タイトル:労働災害の強度率は横ばいながら度数率は上昇
     −平成11年労働災害動向調査結果速報(甲調査)−

発  表:平成12年5月25日(木)
担  当:労働大臣官房政策調査部統計調査第二課
             電 話  03-3593-1211(内線5254・5258)
                  03-3502-6730(夜間直通)


[T 調査の概要]

 1 この調査は、主要産業における労働災害の発生状況を明らかにすることを目的
  として、半期ごとに労働災害動向調査甲調査(事業所規模 100人以上)及び年に
  1回同乙調査(同10〜99人)を実施しているものである。この度、平成11年に実
  施した甲調査の年間分をとりまとめた。

 2 調査の対象は、日本標準産業分類による8大産業(注)に属する100人以上の常
  用労働者を雇用する民・国・公営事業所(管理・事務部門のみの事業所を除く 。)
  及び労働者災害補償保険の概算保険料が100万円以上又は工事の請負金額が
  1億2,000万円以上の工事現場のうち総合工事業に該当するもののうちから一定の
  方法により抽出した約16,000事業所である。

 (注)林業、鉱業、建設業(職別・設備工事業)、製造業、電気・ガス・熱供給・
   水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店(飲食店を除く。)及びサービ
   ス業(洗濯業、旅館、ゴルフ場、自動車整備業、機械修理業、建物サービス業
   及び廃棄物処理業)。

 3 調査産業計は、建設業のうちの総合工事業を除いて集計している。
 
 4 平成4年から調査対象産業の追加〔卸売・小売業,飲食店(飲食店を除く。)及
  びサービス業のうち旅館、ゴルフ場〕を行ったため平成3年以前との時系列比較
  には、注意されたい。
  
 
[U  結果の概要]

【骨   子】

 1 調査産業計の度数率(災害発生の頻度を表す。)は1.80で前年と比べ上昇

 (1) 調査産業計(総合工事業を除く。) の平成11年の労働災害度数率は1.80で、
    前年と比べ0.08ポイント上昇した(第1表,第1図, 第2図)。

 (2) 産業別にみると、度数率は運輸・通信業の4.54が最も高く、次いでサービ
    ス業の3.65、林業の2.47の順となっている(第1表, 第2図)。

 (3) 前年との比較でみると、上昇したのは、運輸・通信業0.48ポイント、鉱業
    0.24ポイント、卸売・小売業,飲食店(飲食店を除く。)0.17ポイントなど
    である。一方、低下したのは、林業3.00ポイント、サービス業0.71ポイント、
    電気・ガス・熱供給・水道業0.17ポイント、建設業(職別・設備工事業)
    0.10ポイントである(第1表)。

 2 調査産業計の強度率(災害の重さの程度を表す。)は0.14で前年と比べ横ばい

 (1) 調査産業計(総合工事業を除く。) の強度率は、比較可能な平成4年以来
    最も低い水準の0.14で、前年と比べ横ばいとなった(第1表第1図, 第2図)。

 (2) 産業別にみると、強度率は鉱業の0.42が最も高く、次いで運輸・通信業の
    0.30、建設業(職別・設備工事業)の0.24、サービス業の0.22の順となって
    いる(第1表, 第2図)。

 (3) 前年との比較でみると、上昇したのは、建設業(職別・設備工事業)0.07
    ポイント、サービス業0.06ポイントなどである。一方、低下したのは、鉱業
    0.33ポイント、運輸・通信業 0.12ポイント、電気・ガス・熱供給・水道業
    0.03ポイントなどである(第1表) 。

 3 調査産業計の死傷者1人平均労働損失日数(死傷者1人当たりの強度を表す。)
   は79.2日で前年と比べ減少

 (1) 調査産業計(総合工事業を除く。)の死傷者1人平均労働損失日数は、平
    成4年以来7年ぶりに80日を割って79.2日となり、前年と比べ5.1日減少し
    た(第1表, 第1図)。

 (2) 産業別にみると、死傷者1人平均労働損失日数は建設業(職別・設備工事
    業)の327.2日が最も多く、次いで鉱業の304.1日、製造業の117.7日の順と
    なっている(第1表)。

