○福祉課長
定刻になりましたので、ただいまから第110回中小企業退職金共済審議会を開催させていただきます。私は、4月1日付で福祉課長を拝命しました落合でございます。よろしくお願い申し上げます。皆様には8月30日付で本審議会の委員にご就任いただいたところですが、本日は改選後初めての審議会ですので、会長が選任されるまでの間、私の方で進行をさせていただきます。委員の皆様のお名前は資料1のとおりです。任期は2年となっておりますが、中央省庁等改革法が平成13年1月1日に施行されることに伴って、当審議会の機能は労働政策審議会に移管される予定であることから、当審議会委員としての任期は、実質的には平成12年12月末までとなる見込みです。
では、新しく委員になられた方もおられますので、皆様のご紹介をさせていただきます。私から見て左から、宇野澤委員、奥平委員、菅野委員、桜井委員、今野委員、勝委員、木村委員。左近充委員は少し遅れていらっしゃいます。山路委員、毛頭委員、山口委員、渡辺委員でございます。笹川委員、佐藤委員、茂木委員はご都合により本日はご欠席です。
なお、労働省の人事異動によって、7月23日付で鈴木勤労者福祉部長が就任しておりますので、ご紹介申し上げます。
○勤労者福祉部長 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
○福祉課長 なお、労政局長の澤田は留任しております。では、議題1の会長の選任に移らせていただきます。お手元の資料2にあるとおり、中小企業退職金共済審議会令第2条第1項により、会長は委員の互選により選任していただくこととなっております。どなたかご推薦をお願いできればと思います。
○委員 今野浩一郎先生に会長になっていただいたらと、ご推薦申し上げます。
○福祉課長 ただいま今野委員にという発言がありましたが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○福祉課長 ありがとうございます。それでは今期の当審議会の会長は今野委員にお願いいたします。では今野会長、よろしくお願いたします。
○会長 学習院大学の今野でございます。審議会の運営に当たっては、皆さんが活発な議論をされて、事務局が大変困るくらいの状況になるようにしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まず資料2にありますように、中小企業退職金共済審議会令第2条第3項の規定によりまして、会長代理を指名させていただきます。私としては、勝委員に会長代理をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、事務局より、議題2の勤労者退職金共済機構の平成10事業年度決算報告の説明をお願いします。
○福祉課長 資料3に基づきご説明します。1頁以下は、決算の状況を貸借対照表及び損益計算書にまとめたものです。これは8月31日に官報に掲載したもので、毎事業年度、このようにディスクロージャーといいますか、情報公開をしているわけですが、具体的な内容は7頁以下の資料に基づいてご説明いたします。
まず一般の中小企業退職金共済事業の現状について、7頁および8頁をご覧ください。7頁1の加入脱退状況については、共済契約者数、被共済者数ともに、平成9年度以降、脱退者数が加入者数を上回っており、いずれも減少に転じております。なお、脱退者数には通常の退職者も含んでおります。共済契約者数については、平成10年度は加入者数が若干増加しましたが、脱退者数が大幅に増加した結果、40万8,552企業となっております。被共済者数については、平成10年度は通常の退職者を含む脱退者数が減少しておりますが、新規、追加ともに加入者数がそれ以上に減少した結果、272万5,281人となっております。この追加加入者の減少については、近年雇用情勢が悪化して、従来の共済契約者であった企業における採用者数が減少している、ということも影響していると思われます。
2の平均掛金月額等の状況ですが、平均掛金月額、加入時の平均申込金額ともに増加しております。8頁3の退職金等支給状況については、支給件数、支給総額、1件当たりの支給総額、すべて増加しております。注2の最高支給額は、1,522万6,577円となっており、注5の平均掛金納付月数とともに増加しております。
建設業、清酒製造業および林業の各事業については、9頁以下をご覧ください。9頁1の加入脱退状況について、建設業については、共済契約者数の脱退者数が増加しているものの、共済契約者数、被共済者数ともに増加しております。清酒製造業については、共済契約者数、被共済者数ともに脱退者数が加入者数を大幅に上回る状態が続いておりまして、平成7年度以降、減少が続いております。林業についても清酒製造業と同様、共済契約者数は平成9年度以降、被共済者数は平成7年度以降、それぞれ減少が続いております。
10頁2の退職金等支給状況については、清酒製造業の支給件数を除き、すべて増加しております。注2の最高支給額、注3の平均掛金納付月数についても、いずれも増加しております。11頁以下は各事業の収支状況です。11頁の一般の中小企業退職金共済事業については、年4.5%の予定運用利回りに対し、平成10年度の平均運用利回りは3.23%となっており、平成10年度の当期純利益が396億円の損失、積立金が1,831億円の不足となっております。
