第65回勤労者財産形成審議会 議事録

 日 時 平成12年3月17日(金)
 
 場 所 永田町合同庁舎 共用第3会議室
 
 出席者 [委員]香西会長、新村委員、藤田委員、吉澤委員、渡辺委員、河口委員、杉浦委員、薗部委員、桝本委員、山口委員、奥村委員、金井委員、倉島委員、中島委員、前田委員、松井委員
[事務局]澤田労政局長、鈴木勤労者福祉部長、草野企画課長
 議 題
  (1) 会長、会長代理の選出について
(2) 基本問題懇談会委員の指名について
(3) 確定拠出型年金制度について
(4) その他

5 議事
○ 企画課長
 予定されていた委員の方々、全員ご出席でございますので、ただいまから、第65回勤労者財産形成審議会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は、勤労者財産形成審議会の事務局を担当しております、勤労者福祉部企画課長の草野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。開催に当たりまして、本審議会が定足数に達していることを、まずご報告いたします。
 次に資料ですが、お手元に資料bPから7までの資料をお配りしてございます。資料bPから6−2までがクリップでとめた資料で、資料bVが確定拠出年金法案関係資料として、分厚いものを用意してございます。
 次に、これから議事に入ります前に委員の皆様方をご紹介申し上げたいと思います。お名前と役職は、お手元にお配りしました資料No.1に出ております。ここにお名前と役職も出ておりますので、ご紹介においては、お名前だけ呼び上げさせていただきまして役職は省略させていただきます。
 それでは、正面左から香西委員、新村委員、藤田委員、吉澤委員、渡辺委員、以上5名の方が公益委員です。そのほか、今日はご欠席ですが、翁委員、菅野委員、土田委員が選任されております。
 続きまして、勤労者代表の各委員です。左から河口委員、杉浦委員、薗部委員、桝本委員(新任)、山口委員です。そのほか、今日はご欠席ですが、田中委員が選任されております。
 続きまして、事業主代表です。正面右から奥村委員、金井委員(新任)、倉島委員(新任)、中島委員、前田委員、松井委員(新任)の方々です。以上が委員のご紹介でございます。
 なお、辞令については、それぞれの委員のお手元に置かせていただいております。配布という形で誠に恐縮ですが、どうかよろしくお願いいたします。また、任期ですが、発令日であります本年1月19日から本年末までということになっております。本審議会については、来年1月に行われる予定の中央省庁再編に伴い廃止され、その機能を新たに厚生労働省に設置されます労働政策審議会に移管することが予定されております。
 次に、本日は委員選任後初めての審議会ですので、併せて事務局のご紹介もさせていただきたいと思います。まず澤田労政局長です。右側にいきまして鈴木勤労者福祉部長、代田企画課長補佐、私の左が金刺企画課長補佐、私は草野です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事に入らせていただきます。まず議題1ですが、本審議会の会長及び会長代理の選出については、お手元にお配りしてあります資料bRにございます、勤労者財産形成審議会審議会令第2条の規定により、学識経験者の委員の中から委員をご選出いただくことになっております。それでは、どなたかご推薦をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 
○ 委員
 恐縮ですが私の方から、引き続きということで、ご苦労様ですが香西委員を会長に、土田委員を会長代理にご推薦申し上げます。
 
○ 事務局
 ただいま、引き続き香西委員を会長に、土田委員を会長代理というご発言がございましたが、いかがでございましょうか。

(異議なし)
 
○ 事務局
 異議がないようですので、引き続き第11期の当審議会の会長を香西委員に、また、会長代理を土田委員にお願いしたいと存じます。土田委員におかれましては、本日ご都合が悪く欠席となっております。したがいまして、追って事務局よりご連絡をし、ご了解をいただく手続きを取ろうと思います。それでは、香西会長、恐縮ですが会長席のほうへご移動願えますでしょうか。
 それでは、香西会長から会長ご就任の挨拶をいただければと思います。
 
○ 会長
 ただいま会長に選出されました香西でございます。本審議会の対象であります勤労者財産形成制度というのは、勤労者の計画的な財産形成を促進するということで、生活の安定を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する、こういう大きな目的を掲げております。少子化や高齢化、あるいは金融の自由化といったような大きな環境変化がございますので、この制度の重要性は、ますます大きくなっていることを改めて噛みしめる次第でございます。
 先ほど話がありましたように、この審議会は本年限りで終わるということです。別段、何か張り切っているわけではありませんが、重要な仕事ですので、整然かつ着実に任務を遂行して、それが有終の美を飾ることになれば有り難いと考えております。委員の皆様方のご指示、ご協力によりまして何とか任務を務めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○ 事務局
 ありがとうございました。それでは、以後の進行は香西会長より、お願い申し上げます。
 
○ 会長
 議事に入ります前に、今回が第11期の委員による初めての審議会ということですので、労政局長から、ご挨拶をお願いいたします。
 
○ 労政局長
 労政局長の澤田でございます。今期の委員の皆さまには大変お忙しい中、委員をお引き受けいただきましてありがとうございます。先ほどから何回も話題になっておりますが、一応来年1月、厚生労働省に統合されますと新しい労働政策審議会というものに、既存の審議会はほとんど統合されまして、その下の、いわば部会と申しますか、分科会という形で、これまでの審議会は引き続き機能を発揮していただく、ということになろうかと思います。なお、一部統合される部会、小委員会がありますが、基本的にはそういうことであります。
 財形制度については、この間、審議会の委員の皆さまの貴重なご意見、ご尽力等によりまして、着実に制度改善がなされていると考えております。ただ、なお直すべき点もありますので、それらの点も含めて、これから私ども努力していきたいと思いますので、皆様方のご支援と申しますか、適切なるご審議を心からお願いをする次第であります。
 今日は、これまで大変重要な課題でありました確定拠出型年金について政府としての方針が固まり、関係法案も今国会に出されました。したがいまして、一つの節目と考え、本日、当審議会でもいろいろご議論をいただいてきた問題とも十分関連いたしますので、ご報告いたしたいと思います。そのほかの問題も含めて、よろしくご審議をお願いいただきたいと思います。
 
○ 会長
 どうもありがとうございました。それでは、お手元の議事次第に沿いまして議題2へ移りたいと思います。
 議題2は、基本問題懇談会委員の指名です。基本問題懇談会は、勤労者財産形成審議会令第4条第1項の規定によりまして、勤労者財産形成審議会、当会の中に調査研究のための部会として設置されているものです。同条の第2項によりまして、その委員は会長が指名するということになっておりますので、僭越ですが私から指名をさせていただきます。基本問題懇談会の委員構成につきましては、従来の例にならい学識経験者4名、勤労者代表2名、事業主代表2名、合計8名でお願いしたいと思っております。
 学識経験者については、土田会長代理、新村委員、藤田委員、渡辺委員にご就任をお願いしたいと存じます。
 また、勤労者代表及び事業主代表については、予め相談をさせていただきまして、勤労者代表として、河口委員と桝本委員に、事業主代表として奥村委員と前田委員に、それぞれご就任をお願いしたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。基本問題懇談会の委員については、お手元に名簿が配布されていると思います。
 なお、この基本問題懇談会には、懇談会の委員に指名のあった方だけではなくて、それ以外の審議会委員も、ご都合がつく限りご出席をしていただければ有り難いと考えております。また、この審議会も同様ですが、委員が出席できない場合には、代理の方の出席及び発言を認めるということになっております。
 それでは、この件はよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)
 
