閣議後記者会見
H15.10.10(金)9:18~9:38 参議院議員食堂
広報室
会見の詳細
閣議について
- 大臣:
- 今日は閣議におきましては、国土交通大臣から社会資本整備重点計画につきましての報告がございました。それから農林水産大臣から、土地改良長期計画につきまして報告がございました。それから環境大臣から廃棄物処理施設の整備計画につきましての報告がございました。それから外務大臣から小泉内閣総理大臣の東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議等出席についてのお話がございました。閣僚発言は以上でございます。
その他
- 大臣:
- それから先日NHKのクローズアップ現代におきまして、SARSの問題を取り上げていただいた経緯もございますので、現在の研究の状況につきましてご報告を申し上げておきたいというふうに思います。SARSの緊急研究班におきますワクチン開発でございますが、これは日本の中におきましては不活化ワクチンの開発、これは国立感染症研究所グループ、ここがやっております。それからもう一つ、DNAワクチンの開発ということで、国立療養所近畿中央病院グループ、ここが中心になってやっていただいておりまして2ヵ所でワクチン開発が日本の中では進められております。この最初の方の国立感染症研究所グループの方は、カニクイザルを用いました感染実験のところに着手をいたしております。それから国立療養所近畿中央病院グループの方につきましては、動物コロナウイルスを用いた動物感染モデル系を開発中ということでございます。しかし、これらはいずれも早くて2,3年、実際に実用化になりますまでには遅ければ数年、早くて2,3年、そのくらいの年月がかかるということでございまして、どうも今年の冬には間に合いそうにございません。出来るだけひとつ早く研究を進めていただくように国の方としましてもお手伝いをすることはして、早く進めていただきたいと、こういうふうに思っております。それから先日申し上げました迅速検査キット、これは診断キットでございますが、これは民間会社とそれから感染症研究所、共同で検査キットのモデルを作成済みでございまして、これは15分から30分で診断可能でございます。比較的簡単で65度のインキュベータとプラスチックチューブがあれば検査可能ということでございました。蛍光によって判定をしまして、いわゆる定量診断を行うというものでございます。比較的簡単に出来ます。これはベトナムのフィールドスタディーの研究、ベトナムにおきますいろいろとそれを検討してもらった結果、感度、特異性、共に良好である、従来のPCR検査で陰性であったものも陽性と判定できるということで、かなり検査の感度は良好であるということがベトナムで検査をしてもらいましたところ、そこははっきりとしてまいりました。ベトナムからいろいろの検体を大量にすでに入手済みでございまして、今度は国内で検証をしたいというふうに思っているところでございます。もう今週になりますかね、香港の大学と共同で病気の初期の検体を用いて検証を行いたいというふうに思います。それからフランスのパスツール研究所と共同研究を調整中でございます。1ヵ月以内に目安が付きそうでございます。11月に発売申請を目指しているところでございます。海外にもいろいろなものがやられておりますが、時間的に日本の方が早いということ、そして簡単であるということで、しかも正確度からいきましても日本の物が非常に優れているという状況でございます。その他、治療法につきましても現在やられておりますが、日本の方は治療薬の開発に少し遅れが出ておりますので、治療薬の開発に日本の中の研究所、あるいは企業などにおきましても積極的にお取り組みをいただくように今要請をしているところでございまして、早くこれに着手をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。だいたい以上でございます。皆さんの方からございましたら。
質疑
- 記者:
- 今日いよいよ解散なのですが、現在のご心境をお聞かせ願いますか。
- 大臣:
- 心境でございますか、議員というのはいつかは期限が来るわけでございますし、特に衆議院の場合には解散ということがございまして、だいたい2年8ヶ月、3年までが平均寿命であると、こういわれておりますから、既に平均寿命は経過をしているわけでございますので、日々いかなることがあっても対応できるというので、そこはみんなで言い聞かせてきたところでございまして、私も自分自身にも言い聞かせてきたところでございます。したがいまして、解散ということになればいよいよ、満を持してと申しますか、国民の皆さん方にお訴えするべきところをお訴えをして、そして勝ち残っていく、ということが大事だというふうに思っているわけでございます。特に年金問題等重要な課題を抱えておりますだけに、この選挙戦に勝ち抜きまして、そして国民の皆さん方にご理解をいただける内容を是非作り上げたいと決意しているところでございます。
- 記者:
- 今日の閣議の中で、解散総選挙に関係するようなやりとりというのは、どんなことがあったのでしょうか。
- 大臣:
- それはございません。嵐の前の静けさというところでございましょうか。
- 記者:
- 選挙の争点については、国会のやりとりを見た限りでは、あるいは、昨日の会合での北側政調会長の発言を聞いても、どうも年金になりそうだということらしいのですが、大臣の認識もそれと同じと考えてよろしいでしょうか。
- 大臣:
- 年金だけではないとおもいますけれども、年金がひとつの大きな柱になることは間違いないというふうに思っております。その時に一番問題になりますのは、後世に負担をかけないようにどうするか、後世にだけ負担を押しつけることのない制度をどう作り上げるか、ということだろうというふうに思っております。したがいまして、現在年金をもらってお見えになります方、そしてこれから間もなくもらわれるであろう方々、そして現在保険料をお支払いをいただいて、将来お受けになる皆さん方との間の格差を出来るだけ縮めるということだろうと、そのことは年金だけにとどまりませんで、年金だけでなく、やはり保険料、税も含めて、後世にその負担を残さないようにどう構成をするかというとだろうというふうに思っております。したがいまして、他のどこかで無駄を省いて、そこで財源を作って、それでやるというのはそれは一見正しいように見えますけれども、それは一方で赤字国債を出して、国が負担をしていくわけでありますから、それは形を変えて後世に負担を残すことになります。現在のような赤字財政でありますから、赤字財政をどうしてそれを無くしていくか、ということが大事でありまして、そのためには年金といえども皆さん方にご負担をお願いをする、無駄を省いて出てまいりましたものは、それは現在毎年毎年出しております国債を少なくしていく、後世の負担を無くしていく、少なくしていくということにそれは使用すべき、そういうふうに私は割り切って考えていくべきだと思っております。そうしたことが私は、論点になるだろうと。
- 記者:
- その選挙戦なのですけれども、各党マニフェストという今回から出ていて、マニフェスト選挙といわれることもありますけれども、大臣ご自身としてはこのマニフェストを掲げて選挙を戦うこと、マニフェストを掲げることについて、どういうご感想を。
- 大臣:
- そうですね、今までも公約を掲げて来たわけでありますけれども、公約というのは、ややもいたしますと、スローガンになりがちでございます。その点マニフェストというのは、どういう財源を使って、いつまでにそれを行う、そしてそれがいかに整合性のあるものであるかをお示しをしなければならないということでございますから、全体像を示さなければならない。全体像を語ることなしに、一部だけを語って、ここはこういうふうにします、あそこはああいうふうにします、部分部分を語っていかに立派なことを言っても、それを全体に合わせた時に、それが整合性がなければならない。その整合性を明確に示すというところに、私はマニフェストの一番大事なところがあるというふうに思っている次第でございます。ですから、現在いろいろのマニフェストが出ておりますけれども、しかしそこが今見ております限りでは、非常に手薄でございまして、現在出ておりますものだけでは、これは本当のマニフェストとはまだ言い切れない。今までのスローガンに近いものもその中には含まれている。ここはもっと全体像として捉えて、そして全体として日本の国をどうしていくのかということを語らなければいけないというふうに、私は思っております。したがいまして、私も各地域におじゃまをすると思いますけれども、そうした観点から発言をしたいというふうに思っているところでございます。
- 記者:
- SARSに関連してですけれども、その検査キット、11月頃をメドに発売を開始したいということですが、その後は、例えば全国の空港ですとか、SARSの指定病院などに配布をしていくということになるのですか。
- 大臣:
- そうですね、それは個々にお買い上げをいただくのか、それともそのことは保険で認めていくようにするのか、あるいは国の方がある程度買い上げて、必要なところにそれを供給するのか、そうしたことまだちょっと具体的に詰めておりませんが、いずれにいたしましても、空港等で必要なところには早急にそこに行き渡るようにしたいというふうに思っております。
- 記者:
- SARSのことなのですが、11月に発売審査を出して、その後厚生労働省的に言いますと、発売許可を極めて早く出すというふうに理解をして。
- 大臣:
- そう理解をしていただいて結構でございます。早くしたいと思っております。
- ですから、それが出される前にこちらからお願いをしてでも、状況というものを聞かせていただく、書類は万端、それまでに整えておく、出していただきましたら、すぐにでもそれに対応出来るようにしてしておくということが大事だというふうに思っております。去年の状況を見てみますと、大体温度が10度を切りますと、大体発生していることが多いです。
- 記者:
- SARSがですか。インフルエンザではなくて。
- 大臣:
- SARSです。SARSの感染、大体10度以下くらいになってきますと、あちこちで発生して、各国で起こりましたいくつものピークがございますが、その図表をずっと眺めておりますと、やっぱり温度が10度というのが一つのポイントではないかというふうに私は思っております。ですから、温度が10度くらいまで下がってまいりますと、起こり得る可能性というのが非常に高まってくるように思いますので、10度を切る時期というのはもうすぐですから、ちょっとぼつぼつ警戒態勢に入らなければならない時がやってきている、そういうふうに思っております。
- 記者:
- 感染症法の改正案、今日成立しますけれども、この辺で国の権限も強くなると思うのですが、今後の対応というものをどういうふうにお考えでしょうか。
- 大臣:
- そうですね、一応国の権限も強化いたしますけれども、これは全て国でやるということではなくて、出来る限り都道府県にお願いをするということに変わりはありません。しかし、他府県にまたがりましたような時に、そうした時には国の方で決定すべきことは決定をして、早く都道府県に対応をしていただくということが大事だというふうに思っております。それぞれの地域におきましては、例えば保健所なら保健所で十分な人的な能力があるとはちょっと思えませんので、保健所が中心になってそれぞれの都道府県、それぞれの地域においてどういう手を打つか、自分の所で発生をしたら、どこに相談をして、どういうふうに手を打つかといったことを決めておくことが大事、そうした、その時その時の判断、マネジメントをするという能力をつけていただくということが大事だというふうに思っております。平素から、もし自分のところに起こったら、どこにまず連絡をし、どこと協議をして進めていくかということについて、普段からやはり考えていただいておくことが、大事だというふうに思っております。そうしたことにつきまして、都道府県に対して、保健所にそういうしっかりとした気持ちを持ってお取り決めいただくようにお願いをしていくつもりでございます。
(了)