9.国際社会への積極的貢献を目指して


(1)国際機関等の活動への参加・貢献

 1)ILO(国際労働機関)

 労働者の労働条件の改善を通じ、社会正義を基礎とする世界の恒久平和の確立に寄与することを目的として設立された機関です。

 主な活動には、ILO条約及び勧告に関する事項並びに開発途上国に対する技術協力があります。

 我が国は、ILO設立と同時に加盟国となり、その諸活動に協力しています。特に1954年からは10大産業国の1つとして常任理事国の地位にあり、ILO内で重要な役割を果たしています。

 労働省としては、ILOの諸活動に積極的に参加・協力し、我が国に対する諸外国の期待に応えるよう努めています。

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ILO総会

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亜麻布の製造(機織り)

 2)OECD(経済協力開発機構)

 欧米先進国を中心に構成された国際機関であり、経済成長の促進と自由貿易の拡大、さらに開発途上国援助を主たる目的とした活動を行っています。労働省は、労働・社会問題を取り扱う委員会を中心に積極的に参加しています。

 3)APEC(アジア太平洋経済協力)

 アジア・太平洋地域の発展と、域内の開かれた協力のための議論の場です。労働省は、主に人材養成ワーキンググループの活動を中心に参画しています。

 4)国際連合

 世界のほとんどの国を網羅する国際機関です。労働省は、経済的・社会的分野の諸活動に積極的に取り組んでいます。

 5)主要国首脳会議(サミット)等

 近年、雇用・失業問題が各国でますます深刻になるにつれ、この問題がサミットをはじめとした国際的な議論の場で取り上げられる機会が急速に増加しており、労働省としてもこうした場に積極的に参加しています。平成11年2月には、ワシントンにおいてG8各国の労働大臣等が参集し、G8労働大臣会合が開催されました。

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G8労働大臣会合

(2)国際協力・交流

 (イ) 「人づくり」を通じた国際協力

 開発途上国において雇用機会を増大し、生活水準を向上させるためには、労働行政官等の労働関係分野に携わる人々の質的向上や工業化を支える技能労働者の養成等を図ることが急務となっています。このため、労働省では、次のような協力を行っています。

1)

国際機関等を通じて行う国際協力

 ILOの技術協力計画や、アジア太平洋地域技能開発計画(APSDEP)、アジア太平洋経済協力(APEC)の人材養成分野の活動等に対して協力を行っています。

2)

職業能力開発総合大学校を活用した国際協力

 開発途上国の産業発展に資する人材育成のために、職業能力開発総合大学校への、国費留学生の受入れ事業を実施しています。

3)

国際協力事業団を通じて行う国際協力

 開発途上国からの行政官等の受入れ、職業能力開発、労働安全衛生等の専門家の派遣等を行っています。

4)

各種団体と協力して行う技術協力

 労働省では前述の国際協力事業団、国際機関のほかに、公益法人、民間企業等の各種団体とも協力して、セミナーの開催、研修事業、途上国の労働法制・制度等の整備、雇用問題の改善等についての技術協力を行っています。

5)

民間企業の行う海外職業訓練に対する援助

 民間企業の行う海外職業訓練に対する援助を図るため、海外職業訓練協力センターを活用することにより現地労働者を訓練できる職業訓練指導員の育成の援助、海外における日本人指導者に対する指導・助言、海外職業訓練の企画に必要な情報の収集・提供・各種アドバイス、海外職業訓練用教材の開発等の事業を行っています。

6)

外国人研修生受入れへの支援

 我が国の技術、技能等を開発途上国等に積極的に移転し、これらの国の人材育成と経済発展に寄与するため、(財)国際研修協力機構を通じ、外国人研修生を受け入れる企業等に対し、研修の適正かつ効果的な実施のための指導援助を行っています。

7)

技能実習制度の適正かつ円滑な実施

 より実践的な技能等の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的として平成5年4月に創設された「技能実習制度」の適正かつ円滑な実施が確保されるよう、(財)国際研修協力機構等を通じ必要な事業を行っています。

 (ロ)国際交流の推進

 各国と日本との間で労働事情について相互理解を深めることは、近年ますます重要になっています。労働省では下記の別表のような国際交流を推進しています。

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日・EU シンポジウム



別表 国際交流の概要

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(3)海外労働情報の収集、分析、提供及び海外広報

 国際労働行政を適切かつ積極的に展開するために、諸外国の労働に関する情報を収集・整理し、省内外の関係者の利用に供するとともに、毎年、『海外労働白書』として集約し、公表しています。

 また、我が国が諸外国との間で良好な関係を維持していくために、我が国の労働事情が諸外国でどのように認識されているかについて調査を行うとともに、我が国の労働事情等に関する諸外国の理解を促進するために、各種英文資料の作成・配布、インターネットによる労働行政関係情報の提供等海外の関心に即応した海外広報活動を行っています。

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「海外労働白書」

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我が国の労働事情に関する国際セミナー

(4)レーバー・アタッシェ等

 海外で勤務する労働省職員(レーバー・アタッシェ、アソシエート・エキスパート)は年々その数を増し、労働外交の場において重要な役割を果たしています。

レーバー・アタッシェ

 労働省から外務省に出向し、在外公館に勤務して労働問題を専門に担当する外交官で、現在15ヵ国に派遣されています。レーバー・アタッシェは国際会議への出席、任国の労働事情の調査、資料の収集、技術協力の推進等の活動を通じ、我が国の国際労働行政の推進に極めて重要な役割を果たしています。

アソシエート・エキスパート

 原則として2年間、国連等の国際機関において職員として勤務する実地研修の機会です。労働省からはILO、OECDに派遣されています。

レーバー・アタッシェの在任地及び現在協力中の技術協力センター等の位置
(平成11年4月1日現在)

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