第111回 中小企業退職金共済審議会 議事録

 日 時  平成11年11月30日(火)10:05〜11:45
 
 場 所  通産省別館825号会議室
 
 出席者 [委 員] 今野会長、宇野澤委員、勝委員、菅野委員、木村委員、
桜井委員、左近充委員、笹川委員、毛頭委員、茂木委員、
山路委員、渡辺委員
[事務局] 鈴木勤労者福祉部長、落合福祉課長
 議 題
(1) 特定業種退職金共済制度の安定的運営について
(2) その他

 議事内容

○会長
 ただいまから、第111回中小企業退職金共済審議会を開催いたします。本日は、特定業種退職金共済制度の安定的運営についての議題を中心に審議を行いたいと思います。
 その前に、前回ご審議いただきました中小企業退職金共済法における中小企業者の範囲の見直しについて、関係の法律案が今国会に提出され、先般成立したようですので、事務局より国会での審議経過等について報告していただきたいと思います。

○福祉課長
 それでは資料1に沿ってご説明いたします。中小企業基本法等の一部を改正する法律案における中小企業者の範囲の拡大については、前回の審議において中小企業基本法本体の改正法と、関係法律の範囲改定一括法の2本立てで行う予定である、とご説明いたしましたが、内閣法制局における審査等を踏まえ、両者を一本化して、「中小企業基本法等の一部を改正する法律案」として臨時国会に提出されたところです。この法律案においては、関係する32の法律の中小企業者の範囲拡大が盛り込まれております。
 この法律案は10月29日に閣議決定された後、臨時国会で審議され、去る11月25日に成立いたしました。なお、12月3日に公布される予定であり、公布日から施行されることとなっているため、12月3日から施行される予定です。
 念のため改正の内容を改めて申し上げますと、資料1の16頁にあるとおり、中小企業退職金共済制度に加入できる中小企業者の範囲について、製造業などの業種では資本金規模要件が1億円以下から3億円以下に、卸売業では資本金規模要件が3,000万円以下から1億円以下に、サービス業では従業員規模要件が50人以下から100人以下に、資本金規模要件が1,000万円以下から5,000万円以下に、小売業では資本金規模要件が1,000万円以下から5,000万円以下に、それぞれ拡大されております。
 労働省としては、今回の改正の内容の周知を図るとともに、新たに中小企業退職金共済制度に加入することが可能となった事業主を中心に、今後とも本制度への一層の加入促進を図ってまいりたいと考えております。

○会長
 ただいまの報告について、ご質問等はありませんか。
 特にないようですので、次に、「特定業種退職金共済制度の安定的運営について」に移りたいと思います。まず事務局より、説明をお願いいたします。

