労 働 省 発 表
平成8年10月
 

 
労働大臣官房政策調査部
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労働費用は法定福利費と退職金等の費用で増加
出向時に出向期間を定めている企業は4割弱

−平成7年賃金労働時間制度等総合調査結果速報−


 この調査は、我が国の賃金制度、労働時間制度等の実態を明らかにするため毎年実施しているが、平成7年調査では労働時間制度、労働費用及び出向制度について実施した。

I 調査の概要

   調査の対象は、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業の9大産業(日本標準産業分類)に属し、本社の常用労働者が30人以上の民営企業(会社組織に限る。母集団数約104,000社)のうちから抽出した5,300社(有効回答率96.5%)である。

 調査対象期日は、平成7年12月末日現在である。
ただし、年間のデータは、平成7年1年間(又は平成6会計年度)である。


(注) 1)  「労働時間制度」については、期間をきめずに雇われている常用労働者(パートタイム労働者及び船員は除く。)についての調査結果であり、「労働費用」は、全常用労働者の調査結果である。
2)  本調査においては、「大企業」とは常用労働者1,000人以上の企業を、「中企業」とは常用労働者100〜999人の企業を、「小企業」とは常用労働者30〜99人の企業をいう。
3)  統計表等に用いてある符号等は、次のとおりである。「M.A.」は、複数回答の統計表であることを示すもので、構成比の合計は必ずしも100.0にはならない。「−」印は、該当数値が得られないもの、「…」印は、未調査、未集計のため数値が計上できないものをそれぞれ示す。


II 調査結果の概要

〔骨子〕

   労働時間制度
(1) 週休2日制
 平成7年12月末日現在で、「何らかの週休2日制」を採用している企業数割合は90.3%、適用労働者数割合は96.2%で、それぞれ前年に比べ1.7ポイント、0.8ポイントの上昇。「完全週休2日制」を採用している企業数割合は26.0%、適用労働者数割合は57.8%。
(2) 週所定労働時間
 週所定労働時間は、1企業平均41時間4分、労働者1人平均39時間25分で、前年と比べ1企業平均では9分、労働者1人平均では8分の短縮。
(3) 年間休日総数
 年間休日総数は、1企業平均101.0日、労働者1人平均111.0日。このうち、週休日は、1企業平均82.9日、労働者1人平均93.6日。
(4) 変形労働時間制
 変形労働時間制の採用企業数割合は30.1%。内訳は、「1ヵ月単位の変形労働時間制」が18.3%、「1年単位の変形労働時間制」が8.7%、「フレックスタイム制」が4.3%。変形労働時間制の適用労働者数割合は39.4%。
 労働費用
(1) 労働費用総額
 平成7年の「労働費用総額」は常用労働者1人1ヵ月平均483,009円で平成3年と比べ5.0%増。内訳は、「現金給与総額」が400,649円、「現金給与以外の労働費用」は82,360円で、3年調査と比べ、それぞれ4.7%増、6.4%増。
 「労働費用総額」に占める「現金給与総額」の割合は82.9%、「現金給与以外の労働費用」は17.1%。
(2) 現金給与以外の労働費用
 現金給与以外の労働費用の内訳は、「法定福利費」42,860円、「退職金等の費用」20,565円、「法定外福利費」13,682円。平成3年に比べ「法定福利費」、「退職金等の費用」が金額、割合とも高くなっている。
 出向制度
(1) 出向制度の実施状況
 平成7年12月末現在、「出向制度がある」企業数割合は34.2%で、出向元企業(出向者を送り出す制度のある企業をいう。以下同じ。)は21.6%、出向先企業(出向者を受け入れる制度のある企業をいう。以下同じ。)は26.2%。
 出向元企業で在籍出向制度のある企業は20.3%、移籍出向制度のある企業は3.8%、出向先企業で在籍出向制度のある企業は23.9%、移籍出向制度のある企業は5.8%。
 「出向制度のある」企業は大企業で90.3%、中企業で54.2% 小企業で24.0%と大企業では高い。産業別にみると、金融・保険業74.2%、電気・ガス・熱供給・水道業71.7%、不動産業67.3%で高く、運輸・通信業25.0%、製造業31.5%では低い。
(2) 出向元企業
 今後の出向者数の増減見通し
 今後3年程度の出向者数の増減見通しはいずれの出向形態とも「現在と変わらず」とする企業数割合が高いが、大企業では「増える」とする企業が「減る」とする企業を大幅に上回る見通し。
 出向者を送り出してる目的
 出向者を送り出している目的は「出向先企業の人手不足を補うため」とする企業数割合が55.8%、「技術指導や経営指導等のため」40.9%の順。
 出向命令への本人の同意
 出向の命令は本人の同意を得ているかについては、「出向時に本人の同意を得る」とする企業が在籍出向では85.7%、移籍出向で85.6%と最も高いが、大企業の在籍出向では「就業規則等に定めがあるので改めて本人の同意を得ない」が29.0%と比較的高い。
 出向先企業との関係
 出向先企業は出向元企業の「関連会社」とする企業数割合が43.4%、「子会社」40.5%「取引先会社」27.0%、「親会社」16.9%の順。
 在籍出向者の出向期間の定め
 在籍出向者の「出向期間を定めている」とする企業数割合が38.6%で「出向期間を定めていない」企業が61.4%と出向期間を定めていない企業の割合が高い。
(3) 出向先企業
 出向者の職種・地位の変動状況
 出向前との職種・地位の変動状況は、在籍出向、移籍出向とも職種は、「基本的に同じ」とする企業数割合がそれぞれ75.4%、82.0%、地位は、「同じ地位」とする企業数割合がそれぞれ57.7%、69.6%と最も高い。
 出向者を受け入れるに当たっての問題点
 出向者を受け入れるに当たっての「問題あり」とする企業数割合は51.8%、「特に問題なし」は48.2%。問題点別では、「人件費が増加する」が67.5%と最も高く、以下「賃金、労働時間等の調整が難しい」31.2%、「適切な人材が出向してこない」31.1%の順。


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