○ 会長
 次に、本日の大きな議題といいますか報告でございますが、確定拠出型年金制度についてです。事務局で資料を用意していただいておりますので、ご説明、ご報告をお願いいたします。
 
○ 事務局
 議題3についてご説明します。資料bSは、「確定拠出型年金制度の概要(案)」です。この確定拠出型年金制度については、当財形審議会の審議事項ではありませんが、従来から「勤労者拠出型年金」という形でご議論をいただき、その延長として、確定拠出年金法案が去る3月6日国会に提出されましたので、その概要についてご説明申し上げる次第です。
 いま申しましたように、この確定拠出型年金制度の発端は、もともと当財形審議会においては、「勤労者拠出型年金」ということで、基本懇において平成10年9月から11月まで、5回にわたりいろいろご議論いただきました。そうした成果も踏まえ今回の法案になったわけです。
 経過をたどりますと、基本懇で5回やりました後、平成10年12月に、これは税が基本的な問題ですが、自民党の平成11年度税制改正大綱が出まして、その中で確定拠出型年金制度については、年金制度の一環として制度の具体化が図られた場合には税制上の措置を講ずるとされたところです。この税制改正大綱を踏まえ平成11年1月に4省(厚生省、労働省、通産省、大蔵省)より確定拠出型年金制度準備会議なるものを設け、1月から7月まで検討いたしました。7月に「4省案」というものができ、各委員にお送りしたとおりです。
 4省案は大体の骨格を示したものですが、それに基づいて去年の12月に「平成12年度税制改正大綱」というものがまとまりました。これは本日の資料bSの「添付」ということでセットしてあります。この税制改正大綱の内容、税制面を含めてですが、これを制度化したものが今回の確定拠出型年金制度の概要です。3月3日に法案について閣議決定され、3月6日国会提出の運びになっています。
 概要についてご説明申し上げます。9頁余りにわたる詳細なものですので、まず初めに大体どういった形のものかというのを図でご説明申し上げたいと思います。12頁の横長の図をご覧ください。確定拠出型年金制度については12頁の企業拠出型(企業型年金)というものと、13頁の個人拠出型(個人型年金)と2つあります。最初に見ていただきますのは企業型年金です。これは専ら企業が拠出するものです。左側に書いてありますが「企業、事業主」とありまして、まず最初に事業主が労使合意によって確定拠出型年金規約を作っていただきます。これは確定拠出型年金を自分の会社でどう設計するかというもので、例えば資産管理機関をどうするか、運営管理機関をどうするか、拠出額はいくらにするか、預替え頻度はどのぐらいにするかという骨格を決めるものです。
 この規約に基づき事業主が勤労者のために拠出するわけです。拠出したものは「資産管理機関」という所に振り込まれます。これは後ほど述べますが信託会社とか保険会社などが資産管理機関になります。これはある意味では、お金の財布みたいなものです。財布という機能と、それと右側に年金資産を運用する金融機関があります。銀行、信用金庫、証券会社、生命保険会社等々に従業員の指示に基づいて振り分けていく。財布という機能と、いわば振り分け機能という2つの機能を持ったものが資産管理機関です。
 資産管理機関の左側に「運営管理機関」というものがあります。これは第一に記録管理(レコードキーピング)をいたします。確定拠出型年金は自主運用ということですので、従業員が個々に運用指図をいたします。従業員各々、A、B、Cの方がそれぞれ、例えば自分は預貯金にしたい、投信にしたい、あるいは生保商品にしたいと、その企業が拠出したお金の持分について運用指図をします。その運用指図を取りまとめて、その記録を管理するというのが第1の仕事です。それに加え、従業員が個々の商品を選ぶために運用商品の提示、それと具体的な運用商品がどういう内容であるか、ということについての情報提供をします。この2つが大きな運営管理機関の役割です。
 業態的には、運営管理機関について特に規制は設けておりません。事後的に運営管理機関が法に触れるようなことがあればチェックするという仕組みになっており、垣根はない、業態の規制はないという形です。
 こうして個々人の方が企業が拠出したものについて運用指図し、これを運営管理機関が取りまとめて資産管理機関に運用指図をいたします。資産管理機関では、各運営管理機関が運用指図したものをトータルとして銀行とか、信用金庫、証券会社等々に振り分けていくという格好です。それで受給時(60歳)になりますと給付申請をして、運営管理機関が給付決定を行うと同時に、資産管理機関に給付の支払い指示をして、資産管理機関から現実に、例えば60歳から10年間にわたり毎年、例えば100万であるとか、そういう給付支払いがなされるという仕組みです。これが企業型と申す仕組みです。
 次は個人型です。この場合には企業拠出はなく全く個人が拠出するわけです。個人といいましても自営業者の方と従業員、いわゆるサラリーマンの方の2つの種類があるわけです。自営業者の方は、直接国民年金基金連合会という所に払い込みます。従業員の方は、事業主が原則として給与天引きをし、その分を国民年金基金連合会に事業主が払うという仕組みです。国民年金基金連合会は、先ほど言いました確定拠出型年金規約を予め作っておきます。また、拠出限度額の管理もします。個人型ですと国民年金保険料を納付しているということを条件としますので、そのチェックなどもします。この場合には、運営管理機関は個々に、世の中の運営管理機関に相当するものを予め、すべて国民年金基金が選任しておいて、それで個人がどこの運営管理機関が良いかなど、商品の品揃えなどを見て選択していくという仕組みです。
 運営管理機関の役割は企業拠出型と同じで、記録管理(レコードキーピング)と運用商品の提示等の業務を行うわけです。そして、個々の従業員がこの運営管理機関から商品を選び、それを運営管理機関が取りまとめて国民年金基金連合会に運用指図を出します。この場合、資産管理機関を独自には置かず、国民年金基金連合会が、いわば資産管理機関を兼ねるということです。具体的には、国民年金基金連合会から金融機関に委託します。これを事務委託先金融機関といっていますが、ここが資産管理機関的な役割を現実に担います。そして、その指図に応じて銀行の預金なり、証券会社の投資信託、あるいは生保商品等に振り分けていくという形になるわけです。企業型とは、資産管理機関を連合会が兼ねるという点が、かなり異なっている点です。以上が全体の仕組みです。
 いま申し上げたことを少し細かくご説明申し上げます。まず、1頁の「制度に加入し得る者の範囲」です。いま申しましたように企業型年金と個人型年金の2つの型があります。企業型年金については、企業型年金を実施する企業に使用される60歳未満の企業の従業員の方を対象とするわけです。国民年金の第2号被保険者ということです。公務員等は除かれます。公務員については、基本的に民間準拠ということで人事院勧告に基づくことになりますので、当面は適用しない、という公務員所管省庁の判断です。
 個人型年金は、自営業者の方とサラリーマンの方があるわけですが、自営業者の方は限定なく入ることができます。しかし、サラリーマンの方は、企業型年金等の対象となっていない60歳未満の企業の従業員と限られております。4省案、昨年7月の時には幅広くサラリーマンすべてでしたが、その後税をめぐって、個人拠出型は貯蓄とほとんど違わないではないかという議論が起こってきました。ただ貯蓄に非常に近いにしても、企業が出してくれる場合には、いわゆる年金税制の恩典に預かれる。しかし、例えば中小企業の勤労者の方など企業が拠出してくれない。そうしますと、途端に年金についての税制の恩典にあずかれないというのはおかしいではないか、少なくとも自分で出して税制の恩典にあずかれる道を開くべきだという公平論が出まして、いろいろ議論した結果、少なくとも企業の拠出が全くない所の方は、全く年金税制の道を塞がれていますので、そういう方には道を開こうということで、企業拠出の全くない所、すなわち企業型年金の対象となっていない方に限って、60歳未満は当然ですが、この個人型を認めようということになりました。以上が対象者です。
