| 1 | 日 時 | 平成10年8月3日(月) | ||
| 2 | 場 所 | 労働委員会会館第606会議室 | ||
| 3 | 出席者 | [委員] | 翁委員、菅野委員(代理)、香西委員、土田委員、新村委員、藤田委員、吉澤委員、河口委員、長谷川委員、町田委員、弓委員、奥村委員、岸委員(代理)、西山委員(代理)、平井委員(代理)、前田委員 | |
| [事務局] | 澤田労政局長、松崎勤労者福祉部長、草野企画課長 | |||
| 4 | 議 題 | |||
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| 5 議事内容 |
| ○ 会長 ただいまから第63回勤労者財産形成審議会を開催させていただきます。本日は、委員の方々にはお暑い中ご出席いただきまして誠にありがとうございます。開催に先立ちまして、本日の審議会は定足数を達しているということをご報告申し上げておきます。なお、事業主代表の小原委員は人事異動の関係がありまして辞職され、後任には西山委員が任命されておりますのでご報告いたします。 それでは議題に入らせていただきます。本日の議題は、財形制度研究会における検討の状況についてです。これにつきまして事務局から説明していただきたいと思います。 |
| ○ 事務局 お手元に今日4つの資料を配らせていただいております。資料No.1は「財形制度研究会における議論のポイント」、資料No.2は名簿、資料No.3は「勤労者拠出型年金の創設についての提言」、資料No.4が「401(k)プランについて」です。併せてご説明させていただきたいと存じます。 まず最初に資料No.1の「財形制度研究会における議論のポイント」です。実は前回の勤労者財産形成審議会におきまして、ニッセイ基礎研究所に委託した財形年金制度、なかんずく、勤労者拠出型年金制度についてご説明申し上げたわけですが、そのニッセイ基礎研究所の報告を踏まえまして、事務局サイドとして具体的な設計や考え方を少し整理するということで研究会を設けまして、検討をお願いしていたものです。 名簿は資料No.2にございます。学識経験者の方ですが、慶応義塾大学商学部教授の井原先生が座長でございまして、全員で7名の方でご検討いただいたものです。これは正式な研究報告としてまとめるものではございませんが、昨年の11月から7回開いてまいりましたので、その議論のポイントを3枚紙で整理したというものでございます。その内容についてご説明申し上げます。 まず、勤労者主体の確定拠出型年金制度についてご検討いただいたわけですが、その必要性について議論しております。まず、考え方として、勤労者の高齢期の所得確保に関する諸問題に対応し、自助努力を支援するという観点から、必要ではないかという考えでございます。その中身として5つばかり論点が上がっております。 第1が、勤労者の高齢期の所得確保に関する諸制度の変化ということでございます。公的年金につきましては、ご存じのような確定給付型について、積立不足をどうするかという問題が出ております。そうした不安への対応ということから、老後の生活安定について、自助努力をしていくというような意識の在り方が最近急速に強まっております。それから、退職金につきましては、やはり企業がこれから存続していくかどうかわからない大競争の時代になってまいりますし、労働力移動ということもございます。さらには、退職金水準について見直しが行われるというようなことが出てきております。そういうような公的年金制度や退職金制度、そういった制度の諸変化、あるいは、そういったものに対する意識の変化、こういったものを踏まえますと、何らかの形で勤労者が自助によって高齢期の所得保障をしていく、そういう仕組みを援助していくような形のものが必要ではないか。これが第1の必要性です。 第2といたしまして、勤労者意識等の変化に伴う労働移動の増加ですが、最近調査をいたしますと、1社にずっと勤めるという形から、やはり、生涯の中では何社かを経ていく、転勤していくという意識が強まっておりますし、また、産業構造の変化などによりましても、労働移動の動きが加速しております。こういった労働移動の増加ということに対応して、これまでのような年金制度の在り方から、ポータブル化の可能な在り方というものについての必要性が強まっております。これが第2でございます。 第3として勤労者の生活設計の在り方についてですが、例えば老後の所得保障を一律にこうすべきだということより、むしろ、個々人のライフスタイルに応じて生活を設計していく、こうした指向が強まっております。ある意味では自分の生活設計に合った老後保障の在り方というのを探っていくということで、自分で積み立てて、それを老後にもらうというようなことへの指向というのも、強まっているということが言えるかと思います。 第4は、退職金相当額を給与に上乗せする等の、新たな報酬形態の登場ということでございます。これまで退職金につきましては、積立時には「退職給与引当金」、あるいは給付時には「退職所得課税」というようなことで、税制上の優遇措置があったわけですが、最近新しく出てきた退職金相当額を給与に上乗せする報酬形態になりますと、こういう形態のもとで、例えば自分で積み立てて、退職時に受け取るということも想定されるわけですが、その場合、税制上の優遇措置がないというような問題もございます。 それから、最後に「確定給付型年金制度の課題」ですが、確定給付型の退職年金制度は、ご存じのように制度設計が企業ごとに異なりまして、転職先への資金の携行、ポータブル化は困難だというような問題がございますし、中小企業やベンチャー企業におきましては、確定給付型年金制度を導入することが困難だという問題もございます。さらには、確定給付型年金について、低金利のもとから積立不足という問題が出ているのはご存じのとおりでございます。 こうした資料1.1(1)@〜Dに掲げますような問題、そういうものを踏まえますと、確定拠出型年金というものが、自助努力を支援する仕組みとして必要ではないかということが言えるということです。 それから、(2)ですが、こうした確定拠出型年金制度を作っていくについて、やはり企業の関与が必要であろうということでございます。それにつきましては、例えば老後資金の積立を行っていく場合、当然計画的に行うことが必要になるわけですが、給与からの天引きという仕組みにより、これを計画的に積み立てることが現実的に非常に容易であるということがございます。さらに、企業が関与することによって、単に自分で積み立てるだけでなく、企業による任意の上乗せ拠出というものも期待できるということになります。さらには、後ほどご説明いたしますが、アメリカの401(k)プランのような仕組みにすれば、金融商品の選択について、企業がある程度情報を開示する、あるいは、場合によって投資教育をするということになってまいります。そういうことを通しますと、結局勤労者としても、自分のライフスタイルに合った金融商品や積立方式というのを、採用することが適切にできるようになる。ある意味ではどの金融商品に投資したらいいのかというのがなかなかわかりにくいわけですが、401(k)プランのように、企業に期待することによって、ある程度スクリーニング効果というのも出てくるのではないかと。こういった観点から、企業の関与が必要であろうという考えでございます。 この1と2にございますような考え方を踏まえまして、どういった設計をしたらよいかというのが3でございます。まず、基本は、勤労者の自助努力による拠出、これがあるということが大前提です。それに加えて、企業による任意の上乗せ拠出、さらには給与からの天引きという仕組み、こういうことによって勤労者の資産形成を支援するということが付いてきます。 それから、第3に、企業拠出や勤労者拠出は老後の所得保障ということでございますので、中途払出しをした場合にはペナルティー課税が課せられる仕組みです。それから、税制上の優遇措置として、積立時非課税、すなわち拠出について所得控除していく、あるいは、運用益について非課税とするという制度です。それから、給付時課税ですが、これは雑所得として総合課税していく。こういう税制上の優遇措置があることが、制度上の設計として極めて重要になります。 それから、勤労者拠出と企業拠出を併せた拠出ですが、これにつきましては勤労者が運用指示を行う、いわば自ら運用を行っていくということでございます。 それから、最後に重要な点でございますが、労働移動にも携行できること、ポータブル化も付け加える、こういった制度の仕組みが1か2から出てくるのではないかと、こういうことでございます。それをさらに具体的に税制上の取扱いということで見てまいりますと、まず、税制上につきましては一定の要件を課すことを条件としまして、拠出時及び運用時は課税繰延扱いとする、給付時に適切な課税を行うという、所得控除方式とすべきである。それから、所得控除の水準でございますが、これについて厚生年金基金制度や適格年金制度とのバランスを勘案した水準を設定することが必要です。 2番目に対象商品でございますが、企業は自社株を当然の対象としまして、それ以外に、3つ以上の選択肢を提示すること。その中に必ず安定性の高い金融商品を含むこととするという考え方でございます。それから、金融機関の選択肢、これについては原則として自由という考えです。 いま申したことと裏腹でございますが、損失の危険を最小化することができるよう、多様な金融商品を活用して、取引先を分散できるような制度にする。つまり、いまの財形制度が、契約して1つの商品ということになりますが、これを複数の商品と契約してもかまわない。むしろ上で述べますように、3つ以上の選択肢、すなわち、ハイリスク・ハイリターンとか、ミドルリスク・ミドルリターンとか、ローリスク・ローリターンというようなことになってまいりますと、なかなか全部ハイリスク・ハイリターンだけというふうにはいかないわけで、現実問題としてはローリスク・ローリターンを例えば基本としながら、ある部分についてミドルやハイにかけていくという、そういう仕組みが想定されるわけですから、そういうハイリスク・ハイリターンのようなものを含めた3つ以上の選択肢ということと裏腹に、取引先は分散できるような仕組みにするということが必要であるということになります。 3番目として、預替えでございますが、勤労者が、自らの判断に基づき、効率的な資産運用を行うために、資産の預替えを任意にできるようにしていくということが重要なポイントになってまいります。なかんずく、(2)、(3)につきましては、401(k)プランの中の中心的な概念になっておりますが、これは法律的にはエリサ法に基づくものです。 それから、企業の役割といたしまして、金融商品についての十分な情報提供が行われる機会の担保が必要である。勤労者責任でこの運用先を決めるということになりますので、その選択に誤りのないように、金融商品についての十分な情報提供が行われる機会の担保が必要となるわけです。それから、安定性の高い商品、これを最低1つは提示する。これは上にも書いてあることでございます。 5番目として、ポータビリティーの確保でございますが、転職等に当たっても、引き続き老後に向けた積立を行うことができる仕組みを創設すべきである。これは現在の財形年金におきましても、転職先の企業に財形年金があれば、それは入れるわけですが、財形制度がない場合には、残念ながらポータブル化はできない。