○福祉課長補佐
 それでは、資料2と資料3の2種類の資料を用意しておりますが、まず私の方から資料2に基づきまして、各制度が置かれている現状と今後の見通しについて、ご説明したいと思います。いわゆる特定業種退職金共済制度としては、建設業、清酒製造業、林業の3業種について共済制度があるわけですが、前回いただいたご指摘や、加入・脱退動向についての分析なども含めて、今回いろいろと資料を用意しております。
 1頁から3頁までは加入・脱退の動向及びその分析です。1頁で、建設業退職金共済制度の共済契約者数については、年度末在籍者数は2〜2.4%増で推移しております。対前年度比の伸び率は大きな変化はありませんが、例えば一般の中小企業退職金共済制度では、平成9年度以降、対前年度比はマイナスになっている状況ですから、この不況の中で割合と堅調に伸びていると受け止めております。被共済者数についても、概ね同様の傾向が見られます。脱退については、平成10年度、11年度と対前年度比で減少しているのが特徴となっています。
 いくつか加入・脱退動向の分析についてのポイントを申し上げますが、共済契約者、被共済者ともに平成6年度、10年度、11年度の加入が大きく伸びております。私どもの分析としては、まず平成6年度については、経営事項審査との兼ね合いによるものと考えています。公共事業等に参加しようとする建設業者は、建設大臣もしくは都道府県知事の経営事項審査を受けることが建設業法により定められております。簡単に言いますと、例えば技術力などで加点評価をして、個々の会社について点数評価をするという仕組みですが、その中で、労働福祉の状況が加点評価項目となっております。平成6年度にはその加点評価項目の中に、建設業退職金共済制度に加入していることが加えられ、加入にかなりのインセンティブが働いたと考えられます。
 平成10年度については、平成10年1月に予定運用利回りの改定を行っております。改定そのものは予定運用利回りを引き下げるというものでしたが、それを機に、制度の周知とともに一層の加入促進を図ったという事情があります。
 平成11年度については、先般、審議会でもご報告しておりますが、今年3月に労働省、建設省、勤労者退職金共済機構の3者において建退共制度の改善方策を取りまとめ、その周知徹底に取り組んでおりますので、その成果が表れているのではないかと考えております。
 次に2頁の清酒製造業退職金共済制度についてです。(1)2に「清退共加入率」を示しております。大まかなイメージということでお考えいただきたいのですが、国税庁の調査による酒類製造免許場数を分母とし、清酒製造業退職金共済制度の加入者数を分子とすると、その率が98.9%となっております。清酒製造業退職金共済制度の場合、廃業等による脱退の届出が必ずしも十分に行われていないという面があり、若干、共済契約者数が多目にカウントされている可能性がありますので、実質的には90数%程度ではないかと思いますが、いずれにせよかなり高い加入率になっております。そもそも母数が多くないこともあって、加入・脱退状況についてはほとんど変化は見られないという状況です。
 前回の審議会で、平成10年度の脱退24件について、これは飛び抜けて大きいが何か要因があるのかというご質問がありました。いろいろ調べましたところ、今の話とも関連しますが、事業所が廃業等をした場合、本来は届出をいただいて脱退の処理をするべきところ、届出が必ずしも事業所からきちんと行われていないケースがあるようです。ある事業所から共済手帳の更新の申請がないようなケースについては、何年かに1回、地域ごとに分けるなどして調査をしておりますが、たまたま平成10年度の督促状などによる調査によって、過去の倒産、廃業が判明したものが10年度分として処理されたという事情があります。参考までに、純粋に平成10年度に脱退した企業数は9件で、残りの15件は平成9年度以前の廃業等によるものです。その15件のうち3件が平成9年度分ですので、それを考えますと平成7年度から10年度の脱退件数はそれぞれ10件、10件、9件、12件となり、概ね一定の推移ではないかと考えております。
 次に、3頁の林業退職金共済制度についてです。加入状況はかなり厳しいものとなっていますが、平成11年度に入り加入者数が相当伸びております。これには特殊要因がありまして、(3)の一番下に書いてあるとおり、平成10年度末に三重県内の財団が林業事業者を対象に独自に実施しておりました退職金制度が解散され、この制度に加入していた事業所で林業退職金共済制度に新たに加入した事業所が37所ありました。その影響が大きいのですが、その37所を差し引いても半期ですでに35所と、平成10年度の40件に近づいておりますので、本年度は林業退職金共済制度の加入が健闘しているといえます。
 加入率については、林野庁の森林組合統計によれば、森林組合における加入率ということになりますが、共済契約者で73.2%、被共済者53.4%となっております。被共済者ベースの加入率が若干低くなっておりますが、これは、例えば常雇性の強い方などで一般の中小企業退職金共済制度に加入していただいているというケースがあるためです。ちなみに、同統計によれば一般の中小企業退職金共済制度の加入率は12.7%となっていますので、それを合わせますと6割5分程度はカバーされていることになります。
 恐縮ですが2頁にお戻りいただきたいと思います。(2)2の清酒製造業退職金共済制度の被共済者ベースの加入率は64.7%となっており、共済契約者ベースの98.9%に比べてかなり差があるのですが、これは統計上の制約によるものです。共済契約者の方は、分母となる事業所数がまさに清酒製造業退職金共済制度の加入対象である清酒、焼酎、みりんの製造事業所数になっているのに対し、被共済者数の方の分母になっている酒類製造業労働者数の中には、これらのほか、ビール、果実酒、ウィスキーなども含まれており、詳細な分類は特別集計をしないと出ないため、分母が大きくなり、加入率が低く出ていることが考えられるということを念のため申し添えます。
 次に、4頁の加入者の年齢構成についてです。これは初めてお示しする資料ですが、それぞれの制度について、1で平成10年度に新たに加入された方の年齢分布と平均年齢を、2で平成10年度末の在籍者全体の年齢分布と平均年齢を示したものです。建設業退職金共済制度はバランスのいい状況になっておりますが、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度については、高齢化の傾向がかなり強くなっています。とりわけ清酒製造業退職金共済制度の場合は、新規加入時点で既に60歳以上が40%以上、70歳以上が7%弱であり、半数近くが60歳以上の高齢層で占める一方、29歳以下の若年層が非常に少ないという構造になっています。若年労働力の新規加入は構造的になかなか期待しにくい状況です。林業退職金共済制度も似た傾向にありますが、清酒製造業退職金共済制度ほど高齢化は進んでいないという状況です。
 次に、5頁の制度の成熟度についてです。年金制度、共済制度においてはよく制度の成熟性ということが議論されますが、この3つの制度についてそれを示してみました。成熟度の考え方にはいろいろ指標がありますが、今回は最もポピュラーで分かりやすい指標として、人の出入りから見た成熟度及び金の出入りから見た成熟度、すなわち1各年度における加入者数に対する退職金受給者数の割合、2掛金収入額に対する退職金支出額の割合を示しています。これらのバランスが安定している状態であれば、基本的に制度として成熟するとともに、制度として安定していると言えるわけです。
 そういう意味では、建設業退職金共済制度については、若干右肩上がり的ではありますが、概ね安定しているといえます。清酒製造業及び林業の各退職金共済制度については、この2、3年でカーブがきつくなってきており、特に清酒製造業退職金共済制度については、それが急激なものとなっています。なお、林業退職金共済制度の1の指標で平成8年度が突出して高くなっておりますが、これは長期未更新者に対して督促等をした結果、脱退が判明したケースが増えたという特殊事情があります。
 次に6頁から7頁にかけて、各業種における就業者の推移と今後の見通しを示しています。実績値については総務庁で行っている5年ごとの国勢調査の結果をもとにしておりますが、推計については各業種ごとにそれぞれ事情があり、若干異なっています。建設業については、労働省で策定した雇用対策計画の中で、職業安定局において推計した平成22年の建設就業者数617万人という数字をもとに、平成12年、17年の就業者数を逆算しています。若干、減少するとともに高齢化がかなり進んでいくという推計です。
 清酒製造業については、標準産業分類上かなり細かい分類になっており、ここでの数字は厳密には注の2にありますように、ビール、果実酒等を含む酒類製造業ということで捉えております。したがって必ずしも清酒製造業退職金共済制度の対象となる清酒製造業の状態を捉えたものではありません。平成12年、17年については所管官庁の推計等がありませんので、平成2年、7年のトレンドをベースに私どもの方で推計をしたものです。これについても就業者数は減少する見込みとなっております。