12頁の建設業については、平成10年度の平均運用利回りは3.35%となっており、平成10年度の当期純利益が95億7,500万円、積立金が219億900万円となっております。13頁の清酒製造業については、平成10年度の平均運用利回りが2.97%と、年4.5%の予定運用利回りを大幅に下回っており、平成10年度の当期純利益が1億2,800万円の損失、積立金が5億1,600万円となっています。積立金は年々減少している状況です。14頁の林業については、年3.7%の予定運用利回りに対し、平成10年度の平均運用利回りが2.90%となっており、平成10年度の当期純利益が3億5,000万円の損失、積立金は14億8,200万円の不足となっております。
15頁以下は、各事業の資産運用状況です。各事業ともかなり広い範囲で分散投資をしておりますが、近年の経済状勢によって、先ほど述べたように、いずれも実際の運用利回りが予定運用利回りを下回っております。なお、運用方法の構成比については、できるだけ効率的な資産運用を図るべく、逐次見直しをしてきているところです。
15頁の一般の中小企業退職金共済事業についてですが、左端に運用方法として資金運用部預託金、金融債、生命保険資産、金銭信託などが書かれており、その右側に各事業年度末の運用額と構成比が書いてあります。最近では、金融債の構成比を、例えば平成6事業年度末の30.4%から平成10事業年度末には12.5%に、また生命保険資産の構成比を、同じく平成6事業年度末の36.8%から平成10事業年度末には11.4%にそれぞれ減らして、逆に、金銭信託の構成比を平成6事業年度末の6.1%から平成10事業年度末には29.4%に増やしてきております。
16頁の建設業退職金共済事業についても、一般の中小企業退職金共済事業とほぼ同様の傾向にありまして、金銭信託の割合を増やしてきております。17頁の清酒製造業退職金共済事業については、金融債及び生命保険資産の割合を減らし、国債及び金銭信託の割合を増やしてきております。18頁の林業退職金共済事業については、金融債および生命保険資産の割合を減らし、金銭信託の割合を増やしてきております。
以上、全体としては、建設業については比較的順調ですが、他の各事業については厳しい状況になっております。一般の中小企業退職金共済事業については、今年度より予定運用利回りを年4.5%から年3.0%に引き下げたところですが、清酒製造業及び林業については、財政状況が厳しくなっていることから、今後の事業運営の安定化を図るための方策を考えていきたいと思います。今後この審議会においても、これらについての審議をお願いすることになると思いますので、よろしくお願いいたします。
なお、今回は改選後初めての審議会ですので、資料7として中小企業退職金共済制度の概要についてまとめたものを配付しておりますので、説明は省略いたしますが、ご参考にしていただきたいと思います。
○会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。
○委員 15頁以下の資産運用状況の表で非常に分かりやすく説明をしていただいたのですが、平均運用利回りは全体のものが出ているだけです。例えば、運用方法の項目別で、金融債、政府保証債等の大体の水準は分かると思うのですが、金銭信託の個々の運用利回りについて、大体どの程度であったのかが分かれば教えていただきたいと思います。
○福祉課長 ただいま調べておりますので、後ほどご説明させていただきたいと思います。
○委員 9頁の清酒製造業の共済契約者数で、平成10年度は脱退が24と非常に多いのですが、これは何か特別な理由があるのでしょうか。
○福祉課長 特段、清酒製造業全体をめぐる状況において、何か大きな問題があったとは聞いておりません。全体の流れの中での数と解釈しております。
○委員 事業の加入脱退状況の動きが、業界の構造的な要因によるものなのか、景気の状況を反映したものなのかを分離することはなかなか難しいのですが、特に脱退者が多いことをどの程度問題にするかというときに、その業界が先細りであるために増えたのか、それとも、いまの景気の低迷を反映して増えたのかということを、分析していく必要があると思います。
○会長 また調べて分かるようでしたら、後日報告してください。そういう点では、同じ頁の林業についても、ここ2年は脱退者数がやや多くなっていますので、分かればあわせてお願いします。ほかにございますか。
○委員 各事業によって運用実績が違いますが、資産運用はそれぞれの事業ごとに個別にしているのですか。
○福祉課長 それぞれの事業ごとに、完全に分離した運用をしております。
○委員 そうしなくてはいけないのですか。事業の規模に大小があって、今後の加入者数の見込みも異なるでしょうから、運用の実績が異なるのはやむを得ないということでしょうか。
○福祉課長 ご存知のように、中小企業退職金共済事業団と建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合の2法人を統合して、平成10年4月1日に勤労者退職金共済機構を設立したわけですが、統合に当たり、業界の方から「事業ごとの区分経理は維持してほしい」という要望が強かったという経緯もあります。
○委員 実際にその違いが出るのは、何の違いによるものなのでしょうか。運用担当者の違いによるものでしょうか。
○福祉課長 運用担当者の実力という問題ではなく、それぞれの事業ごとに採用している資産構成の割合の違いによるものです。それについては、過去からの経緯等により、急には変えられない場合もあります。
○委員 いまのお話はよく分かるのですが、そうすると、今までは各事業ごとの資産構成にそれなりの特徴があったと思いますが、今後は1つのパターンに集約されていくということになるのでしょうか。