すなわち、引き出さなければならないということになるわけです。これは転職しても途中引出しせずに済む税制上の優遇措置を、引き続き継続できるような仕組みというのを考える必要があるということでございます。 企業拠出の在り方については、「中途払出し禁止」、すなわち退職時以降しか引き出せない仕組みとした上で、勤労者に受給権を付与させて運用選択を行わせるという方式でございます。現在財形制度には財形給付金という制度がございまして、これは年10万円まで、7年間、事業主が運用し、勤労者に引き渡すという仕組みになっておりますが、この場合は運用選択を直ちに勤労者にやってもらうということを考えております。それから、税制上、企業拠出については損金扱いとし、勤労者側につきましてはこの企業側の拠出分について課税を繰り延べる。そして、給付時に雑所得として適切な課税をするということになります。 それから、現行の拠出の上限、これは先ほど申しましたような財形給付金でございますが、年10万円までということになっておりまして、この上限についても検討が必要というような内容です。全体といたしまして勤労者主体の確定拠出型年金ということで、あとでご説明しますが、アメリカの401(k)プランなどを参考にしつつこの仕組みを考えたものでございます。 以上が、財形制度研究会におきましてご議論いただいた結果としての大体の制度の仕組みですが、実はこの議論と並行しまして、自由民主党内部でも、同じような勤労者拠出型年金についての議論がなされておりまして、それが資料No.3としてお配りしてございます。今年の6月17日に提言ということで、自民党の労働部会に設置された「勤労者拠出型年金等に関する小委員会」で出されたものでございます。参考までにご説明申し上げます。 検討の経緯としては、少子・高齢化、産業構造、就業構造の変化等に伴う年金制度の見直し、あるいは、老後の生活保障の在り方、こういったものが重要な課題になっている。こういうことを踏まえ、勤労者個人の選択を基本とする確定拠出型年金制度である「401(k)プラン」、これがアメリカにおいて急速に普及し、勤労者の老後の生活保障制度として重要な位置を占めている。また、同時に、資本市場の安定化、活性化にも貢献している。ここに注目をしまして、個人が選択する確定拠出型年金の導入を検討することを目的としまして、12月以来13回にわたり議論を進めてきたものです。その結果、勤労者の老後に備えた自助努力についての支援を強化する必要があるということで、厚生年金基金あるいは適格退職年金を補完ないし代替する日本版401(k)プランとして、下記のような勤労者拠出型年金を創設すべきということが書いてございます。 現行の厚生年金基金、適格退職年金は、ご存じのように企業年金としてあるわけですが、これにつきましては、まず、中小企業の勤労者の多くに適用されていない。そういうことから、企業規模によって勤労者に税制上の不公正が生じているのではないか。それから、予定運用利回りを下回っている現状におきまして、予定された給付の履行が困難になるケースが続発したり、現行制度におきまして、転職等により他の企業に移った場合、継続が困難であったり、「労働移動に対して中立的でない」、「ポータブル化はできない」という問題が指摘されているわけです。 それから、現行制度上、退職給与引当金というものがあるわけですが、この大競争の時代において、いつまでも企業が永続するとは限らない。存続できないときには、社内留保になっている退職給与引当金は保全されるのかどうかわからないということで、社外で管理する勤労者拠出型年金を検討する必要があるわけです。こういった大きな流れ、いわゆる老後の所得保障制度の状況の中で、勤労者拠出型年金を検討する必要があるだろうと思います。 この案によりますと、財形年金貯蓄制度は発展的に吸収ということになります。但し、当然公的年金を初めとする制度全体の見直しが行われていくわけで、その場合には、勤労者拠出型年金の位置づけをさらに調整したり、勤労者とそれ以外のものとの間の公平を期するため、広く全国一般に利用できる個人型年金の導入を別途検討するということになっております。 具体的な仕組みの内容ですが、制度への加入、これは任意でやるということで、勤労者の選択ということになります。積立額の決定は自主的にやるわけですが、その上限については、国民年金基金の上限を勘案して、高額所得者優遇にならないように設定するということです。 勤労者が金融機関と契約し、個人口座を開設する。企業は積立分を給与から天引きし、取りまとめて金融機関へ払い込む。勤労者は積立額を変更することができるということになります。 企業の拠出ですが、これは任意拠出という位置づけでして、勤労者の自助努力について支援するため、勤労者の積立に追加して拠出するという仕組みです。拠出額の上限は、勤労者の積立額の上限や制度の普及のテンポも考慮してセットするということになっております。 税制上の優遇措置としまして、勤労者がこの制度で積み立てた金額は、その段階では非課税とする、いわゆる所得控除の考え方です。企業の任意拠出は、企業にとって損金算入とする扱いになります。 3番目は、運用でございます。運用については先ほどの研究会と似ているのですが、企業は元本保証商品から、自社株を含め、ハイリスク・ハイリターンのものまで幅広い範囲から複数の運用先を提示する。企業は、勤労者の選択に資するため、投資教育・情報提供を行う、ということになっております。勤労者は、自分の判断、責任によって、運用先を決定し、運用先ごとに積立額を配分する。勤労者の自己判断、自己責任によるというのが特色でございます。当然ながら、運用先、運用額は、勤労者自ら変更することができるということになります。運用残高の上限についても、高額所得者優遇とならぬように条件を設ける。税制上の優遇措置として、運用益非課税という内容でございます。 老後の給付の在り方としては、勤労者は60歳以降、それまで積み立てて自己の責任で運用してきた各個人の資産は、年金または一時金で受給する。なお、個人の資産は各勤労者の積立額、運用の結果、その状況によって異なる。これは自己責任ということの裏腹ですが、受け取る額は確定給付と異なり、自分の積立額あるいは運用次第で変わってくるということになります。 税制上の優遇措置は、年金で給付の場合、公的年金等控除の対象とした上で雑所得として総合課税をされ、一時金で給付する場合は、退職金と同じでして、退職所得課税ということになります。これは退職後の所得保障ですので、中途解約等は基本的にできません。ただ、死亡、重度障害といった場合は例外です。教育とか介護とか、やむを得ず一時的な資金が必要となる場合、これは中途解約はできないけれど、代わりの措置として融資制度のようなものについて検討する必要がある。積立の中途時に積立金を引き出す場合は、ペナルティー的な措置を講ずることになっております。 最後に転職等の場合の措置、いわゆるポータブル化の問題ですが、転職先の企業に勤労者拠出型年金がある場合、これは資産を新しい転職先企業の年金に移管するということで、税制上の優遇措置が当然継続できるということになります。問題は、転職先に勤労者拠出型年金がない場合、あるいは、自営業、専業主婦に転じた場合です。この場合についても、税制上の優遇措置が継続できるよう、個人年金勘定というようなものを創設してはどうか。この個人年金勘定の仕組みについては、アメリカにおきまして、IRA(個人退職勘定)というものがございますが、こういったものを参考にして検討する必要があるだろうということです。 最後に、こういう個人年金勘定のようなものを使って、全国民がこの制度を利用できるようにしていくということについても付言しております。 以上のような内容でございまして、基本となりますベースは、やはり高齢化とか産業構造の変化、そういったものを踏まえまして、高齢期の所得保障、あるいは、転職ということに対応してポータブル化をどう進めるか、こういった大きなところがポイントになっております。背景としまして、アメリカにおいて1980年代以来普及してきた401(k)プランというものが下敷きになっていると言っても過言ではないと思います。 そこで、資料No.4、「401(k)プランについて」という資料をお配りしております。いま申し上げた研究会の議論のポイントあるいは自民党の提言、こういったものを理解するにも、背景となる401(k)プランというものを一応理解することが必要であろうかと思いまして、配らせていただいております。 アメリカにおきましてこういう401(k)プランの普及が進んできましたのは、80年代以降です。厳密に言いますと、1978年にこの内国歳入法の401条k項というのができまして、それに基づき、80年代、レーガン政権期以降、非常に拡大が続いてきたというものでございます。90年代半ばにおきまして、その確定拠出型の資産残高がほぼ確定給付型に匹敵するというぐらいの規模になっております。その後の動きを見ますと、どうも確定給付型も上回ってしまうというような規模になっているようでございます。その中核が401(k)プランでございまして、この80年代半ばから90年代半ばの10年間につきましては、確定拠出型の増加額の6割がこの401(k)プランということです。 この401(k)プランといいますのは、いま申し上げましたように、アメリカ合衆国の内国歳入法401条k項に適合し、課税繰延が認められる確定拠出型の年金制度ということです。実は、少し補足しますと、401条k項自体は従業員の拠出についての規定でございまして、いま申し上げているのは、企業の拠出と併せてということでございます。企業拠出につきましては、すでに内国歳入法の401条a項というのがございます。これは一般の税制適格要件、いわゆる企業年金についての一般の税制適格要件を定めたものでございますが、これが内容的には企業年金について一定の限度額まで損金算入されるとか、運用益が非課税であるとか、企業拠出金の従業員の課税は繰り延べられるとか、企業拠出側についての一定の税制優遇措置を講じております。それと、実は401条k項、これは従業員側の拠出についての優遇措置でございまして、これが、マッチした形で、全体として401(k)プランを形成しているという形になっております。 いま申しましたことを併せまして、この2で、仕組み及び税制の扱いを書いてございますが、従業員は401(k)プランに参加する場合、給与の一部をプランに拠出する。それから従業員側拠出ですが、拠出限度額は1人あたり年1万ドルということが上限です。拠出分については課税繰延、いわば所得控除に近い形という仕組みになっております。企業側の拠出については、従業員の拠出に上乗せするマッチング拠出を任意で行うことができるということになっております。マッチング拠出というのは、要するに従業員の拠出に合わせて、例えば、50%まで自動的に企業側が拠出しますというのが、マッチング拠出です。拠出限度額は、従業員拠出と併せて、年3万ドルが上限になっております。企業拠出分は、税制上の扱いとしては損金扱いで、企業拠出についての従業員への課税は繰り延べということです。これは401条k項というより、先ほど申しました401条a項のほうで税制優遇措置が取られているものです。 運用先としては、投資信託とか、自社株が多いというような内容になっております。