 林業については、昭和60年から平成7年の変化をベースに、林野庁がコーホート推計で平成17年の推計を出しております。これによれば就業者数は4万6,000人とかなり厳しい状況になっております。ちなみに同じ手法で平成7年の推計をした場合、その推計値よりも実績の方が1割程度多いということを、念のため申し上げておきます。なお、平成12年の数字がありませんが、林野庁の平成17年の推計と同様の推計手法では平成12年の推計ができないものですから、違った推計手法による推計値を並べるのは必ずしも適当ではないということで省略しております。
 次に、収支状況と将来推計について8頁以下に整理しております。これは資料3に簡単にまとめておりますが、建設業退職金共済制度については、平成10年度末現在で累積積立金が約219億円あります。将来推計については、基本的に収益費用について過去数年のトレンドをもとに推計しております。平成16年度、17年に当期純利益が欠損という推計になっておりますが、トータルで見ると、現行の積立金よりも多くなるという推計結果となっております。
 9頁の清酒製造業退職金共済制度については、平成10年度末現在の積立金が約5億円あります。しかし、当期純利益はここ数年、単年度欠損金を毎年発生させているという状況で、その状況が平成11年度以降も続いていくという推計です。積立金は平成14年度末の時点で欠損に転じ、平成17年度にはそれがかなりの額まで膨らんでいくことが見込まれています。さらに、先ほどご説明したとおり、清酒製造業退職金共済制度の場合は新規加入の見込みがかなり厳しいということも視野に入れる必要があると考えております。
 10頁の林業退職金共済制度については、平成10年度末の積立金が15億円弱の累積欠損という状況で、かなり厳しい運営になっております。さらに平成11年度以降も単年度欠損金が発生すると見込まれており、平成17年度末の時点では、10年度末の2倍を超える33億円まで累積欠損が膨らむ見込みとなっています。
 11頁及び12頁の資産運用状況については、すでにご説明しておりますので省略させていただきます。
 13頁は主な金融商品の金利の推移です。建設業退職金共済制度においては現行の予定運用利回り年4.5%に対して平成10年度の運用実績が3.35%、清酒製造業退職金共済制度では予定運用利回り年4.5%に対し同実績が2.97%、林業退職金共済制度では予定運用利回り年3.7%に対して同実績が2.90%という状況です。いずれも予定運用利回りをかなり下回っているものの、それでも年3%前後の運用実績を確保しています。これは過去の金利の高い時代の債券を保有している等の事情により、何とかこういう数字を保っているわけですが、13頁に示したとおり、主な金融商品の金利はかなり低くなっております。最も高い20年ものの国債でもせいぜい2.5%ですから、現在の金利情勢を考えた場合に、各業種における予定運用利回りはかなり高い設定であると言えるかと思います。
 14頁以下は、資産運用効率化の取組状況です。3点ほど挙げておりまして、1点目は資産運用体制の整備です。建設業退職金共済制度で運用担当専門職を設置したほか、各事業本部内に資産運用委員会を設けて基本方針等について討議をする、といったような取組みを行っています。
 2点目に、金銭信託の導入として、一般の中小企業退職金共済制度では平成3年から導入しておりますが、特定業種についても、建設業退職金共済制度が平成7年度から、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度については平成8年度から金銭信託を取り入れております。前回もご質問がありましたが、各制度における金銭信託の利回り実績を下の表で整理しております。最も高成績だったのは、平成9年度の建設業退職金共済制度の指定単で、3.74%となっております。
 3点目は、15頁のポートフォリオの改善です。これまで生命保険資産を主体に運用を行ってきましたが、生命保険資産については、その保証利率が過去2回にわたって引き下げられ、現在1.5%〜1.75%程度まで引き下げられております。そういう中で、基本的な方向性としては、生命保険資産を圧縮するとともに、金銭信託への投入額を増やしていこうと考えております。今回ここにお示ししたのは、3つの制度について、各年度における運用資産が一体どの程度あって、それをどういう運用方法に割り振っているのかを整理したものです。まず、一番上の欄の運用対象資産ですが、これは、各年度の収支差に、有価証券の満期償還により発生した資産を含めたもので、基本的に運用できる資産ということです。ただし、中小企業退職金共済制度においては、法令上大蔵省の資金運用部に一定の割合の資金運用部預託が義務づけられているほか、毎年の退職金給付に充てるため一定の流動性を確保する必要があることから短期運用をしている資産がありますので、それらを除いた額が、純粋な意味で投資できる運用可能資産ということになります。それが2番目の欄に示したものです。この運用可能資産について、どういう割り振りをしたのかというのがその下の欄の運用方法で、有価証券、金銭信託、生命保険に分けております。いずれの制度も金銭信託への投入割合を増やしてきているのに対し、生命保険資産については、例えば平成6年度と10年度を比べた場合、建設業退職金共済制度では34.4%から7.5%、清酒製造業退職金共済制度では24.5%から6.4%、林業退職金共済制度では27.3%から7.0%という具合に、いずれも投入割合を圧縮している状況です。ただし、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度の運用可能資産の額を見ていただきますと、例えば平成10年度で清酒製造業6億9,000万円、林業14億7,000万円ということで、特に清酒製造業についてはそもそも運用可能な資産の規模がかなり小さいことが分かります。したがって、基本的な方向性としてはポートフォリオを改善していくわけですが、急激に変えていくにはなかなか難しい面があります。一般の中小企業退職金共済制度では、現在資産総額に占める金銭信託の割合が30%程度ありますが、この特定業種退職金共済制度においては、建設業で20.8%、清酒製造業で10.4%、林業で14.5%という水準です。また、特に清酒製造業の場合は退職金給付も増えていますので、かなり流動資産を確保しなければならないことから、運用方法にも制約といいますか、限界があるという状況です。
 最後に、16頁以下で換算日数と就労実態の推移についての資料を示しております。そもそも換算日数とは何かということですが、一般の中小企業退職金共済制度では、実際に働いた日数にかかわらず掛金月額を個々の労働者について設定し、掛金月額1,000円当たりの掛金納付月数ごとの退職金が例えば1か月であればいくら、50か月であればいくらということが法律上定められているわけです。
 これに対して、特定業種退職金共済制度は期間雇用者を対象にしており、掛金については働いた日数分の共済証紙を貼付することになっています。これについて1日ごとの退職金額を法令上定めるとすれば極めて膨大なものになることから、便宜上その共済証紙が一定の枚数貼られれば、掛金の納付が1か月あったとみなして算定するという手法をとっております。
 具体的には、建設業退職金共済制度では21日分、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度では15日分の共済証紙が貼付されれば、1か月分の掛金納付があったものとみなすという取扱いをしており、これを「換算日数」と呼んでいます。換算日数は労働大臣の告示において定められているものです。
 この換算日数は、それぞれの業種における就労実態がどうなっているかをもとにして定めております。まず建設業については、労働省の「屋外労働者職種別賃金調査報告」の中に、労働者1人、1か月の平均実労働日数のデータがあります。これによれば、平成10年度で若干減少気味ですが、現行の21日という設定と大差がない状況となっています。
 清酒製造業については、昭和40年時点では国税庁が行っておりました調査の中で、1か月の平均就労日数14.8日というデータがありました。しかし、その後、残念ながらこの調査項目が廃止されたため、清酒製造業における平均就労日数が把握できない状況になっております。そこで、参考までに、あくまで清酒製造業退職金共済制度の中でのものですが、昭和50年以降の被共済者の1か月の平均証紙貼付枚数を示しております。これによれば、概ね15日前後で推移しているという状況です。
 これに対して、17頁の林業については、林野庁の「森林組合統計」で見ますと、昭和50年時点で14.8日、55年で15.3日となっています。なお、あまり就労日数が少ない方を含めますと、全体の平均が引き下げられるため、これは年間就労日数が90日以上の就労者についての平均となっております。
林業退職金共済制度発足時に目安にしたのがこういったデータですので、現行の15日という換算日数が定められたわけですが、その後、平成2年あたりから就労日数は増加傾向となり、平成9年度では16.6日となっています。