○福祉課長補佐 中長期的にある程度類似していくことはあると思います。例えば、一般の中小企業退職金共済制度では、先ほどの説明にありましたように、金銭信託の割合を3割近くまで増やしてきているわけですが、清酒製造業や林業の場合は、そもそも新規に投入するための余裕資金があまりありませんから、同様のことを急激にしようとしても難しいと思います。
○委員 11頁以下の各共済事業の収支状況において、例えば一般の中小企業退職金共済事業について、当期純利益、積立金ともに赤字が大きくなってきているにもかかわらず、資産総額が毎年着実に増えているのは、どういうことなのでしょうか。
○福祉課長 単年度の収支のみを考えた場合には、掛金収入及び運用益による収入が、退職金給付等による支出を上回っていますから、資産総額は増えるということになります。
○委員 しかし、掛金収入についていえば、加入者数は増えていないわけでしょう。
○福祉課長 7頁にありますように、1人当たりの平均掛金月額及び加入時の平均申込金額がともに増えておりますから。
○福祉課長補佐 先ほどご質問のありました金銭信託の運用利回りですが、まず一般の中小企業退職金共済事業について、単独運用指定金銭信託、いわゆる指定単と言われているものが3.45%、運用方法を特定する金銭信託、いわゆる特金と言われているものが3.26%となっております。建設業については指定単、特金ともに2.84%です。清酒製造業については指定単が2.25%、特金は保有しておりません。林業については指定単が3.04%、特金は清酒製造業と同じく保有しておりません。以上です。
○福祉課長 また、同じくご質問のありました清酒製造業における共済契約者の脱退の増加についてですが、24件の中にはある程度の廃業があったということです。ただし、その廃業の要因について、それぞれの企業の状況まではすぐには分かりかねます。
○会長 次の審議会の場ででも、整理されたことをご説明願えればということでよろしいですか。
それでは、次に議題3の中小企業政策審議会最終答申についてに移りたいと思います。まず事務局より説明をお願いします。
○福祉課長 中小企業者の範囲の見直しを含む中小企業政策審議会の中間答申の内容については、事前に委員の皆様に配付させていただいておりますが、先日、その最終答申が出されたところです。本日は中小企業庁の吉田中小企業政策企画室長にお越しいただいておりますので、その内容について吉田室長からご説明願います。
○中小企業政策企画室長 本日は説明の機会をいただき、大変ありがとうございます。お手元に資料4、5を配付させていただいておりますが、資料5に基づいて概略をご説明いたします。
資料5の9頁2に審議経過があります。今回は6月1日に総理大臣から「21世紀に向けた新たな中小企業政策のあり方如何」という内容の諮問をいただき、その諮問に基づいて、6つのテーマ別の小委員会で、延べ33回の審議を経て答申を取りまとめております。なお、8月20日に中間答申を取りまとめ、それをもとにパブリックコメントを聴取し、また全国4カ所で地方公聴会を開催し、幅広くご意見を頂戴することに努めてまいりました。それらを踏まえて、去る22日の答申に至っております。
答申の内容ですが、まず2頁をご覧ください。ご承知のように、現行の中小企業基本法は昭和38年に制定されたものです。昭和35年に国民所得倍増計画が閣議決定され、その中で、農業分野及び中小企業分野が日本経済の成長発展を図っていく中での問題を抱える分野として指摘されていたため、中小企業分野について、どうやってその近代化を図っていくかといったことが、この中小企業基本法の大きな狙いであったわけです。その背景としては、中小企業と大企業との間にある二重構造、特にそういった二重構造が生じる要因とされていた、企業規模が過小であり、経済主体の数が多すぎるという過小過多性をどう克服していくかという問題があり、そこでの中小企業のイメージというのは、弱者としての画一的な中小企業像でした。そこで、生産性、賃金等の格差の是正を図るという政策理念を掲げ、そのための政策目標の1番目として、物的な生産性向上のための中小企業構造の高度化をあげました。企業規模の適正化とありますが、これは規模の拡大を図ることであり、個々の企業で拡大できないものについては、組合等を通じて事業の共同化、集団化により拡大を図ってきました。
2番目として、市場における取引条件を向上させ、事業活動の不利の補正を図ることをあげました。内容は、過度の競争の防止、事業活動機会の適切な確保であり、そのための事業分野調整等の市場の競争を制限するような手法を考えました。
その後の近年における環境変化ですが、1番目に、中小企業基本法が前提とした中小企業の数が多過ぎるという点については、平成に入ってから開業率と廃業率が逆転しており、今日では企業数が漸減する状況であり、企業数の過多性を問題とする場合、創業の重要性が高まってきています。
2番目に、我が国全体の所得向上に伴う格差の質的変化があります。現在までに、1人当たりGDPは約4倍になりました。この格差の是正という思想は、結果の平等を指向するということでしたが、今日においては、むしろ創業あるいは企業の成長といったことに向けての機会の平等を確保していくことが重要ではないかと思います。
3番目に、中小企業の多様性の増大があります。それまでは画一的な中小企業者という、いわば平均値に着目していたわけですが、中小企業という言葉の中で包含される企業の中にも、多様な企業が存在するようになってきています。そういった中で、規模が小さい故の「強み」として、例えば、中小企業は機動性、柔軟性が発揮しやすい、ということがよく言われます。また、個人の個性や創造性がより発揮しやすいといった強みが、環境変化の中で、より発揮しやすい状況になりつつあるのではないかと思います。