従業員拠出部分の運用につきましては、事業主が提示する複数の運用方法から従業員が運用先を選択するという仕組みになっております。こうした、事業主が複数を提示して、従業員が運用を選択する、こういう仕組みは、そもそも法律的根拠としてはエリサ法というのがございまして、これは「Employee Retirement Income Act」という非常に長い法律ですが、訳しますと、「従業員退職所得保障法」となります。この頭文字を取りまして、通称エリサ法と言っているわけです。この規制において商品を、例えば3つ揃えるとか、その中には、ローリスク・ローリターンのものも必ず入れるとか、四半期に一度は投資内容が変更できるようにする、投資決定を行うための適切な情報開示・教育をすべし。そういったことが決められております。したがって、この(3)の運用については、こうしたエリサ法の規定に従って運用されるという仕組みになっております。 老後の生活保障という観点から、59.5歳未満の中途引出しは認められないということになっております。先ほどの重度障害というような例外を除きまして、中途一括引出しに対しては10%のペナルティー課税が課せられる、こういう仕組みでございます。 最後に、転職とか退職時にIRA(個人退職口座)という仕組みがございますが、転職先の401(k)プランに移管した場合は、引き続き課税が繰り延べられるという措置がございます。このIRA(個人退職口座)への拠出限度は、原則的な考え方では、1人あたり年2,000ドルとなっております。但し、転職・退職時のロールオーバーと言いますが、この401(k)プランからのロールオーバーについては2,000ドルという限定がないという仕組みになっております。 401(k)プランの普及状況ですが、確定拠出型の年金制度でございますので、確定給付型の制度に比べて企業の負担が小さいということから、中小企業やベンチャー企業で採用される傾向が強いというふうに言われております。これは、ある意味では確定給付のような責任負担がなくなる、そういう意味では軽くなるという面がございます。確定給付の場合は、ご存じのように複雑な年金数理計算をしなければなりませんが、そういったことの必要性がない。さらには、エリサ法による規定がいくらか緩やかになってくる。例えば、この下の注に書いてございますが、確定給付型ですと、その給付を保障するという観点から、支払保障等に関する規制があります。例えば年金給付保障公社、PBGCと言っているのですが、こういう公社へ保障料、保険料を払わなければならない。ここがこの確定給付を保障していくという形になっておりまして、保険料を支払わなければならないという仕組みがございます。こういった制度の仕組みが確定拠出ですと必要なくなるというようなことがございます。さらには、制度の設計がかなり柔軟であるということから、コストコントロールが容易である。こういったことから、中小企業やベンチャー企業で採用される傾向が強くなっております。 また、従業員側にしましても、自助努力で年金の積立ができる。さらには、大きなメリットとして、ポータブル化ができるという面がございます。そういう意味から、かなり受け入れられるという面もございます。但し、当然ながら、確定拠出ですので、自己責任においてこの運用をしなければならない。したがって、その運用次第では、大幅に減るということもあるわけです。このような仕組みですが、全体として受け入れられて伸びていくという実情にございまして、資産残高は1995年で7,000億ドルという状況になっております。 いま申し上げましたことを簡単な表にしましたのが、次の図でございます。まず、企業側が通常貯蓄プラン、あるいはプロフィット・シェアリングというような仕組みの年金を用意します。この貯蓄プラン型というのは、従業員が給与の一定割合を拠出して、事業主もそれに合わせて一定率を任意に上乗せするというタイプの企業年金です。それから、プロフィット・シェアリング型、これは利益分配制度と言っておりますが、事業主の総拠出額がその収益に基づきまして決定されまして、それを従業員に配分するという形の企業年金です。これに合わせて従業員が拠出するということもあります。 この2つが大きな企業年金の仕組みですが、貯蓄プラン、プロフィット・シェアリングは、いずれにしましても給与の一部を積み立てる、あるいは、プロフィット・シェアリングになりますと、ボーナスの一部を積み立てるという形になるわけですが、それによって積み立てていく。この積立につきましては、給与について天引積立というのがあります。ボーナスについては課税前の拠出という扱いになります。これを課税繰延されるわけでございまして、401(k)プランのもとで、課税繰延されたこうした従業員拠出が積み立てられていく。さらには、それに合わせて、企業側が、例えば従業員の出した拠出の50%をマッチング拠出するわけです。そういう形で企業も拠出していきます。その両者を併せて、いろいろな金融商品に投資して運用していくわけでして、その投資先については、個人個人がどういう投資先にどれだけ投資するのかというのを、個々に決めていくという形になります。その結果のものを退職後、給付引出しということになります。途中転職ということがあれば、左の矢印のようにIRA(個人退職口座)という所に一時保管され、さらに転職先で給与年金があれば、そのプランに乗っかっていくというような形でポータブル化ができてくるわけです。これが全体のプランの仕組みです。 この仕組みを、なぜ財形年金制度と改革と併せて考えていくのかということですが、401(k)プランはいま述べましたような仕組みになっており、実は財形年金貯蓄も、ご存じのように基本的には勤労者が積み立てて、それに対して企業が任意の上乗せをし、その運用益を老後に受け取るという、仕組みとしては同じでございます。ただ、いちばん大きく違いますのは、税制の仕組み方、あるいはポータブル化ということです。この下の財形年金につきましては課税後所得からの拠出ということで、550万の元本まで利子非課税というような貯蓄優遇税制の仕組みになっております。これが401(k)プランのようないわゆる企業年金型の所得控除という仕組みとだいぶ違うわけです。さらに、企業の任意拠出でございますが、401(k)プランの場合、勤労者拠出と併せて年間3万ドルというようなかなりの額を拠出できますが、財形制度におきましては、限度額は年10万円というような額になっております。 それから、真ん中の所の「運用」ですが、勤労者が401(k)プランにおきましてはかなり自由に、任意に預替えができますが、財形の場合には、預替えについて、一定の制限があり、原則としてはできないということです。それから、投資につきましても、1つの商品に投資ということで、アメリカのような複数の商品に投資できるというような幅の広いものにはなっておりません。右側の「ポータブル化」というのにつきましても、401(k)プランの場合は、転職の場合、残高を転職先に残すか、あるいは、IRAに入れるかということになってきますが、財形制度の場合、転職先に財形年金があれば継続できますが、それ以外の場合には一旦解約しなければならないということになります。独立時についても同様の形になっております。こういった点で違う所はあるわけですが、勤労者が基本的に自分で積み立てて、それに対して任意の上乗せ拠出をしていくという仕組みにおいて、共通の部分があるということから、税制や運用の方法、あるいは、ポータブル化を付け加えることによって、こうした401(k)プランに近いものを我が国においても導入できるのではないか。こういう考え方に基づいて、先ほど申し上げたような研究会報告あるいは自民党の提言というものになっているわけです。 今後、私どもとしましては、こうしたご提言あるいは議論を踏まえまして、具体的にこうした勤労者拠出型年金の創設へ向けて財形年金制度をどのように仕組んでいくか、あるいは、どのように変えていくかということの詰めをやっていきたい。そのために、審議会や基本問題懇談会などにおいてご議論いただこうと考えている次第です。以上、簡単ですが、ご説明申し上げました。 |
| ○ 会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明につきまして委員のほうからのご質問、ご意見等を承りたいと思います。どうぞご自由にご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 |
| ○ 委員 3点ほどお伺いしたいのですが、この税制を変えていくというのは、大変魅力的でございます。それを前提にして教えてもらいたいのですが、第1点目は、いまの「貯蓄非課税の税制援助」と「所得控除にした場合」とはだいぶ金額が違うのではないかというふうに思うので。ちょっと金額がわかりませんので、もし、新たな構想でいった場合はどれぐらい変わるのかということを1つ教えていただきたい。確か非課税の場合、これぐらいだというのを聞いたことがあります。財形年金の契約者がいま減っているわけですけれど、所得控除にした場合、契約者がかなり増えるのではないかという気がするのです。ただ、中小企業などは事務手続云々と言っておりますので、この辺は財形年金の減少に歯止めがかかるのかどうか、この辺が1つ課題かなというふうに思っています。これが第1点です。 2点目は、前のニッセイ基礎研究所の報告では、個人の金融資産の契約形態は、いまと同じような個人契約にするのか、企業取りまとめにするのかというような、2つあったかなと思うのですが、ここでは、自民党も提言では「個人契約」となっていますが、企業取りまとめというのは、当然となっていることから触れられていないのか、あるいは、まだ議論があるのか、この辺を教えていただければと思います。これが第2点です。 あと1つは、自民党の提言を見ると、拠出型年金というものを創設して、いまの財形は、年金制度ではなくて、貯蓄制度みたいなものだから、そこから外していって新たな制度に入れるようにも見えるのですが、労働省のこの研究会の議論では、財形制度を改定するように見えると判断しております。それを前提に見た場合、例えばいま住宅財形というのがあるのですが、この住宅財形は550万まで非課税です。この550万というのはそのまま残るのかどうか。最後に出た財形給付金で10万円というのがございましたけれど、これは財形住宅で10万円とか5万円とか決めている企業もあると思うんですね。それが、財形年金は、こういう形で別になっていったとすれば、現在の財形住宅に対する給付金というのは、もしあったとすればどのような整理になるのかなと思います。以上3点を教えていただけたらと思います。 |
