| 議事
○ 座長
定刻となりましたので、ただ今から第11回労災保険制度検討小委員会を開催したいと思います。本日は、田中委員と松浦委員が欠席と伺っております。それでは前回に引き続きまして、労災保険制度検討小委員会報告書(案)について御議論いただくわけですが、資料2の報告書(案)の方は、前回の御議論の中で概ね御異論がないと思われた所が修正されたようです。その他、前回の小委員会で出ました主な意見は、資料1にそれぞれ記述されていると思いますので、この辺を中心に報告書(案)の取りまとめにつきまして進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。それでは事務局から説明をお願いします。
○ 事務局
資料1は、前回の小委員会における報告書(案)に対します御意見を事務局の方で簡単にまとめさせていただいたものです。中身を御説明いたしますが、まず1点目としまして、「健康確保支援給付(仮称)関連」につきましては、プライバシーの問題があることを考慮すべきではないか。また将来的な課題として、常用以外の社員の取扱いについても検討すべきではないかという御指摘を、公益委員のほうからいただいたところです。
あと、より基本的な意見として、健康確保支援給付を創設すべきという整理の仕方については反対である。健康診断の結果発見される異常は私病であり、個人の自己責任の問題であるので、使用者の法的責任を前提とする労災保険で措置するというのは問題があるのではないか、安衛法上も再検査や精密検査等は義務がかかっていないはずであるという御意見が使用者側の方よりなされております。
それに対し、生活習慣病と言われているけれど、全くの私病ではないのではないか、業務も原因の1つになっているのではないかということで、労働側から御意見がありました。
また、業務との関係が全くない者がほとんどではないかということで、使用者側からの反論もなされたところです。
あと、昨今の労働環境等の状況を見ると、「過労死」等が増加しているということで、それらの状況を回避するための措置というものを早急に実現すべきである。健康確保支援給付を是非実現すべきだという御意見が労働側からなされております。
それに対し、就業上の措置を講ずることは必要だけれど、労災保険の給付として事業主負担により措置するというのは問題ではないかという使用者側からの再反論もありました。
これらの御議論に対しまして、企業が事前に負担をして、こういう措置をすることについても一理あるのではないかという御意見が公益の方から出されたところです。
2点目としましては、「労働福祉事業関連」です。まず労働条件確保事業については、事業を明確化すればよいという問題ではなくて、中身の見直しもしっかりしていく必要があるということが使用者側から提起されております。
限度額の設定方式については徴収と連動すべきだという案になったわけですが、徴収の仕方と限度額の設定方式は必ずしも連動しなくてもいいのではないか、しなければいけないというものではないのではないかという御意見がありました。
未払賃金立替払事業に係る臨時措置の関係につきましては、8月に措置したばかりなので現時点でそれをすぐ見直すのは適当ではないのではないか、いずれ必要な時期に検討すればいいのではないかという御意見が出されております。
3点目は「要望事項関連」です。まず使用者側の方から、提出したものをすべて検討したのではないのではないかということで、それ以外の項目についても検討すべきという御意見がありました。
あと、過去債務分の積立期間につきましては、積立実績等も踏まえますと5年なり10年なり延ばしてもらいたいということで、当初の計画を維持すべきという結論については変更して欲しいという御意見がなされたところです。ほかにもあったかもしれませんが、一応概要としてはそういうようにまとめさせていただきました。
それらを踏まえまして、大体の合意があった項目につきましては、報告書(案)の方に取り入れさせていただいております。
資料2の4頁を見ていただきますと、1点目はプライバシーの配慮の問題があります。この点につきましては、変更部分に下線を引いてお示ししております。「事業主が、労働者について、プライバシーにも配慮しつつ」ということで、プライバシーの問題を配慮しなければいけないという趣旨を修文させていただいております。
