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A 管理棟内で作業に従事する者 0 破砕施設棟または焼却施設棟内に立ち入らない者 1 時に焼却施設棟内作業に従事するが焼却炉関連設備*内作業の支援は行 わない者 2 時に焼却炉関連設備内作業の支援を行う者 |
B プラットホームに立ち入りごみ搬入作業に従事する者 |
C バンカや集積場で灰固化物または鉄分・不燃物の積載作業に従事する者 |
D 破砕施設棟または焼却施設棟内で作業に従事する者 0 破砕施設棟またはクレーン操作室内作業のみに従事する者 1 焼却施設棟内作業に従事するが焼却炉関連設備内作業には従事しない者 2 焼却炉関連設備内作業に従事する者** |
*. 焼却炉、電気集じん機、排ガス洗浄装置等を示す。 **.D2以外で焼却炉関連設備内の作業に従事した者はない。 次に、表1を基に、清掃作業従事者を表2の4群に分類した。 今回、調査対象とした焼却従事者はIII群及びIV群の受診希望者であるが、一部 の焼却施設ではI群の受診希望者も対象とした。 表2 焼却施設関連度分類別による分類
群 | 対応する作業場所別分類カテゴリー |
I群 | A0, B, C, D0 |
II群 | A1 |
III群 | A2, D1 |
IV群 | D2 |
2 調査結果のまとめ (1)各施設の調査対象者 アンケート、健康調査を終了した調査対象者数は197名、作業歴調査を終了し た者は196名、ダイオキシン類の測定可能であった者は194名であった。調査対象 12施設の対象者のうち作業歴調査に参加した者(調査対象者)を焼却施設関連度 で分類すると表3のとおりであった。 表3 調査対象者の分類
施設No. | 分 類(人) | |||||
I | II | III | IV | その他 | 全体 | |
1101 1102 1103 1104 1105 1106 1107 1108 1109 1110 1111 1112 |
0 4(2) 0 1 2(1) 2(1) 0 0 1 1 2 1(1) |
0 0 1 3[1] 0 0 0 0 0 0 0 0 |
3 0 1 5 5 1 0 0 2 4[2] 1 0 |
17 16 18 9 12 11 19 19 11 13 3 8 |
0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 |
20 20 20 18 19 14 19 20 14 18 6 9 |
全体 | 14(5) | 4[1] | 22[2] | 156 | 1 | 197(5) [3] |
( )内は女性で内数 [ ]内は血液中ダイオキシン類濃度分析ができなかった者で内数 なお、各施設の調査対象者の合計人数は197名、(男性192名、女性5名)で、 平均年齢は45.1歳(男性45.3歳、女性40.0歳)であった。 (2)血液中ダイオキシン類の異性体別濃度 表4に血液中ダイオキシン類の異性体濃度を示した。TEQ値に未換算での各異性 体濃度はOCDDが極めて高値を示した。一方、OCDDを除いた血液中ダイオキシン類 の異性体濃度はD123678、D1234678が比較的高値を示す傾向がある。 表4 血液中ダイオキシン類の異性体別濃度(pg/g脂肪)(n=194)
平均値 | 中央値 | 標準偏差 | 最小値 | 最大値 | |
PCDD類 | |||||
D2378 | 1.0 | 0.8 | 0.7 | 0.2 | 4.7 |
D12378 | 5.8 | 5.1 | 3.9 | 0.5 | 24.9 |
D123478 | 2.2 | 1.9 | 2.0 | 0.2 | 23.1 |
D123678 | 28.1 | 23.1 | 17.0 | 6.3 | 98.0 |
D123789 | 3.7 | 2.9 | 2.8 | 0.3 | 15.2 |
D1234678 | 18.6 | 16.1 | 12.9 | 2.7 | 92.2 |
OCDD | 300.2 | 196.4 | 345.8 | 5.0 | 2852.7 |
PCDF類 | |||||
F2378 | 0.8 | 0.6 | 0.5 | 0.1 | 5.0 |
F12378 | 0.8 | 0.5 | 0.6 | 0.1 | 5.0 |
F23478 | 11.4 | 10.0 | 5.5 | 0.5 | 29.3 |
