有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針(骨子案)について(回答)

平成12年12月26日

概要  有期労働契約の締結及び更新・雇止めに当たり、手続及び契約期間に関して使用者が考慮すべき事項を示す。(別添「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針(骨子案)」参照)

御意見等の内容 件数 御意見等に対する考え方
 指針ではなく、強制力(罰則等)がある法令にするべきである。 2件  有期労働契約については、そのニーズや契約関係の実態が多様であるため、本指針の内容を法令により規制することは現時点では適当でないと考える。
 なお、本指針策定後は、実効性を確保するため、その趣旨・内容について周知啓発に努めてまいりたい。
 第2「有期労働契約の範囲」について、「期間を定めて締結されている労働契約」という定義は現場では曖昧であるので、できるだけ具体的な定義にすべきである。 1件  労働基準法第15条等により、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して、期間の定めのある労働契約の場合はその期間、期間がない労働契約の場合はその旨を書面により明示することが義務づけられており、「期間を定めて締結されている労働契約」という定義は明確なものと考える。
 よって、原案のままとする。
 第2「有期労働契約の範囲」について、更新して契約期間が1年を超える労働者は期間のない契約によるものとすべきである。 2件  有期労働契約については、その更新による利用を含め、労使それぞれのニーズに基づく制度として相当程度定着していること、そのニーズや契約関係の実態が多様である現状にかんがみると、1年を超えて継続する有期労働契約を期間の定めのない契約とする等有期労働契約の締結、更新・雇止めに対する一律の制約は現時点では適当ではないと考える。
 よって、原案のままとする。
 第2「有期労働契約の範囲」について、「登録型派遣労働者」の派遣元との労働契約も加え、第3「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに当たり、手続及び契約期間に関して使用者が考慮すべき事項」を派遣元にも求めるべきである。 1件  本指針は、期間を定めて締結される労働契約を対象とするものであり、派遣労働者のうち有期労働契約を締結している者(登録型派遣労働者のほとんどは有期契約労働者と考えられる。)は、本指針の対象にも当然含まれるものである。
 第3の1「更新・雇止めに関する説明」について、予め更新しない場合を想定させておく必要があるため、「最初の労働契約に当たっては、文書をもって労働契約を更新しない場合の事由を明示するものとする。」とすべきである。 1件  更新の有無及びその考え方並びに更新及び雇止めを行う場合の判断基準を説明することにより、「更新しない場合の事由」は明らかになるものと考えるため、原案のままとする。
 なお、更新及び雇止めを行う場合の判断基準の具体例(「契約期間満了時の業務量により判断する」、「労働者の勤務成績、態度により判断する」など)を、本指針の周知を図る際、併せて周知することとしたい。また、トラブル防止の観点から説明事項を文書で明示することが望ましい旨、併せて周知することとしたい。
 第3の1「更新・雇止めに関する説明」について、説明した内容を一方的に変更することは、労働条件の不利益変更となる場合があり、その場合は一方的にできないことに言及すべきである。 1件  本指針は、使用者に対し、説明することを求めるものであって、説明内容について、関係当事者間でどのように取り扱うかは別の問題であることから、原案のままとする。
 第3の2「契約期間」について、更新後の契約期間の長さを規制するため、「更新される契約期間は、従前の契約の期間を下回ってはならないものとする。ただし、労働者の同意を得た場合は任意の長さにすることができる。」とすべきである。 1件  有期労働契約については、その更新による利用を含め、労使それぞれのニーズに基づく制度として相当程度定着していること、そのニーズや契約関係の実態が多様である現状にかんがみると、更新後の契約期間は従前の契約期間を下回ってはならないと一律に規制すること等有期労働契約の締結、更新・雇止めに対する一律の制約は現時点では適当ではないと考える。
 よって、原案のままとする。
 第3の2「契約期間」について、「労働基準法の規定の範囲内で」となっているが、労働基準法第14条の定めを超える契約期間について違法ではないとの解釈の周知を図るという12月1日付けの閣議決定とどう整合性をつけるのか。 1件  閣議決定において周知を図るとされた解釈は、労働基準法の定める上限期間を超える期間を定めた場合であっても、上限期間経過後はいつでも労働者側から解約することができることが明示され、上限期間を超える期間について使用者が解約しないことを保障することが明らかな場合には同法に違反しないとの従来からの解釈であり、これと本件指針(骨子案)は矛盾するものではない。
 第3の3「雇止めの予告」、4「雇止めの理由の告知」について、労働基準法改正による法制化を検討すべきである。 1件  有期労働契約については、そのニーズや契約関係の実態が多様であるため、本指針の内容を法令により規制することは現時点では適当ではないと考える。
 指針の中に、「契約更新時の使用者側の労働条件変更提案に対し、労働者側が異議を申し述べた場合、あるいは、労働者側から労働条件改善要求があった場合は、十分協議をするよう努めるものとする。」を付加すべきである。 1件  契約更新時の労働条件の変更に係る事項については、本指針は定めるものではないので、原案のままとする。