もう1点は、5頁のいちばん下の所です。今回議論したのは「要望事項の提出を求め、そのうち優先的に検討すべきものとして、以下の事項について検討を行った」ということで、優先的な検討事項について検討を行ったのであって、それ以外の検討項目の取扱い等につきましては、また本審の方で検討していただきます。この報告はあくまでも優先的に検討すべきものについての検討を行った結果という趣旨を明らかにさせていただいたところです。前回お配りいたしました報告書(案)の方から、以上2点を修文させていただいているところです。
○ 座長
資料1は前回の小委員会のときの御意見を、事務局の方で整理したものですので、整理の仕方に問題があるということなら別ですが、概ねこのようなことではないかと思っております。問題は、議論されたところを報告書でどう整理していくかということになろうと思いますので、今日はその辺を中心に、引き続き御議論いただければと思います。よろしくお願いします。それでは前回ひとわたりやりましたが、早速、報告書(案)について、前回積み残したもの、その他ございましたら、御意見等をお出しいただければと思います。
○ 委員
資料2の5頁のいちばん下に、「そのうち優先的に検討すべきものとして、以下の事項について」云々というのがあるのですが、この報告書だけを見た方々は、どういう事柄が優先的に検討すべき事項以外の事項として使用者サイドから出てきたのかが全く分からないのです。私どもは、順序の問題として、優先的に検討していただきたいことと、それに引き続いてやってもらいたいことをこの小委員会に出したわけですが、検討を終えるかどうかというのはいろいろな物理的な問題もあり、なかなか検討が終わらないこともあるし、検討しても結論がなかなか出ないものもあるわけです。どういう事柄が要望として出ていたかというのが、これだけではどこにも出てこないのです。何とか工夫をしていただきたいのです。
○ 座長
結論の出ていないものもありますが、その次の6頁の1から7が、いわば労使から優先的に検討すべきものとして出て、一応検討した項目だと理解するのはいかがでしょうか。要するに優先的検討以外のものも出せということですか。
○ 委員
はい。積残しになっている部分を明示してくれということです。
○ 座長
そこはいかがですか。報告書サイドで別紙を付けておくなどして。
○ 事務局
御提案いただいたペーパー自体は、「小委員会又は本審議会」とも書いてあったはずなので、審議会では、今後の検討をどうするかということを踏まえて、そこで議論すればいいのではないかという感じがするのです。この小委員会のレポートの中に全部が全部書いてなければもうやらないというわけではありませんから。
○ 座長
このほかにこういう検討、要望事項がありました、これを本審でどう取り扱うかについては別途御検討くださいというようなことを小委員会として付記するのはいかがですか。それはまずいですか。
○ 事務局
労使含めてよろしければ。
○ 座長
その場合には、労働側も、中身はこれから出るにしても、それでやるのならもっとほかにもあるということであれば、要望事項は労働側もあるという旨の御発言を別途ちゃんと記録に残しておけばいいでしょう。どうですか。
○ 事務局
各委員に御異論がなければ、そういう方向で考えたいと思います。
○ 座長
折角小委員会に要望事項の項目として出されたものが全く記録に残らないのでは困るということですので、労働側もあるという留保付きで残しておくというのもあり得るのではないかと思いますが、よろしゅうございますか。
○ 委員
書いていただけるのなら結構です。
○ 座長
わかりました。それでは、ちょっと研究してみてください。
○ 委員
それはどういう形で書くのですか。別枠で書くのか、それとも本文の中に埋め込んでしまうのか。
○ 座長
その辺は私もまだ整理していませんが、例えば記の直前ぐらいに、なお労使の要望としては、別紙のような要望事項があった、とか。
○ 委員
別紙を付けるということですか。
○ 座長
項目が何項目かは忘れましたがどうしますか。
○ 事務局
要するに、優先的検討項目に引き続き検討すべき項目等としてこういうものが出ましたということで、別紙で何か書いた方がいいと思うのです。なお労働側からは、そういったものを検討するときには、労働側としても別途検討項目を提出したいという意見があったとか。経営側は非常に網羅的な意見を出していただいたのですが、労働側は年内に結論を出すという前提で絞り込んで出していただいたものですから、経営側だけをボンとくっ付けると若干バランスが悪いというのが気になったのです。
○ 座長
そういう要望項目があったということを付けておいて、本審に報告するときに、私の方から、これを本審でどう取り扱うか、また改めて御検討くださいと申し上げたらいかがかと思っているのですが、そういう扱いで良いでしょうか。