○福祉課長
 続いて資料3についてご説明いたします。資料2でお示ししたデータを踏まえ、文章にまとめたものです。
 特定業種退職金共済制度については、厳しい金利情勢等を踏まえ、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度については平成9年7月に、建設業退職金共済制度については平成10年1月にそれぞれ予定運用利回りの引き下げを行いました。しかしながら、その後のさらなる金利情勢の悪化により、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度における財政状況は極めて厳しいものとなっており、いずれも数年にわたり単年度欠損金が発生している状況にあります。この結果、清酒製造業退職金共済制度においては累積剰余金が年々減少しており、平成10年度末現在で約5億円にまで縮小、林業退職金共済制度においては平成8年度に累積欠損に転じて以来さらにそれが拡大し、平成10年度末で約15億円の累積欠損金となっております。最近、若干上昇の兆しが見られるものの、なお厳しい金利情勢にあり、現行の金利水準がこのまま続くと仮定すると、清酒製造業退職金共済制度においては平成14年度末に累積欠損に転じること、林業退職金共済制度においては累積欠損金がさらに拡大することが見込まれている状況です。
 こういう状況を放置いたしますと、制度の安定的運営に著しい支障を生じさせかねません。中小企業退職金共済法においては、掛金及び退職金等の額について、少なくとも5年ごとに検討するということになっております。前回の見直しから5年が経過しない段階ですが、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度の置かれた状況を踏まえると、早急にこれらの制度の財政状況の改善を図ることが必要であると考えております。
 具体的な対応の1番目として、加入促進の対策の強化を考えております。建設業退職金共済制度については、本年3月に取りまとめた「建退共制度改善方策」に基づく履行確保及び加入促進を図っていくことが必要であると考えております。清酒製造業退職金共済制度については、すでに加入率が相当高い水準になっており、加入促進活動には限界があると考えておりますが、焼酎業界など一部未加入事業所を対象とした加入促進を図っていきたいと考えております。林業退職金共済制度については、現在の加入率にかんがみれば、なお加入促進の余地があると考えられるため、林野庁など関係機関との連携を図りながら、一層の加入促進対策の強化を図る考えです。
 2番目に、資産運用の効率化、すなわちポートフォリオの改善を考えております。先ほどご説明しましたように、従来、生命保険資産を中心とした安全運用を行ってきたところでありますが、こういう金融商品では予定運用利回りを確保する運用実績をあげることが困難な状況になっております。したがって、安全性に配慮しつつ資産運用の効率化を図り、運用利回りを高めることによって財政状況を改善する必要があると考えております。また、ここ数年、生命保険資産を圧縮して金銭信託への投入割合を高めており、今後とも基本的にはこうした方向でポートフォリオを改善していく必要があると考えております。ただし、一定程度流動性の高い資産を保有しておく必要性から、生命保険資産には一定の役割があると考えております。また、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度については運用可能な資産規模が小さいこと、金銭信託は元本保証のない金融商品であって、リスク管理上の問題があることを考慮する必要があります。
 3番目に、現行の金利情勢と予定運用利回りとの乖離の大きさ、今後の業界の動向等を踏まえれば、加入促進対策の強化、資産運用の効率化による対応だけでは財政状況の改善を図るには限界があると考えており、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度について、少なくとも見直し後5年間を通じて単年度欠損金が発生しない程度の水準に予定運用利回りを見直すことが必要であると考えております。
 その水準のおおよそのイメージをつかんでいただくために、4頁及び5頁をご覧ください。この推計はあくまで粗い試算ですが、例えば4頁で、清酒製造業退職金共済制度で予定運用利回りを年2.5%にすると、平成16年度、17年度に当期純利益で欠損となるが、年2.3%にすると、単年度欠損金は発生しないということです。
 5頁の林業退職金共済制度の場合は、予定運用利回りを年2.3%にすると平成17年度に単年度欠損金が発生しますが、年2.0%にすればまず大丈夫ということです。くり返し申し上げますが、この推計は粗い試算であり、この推計をもとに具体的な数字をご議論いただくのは適当でないと考えておりますが、おおよそのイメージとしてご覧下さい。次回以降、具体的な改正案をお示しする際には、推計内容もより細かく見直す予定をしております。
 最後に、3頁に戻りますが、4番目として、林業退職金共済制度において就労実態の変化に応じ、1か月に換算すべき日数を15日から17日に改定をしたいと考えております。以上です。