 そのほか第3号被保険者ですが、これもいろいろ議論がありましたが対象となっておりません。これは公的年金における専業主婦の取扱いが現在議論の過程にありますので、そういったことも見ながら今後の検討課題とする、となった次第です。
 次は、制度への加入拠出です。企業型年金は、加入は企業が意思決定し、労使の合意の下に企業型年金を実施するということを決めていただきます。具体的には、確定拠出型年金規約という規約を作り、基本的な骨格を定めていただき、主務大臣の承認を受けるわけです。この規約の定め方は事業所単位ごとでも結構ですし、複数企業が共通の規約を定めることも可能です。何も単独企業ということに限らず、融通の利くような形で定めることができます。従業員は規約に従い加入者となるわけです。加入者については一定の資格を定めることができる、ということにしております。例えば研究職というようなことで、ヘッドハンティングなどで人が動くというような職種については確定拠出年金を適用する。しかし、一般の従業員については、確定給付型年金とするとか、従業員のタイプに応じて分けることができるようなことを考えております。当然ながら、資格の定め方によって特定の者に不当に差別的であってはならない。恣意的であったり、あるいは故意に差別的ということになれば無効となります。
 拠出は、確定拠出型年金規約に基づいて、企業は毎月掛金を拠出することになります。この場合個人が併せ拠出をすることはできません。企業拠出があった場合には、個人は拠出できないという形になっており、企業拠出のみです。
 掛金は、企業拠出の限度額は年額43万2,000円、月額では3万6,000円としております。これは現行の厚生年金等の税制の考え方から導いたものです。厚生年金の標準報酬月額の最高額が62万ですので、それに免除保険料率、いわゆる2階の部分を算定するわけです。これが3.5%で、それに1.7を掛けます。これは2階部分の1.7倍が3階部分、いわゆる上乗せ部分の特別法人税非課税限度額という制度に現在なっており、その1.7を掛けた額です。そうしますと43万2000円という額が導き出されます。これが現行税制からくる3階分の限度額という仕組みになっているわけです。
 しかし、厚生年金基金とか適格退職年金等に加入している者にかかる企業の拠出限度額は年額21万6,000円、月額1万8,000円としております。この考え方は、基本的に確定給付も含めて限度額を考えるべきだという発想に立っているわけです。ただ、これは企業によって確定給付をどのぐらい出しているか違いがあるわけです。現実の拠出額を算定しますと、例えば積立て不足などが生じた時には、特別掛金などの形で拠出することがあります。そうした時には急に限度を超えてしまう。ですから個々の企業における拠出額を引くことは必ずしも適正ではない。そうしますと、一律にやってしまったほうが事務的にも簡単ではないかということで、平均的な厚生年金基金の上乗せ部分の給付水準を調べて見ますと、大体月額1万8,000円である。したがって、年額21万6,000円、ちょうど半分になるわけですが、その額を採用しました。したがって、既存の適年、厚年基金とか企業年金をやっている場合には、約半分になるという仕組みです。
 拠出限度額の管理は、当然これは企業が行うことになります。企業は毎月の掛金を予め選定した資産管理機関に納付します。資産管理機関としては、資産の保全機能を持っていることが要件になります。
 事業主の責務は、法令及び確定拠出型年金規約を遵守する、加入者のために忠実にその業務を遂行する責任を負うという定めをしております。当然ですが、個人の持分の額など個人情報を他の目的で使用してはならないわけです。
 また、運営管理機関は、先ほど申し上げましたように個人の持分の額を記録管理いたします。持分の額について加入者が照会した時は、随時応えなければならない。少なくとも、毎年1回は照会がなくても加入者に通知することを義務付けております。
 次は、資産管理機関はどういったものかということです。信託会社、保険会社、農業協同組合連合会、厚生年金基金といったものの中から企業が選定するということになりました。資産管理機関は、当然ですが法令、確定拠出型年金規約を遵守し、忠実に業務を遂行する責任を負う。事業主と同様の責任も負うわけです。
 次は、運営管理機関の詳細についてです。先ほども申しましたようにレコードキーピング、持分に関する情報の記録管理、加入者の運用指図の取りまとめ、運用商品の選定や加入者への運用商品の提示、その情報提供といったものを行う機関でして、こうしたものを行おうとする者は主務大臣の登録を受けます。登録の要件として、で(a)〜(d)まで、これはネガティブリストで(a)から(d)に該当すると登録を受けられないという意味です。法人でないこととは、すなわち法人でなければいけないということを言っているわけです。運営管理機関の登録を取り消された後5年を経過しない。違反・罰金の刑に処せられてから5年を経過しない等々の要件です。
 金融機関、厚生年金基金、国民年金基金は登録を受けて運営管理機関となることができることとする、という根拠規定を設けるということにしております。さらに国(郵便局)は運営管理機関としての業務を行うものとする根拠規定を設ける。郵便局も運営管理機関になれるということにしております。郵便局については、ご承知のように貯金、簡易保険といった商品を出しており、これも当然、確定拠出型年金の選定の対象になっているわけです。かつ、郵便局は広範囲にネットワークを持っているということで、国民の利便性というものを考えて、郵便局も受付機関だけではなく、運営管理機関として商品を提示したりすることができる、ということに金融関係各省の話合いでなったわけです。
 また、企業も当然ですが運営管理機関に係る業務の一部又は全部を行うことができます。資産管理機関も運営管理機関を兼ねることができます。ただ兼ねた場合には、当然、企業も運営管理機関としての責務を負ってくるということになります。
 次は、運営管理機関の責任(行為準則)です。資産管理機関や企業と同様、まず法令、確定拠出型年金規約を遵守し、加入者のために忠実にその業務を遂行する責任を負います。持分などの個人情報を他の目的で使用しない。契約の締結に際し次のようなことを行ってはならない。相手方に故意に事実を告げず、不実のことを告げる。加入者等に対し損害負担や特別な利益を提供する。また、運用商品の選定・提示、情報提供等を実施する運営管理機関の責任として(a)から(c)までありまして、(a)として、運用商品の選定は資産運用に関する専門的知見に基づき行う。いわばエリサ法でのプルーデントマンルールに匹敵するものです。
 (b)運営管理契約の締結に際し、次のようなことをしてはならない。運用商品の選定等に関し生じた加入者等の損失の補填、利益の追加のための財産上の利益を提供すること。第三者が特別な利益の提供を受けることを目的として特定の運用方法を加入者等に提示することが挙げられております。前者については、違反の場合は罰則を科するということを予定しております。(c)として、加入者等に対し、提示した運用方法のうち特定のものを推奨してはならない。これもエリサ法にある事項です。
 次は、離転職時のポータビリティです。確定拠出型年金を作りました1つの眼目は、個人の持分がありますことから、離転職しても持ち運びができる。あるいはサラリーマンから自営業者、自営業者からサラリーマンになりましても、持ち運びができるという点が1つの大きな狙いです。具体的には、にございますが、加入者の申出に基づき年金資産を移換するわけです。転職した企業に企業型年金の制度があれば問題なく当該制度に移換することになります。転職した企業において企業型年金の制度がない、あるいは離職した場合には国民年金基金連合会の実施する制度に移換するということになります。また、企業型年金の制度のある企業が制度を廃止した場合には、同様に国民年金基金連合会の制度に年金資産を移換することになります。そういう意味では、漏れがないようにするということです。
 にありますように、離職、転職した日の翌月から6ヶ月以上年金資産の移換の申出を行わない場合、いわば放置してしまった場合です。申出が原則ですが、忘れてしまうとか、放置してしまう、知らなかったという場合もあるわけですが、その場合は、国民年金基金連合会の実施する制度に加入者の年金資産を自動的に移換するという措置を取ることにしております。このことによって放置されている資産がないように、ということを措置するわけです。