(異議なし)
○ 座長
特に御異論がなければ、取り上げた課題の問題についてはそういう扱いにさせていただきたいと思います。では、ほかにどうぞ。
○ 委員
資料2の6頁の健康確保支援給付の創設については合意されたと考えていいのでしょうか。
○ 事務局
資料1の1頁の1が健康確保支援給付の関連です。○印の3つ目として、使用者側委員から創設すべきという考えには反対であるという意見が表明されておりますので、現段階では、小委員会として、こういった新しい給付を創設することについてはコンセンサスができている状況ではないということです。
○ 委員
使用者側がおっしゃっている自己責任という意味も理解できますが、その下に書いてあります労働者側の発言のとおり、生活習慣病と言いつつも、労働に関わる部分というのは非常に大きいと思うのです。皆が皆そうだというのではありませんが、それを基礎疾病として過重負荷がかかるということもあるし、もともとのストレスからそういったことがあり得るというのもあるのではないでしょうか。そういう意味合いでは「創設すべき」とされるべきではないかと思います。
7頁の「労働福祉事業の在り方の見直し」の3行目ですが、「総事業費の縮減に努める」と言い切っているように見えるのですが、これは、その下の方にある休養施設の廃止とか、労災病院の見直し等を指して言っているということであれば、それはそれなりに理解されますが、今労災保険の特別会計や、特別会計から出ているいくつかの労働福祉事業について縮減の方向に向かうとすると、この表現はちょっと。「必要に応じた見直しを行うこと等により」とありますが、縮減と決め付けることはないのではないかと思います。
ついでに、私の方から出しました業種区分の問題ですが、「必要に応じて地方機関に対する指導・周知を図り、引き続き適正な実施に努める」というのは、これでよかろうと思いますが、前にこのことが取り上げられたときにも説明いたしましたように、零細事業場において、建設と製造の2つの業種に区分するという指導が強く行われております。私たちは、本来の目的が住宅の建築なりその他の物の構築物の建築ということにあるのなら、できれば建設事業ということで一本化して欲しいと要望しています。しかし作業場も持っていて、そこで人もいるじゃないかというお話があったときに、零細な事業主は両方の業種で特別加入を行わなければなりません。そういうことで、以前、特別加入者の給付基礎日額について、なぜ365日分を乗ずるのかという説明がありました。あれはあれで納得しておりますが、同じ人間が365日2つの事業を行うということは、1日で割ることもできるでしょうけれど、1日で半日ずつということもあり得るかもしれません。ただ結果的に二重に保険料の納付を行うことになっていると思うのです。それは事業の実態等をお考えいただければ、例えば常用労働者数の割合、あるいは支払われる賃金の割合等に応じて、事業主の特別加入が両方に入らなければならないとしたら、日数を区分することは出来るのではないかと思います。そこのところは、そういう意味合いも含めて書いていただいたのであれば納得いたしますが、申し上げておきたいと思います。
建設事業におけるメリット増減率の問題については、他の事業も同じですが、メリットが減になる場合、往々にして「労災かくし」に繋がることがあり得るという認識に立っています。すべてがそうだとは申しませんし、安全衛生の努力を一生懸命なさっている事業主があることも承知しておりますが、建設の場合はとりわけ「労災かくし」なり、元下の強弱関係というものが作用して、労災保険を使わないというケースもままあると、私たちは聞いています。そのようなことから考えますと、メリット制については、ややもすると「労災かくし」に通ずるのではないかという意見があるというような表現をどこかに盛り込むことができないでしょうか。
それからもう1つ申し上げます。労災保険給付と民事賠償の調整の在り方の問題について、専門の方々に検討いただかれたわけですが、非常に難しい問題で、1度や2度読んでもなかなか分かりにくいわけです。今回の結論として「行政当局において検討を進める」というまとめかたをしていますが、「行政当局において検討を進める」というのは、こういう審議会とか違った畑の学者を入れて検討するといった意味合いを排除しているのではないでしょうか。民事賠償を行うというのは、事故を発生させた事業主に対する、一定のペナルティという意味合いも含まれていると思います。そういう意味合いからいって、ペナルティのもう1つの問題点としては、刑事上の罰というものがあると思います。「労災かくし」やその他のことについて書類送検が行われるという報告は何度もここで行われたので、それはそのように行われていると思うのですが、新聞報道等を見ておりますと、書類送検は行われたけれど不起訴になったり、執行猶予になったり、簡易な裁判で罰金刑で済まされたりということが非常に多いのではないかと思います。