○会長
 ありがとうございました。ただいま詳しく説明していただきましたので、財政状況の現状とその背景について少しここで議論していただいて、委員の中でその認識を深めるとともに、今後どうするかということについて、少し自由に議論をしたいと思います。
 それでは、ご意見、ご質問等がありましたらお願いいたします。

○委員
 2点ほど申し上げます。1点目は、前回の私の質問は、昨今の加入や脱退の動きは、それぞれの産業の構造的な事情に影響されているのか、それとも不況などといった短期的な事情に影響されているのか、いずれの要因が大きく働いているのかということでした。資料を詳しく読めば分かるのかもしれませんが、その点についてはどうご判断されているのでしょうか。
 2点目はコメントですが、資料2の2頁の上の表で、平成10年度における清酒製造業退職金共済制度の共済契約者の脱退24件について詳しく調べていただいておりますが、そういうことが分かった時点で、こういった統計は修正していく方がいいと思います。

○会長
 1点目についてはどうでしょうか。

○福祉課長補佐
 問題の24件は、(3)にも書いておりますように、すべて倒産及び廃業、うち一部は後継者がいなくなったことによる廃業ということです。一見、構造的な面もあるかとも見てとれますが、一方で、例えばバブル期の平成2年ぐらいをピークとして酒の消費量が若干減少傾向にあるというようなこともありまして、構造的な面と不況という面を分けて考えるのは難しい面があると思っております。必ずしも回答になっていないのかもしれませんが、各業種の全体の傾向が何がしかつかめるかと思い、6頁以下に各業種における就業者の推移と今後の見直しを示しております。

○会長
 清酒製造業退職金共済制度については、例えば、2頁(1)1の共済契約者数の加入・脱退状況を見ると、一貫して対前年比がマイナスで、かつ、2の加入率は100%に近いということで、この2つの要因を考えると、構造的な問題だと考えざるを得ないと思いますね。

○委員
 そうですね。

○会長
 ほかにはどうでしょうか。

○委員
 2点ほどお伺いします。1点目は、加入促進は非常に大きな課題であると思いますが、1頁以下の加入・脱退状況を見ますと、対前年度比の伸びよりも、むしろ加入率を問題にする方がよいように思います。そのように考えた場合、特に建設業退職金共済制度についてですが、共済契約者の加入率が27.2%と非常に低く、被共済者の加入率が43.9%と高いのがちょっと不思議な気がします。つまり、建設業退職金共済制度の場合は、ほかの業種に比べて、労働者福祉の向上といったものがあまり考えられていないのだろうかという印象を受けるのです。これについては何か統計上の事情があるのかどうかをお伺いします。
 2点目は、規模から見ると、建設業退職金共済制度が最も加入者数が多く、資金量も非常に大きいものとなっています。今回、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度の予定運用利回りを引き下げるということですが、それら2つの業種はむしろ衰退産業で、国がバックアップしていかなければならないような業種ではないかと思われるわけです。それにもかかわらず予定運用利回りを引き下げれば、加入労働者の福祉の向上が図られなくなるわけですから、例えば3つの制度を統合するということは考えられないのでしょうか。

○福祉課長補佐
 まず1点目の建設業退職金共済制度における共済契約者ベースと、被共済者ベースの加入率の乖離についてですが、そもそもこの制度自体が期間雇用者を対象として、労働移動に対しても対応できる制度になっております。清酒製造業及び林業に比べて、建設業の場合には比較的労働移動が激しいという実態があります。例えば、ある労働者が加入事業主に雇用され、制度に加入して被共済者となり、共済手帳の交付を受けたとします。その労働者については、建設業退職金共済制度に未加入の事業主に雇用されている間は共済証紙の貼付は受けられないわけですが、また新たに別の加入事業主に雇用されれば共済証紙の貼付を受けられる、というような状態がありますので、そういう方は、ある一時点において証紙の貼付を受けられる状態でなくても、手帳保持者ということで期末の在籍者にカウントされるということがあります。そのあたりが被共済者ベースの加入率が相対的に高いことの一つの要因ではないかと見ております。