 は、3年以上勤続する者が転職又は離職した場合には、企業が拠出した掛金はその全額について転職先の企業型年金制度、国民年金基金連合会の実施する制度に移換するとなっております。いわゆる受給権、ベスティングの付与ということです。これは少なくとも労使の合意で即時付与ということができるわけです。労使の合意で延ばしたとしても3年までが限度です。3年以上経った場合には、必ず全額受給権を付与しなければいけないというものです。ある意味では、ポータビリティということを考えますと、即時付与が望ましいわけですが、他方、企業が拠出しているということを考えますと、企業側としては、やはり長くいてほしいという要望が現実にあるのも事実です。その辺を労使の合意によって折り合いをつけていただく、それで最長3年であるという制度にしたわけです。3年といいますのは、退職金の受給に必要な平均の最低必要勤続年数、3年経ったら退職金を出すというのが平均になっておりますので、その数字を取ったということです。
 次は個人型です。これは国民年金基金連合会が実施するわけでして、連合会は規約を定めて主務大臣の承認を受けるということになります。この点は企業と同じです。対象となるサラリーマンや自営業者の方は、連合会に申請することにより制度に加入することができます。連合会は基礎年金番号を使える立場ですので、基礎年金番号を使って重複加入の審査等を行うことができます。これによりダブル加入をチェックするということです。
 拠出は加入者が任意に自分で決定し、各月拠出します。ただし、国民年金の保険料を滞納している期間は拠出することはできないとなっております。また、企業は個人型年金の加入者の拠出に加えて掛金を拠出することができない。いわゆるマッチング拠出はできないということになっております。これは企業拠出の全くない所のサラリーマンのみに個人拠出を認めるという制度にしたことの必然的な帰結です。この辺はアメリカの401(k)とかなり異なっているところです。
 次は掛金の限度額です。自営業者の場合は、拠出限度額は年額81万6,000円、月額にしますと6万8,000円と高額になっております。これは現行の確定給付型の国民年金基金の限度額に合わせたものです。したがって、確定給付型の国民年金基金と確定拠出型の両方をやりたいという方の場合は、81万6,000円の限度で両者を行う。確定給付のほうを40万やっていれば、残りの41万6,000円は確定拠出型の限度額となるわけです。
 企業の従業員の拠出限度額は、年額18万となっており、額としてはかなり開きがあります。実は、自営業者の方については81万6,000円といいますのは、自営業者の方は国民年金の1階しかなくて2階分がありません。サラリーマンの場合は、厚生年金ということで1階部分のほか報酬比例の2階部分があります。それの両方を引きますのでサラリーマンのほうが低くなるわけですが、自営業者の方の場合、2階も含めた額ですので81万6,000円と大きな額になっております。サラリーマンの場合には1階部分と2階部分を引きますと、先ほどの43万2,000円という額になります。実は4省庁案では、個人拠出も限度額43万2,000円としておったわけです。しかしながら、この辺については、やはり個人の、特にサラリーマンの拠出というものは貯蓄とどう区別するか、ということが大論争になったわけです。税務当局のほうは、やはり生保控除ですとか、個人年金控除とか、これは年額5万ですが、その辺りが限度であろうと。私どもは43万2,000円と言っていたわけですが、その辺の議論になりまして、最小限のものは、やはり公平な立場から認める必要があるのではないかということになりまして、月額1万5,000円、年額18万というのを見ますと、基金の掛金の大体9割をカバーしている、9割の厚生年金基金が18万の中に収まっている。こういう実態を見て年額18万ということで、当面はいいのではないかという結論に落ち着いたわけです。ある意味では43万2,000円からの後退なのですが、現行の生保控除とか、個人年金控除の5万から見ると、かなり大きな額ということになるわけです。しかも、これは新設の控除ということで、ほかの分と違うところです。
 拠出限度額の管理は国民年金基金連合会が行うことになります。自営業者については、自ら基金連合会に掛金を払い込みます。また、企業の従業員については、原則として給与からの天引きにより払い込みます。ただし、給与からどうしても天引きしてくれないという場合には、制度への加入ができないということでも困りますので、そういう場合には勤労者自ら国民年金基金連合会に掛金を払い込む道を開きました。これは基本的に年末調整でやることになります。
 次は、連合会における運営管理機関等です。これは運営管理機関になろうとするものを一応、すべて国民年金基金連合会は登録運営機関として選任するということにしています。特定のものを選びますと不公平になります。いわば公的な性格を連合会は持つわけですので、公平にという観点から、運営管理機関として手を挙げたものはすべて選任するということになります。
 加入者は、あまたある運営管理機関の中から運営管理機関の提示する商品などを見まして、自分の好みの商品があれば、その運営管理機関を指定するということになるわけです。ある意味では、加入者が自ら選ぶという形を取らざるを得ません。
 連合会は拠出限度額の管理や国民年金の保険料の納付状況の確認等の業務を自ら行いますが、併せて事務的な手続について委託することができます。連合会は全国に1つしかありませんので、加入者の便宜ということでいろいろな機関に、その手続をしていただくという都合から、例えば加入の申請の受付、個人型加入者の各種届出の受付、年金資産の管理といったものを他の者に委託することができることになっております。こうしたものとしては郵便局なども委託先に選定し、自分の住んでいる所から手続がとれるようにということを考えてまいりたいと思っております。
 連合会の他の事業に係る財産との混同が生じないように区分経理するなどの措置を取ること。これは当然のことであり、連合会の事業との混同は、してはならないわけであります。
 連合会の義務としては、法令、確定拠出型年金規約を遵守し、加入者のために忠実に業務を遂行する責任を負うということにしております。転職時のポータビリティについては、資産残高は運営管理機関によって記録管理される。これは企業拠出、個人拠出ともに同じです。加入者が転職し転職先企業において企業年金の制度がある時は、申出に基づき資産を移換する。新たに企業が実施する場合には、個人型年金の加入者は当該制度に年金を移換する。これは先ほど申したのと重複する部分です。
 次は運用です。運用指図は加入者が自らするのが確定拠出型の特徴です。これは企業拠出、個人拠出を問いません。自らが運用して、その運用の結果のものを60歳以後に受け取るというのが制度の中心ですので、運用指図は個人が行います。具体的には運営管理機関に指図を行い、運営管理機関はその指図を取りまとめた上で、企業型の場合は資産管理機関に、個人型の場合は国民年金基金連合会に更に指図を行う。資産管理機関と国民年金基金連合会は指図に従い、個々の分を差引き計算して、トータルとして金融機関に契約を結んで払い込むということになります。
 運用指図については、当然ですが個々の従業員の意思に反して事業主が一括して運用指図することは認めません。そうなりますと事業主が運用してしまうということになるわけで、本来の趣旨に反するわけです。しかしながら、個々の従業員の委任を受けまして、その委任の範囲内で事業主が運用指図を行うことは差し支えないとなっております。ただし、運用指図を自ら行うとなれば、それだけの責任を負うということに事業主はなってくるわけです。
 運用商品は、時価評価が可能で流動性に富んでいるということの要件が基本です。具体的には、金融商品のうち預貯金、有価証券。有価証券の中には公社債、株式、投資信託等が含まれます。信託、保険商品などを対象としています。動産、不動産のようなもの、金融先物、商品先物等、追加拠出があり得るような商品といったものは商品として認めないということです。
