閣議後記者会見概要
H15.06.24(火)9:52~10:15 厚生労働省記者会見場
広報室
会見の詳細
閣議について
- 大臣:
- 今日閣議におきましては、青少年の現状と施策につきまして、いわゆる青少年白書でございますが、鴻池国務大臣から、担当大臣から発言がございました。川口外務大臣のASEAN+3の外相会議につきまして報告がございました。
閣僚懇談会について
- 大臣:
- それから閣僚懇におきまして、10月1日に設立されます独立行政法人の中期計画及び中期目標の策定につきまして、石原行政改革担当大臣から発言がございました。今日は以上3点でございます。今日は以上でございます。
質疑
- 記者:
- 骨太方針なのですが、自民党内でいろいろ批判も出ているようですけれど、去年は自民党が了承しない中で閣議決定という形になったのですが、どういった形が望ましいと思われますか。
- 大臣:
- 合意をされて決着できることが、最も望ましいというふうに思っております。それから骨太方針の中では、こちらが一番関係しますところは、年金の問題が一番関係していたわけでございますが、最初の年金につきましては、いわゆる平成16年度の改革改正に焦点を当てて、どのようにするかということで、支給年齢の問題でございますとか、いろいろなことが書かれていると、その来年度に焦点を当てましたところからは年金の問題は削られる、ただし、今後の課題として、中長期的課題といたしまして、年金の問題につきましては、将来の生涯現役社会を展望した支給開始年齢のあり方について、雇用と年金の連携を考慮しつつ検討を行うこと、こういうことで将来の問題として入っていくということでございます。将来的な問題として我々も考えていかなければならないというふうに思っております。来年の改革はそうしたことも念頭に置きながらではございますけれども、あらゆる方面から今後を睨んで改正案を作らなければいけないというふうに思っております。
- 記者:
- 予算委員会での大臣のご答弁の真意が図りかねますので、教えていただきたいのですが、勤労者施設の安売りについての質問があって、大臣の方から見直すという方向があるということでよろしいのでしょうか。
- 大臣:
- 施設につきまして、基本的に整理をしておかなければならないのは、例えばスポーツ施設でありますとか、あるいは様々な文化活動をするような施設でありますとか、といったようなものは、あれは一般の雇用保険から出ているものではありません。昨日の質問者も若干違っていたように思います。あれは一般の従業員の皆さん方が出していただいている雇用保険から出ているものではなくて、経営者側が出していただいております部門からの財源でございます。そして、とりわけ中小企業、大きい企業はそれぞれの施設を持っているわけですが、中小企業の中に勤めておみえになります皆さん方が、それぞれの地域で利用できるようにという趣旨でできたものでございます。したがいまして、そのスポーツ施設にしろ、あるいはまた、文化施設にいたしましても、そうしたものがこれからも従業員の皆さん方と申しますか、勤労者の皆さん方がこれからも引き続いて利用できるということが一番中心でなければならない、そのことを中心にして考えていかなければならないと、こういうふうに思っております。ただし、平成17年度までにそうした国が持っておりますものにつきましては、全体に地方に移譲するようになっておりますし、いたします。それから土地はほとんどは市町村がお持ちでございますから、市町村にお渡しするのが一番良いというふうに思っております。国の方が高く売れば、それは国の方は楽ですけれども、その代わり市町村が厳しくなる、そこを一体どう考えるかということでございます。国民の側から見ればどちらも出しているわけでありますから、どちらがプラスか、どちらが損かという話だというふうに私は思っておりますが、国は今まで一応、企業の経営者が出していただく雇用保険の中から作った物であれば、その雇用保険のことも考えて、そしてそれなりの評価される額で売るべきだというご趣旨はそれは私も謙虚にそういうふうに受けなければならないというふうに思っております。ですから、あまり千円とか一万円とかというのは安すぎるということで、最近は全体にもう少し適正な価格にするように、今それぞれやり直しをいたしている最中でございます。