閣議後記者会見概要

H20.07.29(火)11:05~11:24 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日の閣議ですが、一つは有効求人倍率について、平成20年6月の有効求人倍率が季節調整値で0.91倍となりました。前月の0.92倍を0.01ポイント下回ったということで、求人・求職の動向や、その他を見ますと今の雇用情勢は0.91倍ということで1倍を下回っていますので、注意を要する状況にあるということで「成長力強化への早期実施策」に盛り込まれた施策を中心として、雇用失業情勢を改善するよう引き続き努力したいと申し上げました。 それからもう一つ政府として「留学生30万人計画の骨子」を掲げておりますので、各大臣から説明がありましたが、厚生労働省としては留学生が卒業してきちんと日本の企業に就職できるように、こういう就職の支援をするということを説明しました。 それから「5つの安心プラン」を閣僚懇談会で説明をいたしまして、私、それから上川大臣、岸田大臣の方から説明をしたところであります。内容についてはすでにレクチャーが終わっていると思います。私の方からは以上です。

質疑

記者:
「5つの安心プラン」についてなのですが、100を超える項目が並んでいるのですが、概算要求の予算項目を前倒しで寄せ集めただけではないのかという指摘もあるのですが、どのうように大臣はお考えでしょうか。
大臣:
具体的に例えば、医師不足についてはどういうような形でこれを解消するのかということで、僻地に対する支援ですとか、勤務医に対する支援ですとか、特に産科、小児科に対する様々な支援であって、当然それは予算要求が必要なものもあります。ですが例えば、研修医制度の見直しというのは別に予算を伴わなくてもできます。それから、雇用の問題で日雇い派遣制度の見直しは別に予算を伴うものではありません。したがって、今できるものは今からやっていく、それから予算措置が必要なものについて予算措置を行うということで、こういう施策をきちんとやっていけば国民が社会保障について安心できるということで策定したものです。
記者:
「5つの安心プラン」については総理が策定を指示されたわけですが、今回具体的なとりまとめに対して、総理のリーダーシップはどのように発揮されたのでしょうか。
大臣:
例えば、高齢者の問題で言えば、在職老齢年金制度について、年金がもらえなくなるから働きたくないという方向を改めようということなわけですね。そういう点については指示があり、それから、住環境の整備、つまり、お年寄りはなかなかアパートを借りることができません、これも総理の具体的な指示がございました。それから、緊急医療体制とか、産科、小児科の問題についても、総理から具体的に支援策はどうなんだということで指示がありました。 それから認定こども園、新待機児童ゼロ作戦、これも総理の指示がございましたし、非正規労働者の安定した雇用を確保しようというのもそうですし、何よりも5番目の厚生労働省改革、これは総理の指示で我々が今から取り組んで行きますから、明確に総理の指示がございます。
記者:
厚生労働行政在り方懇談会(仮称)の設置なのですが、これが厚生労働省に置かれた経緯をお聞きしたいのですが、つまり、社会保障国民会議のように官邸主導でやるということもありえますし、厚生労働省内に置くとどうしても手前味噌になるのではないかという疑念を招かれるおそれもあると思いますが、その点についてどう思われますか。
大臣:
これは総理が会見で厚生労働大臣がこのことを行うということと共に、民間の有識者を加えるという指示をされました。したがって、今おっしゃられた懸念について言いますと、民間の有識者をそこに入れることによって、外からの目をきちんと働かせなさいということで、こういう形の会議となりました。ですから、報告できる段階になれば検討結果を公表いたしますし、こういう方向でやると言うことで国民の皆様方の批判をいただいて、改善すべきは改善するということですので、例えば、その中に私が入って、厚生労働省事務次官も入っているということが、厚生労働省改革を妨げることにならないようにきちんとやっていきたいと思っております。
記者:
「5つの安心プラン」で、財源についてどのように議論していかれるのでしょうか。
大臣:
財源については、まず20年度で施行できることはやっていく、それから、来年度予算について言いますと、これは今予算編成過程に入ったと言ってもいい状況ですから、「骨太の方針」の中で社会保障、それから医師不足に対しては別枠でやるということが明記されてますので、そういう点でこれは財務省ときちんと折衝し、必要な予算は確保していきたいと思っております。その過程でもちろん税制改正をやっておりますから、その結果を見ながらということですが、必要な予算は確保していくということで、政策的、裁量的な経費については今申し上げたことを考えております。
記者:
財源についてなのですけれども、今おっしゃった特別枠なのですが、「5つの安心プラン」で挙がっている項目は、原則的に特別枠で手当するということになるのか、それとも通常の予算枠にも入るのか、それはどういう形で。
大臣:
例えば、医療のところ、2番目をご覧いただきますと、2番目ここに「難病に対する」ということがあります。これは、既に難病に対する研究というのは、基本的には、通常の枠に入っていますが、これを4倍増にしよう、そうすると通常の枠の中だとここを増やしてしまうと他の削減、抑制をかけなければならない、例えば、がん研究とか、肝炎の研究の研究費を減らさないとできなくなります。しかし、そういうことではなくて、新たな政策的な経費を新たに取ってくることによって、これは4倍増を確保するという意味でここに書いてあるということですから、それはフレキシブルに、事務的経費の中で処理できるものと、それから、圧倒的多数は、政策的裁量的経費ということになろうと思いますが、どっちであれ、国民の立場に立ってみれば、ここに書いているような施策がきちんと実行できて安心できるということは、一番大事なので、その運用はフレキシブルに考えたいと思っております。
記者:
22年度以降との関係はどうなるのでしょうか
大臣:
具体的にどういうことですか。
記者:
特別枠で手当した場合、21年度予算で。そういった場合、2,200億円との関係も出てくると思うのですけれども。
大臣:
予算は単年度主義ですから、毎年同じ施策を繰り返しても毎年、単年度で予算を策定していかないといけません。そして、その時の状況をみて、例えば、産科小児科対策が功を奏して、もうこれは十分であるという状況になれば、予算をつける必要はないでしょうから、それは単年度主義で毎年毎年見てやっていくということなのです、これは制度上も実際に施策運営上もそれであるべきだと思いますから、そういう形で対応していきたいと思います。
記者:
シーリングの件なのですけれども、社会保障費の2,200億円抑制というのが盛り込まれることが確実だと思うのですが、どういった施策で対応されるかという実現に向けての見通しを改めてお聞きしたのですけれども。
大臣:
まだ正式決定ではありませんけれども、今の段階では、これは総理の指示で2,200億円の抑制ということは政府全体の方針であるということですから、それはそれで一つの方針を実現するために我々も無駄や効率化をすべきいろんなものがあれば、それは努力をしていくと。しかしながら、今後の予算編成過程において新たなる歳入の増加というのが出てくれば、今申し上げた2,200億円の枠の圧縮ということにつなげる可能性が残っていますよということでありますから、そこは、今からの歳入、歳出、特に歳入面、具体的に言うと、税制改正を見て、そして新たなる財源があれば2,200億円を圧縮するという形で処理ができようかと思っております。それに加えて政策的裁量的経費、特にこの「5つの安心プラン」を実行するための経費については、施策の棚卸しとか、無駄の見直しとかいうことと共に、深掘りという形で、例えば、100分の2、こういうものをいろんな行政の経費から要するに削減して持ってきます。そういうものをこれはきちんと、今言ったようなものを財源とする形で政策的裁量的な経費に充てたいということですから、結果的には、国民にとって本当に社会保障の面で安心できる施策になったなという形での予算の獲得に向けて努力をしたいと思っております。
記者:
日雇い派遣に関してなのですが、昨日、厚生労働省の研究会の方で、禁止を検討すべきだという報告書がまとまって、座長自身は、日雇い派遣は禁止以外にはないというふうに会見でおっしゃてたりもしていたのですけれども、そのことの受け止めをお聞きしたいのと、今後、労働政策審議会での議論が始まりますが、労使での関係で対立している部分もありますので、どういう議論を期待されるかというところをお聞きしたいのですが。
大臣:
基本的に日雇い派遣の問題は、様々な問題を起こしているということで、私も原則的には禁止すべきだという立場をこれまで申し上げていて、それを盛り込んだ形での法律を臨時国会に提出したい、ただ、その前提として労使の意見をよく聞きたいということがあります。ですから、例えば、30日以内であるとか、ポジティブリストでいくつの業種についてきちんと書くとか、マージン率であるとか、それから、グループ内での派遣についてどういうふうに考えるかということを今議論で詰めている段階で。ただ、今度は働く人達の立場に立ってみた時に、これは登録さえすれば、一部その分の費用を払うにしても、自分で職探しをしないで、それでちょっと手軽にお金を儲けたいというふうにいけるというプラスもあるし、特に家庭の主婦等で結構これを活用している方々もあるので、一律にやめるのはどうかという議論もあります。それから、経営者の立場から見て、それは人件費の削減というようなことで、この厳しい経済情勢を乗り切っていくというインセンティブがあってもおかしくないわけです。しかしながら、そういう議論を全部今からやった上で、しかも国会の議論をやった上ですけれども、私は、今日雇い派遣というものがやはり世の中に流している害悪、マイナスは極めて悪いと思っておりますし、やはり安心して生活できるような社会体制を作るためには、日雇い派遣の禁止ということは、断行すべきだと思っております。ですから、そういう方向でこれは労使の意見を聞きながら、施策として実現できるように努力していきたいということです。
記者:
先程なのですが、官邸でちょっと長めに残られていたようなのですが、総理に会われたり。
大臣:
はい。この「5つの安心プラン」の今日のプレゼンテーションに向けてちょっと総理とお話をしました。
記者:
特に何か新たな指示とか。
大臣:
特別にありません。いろんなアイディアを、つまり、ここに書いてある事は基本的な方向ですけれども、今から議論していって、具体化する過程で更に良いアイディアが出ればそれは活用すればいいので、そういうことについて積極的に活用しようという話でした。
記者:
日雇い派遣の流すマイナスが大きいとおっしゃったのですけれども、大臣が思われるマイナスというのは具体的に何点か挙げていただけますか。
大臣:
それは、ですから、雇用の安定ということがない、正に雇用なければ安定なしということであるわけですし、これはきちんとガイドラインを守ってくれればいいわけなので、そこを相当頑張ってやっているわけですけれども、どこに派遣されるか分からない、どういう労働条件も分からないで連れて行かれるといったしばしば違法なケースもあります。それでやはり害悪という言葉で言いますけれども、私は、常用雇用というのが普通の形であって、派遣という形が果たしていいのだろうか、それから、一部の専門職、同時通訳等は別です、ですが、物のメイキングをするような所は、やはり常用雇用であるべきだと思っております。やはり生活が安定しない、明日仕事があるかどうか分からない、結婚して家庭を持ちますかという時にとてもじゃないけれども、そういう状況ではないということも含めまして、様々な問題を引き起こしている。ですから、これは改めた方が良いと思っております。
記者:
厚生労働行政の改革の所なのですけれども、常々、大臣は審議会の見直しであるとか、技官人事の見直しとかいろいろおっしゃっておりますけれども、今回の「5つの安心プラン」については、具体的なそういう検討項目が明記されていないのですが、その経緯はどういうことなのでしょうか。
大臣:
それは、まさに第1回目を開いてそこで議論をする。早ければ今週中にも開きたいと思って今日程の調整をやっております。そこで議論するし、これは総理からの指示ですから、総理からの指示を待つまでもなく人事について刷新するように人事の検討委員会を動かしている、それから、医療のビジョンも介護のビジョンも動かしてきている。そういう様々な改革の動きをやっているわけですから、我々が既にやってきている、今現在進行形であるそういう改革のある意味での集大成としてその改革の材料をこの新しい懇談会に全て出すと。そしてそこで外部の人の目もありますから、そういう人の話も聞いて、大所高所に立ってこの議論をする。そして、そこにおける議論が場合によっては、例えば、一人の大臣がこれだけ大きな分野をカバーするのは良いのだろうかという話になれば、では省庁の再編という、霞ヶ関全体を含んだ問題提起になると思っておりますから、私は、そういう大きなこれからの政府の在り方にも繋がる問題提起をやりうる会議だと思っております。そういう意味で、引き続き第1回を早ければ今週中に開いて、そこで今言ったようなことを議論し、これからどういう方向に進むかということを決めたいと思っております。

(了)