| ○ 事務局 まず最初の税制ですが、現在は元本で非課税550万までという仕組みでして、これを基本的にここに書いてある「所得控除」という仕組みに変えていくということになりますと、これは減税幅としては、現在の元本利子非課税よりも相当大きいものになるだろうというふうに考えております。いろいろ我々も試算をしているのですけれど、一応現在の財形規模の残高で、これが新たな所得控除という仕組みに移行した場合、現在の550万の非課税ですと、約500億ぐらいの減税幅になるのですが、これが1,000億を超え、1,200億ぐらいになるのではないかというような試算でございます。これはいろんな試算の仕方があるので、これから少し詰めて調整しなければなりませんが、仮の計算でやりますと、倍以上の減税というような数値も出てまいります。ある意味では、勤労者の減税効果は非常に大きいということになるのかと思います。 それから、財形における事務手続ですが、ここら辺をもう少し簡略化するのかどうか。中小企業への普及ということになりますと、そういうのがポイントになっているわけですが、新たな仕組みにおいてどういうことになってくるかということでございます。これについては、確かに401(k)プランなどの仕組みを見ますと、かなり複雑ではございます。ただ、この複雑な手続、例えばさっき言った商品の品揃えをするとか、あるいは、預替えが任意でできるとか、あるいは、投資教育をしなければいけないとか、そういうのがあるわけです。ただ、基本的には勤労者個人と金融機関との契約ということになれば、そこのいわゆる事務手続の繁雑さをどの機関でどのようにするか、これにかかってくるのではないかと思います。ですから、そこの事務手続の部分を、ある意味では事業主が全部負わなければならないとすれば、それもなかなか大変ですので、そういった辺りについて、具体的に事務手続を考えてみて、どの部分を誰がやるのかという整理をこれからやっていかなければならないという感じがします。 これについてはアメリカの401(k)プランなどでもいろんな工夫をしたりしておりまして、中小企業にも、ある意味では普及してきているという面もございます。さらには、最近401(k)プランでも手続が複雑なので、シンプルIRAというような仕組みで、もっと簡略化した形で中小企業に普及しようというような動きも出てきていると聞いております。ですから、我々としても、そういう中小企業への普及ということを念頭におきながら、事務手続をどこまで簡略化できるか、あるいは、誰がどのように負うのかという、その詰めをこれからやってまいりたいと考えております。 それから、ニッセイ基礎研究所の報告で出した、個人契約か、企業取りまとめかという所ですが、基本的には個人が契約をしていくという、1案で考えております。2案は完全に捨てたということではないのですが、1案を中心にご議論いただければと考えております。 財形の仕組み全体への影響については、財形年金だけこういう形に変えていった場合に残り2つの財形制度はどうなるのかという問題が出てくるわけでございまして、財形住宅、なかんずく財形住宅の元本利子非課税の優遇税制がどうなるか、財形給付金がどうなるか、この行方が大きな問題になるということは十分承知しているわけです。ただ、我々としては基本的に財形住宅や一般財形につきましては現行の仕組みを維持する形で、引き続き要望していきたいというふうには考えております。ただ、いろいろな議論の中で、現実問題として財形住宅の利子非課税優遇が認められていくのかどうか、片方のこの年金はなくなってしまうわけでして、現在の仕組みは、年金、住宅を併せて550万までの元本を非課税という仕組みですので、そこら辺はいろんな議論の経緯で、影響を受けることも想定されると思います。 ですから、そういう場合に備えて、いろいろな選択肢は検討しておかなければならないということは考えますが、基本的な方針としては、できるだけ財形年金以外の財形制度には影響のないように考えていきたいと思っております。 |
| ○ 会長 いかがでございますか。 |
| ○ 委員 よくわからない点を3点ご質問したいと思います。第1点は、企業拠出についてですけれど、企業の拠出金は拠出された時点で個人への賃金になるのかどうか、その扱いということでございます。日本とアメリカでみんな任意と書いてあるんですけれど、どのぐらいのものが実際に拠出され、企業が税制優遇を受けているのかというデータがあったらお教えいただきたい。同じ関連で、財形年金も企業拠出の上限が10万円であると聞いておりますが、それはどのぐらいの企業が実績として拠出しているのでしょうか。すぐデータがなければ、この次でも結構です。それを教えていただきたい。 2番目は、伺っておりますと、どうもターゲットは企業年金制度のない中小企業だというふうに理解したんですけれど、それでよろしいでしょうかということと、それから、いま財形年金が、確か前回の審議会のときに、減少しているというようなお話があったと思うのですけれど、勤労者側にこういう強制貯蓄に対する需要が本当にあるのでしょうか。ただでさえ強制貯蓄が多い中で、退職金まで繰り延べするような需要面についてどうお考えなのかということをお教えいただきたい。 3番目に、先程、企業はエリサ法により運用には責任を負わず、労働者の自己責任だというふうにおっしゃったと思うんですけれど、例えば自社株でやっている例がアメリカでは多いなどというとき、自社の業績が悪くて株価が下がってしまったような場合にはどうなるのでしょうか。日本の場合は自社株を除くのでしょうか。でも、関連株とか、何か自分に関連のあるような所を勧めるような危険性に対するブレーキというんでしょうか、そういうものはお考えなのかどうか。必ず全部、企業が3プランぐらい用意して、「あなたはハイリスクを選んだんだから仕方がないよ」というふうなことをお考えなのかどうか。その3つをお教えいただければと思います。 |
| ○ 事務局 最初の企業拠出ですけれど、いわゆる企業拠出については、現在財形制度では企業が運用していくということになっています。ただ、形としてはベスティングというんですか、企業拠出分については、一応労働者のほうの権限になるという形にはなります。それをベスティングと呼んでいるわけですが、完全に労働者の賃金になるというのとは違いまして、ある意味では停止条件付、要するに労働者のものなんだけれど、それを労働者が運用して、退職後に受け取る性格のお金ということです。それは条件付の付与というような形のものとお考えいただければいいかと思います。賃金ですと、自分でもらった場合、それを自分で使おうが預けようが拠出しようが、自由になるわけですが、この場合には、企業が拠出し、それで勤労者のものというベスティングが付与されるわけですが、それは完全に勤労者が自由にできるものではなくて、一定の目的のために勤労者に拠出したお金であり、一定の運用をした後、老後にもらえるという性格のものとして与えるようになっている。それをベスティングとアメリカでは言っているようですが、これが賃金かどうかというと、いろいろ性格なものを言わなければならなくなるのですけれど、一種の停止条件付のものだというふうにお考えいただければと思います。 それから、この任意の上乗せがどのぐらいかというデータでございますけれど、日本の場合、ちょっとデータがないので詳しいことはわかりませんが、感覚で申し上げますと、10万円までは拠出している所はあまりありません。5万とか、そこもいっているかどうかというようなレベルかと思います。 |
| ○ 委員 何割ぐらいの企業がやっておられますか。 |
| ○ 事務局 実施企業を見ますと、約3,000社ぐらい。平成10年で言いますと、2,908社です。 |
| ○ 委員 それは全体の制度を導入しているところの何割ぐらいにあたるんですか。 |
| ○ 事務局 総資産額は824億となっています。細かいデータはあとで調べまして、ご報告させていただきます。 |
| ○ 委員 アメリカのほうも教えていただけたらと。 |
| ○ 事務局 いろいろ調べてみますと、アメリカのほうは大体従業員の給与の5〜6%までの拠出について、例えば50%のマッチングをやっているというようなものが42%あるという数字がございます。 |
| ○ 委員 42%の企業が。 |
| ○ 事務局 50%まで拠出している。 |
| ○ 委員 給料の50%ですか。 |
| ○ 事務局 いえ、従業員の給料の5〜6%に対して50%です。 |
| ○ 委員 半分ですね。 |
| ○ 事務局 はい。例えば300万の給料をもらっているとしますと、15万〜18万ですか、そのぐらいの拠出について、半分ですね、ですから、たとえて言うと、7万とか8万とか、そういうぐらいのことをやっている企業が42%という報告も、民間の研究機関の報告でございます。 それから、中小企業がターゲットかというお話ですが、もちろん中小企業への普及ということは、最終点の1つであるということは間違いなく言えます。ただ、財形制度にしましても、必ずしも十分中小企業には普及していないという部分もございます。ただ、厚生年金基金や適格年金に比べれば、中小企業への普及度は高い。ですから、そういうことを見ますと、やはり中小企業勤労者の方には厚生年金の上乗せ部分というのがなかなかないというのが現実ですので、そこに対してこういう制度で何らかの自助努力による上乗せができないか。こういう問題意識でございます。ですから、そこに向けていろいろ先ほどご意見がございましたような、手続の複雑さだとか、そういうものを乗り越えて、何とか制度設計できないかと。こういう議論をむしろこれからお願いし、かつ、固めていきたいと考えております。 それから、強制貯蓄というお話がございましたが、これは財形制度で、強制貯蓄ではございません。貯蓄をする、しないも自由ですし、どのぐらい拠出するかも自由です。そういう意味で、自助努力による積立というふうにご理解いただければと思います。 先ほどもエリサ法の規制が弱いと401(k)プランの説明で申し上げたのですが、その規制が弱いという部分は、いわゆる確定給付ですと、支払保障をしなければいけない。支払保障するために年金給付保障公社という所に保険料を支払って、そこが確定給付の保障をしていく。積立不足が起こるとペナルティーが課されたり、そういう仕組みがあるのです。これは確定拠出積立ですから、そういう確定給付のようなエリサ法の規制というのはないという意味で申し上げたわけで、これはエリサ法の適用があることは当然でございます。そういう意味で、金融商品について十分に情報を開示するとか、投資教育をするというのは、この確定拠出についても対象としております。そういう厳しい規制の下で、商品について十分勤労者に理解できるような教育や情報開示をしなければ、事業主責任は免れないというのがエリサ法でして、そういう厳しい規制のもとに置かれているということは間違いないということです。 |
| ○ 委員 さっきの強制貯蓄というのは変な言葉でしたが、天引貯金というようなものに対するニーズですね。任意であっても、要するにそういうものを勤労者が欲しているのかどうかというようなことは調査しておられるのでしょうか。 |
| ○ 事務局 それは先ほど研究会のポイントでもいちばん最初に申し上げたんですけれど、やはり最近の傾向としまして、公的年金が積立不足である。そうしますと、果たして老後において確定した給付額をしっかりともらえるのか不安であるというようなことから、自分で積み立てていこう、という動きがかなり出ているのは事実です。そういったものを考えますと、需要面では、これからそういうニーズが高まってくるのではないか、ということが研究会における議論のポイントとしても挙げられているところです。 |
