平成9年林業労働者職種別賃金調査結果概要



 賃 金
(1)職種別賃金
 1人1日平均きまって支給する現金給与額(以下「賃金」という。)は、調査職種計で12,968円と なり、対前年上昇率は3.1%(平成9年調査より調査対象外となった畜力集運材作業者を除いた同一職種計でみると、対前年上昇率は3.2%)となった。チェンソー伐木作業者(自己所有)を除く5職種計では12,564円、対前年上昇率は3.1%となっている。
 職種別に賃金をみると、最も高いのはチェンソー伐木作業者(自己所有)の13,815円で、次いでチェンソー伐木作業者(会社所有)が13,113円、 機械集運材作業者が13,083円、人力集運材作業者 が13,053円、伐木造材作業者が12,530円、伐出雑役が10,270円となっている。
 労働者の最も多いチェンソー伐木作業者(自己所有)を100とした職種間賃金格差をみると、伐出雑役が74と格差があるが、他の職種では91〜95と格差はあまりみられない(第1図、第1表)。

第1図 賃金及び対前年上昇率の推移(調査職種別)

(注) 平成9年から、調査職種のうち畜力集運材作業者が対象外となり6職種となったので、調査職種計の対前年比較をみる場合は、注意を要する。( )内は、畜力集運材作業者を除いて再計算した数値である。以下同じ。

第1表 職種別賃金、対前年上昇率及び賃金格差
   
職 種賃 金(円)対前年上昇率(%)賃 金 格 差
平成8年平成9年平成8年平成9年平成8年平成9年
調査職種計12,576
(12,564)
12,968- 0.43.1
(3.2)
94
(94)
94
5職種計(自己所有職種を除く)12,18512,5641.93.19191
 伐木造材作業者12,44012,5304.40.79391
 チェンソー伐木作業者(会社所有)12,26313,1134.56.99295
 人力集運材作業者13,90313,05332.5- 6.110494
 機械集運材作業者13,01913,083 - 0.50.59895
 伐出雑役9,46610,2700.0 8.57174
チェンソー伐木作業者(自己所有)13,32013,815- 4.03.7100100
(注) 「賃金格差」は、チェンソー伐木作業者(自己所有)=100としたもの。

(2)賃金支払形態別賃金

 支払形態別に賃金をみると、調査職種計で出来高制が13,711円、定額制が12,480円で出来高制が定額制に比べ1割高くなっている。
労働者が比較的多い職種(以下「主な職種」(注)という。)についてみると、機械集運材作業者が2割程度上回っているなど、すべての職種において、出来高制の方が高くなっている  (第2表)。

(注) 「主な職種」とは、伐木造材作業者、チェンソー伐木作業者(会社所有)、機械集運材作業者、伐出雑役、チェンソー伐木作業者(自己所有)をいう。

第2表 職種、賃金支払形態別賃金、格差及び労働者構成比

職 種 賃  金 (円)賃  金  格  差
出来高制/定額制
労働者構成比(%)
定額制出来高制定額制出来高制
調査職種計12,48013,71111060.339.7
 伐木造材作業者11,95913,51711363.436.6
 チェンソー伐木作業者(会社所有)12,88813,65010670.529.5
 機械集運材作業者12,29414,34811761.638.4
 伐出雑役10,14210,55110468.731.3
 チェンソー伐木作業者(自己所有)13,53314,09010449.450.6
(注) 「出来高制」とは、「出来高のみ」のほか「主として出来高」、「主として定額」を含めたものである。

(3)年齢階級別賃金
 年齢階級別に賃金をみると、調査職種計では賃金の最も高い年齢層は40歳代で13,463円となっている。
 30〜39歳を100とした年齢間賃金格差をみると、調査職種計では89〜105となっており、格差はあまりみられない。
主な職種について賃金の最も高い年齢層をみると、伐出雑役が60歳以上で10,493円、チェンソー伐木作業者(自己所有)、チェンソー伐木作業者(会社所有)が50歳代で、それぞれ14,484円、13,964円、伐木造材作業者、機械集運材作業者が40歳代で、それぞれ13,865円、13,341円となっている(第3表)。