○福祉課長
 2点目については、勤労者退職金共済機構の設立に当たり、業界からの強い要望等を踏まえ、それぞれの制度ごとに完全な区分経理になっているという点をご理解いただきたいと思います。

○委員
 資料3の4頁、5頁の将来推計について、その前提はどのように考えられたのでしょうか。

○福祉課長補佐
 平成10年度決算を基礎として、業界全体の傾向というより、各制度における過去の加入・脱退動向をもとに、そのトレンドを延長したものです。

○委員
 そうすると、特に林業退職金共済制度については、今後もっと悪い状態になると推計されるわけですね。過去の加入脱退状況を前提に置いているとすると、これからトータルの産業規模が縮小するペースが急激になりますから。

○福祉課長補佐
 推計にはいろいろな考え方があると思いますが、この件についてはあまり政策的要素を入れるべきではないと考えています。例えばポートフォリオを改善していくというような話について、積極的にポートフォリオの改善を織り込んだ形での推計にはなっておりません。また、特に建設業退職金共済制度においては、共済証紙の貼付の履行確保が課題なのですが、そういった履行確保が進むことによる適正化効果も織り込んでいません。基本的には、過去のトレンドを機械的に延長したものとなっております。

○委員
 3つの制度の中で、建設業退職金共済制度の加入率が共済契約者、被共済者ともに最も低いわけですが、加入していない人たちについての分析はしているのですか。つまり、全くそういった退職金共済制度に加入していないのか、あるいは別のいわば競合するような制度に加入しているのか、その分析をすることが、これから加入促進を有効に進めていくための手だてになるのではないかと思うのですが、いかがですか。

○福祉課長補佐
 昨年度、勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部におきまして、普及状況等についての実態調査を行いました。建設業の場合、ほかの業種に比べて非常に重層の下請構造になっているという特色があり、おおよそ一次、二次下請あたりまでの加入率はそれなりに高いのですが、それ以下の零細な下請業者の加入が進んでいないという実態があります。下請業者への加入促進については、元請業者から指導していただくのが非常に効果的ですので、「建退共制度改善方策」をはじめ、元請業者の団体に対して依頼する等、さまざまな取組みをしておりますが、なかなか十分に進んでいないという状況です。また、業種によっては、かなり常雇性が強いために社内退職金制度を持っており、このような制度は必要ないという場合もあります。

○委員
 いま言われた常雇性について、例えば常雇の労働者数とそうでない労働者数の割合というのはどのくらいか分かりますか。

○福祉課長補佐
 補足になりますが、例えば建設業退職金共済制度では、常雇性がかなり強くても、現場労働者ということであれば、基本的にある程度割り切る形で、加入の対象としております。業態によっては、基本的に終身雇用に近いようなものもあるようですので、そういった事業所はあえて建設業退職金共済制度に加入せずに、独自の退職金制度を持っている所があるようです。

○委員
 建設業退職金共済制度に加入している労働者は、常雇ではない人が多いということではないのですか。

○福祉課長補佐
 必ずしもそうとは言えません。

○委員
 おそらく実態もなかなか分からないわけですね。

○福祉課長補佐
 はい。

○委員
 確認ですが、この加入率の母数は、中小企業退職金共済制度の加入対象となる企業数ですか、それとも大企業も含めた建設業許可業者数ということですか。

○福祉課長補佐
 大企業も含めた数です。

○委員
 そもそも私たちが対象としているうちの、どれだけが加入しているかという指標ではないわけですね。

○福祉課長補佐
 はい。林業退職金共済制度については、森林組合統計を用いた分母、分子の意味が一致した加入率になっておりますが、建設業及び清酒製造業の各退職金共済制度についてはそういった的確な資料がないので、おおよそのイメージをつかんでいただくという意味で、多少無理がある場合も含めて、今回あえてお示ししたということです。 また、常雇性のほかに、例えば建設業労働者数の中には、建設業退職金共済制度の対象とはならないいわゆるホワイトカラーも含まれておりますので、そういった余計な部分が母数に含まれているという面があります。そういうご理解のもとで、この数字を見ていただければと思います。

○委員
 雇用形態別の建設業退職金共済制度加入率といった、相関関係のようなものが分かれば、もう少し特徴がつかめるのではないかと思うのですが、そういうデータが出せるのかどうか、分析していただけませんか。

○福祉課長
 分かりました。

○会長
 いずれにしても、建設業退職金共済制度の場合は、まだマーケットが大きく、そういう点では、清酒製造業及び林業、特に清酒製造業の退職金共済制度とは状況が根本的に違うということです。

○委員
 今日はこういう説明を受けましたが、次回以降、資料3にあるような予定運用利回りの見通しについて検討する際には、実際に労働者が受け取る退職金額にはどういう影響が出るのかが分かる資料を準備していただきたいと思います。