 (3) 前年との比較でみると、増加したのは建設業(職別・設備工事業)127.9
    日、サービス業23.7日、製造業13.6日などである。一方、減少したのは、鉱
    業357.1日、運輸・通信業38.2日、電気・ガス・熱供給・水道業30.0日であ
    る(第1表)。

 4 総合工事業の度数率は 1.44、強度率は 0.30、死傷者1人平均労働損失日数
   211.8日

   総合工事業の度数率は1.44、強度率は0.30となり、強度率は昭和61年以降最低
  となった。死傷者1人平均労働損失日数は211.8日となり、これは過去5年間で
  最小となった。前年と比べ度数率は0.12ポイントの上昇、強度率は0.09ポイント
  の低下、死傷者1人平均労働損失日数は85.4日の減少となった
  (第1表, 第2図, 第3図)。


【用語の説明】

 ◎ ここでいう「労働災害」とは、労働者が業務遂行中に業務に起因して受けた負
  傷又は疾病(休業1日以上及び身体の一部または機能を失うもの。ただし、疾病
  はいわゆる災害性疾病に限り、食中毒、伝染病及び遅発性の疾病は除く。)及び
  死亡をいう。なお、通勤災害による負傷、疾病及び死亡は除く。

 ◎ 労働災害の状況は次の労働災害率(度数率及び強度率)並びに労働損失日数で
  表す。

 ・「度数率」とは、 100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害
  発生の頻度を表す。
労働災害による死傷者数
      

算出方法

 ─────────────── 

× 1,000,000

延実労働時間数
  (注)同一人が2回以上被災した場合には、死傷者数はその被災回数として算出
     している。
 ・「強度率」とは、 1,000延実労働時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの程
  度を表す。
延労働損失日数
      

算出方法

 ─────────────── 

× 1,000

延実労働時間数

 ・「延労働損失日数」とは、労働災害による死傷者の延労働損失日数をいう。
   労働損失日数は次の基準により算出する。

     死亡……………………7,500日
     永久全労働不能………別表の身体障害等級1〜3級の日数(7,500日)
     永久一部労働不能……別表の身体障害等級4〜14級の日数
                        (級に応じて50〜5,500日)
     一時労働不能…………暦日の休業日数に300/365を乗じた日数
    

















  















死亡 …… 労働災害のため死亡したもの(即死のほか負傷が
原因で死亡したものを含む。)をいう。
永久全労働不能 …… 労働基準法施行規則に規定された身体障害等級表
の第1級〜第3級に該当する障害を残すものをい
う。
永久一部労働不能 …… 身体の一部を完全にそう失したもの、又は、身体
の一部の機能を永久に不能にしたものすなわち、
身体障害等級表の第4級〜第14級に該当する障
害を残すものをいう。
一時労働不能 …… 災害発生の翌日以降、少なくとも1日以上は負傷
のため労働できないが、ある期間を経過すると治
ゆし、身体障害等級表の第1級〜第14級に該当
する障害を残さないものをいう。
  
別表      身体障害等級別労働損失日数表             
    
身体障害
等級(級)
1〜3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
労働損失
日数(日)
7,500 5,500 4,000 3,000 2,200 1,500 1,000 600 400 200 100 50

〔利用上の注意〕

 1) サービス業は、洗濯業、旅館、ゴルフ場、自動車整備業、機械修理業、建物サ
  ービス業及び廃棄物処理業の7業種をいう。
 2) 産業分類は、原則として日本標準産業分類によるが、「E09総合工事業」につ
  いては、労災保険率適用事業細目番号を分類して使用している。又、「G3514火
  力発電業」、「H392 鉄道車両修理工場」については、労働災害の特殊性を考慮
  して日本標準産業分類の内容とは異なる独自の区分としている。
 3) 統計表の符号の用法は次のとおりである。
   「 0 」労働災害による死傷者数がないもの。
   「 0.00 」小数点第3位において四捨五入しても小数点第2位に満たないもの
   「 − 」該当事業所がないもの。
   「 * 」事業所数が少ないため公表しないもの。

 

調査結果


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