閣僚懇談会後記者会見概要
H19.09.21(金)15:50~16:34 省内会見場
広報室
会見の詳細
閣僚懇談会等について
- 大臣:
- 今朝、所用で閣僚懇談会後のご報告ができていませんので、まずそこから入りたいと思います。今日も、健康上の理由で総理ご欠席で閣議ではなくて閣僚懇談会ということで行いました。一般案件、これは、国民経済計算調査会議の廃止について、それから、日米地位協定の関連について、それから、国会提出案件が行政組織の新設改廃状況報告書等3件、それから政令が統計法の絡みを含めて9件ございました。それから、人事で外務省関連、他省庁含めて3件ございます。厚生労働省関連で私の発言が一つございますのは、9月30日に任期満了となった独立行政法人が4つばかりございます。勤労者退職金共済機構、高齢・障害者雇用支援機構、福祉医療機構、労働政策研究・研修機構、それぞれに樋爪龍太郎、戸苅利和、山口剛彦、稲上毅の理事長任命をご了解いただく旨、ご報告そして了解を頂きました。それが閣僚懇談会のご報告でございます。 先ほど、事務方からご説明がありましたように、市町村のほぼ最終的なとりまとめができました。それからもう一つは、いわゆる年金記録システムの、昨日からありました、NTTデータと社会保険庁の間に氏名が無いものについて「00」というコードがあること云々についても報告があったと思います。それから、職員の調査によって、更にもう1件出てきたという報告があったと思います。まずそのご質問に対してお答えしたいと思います。それから、おそらく連休明けの25日に安倍内閣総辞職を致しますので、この内閣、厚生労働大臣として最後の記者会見になると思いますのでお別れのスピーチを致したいと思います。
質疑
- 記者:
- それぞれの案件3つ社会保険庁の案件、個別ではなくてまとめて聞いていきたいと思いますが、まず一点だけ。鳥取の件が追加で今日発表されましたが、既に4月、5月の段階で発覚していながら今日に至ってしまったことについて大臣はどのように思われているのか、ご見解を聞かせて下さい。
- 大臣:
- 昨日実は、福井の件、これは外からの情報提供ということでありました。今回とにかく私が着任してから、洗いざらいデータを出せということでやっていく過程で、現職、OBを含めて職員からも調査票という形で、これを聞きますという形で出てきました。ですから、これまでのいろんなデータの報告、本庁に上がったかどうか、そしてこれをまたきちんと国民に公表したかどうか、この体制が極めて不備であったということは、間違いありません。従って、今後こういうことがないように、どうすればこういうことがないかということを、新たな体制作りの過程できちんとやっていきたいと思います。鳥取の事案は、懲戒審査委員会を近日中に開いて処分を早く決めたいと思っていますので、この一月くらいでいろんな膿を出してきたので、今後それを活かした上での組織改革、ご承知のように、社会保険庁は解体しますから、その過程で活かしていきたいと思います。ただ、その間においても、できるだけの改善というのはやりたいと思っています。
- 記者:
- 先ほど、事務方からの説明で職員課長さんもサービス推進課長さんも冒頭に謝罪をされたのですが、厚労行政、年金行政を司る大臣として謝罪の言葉というのはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
- 大臣:
- 国民に対しては非常に申し訳ないことですから、今一歩一歩改善をしていく。現実に、謝罪するだけではどうしようもなくて、「ああすいませんでした」で済まないので、改革の第一歩として、まずファクト、事実を明らかにしたいということです。
- 記者:
- 市町村職員の第2次調査の結果で、少なくとも9件は、業務上横領罪の公訴時効にかからないものがあるかと思うんですが、これは刑事告発をされていかれるおつもりで。
- 大臣:
- まずは、どういう案件であるかということ。それから物証があるかどうか。そういうことをまず調査をしたい。それで、これは今朝総務大臣とも相談を致しましたので、総務大臣としても厳しくあたりたいということでありますので、それから警察、関係の省庁と協議を重ねながら、それぞれの事案をはっきりした段階で、基本的には、物証があり、告発できる態勢であれば、きちんと厳しく問いつめていきたいと思っています。
- 記者:
- 社会保険庁職員の鳥取の事案ですが、大臣は就任以来、国民がすごく関心を持っているこの事項について非常に時間を割いて取り組んでこられたと思うんですけども、鳥取の事案は、本庁に明確に報告があって、明確に告発もされていた事案で、なおかつ、これは、9月3日の発表の段階とかその後の発表の時も、大臣にはこれ以外にないという報告を大臣は受けられていたのでしょうか。これが新たに出てきたことについて改めて国民に対してどういうふうにご説明なりますでしょうか。
- 大臣:
- 基本的には、調査をかける、今まで分かったことは全部上げてもらうということでしたから、私は、そういうふうに認識をしておりました。だから、市町村にしても、社会保険庁にしても、とにかく一次調査でいくつか出てくる、二次調査やったらまた出てくる、三次やったらまた出てくるというのでは話にならない。しかし、調査する努力は続けていかないと、水面下で潜っているものがありますから、それでこれは、一つのヒアリングという、紙によってですけど、調査票という形でやって出てきたわけですから、今後ともあらゆる手段を使って本当にあぶり出していきたいと思いますけれども、そういう地方の、現地の機関から本庁に上がる、そのパイプが詰まっている、またそこから大臣まで上がるパイプも詰まってきているというのが今までの大きなこの組織の欠陥だったと思います。それは、ちゃんと情報が伝達するようなシステムにきちんとやっていきたいということです。
- 記者:
- 告発ですけども、要は、物証があって立件が可能なものと、物証等がちょっと見つからなくて立件がちょっと難しいものというのをちゃんと整理した上で告発するかしないかということをやるということですか。
- 大臣:
- まず、今全部の細かいデータが来ていません。ですから、北海道の様似町でどういうことがあって、どういう職員が関連して、どういう経過であったかと。それで実は、市町村でこういう業務をすることは、ご承知のように、5年前に止めています。もうこれをやらないことにいたしました。5年間の保存義務しかないですから、つまり、保存義務が切れてしまっているわけです。しかし、そうではあってもきちんと事情聴取をしたデータが残っている可能性があります。そうするとその中に事情聴取したテータに偽造した領収書とかこのような書類の写しがあればそれは確実に物証になります。しかし、非常に、まさに状況が私にとって最悪なのは、5年という記録保存の期限が切れてしまっている。物証を探すのが極めて難しい状態というのがまずあります。しかし、それがあれば、告発することは十分可能です。
- 記者:
- 今回は、犯罪を起こした当事者の調査についてかなり明らかになったと思うんですけども、事案としては、組織で隠蔽していたケースが結構多くて、上司とかその他の隠蔽した人達がどういう処分を受けてたのかというようなところが全く分からないんですけれども、今後全体像を見る上で、起こした本人はともかく、周りの人の分についての調査も引き続き行われる予定はあるんでしょうか。
- 大臣:
- それは大変良い指摘だと思います。例えば、懲戒免職をします、きちんとそれは、ちゃんとした処分をやっている。このケースは、あまり問題ないと思います。しかし、この皆さん方にお配りしたデータの中でもきちんとしたそういう処分をやったかどうかというので処分無しというのは、実は、15件あります。まさに処分無しという件について監督責任が問われるわけです。きちんと処分している分は、それは、やったということですから、これは、引き続き調査をしたいと思っています。
- 記者:
- 処分をしなかったことで処分を受けている上司がいたと思うんですけども、こういうのはかなり把握しやすいかと思いますが、こういう調査はやっていただけるんでしょうか。
- 大臣:
- ですから、処分しなかったことについて、処分されていないから問題になんでしょ。
- 記者:
- そういうのもありますけど、処分しなかったことが後々議会とかで発覚して、処分しなかったことを対象にして監督責任で処分されているケースもあるかと思うんですけれども、それも含めてやっていただけるということでしょうか。
- 大臣:
- それも調査してみましょう。
- 記者:
- 今の、さっきの処分無しのところ15件が監督処分を問われるとおっしゃったのですけど、刑事告発は、時効にかかっていない件が9件としますと、行政としての処分をしていなかった15件も監督責任が問われるでしょうと。どこまで引っかけていくかというところ、前局長のこともありますが、どこまでやれるのかというのは、どういうふうにラインを引かれると思っていますか。例えば、処分無しはもちろんなのですけれども、退職、ただの免職という形をとらせていて、退職金をもらっているケースがあるんじゃないかとか、いろいろケースありますよね。退職金は一律に返してもらうことにするのか、そうでなくて、退職金だけでなくて、処分が軽いと思われるもの、停職で済んでいると思われるものについて、そういうことについて見直していくのか、その辺のラインてどういうふうにお考えていらっしゃいますか。
- 大臣:
- まず一つの線引きは、要するに、時効の範囲内であって、今から刑事告発ができるかどうかということに一つはかかります。それから、それを過ぎている、その時に、本人が退職している、関わった監督責任者も含めて、退職している人に関しては、法的には何もできないということなのです。しかし、昨日明らかにした福井の案件のように、明らかに事実を隠蔽して本庁に対する報告義務を怠った。これは退職をしていても、私の方針としては、もし現役であって同じことをやったならばどれくらいの処分を受けるか、それは九州の前厚生局長の例のようならば減給10ヶ月分だと、じゃあそれに相当するお金をはじき出して誓約書を書いてもらって必ず実行して下さい、約1000万円の返納をさせるということができました。そういうことを一つ一つケースバイケースでやっていきたいと思っていますから、これだけある事案について、今からの作業は一つ一つ細かく検討していく。そして、臭いものに蓋をする、内部でうまく隠すということが二度とあってはいけませんので、法律の範囲内でできること、そして、強制力を持たないですけれども、要請するという形で今後とも厳しい態度をとっていきたいと思いますけども、ここからここまでがこうだというのを今すぐどういうルールですかというのは、今すぐそこまで頭で固まっているわけではなくて、基本的には、現役であったら下るであろう処分と同じくらいの重みをもって処分をする。ただ、何年か前とか、退職しているとかいうこと、しかも事実関係が例えば、直属の上司はしっかりしてて所長に言ったのだけど、所長が握りつぶした時は、所長の方がはるかに重いのです。直属の上司にしても、そういう不祥事を働かせたことをきちんと阻止できなかった監督責任がある。ただ全部のケースにヒアリングをして、それで罪の重さ、軽さをバランスをとって、これは、国家公務員、地方公務員、全部について言えることですけれども、厚生労働省と社会保険庁だけが他の省庁と比べてあまりに重いとかあまりに軽いということはあってはいけませんので国家公務員の倫理審査委員会にかけて、そしてバランスをとってもらう。だから、厚生労働大臣一人で決められるわけではなくて、公平という観念も入れないといけないので、慎重に、そしてできるだけ公平に、そして厳しくという思いで今からルール作りもやっていきたいと思います。
- 記者:
- そうすると、法的に引っかからない範囲では、すべてを公平に見直すということですね。強制力を持たないもとしても、全てを見直して、国家公務員の倫理審査委員会の方にかけるおつもりだということでよろしいですか。検討して。
- 大臣:
- つまり、何でもかんでもこれは、立法府の権限ですからできるわけではなくて、例えば、時効7年の壁なんてそんなのとっぱらっちゃえばいいじゃないかという暴論をはかれる方もいますけども、これは、日本の刑法、刑事訴訟法、憲法以下の全法律体系を変えないといけないことですから、気持ちは分かるけど、例えば、そういうことはできません。しかし、日本の国家公務員のシステム、その中で、処罰というのはどういう形で置かれているのですか。これもそう簡単に一つの省でできません。ですから、一時の感情に流されることではなくて、今おっしゃったように、すべてこういう事例について検討して、ある程度パターン化するなりして、そして場合によっては、ここまで公務員の倫理というかモラルが落ちたならば、更に厳しい処分をするということは、これは政府全体として決める。そしてまた国会にお諮りして決めるということが可能だと思います。
- 記者:
- 処分されて退職しているケースありますね。これについては、場合によっては状況を見て、これはやはり退職金の返納とか本来なら懲戒免職になるから返納を求めるのは妥当じゃないかと、そういうふうな方向もすべて検討するという理解でよろしいですか。
- 大臣:
- 基本的にそういうふうにしたいと思いますが、ただ、恣意的になってはいけない。恣意的にならないで、だから、あくまで要請です。それは厳しいことです。要請しても、いやそんなもの法的な縛りがないんだから私は払いませんよと言われたらそれまでなのです。だけど、それくらいの厳しい態度で臨むという姿勢がこういう状況では必要かなと思います。
- 記者:
- 今言われたのは、社会保険庁の職員に限ってのことなんですか。それとも、市町村の職員で処分されていないケースが多々あるんですが、それにも適用されるんですか。
- 大臣:
- 私は、中央、地方問わず、公務員というのは一定の倫理基準を持って全体のために奉仕する人達だと思いますから、いやしくもこういう公金横領のようなことをやるというのは、許されない。残念ながら、時効の壁があってできなくても、これはやはり襟を正すべきだと思います。今何が問われているかというと、中央、地方問わず、政府に対する信頼がここまで失墜してしまった。それを回復するためには、それだけの厳しいことをやらないといけないと思います。従って、例えば、時効の壁に掛かってないものについて、誰が刑事告発やりますかというのは、ケースバイケースで、社会保険庁長官に私が命じてやらせることができるケースもあれば、市町村長がやらないといけないケースもあると思います。その時に、市町村長が怠慢でやらないなら、私は総務大臣と相談をして総務大臣に指導していただく。その点については、増田総務大臣も極めて厳しく指導するということですから、社会保険庁だけが厳しくて市町村の役人がどうでもいいというわけにはいきません。
- 記者:
- 今回この150件について、発覚分のみで、未発覚のものが大量にあって、150は氷山の一角なのではないかという指摘がありますが、それについてはどう。
- 大臣:
- それは、調べてみないと分かりません。だから、巧妙に皆で隠したら出てこない可能性があります。まさに外部からの、福井の案件なんか、外部から知らせてもらったから分かったわけです。
- 記者:
- あれは、発覚自体はしているわけです。そうではなくて、未発覚のものが大量にあって、それが年金記録問題の、消えた年金問題の一因になっているのではないかという指摘がございます。それについて何らかの、難しいと思うんですけれども、調査等をやるおつもりはございませんか。
- 大臣:
- 今まさにこれやっている調査はそのためにやっているのですが、これで未発覚をどうして探せと言っても、それは皆さんの知恵をむしろ借りたいくらいで。それともう一つ、私もいろんな案件を調べてみると、極めて巧妙にやっているケースが多いですから、私が掛け金を払いに行きます、国民年金の、私自身の年金記録に全く傷が付いていない、私が年とって年金もらうときは、一円もそれで減ることもなければ、記録も消えていない、それくらいに巧妙にやってきている。福井の案件も、一括払いしたのを月払いで払っていたからその段階では、私は払っていることになっているわけです。それから例えば、私が非常に貧しくて年金免除してあげるくらいに所得が低いという偽の書類を出されていて、私はまじめに払っている。ちゃんと記録もあって、ちゃんともらえる。払ったからもらえるって思っていたら紙の上では、所得が低くて免除しててももらえるということになっている。私が払ったお金が、悪い人のポケットにいっている。ほとんどがこういうケースなのです。ですから、私は、最初この案件に取りかかった時に、こういう私たちの掛け金を盗んだ人達が元で年金記録が消える発端になったのかなということを考えました。だけどこれもっと調査してみないと分からないですけれども、そうならないような巧妙なケースがたくさん報告されているので。今おっしゃったように、これがいわゆる消えた年金記録と言われることになった原因になったケースもあると思います。だからこれもう少し、ちゃんと調べて検討してみたいと思います。
- 記者:
- 増田大臣に調査を依頼される際に市町村が伏魔殿だという表現をされていたと思うのですが、実際に刑事告発をされていないのが68件、処分がされたのが22件。この数字自体はどういうふうに受け止めましたか。
- 大臣:
- これは日本社会の構造改革をどうするかにかかるので、あまりに訴訟社会になってお互いに国民自体を総監視するのがいいのかなと。日本の伝統社会のように皆で村の秩序を守っていっていちいち裁判にかけませんと、そしてちゃんと諭して悪い人に対して諭して皆で矯正していきましょうということは、必ずしも悪いことではありません。これが行き過ぎになると今回のようなケースになって。あくまでもこれは私たちの社会保険の大事な掛け金であり、税金ですから、このことについては払ってる我々としては同じ町の人間でも厳しくしないといけないので、そこのけじめをつけるような社会に変えるべきだと思うから、だから徹底的にやるべきです。何も古き良き日本の伝統を壊そうというのではないですが、何かも古きよき日本の伝統で良いかというとやはり日本は国際社会のなかで生きているのだから。グローバル社会のなかで生きていくわけだから、企業だって今度会社法変えましたね。乗っ取りがあったり、M&Aがあったりする、そういうアングロサクソン的な会社法の概念が嫌いだと言ってもやらなきゃいけない。そうするときちんとした市民社会として成熟を遂げていくとすると、これはきちんと経なければいけないステップである。いかに身内であっても、身内だからいいじゃないかと九州の前局長は言っていたけど。身内でも、親戚でも、同じ町の人間であっても、悪いことする人は悪いんだ、臭いものに蓋をする、今でもそう。これだけ苦労しても中間報告で20市町村出てなかったでしょ。何で町の恥を外にさらさないといけないのか。せっかく皆で隠してきたのにと、そんなこと言うなら、あなた国民全体のために公表するぞと言ったら出てきた。あれ言わなきゃ出てこない。最後の最後まで抵抗するのです。ですからそういう自分たちの町の恥でなく、公表しないことが町の恥ですよと、そういう文化に変えないといけない。これは非常に大事な構造改革の一貫だと思います。
- 記者:
- 与党内で、後期高齢者の医療制度の凍結であるとか、障害者自立支援法の見直しであるとか、そういう議論が出てきていますけれども、そういうことを含めると、財政規律の緩みであるとか構造改革路線の後退になるのではないかという指摘も出ていますけれども、それについてどのように受け止めていらっしゃいますか。
- 大臣:
- これは、基本的には参議院選挙で与党が大敗したということを受けて、その反省をやった時に、やはり格差の問題とか、いろんな問題が出てきている。そういう中で、いろんな負担が増えていますよというような声がありますから、与党の中でそういう声が出てきていますけれども、財源の問題をきちんとしないでそのことができますかと。それから、後期高齢者というのは、75歳以上なので、この方達の医療保険のシステム自体を統合して変えようということがまずあるのですが、そちらではなくて、70歳~74歳までの2割負担を1割負担にと。そういう話になって、むしろそっちが分かりやすいですから、皆さん脚光を浴びている。それから母子家庭の問題とかいろいろ、これは公明党も含めて、出てきていますけれども、これは、まだ自民党の新総裁も決まっていない。つまり、安倍内閣の後の内閣がどうなるかも分かっていない段階で、今ちょっと議論するのは、時期尚早だと思いますから。国会が始まって、国会の場できちんとそれぞれ負担と受益という観点から議論していけばいいので。そして、最終的には、国権の最高機関で国民の代表がそこに集っていますから、そこで議論して決めればいいと思います。
- 記者:
- 端的に大臣として個人としてどのように考えていらっしゃいますか。
- 大臣:
- 私の今の認識は、議論するための前提としてのファクトを皆さんがよくご存じない、そこからまず始めないといけないということがまず事実です。ですから、これは週明けになったら、ファクトについてじゃあ後期高齢者医療制度改革ってなんなんですか。県ごとに広域に作って、どういう負担を若者と年取った方でやられるんですか。4対1でやりますよ、その比率はどういうふうに変えますか。じゃあ国と市町村と都道府県の負担はどうしますか。そういうのぴっしり決めて、議論に議論を重ねて、従って、こういう制度でないといけない。今ですね、悪い数字でいうと、国民医療費というのは、33兆円かかっています。3分の1の11兆とか12兆が高齢者の医療費です。これがどんどん、私もいずれ高齢者になりますが、どんどんどんどん増えていく。そうすると、国民医療費の3分1が高齢者医療費だと、それがやがて2分の1になっていく。じゃあこの2分の1の、つまり80兆ということになったら、40兆、60兆で30兆、そのお金をどこからどういうふうに持っていくかということを考えないといけない。そうしないと確実に国民皆保険という、今私たちが享受しているシステムが崩壊する。その崩壊を避けるためにはどうしますかということで、窓口負担を増やさせて頂いたりしている。