大臣厚生労働記者会共同会見概要
H19.08.28(火)17:35~18:01 省内会見場
広報室
会見の詳細
質疑
- 記者:
- 幹事者から代表質問をさせていただきます。まず、年金記録漏れ問題への対応について、これまで発表されていない新たな対応も含めて何か具体的なこと、何を考えていらっしゃるのか。また、歴代の大臣と社会保険庁長官の責任というのはどのようにお考えになっているかについてお聞かせください。
- 大臣:
- 5,000万件ですが、これは安倍総理も最後の一人までやると言うことをおっしゃっておりまして、私も年金選挙でしたから、各地で街頭演説をやる時に最後の一人最後の一円まで頑張ってやるということを公約として申し上げました。これについてはもう7月5日にタイムスケジュールが出てます。11月くらいまでにプログラムを組んで来年3月くらいまでに完成させるというそのスケジュールに基づいて、公約の最後の一人最後の一円まで確実にやるということで取り組んで行きたいというふうに思ってます。それから、歴代の長官を含めて誰がどこでどう責任あるのかということは細かく精査してみないと分からないと思いますけれども、それぞれの段階でやはり責任があったんだと思います。責任が集中している時期というのが、細かくみればあると思います。それも今年金の問題で検証委員会ができたり、いろんなところでチェックしていますので、そういうことを踏まえて最終的には判断をしていきたいというふうに思います。今後の取り組み、それをやりながら、もっとこういうふうにしたほうが良いとか出てくれば、基本的に任せていただければ、みなさんが安心できますよう、全力を挙げてこれをやります。それは政府全体の公約でもあります。私が選挙期間中申し上げていたのは、もし政府がやらないなら、私は参議院議員ですから、国会議員として立法府の責任として皆様方にお答えするということを言い続けてまいりました。それがありましたから、非常に重要で且つ困難であろうと考えられる厚生労働大臣のポストに就任することを承諾したということです。まさに公約を果たしたいということですから、国民が安心できるように、本当にこれで年金大丈夫だよと皆さんが思えるように、あらゆる手を尽くすということをお約束したいと思います。
- 記者:
- 公約に政治生命をかけるというような意気込みでいらっしゃるということですね。
- 大臣:
- もう、それは何度も申し上げますけれど、選挙を戦った人は分かると思います。
- 本当に切実ですよ。毎日のように、厚生労働大臣になる前から毎日のように色んな方がお手紙をくれましてね。これだけ頑張って払ったのに年金をもらえない、生きていけない、みたいな切実な訴えがありますから。その人たちの気持ちになってみれば、それは全力あげて命がけでやらないといけないと思います。本当に命がけでやりたいと思いますし、皆さんの安心できるように全力を挙げてということをお約束したい。
- 記者:
- 来年度予算要求の関連ですが、社会保障費が2,200億円の抑制を求められていたと思いますが、今日、自民党に対しては政管健保に対する国庫補助の削減なども提示されているんですけれども、今後2,200億円の抑制をどう処理していくのでしょうか。
- 大臣:
- これは政府も、与党の部会も含めて、基本的な方向としてはこれ以上患者の負担を増やすことはしません、それから給付の削減に繋がるようなこともやりません、ということを約束しているわけですね。それから、昨日来申し上げているように地域医療の確保をやらないといけないということは私も切実に感じています。こういうところへどうしたら予算を振り分けることができるか。これから概算要求で予算査定に向けて知恵を絞って行かなければいけない。しかし、どうしても2,200億円というのは政府の全体で決めた歳出抑制策ですので、今3つくらいの手を当面は考えておりまして、これでなんとか2,200億円を捻出したい。一つは、薬価の引き下げということ。来年度薬価改定の年に当たっていますので、これで少し確保する。それから、ジェネリック、後発医薬品を利用促進する。平成24年度までに全体の医薬品の約3割くらいまでをジェネリックにすればかなりお金が浮くんじゃないか。それから、今おっしゃられたのは、要するに組合健保や共済組合がある。組合健保を持っているのはご承知のように大きな企業が持ってるわけですけれども、政管健保というのは中小企業ですから、どうしてもそこに給料をいっぱいもらっている、ボーナスをいっぱいもらっている、そういう大企業の負担に比べて中小企業のサラリーマンは非常に負担が大きくなる。これは、給与所得者としてどこに勤めていようとも、お互いに連帯の精神で助け合いましょうということで、細かい工夫は今からやりますけれど。今日の部会でも議論があったと聞いておりますが、そこのところは組合健保、政管健保、それから組合健保の中でも大企業で大変困っているところはありますので、だからみんなで助け合って地ならしというか、でこぼこをならすような形でやれば。この3つくらいです。今すぐやれと言われればこの3つくらいをやってなんとか2,200億円を捻出したいと考えています。今後また予算編成でいろんな努力をしていく。そしてこれは特に与党の皆さん方とも、よく相談しないといけない。