| ○ 委員 3点ほどお伺いします。まず、確定拠出型年金の導入は、いまの日本経済の状況から考えても、非常に急がれると思いますが、今回のこの財形の改革ということについては、どのようなタイムスケジュールをお考えになっているのかということが第1点です。 2点目は、厚生省とか大蔵省とか、横のつながりで議論していかなければならない部分が非常に多いと思うのですが、例えばエリサ法みたいな企業年金法をどういうふうに考えるのかとか、適格年金とか厚生年金基金でも確定拠出ということを考えているようですが、こういったことをどう考えるのか、IRA(個人退職口座)というものの存在が、401(k)プランの1つの成功の鍵になっていますが、こういったことについてどのようなお考えをお持ちなのかということが2点目です。 3点目は、401(k)プランの脆弱 な点として、1つは、いまバブルに乗っているというアメリカの問題点のほかに、担保で借り入れができるということで、かなり融資を受けている人が多くて、必ずしも老後の安全な保障にならないのではないかという議論があるのですが、こういった担保で融資を受けられる仕組みということについては、どのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせいただければと思います。 |
| ○ 委員 前回の審議会の中で、全体のいろいろな年金制度をどう調整するのかということについてはいろいろな議論があって、最終のところで、ある程度トータルでまとめて調整するということも可能だろう、ということになったと思うのです。そういう意味で、企業年金基本法など、厚生省で検討していらっしゃるものとの関係というのはどうなっているのか、勤労者拠出型年金との関係をどう考えるのかというのを、最初に確認をさせていただきたいと思います。 それから、中小企業への普及ということですが、資料1の1の(1)Dのイ、ロ、(2)に・が3つありますが、この2つ目、3つ目の・の所です。これについて言うと、例えば1の(1)Dのイは「現行の確定給付型の退職年金制度は、企業ごとに制度設計が異なり、転職先への資金の携行は困難」とあるのですが、勤労者拠出型年金においても、企業ごとにどういう金融機関と契約をして、商品をラインナップをするかということはおそらく企業ごとに違うだろうと。そうすると、自分の資産をこういうふうに運用したいという人が、転職して転職先で続けようかなというときに、本当に自分が希望する、自分の生涯生活設計のニーズに合った商品を選べるようになるのかなと。特に、中小企業の場合で言うと、本当に選択肢の広いような金融機関と契約して、いろいろな商品をラインナップするということが、現実に可能なのかなと。 それから、ロで、「中小企業やベンチャー企業は、継続的な企業負担を伴う確定給付型年金制度を運用することが困難」とあるのですが、企業として拠出をする、助成をするということが一つの柱になっていると思うのですが、中小企業というだけではないと思いますが、そういう支援をすることというのが実際にできるのかなと。ですから、いまここで現行の制度が云々とおっしゃっていますが、今日示されている案の中でも同じことが、中小企業の場合はいえるのではなかろうかなと。(2)の2つ目のと3つ目の・は全くいまと同じようなものであって、現状の問題がこうだから、この制度に変えればいいと言われても、簡単には納得できないと考えます。 それから、いまの年金制度、我々企業で厚生年金基金を持っているところでいうと、単年度の不足が生じるということが大問題ですが、将来の責務をどのように考えるかということがいまは大事だと思うのです。そういう意味では、新たな拠出をして、財産形成を支援しなさいというのは、企業にしてみれば、いまの厚生年金基金制度、年金制度をどのように企業として考えて維持するかということが、社員なり社会に対して非常に大きい責務だと思うのです。新たな拠出をしなさいと、これは勤労者の支援になりますと、それはそうだと思うのですが、安易にはそんなこと、どこの財布から持ってくるのかなと、簡単には「イエス」とは言えないなと思います。 それから、先ほどの給付金制度はどのぐらい普及していますという資料が出てくると思うのですが、実はこれもわけの分からない世界なのです。社内預金制度が、下限省令の関係で高い利息を支払わなければならなかったということで、社内預金を各企業はどんどんやめているのですが、そのときに社内預金に高い利息を付けるよりは、一般財形のほうが預け替えが可能なので、給付金を付けるというふうにやった企業がかなりあって、本来的に財形制度を維持するとか、勤労者を支援するための給付金という、制度の趣旨を純粋に実現した給付金制度よりは、例えばほかの制度からの変更もあるのですが、社内預金からのそういうことで給付金が出来上がっているという例がいま多いので、給付金がこれだけ普及しているという資料は、かなり割り引いて見なければいけないなと思います。 |
| ○ 事務局 まず、タイムスケジュールですが、税制改正、法律改正ということになってくるものと思います。そうしますと、法律は来年度の通常国会にできれば出したいということで、進めてまいりたい。それに伴って、税制改正要望も出していく、ということになると思います。ただ、これを施行するのは、やはり非常に大きな改革ですので、すぐというわけにはまいりません。いずれにせよ、いちばん早い段階で平成12年度になってからの施行、ということにならざるを得ないだろうと思っています。ですから、法律改正は枠組みですから、来年度の通常国会ということになりますが、予算その他税制の詰め、これらの大枠は法律と一緒に出さなければならない、ということも出てくると思いますが、細部の詰めは、法律が通ってから具体的に詰まる、という部分もあるのではないか。特に、予算はそういうふうなことになるだろうと思います。 そのために、この財形審議会におきましては、後ほど述べますが、9月から基本問題懇談会を設けまして、そこで具体的なご議論をお願いし、今年中、あるいは来年初めには、一定のご方針をいただいて、全体の制度改革をやっていきたいと思います。 ただ、当然、これは関連する各省、各機関、先ほどおっしゃいましたように税制では大蔵省、予算も当然大蔵省、厚生省の年金の全体の議論、ということとも絡んできます。当然、適格年金とか厚生年金基金との関係、特に年金審議会等におきましても、厚生年金基金についてどうしていくか、また確定拠出型の企業年金という案も出ていると聞いておりまして、そこら辺の年金全体の中での調整というのも当然出てまいります。ですから、審議をお願いすると同時に、我々としても関係省庁と調整しながらやっていくという、同時並行にならざるを得ないだろうと考えております。 2つ目ですが、ロールオーバーIRAの仕組みです。私どももせっかくの拠出型制度を設けるについては、ポータブル化ということを当然考えなければいけないだろうと考えております。なかんずく、アメリカにおきますロールオーバーの場合のIRAの仕組みというものを参考としつつ、考えていかなければいけない。この点については、財形制度研究会におきましても、自民党の提言におきましても、両方ともその点を指摘しております。したがって、先生方のお知恵も借りながら、ロールオーバーIRAのようなものを具体的にどう仕組んでいくか、これは実務的にもなかなか難しい問題があると思いますが、詰めてまいりたいと考えております。 401(k)プランを担保に借り入れがある。これはおっしゃったようないろいろな需要が途中で出てくるわけで、その場合、引き出すということでなしに、わざわざ貯めたものを引き出さないように融資を付けるという意味です。これについては、自民党の提言などが出る際にも、そういう仕組みもどうかということが指摘にございます。ただ、現実的にどういう仕組みにしたらいいのかというのは、なかなか難しい問題もあるかと思います。現在すでに財形融資制度というものが、財形制度に入っている勤労者の方については設けられております。これは住宅と持ち家に限られておりますが、そういった融資制度との関係をどう付けるのかとか、どう整理するのかという問題もあろうかと思います。 平成8年に活用給付金という制度を設けました。これはある意味では、福祉財形とも言っているのですが、教育ですとか介護とかいろいろな福祉関係のニーズがあって、そのときに財形からお金を引き出したいという場合に、助成金を付けるという仕組みです。これはある意味では、融資制度を考える場合、その制度との関係をどう付けるかと、そういう問題も出てきます。ですから、401(k)プランで、担保借り入れ融資という仕組みがあるのは事実ですが、そういった仕組みを日本に持ってくる場合に、この活用給付金ですとか既存のいろいろな融資の仕組みとの関係をどう整理するかという、かなり複雑な問題を起こすのかなと思います。ですから、その趣旨は非常に理解できるところですので、これを全体の仕組みの中でどう仕組んでいくか。このことも、これからのご審議の中で出てくるのではないかと考えております。 全体の年金との関係でどうかということは、おっしゃるとおりでして、特に新たな拠出を伴うものかどうか、この制度を作ることによって、これまでの3階建てか、または4階建てみたいな新たな拠出を求めるものなのかどうかという点ですが、これはある意味では、私どもとしては勤労者拠出型年金、いわば個人年金に近いものという制度を考えております。いわば、企業年金、厚生年金基金、適格年金というものは企業が中心の拠出による年金、もちろん勤労者の拠出も併せてあるわけですが、中心はそちらにあるわけです。勤労者拠出型年金の場合は、勤労者が個人として拠出していくというものがあって、それに対して任意の企業の拠出ですから、出す企業はある程度出すかもしれませんが、任意の拠出ですので、出さない企業があってもやむを得ない、というような制度設計になってくるかと思います。 そうした場合にはその財源として、すでに財形年金というものがあるわけであり、それが基本になります。加えて、個人年金保険というものが民間であるわけですが、これは残高でいうとおそらく30兆円ぐらいあるのかと思います。そういったものが直ちに受け皿ということではございませんが、特に公的年金に対する不安からそういうものが増えていくとすれば、その自助努力、個人年金に回っている勤労者の分が、こういう優遇税制を付けることによってこういう仕組みに乗ってくる、という可能性もあるのではないかと考えております。いわば既存の企業年金の拠出とは重ならない範囲で、これが伸びていくという余地もあるのではないかと考えております。 中小企業ということにつきましては、おっしゃるとおりで、財形制度においてもなかなか中小企業の普及は十分でない。そういったことから事務代行制度を作ったりしておりますが、これもなかなかいろいろな問題があって、頭打ちになっている面があるということです。ただ、基本的には、事業主の関与をどの程度にするか、先ほど申し上げましたように、必ず事業主が一定額を拠出しなくてはいけないと、そういう仕組みを作るのであればそれは難しいかもしれませんが、例えば任意の上乗せ、場合によってはゼロでも仕方がないという仕組みであれば、事業主の負担というのはそれほどでもないのかなと。ある意味では、天引きとか最低限そういうことをやってもらうとか、これらの事務量をどの程度事業主のものとしていくか、あるいは金融機関との関係でどう整理するのか、そのコストはどうするかということの整理の中で、具体的に中小企業等にも利用できるような仕組みをどうするか。これを今後の議論で詰めさせていただきたいと、正直そういうところでございます。 |
