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平成26年3月31日 【照会先】 医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室 室長 倉持 憲路 (2421) 室長補佐 佐々木 正大 (2910) 専門官 古田 光子 (2426) (代表番号) 03(5253)1111 (直通番号) 03(3595)2298 |
報道関係者各位
「平成 24 年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」を公表しました。
厚生労働省は、家庭用品などに関連した健康被害情報を収集するため、皮膚科・小児科の病院や公益財団法人 日本中毒情報センターの協力を得て、「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告制度」を実施しています。
このたび、平成24年度の健康被害報告について、家庭用品専門家会議(座長:伊藤正俊 東邦大学名誉教授)で検討を行い、報告書を取りまとめたので公表します。報告書の概要は別添のとおりです。
厚生労働省では、消費者をはじめ、地方公共団体、関係業界団体などに本報告書の内容を周知するとともに、引き続き本制度を通じて、家庭用品に含有される化学物質による健康被害の実態の把握や情報提供を推進します。
【報告のポイント】
・皮膚障害は、装飾品(金属製)が29件と最も多く報告されました。 → 症状が出たら、原因製品の使用を中止しましょう。 他の製品を使用する場合は、 金属以外のものに変更しましょう。 ・小児の誤飲事故は、タバコが99件と34年連続で最も多く報告されました。 → 1歳前後の乳幼児がいる家庭は、タバコの取り扱い・保管方法に注意し、飲料の空き缶やペットボトルを灰皿代わりにしないようにしましょう。 ・吸入事故等は、殺虫剤が296件、洗浄剤(住宅用・家具用)が175件報告され ました。 → 使用上の注意をよく読み、正しく使用しましょう。特に塩素系の洗浄剤と酸性物質の混合には注意しましょう。 |
(別添)
平成24年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告(概要)
本制度は、モニター病院(皮膚科、小児科)の医師が家庭用品などによる健康被害と考えられる事例(皮膚障害、小児の誤飲事故)や、公益財団法人 日本中毒情報センターが収集した家庭用品などによる吸入事故と考えられる事例について、それぞれ厚生労働省に報告する制度です。 平成24年度に報告された事例の件数は、合計1,576件(前年度1,491 件)でした。
それぞれの報告件数の詳細は以下のとおりです(表)。
表 平成24年度 家庭用品等による健康被害のべ報告件数 (上位10品目及び統計)
(注)皮膚障害では、原因となる家庭用品等が複数推定される事例があるため、報告事例
総数(76例)とは異なっている。
1. 皮膚障害に関する報告
(1)
調査結果の概要と考察
・報告された事例件数は、90件(平成23年度119件)でした。
・最も多く報告された家庭用品の種類は、装飾品で29件でした。
・性別は、女性が66件(86.8%)と大半を占めました。
・皮膚障害の種類は、「アレルギー性接触皮膚炎」48件(53.3%)と「刺激性接触皮膚炎」27件(33.0%)がほとんどを占めました。
・パッチテストの結果では、ニッケル,コバルトにアレルギー反応を示した例が多くみられました。
家庭用品を主な原因とする皮膚障害は、原因家庭用品との接触で発生する場合がほとんどです。家庭用品を使用して、接触部位に痒み・湿疹の症状が出た場合は、原因と考えられる家庭用品の使用をできるだけ避けましょう。 |
(2)報告事例ピックアップ
1. 5年前からピアスを着けると紅斑腫脹が見られ、ネックレスを着けると頚部に紅斑、搔痒が見られた(装飾品;38歳女性)。
→ 金属で既往がある場合は、他の金属製品にも注意しましょう。
2. ゴム手袋を使用したところ、手掌に水疱、搔痒ができ悪化した。代替品手袋を使用することで仕事を再開できた(ゴム手袋;52歳女性)。
→ 手袋が体質に合わない場合は、別の素材を使用するように心がけましょう。
3. 包装紙に触れる機会が多く、手洗いの際の洗剤の影響で手が荒れた。洗剤を変更し、保湿を行ったところ軽快した。 (洗剤; 51 歳女性 )。
→ 包装紙の刺激により皮脂が取れ、洗剤刺激が容易に起こったと思われます。皮膚が弱い体質の場合、洗剤使用時に保護手袋を着用し、洗剤使用後にはクリームを塗るようにしましょう。
4. スイミングゴーグルを着けたところ、 両眼の周りと前額に皮疹ができた。ゴーグルを変更したところ軽快した。 (スポーツ用品;65歳女性)。
