閣議後記者会見概要

H14.11.05(火)9:18~9:35 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日は閣議におきましては、構造改革特別区域法案、これにつきまして担当大臣からの発言がありまして、同じく同趣旨につきまして石原大臣から発言があり、また経済財政政策担当大臣からも発言がございました。竹中経済財政政策担当大臣からは平成14年度年次経済財政報告につきましての報告がございました。環境大臣から気候変動枠組条約の第8回締結国会議の結果につきまして報告がございました。今日は総理もお見えになりませんし、以上で簡単に終わりました。

質疑

記者:
先週経済財政諮問会議に出席されたわけですけれども、これ終わられまして、改めて今後の補正の必要なポイント等どのように感じていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
先日、経済財政諮問会議にお邪魔をしました時には、社会保障を中心にしまして、社会保障の今後のあり方、特に保険料と税についてどのようにしていくかと、どこを中心にしていくのかという、前々回の時にそういうお話がありましたので、それでそれにお答えをする意味でいろいろデータを整理をいたしまして、そして現在及び将来における社会保障の状況、それから諸外国、特に欧米先進国、欧米といいますか、西欧先進国との間の比較等々を出しまして、参考に供したということでございます。それに対しましていろいろ議員の皆さんからご意見が出ましたが、やはり年金に対する意見が一番多かったというふうに思っております。年金の中で主だったものは、厚生労働省がこの秋に、この秋といいますか、もう間もなくですけれども、今年中にいくつかの案をお示しをして選択肢をお示しをするということを申し上げたわけでありまして、皆さんからは再来年決定するのを一年間猶予をもって、そして今年の暮れに案を示して貰うということは大変結構なことだと、一年間そこで国民の間に議論をする期間を与えるということは非常に良いことだというお話がありまして、しかし示し方は出来る限り幅広いと申しますか、根幹に関わるようなものをいくつか示して、そして幅広い議論が起こるようにして欲しい。選択肢の幅を狭めて、そしてどうするかといったようなことでは少し議論が起こりにくい。例えば現在の制度をそのままにして、そして給付の上限を作って、それにこの負担の方を合わすか、あるいはまた負担に上限を作って給付の方をそれに合わすかといったような選択の幅だけだったら、それだけでもあるし、もう少し大きい範囲に広げた選択肢を示して貰いたいというような意見が出まして、非常に特徴的なことではなかったかというふうに思っております。そういう議論が中心でございました。
記者:
先日、厚生労働委員会の中で不妊治療に保険を適用するという、そういった趣旨の発言があったかと思いますが、これについては病気ではないということで保険適用に反対する声もあります。改めて大臣のご意見をお聞かせいただけますか。
大臣:
現在の医療保険というのは健康保険といいますけれども、内容は疾病保険でありまして、健康を維持するため、病気を重くしないため、あるいは拡大をしないため、そうしたことに使うということは避けているわけで、私はそれは少し本来の趣旨に反するというふうに思っております。それで不妊治療の場合には、病気か病気でないかといえば、正常でないということにおいては、私はどちらかといえば病気とは言い難いですけれども、正常でないということだけは事実だと。そういう意味では私はこれは可能にしていいのではないかというふうに思っております。ただ、現在不妊治療の成功率が非常にまだ低いものですから、これはものによります、不妊治療にもいろいろ種類がありますから、部分部分で違いますけれども、ある部分では非常にまだ成功率が低いと、4回も5回もやって何十%かというようなことを今言われているわけでありまして、その低さを一体どうするかということが非常に大きな問題になるというふうに思います。それから不妊治療というのは、比較的多く私立の病院で行われておりますけれども、あまり公的な病院がこれを手がけていないといったような問題点もあるというふうに思っております。中には1回50万とか100万とか非常に高いお代がついていますけれども、非常に技術を要する大変なことではあろうというふうに思いますけれども、その値段が妥当かどうかといったことも一度検討をしなければならないというふうに思っています。そうしたことも含めながら、この保険における適用というものを考えていかなければいけないと。だから不妊治療の中でどこまでを保険で見るか、非常に成功率の低いものもその中で見るのか、それともある程度の成功率に達したものをその中で見るのか、その辺の見極めというものも少し大事になってくるというふうに思っております。