- 記者:
- コムスンの問題に関してなんですけれども、利用者の間に非常に不安が広がっているかと思いますが、こういった混乱が生じていることに対して今後の再発防止をどのようにお考えになっているかをお聞かせください。
- 大臣:
- 私も介護の問題は非常に切実に感じておりますので、一番の問題は、事業者にあのようなことがあったが、利用している人がいるわけで、今日から路頭に迷いますよということは、介護の必要なお年寄りも介護する立場でいても、それだけはやめたいということですから。とにかく利用者保護を徹底する。それからやっぱり、介護保険をみんなでが拠出して頑張ってやってここまで育て上げた。ここまでうまくやってきた介護保険に対する信頼を裏切るというのは、私は絶対許せないと思ってます。今、有識者会議などで、介護事業運営の適正化に関する有識者会議その他で、どうすれば良いか、必要な措置を検討させています。そういうことを含め、再発防止については基本的に二度とこのような問題は起こさないということで、今、専門家の委員会で検討させておりますので、それを受けた形で徹底していきたいと思います。
- 記者:
- 規制緩和がいろいろ進んできました人材派遣業界に関するトラブルや法令の違反がかなり近年目立ってきているのではないかという指摘が、あるんですけれども。法改正や監督の強化等を含めて今後どう対応をとられるんでしょうか。
- 大臣:
- 偽装請負のようなことが件数として増えていることは確かでありますので、まず実態を調査して、それから労働者派遣制度が現実にどうなっているのか。私もこの問題は現場に踏み込んで見てきているわけではありませんので、もう少し実態を検討し、専門家にヒアリングをやってもらったり、現場を見てもらったり、私もできればそういったところを調査してみて、その上で、これだけトラブルが増えてきているので、何らかの処置をとらなければいけない。これも少し時間をいただいて検討させていただければと思います。
- 記者:
- 総理の方から直接指示があった話ですが、原爆症の認定基準の見直しについて今後どのように取り組むお考えでしょうか。
- 大臣:
- 8月5日でしたか、6日を含めて総理からそういう指示がありました。これは専門家による検討会を設ける。国が敗訴した場合もある勝訴した場合もある。そういう中で、問題が司法の場で裁かれているわけですから。司法の場にあまり行政が介入することはいけませんから、それはそれで静かに見守りながら、総理の指示もありますので、司法の場での決着は決着として、他に国の立場で何かできないだろうか、これを検討してみたいと思います。これも少し時間を頂戴して細かく私自身も判決文の研究をしてみたいと思います。
- 記者:
- 同様かもしれませんが、薬害肝炎訴訟の関連ですが、今後の患者救済の在り方も一つのテーマになっていますが、これはどのようにお考えでしょうか。またその時期に関してはいつ頃を考えていらっしゃいますか。
- 大臣:
- 私も少し調べてみて、B型、C型肝炎とあって、B型でも100万から150万人くらい、C型だと200万~250万人くらい患者さんがおられるようなことであります。それから何がもとでこういうが起こったんだというと、血液製剤の問題で。だからこれが、どこまで国の責任があるのかについてはこれもまた司法の場で裁かれているわけですから、これはこれで見守っていきたいというふうに思います。それで、一つは何とかこれを治療することはできないのかということで、これは研究者の方が一生懸命おやりになっていると思います。与党とも協議をしながら、何か手があるのか、少し時間をいただいて何か助ける手だてが行政の方でできるのかどうか、訴訟とは別に考えたいと思っております。少し時間をいただいて専門家の意見も聴取して上で、今出ている判決文も研究する時間をいただければと思います。
- 記者:
- 最初の質問に戻るんですが、5,000万件の記録の確認なんですけれども。最後の一人までということを強調されていますが、かなり記録の問題も複雑で、完全に最後の一人までというのは難しいんじゃないかという指摘、またすごく時間がかかるんじゃないかという指摘もありますが。