| ○ 会長 いかがでしょうか。何かご発言はありますか。 |
| ○ 委員 いままでの議論で感じたことを少し申し上げます。新しい拠出型年金を導入しようというのは、お話のとおり、労働市場が非常に流動化してきているという点があろうかと思います。それは、いままで中小企業、零細企業をカバーしていないということももちろんございますが、さらにはこれから、いわゆる終身雇用であるとか、そういう長期雇用の形態が変わっていくだろう。むしろ短期雇用が、経済のサービス化等によって促進される可能性が強い。あるいは、産業構造の転換によって、いままで自営業であった者が、新しく勤労者として入職してくる、あるいは専業主婦が新たにパートタイマーとして入職してくる。こういう非常に流動的な要素が大きくなっておりますので、そういう面にも対応していこうということが、1つの大きなポイントになっております。 さらに付け加えますと、資本市場が、非常に大きく転換してきている。個人金融資産が1,200兆円といわれているわけですが、その投資先がなかなか見つけられない。設備投資もなかなか行われない状況ですから、そういう中で、利回りが非常に低下してきている。そのためには、やはり年金の設計についても、給付型から拠出型に変える。少なくともそういうものを追加的に作る必要はあるだろうということで、今回こういう拠出型の年金の制度の変更について検討しようということになったわけです。 お話のように、企業サイドとしては、追加負担ではないか、という懸念が当然出てくるだろうと思うのです。いま事務局のほうからお話がありましたように、これは任意の企業負担ですので、必ずしも追加負担とはならない。また、既存の企業年金も、場合によっては乗り換えていくということもあり得る。ですから、できるだけ間口を広げて設計したらどうか、という意見が出ておりました。できるだけ新しい時代に沿うような形で、制度設計をしていくべきだ、というのが基本的なスタンスでございます。その点だけ、追加させていただきます。 |
| ○ 委員 財形の問題に戻りますが、預替えを認めると、これは当然ハイリスク・ハイリターンの商品がどんなものかというのはありますが、自由に勤労者が自らの判断で行えるということがある。いま事務局から、事業主の拠出は任意なのでしなくてもいい、場合によっては、いまの財形年金をある程度補強すればいい、という趣旨のお話があったと思いますが、これまでの審議会の中で、預替えについては、相当の縛り、要件を持ってしか認めない、という議論がここで散々あったと聞いております。むしろいまのことからして、とりあえずやれるところを改善すればいいということであれば、直ちにいまの金融ビッグバンの時代に応じて、個人資産を勤労者が自分の責任できちっと守っていくことができるように、預替えを任意にするというふうに、財形制度を一日も早く衣替えをするということも必要ではないかと思います。 質問ですが、そういう意味で、「対象商品」として、「企業が自社株を除いて3つ以上の選択肢を提示する」ということになっていますが、どういうことで企業が金融機関を選んで、商品を作るのかなというのが、企業サイドにいる人間からしても、具体的に分かりません。いまの現実の財形貯蓄というものは、資本関係がある取引先、取引関係があるという金融機関を、とりあえず財形貯蓄の金融機関としてラインナップをする。金融機関といろいろお話をして、いろいろな金融商品が出ていますから、我々はいろいろな商品をラインナップしてくださいと、こういうことを常にお願いしているのですが、金融機関のほうは、いろんな商品をラインナップしてしまうと、手続が大変になるということで、この商品に限りますとか、今度新しい商品を出したのだけれども、いままでの既存の契約分は、全部こちらに乗り換えて、これからはこちらでやってくれませんか、ということを我々に言ってくるのです。そういう金融機関と企業との関係からして、企業が勤労者のことを考えて、勤労者の権利を守るような形で、本当にラインナップができるのかな、という気が非常にいたします。 中小企業が事務処理能力がないということで、代わってそれをやってくれる機関を作るということに関して言うと、まさに自分の資産をどういうふうに運用していくか、管理していくかということは、場合によっては日々の問題にもなってきております。そういう意味で、我々としてはこういう商品をこういうふうに変えたいとか、どうしたいと言ったときに、事業主に通して代行機関に言う、直接代行機関に言うところはあるのですが、先ほどの天引きというものが、勤労者の資産形成のために本当に必要な措置かという指摘もあったのです。毎月1回給与で引きますという意味は、給与計算等の事務処理をするためのリードタイムがある。そうすると、いまここでやっているとまずい、こちらが有利なものだから変えようというふうに、市場のいろいろな動きに対して、この天引き制度というものは極めて融通が利かない制度になってしまっている。そういうことで、事業主の拠出のない今までの制度と変わらない、金融商品は市場のいろいろな金融機関が提示してくれるものと比べると、非常に限定されているというときに、本当に財形貯蓄という制度を勤労者がいい制度と思って利用するかな、というところを非常に心配します。 現に、一般財形にしろ、年金財形にしろ、加入者が減っている、頭打ちの傾向になっている。社内預金がなくなって、肩代わりして受け皿になっている部分で、残高件数は確かに増えていると思うのですが、そういうことがなくなった場合、本当にそういう他律的な要因がないところで、いまの財形制度が、勤労者にとっていい制度になっているのかどうかというのを、こういう場で1回きちっと議論すべきではなかろうかなと思います。そういうことが、この審議会の本当の役割ではないかなと思います。 先ほどの500億から1,000億ぐらいの減税になるというお話ですが、いわゆる所得控除でもって、給与所得者の課税は繰り延べられる。これを受けるときに、一時金で退職所得控除、年金で受けるときに総合課税で受けられるということを考えると、実は、これは高給取りの人が、余裕を持っているお金を給与天引きしておいて、ここにできるだけ預けておけば、極めて税制上は高給な方に有利な制度になるだろう。そうしてくると、中小企業、大企業を考えると、いろいろな統計を見ても、賃金にも当然一定のギャップがあるということからすると、給与としての所得の余裕のある層ほど、この制度の恩典というのが極めてうまく受け取れる、という仕組みになってしまうのではないか。少なくともいままでの550万という公平な上限、550万ぐらいであれば一般の勤労者は、真面目に貯蓄していれば貯蓄できる範囲だと思うのです。500億が1,000億に増えるのは非常に結構なことだと思うのですが、事業主拠出の限界があるとしても、高給者がこれをやれる範囲でやっておいて、あとあと総合課税だ、退職所得控除も受けられますよとなってしまうと、これは際限のない、ある意味ではちょっと言い過ぎかもしれませんが、いわゆる高給の方を優遇することになってしまって、制約は非常に多いのですが、いまとりあえず保っている部分の公平、公正が崩れてしまうのではないだろうか、という気がちょっとします。 ですから、どういうふうに勤労者にとって、所得が課税を免れた形で得になるのかという以前に、実際に大企業の方、中小企業の方がどのぐらい財形をやっているのかとか、実際にどういうふうに繰り延べたらいいのかとか、モデルケースで比較してみないと、正しい結論は、総額でいくら議論しても、その辺のところの不公平の是正、公平性の担保という点では、ちょっと不足の議論になるのではないかと思います。 |
| ○ 事務局 いまのご質問ですが、高額所得者優遇というところについてはアメリカでも議論されて、一定の限度を設けるということで、歯止めというものはあります。我が国においても、自民党の中でも、それは相当議論されて、一定の限度、特に国民年金基金の拠出額、そういったものを参考にしながら考えるべきだという歯止めというものは、考えていると思います。 企業の対応としていろいろな商品といいますが、結局アメリカでも現在のところ、代行機関といいますか、そういったサービス機関が発達して、そこがほとんど代行している。新しい産業といったものが起こってくるのではないかと思っています。金融機関もだんだん垣根がなくなってきて、いろいろな商品を開発しないと競争ができないという時代になってきますから、いままでのように、1社取引き銀行だけで言いなりになるといったことでは、その銀行は成り立たなくなるということになろうかと思います。そういうところで、特に外資系は、そういったことを見込んで、提携とかを進めておりますから、逆にそれに負けないようにしないと、どうも取られてしまうということで、大競争の時代ですから、新しい商品、新しいやり方、新しいサービス、そういったものはどんどん開発されていくのが流れだと思っております。企業自身の負担というものは増えていかないと、いままでのヒアリングではそういう印象を受けています。 それから、先程のお話にありましたように、既存の年金を全部切り変えるというのではなくて、あくまでも企業の中の労使関係の中で決めていく話だと思いますが、そういった道もあり得るということで、第三の道といいますか、企業の中の労使の選択の幅を広げるということで、新しい制度を作っていく。現在、財形制度が伸びていないというのは、確かにこういう低金利の中で、あまり財形をやってもメリットが少ないということで、現実にここ数年間伸びが低いといいますか、総額は若干伸びつつありますが、件数そのものは増えていない、逆に減っているものもあるという状況で、そういったものが背景にあるのかなという感じはしております。 |
| ○ 委員 いまお答えがなかったのですが、預替えとか、いまの天引きをベースにしている財産形成支援だとか、そういう制度自身がどうかという議論をすべきではなかろうかと申し上げたつもりで、これがいちばん大きいと思うのですが。 |
| ○ 事務局 それについては我々も問題意識はありまして、いまのような場合だけでなく、例えば破綻のときに預替えできるようなもの、それは通常ベースで要求していきたいと思っています。ただ、大きな全体の枠がいま変わろうとして議論しているので、その枠の中でまた預替えもどう位置付けるかという議論も、これからの9月からの審議会でお願いしたいと思います。ですから、ある意味では、現行制度上どうなる、現行制度の仕組みを前提として、いまのような預替えをもう少し融通できないかという問題と、この仕組みを誘通しますと、この預替え自体の位置付けがだいぶ変わってくると思います。そうすると、新しい仕組みの中で、どこまで預け替えができるのかと、2つの議論があり得るわけです。ですから、9月からまた細かく、ポイントごとにご議論いただきますが、その中で詳しく説明し、ご議論いただければと思っています。そういう2つのスタンスで我々も臨んでいきたいと考えております。 |
| ○ 委員 財形年金で議論して、なるほどということ、いい措置であれば、一般財形、住宅財形についても、大いに議論するということをお約束していただきたい。我々企業サイドの人間とすれば、中小企業の方にも普及させるためには、こういうことが考えられるだろうというアイディアは、いくつも持っているのです。本当に、パソコンベースでデータを加工するとか、いろいろなやり方が可能なので、むしろ、ベースになるところをもっと改善すべきだと思うのです。 |
