閣議後記者会見概要

H15.05.27(火)9:30~9:53 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日の閣議は、防災担当大臣から宮城県沖を震源とする地震についての報告がございました。もう一つは、防災白書につきまして防災担当大臣から報告がございました。あとは、財務大臣から平成14年度末現在の対外の貸借及び同年中の国際収支についての報告がありました。外務大臣から小泉総理大臣の米国、エジプト及びサウジアラビア訪問についての報告、外相についてG8外相会議出席についての報告、アルジェリアにおける地震災害に対する緊急無償資金協力についての報告がございました。閣議の方は以上でございます。

その他

大臣:
皆さん方のお手元にもお渡ししたと思いますが、若年者の自立支援プランにつきましてとりまとめを行ったところでございます。これまで若年者対策としてインターンシップの推進でありますとか、あるいはトライアル雇用の実施など色々な取り組みをしてまいりましたが、若年者を取り巻きます経済社会の急激な構造変化に対応いたしますために、対策の更なる充実強化を目指していきたいというふうに思っている次第でございます。今般、この関係4大臣で検討中の若年者対策の枠組みにつきましては、こうした構造変化に対応した教育、人材育成、雇用システム全般にまたがる改革を行う必要がございまして、私としては雇用能力開発関係施策につきましては、次のような若年者自立支援プランを提案したいというふうに考えております。詳しくはお手元にございますが、一つは学生、生徒が職業上の目標を立てられるように、すなわち学生の時代から職業意識というものをどう持ってもらうかということを、これは考えていかなければいけない。もう一つは、学卒者がフリーターや無業者となることをどう防止するかということだと思います。フリーターになっている皆さん方の中には、他に目的があって、そして一時的な収入をそれで得るという方も中にはお見えでございます。他に夢を持っているという方もお見えでございますから、フリーターが必ずしも全部が悪いというふうに言い切れないというふうに思いますけれども、しかし大半の皆さんは常用雇用に移行したいというふうにお思いでありますので、フリーターの人ですとかあるいは無業者となることをどう防止するかということ、それから現在もフリーターになっている方、あるいは現在職が得られないでいる方、そういう人達に早く職業意識を持っていただいて、職に就いていただけるようにどうするか、この三本立ての考え方を平行してどう実行するかということだろうというふうに思っておりまして、一つは文部科学省とどうタイアップをしていくか、もう一つは経済産業省とどうタイアップをしていくか、その辺のところのタイアップの仕方が大事だというふうにも思っているところでございます。皆さんのお手元にあります中で一番中心になりますのは、企業の皆さんに協力をしていただかなければなりませんが、企業実習と教育訓練を組み合わせて、例えば一週間のうちで3日働いて3日教育をするとか、あるいは午前中働いて午後教育を受けるとか、そうした教育とそれから実践等を組み合わせた形で進むというような時期をひとつ作って、そしてその企業に採用されれば一番良いし、その企業でなくても他の企業に就職できるような体制を作ることが出来ないか、こうしたことを考えながら他のことも組み合わせてやっていきたいというふうに思っているところでございます。詳しくはお配りいたしました内容をひとつご覧いただければ幸いでございます。