○福祉課長
 あくまで本日お示しした将来推計に基づく大ざっぱな試算ですが、仮に清酒製造業退職金共済制度について年2.3%程度まで、林業退職金共済制度について年2.0%程度まで予定運用利回りの引下げを行ったと仮定して、平成10年度の平均掛金納付月数に相当する共済証紙の貼付を受けた労働者が受け取る退職金額を比較すると、清酒製造業退職金共済制度で現行の138.5万円が115.3万円、林業退職金共済制度で現行の76.6万円が68.5万円となります。

○委員
 労働者としては、これから厚生年金の支給開始年齢の引き上げといった話もありますので、その対策ももちろん考えていかなくてはいけないのではないかと思います。一般の中小企業退職金共済制度の場合ですと、予定運用利回りを引き下げても、掛金額を増額することで実質的に受け取る退職金額が減らないようにする手だてがありましたが、特定業種退職金共済制度の場合にも何かそういう方法はあるのですか。

○福祉課長
 過去に1枚当たりの共済証紙の金額を引き上げたケースはありますが、それぞれの業界なり、関係者の見解を踏まえると、現状ではそれも難しいと思います。

○委員
 これは要望になるのですが、本制度は退職金制度ですから、少なくとも5年ごとに掛金及び退職金等の額について検討することとなっているものの、基本的には安定感・安心感がなければならないと思います。しかし、最近では例えば予定運用利回りの見直しについて、現下の情勢ではやむをえないという方向にどうも流れすぎている気がするのです。中小企業の育成というようなことも含めて、やはり退職金制度であるだけに、安定した運営ができる仕組みにしていくことを考えないと、今後ともこんなことが続くという前提では、この制度自体がいかがなものかなという不安を覚えます。国の制度であるわけですから、そういったことを今後の検討課題にしていただければと思います。

○委員
 労働者の立場を考えると、退職金の安定というのは非常に重要だと分かるのですが、積立不足が累積するなどの問題が生じると、制度そのものの安定に支障が生じます。やはり5年ごとに見直しをして、次世代にツケを先送りするということは極力避けるべきです。また制度そのものが破綻などしないよう、制度の健全な運営を主軸に置いて考えるべきで、今回の状況ですと、あまり遅くならない段階で、合理的な範囲で見直すのが筋ではないかという気がします。
 3つの制度がそれぞれの業種別につくられているというのも、尊重しなくてはいけないと思いますが、林業及び清酒製造業のようにトータルの資産運用額が小さくなってくると、どうしても魅力がうすれてきます。その時点でそれぞれの人の、今までの積立額のようなものをベースにして、むしろ一般の中小企業退職金共済制度とのポータビリティを考えていくことも、将来的な課題となり得るのではないでしょうか。

○勤労者福祉部長
 私どもの方で、これから加入促進なり、運用の問題なり、例えば運用に当たっては、運用原資が小さくなるとなかなかやりにくいという問題もあるので、その辺についてどう考えていくかなどといった問題について、徹底的に努力をして、できるだけ改善を図っていきたいと思っております。ただ現状を考えますと、やはりここで一定の見直しをしないと、将来にツケを残してしまうことになり、それは避けなければならないと考えています。そこのところはご理解していただきたいと思います。

○委員
 今日あげられている問題についての検討は、当然しなければならないと思います。しかし、こういった問題について、現下の情勢では仕方がないということだけで、話を進めてしまってよいのかということです。先ほどは労働者の立場を踏まえて申し上げましたが、中小企業を育てていくという観点からすれば、制度の安定感が弱くなれば企業の立場としても本制度に加入しづらくなる面があるのではないでしょうか。そういう意味では、労使がこれから推進する方針の一致点を見い出すための議論が必要です。今までのように経済が順調に成長する時代に見合ったやり方でいいのか、今後激しくなる労働移動にどう対応していくか、あるいは中小企業やベンチャー企業を育てることができるという意味での退職金のあり方についてどう考えていくか。そういったことを考えないと、短期的な視点にとらわれた議論だけで終わってしまわないかという懸念で申し上げました。

○会長
 掛金及び退職金等の額の、少なくとも5年ごとの見直しというのは、いわば循環的な状況に対応しようということだと思うのですが、最近の超低金利というのは、いわば超構造的なショックが一時的に起きたもので、それに対応しなければならないということであり、それらは分けて議論する必要があると思います。その議論をするうえで気になる点があるのですが、資料3の2頁の一番最後の部分で、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度の予定運用利回りの見直しについて、事務局は「少なくとも見直し後5年間を通じて単年度欠損金が発生しない程度の水準」という非常に明確な基準を提示しておられます。ここは非常に重要なので、この点についてご意見をうかがっておいた方がいいと思いますが、いかがですか。

○委員
 単年度欠損金が発生しない程度の水準に見直すという原則を貫くということであれば、やはり予定運用利回りを引下げるというのは、やむを得ないと思います。しかし、例えば清酒製造業及び林業の各退職金共済制度については、加入促進にも一定の限界がある中で、掛金収入を大きく上回る退職金支出があるような状態で、これはその業界の構造的な特殊性によるところが大きいと思います。そういう状態において、予定運用利回りを引き下げるだけでは、福祉厚生の水準が低くなることになるわけで、そういった見直しが果たしてその業種にとって望ましいかどうかということも考える必要があるのではないでしょうか。

