閣議後記者会見

H15.10.21(火)10:22~10:40 厚生労働省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日の閣議におきましての大臣発言は、内閣官房長官からテロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について、それから防衛庁長官からもやはりテロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について、それから外務大臣からもテロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更についての発言がありました。川口外務大臣からはもう一つ第15回アジア太平洋経済協力閣僚会議出席についての報告があり、中川経済産業大臣も第15回のAPEC閣僚会議への出席についてご報告があり、それから農林水産大臣から全国森林計画の策定についての報告がございました。閣議につきましては以上でございます。

その他

大臣:
ちょっと報告しておきたいことがございます。一つは、医師等が問題がありました時に、いわゆる医道審をやっております、医道審議会医道分科会というのがございまして、そこで何か今まで起訴されて、何か刑が確定した後、行政処分をやってまいりました。しかし、非常に季節外れと言いますか、もう非常に遅くなりましてからやっておりますケースがございまして、それではちょっといかがなものかというので、今回も東京慈恵会医科大学青戸病院医師三人が業務上過失致死罪によって逮捕された、10月のうちに起訴されると、こういうふうなことがおこっているわけで、今回の医道審議会、23日に行われる予定でございますが、ここにおきましては事故に関した医師の行政処分に関しまして、刑事罰の確定する前に処分する等のこともその中でご議論をいただきたいというふうに思っているところでございます。その旨事務局に指示したところでございます。いろいろご議論をいただきまして、その結論を待ちたいと思っておりますけれども、一応そういうことでご審議をいただきたいというふうに思っております。それが一つでございます。それからもう一つ、労働分野でワークシェアリングの問題でございますが、昨年来、鳴り物入りでやっていった割にはなかなか進まないというのが現実でございまして、これは経団連並びに連合にも熱心に議論を進めていただいているところでございますが、なかなか合意点に達し得ないということもございます。ワークシェアリングはあまり型にはまったものばかりを考えておりましてもいけませんので、様々な形態があるだろうというふうに思っておりますから、いろいろの形態のワークシェアリング、こういう形のものもいかがですかというようなことも厚生労働省としては例示を示しながら、そして出来るだけ取り組みやすい形にしたいと思っております。またその中で厚生労働省として、あるいはまた国として支援を出来るところはどういうことかということももう少しはっきりさせて取り組みやすい体制を整えたいというふうに思っております。厚生労働省及び各都道府県労働局にワークシェアリング推進本部を設置をしたいというふうに思います。それからこれはうちの中の話でございますが、職業安定行政と労働基準行政によりますところのワークシェアリングの導入促進の働きかけ、それは労働基準行政と職業安定行政一体となってやるということでございます。それから先程様々な角度と言いましたが、若年者、高齢者、教育訓練関連施設とワークシェアリングの組み合わせといったようなことも少し考えていきたいというふうに思っております。そういうことを少しやらせていただいて、少し前進が出来るようにしていきたいと思います。以上でございます。

