閣議後記者会見概要
H15.04.18(金)8:41~8:58 参議院議員食堂
広報室
会見の詳細
閣議について
- 大臣:
- 今日は閣議の方は、農林水産大臣から平成14年度森林・林業白書につきましてのご報告がございました。これ一件だけでございます。
質疑
- 記者:
- 昨日在外被爆者の方が大臣に面会されて要望されたということがありましたけれども、話の中でブラジルから大臣に会おうとして日本に向かっている機内の中で倒れられた75歳の方がいらっしゃると、ああいうお話を聞くとやっぱりかなり今、厚生労働省が手当の受給の前提条件にしている国内に転帰してくれという条件が厳しいんではないかという感じは受けるんですけど、その辺大臣検討されるというお話を約束されたということなんですけど、昨日要望を受けてどのような点を検討されているのですか。
- 大臣:
- 現在の法律でいきますと、いっぺん来てもらう以外ないんですね。ですから現在の法律で考えれば色々の事情はあるとは思いますけれども、最初の一回は日本にお越しをいただく以外に無いというふうに思います。日本にお越しをいただく時には、ご病気の方でありましたら付き添いの方の旅行費と申しますか、飛行機代を含めて宿泊代等も含めてお出しをする、現在のところはそれが精一杯かなというふうに思っています。
- 記者:
- 先日開催された経済財政諮問会議で財務省や経済産業省の方から年金改革案について示されているわけですけれども、こういった案についてどのような御所見をお持ちでしょうか。
- 大臣:
- 年金についてはですね、あの経済財政諮問会議でも様々な議論が出ているところではございますけれども、私たちの基本的な考え方というものを明確にしていかなくてはならないというふうに思っております。これは厚生労働省としての意見がまだ正式にまとまったというわけでありませんけれども、私の考え方としまして、基本的な年金改革に対する基本的な改革、4項目ほどまとめて、一つは次の世代、次世代も安心できる年金を構築するために負担率・給付額ともに上限を設ける。それから二番目に、人生設計が急変することがないように、段階的な改革を行う。三番目に負担と給付の世代間格差を解消する為に国庫負担の増額に国民的合意を求める。それから四番目に財政再建の遂行にとって年金負担は重荷ではあるが、結果的にはプラス要因になるという考え方。この基本的考え方で今後とも経済財政諮問会議、その他のところで折衝をしたいとそういうふうに思っております。
- 記者:
- 今の関係でですね、年金負担は重荷ではあるが結果ではプラス要因というお話なんですが、内閣府の方からは潜在的国民負担率に関して50パーセント程度に留めると言うような内容の案が出されているわけですけれども、この50パーセントという数字について。
- 大臣:
- 国民負担率といいますときに、本当にそのときの税及び保険料そうしたものの負担率にだけとどまるものと、それからいわゆる赤字国債も含めたものと両方あるわけでありますから、先日の経済財政諮問会議では赤字国債も含めているわけなんです。赤字国債も含めると言うことになれば、今後の財政再建というものを一体どういうふうにしていくのかということも明らかにしなければいけない。それをせずに、赤字国債が出たからそれも含めた国民負担率でもって社会保障の将来に対して制限を加えるというのは、少し違うんではないかと私は思っております。赤字国債はどういうふうにして今後無くしていくのか、そのプログラムがなければなりませんし、将来もずっと今の赤字国債を残していくのかどうかいったようなこと、そこを明確にせずに全てのしわ寄せを社会保障に持ってくるというのはそれは少しお門違いではないかと私は思っております。
- 記者:
- 今の四項目の中の意味の考え方なんですけども、一つ目におっしゃった給付額についての上限を設けるっていうのは今まであんまり言われてない論点だと思うんですが。
- 大臣:
- そうですね、これは私自身の考え方ですから未だ厚生労働省の中でもまだ少し固まってません。これは、負担の方はそれぞれ所得に応じてお願いをします、しかしこれも若い人たちの負担があまり大きくなり過ぎるといけませんから、上限設けて例えば20パーセントなら20パーセントを上限としますよ。それから貰います方の給付の額につきましても、それじゃあその高額所得者の人がどんどんどこまででも貰えるかと言うことになればやはりここにも限界がある。世代間の均衡を図るとともに、同世代におきましても高額所得の人と低額所得の人との間の若干の均衡を図る必要がある、というのが私の考え方でございます。
- 記者:
- 三点目の国庫負担の増額と言うのは三分の一から二分の一ということですか、それとももっと別の増額という意味ですか。
- 大臣:
- それは言わずもがな、決定されていることでありまして、それでやらなきゃいけないと言うことですけども、ずっと将来のことを考えますといわゆる保険料でもって賄うということが段々と難しい時代が来るだろう、それは20年先、30年先の話になりますけど。段々と少子高齢化が進んで現在のような少子化がそのまま残るとすれば、これは負担をする側の人間と給付を受ける側の人間との割合が現在とはうんと変わってくるわけですから、そうなりますと保険料だけで賄うということはなかなか難しくなって、保険料にも上限を設けて若い人の負担と上限を設けざるを得ない。そうなってまいりますと、現在の若い人たちにもそれなりの年金を維持をしようということになれば、国庫負担の中からさらに年金に投入して貰わざるを得ない、そのことに対する理解が、国民的合意が必要だという。だから国民の皆様方が年金についてはこれはひとつみんなで支えていこう、現在の人たちだけではなくて、次世代あるいは次々世代のみなさん方についても年金だけはしっかり支えていこうというふうに皆さんが合意をして頂けるかどうかということだと思いますけれども。私はその合意を得るように努力をすべきだという考え方に立っているということでございます。
- 記者:
- それは三分の一から二分の一ということ以上に、二分の一以上に国庫負担を入れる必要も将来的には。
- 大臣:
- 将来的には生じるかと。うんと先の話をしているわけで、うんと先の話。だからそうしたことも念頭において年金改革というものを行わないと、若い人たちが喜んで参加をして頂ける年金制度にならないと私は思います。現在の状況を見ておりますと、年金生活で、年金で生活をしておられる方が大半であります。人生設計の中に将来は年金で生活をするということが組み込まれている。そして少なくとも子供達あるいは孫達からいわゆる仕送りを受けて生活をしているという人は非常に少ない、ほとんど無いと言ってもいいぐらいだと。これがもし仮に、年金を段々と小さなものにしていくということになれば、将来子供の世代、孫の世代からまた仕送りを受けなければならない、あるいはまた子供の世代を仕送りをしなければならない、というような構造になってしまう。親への仕送りをするか、それとも保険料を支払うかと言えば、やはり保険料を払う方が私は公平であり、得策であるいうふうに思っております。これから段々高齢化していきますと、子供も高齢化してしまって、孫の世代が親とおじいちゃんおばあちゃんまで仕送りしなければならないと言うことになりかねない、そういうことにしてはいけない。
- 記者:
- 四項目目の財政再建にもプラスになるというところの筋道をご説明願いますか。
- 大臣:
- 一見、年金に対する国庫負担あるいはまた保険料でいいのですけれども、負担というものがこれはかなりの額になってまいりますし、一方で財政再建をしていかなければならないわけですから、財政再建をしながら年金の負担をしていくということは、これは決して楽なことではないと、やはり重荷だというふうに思っております。それでは国民負担率を抑制をして、そして年金が削減されれば中高年の消費が一体どうなるかといえば、それは中高年の消費は低迷することは間違いがないわけでありまして、消費の削減が起こり、景気はさらに低迷をするということに多分なるだろうというふうに私は思っております。したがって、年金の部分だけを見て議論をしていてはいけないので、日本の経済全体、財政再建全体の中でどうしていくかということを見ていかないといけない。現在の年金によって高齢期の生活を維持し、そして消費を行うというこのパターンが消えれば一体どうなるかと、しかも高齢者がこれから増えるわけでありますから、それがどういう結果を及ぼすかということも十分に考慮に入れて私は年金制度を考えるべきだというふうに思っております。そういう考え方に立ちますと、年金が重荷でありましても、それは経済にとって決してマイナスではない、私はプラス要因になるとそう思っております。
- 記者:
- 厚生年金基金の代行返上に伴う売りとか、それを懸念した投資家の売りが株安の原因と見られていることの点についてどのように思いますか。
- 大臣:
- それは理由がはっきりしない話ですね。我々が知る限りにおきましては、年金基金の方で、最近とみにそれを売っているかといえば、そういう状況はあまり把握できない、現在の株安というのはもっと他の要因で私は起こっていると思いますね。全てを年金基金に被せて、ここをどうかすれば片がつくような話ではないと思っております。一つはアジアを取り巻きます最近の問題といたしましては新型肺炎の問題もございますし、あるいは北朝鮮を取り巻く問題もあろうかと思います。こうしたアジアを取り巻く状況というものが一つは影響を与えているという気が。それからもう一つは日本の経済がいつ頃に回復するのかということだろうと、経済の回復無くして株価の回復は無いと私は思っております。
- 記者:
- 株式を代行返上するに当たって、厚生労働省が幅広い銘柄をまとめた形でしか受け付けないことについて、例えば自民党なり主要関係者から要件を緩和するような声というもの出ていると思うのですが、その件については。
- 大臣:
- 聞くべき所は聞かなければならないというふうに思っておりますけれども、しかしいい加減な株をまたもらって積立金そのものに大きな影響を与えるということになれば、これまた我々非難をされるわけでありますから、その点も充分に考えていかなければならないというふうに思っております。
(了)