(3)1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制

 イ)1ヵ月単位の変形労働時間制

 1ヵ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

 1ヵ月単位の変形労働時間制を採用するためには、労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにおいて以下の事項を定めることが必要です。

就業規則等の定め
1)変形期間を1ヵ月以内とし、
2)変形期間における法定労働時間の総枠の範囲内で、
3)各日、各週の労働時間を特定する。

   (例)

変形期間の暦日数法定労働時間の総枠
31日
30日
177時間 8分
171時間25分

◆月末が忙しく、月始めが比較的暇である場合、その繁閑に合わせて労働日や
 労働時間を設定し、1週間当たりの平均労働時間を40時間以下とする例

1か月単位の変形労働時間制

就業規則規定例

(始業時刻、終業時刻および休憩時間)

第○○条 毎月1日を起算日とする1か月単位の変形労働時間制とし、所定労働時間は、1か月を平均して1週間40時間以内とする。

第○○条 各日の始業時刻、終業時刻および休憩時間は、次のとおりとする。
始業時刻 終業時刻 休憩時間
1日から24日まで
25日から月末まで
午前9時
午前8時
午後5時
午後7時
正午から午後1時まで
上記に同じ

(休日)
第○○条 休日は、毎週土曜日および日曜日とする。

 ロ)1年単位の変形労働時間制

 1ヶ月を越え1年以内の一定の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間以下の範囲内において、特定の日又は週に1日8時間又は1週40時間を超え、一定の限度で労働させることができる制度です。

 1年単位の変形労働時間制を採用するためには、労使協定において以下の事項を定めることが必要です。

労使協定の締結
1)対象期間を1か月を超え1年以内とし、
2)対象期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、
3)1日10時間、1週52時間以内(対象期間が3か月を超える場合、1週48時間を超える週の数について制限あり)、連続して労働させる日数の限度が6日(特定期間については1週に1日の休日が確保できる日数)
4)対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間を特定するとともに、
5)労使協定の有効期間を定める

(例:変形労働期間1年の場合)
暦日数法定労働時間の総枠
366日
365日
2091.4時間
2085.7時間

この協定を所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

1日8時間の所定労働時間の場合
1日の労働時間を変えず、月2回の週休2日制に加え、国民の祝日、年末年始の休暇などを休日とすることにより1週間当たりの平均労働時間を40時間以下とする例

(平成17年の場合)

(1) 休日:
○ 毎週日曜日、第1・3土曜日
○ 国民の祝日、年末・年始等

(2) 労働時間:1日8時間
週休日 国民の祝日等 その他の休日 合計
7日 元日(ただし第1土曜日)、成人の日 1日 年始休暇 2日 10日
6日 建国記念の日 1日     7日
6日 春分の日(ただし日曜日) 0日 振替休日 1日 7日
6日 みどりの日 1日 GW休暇 2日 9日
7日 憲法記念日・国民の休日・こどもの日 3日 GW休暇 2日 12日
6日     創立記念日 1日 7日
7日 海の日 1日     8日
6日     お盆休暇 5日 11日
6日 敬老の日
秋分の日
2日     8日
10 7日 体育の日 1日     8日
11 6日 文化の日・勤労感謝の日 2日     8日
12 6日 天皇誕生日 1日 年末休暇 3日 10日
合計 76日   13日 16日 105日
※ 
(1週間当たりの労働時間の計算方法)
    ※
(1) 365日−105日=260日(年間労働日)
(2) 260日×8時間=2,080時間(年間労働時間)
(3) 2,080時間×7日/365日≒39.89時間(1週間当たりの労働時間)<40時間

1週間当たりの労働時間は39.89時間(時計時に直すと39時間53分)ですから、40時間をクリアしています。

(就業規則規定例)

第○条 1年単位の変形労働時間制の労働日ごとの所定労働時間は8時間とし、始業・終業の時刻および休憩時間は次のとおりとする。
始業時刻:午前8時 終業時刻:午後5時
休憩時間:正午から午後1時

(休日)
第○条 休日は、1週間の労働時間が1年を平均して40時間以下となるよう労使協定で定める年間カレンダーによるものとする。

(労使協定例)

第1条 平成○○年1月1日から平成○○年12月31日までの1年間の勤務時間については本協定の定めるところによるものとする。

第2条 前条の期間中における各日の所定労働時間は8時間、始業の時刻は午前8時、終業の時刻は午後5時とする。なお、休憩時間は正午から午後1時までとする。

第3条 第1条の期間中における休日は、毎日曜日、別に定める休日表により休日と定める土曜日、国民の祝祭日(祝日が日曜日と重複するときは翌月曜日)、年末・年始休暇、ゴールデンウイーク休暇、お盆休暇および創立記念日とし、1週間の所定労働時間が1年を平均して40時間以下となるように労使協定で定める別紙年間カレンダーのとおりとする。

第4条 第2条に定める所定労働時間を超えて労働させた場合は、賃金規定第○条に基づき時間外手当を支払う。

第5条 妊娠中または産後1年以内の女性従業員が請求した場合は、本協定はその女性従業員には適用しない。

第6条 育児を行う者、老人などの介護を行う者、職業訓練または教育を受ける者その他特別の配慮を要する従業員に対する本協定の適用に当たっては、会社は従業員代表と協議するものとする。

ご不明な点につきましては、最寄りの都道府県労働局又は労働基準監督署にご相談ください。
 
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