 有期契約労働者の勤続期間が1年を超えた場合は、労働者が希望すれば正規社員にするよう義務づけることを項目として付け加えるべきである。 1件  有期労働契約については、その更新による利用を含め、労使それぞれのニーズに基づく制度として相当程度定着していること、そのニーズや契約関係の実態が多様である現状にかんがみると、有期労働契約の締結、更新・雇止めに対する一律の制約は現時点では適当ではないと考える。
 よって、原案のままとする。
 有期労働契約が締結できる職種や仕事の性格に厳しい制限を加えることを項目として付け加えるべきである。 1件  有期労働契約については、その更新による利用を含め、労使それぞれのニーズに基づく制度として相当程度定着していること、そのニーズや契約関係の実態が多様である現状にかんがみると、有期労働契約の締結、更新・雇止めに対する一律の制約は現時点では適当ではないと考える。
 よって、原案のままとする。
 有期労働契約は、一定の合理的な理由がある場合を除いて、禁ずるべきである。そのような措置のない状況で指針を策定することには反対である。 2件  有期労働契約については、その更新による利用を含め、労使それぞれのニーズに基づく制度として相当程度定着していること、そのニーズや契約関係の実態が多様である現状にかんがみると、有期労働契約の締結、更新・雇止めに対する一律の制約は現時点では適当ではないと考える。
 しかしながら、有期労働契約の更新・雇止めに関して改善すべき問題がある現状を踏まえ、トラブルを未然に防止する観点から、使用者が考慮すべき事項を指針として定めることとしたものである。
 以下の法規制を検討すべきである。
(1) 有期労働契約の締結は、臨時的・季節的業務など客観的合理性のある業務に限定すること。合理性を欠く有期労働契約は期間の定めのない労働契約とみなすこと。
(2) 有期労働契約を1回又は2回以上更新した場合は期間の定めのない契約とみなすこと。
(3) 有期労働契約の更新拒否については正当事由を必要とすること。
(4) 有期労働者に対する不合理な差別的処遇を禁止し、正規労働者との均等待遇を保障すること。
(5) 契約更新時の労働条件変更に、異議留保して更新合意する権利を認め、労働条件変更を争えるようにすること。
1件  有期労働契約については、その更新による利用を含め、労使それぞれのニーズに基づく制度として相当程度定着していること、そのニーズや契約関係の実態が多様である現状にかんがみると、有期労働契約の締結、更新・雇止めに対する一律の制約は現時点では適当ではないと考える。
 なお、有期契約労働者の処遇に関する事項については、本指針は定めるものではない。
 有期労働契約を期間満了前に使用者から中途解約する場合、残り期間について、労働者には、賃金全額相当の補償を支払うように、使用者に指導を行うべき。少なくとも、労働基準法第26条の休業手当を支払う義務があることを使用者に徹底すべきである。 1件  本件とは直接関係ない事項である。
 なお、有期契約労働者の中途解約に関して労働基準法違反がある場合には、労働基準監督機関において従来どおり厳正に対処していく。
 有期労働契約の更新をしないときには、当該労働者の年次有給休暇未消化分の取得が困難にならないための措置をとるように使用者に求めるべきである。
 具体的には、年次有給休暇が未消化のときには、30日前の予告だけでなく、契約終了までに未消化有給休暇を取得できることを使用者から労働者に教示させるとともに、取得を容易にする措置をとるように使用者に求めるべきである。
1件  本件とは直接関係ない事項である。
 なお、有期契約労働者に限らず、年次有給休暇の取得促進については、労働時間短縮政策の重点事項として取り組んでいるところである。
 雇用保険や社会保険についても、労働者に必要かつ有益な情報を与えるように使用者に求めるべきである。
 そして、使用者から労働者に伝えるべき必要かつ有益な情報を労働省(厚生労働省)としてモデル様式で具体的に示し、使用者の負担を軽減すること。
 例えば、次のものが考えられる。
(1) 雇用保険の給付と受給手続き
(2) 健康保険の資格喪失後の給付内容と受給手続き
(3) 健康保険の任意継続被保険者の資格取得手続き
(4) 国民年金の第2号被保険者から第1号、第3号被保険者への移行の手続き
1件  本件とは直接関係ない事項である。
 本指針は、有期労働契約の更新・雇止めをめぐるトラブルの未然防止のために、有期労働契約の手続及び契約期間に関して定めた指針である。
 就職の年齢差別を撤廃するために公務における受験の年齢制限を徐々に繰り上げるための法整備を行うことを項目として付け加えるべきである。 1件  本件とは直接関係ない事項である。
 公務パートを労働者として位置付けることを項目として付け加えるべきである。 1件  本件とは直接関係ない事項である。
 公務員でも、民間の労働者でも利用できる苦情処理機関を設けることを項目として付け加えるべきである。 1件  本件とは直接関係ない事項である。
 有期契約労働者については、労働者意識の点から問題のある者もいるので、労働者に対する指針も必要ではないか。 1件  本件とは直接関係ない事項である。
(注) 同一の方から複数の御意見が提出された場合には、それぞれを1件として計上しています。
 
担当課室:(労働省労働基準局監督課)
御意見等お寄せいただき、ありがとうございました。


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