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 港湾労働法改正要綱



第一 目的

   法律の目的に、港湾運送に必要な労働力の需給の適正な調整に関する措置を講ず
  ることにより、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図るこ
  とを加えるものとすること。




第二 港湾労働者派遣事業

 一 港湾労働者派遣事業の許可

  (一) この法律の適用対象港湾において港湾運送事業を営んでいる事業主(以下
     「事業主」という。)は、労働大臣の許可を受けて、港湾労働者派遣事業を
     行うことができるものとすること。

  (二) (一)の許可を受けようとする者は、事業計画書等の書類を添えて、申請
     書を労働大臣に提出しなければならないものとすること。

  (三) 労働大臣は、(一)の許可をしようとするときは、あらかじめ、中央職業
     安定審議会の意見を聴かなければならないものとすること。



 二 許可の欠格事由

   次のいずれかに該当する者は、一(一)の許可を受けることができないものとす
  ること。

  (一) 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくは労働者派遣法の規定その
     他労働に関する法律の規定若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関
     する法律の規定により、若しくは刑法の傷害等の罪を犯したことにより、罰
     則の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった
     日から起算して五年を経過しない者

  (二) 健康保険法、船員保険法、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法、労働
     保険の保険料の徴収等に関する法律又は雇用保険法の一定の規定により罰金
     の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日
     から起算して五年を経過しない者

  (三) 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

  (四) 港湾労働者派遣事業の許可を取り消され、取消しの日から五年を経過しな
     い者

  (五) 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その法定代理人が
     (一)から(四)までのいずれかに該当するもの

  (六) 法人で、その役員のうちに(一)から(五)までのいずれかに該当する者
     があるもの



 三 許可の基準

   労働大臣は、一(二)の許可の申請が次のいずれにも適合していると認めるとき
  でなければ、許可をしてはならないものとすること。

  (一) 申請者が、当該港湾労働者派遣事業を行おうとする港湾において港湾運送
     を行う事業を営んでいるものであること。

  (二) 港湾労働者の雇用の安定及び福祉の増進以外のことを目的として行われる
     ものではないこと。

  (三) 申請者が、派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有する
     ものであること。

  (四) 港湾労働者派遣事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであるこ
     と。



 四 許可の条件

   一(一)の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができるものとする
  こと。



 五 許可の有効期間等

   一(一)の許可の有効期間は、許可の日から三年とし、その満了後引き続き港湾
  労働者派遣事業を行おうとする者は、許可の更新を受けなければならないものとす
  ること。また、更新を受けた許可の有効期間は、更新前の許可の有効期間の満了す
  る日の翌日から五年とするものとすること。



 六 変更の届出等

   港湾派遣元事業主は、事業所の所在地等を変更し、又は当該港湾労働者派遣事業
  を廃止したときは、遅滞なく、その旨を労働大臣に届け出なければならないものと
  すること。



 七 許可の取消し等

  (一) 労働大臣は、港湾派遣元事業主が次のいずれかに該当するときは、許可を
     取り消すことができるものとすること。

   イ 二(一)から(三)まで、(五)又は(六)に該当するとき。

   ロ 三の許可の基準に適合しなくなったと認めるとき。

   ハ この法律、労働者派遣法若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づ
    く命令若しくは処分に違反したとき。

   ニ 四の許可の条件に違反したとき。

  (二) 労働大臣は、港湾派遣元事業主が(一)ロからニまでのいずれかに該当す
     るときは、港湾労働者派遣事業の停止を命ずることができるものとすること。



 八 名義貸しの禁止

   港湾派遣元事業主は、自己の名義をもって、他人に港湾労働者派遣事業を行わせ
  てはならないものとすること。



 九 労働者派遣の実施方法

   港湾派遣元事業主が行う労働者派遣は、その常時雇用する労働者であって、常時
  港湾運送の業務に従事する者であり、かつ、港湾運送の業務に関する経験又は技能
  を有する者として労働大臣が定める基準に適合するものを派遣することにより行わ
  なければならないものとすること。



 十 事業報告

   港湾派遣元事業主は、労働省令で定めるところにより、事業報告書及び収支決算
  書を労働大臣に提出しなければならないものとすること。



 十一 港湾労働者派遣事業に係るその他の措置

    一から十までのほか、港湾労働者派遣事業に係る事業の適正な運営の確保及び
   派遣労働者の就業条件の整備等については、他の労働者派遣事業と同様の措置を
   講ずるものとすること。




第三 港湾労働者雇用安定センター

 一 業務の変更

   労働者派遣の業務を廃止するとともに、次に掲げる業務を港湾労働者雇用安定セ
  ンターが行う業務として追加するものとすること。


  (一) 港湾運送に必要な労働力の需給の状況に関する情報の収集、整理及び提供
     を行うこと。


  (二) 港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣契約の締結についてのあっせんを行
     うこと。

(三) 二の業務を行うこと。



 二 雇用福祉事業関係業務

   労働大臣は、港湾労働者雇用安定センターに次のいずれかに該当するものに係る
  業務の全部又は一部を行わせるものとすること。

  (一) 港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するために必要な調査、指導又は
     助言を行うこと。

  (二) 港湾労働者派遣事業に関する事業主又は港湾労働者の苦情の処理を行うこ
     と。

  (三) 雇用管理者及び派遣元責任者に対する研修を行うこと。

  (四) その他港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するために必要な事業を行
     うこと。



 三 業務規程の認可

  (一) 港湾労働者雇用安定センターは、事業主支援業務(一(一)及び(二)の
     業務)及び雇用福祉事業関係業務の実施に関する規程を定め、又は変更しよ
     うとするときは、労働大臣の認可を受けなければならないものとすること。

  (二) 労働大臣は、(一)の業務規程が事業主支援業務又は雇用福祉事業関係業
     務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その業務規程を
     変更すべきことを命ずることができるものとすること。



 四 交付金等

  (一) 港湾労働者雇用安定センターは、事業主支援業務に係る経理、雇用福祉事
     業関係業務に係る経理及びその他の業務に係る経理をそれぞれ区分して整理
     しなければならないものとすること。

  (二) 国は、予算の範囲内において、港湾労働者雇用安定センターに対し、雇用
     福祉事業関係業務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を交付するこ
     とができるものとすること。




第四 雑則

 一 港湾労働者派遣事業に係る事業主の義務

   事業主は、その常時雇用する労働者以外の者を港湾運送の業務に従事させようと
  するときは、港湾労働者派遣の役務の提供を受けなければならないものとすること
  。ただし、当該港湾において港湾労働者派遣事業を営んでいるすべての港湾派遣元
  事業主に対し労働者の派遣を求め、又は港湾労働者雇用安定センターに対し労働者
  派遣契約の締結についてのあっせんを求めたにもかかわらず、港湾労働者派遣の役
  務の提供を受けられない場合はこの限りでないものとすること。



 二 公共職業安定所長に対する申告

  (一) 事業主がこの法律(第二を除く。)の規定に違反する事実がある場合にお
     いては、港湾労働者は、その事実を公共職業安定所長に申告することができ
     るものとすること。

  (二) 事業主は、(一)の申告をしたことを理由として、港湾労働者に対して解
     雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。




第五 罰則

   第二一(一)に違反して港湾労働者派遣事業を行った者その他この法律の関係規
  定に違反した者に対して、所要の罰則を科すこと。




第六 施行期日等

 一 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める
  日から施行するものとすること。



 二 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後
  の港湾労働法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、同法の規定につ
  いて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。


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