坂口大臣厚生労働記者会挨拶

H15.09.22(月)13:31~13:54 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

挨拶

大臣:
厚生労働大臣を再び拝命することとなりました。気持ちを新たに再出発をさせていただきたいと思っております。先日、末期のお茶をいただいたところでございますが、再び皆さんにお世話になることになりましたので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。総理からはペーパーを頂きまして、一番やはり中心は、年金でございます。来年の国会に法案を提出できるように万全を期されたい、ということであります。私としましては、全力をあげたいというふうに考えております。また、医療、介護等の改革につきましても、引き続き検討されるよう、というふうに書いてございました。こちらの方につきましても全力をあげたいというふうに思っております。総理から頂いたペーパーには、そのほか、待機児童ゼロ作戦につきましても、これからであるので、一つさらに努力をしてほしいとありました。それから、もうひとつは、雇用問題について特に若年層の雇用、それから高齢者の雇用等々含めて、一つ対策をさらにすすめられたい、という内容でございました。これらにつきまして全力をあげたいというふうに思っておりますし、この中に書かれてはおりませんでしたけれども、やはり、今年の冬、SARSの問題が再び脚光を浴びることが必至と思っております。単なる伝染病の話としてではなくて、これによって、経済にも大きな打撃を与えることが考えられますので、予防のために全力をあげなければならないというふうに思っております。また、雇用の方におきましては、ワークシェアリングについてこの一年間ばかり、かなり議論をしてきたところでございますが、なかなか労使の考えが意見の一致をみるに至っておりませんで、今日を迎えております。大変残念に思っております。したがいまして、ワークシェアリングにつきましては、より積極的に労使の中に割って入って、そして、会合を考えていく、そうしなければ雇用の本格的な前進にならないと思っておりまして、全力をあげたいというふうに思っております。年金につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、もう少し、具体的に、どうしていくかということを突っこんで議論をしなければなりませんし、その年金制度そのものを、どういう形にするかということについても議論を深めなければならないというふうに思っております。各党のご意見をお聞きをしたいと思いますし、そしてまた、国民の皆様方の、ご意見をお聞きをして、出来る限り多くの方が納得をしていただける案にしなければいけないというふうに考えておるところでございます。年金の大きな考え方といたしましては、大きな考え方と申しますか、基本的な考え方といたしましては、ひとつはやはり、国民が選択の出来る年金制度というものを作り得るかどうか。お互いの助け合いでありますから、年金には共通して努力をしなければならないことは当然でございますけれども、それだけではなくて、さらにそれに選択が出来る幅を作ることができるかどうか、これからの年金制度にとって、大変大事なことではないかというふうに思っております。もう一つは、年金制度は、ある部分では、個人単位であり、ある部分では、世帯単位になっておりますが、全体として個人単位の年金制度にしていくということを、今後、どのようにすすめていくか、今後のスケジュールを含めて考えなければならないと思っております。その2つのことに加えて、もう一つ付け加えると、それは、世代間の均衡、そして、世代内における均衡、これは、所得の再配分を含めまして、どのように考えていくかということが、大事な点だというふうに思っております。したがいまして、今申し上げたように、選択、個人、均衡、こうした問題を、やはり中心としながら、考え方をを固めていきたいと思っているところでございます。その他、身体障害者を含めます、障害者の問題、あるいはまた、児童の問題、児童の問題と申しますか、児童年金の問題や、あるいはまた、保育所の待機児童ゼロ作戦の問題なども重要でございますし、もう一つ、やはり、最近血液問題が大きな課題になっておりまして、安全な輸血を確立するためにも、どうあるべきかということを、赤十字としっかり話をしていかなければいけないというふうに思っております。できれば、赤十字の方とトップ会談をもって、もう少しこの血液問題というのは、煮詰めをしていきたい、より安全な方向にどうすればいいかを、考えていきたいと思っているところでございます。また、赤十字と話をいたしますときには、輸血の問題だけではなくて、血液製剤だけの問題でなくて、この骨髄移植等の問題につきましても、赤十字にもう少し協力を求める体制が出来ないか、そうしたこともこれからやっていきたいというふうに思っているところでございます。以上、現在私の考えておりますところを申し述べたところでございます。