 個別の運用商品の提示・運用商品の預替え・情報提供ですが、これらも運営管理機関の大きな役割です。商品については必ず3つ以上選定して加入者に提示することにしております。基本的にはエリサ法にある考え方と同じです。ただし、運用商品を選定する場合、元本確保型商品1つを選定することを義務付けております。これはエリサ法にない規定です。いわば、日本においては、現実を見ますと比較的元本確保型商品に投資している現状もありますし、確定拠出型はあまり投機的になってはいけないということで、必ず元本確保型を1つ入れるということにいたしました。また、3つといった場合には個別株式とか個別社債は3つのうちの1つにカウントしません。これは3つ以外にこういうものを選んでもいいということにしております。
 預替え頻度は、少なくとも3ヶ月に1回以上は預替え機会が提供されるようにする。運営管理機関は情報提供を行うわけですが、運用商品に係る利益の見込み、損失の可能性に関する情報提供も行います。これはエリサ法にもありますが、提示した個別の運用商品を推奨するようなことがあってはならないわけです。企業、国民年金基金連合会は確定拠出型年金制度の内容に関する情報の提供を行う。企業、連合会は運営主体ですので規約の内容を知らせる義務を負うわけです。
 いわゆる投資教育という問題が1つあるわけですが、企業及び国民年金基金連合会自ら、また、運営管理機関等に委託して、加入者に対し年金資産の運用に関する一般的な情報を提供するよう努めるものとする、と努力義務で書いてあります。一般的な情報というのは、資産運用の基礎知識とか分散投資の考え方といった一般的な金融に関するもの、また投資に関する情報です。個々の情報はもちろん、いま申し上げた企業なり連合会なりが情報提供を行う。あるいは、運営管理機関が個別の商品についての情報提供を行うわけでして、いわゆる投資教育と言われておりますものも、個別のものと一般的なものが混ざっています。個別のものについては運営管理機関等の義務、一般的なものについては努力義務にとどめざるを得ないだろう。アメリカにおいても、こういった分散投資の考え方とか、資産運用の基礎知識については義務化の対象になっておりません。以上のような仕組みです。
 給付は老齢給付金と障害給付金、死亡一時金となっております。このうちの老齢給付金及び障害給付金は年金として支給するということで、5年以上の有期、又は終身年金ということで考えております。ただ、全部または一部を同時に一時金として支給することができるということにもしております。一時金としてもらう、あるいは、年金であれば最低5年以上という仕分けです。老齢給付金は、60歳の時点において、拠出から運用のみを行う期間も含めまして10年以上経過している場合は、60歳から受給することができることにしております。ただし、60歳時点において、最初の拠出から10年を経過しない場合については、次のように細かく規定しております。
 例えば最初の拠出から60歳時点で8年以上経過している場合。すなわち、52歳から拠出したという場合ですが、その場合には10年経っていませんので61歳から受給可と。最初の拠出から6年以上経過して60歳時点で6年以上経過、54歳からということも考えられますが、その場合は62歳。4年以上、これは56歳に相当しますが、56歳から始めたという場合は63歳。2年以上経過、58歳からの場合は64歳。59歳になって始めることもできます。例えば1ヶ月以上やってもいいわけですが、この場合には、もらえるのは65歳からというふうにしてあります。
 障害給付金と死亡一時金は特別でして、加入者に高度障害の事由、あるいは死亡といったような事由が生じた場合に支給されるものです。
 老齢給付金は、少なくとも70歳までに受給していただくということです。ある意味で、どんどんずらしますと遺産を残すために使われてしまう可能性もありますので、そういうことを避けようということで少なくとも70歳までに受給していただきます。ある意味では消費していただくということを考えております。
 給付時は、加入者が申請いたしますと運営管理機関が資格を確認し通知をします。企業型年金の場合は資産管理機関ですが、個人型年金については連合会が具体的に支給を行っていくわけです。加入者の方が専業主婦(第3号被保険者)となりますと制度の対象になりません。そうした場合には、過去の拠出年数が1ヶ月以上3年以下ある等の場合は脱退一時金を受給することができます。ある意味では、1ヶ月、2ヶ月とか、拠出が少額であるにもかかわらず60歳まで引出しできずに運用しなければならない、その間手数料もかかるとすると、何のための運用かということになりますので、1ヶ月以上3年以下の程度であれば、例えば平均的にいうと50万以下ぐらいになるかと思いますが、その程度の額であれば脱退一時金という形で給付が受けられる。この場合は、ごく例外的に脱退ができることとしております。
 主務大臣の監督については、企業や運営管理機関は報告書を作成し大臣に報告いたします。主務大臣は企業や連合会、あるいは運営管理機関に対し業務状況の報告を求めたり、立入検査もできます。規約や法令に違反している場合には、主務大臣は違反の是正、改善のための必要な措置について命ずることができることになっております。主務大臣の命令に更に違反するということになりますと、年金規約の承認の取消とか、連合会の役員の解任とか、あるいは運営管理機関の登録の取消という手続も取ることができることにしております。
 次は税制です。これは基本的に4省案の考え方と同じです。まず拠出段階で企業が拠出した分は損金算入いたします。そして、従業員側にとってみると、それは給与とはみなされない。したがって、課税をしないで所得控除する。個人側にとっては所得控除ということになります。
 運用段階は、年金資産に特別法人税を課税するということになっております。これは現行の適年などの仕組みに倣ったもので、一応特別法人税が課税されます。ただし、特別法人税については、平成13年3月まで凍結中です。したがって、この特別法人税を、一応考え方としては課税ですが、現在は凍結中ですので今年の年末の税調において、またこの辺についてどう扱うかという具体的な議論、凍結解除にするかどうかという議論になってこようかと思います。
 給付段階は、年金の場合には、公的年金等控除を適用することにしております。一時金の場合には、退職所得課税を適用するということです。これは退職金と同じような扱いです。いわば、退職所得課税の現在の仕組みは、1企業への勤続年数で考えておりますが、今度の制度の場合はポータブル化ということですので、1企業の勤続年数とみなす、ということではなく、この制度への払込み期間を勤続年数とみなして退職所得課税を適用するということにしたわけです。特徴的なことは、退職所得課税と言えば、当然これは企業拠出での退職金を意味するわけですが、今回の場合には個人が拠出した分についても、一時金としてもらう場合は退職所得課税ということで、これまでとはかなり違った形の課税の在り方になってまいります。
 次は、既存の制度からの移行です。これは新規採用の従業員から確定拠出型年金を導入する。あるいは、従業員の将来分について、これから確定拠出型年金を導入しましょうということは当然認められるわけです。さらに踏み込んで、、「労使の合意により、一定の限度額の範囲内で、退職金制度及び確定給付型の企業年金の過去期間分に係る年金資産等を個人ごとの持分を明確にした上で、企業型年金に移換することができる」。いわば、取り崩して過去分を個人の持分にして移すわけですが、その時に課税しないで移せるということにしているわけです。一定の限度額という縛りがありますが、基本的な考えとしては、先ほど申し上げましたような拠出限度額に勤続年数を掛けたもの、その総額を移せるという考え方で対応していくことになろうかと思います。細部はこれからまた詰めていくことになります。
 主務大臣は厚生労働大臣と、内閣総理大臣、具体的には金融庁ということになります。これは運営管理機関に関する事項ですが、それ以外については厚生労働大臣です。
 施行は、平成13年1月からです。個人型については、平成13年3月から加入の受付を開始します。金融機関等の準備のため、特に個人型については、国民年金基金連合会で態勢を整えなければなりませんので、企業型は1月、個人型については3月を予定しております。
 以上が法案の概要です。いま申しましたように、3月6日に国会に上程いたしましたので、これから国会審議という運びになる予定です。
 