| ○ 委員 細かな話になって恐縮ですが、教育あるいは企業側の情報開示、この辺を具体的にどういった方向性で考えておられるのか、というのを伺いたいと思います。1人ひとりの勤労者、従業員の生活にかかわることですから、それもいまご説明があったように、相当大きな部分を占めてきますと、それに対する企業責任というものも相当大きくなってくると思います。特に中小企業については、そこに対するコンサルティング、そういったことが実際にできるのかどうか。この辺をやらないと、なかなか前に進んでいかないのではないかと思いますし、そこのところをないがしろにすると、日本の労働組合にしても我々も、相当いろいろと言われておりますので、その辺のところはどういう方向性で考えておられるのかというのが1点です。 2点目は、先ほど委員の方からもございましたが、手続き面、OA化の話等々もございましたが、現状でも金融機関ごとに情報量が違うとか、いろいろなことがあります。こういったことを、今後、金融機関の方々、業界の方々と調整されるような計画はあるのかどうか。この2点についてお伺いしたいと思います。 |
| ○ 事務局 情報開示という点については、やはり品揃えをいくつかしていくということになれば、それと裏腹の関係で、これはどういう商品かということの説明は、ある程度していただかなければならないだろうと考えております。ただ、これについては、どういう場合に商品の品揃えをし、情報開示をするか、この条件ですが、アメリカのように全部が全部必ず自社株以外3つ以上そろえなさいとか、そういう形にするのがいいのかどうか。あるいは選択としてそういう道を開けるのかどうか、という問題もございます。仮にそういう商品の品揃えをした場合、自然にある程度情報開示、あるいは投資についての教育のような諸事務が加わってくるわけで、これをどのような形でやるのか。 例えばアメリカですと、専門のサービス機関に委託して、サービス機関がやる、というような形になっております。このサービス機関の中には、信託会社みたいなものもあれば、銀行、保険などいろいろ参入してきていて、ある程度手数料を払ってやっているという形ですが、日本ではそういう形になるのか、誰がどうやるのかという仕分けが非常に重要ですし、どこまで情報開示するのかという問題もあります。これはかなり細部の詰めになりますので、今日お答えするということはまだできませんが、いずれ9月からご審議いただく中で、当然そこら辺について、何らかの形を考えていく必要があるだろうと思います。 それにつきましては、OA化の問題もそうですが、やはり現場で担当しておられる方々の実情、実態、考え方、そういったものを踏まえてやっていかなければいけないのは当然です。従って、当審議会でもそういうご要望があれば、機会を設けるということは、検討したいと思いますし、また我々が案を設計していく上で、同時に事務局案を作るについても、そういうことも必要になりますので、我々としても情報として聞くなり、意見を聞くなりということは、日々業務の中でやっていきながら、案を作っていきたいと考えています。 |
| ○ 会長 いまのご説明の前の事務局のご発言に関連して、若干申し上げます。この審議会の委員の中から、破綻金融機関が生じた場合の乗り換えの問題を急いで議論すべきである、というご意見を私のほうにいただいております。その点は、私も急がなければいけないと思っておりましたが、先ほどお話がありましたように、すでにより大きなフレームワークについても、議論が急がれているということですので、この秋以降の審議においては、破綻金融機関にかかわることもその一部として、当然議論していただくつもりで、そのご意見を取り扱わせていただきたいと。そういうことも、私からお願いをしておきたいと思います。 |
| ○ 委員 出された原案は、それなりの時勢に合って、魅力的な点を感じておりますが、今日までの財形審の議論の経過を振り返ってみた場合に、公的年金のあり方、企業年金である現存の厚生年金基金、適格年金、労働省所管で言ったら中退金、そして財形と、各レベルの年金がありますが、公的年金の基本的あり方から財形のあり方までの議論が、混在して交差して論議されているために、そもそも誤解を生んで、誤解された議論のほうが発展するような嫌いを持っていたように思えてならないのです。先ほどから出たご意見あるいはご質問は、極めてもっともだと思っているのですが、大きいマクロ的な問題から個々の実務に至る手続論まで、非常に難しい制度の変革があるだけに、いずれも必要な論点であると思っております。 しかし、これは基本問題懇談会のところで申し上げようかと思っていたことですが、いま出たご意見、ご質問を含めて、整理して関係者がそれなりに納得する作業をするとなると、相当の時間と労力を要すると受け止めるわけです。それで、基本問題懇談会は9月から始められると、それで来年の通常国会に法案を出すということですから、その間の実動日数というのは極めて限られた時間制約になるだけに、できれば今日出された意見も取り入れて、各レベルの論点を整理して論議できるようにしていただきたいと思います。大きな国家全体にかかる年金制度から、任意な制度である財形制度等に至るまでのことを含んでいるだけに、論点と進め方を是非整理して、委員にも宿題を出していただいたら、建設的な参加ができるのではないかと思っています。 |
| ○ 委員 自民党の案と研究会の案を見ていますが、対象商品について、労働省の研究会のほうは、勤労者が安定性の高い金融商品であるとか、損失の危険を最少限にするとか、こういう視点が出されているのです。最近、日銀の調査でも、金融機関選択の先というのが、安全性とかそういったものに流れが変わっているように思いますし、いまの長期金利1.2%、1.3%から見ると、金融機関自体の存続もあるので、当分厳しい環境かなと。こういう発想を持つということは、大変いいことだと思うのです。ただ違うのは、今度は1契約から複数になってくるということが出てきます。この辺の選択が果たしてきちっとできるのかということが、重要になってくると思うのです。そういう意味で、1つ提言ですが、金融商品であるとか、運用、投資先であるとかということは、個人では難しい問題だと思うので、例えば労働組合が、こういったものを企業と一緒に相談して決めるとか、そういった範囲といいますか、方法は考えるべきではないかと、個人的には思うのですが、その辺のお考えは何かあるのかどうか。もしあったら教えていただきたいと思います。 |
| ○ 事務局 いまおっしゃったことについても、これから企業内の自治で、労働者がこういうものをやりたいと言った場合に、企業のほうとしてこういう商品も、といったことを相談しておくということも、やり方の1つとしてあるのではないか、という気がしております。 もう1点、いまのご質問とは関係はないかもしれませんが、研究会の論点整理の2頁の所の「対象商品」ですが、書き方がまずかったせいか、真ん中の(2)「対象商品」の初めに、「企業が自社株を除いて3つ以上云々」と書いています。自社株は駄目と言っているような感じですが、これは研究会の議論では、自社株も対象に入る、ただし、自社株を入れる場合には、自社株プラス3つ以上と、そういった意味です。自社株を排除するという意味ではございません。 補足させていただきますと、401(k)プランにおきましても、自社株はきつい条件がありまして、上場株であるとか、投資のパーセンテージもこれからさらに下げようといったような条件があって、全く非公開株とかそういうものは対象にならないといったような、アメリカにおいても自社株についての制限というのは、ほかの金融商品に比べてきつい条件がかっております。 |
| ○ 委員 実務的な立場から考えますと、先ほどからも繰り返し出ておりますが、まず年金制度全体の改革の中で、整合性が取れた形で考えていく話ではないかなと。特に、税制等の問題につきましては、非常に大きな改革ですので、そういう整合性について十分配慮していただきたいということです。それから、事務負担の問題が出ておりますが、これにつきましても、金融機関が負担すべき事務負担も当然出て参ると思いますが、基本はやはり強制的な仕組みではなくて、関係者の自由な意思というか、お互いの納得が得られる形で事務の負担を決めていく、ということが基本ではないかと考えているわけです。 もう一つ、預替えの問題も再三出されていますが、これも銀行も相当変わってきているということですし、いくつか事例も出されたわけですが、そういう中で基本というのは、やはり企業なり従業員といった利用される方と、運用を受ける金融機関との任意の関係ですので、これを基本に据えるべきだと考えるわけです。当然その中で、銀行が十分ニーズに応えられない、注文に応えられないということであれば、そこは預替えの対象になっていく、というような話にならざるを得ないわけで、そこは通常の企業と銀行との関係の中で決まっていく話ではないかと思います。 |
| ○ 委員 いままでお話を伺っていて思った点ですが、勤労者拠出型の年金ということですから、当然このことだけを考えたら、間口はかなり広くなるのかなという気はします。ただ、いわゆる企業年金からの移行も間口の1つとして考えながらも、一方で民間の個人年金からの移行も、間口の1つとして考えていると、かなり間口として広いのかなと。おそらく、それぞれ仕組みも違いますし、商品性も違うわけです。例えば企業年金からの移行となりましたときには、勤労者の負担というものはないわけですし、個人年金からの移行ということになりますと、商品性が全く違いますから、そこの部分は全然違ってくるわけです。広い受け皿ということで、1つの勤労者の拠出型の年金制度を作っていくということになれば、当然のことながら、それぞれの年金との整合性という問題がおそらく出てくるのかなと。この部分はわりときっちりと議論していかないと、勤労者の立場から言いますと、分かりにくくなるのではないかなという気がします。 例えば、どの年金にどれだけの人間が携わっているのか、もう少し言えば、給付をどの年金からもらう人間が、どれだけのシェアとしているのか、そういう部分から見たときに、拠出型年金をまずどこの部分から導入していくのか、という議論があるのではないかなという気がしております。お客さんの数といいますか、契約者の数がどれだけどうあるのかというのは、非常に難しいかもしれませんが、その部分から見ながら、横の連携をしつつ検討していくのがいちばんなのかなと。 企業年金の話で言いますと、もちろんこういう制度がずっと来ているわけですから、働く人間の立場から言いますと、いまの制度を維持してほしいというのは、第一義としてあるわけですが、かと言って、このままいって年金制度自体が破綻してしまう可能性もあるわけです。ですから、ここの議論ではないと思いますが、そういう意味では、例えば確定拠出について、企業年金の中でどう考えていくのか、というような部分もおそらくあるでしょうし、そこら辺の横のつながりの議論はしていく必要があるのかなと思います。 もう1点ですが、教育の問題というのは、誰がどういうふうに教育していくのかと。企業が従業員に教育するのか、もしくは金融機関がお客さんに教育するのか、いろいろあると思うのですが、ベースの部分で、アメリカとは違って、自己責任原則という部分が、意識としては薄いですので、そこの部分の教育を誰がするのかというのも大事ですが、ベースの部分の自己責任原則みたいな教育というのも、例えば窓口を設けてあげるとか、そういう部分をやっていかないと、せっかくこういうふうに創設していった年金制度が、逆に大きな問題になっていく可能性もあると思います。そういう部分は、慎重なといいますか、十分な対応をお願いしたいと思います。 |