質疑

記者:
大臣、今選択と言われたのですが、どういうことなんでしょうか。
大臣:
年金は、お互いの助け合いの問題を制度にしたものでございますから、これは共通でそれは強制的にでもやっていかなければならない部分というものは、私は存在するというふうに思っております。しかしその共通項だけでくくるのではなくてその人その人が将来の人生設計をして、こうしたい、ああしたいという思いというは、私はあるというふうに思いますから、そうした個々の皆さん方の選択肢というものも、その中に私は含まれているのではないか、みんなが一から十まで同じスタイルの年金なのか、それとも部分的には選択の出来る制度なのかというところは、今後の大きな課題だというふうに思っております。私も具体的にここをこうしたいというところまで、まだ固まっておりませんけれども、全体としてはそうした考え方の下にまとめていきたいというふうに思っているところでございます。
記者:
改めてお伺いしますけれども、年金改革の厚生労働省案の発表については、スケジュールはどのように考えていらっしゃいますか。
大臣:
厚生労働省案は、出来るだけ早くまとめる方がいいというふうに思っております。ただしそこに政治日程が入りますから、その辺をどう割り切るかということにかかってまいります。政党の方はそれぞれの考え方を掲げて、選挙に臨むというふうに思いますが、しかし厚生労働省は厚生労働省としての考え方があってしかるべきでありますから、いわゆる総選挙を待って発表するか、それともその前に考え方は明らかにするか、その辺のところはいずれにいたしましても早く省内のまとめを行いまして、そしていずれの選択にするかはよくご相談をして決めたいというふうに思っております。
記者:
その辺について総理から特に何か言及がありましたか。今、年金が一番最初ということでしたが、具体的に会話として総理と何か。
大臣:
いやいや会話は何もございませんで、一枚紙をいただいて、その中に一番最初に年金が書いてあるということでございます。
記者:
国会に法案を出すように、というようなことは。
大臣:
そうですね、年金については信頼される制度を確立するため、本年中に改革案を取りまとめ、来年の通常国会に改正法案を提出されたい、こういうことであります。
記者:
骨髄移植で、日本赤十字に協力を求めるということをおっしゃいましたが、具体的にどういったことを考えられているのでしょうか。
大臣:
どこまで協力をして貰えるかなのですね。いわゆるドナーを集めるということについてだけ協力を求めるのか、もう少し深く関わってもらうように、お願いをするのか、その辺を決めなければならないというふうに思っております。現在まで、骨髄移植、あるいは臍帯血移植、そうしたことに対して、非常にボランティアとしてがんばっていただいた皆さん方がおみえでございますから、その皆さん方のご意見も少しお聞きをしないといけないというふうに思っております。現在、ご努力をいただいておりますけれども、財政的には非常に厳しい状況にあるわけでございまして、それが全て患者負担という形で重くのしかかっていることも事実でございますから、少しその辺のところを整理させていただいて、そして日本赤十字にもし引き受けていただけるとすれば、どの辺までお引き受けをしてもらった方がいいのかということの、けじめをひとつきちっとつけたいというふうに思っております。
記者:
輸血製剤とかに関しても、血液製剤に関して、例えば保険点数を上げるとか、そういう予算的なことも含めたトップ会談になるのでしょうか。
大臣:
保険点数の問題は、これは別、別と申しますか、これは厚生労働省自身が決めなければならない問題でございますから、それはそれとして、我々も努力をしなければならない点もございます。しかし、ドナーをどう集めるか、あるいはまた、普段から血液をどのように貯蔵を行い、そして必要な人がありました時には、その皆さん方に、それをどのようにお伝えをするかといったような様々な問題、仕事があるわけでありまして、これに関わっていただいている皆さま方もかなり多いわけでございます。その辺のところもございますので、支援をしてもらうとすれば、どの辺まで支援をしていただくことが可能なのか、あるいはまた現在おやりいただいている、ボランティアの皆さんがおやりいただいている仕事の中でも、もう少しこれは日本赤十字に委ねるべき問題があるのかどうかといったことについて、少し煮詰めをしなければいけないというふうに思っております。
記者:
大臣、トップ会談ということになりますと、非常に異例と、あんまり聞いたことないのですが、日本赤十字の社長の方には何らかの打診をされているのですか。
大臣:
まだ何もしてございません。受けていただけるかどうかも含めて、これから検討したいというふうに思いますが、こちらが申し入れをすれば、お話し合いは受けていただけるだろうというふうに思っております。また話が進むかどうかは、これは別問題でございますから分かりませんけれども、お話し合いを一度したいというふうに思っております。