だから、私は、国民皆保険システムを絶対に守りたい、アメリカの映画の「シッコ」のような状況にはなってはいけないと思っていますから、じゃあそのために何をやるかというと、財源の問題を考えて、無駄な医療費の抑制も図っていく。だから、メタボリックの話があったり、治療より予防というようなことは、そういうことで片一方であるわけです。そういうことをやりながら、しかし、増えていく医療費を抑制すると共に、できるだけ健康で長寿をしていただくためにはどうすればいいか。だから、毎回言っていますけど、当然消費税増税という議論をやっていかないといけない。だから、最終的に国民が、負担がよろしいよということになればやっていけるわけです。結論だけが総裁選の候補者のペーパーの中に後期高齢者医療の凍結を検討するという言葉が出たり、友党の公明党からそういう話がでたりしていますけど、その前提となるファクトをしっかり抑えた上で、その上でやりましょうというのが私の今の立場です。
- 記者:
- 今日、長妻議員が、大臣が昨日行かれた東京社会保険事務局、同じ所に行かれまして、524万件の同じ作業を視察しました。そこで、その後で、大臣が2分~15分で済むのですよという説明を視察後でされたと思うのですが、それはあくまで原簿と名前のない記録を照らし合わせているうちの一部の作業であって、入力作業はまた別なのだと。だから全体を見積もったらもっと時間がかかるんだ。社会保険庁が言っているあまい数字で軽い見通しをたてるのは間違いだ。11月末までには終わらないという趣旨の発言をされている。そのことについて大臣いかが思われますか。
- 大臣:
- まず最初に、2分~15分というのはその作業をやっていた時にそうですよという話をして、そこで生年月日が間違っていて更に事業所の台帳にまで遡らなければいけないことについてはもっと時間がかかりますよと既に申し上げております。そして、甘い見通しも何も、やりながらやるわけですから、昨日明確に申し上げたように、そして現場で指示をしてきたように、10日間やってみなさい、10日間やって524万件のうちの何件できますかと。そして逆算したら何日かかりますか。何日という日にちが決まってますから、今マンパワーが40人でやっているなら80人に増やさないといけないなら、80人に増やすべきだという数字をあげなさい。それを1週間とか10日ごとに報告をあげなさい、そしたら逆算できます。だから何もあまい見通しではなくて。そしてその時にその金をどっから持ってくるのですかという財源の問題も考えてやってます。それは国会の議論も経ないといけないので。だからあまい見通しでできるはずがない。そのことしか言わないのですよ彼ら。そうじゃないんです。未知の領域に立ち向かってやっているわけです。やりますよと。やりますから。じゃあ今の40人体制が足りないので80人という数字が出たから80人にしましょうと。それで反対なんですかと。要するに、私が失敗するのを待っているんですか、あなた方は。まだ政争の具としてこの問題を使っているのかっていうことなのですよ。それは、与野党を超えて、これだけ大きな問題は協力してくれなきゃ。だから、彼らだって彼らが計算してこれだけかかるから、大臣、あなたのところの見通しがあまいからどうかこっちの数字を使ってみたらどうですとか、ああ、ありがとう。さすがあなた達だ、良い数字だなあと、それに基づいてやると。じゃあ財源どうしますか。どうしてもここで税金投入しないとそれだけの人を雇えませんよと。じゃあ、補正予算の議論の時に5億かかるので、5億を一緒にやってくれませんかと。これが建設的な議論でしょ。できるはずがない。やれるはずがない。甘い。もう選挙は終わったんだ、いつまでそういうこと言っているのですか。私に言わせればそういうことです。
- 記者:
- 身内の恥だと思って、市町村の関係なんですけど。最後の最後まで抵抗していたところがあるとおっしゃっていましたが、抵抗といえるようなのは具体的にはどこなんですか。
- 大臣:
- まあ、素直に最後は出しましたからそこはもう言わないことに致しましょう。
- 記者:
- 抵抗していたのですか。
- 大臣:
- 出さないというのは抵抗してたわけでしょう。ちゃんと総務省から通達が出て、14日締め切りですよって。この期に及んで20市町村出してなかったのだから、あの中間報告で、出さなきゃ名前公表するぞと言うまで出さなかったんだから。それは抵抗以外の何ものでもないでしょう。そうでなければ、ほんとに間抜けな市町村ですよ。だって総務省から行った通達を誰も見ていないのかねということでしょう。もしそういうのがいたら私はその市長さん町長さん村長さんの顔が見てみたい。
