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狂犬病
狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に感染し死亡していました。このような状況のなか狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅するに至りました。この事例を見ても、犬の登録や予防注射が狂犬病予防にいかに重要な役割を果たすかが理解できます。
現在、日本では、犬などを含めて狂犬病の発生はありません。しかし狂犬病は、日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、日本は常に侵入の脅威に晒されていることから、万一の侵入に備えた対策が重要となっています。
万一狂犬病が国内で発生した場合には、素早くしっかりと発生の拡大とまん延の防止を図ることが非常に重要となります。そのためには、犬の飼い主一人一人が狂犬病に関して正しい知識を持ち、飼い犬の登録と予防注射を確実に行うことが必要であり、そうすることによって公衆衛生の向上と公共の福祉の増進に寄与しているということを飼い主の方にはしっかりと自覚していただくことが望まれます。
飼い主の方へのお知らせ
令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬及び猫にマイクロチップを装着するとともに、環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」システムにマイクロチップ情報を登録することが義務化されました。
あわせて、あらかじめ環境大臣にマイクロチップ登録情報の通知の求めを行った市町村に所在する犬については、当該マイクロチップ情報の登録が狂犬病予防法に基づく犬の登録の申請とみなされ、その犬に装着されているマイクロチップは狂犬病予防法に規定する鑑札とみなされることになります(狂犬病予防法の特例制度)。
狂犬病予防法の特例制度に参加する市町村については「動物の愛護及び管理に関する法律に基づく犬と猫のマイクロチップ情報登録」ウェブサイトをご覧ください。
https://reg.mc.env.go.jp/owner/download
「マイクロチップの装着等の義務化に係る狂犬病予防法の特例に関する対応について」は以下のページをご覧ください。
疾患情報
狂犬病とは
病原体 | 感受性動物・感染経路 | 対象 | 潜伏期 | 症状と診断 | 治療と予防 |
---|---|---|---|---|---|
狂犬病ウイルス | ○感受性動物: 全ての哺乳類(ヒトを含む) ○感染経路: 狂犬病にかかった動物(罹患動物。アジアでは主にイヌ)に咬まれた部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。 通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。 |
ヒト | 1〜3カ月間程度 | (1) 臨床症状 ○前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感 ○急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状 ○昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡) |
○治療: 発症後の有効な治療法はない。 ○予防: 罹患動物に咬まれた場合、ワクチン接種等により行う。 海外の狂犬病発生国で頻繁に動物に接する場合には、渡航前に狂犬病ワクチンを接種しておくことが望ましい。 |
(2) 病原体診断 [1]PCR法による病原体の遺伝子の検出(唾液等) [2]蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜等) [3]間接蛍光抗体法(IFA)又はELISA法による抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液) [4]分離・同定による病原体の検出(唾液) |
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イヌ | 2週間〜2カ月間程度 | (1) 臨床症状 ○前駆期:性格の変化と行動の異常 ○狂躁期:興奮状態(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に咬む)、光や音の突然刺激に対する過敏な反応 ○麻痺期:全身の麻痺症状による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながら流涎、昏睡状態になり死亡 ※狂躁期と麻痺期を明確に分けることは困難なことが多く、前駆期から麻痺期に移行することもある。 |
○治療: 治療はしない。 ○予防: 年1回の予防接種が義務づけられている。 |
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(2) 病原体診断 [1]脳組織の塗抹標本を用いた直接蛍光抗体法によるウイルス抗原検索 [2]脳組織乳剤を用いたRT-PCR法によるウイルス特異遺伝子の検出 [3]脳組織乳剤を乳のみマウス脳内及びマウス組織芽細胞腫由来培養細胞に接種して行うウイルス分離法 |
(PDF:79KB) |
発生状況
日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布しています。
世界の発生状況(WHO、2017年)
●年間の死亡者数推計 59,000人(うち、アジア地域35,000人、アフリカ地域21,000人)
●年間の暴露後ワクチン接種者数推計 1,500万人
(PDF:138KB) |
我が国における発生状況
1953年 | 1954年 | 1955年 | 1956年 | 1970年 | 2006年 | 2020年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
死亡者数 | 3人 | 1人 | 0人 | 1人 | 1人 (※1) | 2人 (※2) | 1人 (※3) |
犬の発生数 | 176頭 | 98頭 | 23頭 | 6頭 | 発生なし | 発生なし | 発生なし |
※1 ネパールを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
※2 フィリピンを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
※3 フィリピンで犬に咬まれ、入国後発病、死亡した輸入症例。
狂犬病の輸入症例について
- 平成18年12月07日 フィリピンからの帰国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について(2006年2例目続報)
- 平成18年11月22日 フィリピンからの帰国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について(2006年2例目)
- 平成18年11月17日 フィリピンからの帰国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について(2006年1例目続報)
- 平成18年11月16日 フィリピンからの帰国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について(2006年1例目)
- 令和2年5月22日 フィリピンからの入国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について
- 令和2年6月15日 フィリピンからの入国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)の死亡について(続報)
施策紹介
通知等
- 国内動物を対象とした狂犬病検査実施について(平成26年8月4日 健感発0804第1号)(PDF:350KB)
- 別添 動物の狂犬病調査ガイドライン(PDF:948KB)
- 狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令の施行について(施行通知) (平成23年5月20日 健感発0520第2号)(PDF:121KB)
- 狂犬病予防法施行規則に基づき厚生労働大臣が定める都道府県名を特定できる文字、数字等の一部改正について(平成22年7月15日 健感発第0715第1号)(PDF:211KB)
- 啓発ポスターによる犬の狂犬病予防注射実施の推進について(平成22年2月18日 事務連絡)(PDF:311KB)
- 過去の通知・事務連絡についてはこちら
狂犬病予防法に基づく犬の登録頭数と予防注射頭数等について
Q&A
平成18年には、フィリピンに滞在中に狂犬病の犬に咬まれ、感染し、ワクチン接種しなかったため、日本帰国後に狂犬病を発症する事例がありましたので、このことを踏まえて狂犬病に関するQ&Aを作製しました。
狂犬病に関するQ&A
診断・対応ガイドライン
- 狂犬病対応ガイドライン2001 [3,322KB]
- 狂犬病対応ガイドライン2013 [5,998KB]
台湾における動物の狂犬病の発生について
- 台湾における野生動物の狂犬病の発生について(第一報)(平成25年7月17日付自治体狂犬病予防担当課宛) [104KB]
- 台湾における野生動物の狂犬病の発生について(第一報)(平成25年7月17日付自治体感染症対策担当課宛) [118KB]
- 台湾における野生動物の狂犬病の発生について(第二報)(平成25年7月24日付自治体狂犬病予防担当課宛) [141KB]
- 台湾における野生動物の狂犬病の発生について(第二報)(平成25年7月24日付自治体感染症対策担当課宛) [144KB]
- 台湾における動物の狂犬病の発生状況について(第三報)(平成25年9月11日付自治体感染症対策担当課宛) [2,302KB]
リンク
狂犬病予防業務担当者会議
啓発ツール
リンク
関連情報
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