記者:
血液製剤に関しては、例えば不活化をもっと急ぐようにとか、貯留保管をもう少し早めるようにとか、そういうことを大臣の方から社長に。
大臣:
そうしたことも含めて、やろうと言えば、日本赤十字の方もそれぞれの体制を組まなければならないわけでございますし、これはそれに必要な財源もかかるわけでございます。そうしたことを含めて、どういうふうにしていくかということを、十分話をしなければいけないというふうに思っております。
記者:
大臣、総理からのペーパーについて、先ほど4点ご紹介があったんですけれども、もう少し詳しく教えていただけませんか。
大臣:
年金については、信頼される制度を確立するため今年中に改革案をとりまとめ、来年の通常国会に改正法案を提出されたい。このため、これまでも検討が行われてきたが、高額所得者への年金支給のあり方、65歳支給開始年齢のあり方など、給付面の検討を行い、公平な負担と給付の関係について国民的な議論を深め、成案をとりまとめられたい。ここまで書いてあります。
記者:
あとの他の項目については、できれば。
大臣:
年金についてはそれだけです。介護、医療については、株式会社の参入、医薬品の販売拡大などの民間参入を拡大させる規制改革や、情報公開を進め、効率化を図るなど、国民の要望にしっかりと応えるとともに、制度改革に向けた検討を進められたい。これが2番目でございます。3番目は待機児童ゼロ作戦や幼保一元化に向けた取り組みを着実に進め、親の期待に応える子育て支援、少子化対策を率先して進められたい。4番目が、雇用対策については、サービス業の雇用拡大、ミスマッチの解消、若年者・中高年齢者対策の充実のため、各省との連携、地方との協力、民間の積極活用を進めるなど、実効性のある対策を進められたい。以上でございます。
記者:
おそらく、今の4点に関して大臣は必ずしも一致しないご意見をお持ちかもしれないと思うのですが、今日は特にそういった内容の話は。
大臣:
今日は具体的にお話をする機会はありませんので、ペーパーを貰ってきただけでありますが、外に出まして読みましたらこう書いてあったということです。
記者:
その内容については、個別の問題も含めて今後どのように取り組まれますか。例えば、医療とか医薬品の問題についてはこれまで慎重論を唱えられておられたこともありますけれども、具体的にどのように臨まれる方針なんでしょうか。
大臣:
医薬品の問題はですね、一応前回も総理の意見もお聞きをして決着したわけでございまして、今年の年末までにどこまで、どこで販売できるようにするかといったことを決めないとならないわけでありまして、現在、それを検討し進めているところでございます。これは年末までに明らかにしたいというふうに思っております。
記者:
大臣、年金のことですけれども、先日財務省の案が出まして、基礎年金の2分の1の引き上げなんかは決まってないと、安定財源を望むのが筋というようなことを言っているのですけれども、大臣になられて突破口、あるいは具体的にどうされていくか、何か抱負があったら。
大臣:
それはもう法律に書いてあるのですから。財務省がどう言おうとこう言おうと、それはもう法律に書いてあるわけで、決まるも決まらないもないわけで、国会が決めたことでありますから、我々はそれに忠実に従っていくというぐらいに、道筋はないと、そういうふうに思っております。
記者:
総理から、高額所得者及び支給開始年齢の問題ですけれども、総裁選でも、総理がテレビ等で、そういった発言がありましたが、大臣自身は今の段階で、この問題についてはどういう考えをお持ちですか。あるいは今後総理と、大臣試案を出されてから、ゆっくり総理と年金について話される機会がなかったと承知しているのですが、先ほど、選挙の前か後かという話も含めて、総理とゆっくり話をされる機会を持ちたいという考えをお持ちなのでしょうか。
大臣:
こちらの考え方はある程度まとめたところで総理にはよくお話をしなければいけないというふうに思っております。年金の開始年齢につきましては、現在65歳を目指して、基礎年金が進められており、2013年から今度は、厚生年金の方の年齢が引き上げられていくわけでありますから、それらが済みますのが2025年でございますので、私はそれは決められた通り粛々とやっていくことだろうというふうに思っております。しかし人によりましては、私は65歳からはいらないと、私はもう70でいいというような選択をする人があるとするならば、それはそれに応じられるようにしていいのではないかというふうに思っております。したがいまして、選択の中にはこの年齢も私は含まれてくるというふうに思っております。しかしそれは強制すべき問題ではなくて、ご本人が決定すべき問題だというふうに思っております。

(了)