他方、規模が小さい故の「弱み」というのも引き続き存在します。資金、人材などといった経営資源を、内部にバランスよく保有するのは、通常、中小企業にとっては困難です。技術力はあるが、販売の経験はないといった例に代表されるように、経営資源に凹凸があり、足りないものを外部から取り入れようとする場合にも、困難に直面する場合が多いという状況です。中小企業基本法制定時には、欧米をモデルに、近代化設備や近代的経営管理手法を導入すれば中小企業の弱みは克服されるという前提であったわけですが、環境変化の中で、個々の中小企業に不足する経営資源や、経営課題というのも非常に多様化してきています。
こうした中で、中小企業を画一的に弱者としてマイナスのイメージでとらえ、その中小企業像を前提として一律の施策を講ずるという政策的アプローチを見直していく必要があるというのが、中小企業政策審議会の根底にある考え方です。
これらを踏まえ、1頁に戻っていただきまして、今回の答申には3つのポイントがあります。1つ目のポイントは、政策の理念の部分です。これまでの二重構造の格差の是正から、多様で活力ある独立した中小企業者が育成・発展できるようにしていくということが、新たな政策の理念になるのではないかと思います。そこで期待される新たな中小企業像は、我が国経済のダイナミズムの源泉として、市場競争を活性化し、イノベーションをもたらし、魅力ある雇用就業機会をつくり出し、地域経済発展を支えていくというもので、積極的な役割を期待するということです。
そのための2つ目のポイントですが、新たな政策の柱として、まず1番目に経営革新や創業に向けての中小企業者の自助努力を積極的に支援し、多様な経営課題を解消できるようにしていくこと。2番目に、競争条件の整備として、先ほどの「弱み」が克服できるように市場機能の不十分な面を補完し、資金、人材、技術、情報等の経営資源へのアクセスの円滑化、公正な競争条件の確保を図ること。3番目に、セーフティネットの整備として、そうはいっても中小企業は昨今の金融貸し渋り等に見られるように、環境の激変に非常に影響を受けやすいため、事業者の変化への円滑な対応を促すとともに、市場での敗者に対する再挑戦の機会といったものを提供する仕組みの整備を図っていく必要があること。以上の3点を実施していく中で、小規模企業については、引き続き適切な考慮を払っていく必要がある、というのが2つ目のポイントです。
3つ目のポイントは、今日ご審議いただいているテーマでもありますが、6頁の中小企業者の範囲の見直しです。これについては、昭和38年に中小企業基本法ができて以来、昭和48年に一度見直しを行ったままで、中小企業者の定義と実態経済にずれが生じてきているのではないかという問題意識に基づくものです。まず1番目の資本金基準ですが、物価水準については、昭和48年から2倍以上となっている中で、平均資本金額もおおむね3倍から5倍になってきており、最低資本金というようなものも導入されているという環境変化があります。
事業者に着目しても、中小企業においては、会社としてだけではなく経営者個人が保証をしないとなかなか金が借りられないといった問題があります。こういった資金調達上の困難性をかかえる企業も、現行の資本金基準を大幅に超えた企業規模層に拡大しているのではないかということで、資本金基準については、全業種とも引き上げる必要があるのではないかと考えております。
2番目の従業員基準ですが、総じて大企業を中心に、企業平均の従業員規模はダウンサイジングをしています。しかし、サービス業については、昭和38年、48年といった当時に想定していたサービス業というのは、理容、美容といったものが中心だったのですが、その後、我が国経済のソフト化、サービス化に伴って、対事業所サービス、例えば、ビルのメンテナンス業とか警備業といった、個人ではなく事業所に対してサービスを提供するといった分野が、近年非常に伸びています。そこで、サービス業と小売業との業態の類似性が弱くなっているのではないか、平均従業員数でも、サービス業は大変伸びており、現行従業員基準を超える事業所の割合も拡大していることから、サービス業については小売業から分離して従業員基準を引き上げる必要があるのではないか、という議論がありました。それらを踏まえ、7頁の中小企業者の範囲の見直しの方向にあるように、工業・鉱業等については資本金を1億円から3億円に、卸売業については同3,000万円を1億円に、小売業については同1,000万円を5,000万円に、サービス業については従業員基準50人を100人に、資本金基準を1,000万円から5,000万円にそれぞれ引き上げることが妥当なのではないか、という答申をいただいております。以上3点が大きなポイントです。
中小企業退職金共済制度に関する議論を若干ご紹介しますと、お手元の資料4の28頁に、人的資源の充実という部分があります。まず基本的な考え方として、今後、本格的な少子高齢化社会が到来し、中長期的には、労働力の供給制約が高まることが想定されるとともに、我が国経済の活性化に向けた新規産業の創出などが強く期待される中で、中小企業にとっても、高度な人材の確保、従業員の能力向上が不可欠となるという状況において、その施策のあり方を、29頁で4点ほどに整理しております。 労働市場の環境整備、 労働移動に対し中立的な退職金・年金制度の確立、 労働力確保に向けた雇用管理の改善、 人材育成の強化といったものですが、特に で「中小企業退職金共済制度の普及促進等により」という文言が出ています。中小企業政策審議会においても、中小企業退職金共済制度は今後非常に重要となるものであり、その普及促進に当たっては、例えば中小企業事業団等との連携、協力を積極的に進めていくべきであるというような議論をしていただいておりまして、それらを踏まえてこのような答申となっております。簡単ですが、以上が答申の内容です。
