閣議後記者会見概要

H21.03.19(木)08:55~09:16 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議については、昨日の春闘集中回答を受けて春闘情勢について大変厳しいということでコメントをしておきました。私の方からは以上です。

質疑

記者:
高齢者医療制度に関する検討会が最終報告をまとめましたが、この受け止めをお聞かせ下さい。
大臣:
この前、一つのまとめをやっていただきましたが、これはあくまで学者の皆様方を中心に様々な見解を取りまとめて、問題点の指摘、こういう選択肢がありますよということが示されたもので、一定の議論の整理になっていると思います。これから先は、今並行して与党の方で取りまとめを行っておりますので、いずれそれらの案がまとまれば政府・与党が一体となってどういう形の案にするかということは提示しないといけないということで与党の方の取りまとめを待っております。あくまでこちらは議論の整理という形で行いましたので、私の私案はその内の一つとして入っているということです。
記者:
マクドナルドの名ばかり管理職の訴訟が昨日東京高裁で和解しましたが、これについての感想は。
大臣:
きちんと実態を反映した形で働いている人に対する処遇をやるということで、これは今後ともきちんとやっていかないといけない。和解云々は個々の労働者と個々の企業の話ですからこちらからコメントすることはございませんが、名ばかり管理職というのは良いことではございませんし、きちんと今後とも必要な指導を行っていきたいと思います。
記者:
政府・与党の中で、民主党の小沢代表の企業団体献金の全面禁止の発言を受けて、企業献金の在り方についての議論を活発化するということですが、大臣御自身は以前、5万円以上は自分にとっては多額の献金だということでチェックしているとおっしゃっておりましたが、企業献金、団体献金の在り方についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
非常に難しい問題です。個々の政治家すべてに係る問題でよく議論をしないといけないと思います。私の場合は若干例外的なのは、私が例えば企業献金を要りませんよといった時に必ず返ってくる反論は「あなたはテレビに出て、顔が売れているからそういう選挙活動は何もいらないじゃないか、我々は知名度も何もなくてやるのにその資金をどうするのですか」という反論が来ますから、そういう方の立場立場であると思います。ですから、一般的なことを言えば様々な団体、例えば、労働組合、厚生労働省関係であれば日本医師会であるとか、薬剤師会であるとかがロビー活動を行うというのは民主主義の基本ですから、個人も団体も企業も労働組合も政治プロセスの中に積極的に参加するというのが民主主義の基本だと思っておりますから、どういう形で参加するのかという時に献金というのも一つの方法だと思います。ですから、これはきちんとルールを決めるということで、どれくらい厳しくするかとか、金額をどれくらいにするかとか、公共事業の絡みをどうするかは国会できちんと議論をして国民的な納得が行けるようなものにすればいいのだろうと思います。ですから先ほど言ったように、民主主義の基本は個人も団体も政治過程の中に参画することです。参画の在り方の一つとしての献金、アメリカでは、PACというのがありますが、これを通じて政治資金が政治家に行く形になっておりますが、これも有る意味は献金の濾過装置になっている面もあります。ですから、これはもっと議論が必要だと思っております。
記者:
後期高齢者医療制度の見直しに関してですが、大臣は昨年の9月見直しを掲げられた時に、3つの原則を示されていて、その中で特に75歳での線引きが高齢者の心情を害していると。そこに対する回答を得ないといけないということを強調されていたと思うのですが、今回の報告書を踏まえて大臣としてはどのような改善策が望ましいとお考えですか。
大臣:
私は私案で示したように、やはり、年齢で区別をするということの反感が強ければ、そういうことではなくて都道府県ごとにきちんとまとめるということで、それはずっと申し上げているとおりです。例えば、働いている人は被用者年金、75歳を過ぎても入っていくというのも一つでしょうし、これは独立型とか、いろいろな形で別けるのではなくて一番良いミックスを考えるべきだと思っております。一番の問題は、定年退職をされた方々のグループの中で75歳で分け、74歳と75才でぐるっと風景が変わってしまうという反感があるわけですから、それに配慮すれば私の言った案は一つだと思いますが、75歳で線引きをするか76歳で線引きするかという議論はありますし、それよりもむしろ財政負担の在り方についてのコンセンサスを得るのが非常に難しいと思います。いずれにしてもこれはもっとよく議論をしないといけないと思っております。
記者:
大臣は当初1年を掛けて議論をすると、最低1年くらいを掛けないと非常に難しい問題であるということを認識として示されていたと思うのですが、それにも関わらず、この3月というタイミングで検討会に区切りをつけたのはなぜなのでしょうか。
大臣:
それは一応どういう問題点の整理があるかということと、数ヶ月前に、与党の方から私の方に申し入れがありまして、これは政府・与党と一体として行うべきだと、それに全く反対はありません。与党の案が政府の案であるということをおっしゃったということもあなたが書いた新聞記事か何か知りませんが、私はその現場にいましたが、とにかくその発言は聞いておりませんので、ぶら下がり会見か何かで言ったのだと思います。与党の案が政府の案だとおっしゃった先生方が集まられたので、与党の案が政府の案であれば、与党の案を待つほかにありませんから、待っているという状況です。政府・与党と一体となってということですので、与党の御決断をお待ちしているいう段階です。
記者:
大臣としてこの問題に関しては、自分の政治責任をかけてこの問題に取り組むということを昨年12月の段階でおっしゃられていたわけで、与党の議論を待つとしても、最終的に大臣としてどうこの問題に取り組むのでしょうか。
大臣:
ですから、見直すと言った以上、見直すのです。しかしながら、政府・与党が一体となって行うと言っている以上は、与党の案が出てこないと議論できませんから、それを待っていずれ政府、与党と一緒になって議論をするということです。「しゃべりすぎる大臣がいる」とおっしゃる方もいるので、与党案が出るまでなるべく私はしゃべらないようにしておきます。
それからNHKの雇用対策のニュースがあったり、日経新聞にも出ていたと思いますので雇用対策のPTの関係についてお話します。これは本日午後、与党の雇用対策PTが開催されて、緊急雇用対策をとりまとめられるということです。それを官邸に申入れに行かれるというので私も同席いたします。午後のPTで正式に決まると思いますが、私が大体了解しているところで言いますと、いくつかの柱があります。一つが雇用調整助成金を拡充するということ。それから二つ目が労働者派遣に係る今後の対応をしっかりするということ。三つ目、これが目玉になるのかと思いますが、再就職支援・能力開発対策ということです。これで3月3日に労使が提言していたり、与野党含めて提言があるという予定の就労生活支援、つまり、雇用保険のネットワークで救えない人達をどう支援するかということが大きな柱になっています。四つ目が雇用創出対策、それから五つ目が内定取消し対策。六つ目が外国人労働者対策というようなことが柱になると思います。今、私の方で考えているのは、大変厳しい雇用情勢ですし、冒頭申し上げましたように春闘も定期昇給確保が精一杯という状況で、それはよく状況も分かります。今雇用を守るということが一番大事ですから、ベアなんてところまで行かない厳しい状況で、それが妥結したということは労働者側もよく分かっている、使用者側も非常に厳しい。この深刻な雇用情勢を考えた時に、本日午後与党PTから提案がありますが、今申し上げた政策について政府が行うということで、財源付けをするとすれば総額一兆五千億円規模の雇用対策を打ち出したいと思っております。もちろんこれは今後財務当局との折衝もしないといけませんが、そういう一兆五千億規模の雇用対策を大胆に打ち出して国民の皆様が不安に思っている雇用情勢、「失業をしたらどうするんだろう、次の職が見つかるまで職業訓練が受けるのはいいけどその間の生活をどうするのだろう」ということについて、かなり思い切った政策を打ち出したいというのが今の考えです。少し付け加えますと、雇用政策についてはいくつかの報道がありましたので、具体的にはそういうことです。
記者:
その1兆5千億円規模の内訳は。
大臣:
先程申し上げたように財務当局との話をしないといけないですけれども、特会、雇用2事業の特別会計があります、それから一般会計からの出動ということ。特に後者については、財務当局との議論がありますから、すぐ実現するかどうかは別として、雇用調整助成金を上手に使うことによって実質的なワークシェアリングの方に持って行けるとか、特に、国会でもずっと議論があって、昨日、なんとか与野党で改正法案の修正がなりましたけれども、あそこに付帯決議がたくさん出ていますように、雇用保険のネットワーク、セーフティネットと生活保護の間をどう埋めるかという時に、雇用保険の適用がもう受けられない状況の人たちの生活支援、就労支援ということをどういう形でやるかということなので、ここにかなり重点的にもっていきたい。ただ、やはりこういう状況であってもモラルハザードを引き起こさないという配慮も必要なので、例えば、私は、何でもかんでも給付というよりは、まず貸与をして、しっかりやった人には返還免除という形が一番インセンティブとしては良いのだろうと思っております。これは今後与党とも議論をして決めますけれども、例えば、今出している案にしても、職業訓練しますとなると、いろんな授業を受けないといけないけれども、「最低8割はさぼらないで受けて下さい」ということで返還免除しますよとする。そうでないと、お金はもらった、だけど今日、疲れたから出ないよとか今日天気が良いから花見に行きたいからさぼるよというのではせっかくのお金が活きていきませんから、やはりそういうモラルハザードを防いでそしてその人のためになるような返還免除条件のようなものの方が良いのではないかという気はします。しかも返還も10年とか20年、長くて良いのです。この不況の時に一所懸命スキルアップをして、例えばコンピューターの技術者になることができた、そして、景気が良くなったら引く手あまたでたくさんお金を稼ぐ、そしたらその時の元になった貸付金は少しずつで良いけれどやはりお返しするという方が私の生き方としては非常にすっきりする。