| ○ 事務局 最初の点は誤解があるかもしれませんが、自民党の案にしても研究会の案にしても、勤労者拠出という性格ははっきりさせております。ですから、直ちに企業年金の振替えということにはならない、基本的な性格が違うと認識しております。例えば、企業拠出がゼロであっても成り立ち得ると思います。勤労者拠出がベースです。ただ、企業側の任意の拠出をどこまで認めていくかということになれば、それはいろいろ議論があるかもしれないというのは、おっしゃるとおりです。そこについて、我々も基本的に、いま公的年金があり、企業年金があり、これは3本目の勤労者拠出という、1つの選択肢を増やすという考えでおります。ですから、全体の年金市場の問題、公的年金がどうなるか、企業年金がどうなるか、そことの関連で位置付けが決まらなければこれができないというものではなく、むしろ可能性の1つとして、ご議論いただきたい。 ただ、ご議論いただくときに、当然関連は出てきますから、その範囲でのご議論は当然あると思いますが、逆にそこの部分は、関連機関との調整とか、いろいろ調整はあると思います。それは確かに不確定要素がありますが、ここで大きな議論をやってしまうと年金の議論になってしまうので、そこはご理解いただきたいというのが1つです。 |
| ○ 委員 そういう意味では、例えば企業年金が拠出型みたいな部分を意識するとしたときに、どう連携を付けるかということだと思います。 |
| ○ 事務局 それは出てきますね。ですから、その関係が調整として出てくるというのは、おっしゃるとおりだと思います。直ちにここでの議論ということにはならない、調整の部分になると考えております。 教育の問題は、おっしゃるように、やはり日本の勤労者の意識と、アメリカの勤労者の意識、金融のポートフォリオみたいなことを考えていくと、だいぶ違いがあると思います。ですから、ある意味では、運用にかかわる部分、商品の品揃えとか、情報開示、教育というのは、日本流にどうアレンジしていくのか、ということは考えながら詰めていかなければいけないと、そういうことでご議論いただければと考えております。 |
| ○ 会長代理 自由な議論をしていると思いますので、いろいろ伺ったところから感想を申し上げます。労働市場の流動化に対応せねばいけない、資本市場も大きく変わろうとしているというようことに対応する必要があるという着眼点は、全くそのとおりだと思います。従って、何らかのこういうものを生み出すという努力はあっていいと思います。それはアメリカでやっているわけですから、日本でやれないわけはない。研究するのは結構だと思います。ただ、実際に突っ込んで議論をしていきますと、どうもいろいろなところが引っ掛かるような気がします。それを、できれば9月以降の機会に、さらに研究を深めたらいいのではないかと思うのです。 第1は、アメリカと違って、日本は世界でも最も年金制度が進んだ国なのです。いろいろな制度がすでにがっちりと出来上がっている。問題は、いままである年金制度、特に大枠となる厚生年金、企業の厚生年金基金、この2つとも非常なる財政上の危機を迎えようとしている。これについて、掛け金を大幅に引き上げるとしても、給付水準を切らないといけないのではないか、という議論をしている。そういうときに、さらにプラスアルファーとして、どの程度の拠出のファンドというものを期待できるか。どうもそこのところは、率直に言って、あまり期待ができないように思うのです。もちろん、研究をしてはいけないということではなくて、研究はするのだけれども、同時にそれは商品として、どのくらいの量になるのかという点は、やはり考えておかなければいけない。だから、いま現在、年金はどういうような加入者であって、どういう状況になっているかというのは、一度分析がいるだろう。 その次に、ことに従来の確定給付型年金と比べますと、確定拠出型というのは、非常に事務手続が面倒そうな気がするのです。つまり、これは2つ、3つの選択が認められる、乗り換えができる、要するに運用方法の変更の指図ができる、かつそれを同一人物ごとに転業や転職を含むと、20歳から60歳まで誰かが管理していないといけない。それは誰がやるのだと。それは、企業に任せきりというわけにはいかない。おそらく受託者である金融機関ないし代行機関が管理をするのか。そうすると、それはかなりのコストがかかるのではないか。 もう一つは、税金ですが、税制のメリットを付けようとしますと、個々の勤労者ごとに、税に関する記録をずっと引きずっていかなければいけない。それは誰がやるのだと。それは国税庁がやるのかもしれない。しかし、それは下手をすると、それこそ総背番号制のような管理が必要になるかもしれない。そういう問題を含んでいる。したがって、管理コストまで折り込んだ場合に、ことにいまのような低金利時代に、一体商品として成り立つのかと。ややここは問題だろうと思うので、そこら辺を実務家に、ある程度コスト計算的な観点も含めて議論していただくと、非常にいいのではないかと思います。 さらに、現在、低金利であるとか、相場が振るわないということもありますが、アメリカで非常に401(k)が流行しているのは、運用成績がよろしいからなのです。ところが日本は、例えば昭和の終わり、平成の初めに株式投資をすれば、いまごろは半分に減っているわけです。そういうようなところについて、本当にトラブルなしというか、ある程度トラブルを防ぐようなうまい仕組みというものができるかどうかというのが、日本では1つの大きな実験のような気がします。ここのところは、教育の重要性ということで、ご指摘があるとおりです。こういうようなところについて、せっかくの議論をまとめるについては、かなり幅広い勉強が必要なので、それが間に合うかという問題になると思います。いずれにしても、いま申し上げたようなことも参考にして、議事なり研究テーマを組んでいただいたらと思います。 |
| ○ 会長 大変本質的な議論をたくさん出していただきまして、本当にありがとうございました。それにつきましては、一応、提案がありましたように、今後9月以降、基本問題懇談会においてご審議をいただくという形にしたいと思います。念のために申しますが、基本問題懇談会は、前回委員を指名しておりまして、会長代理以下、それぞれお願いをしております。そこを中心に議論をし、かつ審議会においても、さらに適宜ご議論をしていただく、という形で進めさせていただきたいと考えております。進め方として、かなりハードスケジュールがあり得るかと思うのですが、とりあえずそういう形で進めさせていただきたいと思います。 |
| ○ 委員 事務局のほうから、これは単独でも実施することもあり得る、というお話があったのですが、やはりこれは年金制度ということであれば、全体との調整がいるということを主張したいと思います。これはお答えはいりません。もう一つは、制度を変更しても、事務は大したことはないだろう、という発言がこの議事の途中であったと思うのですが、預替えとか実際の商品の情報開示とかいうことを考えた場合に、従来的な財形制度以上に、勤労者はおそらく企業の担当部門に、いろいろな問い合わせをしてくるだろう、金融機関に対してもそうだろうと思います。具体的な預替えの手続も、この金融機関のこの商品の運用がちょっとおかしくなったということになれば、立ち所に雪崩式に出てくるだろう。そういうことから考えると、事務の増え方は大差ないというのは間違っているだろうと思います。これも回答はいりませんが、そういう発言があったということは、記録していただきたいと思います。 |
| ○ 事務局 我々が提案しているものを企業年金としてとらえていただくと、議論が混乱しますので、その辺はまず、よくご認識いただきたいと思います。先ほど包括企業年金法の議論がございましたが、そういう中で、研究会と自民党がオープンにしている確定拠出型、いわば個人年金というものを、ダイレクトに企業年金法の中で位置付けるとか、そういう問題にはならないということを踏まえて、先程申し上げたと思います。先程事務局からご説明しましたが、勤労者拠出ありきという制度で、そこに任意の企業拠出をどこまで上限として考えるか、上限として任意の企業拠出を考える際には、いまある財形給付金・基金のような、全くの福祉的な、事業主の思いやり的なものとして考えるのか、あるいはそこにありますように、例えば松下電器のように、退職金制度をやめて、すべて従業員の給与という形で上乗せする。そうした場合の従業員の拠出というのは、これまでの賃金制度の中におきます従業員の拠出とも違う性格があるでしょうし、退職金の完全給与振替えという松下のような所までいかなくても、例えば中小企業で退職金制度をやめてしまう、30年引っ張って払うというのをやめて、給料ではなくて、ボーナスのときに企業のほうから毎年退職金見合いのものを出していくという場合に、我々はそういうものも企業拠出としての受け皿として考え得るか、いろいろな議論があるわけです。 そういうことで、企業年金における企業拠出の性格と、これから考えようとする新しい個人拠出主体の年金における企業の任意の上乗せを、どう整理し、考えていくかと、そういう議論になると思います。その辺は、広い見地からご議論していただこうと思いますので、よろしくお願いします。事業主団体のほうが要望しておりますような、確定給付型の厚生年金基金が破綻する可能性もあると、その場合に、確定拠出型の企業年金を導入してバランスをとるというような話と、これをダイレクトに結びつけて考えていただくと、大変議論が混乱してしまうと思いますので、その点はよろしくお願いいたします。ただ、そこは微妙な問題として、横のつながりをどうするかというところは、しっかりと考えていかなければなりませんが、スタンスとしては、その辺をよく考えていただきたいと思います。 |
| ○ 事務局 手続的なことですが、基本問題懇談会で9月からご議論をお願いしたいと考えておりますが、基本問題懇談会は、基本問題懇談会委員以外の審議会の委員の方も出席できますので、ご案内は全員の方に差し上げます。基本問題懇談会委員の方は、ご出席していただきたいと思いますが、それ以外の方も、是非ご出席いただいて、活発なご議論をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。 |
| ○ 会長 それでは、かなり重い課題を背負ったようですが、本日の議論は、これで終了したいと思います。本日の議事録の署名委員は、奥村委員、町田委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。本日は、どうもありがとうございました。 |
| (注)本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。 資料についての詳細及び問い合せについては、労政局勤労者福祉部企画課 03-3593-1211(代)までお願いします。 |