○会長
 事務局が示されたような基準を設定しても、各業界の構造的な問題によるものは解決しないのではないかということですね。

○福祉課長補佐
 「少なくとも見直し後5年間を通じて単年度欠損金が発生しない程度の水準」の考え方の根底として、清酒製造業退職金共済制度については、確かに掛金収入が少なく、退職給付支出が大きいという面はあるのですが、一方で新規加入者が入ってこないということは、その新規加入者に対する責任準備金が増えないということでもあります。現在、累積剰余金が5億円程度ありますが、それが縮小均衡という形で維持されるならば、一応制度として成り立っていくのではないかとみることもできます。もちろん、そういう形で制度を続けるのがいいのかどうかという議論はあろうかと思いますし、まだ累積剰余金が5億円あるからそれでいいではないかという議論もあろうかと思いますが、清酒製造業退職金共済制度の場合は一度欠損に転じると業界の構造的な問題から取り返しがつかないことになるのではないかという意味で、少なくとも見直し後5年について単年度欠損金を生じさせないということを考えております。そういう状況であれば、一応、制度として安定的には運営できるのではないかという考えです。
 一方、林業退職金共済制度については、すでに15億円の累積欠損金を抱えている状況なので、単年度欠損金を発生させないことが必要となります。それだけでは累積欠損金はずっと残るわけですが、その解消も見込んだ水準まで予定運用利回りを引き下げるとなれば、本当に魅力ある退職金制度と言えるかという政策的な問題もあります。また、一時期の加入者に対して、過去の累積欠損金の穴埋めの負担をさせてしまうことになり、加入者間の公平性という議論も出てきます。我々としては一応そのような基準をお示ししていますが、累積欠損金の解消まで踏み込むべきかどうか、どの程度踏み込むべきかという点についてご意見を頂戴したいという趣旨です。

○会長
 特に清酒製造業退職金共済制度については、そう遠くない将来、構造的な問題を考えざるを得なくなるのではないかと思います。それに加えて、今回は最悪の事態を避ける対策は講じておきたいということだと思うのです。

○委員
 基本的には容認できる内容ではないように思います。

○委員
 各業種の退職金共済制度ごとに、規模や将来に対する展望などが違うわけですから、一律に議論するには無理があるように思います。それぞれに制度の安定的運用を図るための対策が違っていてしかるべきではないでしょうか。

○会長
 先ほどから皆さん様々な表現をされているのですが、ある意味では各業界の構造的な問題に対処できる政策を考えていく必要がありそうです。先ほど事務局から、清酒製造業については縮小均衡させるのもひとつの考え方だという話がありましたが、縮小均衡してファンドが小さくなると、当然運用利回りは小さくなってくるでしょうから、難しい問題があると思いながら聞いておりました。ほかにございますか。

○委員
 「少なくとも見直し後5年間を通じて単年度欠損金が発生しない程度の水準」というのは、清酒製造業及び林業の各退職金共済制度についてはやむを得ないのではないかと思うのです。清酒製造業退職金共済制度の場合は、まだ積立不足にはなっておらず、この制度自身の健全性に問題があるということではなさそうなので、いずれにせよ次に予定運用利回りの見直しをするまでの間に単年度欠損金を発生させないということを考えればいいと思います。林業退職金共済制度の場合は、もうすでに15億円の累積欠損金があり、今後の見通しも厳しいということですから、資料3の5頁にあるように、予定運用利回りを年2.0%にしても厳しいかもしれないという気がします。その辺はもう少し細かく、0.1%刻みくらいで試算をしていただいて、いずれにせよ累積欠損金を一挙に解消するには無理がありますから、累積欠損金をこれ以上拡大させないという意味で、単年度欠損金を発生させないということを踏まえる必要があると思います。

○会長
 ほかにご意見はございますか。

○委員
 ちなみに、現行の制度で予定運用利回りを引き下げた場合、労働者が同じ額の退職金を受け取るためには、共済証紙の日額をどれくらい上げればよいのですか。

○福祉課長補佐
 今は具体的な数字を持ち合わせておりませんので、また次回にお示しさせていただきたいと思います。
 一言付け加えたいのですが、共済証紙の日額の引き上げについて、先ほど労使ともに今はそういう状況にないという判断であるとご説明いたしましたが、もちろん労働組合サイドとして、日額の引き上げ自体を要望しないわけではありません。現下の状況において、今すぐ実施することは難しいということは認識されているという意味であって、中長期的にはそういったことについても検討してほしいという要望はもちろん持っておられるということを念のために付け加えさせていただきます。

○会長
 それでは今日は、事務局から財政状況について詳しく説明をいただいて、自由に議論させていただいたということで終わりたいと思います。最後に私から希望なのですが、共済証紙や共済手帳を我々は見たことがなく、実感がわかないので、一度実物を見せていただけませんか。

○福祉課長
 本日のご議論を踏まえまして、また清酒製造業、林業の各関係団体のご意見も聞きながら、今後具体的な見直し案を取りまとめたいと思います。その際には推計もより細かく見直す予定です。できれば来年の3月頃、次回の審議会を開催し、具体的な内容を審議会への諮問という形で正式にお諮りし、ご議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○会長
 それでは今日の審議を終わりたいと思います。ありがとうございました。

 
 配付資料
 
(1) 「中小企業基本法等の一部を改正する法律」について
(2) 特定業種退職金共済制度の現状と今後の見通し
(3) 特定業種退職金共済制度の安定的運営について(案)
(注) 配付資料については多量のため省略しておりますが、労働省(大臣官房総務課広報室又は労政局勤労者福祉部福祉課)において供覧しております。

照会先 労働省労政局勤労者福祉部福祉課  担当:長田(ちょうだ)・池嶋(いけしま)
TEL 03(3593)1211(内線5376)


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