→ スポーツ用品に使用されている接着剤が原因となる場合もあり、体質に合わない場合は他の製品を使用しましょう。
5. つけまつ毛を付けると、眼が腫れて赤くなったが、つけまつ毛を使用しなくなった ら、症状が消失した。 (つけまつ毛用接着剤; 65 歳女性 )。
→ 最近、美容向けの製品による皮膚障害の報告が増えています。他の製品と同じく、症状が出たときは専門医を受診しましょう。
2.小児の誤飲事故に関する報告
(1)調査結果の概要と考察
・報告された事例件数は、 385 件(平成23年度348件)でした。
・最も多く報告された家庭用品などの種類は、タバコで99件でした。
・誤飲した年齢は生後6~11か月が最も多く125件、次いで12~17か月が 85件、18~23か月が52件、2歳児が41件でした。
・死亡した事例は0件(平成23年度0件)でしたが、入院・転科・転院し
た事例は23件(平成23年度32件)ありました。
事故は家族が小児に注意を払っていても発生します。小児のいる家庭では、小児の手の届く範囲にはできるだけ、小児の口に入る大きさのものは置かないようにしましょう。 |
(2)
報告事例ピックアップ
1. タバコを食べ、1時間後から数回嘔吐した(タバコ;8か月女児)。
→ タバコは誤飲した数時間後に症状が出る場合があるので、経過観察 を怠らないようにしましょう。
2. 親が男児にかぜで薬を飲ませる際に、抗生物質と間違えて姉の抗てんかん剤を飲ませてしまった (医薬品;5歳11か月男児)。
→ 保護者の過失で小児に誤飲させる事例も散見されるので、注意しまし ょう。
3. テーブルに置いてあった酒を100ml飲み、吐き気を催した(食品類;3歳9か月女児)。
→ 小児の手の届く範囲に酒を置かないようにしましょう。また、小児 を同伴して居酒屋などに行くのは控えましょう。
4. 手動式 の灯油のポンプの先をなめ、1日入院した(灯油;1歳3か月男児)。
→ 灯油は気化したものを吸引することにより肺炎を起こす危険性が あるので、なめた程度でも重大な事故になります。灯油は、小児の手 の届かない場所へ片付けましょう。
3.吸入事故等に関する報告
(1)調査結果の概要と考察
・報告された事例件数は、1,101 件(平成23年度1,024件)でした。
・最も多く報告された家庭用品などの種類は、殺虫剤(医薬品・医薬部外
品を含む)で296件でした。
・年齢別では、9歳以下の子どもが最も多く439件(39.9%)でした。
・製品の形態では、スプレー式の製品が最も多く530件(48.1%)、次いで
液体の製品が315件(28.6%)でした。
事故の発生状況をみると、使用方法・製品の特性について正確に把握していれば事故の発生を防ぐことができた事例や、わずかな注意で防ぐことができた事例も多数ありました。製品の使用前には注意書きをよく読み、正しい使用方法を守ることが重要です。 事故が発生した場合は、症状の有無に関わらず、公益財団法人 日本中毒情報センターに問い合わせて、必要に応じて専門医の診療を受けるようにしましょう。 |
(2)報告事例ピックアップ
1. 子どもがワンプッシュ式蚊取りをいたずらし、玄関ホールで1本ほぼ全量
スプレーしたところ、スプレーした子どものほか、室内にいた3名に皮膚の
しびれ感等の症状が出た (殺虫剤;2歳、4歳、6歳、36歳、男性1名、女
性3名)。
→ 子どもの手の届かない場所に保管するようにしましょう。また、チャ イルドレジスタンスの機能がついている製品については確実にロックす るようにしましょう。
2. くん煙剤を使用したところ警報器が鳴り、入室して製剤を吸い込み、咳、
頭痛、めまいの症状が出た (殺虫剤;25歳女性、50歳女性)。
→ くん煙剤を使用する場合は、製品に付属しているカバーを使用するな ど、事前の火災警報器対策を念入りに行いましょう。
3. トイレ掃除の際に、バケツの中で塩素系漂白剤と酸性のトイレ用洗浄剤を
混ぜてしまい、強い臭いがし、のどの痛み、めまい等の症状が出た (漂白剤・
洗浄剤;46歳女性)。
→
塩素系の漂白剤と酸
性物質を混合すると塩素ガスが発生し、吸入する
と危険ですので、混合しないように注意しましょう。
4. 子どもが自動噴射型エアゾール式の消臭剤をのぞき込んでいて、薬が噴射
され両眼に入り、眼の痛み、角膜びらんの症状が出た (消臭剤;4歳男児)。
→
自動噴射装置は、人が近くにいる時に突然噴射することがあるので、
設置場所に注意しましょう。
○ 平成24年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告(
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