見直し状況の中間公表 <業務独占資格等>
資格名 |
社会保険労務士 |
1 見直しの スケジュール |
(1)見直し開始時期 平成12年3月 (2)結論予定時期 平成12年度中 (3)措置予定時期 見直しの基準・視点に基づき改善を行うことを検討して いる事項については、その検討結果に基づきできるだけ速 やかに所要の措置を講ずる予定としている。 |
2 見直しの体制 | (1)主管課 労働大臣官房労働保険徴収課 (共管省庁:社会保険庁運営部企画課) (2)責任者の官職氏名 労働大臣官房労働保険徴収課長 羽毛田 守 (社会保険庁運営部企画課長 植村 尚史) (3)担当人数 4人(厚生省担当人数 4人) (4)見直し方法 労働省、社会保険庁の担当課長及び全国社会保険労務士 会連合会の理事等により構成する 「規制緩和対策検討会 (仮称)」を設置し、見直しの基準・視点のうち指摘され た事項等について検討を行う予定。 |
3 当該資格に係る 過去の指摘及びこ れに対する対応 |
特になし |
4 当該資格に係る 制度改正の状況 |
(1)改正年度 昭和53年度 (2)改正内容 ・ 社会保険労務士の行う業務に、事業主等が行政機関等に 提出する書類の提出手続の代行業務を加えることとした。 ・ 社会保険労務士は都道府県ごとに一個の社会保険労務士 会を、 また全国の社会保険労務士会は全国社会保険労務士 会連合会を設立することができることとした。 ・ 行政機関は、広報、調査等について、社会保険労務士会 又は全国社会保険労務士会連合会に協力を求めることがで きることとした。 (3)背景事情 昭和43年に社会保険労務士制度が法制化され、10年近く 経過してきたが、その間労働及び社会保険に関する法令は 整備拡充が図られ、その内容も複雑かつ専門的なものとな ってきた。それに伴い、社会保険労務士の果たす役割も量 的・質的に著しく拡大された。このような実情にかんがみ 、それまでの社会保険労務士制度の発展と実績を踏まえて 、業務の拡大・充実、法定団体の設立等に関する規定の整 備を行うこととなった。 (1)改正年度 昭和56年度 (2)改正内容 ・ 提出手続の代行業務を、事業主等に係るものに限らず、 労働社会保険諸法令に基づくすべての申請書等について行 うことができることとした。 ・ 社会保険労務士は、審査事項等を記載した書面の添付等 ができることとした。 ・ 社会保険労務士となるためには、社会保険労務士試験の 合格に加えて、2年以上の実務経験を必要とすることとし た。 ・ 免許制を登録制に改め、登録事務は全国社会保険労務士 会連合会が行うこととした。 ・ 社会保険労務士会の会員でない者は、他人の求めに応じ 、報酬を得て、申請書等の作成事務、提出代行事務等を業 として行うことが原則としてできないこととした。 (3)背景事情 昭和53年度の改正法の成立に際し、衆・参両院において 、できるだけ早い機会に、登録制への移行及び業域の明確 化を図る旨の付帯決議が付されていたことを受け、また先 の改正後、全国的な法定団体が設立され、社会保険労務士 の組織化が進展し、かつ全国社会保険労務士会連合会の事 務処理も著しく向上してきたことも踏まえ、制度の一層の 整備充実を行うこととなった。 (1)改正年度 昭和61年度 (2)改正内容 ・ 社会保険労務士は、労働社会保険諸法令に基づく申請等 について、又は当該申請等に係る行政機関等に対する主張 、陳述について、事務代理ができるものとした。 ・ 事務所に勤務する、いわゆる勤務社会保険労務士につい て、事業所の名称等の登録を義務付けるとともに、その勤 務する事業所の事務処理の適正化等に努めるものとした。 ・ 社会保険労務士の資質の向上を図るため、社会保険労務 士会等の行う研修について、社会保険労務士は、その受講 に努めるものとするほか、事業主も、勤務社会保険労務士 にその受講の機会を与えるよう努めるものとした。 (3)背景事情 昭和53年、56年の2度の法改正により、士業団体として の必要な整備が図られてきたが、昭和53年以来の懸案事項 である代理権の導入等未達成の事項があり、また、社会情 勢の変化に伴う労働及び社会保険諸制度の大幅な整備改善 に対応すべく制度の見直しが図られることとなった。 (1)改正年度 平成5年度 (2)改正内容 ・ 社会保険労務士は、社会保険労務士名簿に登録を受けた 時に、 当然、社会保険労務士会の会員となるものとした。 ・ これに伴う経過措置として、改正法の施行の際、現に社 会保険労務士会の会員でない社会保険労務士が、法施行後 3年の間に社会保険労務士会の会員とならなかったときは 、その登録を抹消するものとした。 ・ 社会保険労務士が行う労働に関する相談・指導業務につ いて、 その重点が、労務管理に関する相談・指導にあるこ とを明確にした。 ・ 開業社会保険労務士の業務に関する帳簿の保存期間を、 1年から2年に改めるものとした。 (3)背景事情 先の法改正から5年が経過し、その間社会経済及び労働 環境は、近年になく急激に変化し、それに伴い労働社会保 険諸法令が次々と整備が図られていくなかで、社会保険労 務士制度を取り巻く情勢も大きく変化しつつあった。それ らの状況に対応すべく、社会保険労務士制度を見直すこと となった。 (1)改正年度 平成10年度 (2)改正内容 ・ 主務大臣は、社会保険労務士試験の試験事務を、合格の 決定に関するものを除き、全国社会保険労務士会連合会に 行わせることができることとした。 ・ 社会保険労務士が労働社会保険諸法令に基づく不服申立 てについて代理業務を行うことができることとした。 ・ 社会保険労務士会は、所属の社会保険労務士が、社会保 険労務士法若しくはこの法律に基づく命令等に違反するお それがあると認められるときは、会則の定めるところによ り、当該社会保険労務士に対して、注意を促し、または必 要な措置を講ずべきことを勧告することができることとし た。 (3)背景事情 急増する受験者に対応して、社会保険労務士試験を安定 かつ効率的に実施する体制確保が急務となり、また「規制 緩和3か年計画」においても試験事務の外部委託化をする こととされた。 また、社会保険労務士の取り扱う事務の高度化、複雑化 に伴い、社会保険労務士の業務の追加等、法の諸制度を整 備する必要性が増加した。 これらの状況に対応すべく制度の見直しが図られること となった。 |
5 見直しの基準・ 視点に基づく 見直しの状況 (1)基準・視点@ 【業務独占範囲の 見直し、相互 乗り入れ】 |
司法制度改革審議会等の検討状況を踏まえ、士業団体などの関 係各所と調整を行いながら、社会保険労務士が訴訟代理を行うな どについて、検討をしていく。 |
(2)基準・視点A 【廃止を含め 在り方検討】 |
該当しない。 (理由) 社会保険労務士法により、社会保険労務士でない者が、他人 の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士法第2条第1項第1 号から第2号までに掲げる事務を行うことを禁じているのは、 社会保険労務士制度の確立と社会保険労務士に事務処理を委託 しようとする者の利益を保護するためである。 すなわち、その趣旨とするところは、経済社会情勢の著しい 変貌とともに、量的、質的に複雑化し、多様化した労働・社会 保険に関する法令に基づく事務処理には、高度に専門的な知識 、経験を必要とすることから、当該事務に従事しようとする者 に所要の能力を得させることによって業務の適正な処理を保障 するとともに、所要の能力を有しない者が不適切な業務処理を 行うことによって委託者の利益を害したり、また委託者の無知 に乗じて著しく高額な報酬を受けるなどの弊害を防止すること にある。 このような必要性にかんがみ、社会保険労務士試験制度、業 務制限などを設けているところであり、社会保険労務士制度を 廃止し、当該業務を誰にでも自由に行わせることは、困難なも のと考える。 |
(3)基準・視点B 【資格試験の 実施】 |
該当しない。 (理由) 社会保険労務士法第10条に基づき、毎年1回試験を実施して いる。 |
(4)基準・視点C 【明確で合理的な 理由のない受験 資格要件の廃止】 |
社会保険労務士は公の信用力を背景に業務を行うものであり、 それに必要な基礎知識を有していると認められる者に受験資格を 付与しているところであるが、専門学校卒業者の取扱いを含め基 礎知識の判定方法や受験資格の必要性などについて、今後、検討 を行う。 (見直し時期) 12年度中に検討を行い、その検討結果に基づきできるだけ 速やかに所要の措置を講ずる予定。 |
(5)基準・視点D 【受験前の実務 経験、 試験合格 後の講習等の 在り方】 |
該当しない。 (理由) 受験前の実務経験、試験合格後の講習等について、義務付け はしていない。 |
(6)基準・視点E 【障害等を理由と する欠格事由】 |
該当しない。 (理由) 障害又は性別は欠格事由としていない。 |
(7)基準・視点F 【受験資格及び 資格取得に係る 特例認定基準の 明文化・公表】 |
受験資格及び免除資格に係る認定基準については、更なる明確 化を図るため、受験案内等で公表することを検討している。 (見直し時期) 12年度中に検討を行い、その検討結果に基づきできるだけ 速やかに所要の措置を講ずる予定。 |
(8)基準・視点G 【合格者数の 見直し】 |
社会保険労務士試験は、社会保険労務士となるのに必要な知識 及び能力を有するかどうかを判定することを目的とするものであ るので、当該能力を有すると認められる者を合格者と判定してお り、事前に一定の合格率を定める等の排除は行っていない。 また、社会保険労務士の需要と供給などの関係で合格者を決定 するような運用は行っていない。 しかし、規制改革委員会の2次見解で述べられているとおり、 合格者数制限を行っているとの疑いを持たれぬよう、見直しの基 準・視点Iに留意していくこととしている。 |