○ 会長
 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、ご質問、ご意見等ございましたら、どなたからでも結構ですのでお願いいたします。
 
○ 委員
 今ご説明のありました運営管理及び資産管理は金融機関もなれるし、企業もなれるわけですが、手数料の問題でお聞きします。役所がどこまでタッチするかは別として、手数料がかなり高くなりそうだという噂があって、それがこの確定拠出の普及を妨げるのではないか、というようなことが報道も含めてあるのですが、手数料に対する取決めというか、限度というか、何かそういったものはあるのですか。
 
○ 事務局
 これについては運営管理費をどう仕組んでいくかということですので、我々としては、利便性から考えればできるだけ低くということを望んでおりますが、実際どのぐらいになるのか、私どもも注目しているところです。各金融機関においては、これから準備していく段階だろうと思いますので、それを見守っていきたいと思っています。アメリカでは資産の1%というようなことも言われておりますが、その場合に、預替え頻度が増せば増すほど、やはり手数料はかさむわけです。最低限は四半期に1回としていますが、アメリカのように毎日でもやるのかとか、そういう問題もいろいろ出てくるのではないかと思っています。また、スケールメリットという問題もあろうかと思いますので、加入者が増えれば逆に安くできるかもしれませんし、少ないと、かえって高くなってなかなか進まない、という事態もあるのかなと心配しております。私どもとしては、各金融機関の準備状況などを見ながら、どうなっていくのか見守っているというところです。
 
○ 会長
 ほかにいかがでしょうか。
 
○ 委員
 教えていただきたいのです。個人型の従業員のケースですが、先ほど従業員の掛金については原則として従業員の給与から天引きをして国民年金基金連合会に払い込むが、ただし、やむを得ない場合は直接払込みができるということになっているようですが。やむを得ない場合の事情をもう少し具体的に教えてください。何か決められているのでしょうか。
 
○ 事務局
 やむを得ないのはどういうものか、という解釈をこれから決めていかなければいけないのですが、従業員のほうから頼んでも中小企業などは手続的にどうしても無理だとか、ということでやってもらえないとなった場合に、やむを得ず個人が、この場合は企業から証明書ぐらいは出していただかなければいけないと思いますが、払込みの道を開いたということです。これは生保などと同じように年末調整という仕組みで考えたいと思っております。
 特に税務当局の立場からすると、企業がきっちり天引きしていただくことが確実であるということもありまして、それを原則とすべきであるということになっているわけです。
 
○ 委員
 引き続き質問いたします。転職時のポータビリティの2番目の所では、加入者が転職して転職先で企業型の年金制度があるときには、そこに年金資産を移換するということですが、その時、従来選定していた運営管理機関から、転職先の会社が選定している運営管理機関への変更に伴い、運用先の自由度が異なる所に預替えたりしなくてはいけなくなる可能性があるのかどうか。その場合、何か対処する方法があるのかどうかということと、企業型年金制度のない企業が新たに制度を実施する時には、個人型年金の加入者は年金資産を、その当該制度に年金資産を移換するとなっておりますが、この場合には、個人で今までやっていた場合、その後は個人の資産として拠出をしていくような道はなくなってしまうという理解でよろしいのでしょうか。
 