質疑

記者:
医師の刑事処分前の行政処分ですが、これはいつまでに結論を出してほしいと。
大臣:
23日明後日に、ご議論をいただいて多分そんなに何回かおやりをいただかなくても結論は出るのではないかというふうに私は思っておりますけれども、出来れば23日に結論を出していただければありがたいというふうに思いますが、いやいや坂口さんそんな簡単なことでないよと、もう少し議論しなければいけないことだというふうに、そういうご意見が多ければ決して一遍だけということではなくて、少し今後の議論をしていただくということもあり得ますけれども、出来れば23日に結論を出していただければありがたいというふうに思ってます。
記者:
大臣としては、刑が確定するまでは本当にそれが罪状であるか分からないという原則に基づいておそらく今までは刑確定後に医道審が開かれていると思うのですが、その時期外れになってしまうことによってどういうデメリットが生じるので、検討してほしいとお考えになったのですか。
大臣:
例えば今回の件なんかで、もう問題点が明確になっている点が多いわけですね。
例えば慈恵会医科大学の場合におきましては臨床経験、3名いずれもが当該手術の経験がほとんどなくて、指導者の指導も仰いでいなかったというようなことが、あるいは輸血について十分な準備をしていなかったというようなことが、それから患者に対して十分な説明もしていなかった、それから学内の手続き、この治療方法に必要とされております大学内の倫理委員会の承認、患者への同意手続き等の事前の手続きを踏まずに行ったと、すでにこういうふうに明らかになっているケースでございます。裁判は裁判、それは別の話でございますが、こういうふうに行政上はっきりとしている場合におきましてはそれは行政処分というのはその結論をみてからでなくてもいいのではないかということでご議論をいただきたいというふうに思って。
記者:
今後こういう形は医道審は、刑確定後に開くということなのか、慈恵会医科大学の件に限ってということなのか。
大臣:
いえいえ、今後もありうる話でございますから、行政上はっきりした手落ちがもう明確だというようなものにつきましては、それは行政は行政としての判断をしなければならないというふうに思っております。
記者:
23日に例えば基準が出来て、そして23日の日に青戸病院の件も結論を出すというような、そこまではいかないわけですね。
大臣:
それはいわゆる基準の話だと思いますので、個別の案件は個別の案件としてまとめると考えております。
記者:
先ほどのワークシェアリングの推進本部についてなのですが、これはいつ立ち上げて、この推進本部は何をするのですか。
大臣:
大きいワークシェアリングの枠組みは、すでに出来ているわけでございますが、漠然とワークシェアリングというふうに言っておりますと、各企業におきましても、また労働組合におきましても、何か自分たちの持っている権益、あるいは損得勘定等が先に立ちましてなかなか進みにくい。それでワークシェアリングと一言で言いますけれども、中身はこういう形のものがいくつも考えられますというようなことを、そこで示して、そしてそれぞれの地域で、この企業、あるいはまた労働組合ともお話し合いをするということに、少し具体的にもう少し根を下ろさないといけないという事だというふうに思いますので、そういうふうにしていきたい。それを行った時に国の施策として、どういうふうな、例えば補助金を出すのかなんていうようなことは、こういうことになればこういうことがあるというようなことも、もう少し明確にしてお示しをする必要があるのではないかというふうに思っております。それから地域によりましては非常にサービス残業が多い、あるいはまた時間外労働が多いというような企業がございました。そういうような企業に対しましては、積極的にひとつワークシェアリングの導入を働きかけるということをしていきたいというふうに思っております。
記者:
その本部はいつ立ち上げるのでしょうか。
大臣:
一律にいつからということは、まだ決めておりませんけれども、出来るだけ早くそれぞれの地域において立ち上げてもらいたいというふうに思っておりますし、出来ればもう11月にはやりたいというふうに思ってます。
記者:
片方では企業業績の回復基調が出てきて、そういう意味では企業自体は底を脱したというような報道も見かけられるようになってきているのですけれども、あえてこういう時期にワークシェアリングの徹底と言いますか、より推進を求めるというのはどういうふうなことなのでしょうか。
大臣:
やっぱり全体で見ておりますと、かなりリストラが進んだ、リストラが進んだことによって、企業収益というものも上がってきているというような側面があると思うのですけれども、ただリストラが進んで残された従業員に対します仕事量が非常に増えてきている。だから時間外労働がまことにはすに上ってきてというような現実がありますので、そうしたことを少し解消していかないといけないというふうに思います。先般申し上げましたように、南関東におきましては帰宅時間が午後11時から朝の3時までの父親が2割あるというような状況でございますが、これは少し異常としかいいようがございません。したがって、そうしたところを改善をしなければいけない、経済が回復している時だからこそ、そこをしっかり言っておかなければ、経済が回復しておりますと、仕事量が増えるということでありますから、仕事量が増えればさらに労働者の条件が過重になるということも考えられますので、この際に明確にしておきたいというふうに思っております。
記者:
先ほどの医道審議会の話に戻るのですけれども、大臣のお考えでは、いわゆる刑事処分が確定する前でもという、医道審議会に乗せるのはそれ以前でもというお考えでしたけれども、あくまでも起訴を前提にしてとか、逮捕されていることを前提にするとかというようなこともなくて、民事訴訟もしくは病院が事実関係を会見で認めていると、事実関係を、それをもって行政上はっきりしたという言い方をするのでしょうか。
大臣:
そうですね、民事にしろ刑事にしろ、裁判は裁判、別のことだというふうに思いますが、行政上明確な過ちと申しますか、手落ちがあったというようなことがはっきりしておりましても、今までは裁判なりなんなりが済むまではせずにいたわけで、裁判は何年もかかりますから、そうすると全く忘れてしまった頃にやるというようなことになっておりまして、はたしてそれで行政上いいかという問題が、私はあるというふうに思います。何か起こりました時には、直ちにその時に、みんながこれはいかんというふうに思っている時に、体制の確立なりなんなりをしなければいけないと私は思う。そうしたことも踏まえて、ご議論をいただければというふうに思っております。
記者:
刑事手続きに乗る、乗らないというのは、それほどこだわらないということで。
大臣:
はい。
記者:
そうした場合に、刑事の確定前ということだと、現在民事裁判でも処分対象とするというようなことを検討しているのですけれども、そうした場合に厚生労働省として、こうした医師の処分をしなかったという医道分科会の審議内容を、もう少し透明化する必要があると思うのですが、その点については大臣はどうお考えでしょうか。
大臣:
今までからかなり明らかにしてきておりますし、いたしますから、これはこういう理由で行政処分を行いますということは、これははっきりさせなければいけないわけですから、はっきりさせたいと思っております。
記者:
処分を見送ったケースについてのことは。
大臣:
それは処分を見送った時には、こういう理由で見送ったということは明らかにしなければならない。
記者:
行政処分が刑事裁判が出る前に出ますと、刑事裁判の進行中に行政処分の期間が終わるということで吸収される可能性があるのですが、その点については。
大臣:
それはそういうこともあり得る。それは別に私は構わないと。
記者:
明らかに行政上の問題点があったというようなことは、本人達が起訴事実を、例えば認めているか、認めていないか、こういう点は特に関係ないと。認めていなくても、処分はあり得るという考えでよろしいでしょうか。
大臣:
そこのところの基準をまさしく、ここでご議論をいただきたいというふうに思っておりますが、しかし客観的な事実として、明らかに大学内なら大学内、病院内なら病院内で、もう明らかにしていることというのは、今までから明らかなケースもいくつもあるわけで、本人の先生方も、あるいはそれはもう間違ったということを認めている、そうした時には当然ひとつの内容は明らかになる。私はそれでご本人達も認めていることであればいいと、意見が割れて一方がそんなことはないと言いますし、一方はそうだと言いますというようなケースは裁判で決着をつけていただかなければならない。行政上の問題があるということが明確なケースについての話をしているわけです。

(了)