しかしやり直しをしている最中でございますが、今年の2月からこちらへ経過的な措置として、その頃にもうすでにもう話し合いが出来上がっていたものもあるものでございますから、それはそれなりに処理をされたことだろうというふうに思っております。残るものにつきまして、一度ストップして、そして考え直せということでございましたので、考え直すことは私は簡単なことで、ストップするのならしますよと、ただしストップしたからといって、後が上手くいくというわけのものでは無いわけですから、ここは十分いろいろのことを考えてやらせていただかなければならないというふうに思っております。もう一度、どういう基準で地方に委ねるかということを考え直したいというふうに思っております。ただし、昨日も申し上げましたけれども、中期的に見ればこれから先、その修繕費等も含めてかなり長くここに投入をしなければならないことは事実でございまして、売ります時の価格が若干安くても、これから先、市町村はかなりの額をここに投入をしていただかなければならないことは間違いないというふうに思っております。そういう面で若干安くても、これから先、国が投入をしなくても済むということを考えに入れれば、そうしたことも念頭において売り渡しというものは今までは考えられてきたというふうに私は理解をいたしております。しかし、そうはいうけれども、それはそれとしながらも、しかし売り渡す時にもう少し高く売れというお話であれば、それはひとつそのご意見も私達は決して無謀な意見だとか、そういうことは思っておりませんで、それなりに配慮しなければいけないご意見だというふうに思っている次第でございます。
- 記者:
- 骨太の話なのですけれども、例の潜在的国民負担率という言葉と50パーセントという言葉は、修正案の中でも言葉としては消えていないようなのですが、何度もお伺いして恐縮なのですが、結局残るという方向で調整しているという点についてお考えをお聞かせいただきたいのですが。
- 大臣:
- 国民負担率という言葉であるにしろ、あるいは潜在的国民負担率という言葉であるにしろ、それは私は一つの目標値として存在すること自体を私は否定をしたり、それはけしからんというふうに言うつもりはございません。あって良いというふうに私は思いますけれども、しかし、そういう潜在的国民負担率ということを論じます以上は一番肝心要の財政をこれからどうしていくかということを議論すること無しに、社会保障にだけ潜在的国民負担率50パーセントという枠を被せることは、これは一方的ではありませんかと、それは潜在的国民負担率という言葉の趣旨にも反するのではありませんか、ということを私は申し上げているわけでありまして、今後の財政再建、あるいはまた、財政再建の中には税制改革も含まれるであろうと思いますし、あるいはまた様々な無駄の排除ということもあるだろうというふうに思いますが、これからどう再建をしていくのか、という中で潜在的国民負担率というものは論じられるべきものである、そのことを横においておいて、そして社会保障の問題だけにそのことを当てるというのは、それは少し暴論といわれてもやむを得ないのではないのですか、ということを私は申し上げているわけで。
- 記者:
- 施設の話に戻ってしまいますが、見直しというふうにおっしゃっていましたが、今現在で方向性が決まっているのがあればお話願いたいのですけれども。
- 大臣:
- 何も決まっておりません。良い方向というのがあるかどうかです。土地は市町村のものですから、話がまとまらなければ更地にして返せという話になるだろうと思います。そうすると、今度は更地にするには今建っているものを排除するお金がまたいるわけでありまして、10万円や20万円では済まないという話になってくるわけでありまして、そうしたことも含めて一体どうするかと、指摘される方も国の方の財政というものをよく考えてやれ、ということをおっしゃっているのであろうと思いますから、そのことを我々も念頭においてやらないといけないというふうに思っております。
- 記者:
- また骨太の話に戻ってしまって恐縮なのですけれども、最終的には、例えばという例示の形で盛り込まれる、潜在的国民負担率の形で盛り込まれるようなんですが、それについて2004年の年金改革に向けて厚生労働省としては、例えばと例示されたものをどのように年金改革に反映させていくのでしょうか。
- 大臣:
- ですから年金改革のことを考える場合にも、国民負担率というものをひとつの目標にすればかなりの制限をされることは間違いがありません。問題は国民負担率なり潜在的国民負担率という言葉を使うかどうかというのが、まずあるわけです。使うのはやむを得ないでしょうと、それで使ったあとその次にそれを50パーセント程度というふうに区切ることがいいかどうかの話があるわけです。今回も初め50パーセントになっておりましたけれども、段々と表現は和らげられて、例えば潜在的国民負担率を見てその目途を50パーセント程度としつつ、政府の規模の上昇を抑制する、とこういう表現に今なってきている。ですから、かなりアバウトにはなってきてはおりますけれども、しかし50パーセントという言葉が入っている。それで潜在的国民負担率ですから、これから赤字国債をどんどん続けていけば、それだけでもどんどん50パーセントに近づいていくわけです。ですから年金は全然これ以上上げられない、下げる一方にしなければならないという話になってくる。それはしかし、許される話ではないと思っております。したがいまして、ここは国民の皆さん方が多少の保険料の上昇があったとしても、年金は守るべきであるというふうな意思をお持ちであるかどうかということに私はかかってくるというふうに思ってます。また、国の方は、政府の方はそうしたことを国民の皆さん方の意思というものを尊重をして、やはりこうあるべきではないかということを示すべきだと私は思うのです。その辺のところを、ただ潜在的国民負担率50パーセントありきで、そしてそのことを守るためには全てを犠牲にしなければならないということは、それは少し違うのではないですか、犠牲にすべきところ、いわゆる改善をすべきところ、それを明確にしながら将来日本の国として守っていかなければならない点は何かというところに焦点を当ててやっていくべきではないかというふうに私は思っております。したがいまして、厚生労働省としては、いろいろ改革しなければならない点はあるでしょう、規制改革もあるでしょう、その他の構造改革もあるでしょう、しかしそうしたものを行いながらも、守らなければならないものは何かということをきちんと国民に示していかなければ、政治としての役割を果たすことは出来ないのではないかというふうに思っております。したがいまして、厚生労働省としましての、今までの年金のあり方を幅広く考えて、こういういろいろの行き方がありますと、今年いっぱい議論して下さいということお示しをして、今年いっぱい議論をしていただくようにしているわけでございますが、そろそろ厚生労働省としてはこのように考えるという考え方を示さなければならない時が来ていると私は思っております。したがいまして、8月の来年度予算の大枠が決まりますまでに、厚生労働省が将来考える年金像、大体こういう範囲の中で我々はやっていくべきだというふうに思うという案をお示しをしたいというふうに思っております。そうしないといろいろの税制面からも、あるいは財政面からも削るべきものはどんどん削れみたいな話になってくる、いかに小さくなっても構わないような、そういう話になってまいりまして、国民の皆さん方に非常に大きな不安を与えているというふうに思いますので、国民の皆さん方に与えている不安を払拭をしなければいけないというふうに今思っているところでございます。
- 記者:
- 今の点については厚生労働省案は今年の秋頃までに出すという予定だったと思うのですが、それを前倒しされるということですか。
- 大臣:
- そうですね、もう少し前倒ししたいと思います。今申しましたことは、制度としてこういう制度を目指していきますという形にするのか、それとも保険料率の上限はここまでに少なくとも留める、そして今度は給付率は少なくともここまではするといったような、ひとつの数値目標のようなものを出して、それを実現していきますためには、これからの少子化がどんな状況になるか、あるいは経済状況がどうなるかということによって影響を受けると思いますから、その影響が最も大きかった時、少なかった時そうしたことを念頭におきながら保険料率の上限、給付を受けるところの給付の下限、そこを明確にして、そこですき間が出来れば、足らなければ国庫負担としてどれだけそこに導入が必要になるのかといったことも明らかにしておかなければならない。しかし厚生労働省としては、少なくともこれぐらいの年金は将来共に、若い人たちにも確保していくということが大事だというふうに考えているということを示したいというふうに思っております。
(了)