○ 事務局
 後段はそのとおりです。前段については、自由度がなくなるというのは、商品の範囲が少ないとか、そういうことをおっしゃっているのでしょうか。
 
○ 委員
 はい。
 
○ 事務局
 それは、私どもとしてはやむを得ないことであろうと思います。必ず元本確保商品は入っているわけですし。問題は、元本確保商品以外の品揃えはどうかということですので、基本的に移換ということで差し支えないのではないかと考えております。
 
○ 会長
 ほかにいかがでしょうか。それでは私から1つ。私どもが扱っている財形制度とのつながりというか、関連というか、影響というか、これが出てきた場合、どういうところで係わりが出てくるか、その点の見通しはいかがでしょうか。
 
○ 事務局
 当初、この審議会の基本問題懇談会でご議論をいただいた勤労者拠出型のときは、財形制度を税制面で、所得控除とするなど、強化することによってということでしたが、結局、4省で検討した時には1本のものでやろうということで、財形とは離れました。それで財形は貯蓄という扱いとなりました。つまり財形はいつでも引き出せるということがあるわけです。今度の場合には、非常に貯蓄には近いけれども、税制で見て分かりますように公的年金等控除の適用とかがありまして、一応年金であるという仕切りです。したがって、引出しができないということにしております。この点が財形制度と今回の確定拠出型年金の税制上の分水嶺ということになります。したがって、今回は財形制度については全くいじらない、そのままということになったわけです。
 ただ、現実に考えてみますと、この財形制度も、ある意味では個人が積み立てて運用していく点では同じなわけです。アメリカでも97年に新しい法律でロスIRAという制度が導入されました。いわば財形です。アメリカでも財形制度と同様のものと、401(k)のような所得控除、拠出時非課税、給付時課税という2つの仕組みがありまして、両々相俟って貯蓄を増やそうと。これはアメリカの現状からすると、そういう戦略になるわけです。
 我が方を顧みますと、やはりそれぞれにメリット、デメリットがあるわけです。確定拠出型年金については、かなり広範なポータブル化が実現できる。それと複数商品の選択とか預替えもかなり自由にできます。いわば、金融ビッグバン後の金融選好ということに対応できるような仕組みということです。他方、確定拠出型年金は引出しができないというのが最大の難点で、一度拠出したら不時の備えができない、60歳になるまで引出しができないということで、かなり覚悟がいるわけです。その点、財形はいつでも引出しができます。引出しをしたとしても5年分の利息が遡求課税になるにすぎませんのでペナルティというほどのものではありません。そういう意味で、不時の備えとしての機能は、財形貯蓄のほうが非常に高いのではないかと思います。現在は金利が非常に低いわけですが、これがある程度高くなってくれば、それなりのメリットも出てくるというふうに考えております。
 ですから、両々相俟って選択していただくわけですが、財形については、今後の課題として複数商品とか預替えとか、そういったことをどうするかという問題が当然、浮上してこざるを得ないだろうと考えておりまして、後ほど述べますが、一般財形については、少なくとも10年だったものを3年にしようというような改正を予定しております。
 ただ、年金とか住宅財形については利子の5年遡求課税という仕組みですので、転々と預替えが進んだ場合に、5年分の利息の記録管理をどういう形で、どうやっていくのかと、これは大変難しい問題です。そういった根本的な問題もありますので、こういった点については、私どもとしても課題として位置付けて、事務局の中でも検討していかなければいけない。あるいは金融機関とも相談していかなければいけないと考えております。
 
○ 委員
 いま財形のほうの上限はいくらですか。
 
○ 事務局
 550万です。
 
○ 委員
 これはいつ決まったものですか。
 
○ 事務局
 500万から550万に引き上げられましたのは、平成6年1月からです。
 
○ 委員
 500万に決まったのは、いつでしたか。
 
○ 事務局
 定かではないのですが、昭和49年だったと思います。
 
○ 委員
 1974年。ちょうど第一次石油危機の時期ですね。この上限はインフレ率か何かをメドにしたのですか。
 
○ 事務局
 インフレ率よりは、むしろ老後の安定した所得保障という観点から、老後いくら生活費がいるかと。逆算で積んでいくには、どのくらいの天井が必要かと、それで決めたわけです。
 
○ 委員
分かりました。
 
○ 会長
 この新しい制度ができた場合の主務大臣は、厚生労働大臣ということですね。
 
○ 事務局
 はい。
 
○ 会長
 これは同じ部局になるのですか。それとも、元厚生省で管理するのですか。つまり、こちらの制度の管理は、事務的にはどういう形になるのか、もう決まっておられるのですか。
 
○ 事務局
 そこまではまだ決まっているわけではございません。当面、閣議請議は厚生省、労働省、通産省、大蔵省も入ってやっております。
 
○ 会長
 4省体制が依然として続いていくということですね。
 
○ 事務局
 はい。
 
○ 委員
 運用商品ですが、元本確保型の商品はどのくらいの割合になるのでしょうか。自己責任ということになれば、全部ハイリスクのもので、ハイリターンのものを選ぶという可能性があってもいいのではないかという気がしますが、この辺のお考えはどういうことになるのでしょうか。
 
○ 事務局
 アメリカの401(k)は、自分で選ぶんだからということで元本確保商品は入れなくてもいいということになっております。そこはかなり議論があったところです。おっしゃるように自助努力なんだから、自分で選ぶのだからハイリスク商品だけでもいいのではないかということもありますが、アメリカと異なって、これまでの日本人の金融に対する知識とか運用を見ますと、やはり元本商品を必ず1つ入れていただくということが、今の時点では適当ではないかということになったわけです。この辺は、確かにいろいろな議論があったわけです。現時点においては、そのほうが、やはり安心ができるのです。制度設計した者としては、責任持ってご推奨するには、そういった形にする必要があるという結論に落ち着いております。
 
○ 委員
 先ほどコストの問題を渡辺委員から指摘されましたが、実際は、市場運用の運用利回りから手数料が差し引かれたものしか加入者の手元には残らないわけです。現在の市場状況から言えば異常とも言える超低金利で、来年の金利動向はどうなるか分かりませんが、一応今と大して変わらないとしたときに、極端な場合には、運用コストのほうで実際の市中運用の運用収益が、あらかた食われてしまうというふうなことはないのでしょうか。財形との比較ではどうでしょうか。
 