- 大臣:
- 来年の3月までにやろうということで全力あげてこれはやらないといけない。社会保険庁だけじゃなくて、それをチェックする機関もできているわけですから。それと、私なんかが考えるのは、国民の皆さんにも是非協力していただきたいということです。プログラムを11月くらいに組みますけれども、例えば、簡単な例で言いますが、田中さんという方が結婚して山田さんになった場合、名前が違うけれども、生年月日がぴったり同じだったら、検索するということを今やっているわけです。ところが誰かのミスで9月16日生まれを9月6日生まれと書き間違えた時には生年月日が同じだと言うことでは検索できないですね。そういう時に、私は確かこの時期にちゃんと勤めてて払ったはずなんですけどもとか、結婚してからブランクがあるけどその後仕事していたはずですけれども、ということを社会保険庁の各地域にある窓口でも良いですし、第三者委員会もできていますから、是非皆さん方に協力していただいてそういうデータがあれば調べるにも調べやすいと思いますので。行政がやることであって私たちは何も知りませんということではなくて、みんなで協力して、ひょっとしたら私漏れているんじゃないかと思いますということを言って協力していただければと思います。ただ、一旦目標を掲げた以上はそれに向かって全力を挙げてやらなければいけないと思っております。
- 記者:
- それから、民主党から年金保険料の流用禁止法案というものが提出されていると思いますが、事務費にも保険料を充てるべきではないということで、そこは政府案と異なっているんですが、それに関して大臣のお考えはいかがでしょうか。
- 大臣:
- 私は前から明確に申し上げているように、年金の運用に関わる事務的なものは、年金から払ってよろしいということで、例えば、現在人件費は一般財源からみているんですが、民間の保険会社だったら、保険の掛け金から社員の給料を出して、自己完結というか輪の中でやっている。今の制度は人件費は一般財源から出しているので、他の費用も一般財源から出しましょうというのが民主党の案である。ただ名前が保険料流用禁止法となっている。流用禁止は当たり前のことであり、流用というとマッサージ器を買ったり、ゴルフの練習道具を買ったりとかというようなことがあるが、このようなくだらないことは一切やめていますから。しかし流用というとそのようなイメージがあると思う。そうではなく、直接かかる費用、例えば1億人の方に80円切手を買って、あなたの年金こうですよと送れば80億円かかるわけですね。これを一般財源から出すかどうかなんですが、私は反対なんです。それが説得力があるのかどうかなんですね。年金の事業に関するものは今までは事務経費などといっていて、中に遊ぶ道具などを入れていたからけしからんと言われているわけです。こういうことは絶対にやらせないというのは我が党でも決めている。これはきちんと決めて厚生労働省として政府としてやってます。私は、どちらが良いかと言えば、事務費くらいはその中でやるべきだと思ってます。全部経費が一般財源というのが果たして良いのだろうか。私の考えは前から変わってません。それはきちんと色んなところで、テレビなどでも言ってきております。これは国会でも十分に議論したいと思います。そしてそれから先どうするか、議論を尽くして国民の皆様にもきちんと理解していただく。何度も言いますが、流用禁止法案となったら、グリーンピアとかマッサージ器を買いやがってという話の方が頭に浮かぶ。それをやらないのは当たり前ですから。単純に今言ったように皆様方に送る年金の通知のお金のことであり、運用して利益を出しているわけですから、というふうに思っております。
- 記者:
- 原爆症と肝炎の訴訟問題の話なんですが、総理から直接指示が前の大臣にあったのですが、今回就任されるにあたって、このことについて安倍総理から指示なり、なんなりがあったのでしょうか。
- 大臣:
- いえいえ、その点は特別大きな指示はごさいません。こういうことはしっかり検討するようにという程度であります。
- 記者:
- こういうことっていうのは、訴訟問題に。
- 大臣:
- 訴訟問題はしっかり検討しましょうというで。こうしなさい、ああしないといった具体的にどういう手を打て、ということはありません。
- 記者:
- 原告の方がたは大臣にこれまで面会を求めてきたんですが、訴訟中ということで、大臣は拒否されてきたのですが、舛添大臣としてはどうお考えでしょうか。
- 大臣:
- そこもまだもう少し時間を賜りたい。私自身がまだ判決文をしっかり読む時間もないし、それから、基本的には、訴訟をやっている時ですから、行政の長が外で、訴訟外のところで話せばいろんなことになりますから、司法の場に介入することになりますので。司法がこう判断しようとしている時に、原告団と被告が別のとこで話し合うというのは、法治国家としていかがかなということで、そういうところも踏まえて検討したい。
- 記者:
- 大臣、労働分野の規制緩和、経済界を中心に規制緩和を求める声が強いのですが、例えば、ホワイトカラーエグゼンプションとか、派遣、人材派遣の禁止業務をとっぱらうとか、そういう労働分野の規制緩和についてどういうお考えをお持ちでしょうか。
- 大臣:
- これもまったくバランスの問題で、どちら側に行き過ぎてもいけないってことにつきるだろうと思います。まさにホワイトカラーエグゼンプションみたいな問題は、残業手当ゼロ法案と言われて終わってしまったのですが、逆に非常にフレキシブルな形で給与体系を考えることが、競争力のある企業に生まれ変わる、特に単純労働者ではなく企画なんかをやる人たちにとって、それが今は正しいのですね。だけど逆にただ働き、サービス残業させられるのではないかということも正しい、だからそこはもう少し議論をして、国民の納得のいく形で、有識者の意見を聞きながら、そして、現場を見ながら考えたいと思います。だから、私はこの労働行政っていうのも、どっちかに傾く時っていう、こっちが100%良くて、こっちが100%悪いというものではなくて、それぞれ良い点がありますので、どの辺でバランスをとるかということで判断するしかないかなと思っています。
- 記者:
- 医師不足について原因をどう見ておられるのかなんですが。いわゆる医療費の抑制施策とか、医学部の定員の抑制といった、これまでの厚生労働省の政策というのは、いまの時点でどうお考えられているのかということと、5月にまとめた医師確保対策で、当面十分とお考えなのか、あるいは追加の政策というものが必要だとお考えられているのか。
- 大臣:
- 私も若干この問題にも勉強したり、いろんなお医者さんとお話をしてみたりしているのですけど、どのレベルの医師をとるかによって、ずいぶん違って、東京の開業医ということになると、これはまた別のカテゴリーに入り、いま勤務医が非常に過酷な労働条件であり、それは報酬だってそんなに高くありません。それから、本当に当直なんかもひどい当直で、当直したら翌日休みではなく、当直したら翌朝からずっと外来に出ないといけないといった、したがって、例えば産科小児科なんかも、それともう一つ女性の医師の比率が増えている、その女性が自分が出産するときには、その間ブランクがあるといった、いろんな理由があります。それとそういう厚生労働行政のいままでのものの見直すべきは見直さないといけないと思います。やっぱり一つ豊かな社会をもって、私はユーザーとして、医療サービスのユーザーとして考えるときと、サプライヤーとして提供、医者の立場で違うのは、真夜中にたたき起こされるような仕事は嫌だとなると、真夜中に陣痛がくる産婦人科は嫌だとか、子どもが高熱を真夜中に出して小児科は嫌だとか、こういうことが非常に原因になっている面もある。また、記者会見の時に申し上げましたが、福島県の大野病院のような例があれば、一生懸命やったのにお巡りさんに逮捕されるよというようなことで、医療ミスってことがあれば、これもまた問題ですから、いろんな複合的な要因が相互にあると思います。それで、これは医療だけの分野の問題ではなくて、例えば、自分に子供ができて、子供に教育をさせたい。それじゃ、へき地に行って医療をやるかというと、独身だったら良いんですけど、子供の学校を考えたら、やっぱり自分は都会にいたいとか、それは人間ですから、いろんなそういう理由もあるんで。これはいままでの医療行政、医師養成行政、これに対する答えは、ある程度この前の5月の対策で出しました。しかし、そこから先は社会全体のあり方の問題で、じゃあどこででも、いま公教育が崩壊しているってあるが、どこの公教育でもちゃんとやれるようになれば、地域でお医者さんをしながら、子育てをすることもできますよと、そういうことから含めて、何かあったらすぐ移動できるような交通体系、道路網をどうするんですか、新幹線網どうするんですか、そういう大きなところまで行き着く問題であるので、私はこういう問題を発端にして今の日本が抱えている、今私が申し上げた教育の問題とか、いろんなところに肉薄できていけばいいなと、そう意味では大きな転換点に立っている。その一つの象徴が医師不足だと思っている。これはしゃべりはじめると朝までこの話でしゃべるかもしれないので、とりあえず時間がないそうなので。
(了)