- 記者:
- 20市町村無回答だったんですよね。その中で横領があったのは何件ですか。
- 大臣:
- そういうデータはありますか。ちょっとそれはすぐ出ないと思います。ちょっと今すぐデータがそこまでいきません。すみません。
- 記者:
- 市町村について、身内の恥とおしゃったんですが。鳥取の案件も情報が伝達される仕組みになってなかったと、残念だとおっしゃったんですが。大臣が来てからもですね、この調査、7月くらいからかなり時間をかけて始められて、本格的な調査を初めてされて、8月がすぎてですね、それでも本庁に報告されていた事案が職員課長に届かなかった。これは原課の方をせめる上で申し上げているのではなくて。そうなってしまった。いろんな象徴的な状況だと思うのですが。大臣が来てもまだそれが変わらなかったということは、安倍内閣最後の会見の場で、今後の課題といいますか。
- 大臣:
- それはおっしゃるとおりで。だから今度は3人厚生労働大臣を作って欲しいというのは本当に。時間的にそこまで手が回らないのです。申し訳ない。だから、それは本当に申し訳ない。全力で仕事をしてきているつもりですけれども。それから、もちろん市町村について質問が出たからそう言ったので、社会保険庁も身内の恥を隠す。これが今まであってきたことですから、絶対今後はあってはいけないということです。だから今後、是非また改善していきたいと思います。厳しいご指摘だということでしっかりと受け止めたいと思います。 最後の会見になりますので、若干感想を述べさせて頂いて、ちょうど4週間走り続けました。それで、いろんな感想がありますけど、一つは、実は今話したことにも関係あるのですが、基本的なファクトというのをもう少し知らせる努力を政府はしないといけないなという感じがいたしました。例えば、5000万件を3月いっぱいにという言葉が走っています。我々も選挙の時は、最後の一人まで最後の一円まで総理がやるって言っているのだからやりますという演説をするわけです。細かく分けて言っていると聴衆がいなくなるから、最後の一円まで3月いっぱいですよと言っているのですが、もちろんこれは名寄せが3月いっぱいまでということです。名寄せで出てきた人に皆さんにお知らせをすると。そうではない人達、記録が出てこない人達、そういう人達で現役の方々はちょっと待ってください。3月以降は、今、年金をもらっている方が先ですから、その方全員に大丈夫ですか、あなたの記録は出しますよ。そして今私たちのように働いている人達は、10月までに出しますよと。そういう工程表を既に出しているのですけれども、国会議員にしてほとんどそれが理解できていない。皆さん私の所に来て、大臣大丈夫かと、3月までに本当にできるのですか。10月までにやる作業を3月までと誤解している面がある。例えば、こういうことはもういっぺんちゃんと広報しないといけないかなと思います。それから皆さん方に今聞きますが、社会保険庁解体六分割、六つ言ってください。厚生労働省の専門の記者の方でもすぐに言えません。というのは、その言い方が間違っているからで。普通、国鉄分割民営化、JR北海道からJR西日本まで地域別だからさっと分かる。それから新幹線保有機構とか。ただ、これはもういっぺん私は、実を言うと、解体六分割という言葉は、変えてもっと分かりやすく説明すべきだと思っています。そして、この解体六分割という言葉、これは本当に申し訳ないのですけれども、選挙が近いとこういうことが起こるので、何かスローガンはないかということで、解体六分割、これ良いなということで、私たち政治家の責任で決めたのですけど、ちょっと説明させていただきますと、社会保険庁というのは2つの大きな仕事を国民のためにやっています。一つは、健康保険です。保険の業務。もう一つは、年金です。だから、まず二分割します。保険は保険でやります。そして、年金は年金でやります。これがまず二分割なのです。保険は来年の10月からやります。その中で、今回の件で反省事項がたくさんあります。反省事項がどういうふうに修正されましたかということに基づいて、私がちょっと時間をいただけば、言い方を自民党にも公明党にも言い方変えませんかということを申し上げる。そうでないと、せっかく解体しても元の木阿弥になってしまうという、非常に私は危惧を抱いています。つまり、日本年金機構というのを作ります。この中で、少なくとも3つの機能に分ける必要がある。