○ 事務局
 財形の場合は、預替えしないということもありまして今のところ手数料は取っておりません。もちろんコストとしてはあるのでしょうが顕在化した形にはなっておらないわけです。確定拠出型年金の場合は、これだけのシステムを運用するわけですので、当然、手数料という問題はついて離れないわけです。その辺は私どもとしても、どうなるか気をもんでいる次第です。企業型のほうは、その企業が担保する、負担するということもあり得るかもしれませんが、個人型のほうは、その辺はどういう形でやっていくのかなと。その部分のコストを顕在化させて手数料という形になるのか、あるいは別のやり方があるのか、また、どのぐらいの額になるのか、それは私どもとしても関心を持って見守っている、というのが率直なところです。
 
○ 会長
 ポータビリティをちゃんとやろうとしたら背番号か何か付けておかないと、記録が大変なのではないかという気がしますが、そういうのも将来の問題なのでしょうね。
 
○ 事務局
 おっしゃるように年金番号を使ってやるのはどうか、という議論はあるわけです。アメリカは、すでにそういう仕組みになっていますので、連合会のような仕組みは必要ないわけです。金融機関と税務当局をつないで、番号でやれば連合会みたいな組織はいらないわけです。自ら金融機関を選んでやるということで、非常に簡便に済むわけですので、今後、非常に大きな課題であると考えております。
 
○ 委員
 今は基礎年金番号がずいぶん整備されましたからね。
 
○ 事務局
 はい。
 
○ 委員
 あれ、使おうと思えば使えますね。当然、未登録の者はこの制度の対象にならないでしょうし。
 
○ 事務局
 それはそうですね。
 
○ 会長
 いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは、どうもご苦労さまでした。当審議会としては、私が着任する前からこの問題を大変詳しく研究をされていただき、いろいろご議論もあったところですが、こういう決着になったという、そのご報告を伺いました。
 次に、議題4は「その他」となっております。事務局で用意されている点があるようですので、ご説明をお願いしたいと思います。
○ 事務局
 資料bTによりご説明申し上げます。
 「財形貯蓄制度の改正」。これは法律ではなくて政省令です。ご存じのように金融自由化が進展しておりますし、貯蓄ニーズ、これも勤労者のニーズが多様化しております。それに併せまして、一般財形については預替え制度の要件を緩和しよう、併せて年金貯蓄の支払い段階において弾力化をしようというものです。
 まず、一般財形貯蓄契約に係る預替え要件です。現在10年以上継続している場合に任意の預替えが認められております。しかし、これを短縮いたしまして、3年以上継続している場合に任意に預け替えることを認めようではないかということです。現在法律で「3年以上」と書いてありますので、3年以上に短縮するには法改正をしなければなりません。現在のところ財形については、確定拠出をやっていたということもありますし、包括的な見直しということになっておりませんので、とりあえず政省令について3年まで預替え要件を緩和しようという改正です。
 次は、支払い段階の弾力化です。最近の金利は、ご存じのとおり超低金利です。そうしますと、ある程度の金利を予定して支払い当初に設定した額を使い切ってしまう、という事態が生じます。例えば2頁目、現在の財形の支払い方法は、60歳以後に支払う場合、元利均等分割方式という支払い方法になっております。これは年金支払期間中に発生する利子等を含めまして1回当たりの年金の支払い額を算定して年金支払いを行います。例えば、60歳時点で元本500万円である、そして70歳まで10年間もらおう、年利が仮に3%とします、そうしますと大体10年経ちますと580万円になるわけです。この580万を10回に割って毎年58万という払い方でやっております。
 ただ、これはあくまでも年利3%が継続すればこうなるということです。途中で金利が非常に低下した場合には、2に書いてありますような事態が生じ得るわけです。すなわち、その3年目から3%が0.3%になってしまう。そうしますと、58万で1回決めたら変えられないということになりますと、9年目で全部終わってしまいます。予定した10年目の支給はないという事態が生じるわけです。やはり生活設計上、これでは困るということもありますので、下にありますように、例えば6年目から見直すとか、そして58万から46万5,000円に落として10年目ももらえるようにするとか、こういう改正をしよう、弾力化を図ろうというのが今回の趣旨です。これは最近の金利の低下に対応したということで、残念ながら減額の場合だけの措置で、増額については変更できないという仕組みにとどまっております。
 ロは、算定方法の弾力化の1つとして、預貯金の場合、現在は元本を支払い回数で割った額、いわば元本均等分割が認められております。貸付信託、金銭信託、公社債投信について、同様に元本均等分割により年金支払いを認めようというものです。これは3頁目にあります。元利均等が1頁目でしたが、元本均等というのは、500万円が元本だとしますと、その500万円を10年間もらうとすれば10で割って50万とします。利息については、その上乗せ分を払っていく、乗せていくという考え方です。例えば、1年目は50万で、その分の利息。2年目ですと、50万の元本と、1年目の利息プラス2年目の利息、それを足します。以下、順に足していって、10年目ですと、50万円をプラスしまして10年間の利息の累計、50万円分の利息の累計をもらうという仕組みです。このほうが確定拠出的な支払としてはなじむであろうということで、貸付信託、金銭信託、公社債投信にも預貯金的な元本均等方式を広げるという改正です。
○ 会長
 ただいまのご説明について、何か、ご質問等ございますでしょうか。
○ 委員
 いまのご説明の中で、財形年金の年金支払額変更の弾力化のところですが、もう既に受給が始まっている方について、例えば、このような方式は大変有効だと思うのですが、これから以降、今の低金利の状況で受給10年分を決めた方で、将来金利が上がっていった時に、最終年度にドカンと支払うような仕組みにもなり得るのではないかと思うのです。今の課長のご説明ですと、減額のほうだけしか手当をしていない、というお話でしたが、なぜ両方ともできる仕組みは不可能なのか、その辺をちょっと教えていただきたいのですが。
○ 事務局
 そのほうが望ましいわけですが、税務当局などとの折衝がありまして、今の状況の中で、これは認めていこうということです。増額の場合、もちろん我々も主張したわけですが、その時またやろうではないか、というような形に今なっております。これからの課題だと思います。当然、そういう事態になってくれば我々も要求し、実行していきたいというふうには考えております。
○ 委員
 ちなみに、これはいつから実施の予定ですか。
○ 事務局
 可及的速やかにいたします。施行については準備期間などもありますので、少し準備状況を見ながらと思っております。
○ 会長
 ただいまの説明については、そういうことでよろしゅうございますか。
○ 委員
 はい。
○ 会長
 「その他」の点について、何か、ご発言ございますでしょうか。特にございませんようですので、これで本日の審議会は終わりにしたいと存じます。
 なお、署名委員が必要でございます。桝本委員と松井委員のお2人に、お願いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それではどうも、お忙しい中ありがとうございました。
 
(注)本文中に記載されている資料については多量なため省略しております。
 資料についての詳細及び問い合わせについては、労政局勤労者福祉部企画課 03-3593-1211(代)までお願いします。






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