それはここで議論することではないかもしれませんが、そのようなことを考えますと、もう1つのペナルティといいますか、事故を防ぐという意味合いから、刑事的な責任を含めてまだまだ検討の余地があるのではないか。ですから法律家の検討を経て当局で検討を進めるというように一気にいかなくても、まだまだそうした研究といいますか、討論があって然るべきではないかと思います。あと、社会保険との調整の在り方については引き続き検討を行うということで、それはそれとしてあり得ることだと思います。いくつか申しましたが、少しお願いしたいと思います。
○ 事務局
いくつかの御意見をいただきましたが、まず労働福祉事業につきまして、総事業費縮減でなくてもいいのではないかという御意見については、すべからく全事業、全項目について縮減しろという趣旨ではありません。もちろん今後のニーズ等も踏まえて伸ばすべきものは伸ばす必要があるだろうし、必要性の薄くなったものについては縮減していく必要があるだろうという趣旨です。ただ全体として、保険料収入なりの状況に鑑みますと、抑制的な対応をした方がいいのではないかという考え方です。
特に零細の建設業なり製造業なり異なった業種で評価されるようなことを一緒にやっている方々の特別加入の問題、あるいは適用業種の問題については、小委員会の報告としてはこれでいいという御発言がありました。委員の御発言につきましては、さらなる改善の要望があったというように受けとめて、また内部的な検討を進めたいと思っております。
建設のメリットにつきましては、メリットの幅を拡大すると「労災かくし」が広がるのではないかという御懸念だと思います。「労災かくし」に対しては、その上の(3)にありますように、今後とも地方機関に対して指導等を図っていくということが書いてありますので、当然建設につきましても、仮にメリット幅がほかの業種と同じになれば、そういった点を配慮するように地方機関に対して適切な指導なり指示をしていきたいと考えているところです。
なお、民事損害賠償につきましては、労働法や民法の先生方に御検討いただきましたので、それを受けて行政はどうするかということで、ある程度の方向を出すということがまず第1に必要ではないかという趣旨で、このような表現にさせていただいております。
○ 委員
新しい健康確保支援給付事業を設けると提起してありまして、趣旨は理解しますが、労災保険という基本的な性格からいって踏み込みすぎではないか、やはり性格がちょっと違うのではないかというのがどうしても抜き難いものですから、最終的におまとめになる場合に、使用者側の1つの意見として付記していただきたいというのが、これを見せていただいての正直な感想です。趣旨は1頁目に書いてある趣旨からの観点ということで御理解いただければと思います。
○ 座長
わかりました。他にこの報告書を御覧になって、何かコメント等はございますか。
○ 委員
いちばん上に書かれているプライバシーについて。諸外国の制度の中では、健康診断の結果について、産業医は知ることができることになっていますが、事業主がすべてを知ることになっている国はむしろ少数です。どこかで調整できるのかもしれませんが、その点につきまして健康確保の支援という良い意味での方向と、給付をすることによって具体的にどのようなやり方になっていくのか。
もう1つ、健康診断で問題のあった人について、次の大きなリスクにならないような対応を取っていくのはいいのですが、現行の労働安全衛生の体系の中で、例えば産業医がどういう役割をするのか、今健康診断をやっている方たちがどういうようにするのか。産業医あるいは産業保健婦など、保健指導の中での位置付けというものを、きちんとされたほうが、本来の労働安全衛生対策とマッチした活動になってくるのではないかと思います。前々回のときには「死の四重奏」とか、非常にハイリスクに焦点を置いた考え方でしたが、そうすることによって、職場全体で働いている人たちの健康度をより高める方向に持っていけるのではないでしょうか。
