タイトル:平成11年度「海外労働事情調査」の結果 日本企業の生産性、労働者の意欲は高く評価。しかし、解雇の不安は少なくない。 発 表:平成12年9月29日(金) 担 当:労働大臣官房国際労働課 電 話 03-3593-1211(内線5132、5133) 03-3502-6678(夜間直通)
労働省では、昭和62年から、(財)日本ILO協会への委託により「海外労働事情調 査」を実施しており、このほど、平成11年度の調査結果がまとまったので公表する。 調査の概要 1.調査の目的 海外広報、国際交流・協力等をより積極的かつ適切に実施するために、我が国の労 働事情に対する諸外国の認識、関心等の基礎資料を収集、分析することを目的とする。 具体的には、労働に関する一般国民の対日認識とその背景となるその国の企業の経営、 労務管理等の状況を国ごとに調査する。 2.調査対象国 アメリカ、フィリピン、韓国、ロシア及びベルギーの5カ国 3.調査方法 (1) 一般国民調査 各国の一般国民(18歳以上)に対し、平成11年10月から12月にかけて実施した。 調査対象数は各国とも500人で、調査方法は、アメリカ、ベルギーは電話調査、フ ィリピン、韓国、ロシアは訪問面接調査によった。 (2) 企業調査 各国企業の人事担当責任者に対し、平成11年10月から12月にかけて実施した。調 査対象数は各国とも200社で、業種では<1> 製造業、<2> 非製造業、従業員規模で は<1> 50人未満、<2> 50〜299人、<3> 300人以上で均等割当を行った。 4.調査結果のポイント 〔日本的雇用慣行等に対する各国の認識〕 1 企業関係者の間では日本企業の雇用保障に対する努力は認識されているものの 、国民調査では「日本では労働者は解雇の不安は少ない」との認識については不 同意が同意を上回っているが、アメリカ、フィリピンでは過去の調査と比べると 同意する者が減少した。 また、「日本の労働者は会社をよく変わる」との認識については国民調査も企 業調査も不同意が同意を上回っており、引き続き長期雇用が一般的であるとみら れている。 2 企業関係者の間では日本企業の生産性は高く、労働者は働く意欲が高いと評価 されている。 〔自国の労働事情に関する認識、労働観〕 3 各国とも国民調査で労働者の残業は多いとする者が多く、特にアメリカと韓 国で多い。労働者に対する教育訓練がよく行われているとする者はアメリカ、 フィリピン、ベルギーでは半数を超えている。 4 各国の労働観をみると、共通して、仕事を通じた社会への貢献、仕事のやりが いが重視されている。また、出世のためには多少つらいことも我慢し、一旦入社 したからにはできるだけ長く勤めるべきで、意思の疎通を図るためにも職場の人 とは職場以外や休日などもつきあった方がよいとしている。 収入が若干減っても労働時間が短くなる方がよいとする意見については、韓国 では同意する者が多く、ベルギーでは拮抗、他3カ国では不同意の者が多くなっ ており、特にフィリピン、ロシアでは不同意する者の割合が高い。 〔各国企業の労務管理等〕 5 各国企業においては、良質な労働力の確保、労働者の生産性向上等が共通した 課題となっており、過去の調査と比べてもその必要性は高まっている。 賃金の判断基準としては、仕事の成果、能力、責任の大小、勤務態度等仕事の 実績に関わる要素が上位にあげられている。 また、雇用調整への対応策としては、採用の制限、残業時間の削減、配置転換 が上位にあげられている。 調査結果 一般国民調査 企業調査