労 働 省 発 表
平成8年10月
 

 
労働大臣官房政策調査部
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パートから正社員への転換制度は約4割
パートの勤続・就労期間は長期化

〔平成7年パートタイム労働者総合実態調査結果速報〕



I 調査の概要
   この調査は、パートタイム労働者の雇用管理、就業状況の実態、労働者の意識等を把握し、今後のパートタイム労働対策に資することを目的として、平成7年10月に実施した。
 事業所調査は、主要9大産業(鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業(家事サービス業、外国公務を除く))に属する常用労働者を5人以上雇用する事業所のうち約13,000事業所(有効回答率86.1%)に対して実施した。
 個人調査は上記事業所に平成7年10月1日現在で雇用されている労働者のうち、正社員以外のパート等労働者から、約30,000人(有効回答率97.0%)を対象に実施した。
 調査の内容は原則として平成7年10月現在の状況である。
 前回は平成2年に「パートタイム労働者総合実態調査」を行った。
 用語については、正社員以外の労働者を「パート等労働者」とし、これを「パート」、「その他」に分けた。それぞれの用語の定義は下表のとおりである。前回の調査結果との比較では、「パート」は前回の「Aパート」と、「その他」は前回の「Bパート」と対応させた。しかし、下表のとおり両者の間には若干の相違があるので前回比較の際には注意が必要である。

パ ー ト 等 労 働 者
パート 今 回 前 回
正社員以外の労働者で、名称に関わらず1週間の所定労働時間が正社員より短い労働者。 正社員以外の労働者で、名称に関わらず1日の所定労働時間が正社員よりも短い、または、1日の所定労働時間が正社員と同じでも、1週の所定労働日数が正社員よりも少ない労働者。
出稼・季節労働者を除く。
(前回調査時の用語は「Aパート」)
その他 正社員以外の労働者で、1週間の所定労働時間が正社員と同じか長い労働者。 正社員以外の労働者で、所定労働時間が正社員とほぼ同じ労働者。出稼・季節労働者を除く。
(前回調査時の用語は「Bパート」)



II 調査結果の概要
 〔 骨 子 〕
 <<事業所調査>>
   パート等労働者数798万人、全労働者数に占める割合は17.8%。
(1) パート等労働者数は798万人、うち「パート」669万人、「その他」130万人。産業別のパート等労働者数は卸売・小売業,飲食店354万人、サービス業213万人、製造業154万人。規模別には、5〜29人215万人、1,000人以上167万人となっている。
(2) 全労働者に占めるパート等労働者の割合は17.8%、うち「パート」14.9%、「その他」2.9%。
(3) パート等労働者が従事している職業は「販売・営業」25.5%、「技能工・生産工」19.0%、「サービス」17.6%、「事務」13.2%などにまたがっている。
 パートの雇用理由では「人件費が割安だから」の割合が高く、前回より上昇。
「パート」の雇用理由(複数回答)は、「人件費が割安だから」38.3%、「1日の忙しい時間帯に対処するため」37.3%、「簡単な仕事内容だから」35.7%、「業務が増加したから」29.8%等が高い割合となっている。前回と比較すると、「人件費が割安だから」、「仕事量が減ったときに雇用調整が容易だから」、「簡単な仕事内容だから」が上昇しているが、前回高い割合を示した「業務が増加したから」、「学卒等一般の正社員の確保が困難だから」、「人が集めやすいから」は今回大きく低下している。
 「パート」採用時の書面での労働条件の明示、「パート」専用の就業規則を適用する事業所割合は前回より上昇。「パート」から正社員への転換制度は42.2%。
(1) 「パート」採用時の労働条件の明示は「主に口頭で説明」が59.6%と最も高いが、前回より低下。
「主に雇入通知書等書面で交付」は24.6%で前回より上昇している。
(2) 「パート」に就業規則を適用している事業所割合は66.2%。このうち「正社員の就業規則を準用」が52.6%、「専用の就業規則を適用」が40.6%、「正社員の就業規則に特別規定を追加」が6.8%。前回との比較では「専用の就業規則を適用」が上昇し、他は低下。
(3) 「パート」から正社員への転換制度がある事業所割合は42.2%。また、正社員から「パート」への転換制度は30.2%。
 「パート」の定期昇給、ベースアップの適用は約3割、賞与は約6割。
(1) 賃金面での「パート」への適用状況(複数回答)をみると、定期昇給29.4%、ベースアップ30.7%、賞与56.4%、各種の手当では通勤手当70.2%、精勤手当13.3%となっており、役職手当、家族手当、住宅手当の割合が低い。また前回より定期昇給、ベースアップ、賞与の割合が低下している。
(2) 福利厚生面での「パート」の状況(複数回答)を見ると「慶弔見舞金」58.2%、「社員旅行」53.0%、「社内レクリェーション施設・行事の参加」52.0%、「定期健康診断」47.4%となっている。
(3) 「パート」に対する教育訓練(複数回答)では「入社時導入教育」39.2%、「接客教育」32.3%、「OJT」24.6%、「技能教育」22.4%。


 <<個人調査>>
   「パート」の勤続期間、就労期間の長期化。
 「パート」の今の会社での平均勤続期間は4.6年、「パート」としての平均通算就労期間は6.7年。
前回よりそれぞれ0.6年、0.9年長期化している。
 「パート」で働く理由として「家計の足しにするため」、「パート」を選んだ理由として「自分の都合のよい時間に働きたいから」が多い。
(1) 「パート」で働く理由(複数回答)として「家計の足しにするため」53.5%、「生活を維持するため」33.8%、「余暇時間利用のため」27.0%が多い。前回との比較では「生活を維持するため」が若干上昇し、「家計の足しにするため」、「余暇時間利用のため」が低下している。
(2) 「パート」を選んだ理由(複数回答)として「自分の都合のよい時間に働きたいから」55.0%、「勤務時間・日数を短くしたいから」24.0%、「仕事の内容に興味がもてたから」19.6%、「家事・育児の事情で正社員として働けないから」15.4%、「正社員として働ける会社がないから」13.7%が多い。前回との比較では「仕事の内容に興味がもてたから」が若干上昇し、「正社員として働ける会社がないから」がほぼ横ばい、「自分の都合のよい時間に働きたいから」、「勤務時間・日数を短くしたいから」、「家事・育児の事情で正社員として働けないから」は低下している。
 「パート」の1週間の平均出勤日数は4.7日、前回よりも減少。
(1) 「パート」の1日の平均所定労働時間は5.6時間で前回と同じ。1週間の平均出勤日数は4.7日で前回より0.4日減少。
(2) 「パート」の賃金支払形態は時間給が85.8%と多い。その平均時間給は856円(前回705円)。
(3) 「パート」の平成6年1月〜12月までの年間収入は平均で113万5千円(前回(5年前)99万5千円)。
 「パート」の役職者割合は4.6%に上昇。
 「パート」の役職に就いている割合は4.6%で前回の3.3%より上昇。
 職階別には「班長、グループリーダークラス」が62.6%と最も高く、次いで「主任クラス」の14.8%となっている。
 所得税に対応して就労調整をする「パート」は31.6%で前回より上昇。
   所得税の非課税限度額(103万円)に対して就労調整をする「パート」は31.6%(前回26.4%)で前回より上昇。
 また「関係なく働く」も27.8%(同24.2%)で前回より上昇。一方「限度を超えない」は18.5%(同26.1%)で前回より大きく低下。


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