以前、ハイリスク・ストラテジーとポピュレーション・ストラテジーについての説明を申し上げましたが、ハイリスクだけとかポピュレーション・ストラテジーだけというのはあり得ません。両方相まって進めて、はじめて働いている人たちの健康、あるいは職場の健康が維持されたり増進されたりするのです。私は公益の立場ですので、ちょっと客観的すぎる言い方かもしれませんが、そういう両方を視野に置いた活動をしていくことが、労災保険を考える上でも重要であるということを、付け加えさせていただければと思います。
○ 座長
全体的に健康度を高める中でこの対策をやるということですね。
○ 事務局
いくつか御指摘があった点で、産業医が知ることは少なくて、事業主が知るというのはおかしいというお話がありましたが、事業主責任の中でやって、就業上の措置をするということがあります。現在の安衛法の制度の中では、事業主が知るというのが安衛法の体系です。もう1つの健康診断につきましては、健康診断をするだけではなくて事後措置をするというのが大事だということで、我々としては事後措置の充実などを含めて労働者の健康確保を図っていくということで、今進めております。あと、ハイリスクとかポピュレーション・ストラテジーについては、労災保険と安衛法といろいろ協力しながら進めなければいけないところがあるかと思います。
○ 委員
4頁に新たに「プライバシーにも配慮しつつ」という1節を入れていただいたのですが、やや気になるのは、その文章を読んでいきますと「事業主が、労働者について、プライバシーにも配慮しつつどのような健康状態にあるかを詳細に把握した上で」となっている所です。事業主が健康状態を詳細に把握する必要があるかどうか、私にはすぐには納得のいかないところがあります。要はある検査結果が出た労働者について、就業上の措置を講ずることが出来ればいいだろうという気がしますので、文章のほうで若干書き改めていただけると、よろしいのではないかという気がします。直ちに産業医等の役割まで踏み込んで、ここに書くというのは多分難しいでしょうから、将来、その辺の含みを残すというような形で、病気というものに対して労働者が使用者に知られたくない利益というか、そういったものへの配慮がもう少し現れるようになっていると、より良いのではないかという気がいたします。
あと、健康確保支援給付については、労使の間で依然として議論があったことが分かります。私も、この健康確保支援給付があまり大きく広がることについては、若干懸念を持っていますが、少なくともこの小委員会で事務局から示された内容の事業というか、給付ということであれば、労災保険制度の枠を大きくはみ出るものではなく、その範囲内で行えるものではないかと考えております。
それとの関係で文案について、少しご検討いただきたいと思いますのは、4頁で、(以下「脳・心臓疾患」という。)という形で略称を用いられている所です。やはり労災保険の枠の中ですので、単に「脳・心臓疾患」と略称してしまいますと、ちょっと広すぎるのではないかという気がいたします。もう少し範囲を限定できるような表現にできないか、文案をお考えいただく際にご検討いただければと思います。例えば4頁で見ますと、いちばん下から2つ目の段に、「以上のような状況を踏まえれば、脳・心臓疾患の発症の予防を」とありますが、ここだけをパッと読みますと、脳・心臓疾患の範囲が非常に広く取られているように読めてしまいます。「業務が原因となって起こる急性の脳・心臓疾患の発症の予防を的確に行う」とか、適切な表現を工夫いただければと思います。
○ 委員
いま御指摘のあった、下から2つ目のパラグラフの所に修飾語を付けるということですが、そこは駄目なのです。というのは一次健診で異常所見がある方々の問題と、自然経過を超えて著しく過重な負荷が加わったために発症するというのは、時間的な経過があって、後から過重負荷がなされてくるのです。中には10万人に1人ぐらいはいるかもしれませんが、一次健診の段階であれば、業務の負荷がかかっている人も、もともとの基礎疾患そのものが業務に関係なくて発症し得るのです。
そういう意味では、いくら修飾語を付けたところで、予防を的確に行うという時点では、まだ過重負荷が行われているわけではありません。そういう方々であれば、最初の段階から業務上なのです。業務によって脳・心臓疾患があるということであれば、その段階が認定されていいものなのです。したがって療養の給付が行われてもいいのですが、そうでないからこそ、今認定を巡っていろいろな問題が出てくるわけです。そこの所に入れたとしても、意味のない入れ方をすることになると私は思います。いずれにしても、このペーパーでは健康確保支援給付の仕組みを創設すべきという結論付けをしておりますが、私どもとしてはそういう認識にはとてもなれないし、疑問が解明されているとは思っておりません。そこのところは、整理をするときに是非きちんとお願いしたいと思います。