F123478 | 5.5 | 4.8 | 3.3 | 0.5 | 18.9 |
F123678 | 6.6 | 5.5 | 4.1 | 0.8 | 26.8 |
F123789 | 0.6 | 0.5 | 0.3 | 0.0 | 2.4 |
F234678 | 3.9 | 3.0 | 3.6 | 0.0 | 29.8 |
F1234678 | 7.9 | 5.5 | 8.1 | 0.5 | 60.7 |
F1234789 | 0.8 | 0.5 | 0.7 | 0.2 | 7.0 |
OCDF | 3.4 | 5.0 | 2.0 | 0.3 | 8.6 |
コプラナーPCB | |||||
PCB77 | 11.4 | 7.9 | 11.5 | 1.1 | 103.5 |
PCB126 | 69.0 | 51.6 | 56.5 | 2.7 | 351.8 |
PCB169 | 61.7 | 51.2 | 42.7 | 6.2 | 390.4 |
DTEQ | 10.4 | 9.4 | 5.6 | 3.2 | 30.7 |
FTEQ | 7.6 | 6.9 | 3.5 | 1.4 | 19.2 |
DFTEQ | 18.0 | 16.1 | 8.3 | 4.8 | 48.2 |
PCBTEQ | 7.5 | 5.6 | 5.9 | 0.4 | 36.3 |
TOTALTEQ | 25.5 | 22.7 | 12.6 | 5.2 | 71.3 |
(3)ダイオキシン類濃度 対象となった12施設の労働者の血液中ダイオキシン類濃度をみると、全体のダ イオキシン類血中濃度は25.5±12.6pg−TEQ/g脂肪(最小5.2〜最大71.3)であ った。これは日本人のバックグラウンド値とほぼ同じであり、従来の報告による と何らかの健康影響が生じるレベルにはないものである。また、焼却施設内作業 のI群、II群、III群及びIV群の血液中ダイオキシン類濃度は表5のとおりであり、 IV群が他の3群よりも高いという傾向は認められなかった。 表5 焼却施設関連度分類群別血液中ダイオキシン類濃度
群 | 人 数 | 平均値 (pg−TEQ/g脂肪) |
標準偏差 |
I | 14 | 19.99 | 7.88 |
II | 3 | 26.72 | 9.92 |
III | 20 | 25.51 | 14.04 |
IV | 156 | 25.99 | 12.74 |
合計 | 193 | 25.51 | 12.58 |
(4)血液中ダイオキシン類濃度と健康影響との関係 対象となった労働者の血液中ダイオキシン類濃度は、日本人のバックグラウン ド値とほぼ同じであり、何らかの健康影響が生じるレベルにはないと思われるが、 統計解析を行ったところ、次のような結果が得られた。 1)血液中ダイオキシン類濃度と血中鉛及び水銀濃度間に有意な相関(P<0.05) が認められた。 2)年齢と血液中ダイオキシン類濃度、血液中DF濃度及び血液中Co−PCB濃度は すべて正の相関(P<0.01)が認められた。体脂肪率との間では有意な相関は 認められない。 3)生化学検査と血液中ダイオキシン類濃度の相関をみると、血液中ダイオキシ ン類濃度とグリコHbA1C(P<0.01)の間で有意な相関、及び血液中Co−PCB濃度 とγ−GTP(P<0.01)、ロイシンアミノペプチターゼ(P<0.05)、アミラー ゼ(P<0.05)との間で弱いながら有意な相関が認められた。 4)生活習慣との関係では、現在喫煙している者に有意な相関が認められず、ま た飲酒者と血中ダイオキシン類濃度の間にも一定の傾向は認められなかった。 (5)皮膚所見結果 調査対象者の皮膚視診の結果は、通常の同年齢の一般人対照群でも見られるよ うな疾患は認められたが、ダイオキシン類へのばく露によると疑われる所見は認 められなかった。 3 まとめ 平成11年度調査調査対象施設は、平成9年9月末現在の厚生省への報告値を参考に、 煤煙中に高濃度のダイオキシン類が検出された施設のうち処理能力50トン/日程度 以上のものとしたが、対象となった12施設作業者の血液中ダイオキシン類濃度と健 康状態に関する調査結果をみると、全体のダイオキシン類血中濃度は25.5±12.6pg −TEQ/g脂肪(最小5.2〜最大71.3)であった。これは日本人のバックグラウンド 値とほぼ同じであり、従来の報告によると何らかの健康影響が生じるレベルにはな いものである。