○会長 ありがとうございました。ただいまの説明で、質問はございますか。
○委員 中小企業者の範囲というのは、考え方としてはよく分かるのですが、連結決算を採用している企業の取扱いについての議論はなされたのでしょうか。
○中小企業政策企画室長 従来の中小企業者の範囲については、定量的な基準で議論をしてきたわけですが、資料5の6頁の下に、 として企業の独立性という項目があります。いまご指摘がありましたように、今後連結決算の導入や大企業の分社化などが積極的に行われるであろう、また若干極端かもしれませんが、持ち株会社も出現してくるであろうと考えられますが、そういった中で、限られた中小企業政策資源、平たく言えば予算を考えていくに当たっては、やはり大企業を親会社に持つような所と、独立して頑張っている所とでは、困難性といってもいろいろ違いがあり得るのではないかと思います。一律に決めるのはなかなか難しいかもしれませんが、企業の独立性、自立性、そういった質的な面についても目を向けていく必要があるということから、企業の独立性を施策の目的に応じて適切に考慮するということが答申の中で整理されております。
○委員 独立性のある所にきちんと対応していこうという考え方だと伺っていいですね。確かに、中小企業においては、持ち株会社はともかくとしても、分社化のような形でその経営のあり方がどんどん変わってきています。
答申では、これまでやや弱者として見ていた中小企業について、一律にそうともいえないということを言わんとしているように思うのですが、今が過渡期とは言え、そんなに短期間で解決する問題ではないと思うのです。そのあたりの議論はいかがでしたか。
○中小企業政策企画室長 特に中間答申を取りまとめた後の地方公聴会やパブリックコメントにおいて、今回の答申は中小企業がもはや弱者ではないのだと言っておられるのでしょうかというご意見を多くいただきました。それも踏まえて、答申においては修正をしたのですが、中小企業政策審議会の議論というのは、一律に弱者として捉えるのはもうやめたらどうかということで、中小企業の中に弱者がいなくなったということではないのだ、という議論であり、いろいろなタイプの中小企業がいるということに着目して、タイプに応じた施策を講じていかないと、平均値にだけ目を向けていては、頑張って伸びていこうという企業に対して、適切な施策は講じられないのではないか、というものでした。例えば、平均値で見た場合には、創業期にある企業や、オンリーワン企業と呼ばれ隙間分野で活躍する企業、またいわゆるベンチャー企業はそこに含まれてきません。もっといくつかのタイプに分けて、それぞれのタイプ別に抱えている課題に対処していくという意味で、中小企業を画一的に弱者として見るのはもはや不適切なのではないかということを、良く理解していただきたいということです。
○委員 退職金の問題を考えていくときに、いまお話がありましたように、そもそも中小企業というのは一体何なのかというのが根本的にあって、どの辺をターゲットとして考えるのかという問題があるものですから、参考までに聞かせていただきました。
○委員 資料5の1頁で、新たな政策の柱として経営革新や創業に向けての自助努力を積極的に支援するというのは大変結構なことだと思うのですが、一方で、いま廃業に追い込まれている企業の中には、事業承継がうまくいっていないところがかなり多いと思うのです。いますでに真面目に働いている中小企業者がそういう場面にぶつかるわけですが、税制面を含め、それについてどうお考えでしょうか。
○中小企業政策企画室長 今回の答申には、中小企業を一律に弱者として見ないということのほかに、企業が生まれてから死ぬまでというダイナミックな動きをもっと捉えていくべきではないか、という観点もあります。お手元の資料4の22頁のIVに中小企業税制という部分がありまして、その中の中小企業の事業環境整備の3つ目のパラグラフに、「中小企業の事業承継問題については、我が国の雇用を支える中小企業の事業承継の円滑化の観点等から、相続税率の水準、非上場の株式の評価等の問題について検討していくべきである」とありますが、この答申も踏まえ、現在、税制改正要望として、事業承継がもっと円滑にいくように、承継税制を見直していくよう要望しているところです。
○委員 この答申は、中小企業を活性化しようとするものだろうと思うのですが、中小企業庁だけでは解決できない問題も多いと思います。また、例えば、いま日本ではグローバルスタンダードの名の下に自由競争といったことが言われており、これは国からの援助などをなるべく排除しようということにつながるのだと思うのですが、一方では、国が一生懸命支えようとしてセーフティネットを構築しようとするなど、ものの考え方が混乱してきていると思います。ですから、国全体としてどうしていったらいいかということをまず整理しないと、出口の所で一生懸命モグラ叩きのように対策を講じても意味がないと思うのです。実際どうすればいいのかは、非常に難しいと思いますが。