第3表 職種、年齢階級別賃金及び格差

 
職  種 賃  金 (円)年齢間格差(30〜39歳=100)
〜29歳30〜39歳40〜49歳50〜59歳60歳〜〜29歳30〜39歳40〜49歳50〜59歳 60歳〜
調査職種計11,32612,77213,46313,41112,75889100105105100
伐木造材作業者12,33312,52613,86512,69012,0779810011110196
チェンソー伐木作業者(会社所有)11,22713,70112,97113,96412,911821009510294
機械集運材作業者11,98513,06813,34113,29712,9239210010210299
伐出雑役9,93310,26110,2969,99110,4939710010097102
チェンソー伐木作業者(自己所有)12,09313,13714,47614,48413,42192100110110102
(4)地域別賃金
 地域別に賃金をみると、調査職種計で北海道が15,493円で最も高く、次いで、近畿が15 ,190円、東海が14,167円、関東・信越が13,979円、四国が12,343円、中国が11,558円、東北が11,513円、九州が10,033円の順となっている。
 北海道を100とした地域間賃金格差を調査職種計でみると、九州が65と最も格差があり、東北は74、中国は75、四国は80、関東・信越は90、東海は91、近畿は98となっている。
 主な職種について地域別に賃金をみると、最も高い地域は、チェンソー伐木作業者(自己所有)が北海道、機械集運材作業者が関東・信越、他の3職種では近畿となっており、最も低い地域は、5職種とも九州となっている(第2図、第4表)。
第2図 地域間賃金格差(北海道=100)


第4表 職種、地域別賃金及び格差

職  種賃  金(円)
北海道東 北関東・ 信越東 海近 畿中 国四 国九 州
調査職種計15,49311,51313,97914,16715,19011,55812,34310,033
 伐木造材作業者13,91812,05814,02214,28515,14710,92612,8289,051
 チェンソー伐木作業者(会社所有)16,04110,69012,93813,19716,53812,34612,07110,349
 機械集運材作業者13,67412,14315,67414,53114,99312,17813,24210,498
 伐出雑役11,5149,11110,51911,27214,0419,7609,9348,604
 チェンソー伐木作業者(自己所有)18,55911,80514,53515,30414,41412,04412,05710,788
職    種地  域  間  格  差(北海道=100)
北海道東 北関東・ 信越東 海近 畿中 国四 国九 州
調査職種計10074909198758065
 伐木造材作業者10087101103109799265
 チェンソー伐木作業者(会社所有)100678182103777565
 機械集運材作業者10089115106110899777
 伐出雑役100799198122858675
 チェンソー伐木作業者(自己所有)10064788278656558


 平均稼働率
 平均稼働率(注)をみると、調査職種計で58%(前年58%)となっている。
 職種別にみると、伐出雑役が52%、伐木造材作業者が55%のほかは、各職種とも60%前後となっている(第5表)。

(注)稼働率とは、雇用期間日数に対する実労働日数の割合をいう。

第5表 職種別平均稼働率(%)             
職  種平成8年平成9年
調査職種計5858
5職種計
(自己所有職種を除く)
5958
 伐木造材作業者6055
 チェンソー伐木作業者
(会社所有)
5757
 人力集運材作業者5758
 機械集運材作業者6162
 伐出雑役5252
チェンソー伐木作業者
(自己所有)
5757



 労働者構成
(1)職種別労働者構成
 職種別の労働者構成をみると、チェンソー伐木作業者(自己所有)が32.3%と最も高く、次いで、機械集運材作業者が25.7%、チェンソー伐木作業者(会社所有)が18.7%となっており、機械を使用する職種が全体の76.7%を占めている(第3図)。

(2)年齢階級別労働者構成
 年齢階級別に労働者構成をみると、調査職種計では60歳以上が45.0%で最も高く、次いで、50歳代が27.3%、40歳代が15.3%、30歳代が7.0%、29歳以下が5.4%となっており、50歳以上で72.3%を占めている。
 主な職種についてみると、各職種とも60歳以上の占める割合が高く、機械集運材作業者で約31%となっているほかは、50%前後となっている(第4図)。
第3図 職種別労働者構成
第4図 職種、年齢階級別労働者構成
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