しかし、今後日本の将来を考えました時に、経済状況ひとつを見ましてもこれから現状が維持できるかどうか、これはいわゆる少子化率にかかってきてると申しますか、子供がどれだけ生まれるかということに大いに影響されるわけであります。量はもちろんでございますけれども、社会保障だけではなくて、経済全体に対する影響も非常に大きいわけで、私は非常に急がなければならないと。20年30年先になって影響が出てくることではありますけれども、しかし1年でも遅れれば、それは大変私は将来に与える影響は大きいと思っております。したがって少子化対策は早ければ早いほうがいい、1年でも早くやらなければならないというふうに思っております。したがってこの不妊治療につきます支援につきましても、これは早ければ早いほうがいいというふうに思ってます。後は省内で少し煮詰めをしたいと思っているところでございます。
記者:
具体的なスケジュールは考えてらっしゃいますか。
大臣:
まだそこまで話をいたしておりませんが、今申しましたように総論で言えば出来るだけ早く実現できるようにしたいというふうに思います。
記者:
不妊治療の支援の関係ですけれども、早くできれば、早く実現したいというお話でしたけれども、例えば来年度中に出来るとか、そういったこともあるんでしょうか。
大臣:
それも視野に入れて話し合いたいと。
記者:
雇用保険についてなんですけれども、改めてになりますけれども、保険料を1.6%に引き上げるということを今日提案されまして、3年で3回目の引き上げという形になりますけれども、この見通しが甘かったのではないかという指摘もございますが、その辺についても含めて改めてご見解を教えていただけますか。
大臣:
これはいわゆる3者構成と申しますか、官と、そして労働者側、経営者側、3者にいろいろ話をしてもらいました。それで前回に、計画でございますが、甘かったと言えば、経済に対する見通しが十分でなかった。予測をしておりましたよりも経済の悪い状況が長く続いたという一語に尽きると思います。したがいまして、これからの経済の動向というものについてもよく考えていかないといけないというふうに思いますし、先日もあるいは申し上げたかも分かりませんが、現在の失業者の動向、そして失業者の数、そうしたものは今しばらく続くという覚悟の上で今後の対策を練らなければならないと私は思っております。過去15年から20年くらいの間の失業者数等を見ました場合にも、GDPが前年比で1%から2%くらいに伸びましても、労働者数はそう増えていない、したがいまして、これからの経済の動向を考えますと、そう大きな、4%も5%もの経済成長はあるとは思えないわけでありまして、そういたしますと、それほど働く人達の数が増えるということは考えにくい。したがいまして、やはり現状の厳しい状況は今後も今しばらく続くのではないかというふうに思っております。そういうことを念頭に置きながらやはり対策をしないといけないというふうに思います。一時的な現象であるという形での政策立案はいけないというふうに思っております。もう少しこれは長期的にこういう状況が続くという覚悟の上での雇用政策というものを立案する必要があるというふうに思っております。
記者:
その関連なんですけれども、先日おっしゃっていた雇用重視型社会への提言、これは次回の経済財政諮問会議を目指してとか、そういった具体的な会議を目指してという意味ではないのでしょうか。
大臣:
次の経済財政諮問会議が今月の15日に予定されておりますので、その時にはその考え方を何らかの形で示したいというふうに思っております。そうした考え方をやはり作り上げていかないと、ただ単に厚生労働省の中における雇用政策、あるいは雇用保険の中の雇用政策というだけでは今後の雇用状況をまかないきれない、雇用状況を改善出来ないというふうに思っている次第で、政府全体でどういう考え方で社会システムを作っていくかということが非常に重要視されて来るというふうに思います。そのことがまたワークシェアリングや、あるいはまた少子化対策の政策との関連をしてくるわけです。どのような働き方の出来る国を作るかということが、今後の日本におきまして非常に大きな問題になって来るというふうに思っております。先日も言いましたようにリストラをすると株が上がる、リストラをすることがいかにもいいことだというような雰囲気が生まれて来つつありますけれども、もしそういうことで進んでいくということになりますと、働く場所は少なくなりますし、そして働いている人は一人の労働時間が長くなる。労働者数を減らして、労働時間を長くするという働き方は将来に対しまして決していい影響を与えない、そういう働き方にしますと少子化は更に進んでいく、少子化が進めば経済にまた悪影響を及ぼすという悪循環を繰り返してしまう。したがってもう少し雇用を重視をしていく、そしてゆとりある時間を持つという、そういう社会をどう作り上げていくかということが現在の日本にとって一番大事であって、遠回りのように見えますけれども、そのことが一番大事ではないかというふうに思っておりまして、そうしたことを中心にした提案をしたいと思っております。

(了)