胞由来の細胞製品である。 京都大学 iPS 細胞研究所の高橋淳教授のシーズを元に、大日本住友製薬(株)と共同で開発を行っている。 |
(1)iPS 細胞由来のドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療であり、従来の治療法とは異なる作用機序を有する。 (2) パーキンソン病はドパミン神経細胞が変性・脱落する神経難病で、永続的かつ進行性の神経機能障害をもたらす難治性の疾患である。従来は、薬物治療が行われた後、病状進行後は手術で脳に電極を埋め込み電気刺激を与えるといった治療が行われているが、本品はこれと異なる新しい治療法を提供する。 (3) 本品による臨床使用経験はないが、パーキンソン病態モデルカニクイザル( 10 例)による非臨床有効性評価により、移植 6 か月後から症状の有意な改善(運動症状スコアで 40 %以上)と脳内移植部位でドパミン合成及びドパミン再取込み活性( PET 画像による)が認められたとの報告がある。 (4)高橋教授 中心に医師主導で国内臨床試験を実施予定であり、世界に先駆けて日本で承認申請予定。 |
3 |
ヒト(同種)成人骨髄由来多能性前駆細胞 |
急性期(発症後 18 ~ 36 時間)の脳梗塞の治療を目的とした、ドナーの骨髄から採取して増殖させた成人接着性幹細胞に由来する幹細胞製品である。 海外において米国アサシス社が開発を行っており本邦では(株)ヘリオスが臨床試験を実施している。 |
(1) ドナーの骨髄から採取・加工した接着性幹細胞の懸濁液であり、急性期の脳梗塞に伴う機能障害の改善を目的とする点に新規性があり、画期性が高い。 (2) 脳梗塞は死亡又は永続的な機能障害をもたらす難治性の疾患である。 (3) 海外で臨床試験( 118 例)が実施されており、高い有効性を示唆する結果(プラセボ群に比して有意な症状回復( 29 %))が得られているとの報告がある。 (4) 国内で臨床試験を実施中であり、世界に先駆けて日本で承認申請予定。 |
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