質疑

記者:
国と地方の問題なのですが、中央省庁が権限の委譲だとか、補助金の削減に消極的だという意見が出ているのですが、大臣は地方分権改革推進会議が求めるような大幅な地方への権限委譲とか、補助金の削減についてどのような意見があるのかお聞かせいただきませんか。
大臣:
地方分権というのは小泉内閣の一つの大きな柱ですから、これはもうやりきるということ以外に無いというふうに思ってます。それは権限を委譲するのですから、権限を委譲したら国の方の権限がなくなるということですから、それは抵抗するでしょう。だけどいつまでもそういうことを言っていてはいけませんので、それぞれの地域で責任を持って、そしてまたそれぞれの地域が競争しながら新しい考え方を作り出していただく。その地域に合った対策を立てていただくということは大事なことでありますから、これはもう前進あるのみ、ただ前進のスピードをどうするかということだけが残されているというふうに思っております。それからなんですかね、財政ですか。
記者:
補助金ですね。
大臣:
補助金という形は、これは国が権限を握っていてコントロールをするという臭いが非常に強いですから、地方分権ということをやってしまうということは、やはりそれぞれの地方に財源もお渡しをするということにしなければいけませんし、財源をお渡しするというのも本当はいけないので、最初から財源が地方に入るようにするというのが一番良いのだろうというふうに思います。そういう形にしていくのが本当の地方分権だというふうに思ってます。したがって、補助金というのは真に中途半端な存在であるというのを言わざるを得ません。
記者:
例えば具体論になると、保育所の問題などがあるかと思いますが、以前会見で大臣は幼保一元化に非常に慎重にというご発言をされたと思うのですが。
大臣:
これは、もう筋道が出来上がったものについては、もう地方で私は良いと思うのですが、今、国が主導権を持って全国的に拡大をしていかなければならない、あるいは質を上げなければならない、そうした問題についてはある程度出来上がったら渡すということでないとなかなか進まないということがありますから、一応リードだけはすると、向かい水は国が行うと、後は委ねると、そういう姿勢が大事であると思うのですね。少子化対策というのは確かに地方でのそれぞれの問題もございますが、国自身がやはりリードしてやらないとできないこともありますので、現在少子化対策に関わりますところはスタートしたばかりでございますから、ここはある程度リードをしておいて、そして地方に将来委ねるというのがいいのではないかというふうに私は思っております。現在のところは、まだ緒についたところですから、もう少し国がリードしないと途中で立ち消えになってしまう可能性があるというふうに思います。
記者:
SARSの問題で、風評被害等を受けた一部地元が支援をして欲しい、あるいは補償をして欲しいというような要望を出す動きが出てきているのですが、その件に関して何か進展はございましたでしょうか。
大臣:
今のところまだ進展するというところまでいっておりませんが、どういうご要望があるかということをよくちょっと聞かないといけないと思います。それは個人的なと申しますか、一企業、例えばホテルですとか飲食業をおやりになっているところでありますとか、そういうところのご意見というのもあると思いますし、それからその地域全体で非常に旅行者が少なくなったという様な問題もあるのだろうというふうに思いますので、その辺よくお聞きをして関係省庁とも検討したいというふうに思います。
記者:
SARSの問題に絡んで、ハクビシンですとか、タヌキからSARSコロナウイルスの類似のウイルスが見つかったということもあって、輸入の自粛を要請しているのですが、これまでに輸入動物についての規制というのは無くて、先だってペストが見つかったプレーリードッグを輸入禁止措置するというような、そのような対応なのですが、輸入動物についての規制については大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。
大臣:
ハクビシンというのは私知らなかったのですが、ハクビシンの中から、現在流行っているコロナウイルスとよく似たウイルス、同様なウイルスと言った方がいいのでしょうか、発見されたということでありますから、もしそれが事実でありますならば、これは注意しないといけない。ですから日本に入っておりますものからそれが出ないとも限らないわけでありますから、よくそこは注意しないといけませんので、日本にそんなタヌキが何匹いるのかよくちょっと分かりませんけれども、一遍ちょっと調べないといけないというふうに思ってます。
記者:
省庁がまたがってしまっていて、なかなか環境省ですとか輸入の統計は財務省に聞かないと分からないですとか、感染症法で縛ろうとすると厚生労働省ということになって、狭間に落ちてしまっているみたいな部分があるのですが。
大臣:
リーダーシップをとってやらせていただきます。
記者:
明日、経済財政諮問会議で骨太の議論をかなり目次も出してやると思うのですけれども、その中で先程の国、地方の問題の他に年金医療なんかもかなり時間を割くのではないかと言われてますが、大臣はどのようなご意見をおっしゃるつもりですか、例えば国民負担の問題ですとか。
大臣:
医療は一応片づきましたね。あとは年金でしょうね。年金は、あとどういう形にするか、形にするかといいますのは、今後の年金のスタイルとして現在の延長線上で考えるのか、あるいは骨格に係わるところからもう一度少し見直しを行うのか、といったことだろうというふうに思うのです。しかしどういうスタイルにするにいたしましても、その前に年金というものを堅持をするという社会が必要なのか、それとも年金というものをそう重視をしないのか、というその哲学論争を少しやらないといけないと私は思ってます。経済だけのことを考える人は、とにかく現在の保険料が少なければ少ないほどやりやすいと、こういう考え方でございますけれども、それはあまりちょっと短絡過ぎるのではないかと私は思っております。現在は多少負担はあるかもしれませんけれども、それだったら年金が経済を支えている力と申しますか、そこも考えないといけないわけで、将来もし高齢者が増え、そして年金の額が少なくなっていくということになっていけば、高齢者が消費をするということはさらに減少していくわけでありますから、そうなりましたらそのことが経済にどう影響するかということも考えないといけない。ただ、現在の保険料の多い少ないだけで物事を判断をする、そしてまた年金というのは人生のどういう設計をするかということにつながるわけでありますので、人生設計をみんながどうするかということに関わってくる話でありますから、そう軽々に途中で止めました、始めましたというのではいけない。やはり継続性がなければいけないというふうに私は思っております。先途メールマガジンにも書きましたけれども、仕送り社会を実現をするのか、それとも年金社会を継続するのか、そのいずれを選ぶのかということだろうと思っております。仕送り社会になりましたら、仕送りする先も子供が少ないですから両方の親もとに、ひょっとしたら4人仕送りをしなければならないかもしれないし、おじいちゃん、おばあちゃんも生きているかもわからないし、うっかりすると6人も8人も仕送りしなければならないことになって、若い皆さんもなかなか消費にものが回らないし、仕送りしてもらう方も十分な仕送りではないわけでありますから、ぎりぎりいっぱいで生活をしなければならないしと、そういう社会になったら私は大変惨めな社会になってしまうのではないか、やはり景気が低迷をいたしましても、今みんなが悠々自適をしておりますのはこれは年金が充実しているからだと私は思います。そういう意味で私は年金の重要さというものをもう少し大きな目で見る必要があるというふうに思っております。そうしたことをあえてまた申し上げるつもりでおりますが。
記者:
それに関連してですね、各省経済財政諮問会議の中で国民負担率50パーセントという、とくに潜在的国民負担率を50パーセントに規制するという方向がかなり強いですがそれについては大臣のお考えは。
大臣:
負担をすること無しに年金も医療もないわけですから、負担はしなければならないと思います。あとは効率的にそれをどう使うかということだと思います。むしろそれをこれから効率的にそれをどう使うかということを考えなければいけないのであって、私はこういう高齢化社会の時代ですから、50パーセントを1パーセントでも超えたら駄目だという考え方は私はどうかと思います。ひとつの目安ではありますけれども、しかし何が何でも50パーセント以下にしなければならないという話ではない。その前に何を節減をし、何を留意をしていくかということを決めないといけないというふうに思ってます。その中で、今度は保険料に全て頼るということになれば、その保険料の負担が重過ぎるということがあれば、あるいはそれは税制で行って、税制でそこは補っていくという考え方もあるわけでありますから、その割り振りの問題になってくるというふうに思っております。
記者:
昨日障害者の団体とお会いになったと、障害者の検討会がスタートしましたけれども、今日この後介護保険についての見直しも始まるのですが、改めて今後の介護保険、それから障害者政策の将来の統合についての大臣の考え方とあと介護保険の二十歳への対象年齢拡大についてまとめてお願いします。
大臣:
障害者の皆さんは現在のところ、介護保険でやっていくということに対してはかなり抵抗をお持ちになってお見えになりますね。これは皆さん方のご意見というものも尊重していかなければならないというふうに思います。しかし全国規模で障害者に対する政策というものが充実していくようになりますと、この障害者に対する財政的な面での負担というのはかなり大きくなっていくことも事実でございます。その時に障害者に対する財政負担というものを、現在の一般財源から投入するということだけで、それが維持出来るかどうかということなのであろうと思うのです。その辺のところをこれから1年ないし2年かけてじっくりと皆さんともお話をして、そして合意を得ていく必要があるというふうに思います。ですから、今のところ介護保険に一本化するとか、しないとかというようなことをまだ言える段階ではないというふうに思っております。もう少しいろいろの議論をしてそこは決めないといけないというふうに思っているところです。介護保険の方だけを見ましてもかなり保険料が上がってまいりましたが、しかしその分今度はサービスの方は充実してきましたから、当然財政的にもそれは負担になるわけでありますから、その兼ね合いをどうするかということだろうと思います。今後は障害者との問題もございますが、介護保険と医療保険との関係を今のままにするのか、それとももう少し見直しをするのかといったこともあると思います。そんなことを総合的に少し考えていかないといけないのではないかというふうに思っております。
記者:
二十歳の関係につきましては。
大臣:
ですからそうした議論の中で、この問題は起こってくるわけでありますから、将来そうしたことが議題になることがあるかもしれませんけれども、現在の段階で、まだ30歳にします、20歳にしますという話まで議論はまだ煮詰まっていないし、もう少し医療保険や障害者の問題をどうけじめをつけていくかという、そうしたことも考えないといけませんから、大枠をもう少し議論をする時期だというふうに思ってます。

(了)