(9)基準・視点H 【関連・類似資格の 統合、試験・講習科 目の共通化・免除、 履修科目の免除】 |
該当しない。 (理由) 社会保険労務士の業務及び試験科目は専門性の高いものであ り、関連・類似資格等はなく、共通する法律又は科目はない。 |
(10)基準・視点I 【合否判定基準、配 点、模範解答等の公 表、不合格者に対す る成績通知、合格発 表の迅速化】 |
合格判定基準の公表等については、受験資格等を含めた試験方 法の見直しの中で検討していくこととしている。 また、不合格者への成績通知や合格発表の迅速化については、 全国社会保険労務士会連合会の試験事務実施体制や必要な経費等 を含めて検討していく。 (見直し時期) 12年度中に検討を行い、その検討結果に基づきできるだけ 速やかに所要の措置を講ずる予定。 |
(11)基準・視点J 【資格取得の 容易化】 |
社会保険労務士の業務は、労働社会保険諸法令に基づく書類の 作成・提出・事務代理など非常に専門性が高いものであるため、 単に資格取得の容易化を図ることはいかがかと考えるが、受験資 格の見直し、合格基準の公表の必要性などを含めた試験方法の見 直しの中で、併せて検討していく。 (見直し時期) 12年度中に検討を行い、その検討結果に基づきできるだけ 速やかに所要の措置を講ずる予定。 |
(12)基準・視点K 【受験料の積算根拠 の精査】 |
該当しない。 (理由) 受験手数料は、平成12年2月18日公布の社会保険労務士法施 行令の改正において、見直しを行ったところである。 |
(13)基準・視点L 【登録・入会制度の 在り方】 |
社会保険労務士会は、社会保険労務士の品位を保持し、その資 質の向上と業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関 する事務を行うことを目的としており、そのような自治的活動を 十分に機能させていく上で、登録即入会制は必要なものと考えて いる。 しかし、登録即入会制度の在り方については、規制改革委員会 等から様々な見解が示されているところであり、所管省庁として も、関係各所と調整を図りながら検討を深めていく。 |
(14)基準・視点M 【報酬規定の 在り方】 |
全国社会保険労務士会連合会が定める報酬基準は各都道府県社 会保険労務士会が報酬の基準額を定める際の参考となるものであ り、また各都道府県社会保険労務士会が定める報酬の基準額につ いても、あくまでも実際に社会保険労務士と依頼者が契約する際 の目安となるものであり、社会保険労務士が受けとる報酬の最高 額又は最低額を定めているものではない。これは依頼者が不当に 多額の報酬を求められたりすることのないようにするためのもの である。 しかし、他士業においても、会則等の記載事項から報酬規定が 削除されているものもあることから、報酬基準の在り方について は、その運用の実態も踏まえて検討していく。 |
(15)基準・視点N 【広告規制の 在り方】 |
全国社会保険労務士会連合会が作成している倫理規程上の広告 規制が、公正有効な競争を妨げるものになっているとの指摘もあ ることから、その運用の実態も踏まえて検討する。 (見直し時期) 12年度中に検討を行い、その検討結果に基づきできるだけ 速やかに所要の措置を講ずる予定。 |
(16)基準・視点O 【有効期間・定期 講習の合理性】 |
該当しない。 (理由) 有効期間・定期講習はない。 |
(17)基準・視点P 【法人制度の検討】 |
社会保険労務士業務を行うことは、一定の資格を有する自然人 に限り許すものとしていることから、法人がこれを行うことは法 律上禁止されるものと解している。 しかし、近年、労働・社会保険に関する法令の内容が複雑多様 化している中で、士業団体においても社会保険労務士事務所の法 人化の議論がなされていることは承知しており、士業団体の議論 の動向も踏まえ検討していく。 |
(18)基準・視点Q 【資格者数の増大】 |
該当しない。 (理由) 開業している社会保険労務士は、平成12年12月現在で 15,005人になっており、10年前と比較して約30%以上増加し ている。(平成2年12月11,307人) |
6 上記以外の 視点に基づく 見直し事項 |
社会保険労務士の事務代理及び付記の対象項目については、社 会保険労務士の業務内容の充実、行政事務の円滑な処理の観点か ら見直しを検討することとしている。 (見直し時期) 12年度中に検討を行い、その検討結果に基づきできるだけ 速やかに所要の措置を講ずる予定。 |
担当部局・担当者名 | 労働大臣官房労働保険徴収課 野田、名和 電話 03−3593−1211(内線5161) |