平成7年労働組合活動等実態調査結果概要

I. 調査の概要

 この調査は、労働環境が変化する中での労働組合の活動状況を明らかにすることを目的としたものである。
 調査対象は、日本標準産業分類による鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業の9大産業に属する民営企業における労働組合員数規模100人以上の単位労働組合(合同労組は除く。)のうちから抽出した約5,000労働組合である。
 調査は平成7年7月に実施し、調査対象期日は平成7年6月30日現在(ただし、一部の事項については過去3年間)である。回収率は、84.2%であった。




U. 調査結果の概要

 骨  子 

 リストラと労働組合の対応
@  所属する事業所において、過去3年間に事業部門の再編成・撤退・縮小(以下 「リストラ」という)が「実施された」とする組合は41.8%である。
A   リストラの実施に伴い、使用者側から提示された事項(複数回答)は、「配置転換(転居を伴わない)」(56.6%)の割合が最も高く、次いで、「出向・転籍 」(47.7%)、「配置転換(転居を伴う)」(35.6%)、「早期退職優遇制度の創設、活用」(24.5%)等の順となっている。
B   リストラが実施された組合のリストラの実施に対する認識は、「リストラの実施は避けられないとしても、労働条件の変更は最小限にとどめるべきである」が 57.9%と約6割を占め、「リストラを実施する必要性はない」とする組合は、3.7 %となっている。


 出向問題と労働組合の対応
@  在籍出向(以下「出向」という)している組合員が「いる」組合は48.4%である。また、「出向している組合員はいない」とする組合(51.6%)のうち、「現在労使間で出向問題が話し合われている」組合は7.7%である。
A  3年前と比較して組合員の出向者数が「増加した」組合(49.1%)の、組合員の出向者数が増加した最も重要な理由は、「企業経営の多角化の進展のため」(36.3%)の割合が最も高く、次いで、「リストラに伴う雇用人員の削減のため」(20.8 %)、「従業員教育・子会社等への技術指導が増加したため」(14.7%)等の順となっている。
B  出向による組合員資格の取扱いを「継続する」が約9割(88.3%)を占め、「なくなる」のは3.0%である。
C  組合が出向問題で最も重視している事項は「出向者の賃金等の労働条件の維持」(80.3%)の割合が最も高く、次いで、「期間を区切って出向させる」(13.1%)等となっている。


 管理職の組織化について
@  課長クラス以上の管理職が「組合員になれる」組合は2割(20.4%)で、加入状況は、課長クラス(ライン)及び課長クラス(ライン以外)では、「おおむね全員が組合員である」組合がそれぞれ63.0%、62.6%と6割以上であり、部長・次長クラスでは「おおむね全員が非組合員である」組合が79.7%と約8割を占める。
 「管理職が組合員になれない」とする組合(79.6%)のうち、組合員資格の見直しを検討中又は検討する予定のある組合は14.7%である。
A  過去3年間に課長クラス以上の管理職の加入者数が「増加した」組合(14.3%)の、加入増加の最も重要な理由は、「中高年齢化で課長クラス以上の管理職が増加したため」(39.2%)の割合が最も高く、次いで、「課長クラス以上の管理職に関する組合員資格の見直しを行ったため」(24.3%)となっている。
B  管理職の組合加入に対する組合の考え方は、「メリットが大きい」20.8%、「デメリットが大きい」10.0%、「どちらともいえない」69.0%となっている。


 人事・賃金制度の改定について
@  過去3年間に人事・賃金制度の改定が実施されたとする組合は42.9%で、改定の内容(複数回答)は、「職能資格制度の見直し、導入」(52.3%)の割合が最も高く、次いで、「能力主義・実績主義の導入、強化」(47.3%)、「職務給の見直し、導入」(34.2%)等の順となっている。
A  人事・賃金制度の能力主義化、能力給化についての組合の認識は、「労働者の能力評価方法が妥当であれば、納得できる」とする割合が44.0%と最も高く、次いで「やむを得ない動きだとしても、それによって労働者が不利にならないような措置が必要である」(34.2%)の割合が高い。


(注)  「単位労働組合」とは、支部、分会等下部組織を有しない「単位組織組合」及び支部、分会等下部組織を有する労働組合(単一組織組合)の最下部組織である「単位扱組合」をいう。


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