国において、中小企業がなぜ重要かというと、現在、雇用の大部分を中小企業が担っているわけで、そこが弱ってくると、失業率の上昇をくい止めることができないのです。しかし、一口に中小企業といっても、個人的には自分のネームプレートで商売をしているような所は大企業と変わりがないと思います。ただ、財政力などは弱いでしょうから、それはどうするのか、また、ネームプレートを持っておらず、いわゆる下請けになっている所など、本当の弱者も存在するはずです。そういう実態をよく分析して、中小企業庁だけではなく、労働省も大蔵省も加わって、どうするのかという基盤を考える必要があると思います。モグラ叩きのように、問題になっているところだけ答申するのでは、結局は実現されないのではないかという気がします。
○中小企業政策企画室長 ただいまのご指摘は、今回いただいた答申を具体化していくに当たって、私どもとして常に念頭に置いていかなければならないことだと承知しております。冒頭にご説明したように、今回の諮問は総理大臣からいただいているわけですが、中小企業政策審議会には労働省をはじめ、監事省庁が10以上ありまして、中小企業政策は、行政の縦割りではなく、まさに横断的な政策ですので、そういった関係省庁の助言やご意見も踏まえたものがこの答申になっていると理解しております。
今後、これの実現を図るに当たって、中小企業の活躍しやすいような環境をつくっていくということは、ご指摘のとおり、単に通産省だけではなく、労働省をはじめいろいろな所に関係してくるわけですから、そういった所との連携をいま以上に強化しながら対処していきたいと思います。また、内閣を挙げてそれに取り組むという、総理のご発言もありました。
○委員 それはよく分かります。私は思ったことを申し上げただけで、それが解決すれば素晴らしいことだと思いますが、実際にはなかなか難しいだろうと思います。しかし、日本がハッピーな国であるということが何よりも重要なことだと思っていますので、外国の基準に合わせて、やがてこうなるからある程度我慢しろというたぐいの話は、受け入れがたいものだと思います。ただ、そのために何をしていかなければならないかについて、私自身はっきりした提案を持っているわけではないし、きちんとしたお答をいただきたいということではありません。
○労政局長 今日はせっかく通産省から室長がお見えですから、少々申し上げますと、例えば、資料5の3頁の新たな施策の方向は3つあって、1つ目は経営革新や創業に向けての自助努力支援となっています。その中にベンチャー支援や創業の促進とありますが、労働省としても、今後の雇用機会について、新規の事業創出、とりわけ中小企業における革新的な経営努力とそれに伴う雇用拡大に期待しているわけです。ですから、労働省においても、ベンチャー支援や創業促進について、平成11年度、12年度は相当な予算を要求しており、従来のスタンスからかなり踏み込んで、産業政策と連携をとろうとしているところです。この答申について、各省のスタンスがどれだけ同じなのか分かりませんが、少なくとも、労働省と通産省とはかなりスタンスが一致していると思います。
2つ目の競争条件の整備についてですが、5頁の 人的資源の充実において、労働移動の円滑化等について、労働省も責任を持って取り組んでいくという姿勢をはっきり示しています。従来の中小企業政策をかなり修正して、伸びる所は伸ばし、弱い所も再チャレンジできるようなセーフティネットをしっかり築いていこうという方向性についても、基本的に通産省との呼吸は合っていると考えています。
○委員 中小企業政策審議会では、6つの小委員会が設置され、それぞれのテーマごとに真剣な議論が行われたわけですが、私もいくつかの小委員会レベルでの議論に参加させていただきました。個別の問題で、答申の中で言い尽くせない部分もあると思いますが、基本的には雇用の場の確保の重要性も十分認識されております。中小企業においては、問題を抱えている弱い分野が結構あるわけですが、弱いが故に、平均値を上げるということではなくて、むしろ、これからの厳しい経済環境の中で、中小企業の事業主がどこまで前向きな努力をしていくか、そういう意味では、機会の平等として努力する事業主は報われるというような見直しが必要な時代になっているのではないかと思います。
事業承継の話も先ほど出ましたが、いま政府全体として積極的に取り組んでいただいておりますし、金融関係についても、いままでの間接金融依存ということだけではなくて、資金の調達方法の多様化を目指すという意味で、いままでの担保主義だけではなくて、もう少し金融機関全体の審査能力のブラッシュアップを図るといったことも盛り込んでいただいております。特別保証の制度もありますが、これは緊急避難的な意味合いでやっていただいているということで、これから景気回復に伴ってどうフェードアウトしていくのかが別の意味での問題ではあるものの、金融監督庁においても、金融検査マニュアル等についての議論の中で、あまり画一的な審査は行わないということは十分認識していただいて、金融検査マニュアルの中にも明記していただいておりますし、実際の運用に当たっても、金融監督庁の長官自ら明言をしていただいているところです。
個別の具体的な問題については、また各省庁で検討していただく際に我々の立場からもお願いをし、注文を付けるということも必要かと思います。かなり細かいテーマについて、それぞれ小委員会レベルで活発な議論が行われたということをご紹介させていただきます。
○会長 ありがとうございました。ほかにございますか。
○委員 中小企業者の範囲については、先ほどから議論があるように、中小企業と言ってもかなり多様化しているというのが実情だと思います。その中で、規模だけで中小企業を定義しているように思うのですが、この場合の従業員数と資本金額という2つの基準は、