皆さん方が年金の申請に行く、じゃあ何の何さん来ましたね、記録を保持して最後まで記録の管理をする。これが一つ。お金を徴収する部門が一つ。皆さん方に給付する部門が一つ。これを一つのことでやることによる問題点があるわけです。だからこれをどう改革するか。そうすると民主党が言っている、取る方と払う方が一緒だからこうなる、だから内国歳入庁で税務署と一緒にしろという議論に対して十分こちらも有効に反論ができます。それから記録の管理もそうで。民間委託というのは、やれる部分は、やればいい。民間委託ではなくて、国にもう一つ委託する部分は、徴収の部分で、強制徴収を国税庁が使うということがあるわけです。ですから、六分割というのは、保険の件で保険協会を作るのと、それを監督する厚生労働省があって、年金機構があって、だから例えば、こういうことをもういっぺん皆さん忠実に、これはメディアの皆さんの責任でもあるので、きっちり議論をすることが前提で、本当に申し訳ないんですけれども、国民の皆さんに、やはり選挙の時は非常にシンプルに、単純化したスローガンを使って、そこに詰め込むものですから、大変誤解を呼んでいますから、私は、一月間仕事をしてみて、その誤解をまず解くことが非常に大事だなという感じがしておりました。それから、年金については、そういう形で、是非これは野党の諸君も全会派で国民のために建設的に批判しながら良い方向を出すということでないといけないと思いますから、まず今かかっている諸問題についてきっちりと対処していく。是非皆さんご協力下さい。国民の皆さんにご協力いただいて、年金の記録のチェックの時は、是非皆さん方も自分でしっかり見て、少しでも間違いがあれば、社会保険庁に行って下さいということであります。そして、長期的な年金の構築について言えば、保険料でやるのか、税金でやるのか含めて、民主党の案にも良いところがある、また問題点もある。我々が今行おうとしている案にも良いところもある、悪いところもある。これは今、与党、野党という立場で申し上げていますけど、それはまさに今から始まる国会での論戦において議論をして長期的に維持可能なような年金制度をやっていかないといけない。そのために越えないといけない障害がどちらのシステムにとってもありますから、それは努力していかないといけないと思います。それから、医療の方については、産婦人科、小児科の問題、外科の問題含めて、先般、千葉県視察いたしましたけども、これはやはり、抜本的に医師の養成含めて、構造的な改革をしない限り、本当に日本の医療は崩壊するという危機感を持っていますから、これは、政府も与党も全力を挙げてやっていかないといけないと思っています。それから、医療関連のB型、C型肝炎、それから原爆症の問題、これもとにかく目の前で苦しんでいる方々を支援するということ、そして、訴訟の問題についてもあらゆる観点から考えて、私は与党が検討していますからこういう問題点については、年内までを目途に、ある程度の結論を出すべきではないかなというような考えを持っています。それから、いろんな難病、奇病で苦しんでいる方々はもっとたくさんおられますからこういう方に対しても、例えば、新薬の承認をできるだけ頑張ってやる。ムコ多糖症について、これは、できれば10月の始めには、承認できると思います。これは、省内皆あげて不眠不休でこれを実現しようということでやってくれておりますので、他の病気についてもやれればと思っています。それから、労働の問題につきましては、やはり人生60年時代から80年時代になった時の労働の在り方、それから、パートタイマー含めて、いろんな問題がありますので、最低賃金法含めて三法、これは是非成立を今国会でやりたいと思っていますけれども、働き方の革命というのは、生き方の革命であり、楽しみ方の革命であるわけですから、これはやはり実を言うと、日本の構造改革の最たるものは働き方の革命だと思っています。こういう長期的なビジョンも抱えながら、国民のために、国民に安心を与えて、そして夢を与える。だから、今の政治に欠けているのは、非常に不安だということです。国民に安心を与えるためにどうすればいいか。そして皆が希望を持っていく。そういう社会をどうすれば作れるのかという思いでこの4週間突っ走って参りましたので、是非この政策は、どの方が私の後任になろうと続けていただきたいという希望を申し上げまして、また皆さん方にも大変忙しい思いをさせましたことをお詫び申し上げまして、一応、おそらく最後の会見になると思いますので終わりたいと思います。ありがとうございました。
(了)