タイトル:賃金不払事件の件数昨年をさらに上回る (平成11年賃金不払事件の取扱状況について) 発 表:平成12年10月27日(金) 担 当:労働省労働基準局監督課 電 話 03-3593-1211(内線5427) 03-3502-6742(夜間直通)
全国の労働基準監督署が、平成11年(平成11年1月〜平成11年12月)にお いて取り扱った賃金不払事件(退職金の不払事件を含む。以下同じ。)の概況は、次 のとおりである。 1 平成11年に新たに把握した賃金不払事件は、件数で17,125件、対象労働者数で 56,676人、金額で約 217億 1,600万円である。 これらのうち、新規把握件数については、過去20年間で最高であった前年を 5.1%さらに上回り、対象労働者数も4.8%増加した。なお、金額は3年振りに減少 (前年比9.0%減)している。 2 平成11年に労働基準監督署が取り扱った賃金不払事件(平成10年に受理し、平 成11年まで処理を継続した賃金不払事件を含む。)の総数は、件数で19,968件、 対象労働者数で67,800人、金額で約 283億 600万円であり、前年に比し、件数 で7.4%、対象労働者数で6.1%、金額で1.6%、それぞれ増加している。 3 このような状況に対応するため、労働省では賃金不払事件に係る申告・相談に 対して迅速、的確な対応を図り、その早期解決に努めるとともに、倒産、事業主 の行方不明により解決が困難な事件について、未払賃金立替払制度の対象となる 労働者の早期の救済が図られるよう、その迅速かつ適正な運営に努めているとこ ろである。
平成11年の賃金不払事件取扱状況 I 新規把握の状況 …… 件数、対象労働者数は増加、金額は減少 平成11年に新たに把握した賃金不払事件の件数、対象労働者数は、次のとおり である。 (1) 件 数 17,125 件(対前年 830 件増) (対前年比 5.1 %増) (2) 対象労働者数 56,676 人( 同 2,584 人増) ( 同 4.8 %増) (3) 金 額 217億1,577万4千円( 同 21億4,067万8千円減) ( 同 9.0 %減) また、1件当たりの金額でみると126万8千円(対前年比19万 6千円減、13.4% 減)、対象労働者1人当たりの金額でみると38万3千円(対前年度比 5万8千円減、 13.2%減)となっている。 [主要統計図表 第1表、第2表、第3表、第5表及び図 参照] II 新規把握の業種別状況 …… 件数では建設業、対象労働者数及び金額では 製造業の構成比が最も高くなっている。 平成11年に新たに把握した賃金不払事件を業種別にみると件数では建設業( 23.9%)、商業(19.5%)、接客娯楽業(14.3%)の順に、対象労働者数では製造 業(25.4%)、建設業(19.0%)、商業(15.5%)の順に、金額では製造業( 33.4%)、建設業(20.7%)、商業(16.0%)の順に、それぞれ構成比が高くなっ ている。 1 構成比 (1) 件 数 建 設 業 4,090件(全業種中の構成比 23.9%) 商 業 3,336件( 同 19.5%) 接客娯楽業 2,451件( 同 14.3%) (2) 対象労働者数 製 造 業 14,369人( 同 25.4%) 建 設 業 10,748人( 同 19.0%) 商 業 8,779人( 同 15.5%) (3) 金 額 製 造 業 72億5,964万9千円( 同 33.4%) 建 設 業 44億9,663万7千円( 同 20.7%) 商 業 34億8,214万2千円( 同 16.0%) 2 各業種の状況 (1) 製造業 <1> 件 数 2,432 件(対前年比 0.0%減) <2> 対象労働者数 14,369 人( 同 1.2%増) <3> 金 額 72億5,964万9千円( 同 10.6%減) (2) 建設業 <1> 件 数 4,090 件(対前年比 6.9%増) <2> 対象労働者数 10,748 人( 同 0.6%減) <3> 金 額 44億9,663万7千円( 同 3.3%減) (3) 商業 <1> 件 数 3,336 件(対前年比 3.4%増) <2> 対象労働者数 8,779 人( 同 3.9%減) <3> 金 額 34億8,214万2千円( 同 14.0%減) (4) 接客娯楽業 <1> 件 数 2,451 件(対前年比 6.3%増) <2> 対象労働者数 6,750 人( 同 13.2%増) <3> 金 額 15億7,455万8千円( 同 2.1%減) [主要統計図表 第3表、第4表 参照] III 平成11年に労働基準監督署等において救済が図られた事件は、対象労働者 数で70,696人、金額で272億6,020万5千円となっている。 賃金不払事件のうち、平成11年中に救済が図られたもの、すなわち、(1) 労働 基準監督署の指導により使用者が賃金を支払ったもの又は(2) 企業の倒産により 「賃金の支払の確保等に関する法律」(昭和51年法律第34号。以下「賃確法」 という。)に基づく立替払によって未払賃金の一定部分に係る権利が実質的に救済 されたものの状況は、次のとおりとなっている。 (1) 労働基準監督署の指導に基づき使用者が賃金を支払い、解決されたもの <1> 件 数 10,170 件(対前年比 3.4%増) <2> 対象労働者数 24,687 人( 同 4.2%増) <3> 金 額 64億8,007万9千円( 同 4.1%増) (2) 賃確法に基づき労働福祉事業団が行った未払賃金の立替払の状況(労働福祉 事業団調べ) <1> 件 数 2,654企業(対前年比 17.2%増) <2> 対象労働者数 46,009 人( 同 22.5%増) <3> 金 額 207億8,012万6千円( 同 40.7%増) (賃確法に基づき、労働福祉事業団が行った未払賃金の立替払には、破産宣告等 の法律上の手続による倒産で、労働基準監督署の処理を経ることなく立替払し たものも含まれる。)