「かつ」なの「又は」なのか、その点だけ確認させてください。
○中小企業政策企画室長 「又は」です。
○委員 いずれかに該当すればよいということですね。では、カバーされる範囲はかなり広いと理解していいわけですね。
○中小企業政策企画室長 はい。
○委員 わかりました。
○会長 他にもご質問があるかと思いますが、まだ議題も残っておりますので、これについてはこの辺で終わらせていただきます。室長、どうもありがとうございました。
次に議題4の中小企業退職金共済制度における中小企業者の範囲の見直しについてに移りたいと思います。まず事務局の方から説明をお願いします。
○福祉課長補佐 資料6に基づいてご説明いたします。私どもの中小企業退職金共済制度は、当然、中小企業を対象とした制度ですが、先ほどご説明された最終答申の中で、中小企業者の範囲を見直そうということですので、これに沿って本制度における中小企業者の範囲についても、同様に見直したいと考えております。
まず2頁に、中小企業退職金共済制度における中小企業者の範囲の見直しの経緯があります。そもそも本制度は昭和34年に発足したもので、昭和38年に制定された中小企業基本法よりも先行しているわけですが、下の備考にあるとおり、昭和39年に従業員規模要件について中小企業基本法の範囲と揃えるという改定を行っております。ちなみに中小企業退職金共済法は、昭和55年に改正するまでの間は、本制度をいわゆる労働問題としてとらえ、従業員規模のみを考えればいいのではないかという問題意識のもとに制度を運営してきました。つまり、中小企業基本法の方は、制定当時から従業員規模と資本金規模の2つの要件があったわけですが、昭和39年当時、中小企業退職金共済法においては、従業員規模のみでもって中小企業者の範囲を定めておりました。その後、昭和48年に中小企業基本法における中小企業者の範囲が改定されており、これが前回の改正になるわけですが、その際に、中小企業基本法の改正に合わせて、従業員規模要件について、一括法という形で改定をしております。さらに昭和55年に、中小企業基本法自体の見直しはなかったのですが、同法に準じて資本金規模要件も加えようということで改定を行いました。この結果、昭和55年以降は、中小企業基本法における中小企業者の範囲と、中小企業退職金共済法におけるそれとは一致したものになっております。
この要件については、先ほどもご質問があったとおり、従業員規模又は資本金規模のいずれかの要件に該当すれば中小企業者に該当することになります。例えば、製造業でいいますと、350人の従業員であっても、資本金が9,000万円であれば、中小企業者に該当するということです。中小企業基本法第2条で中小企業者の範囲を定めておりますが、これが国の施策の対象とする中小企業者のおおむねの範囲ということをうたっておりますので、基本的には、この中小企業基本法の範囲をベースに考えたいということです。
したがって、1頁2の改正の概要に掲げておりますが、先ほどの中小企業基本法における中小企業者の範囲の改定と同様に、製造業等については、資本金額を1億円以下から3億円以下、卸売業については同3,000万円以下から1億円以下、小売業については同1,000万円以下から5,000万円以下、サービス業についても1,000万円以下から5,000万円以下、さらに従業員数の要件については、サービス業について50人以下から100人以下にするということを考えております。
実際に、このような改定が本制度にとって必要かという観点も当然ありますが、これについては4頁に退職金制度の普及率を掲げております。退職年金も含めた退職金制度の普及率について、昭和53年と平成9年のデータを掲げたもので、昭和53年というのは、昭和55年の改正の際、当時参考にした直近のデータが昭和53年であったということで、その数字を掲げております。これを見ていただくと、昭和55年当時は300人以上の規模の所で99.9%とほぼ100%に近い普及率だったものが、平成9年においては、1,000人以上ではほぼ100%に近い普及率ですが、300人以上1,000人未満の所では97.7%と、普及状況が落ちています。この要因については、必ずしもはっきりとは分からない部分がありますが、少なくとも、近時、大企業などで進んでいる退職金制度の見直しの動きについては、この数字には反映されていないと考えております。退職金の産業別業種別普及率を見ても、伝統的に製造業においてはかなり高い普及率ですが、サービス業などで見ると、例えば86%程度ということで、相対的に低い普及率となっています。こういった退職金制度の普及状況の相対的に低い業種の構成割合が大きくなってきているということが1つの要因ではないかと考えられます。
さらに従業員数が300人から999人の所については、先ほど申し上げたように、資本金規模要件が適合すれば、中小企業者に該当するわけですが、その資本金規模要件は相対的に狭くなっており、ここが中小企業施策として救われない部分となり、それがある程度数字に反映されているのではないかと受け止めております。そういう問題意識を踏まえて、中小企業退職金共済制度においても、資本金規模要件を昭和48年に設定されたものと実質的に同程度の水準に引き上げ、中小企業施策としてカバーする必要があるのではないかということで、今回このような改正をしたいということです。
