平成12年11月15日

第4回官民連携した雇用情報システム(仮称)運営協議会用資料


日経連労務法制部労務管理課長 松井博志


1. 有料職業紹介など民間による労働市場活性化は世界の流れ
 1960年代、職業紹介の国家独占を原則とし、例外的に民間による職業紹介を認めている96号条約(有料職業紹介所条約)に対する疑問がILO加盟国から投げかけられはじめ、92年5カ国が同条約を破棄した。
 1994年のILO総会で、96号条約、88号(職業安定組織条約)の改正を行うべきかどうか検討した結果、官民協力して労働力需給調整に大きな役割を果たすべきであるとして、まず96号条約を改正することを決定。
 1997年のILO総会で、 96号条約を改正し、新たに181号条約(民間職業紹介事業所条約)と188号勧告を採択。同条約13条に、加盟国は、官民協力を促進するための条件を策定すること、同勧告17項に、その具体的措置として、労働市場の透明性を高めるため、情報の蓄積や専門用語の使用、雇用情報の交換などが規定された。
2. 職業安定法・労働者派遣法の改正による民間重視の考え方への転換
 ILO条約も踏まえ、わが国でも官民協力の重要性が確認され、最終的に職業安定法1条、5条の2の中に、労働力需給調整を官民協力して行うことが規定された。また、民間の活動をより活発化させるため、有料職業紹介の対象職業、労働者派遣の対象業務の原則自由化がきまった。
 1999年、ILO条約批准を前提とする国内法(職業安定法・労働者派遣法)改正と施行、条約批准登録(条約発効は2000年)。
 日経連としては1995年の「新時代の日本的経営」において民間による就職情報の整備、求人、求職活動の推進を提唱、さらに審議会での改正論議の中では、厳しい雇用情勢に対応するため情報提供体制の整備、その一つとしてインタ−ネット利用の職安求人情報の公開をも強く主張してきた。
3. 今回の官民連携雇用情報システム(仮称)に対する評価と期待
 永年の主張点の具体的な動きの一つ(それも端緒)に過ぎない。
 民間のそれぞれの業務特性に応じた参加しやすい柔軟なル−ルを設定することにより、できる限り多くの民間の参加を促し、さらに求職者からみても透明性と利便性が高いものとすべきである。
以  上

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