私は、学生の頃、父親がいなかったものですから、全部働いてやりましたけれども、その時に、日本育英会から奨学金をもらっていました。これは長期で返還すれば良いのと、あれは確か教職に就いてもらった期間の何倍か働けば返還免除になるので、私はずっと教職に就いて返還免除になりました。後は成績、うちが貧困でないのに、成績優秀であれば授業料免除という制度が東京大学にありまして、私はこれを最初の1学期は知らなかったのだけれども、2学期から後卒業するまでずっとその制度を受けた。ただ、その時は、成績が良くないともらえないのです。だからがむしゃらに勉強してそれを受けたのです。やはり人参というのは、馬の鼻先につけて、だからよく走れと言うので、最初から食べさせたら走らない気がするので、私はそういうような形で学業を終え、苦労をしてきました。
それを考えるとただ単に給付するよりも一所懸命やった人は免除しますよというような条件が良い気がします。これは今後の議論ですけれども、そういうことを含めてよくよく皆のためになる政策を作りたいと思っております。
記者:
今の1兆5千億円規模というと大分多額ですけれども、これは補正予算で対応するということになるのでしょうか。
大臣:
今はまだどういうことでやるかというのは、財務当局との話でありますけれども、特別会計の活用も当然ありますけれども、いずれにしてもこの緊急的な厳しい雇用状況は、それくらいの財源措置をきちんとやらないとクリアできないと思っておりますので、その認識を申し上げてそれを実現できるように、まず今はまだ予算審議中ですから、平成21年度予算をしっかり上げた上でこういうことについて全力を挙げたいということです。
記者:
1兆5千億円というのは、どのくらいの期間で1兆5千億円を投入するというお考えなのでしょうか。
大臣:
予算年度は単年度ですから、とにかく緊急的にです。
記者:
今年度追加で1兆5千億円。
大臣:
年度ごとにやるわけですから年度ごとという感覚で良いと思います。
記者:
政労使の合意が23日にもという報道ですが、その流れで今。
大臣:
今は、そういう形でのいろんな詰めをやっております。できれば来週早々にでもきちんと政労使の合意を結べるように努力を今しているところで、今申し上げた内容についてもなんとか盛り込みたいと思っております。予算は年度ごとにやりますけれども、例えば、職業訓練ということになりますと、介護は2年間の資格ですから、やはり2年間分の給付というのを考えないといけないのです。そうすると最大2、3年くらい訓練をしてということも有り得る。これは何ヶ月の訓練について支給するかということもあるので、そうすると年をまたぐものもありますから、基本的には年度ごとですけれども、1兆5千億円全部1年間ではなくて、例えば、3年計画で職業訓練だったらこれは3年にまたぐので、そういうことも含まれていますから、1年間で全部1兆5千億円使うということよりも、特に生活支援、職業支援の場合は、資格を取るのに時間がかかるので、そういう意味で最大3年くらいに伸びるものもあるということなので、細かいのはそれはまた策定する時にしっかり出したいと思っております。
記者:
生活支援の基金に関しては、最大3年くらいで投入していくというのを大臣としてもお考えですか。
大臣:
そんなことかなと。それは今日の与党の午後の議論も踏まえ、そして政労使をやる時に労使の間の意見も入れないといけないので。今日、大体そういうことを申し上げた上で、労使からまた反応があるでしょうから、それを受けて週明けにきちんとまとめたいと思っております。
記者:
ちょっと前の話になるのですけれども、今年の1月にアメリカでヒトES細胞の臨床試験がFDAから承認が出ましたという話があったと思うのですけれども、日本でも厚生労働省がこれからルール作りを始めますということを言っていますけれども、若干着手が遅れていて、アメリカでもうFDAから承認が出ていますけれども、日本はまだこれからルール作りを厚生労働省が始めますという状況でちょっと遅れているのではないかと思うのですけれども、その辺の現状を大臣どういうふうに捉えていますか。
大臣:
こういう問題は、いろんな審議会をクリアしたりとかいうことがありますとともに、今、官邸の中でも、つまり政府全体としてこの問題に取り組もうということで、この前、iPS細胞の話をした時にES細胞も同時に議論をしました。これは、厚生労働省一省ではなくて、例えば、経済産業省とも組みながらやっていきたいと、文部科学省も入っておりますので。今、そういう状況を踏まえて、どういうガイドラインにするかということに着手しているところなので、若干、おっしゃるように少し遅れているのではないかということ、それを受けてガイドラインを今作ろうとしている所です。できるだけ早く追いつきたいと思っております。

(了)