参考ですが、この中小企業者の範囲の見直しをした場合に、どれぐらいの影響が出るかということを3頁に掲げております。全体カバー率は製造業等99.6%、卸売業98.8%、小売業99.2%、サービス業98.8%となります。ちなみに、サービス業だけは従業員規模要件も50人以下から100人以下に引き上げるわけですが、従業員規模要件の改正前を見ると、そのカバー率は93.1%であり、ほかの業種に比べてかなり低くなっています。そのため、ほかの業種とある程度カバー率を横並びに揃えるということも考慮して、サービス業については従業員規模要件を引き上げるという事情があります。具体的に対象者がどれぐらい増えるかについては、企業数ベースで、全体で約1万5,000所となります。サービス業においては両方の要件を引き上げておりますので、その約半数の7,800所がサービス業の増加分となっています。
中小企業退職金共済制度における影響を考えた場合に、当然、加入できる対象企業の数が増えるという点がありますが、もう1点、本制度では、いわゆる中小企業者に該当しなくなった場合、例えば、資本金が増えたり従業員数が増えたりした場合で、大体半年ぐらい状況を見てもなお中小企業者に該当しないという場合には、解約せざるを得ないこととなっています。解約した場合でも、適格年金等に移行できる仕組みを平成7年に整えておりますが、今回規模要件を拡大したことによって、近年増えているこの種の解約件数をかなり抑制できるのではないかという期待を持っております。
以上のようなことを踏まえて改正をしたいと思いますが、改正の形式としては、中小企業基本法については単独で法案が提出される予定ですが、本制度をはじめとする個別の中小企業施策に関するものについてはそれらをまとめ、中小企業者の範囲改定の一括法案という形で対応をしたいと考えております。以上です。
○会長 ありがとうございました。ご質問がありましたら、お願いします。特になければ、ただいま事務局から説明のあった案の方向で見直すこととしてよろしいですか。
(異議なし)
○福祉課長 ご了承いただきましたので、この方向で見直しを行いたいと思います。これには中小企業退職金共済法の改正が必要となりますが、改正のスケジュールについては、現時点ではっきりしたことが申し上げられません。状況によっては、臨時国会に提出することもあり得ますので、その場合の取扱いについては、会長にご相談したいと存じますが。
○会長 通例であれば、法律案要綱の諮問を受けることになると思うのですが、実質的に今日審議のうえ了承もいただいておりますので、法案の内容が今日の説明から変更がないようであれば、改めての諮問は省略しても差し支えないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○委員 中小企業基本法の改正は、今度の臨時国会に提出するという方針になっていると思いますが、一括法も提出する形で進んでいるということではないのでしょうか。
○福祉課長 もちろんそういう形で中小企業庁の方からお話を受けておりますが、今のところ中小企業庁が事務方として作業を進めているという段階であり、まだ正式に決まった形にはなっていないということです。
○会長 では、先ほどの方向でご了承いただいたということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○福祉課長 ありがとうございました。それでは、本日ご了承いただいた方針に則って、法案作成作業を進めていただくことにして、要綱の諮問は省略させていただきたいと思いますが、法案内容が万一、本日ご説明した内容から変更となった場合は、改めて皆様にご説明させていただきます。
○会長 本日の議題は以上ですが、それ以外にご意見、ご発言がありましたらどうぞ。
○委員 資料4の29頁にも出ていますが、将来的な問題として、確定拠出型年金制度の内容等がもう少し固まりましたら、中小企業退職金共済制度との関連について、この審議会で議論する場を設けていただきたいと思います。
○労政局長 確定拠出型年金制度については、新聞等でご承知のように、厚生省、労働省、通産省、大蔵省の四省で詰めております。現在、来年の通常国会に、例えば確定拠出型年金法というような法案を提出しようとしているところです。基本的に確定給付型である中小企業退職金共済制度とは性格が異なると考えられますが、確定拠出型年金制度ができた場合に、企業なり個人が拠出する拠出額の限度額管理に関して、中小企業退職金共済制度を厚生年金基金や適格退職年金と同様に限度額管理の対象とするかどうかという問題があります。
中小企業退職金共済制度は社外積立型の退職金制度ですが、大企業においては、社内留保型の退職金制度を採用しているところが多く、厚生年金基金や適格退職年金と併用しているところも多くあります。同じ退職金制度でありながら、社内留保型の退職金制度についてのみ限度額管理の対象とならないのは公平でないという観点から、今のところ、中小企業退職金共済制度については限度額管理の対象からは除く方向で考えておりますが、この点についての実質的な議論はまだなされておりませんので、今後の議論の内容によっては、この審議会でも意見をお聞きすることになる可能性があります。
○委員 制度の性格上、あまり関連はないようですが、対象とするマーケットが同じですと、競争になるという面がありますね。今後、もし議論がなくても、情報提供をお願いします。
○労政局長 内容がもう少しはっきりした段階で、ご説明したいと思います。
○会長 その他、特にないようですので、今日の審議を終わりたいと思います。ありがとうございました。
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