また、先ほど発言があったことは、私も全く同感です。一次健診で異常所見が出てきている方々についてどういう事後措置をやっていくかというのは、今の安衛法の体系でもそうなっているのですが、そこのところこそポイントなのです。そこのところで個人についての把握が行われていれば、ある方について過重負荷をかけるようなことはほとんどなくなっていくと思うのですが、そこのところがまだ十分に行われる状況にはなっていないというところがあります。保険給付を二次健診について行うか行わないかということとは直接関係なく、今の安衛法の体系の中でも、きちんと事後措置をやっていこうという規定があるわけですから、そのことこそ充実させていくべきだと私は考えております。
プライバシーの問題については、今の安全衛生法の体系からすれば、事業者が従業員の健康状態を健康診断の結果を通じて把握するということが、刑罰をもって義務付けられております。私は、そのような国はほとんどないと思うのです。従業員の健康状態を知られることを最も嫌うのは、むしろ従業員というのが国際的な情勢ではないかと思います。日本の場合はたまたま古くから労働安全衛生法の体系で、事業者が労働者の健康状況を健康診断を通じて知るという仕組みになっているわけです。今、個人情報について大変うるさくなっておりますが、そういうことからすれば、健康に関する個人の情報というのは、最も尊重されなければならない個人情報の1つだと思います。しかし今の法体系では、そういうものを事業者が知るということが義務付けられているのです。さらに二次健診を通じて事業者が広く知って、その上で配慮しろということかと思いますが、労働安全衛生法の今の体系では、二次健診の結果について事後措置を講ずる仕組みにはなっていないと思うのです。ですから、いろいろ問題があるのだろうと思います。
○ 委員
私は、一般的な問題と、産業衛生の現場で働く人と事業主の責任のところとは、ちょっと別だと思います。本来職場の健康確保についてはどこが責任を持つべきかという議論と、一般的な個人情報の流出の問題とは別のつもりで申し上げたのです。そこは私の言葉が足りなかったのかもしれませんが、産業医の役割などについては、むしろ産業医が前面に出てくるのであれば、私は望ましいことだと思っておりますので、申し添えます。
○ 事務局
業務との関連で御議論を聞いておりますと、脳・心臓疾患というのは無限定で使われているのではないかという御指摘がありました。文章上どう読めるかは別として、私どもの気持としては、4頁の真ん中辺りの「(以下「脳・心臓疾患」という。)」の前で、「業務による過重負荷により、基礎疾患が自然経過を超えて急激に著しく増悪し、脳血管疾患及び虚血性心疾患等を発症させる」ということで考えているのです。いわば「過労死」というのも業務の要因というものをひっくるめております。「脳血管疾患及び虚血性心疾患」だけを受けて「脳・心臓疾患」と言っているわけではなく、そういったものを発症させる基礎疾患自体が業務によって増悪する恐れがあるということを含めて、こういった略語といいますか「脳・心臓疾患」というように使っているのです。
一次健診との関係ですが、確かに一次健診を受けて所見があった場合、適切な事後措置をやらなければいけないというのが現在の労働安全衛生法の体系です。ただ、これは労働大臣が定めるガイドラインですが、その場合でも、必要な場合には精密検査や再検査の受診を勧奨することになっております。やはり定期健診だけの情報では、どのような事後措置を講ずるのが適切か分からないということは、当然想定されているわけです。今回問題にしている脳・心臓疾患についても、例えば肥満度、中性脂質、血糖値、血圧といった4つについてすべて異常であるとしても、では心臓のどこがどの程度悪いのか、あるいは血管の疾患があるのかどうかまでは分からないわけです。おそらくどこかが悪いということがかなりの高い確率で疑われるわけですが、それがどこかは分からないので、スキームの所で御提案しましたように、心エコーとか頚部エコーといった、必要な二次的健診をやって、より適切な事後措置に繋げることが必要であろうと考えております。
いわばスキームというのは、ポピュレーション・ストラテジーに対応するものだろうと思いますし、今回この4つの所見について異常のあるものを対象として何らかの必要な二次健診等をやるというのは、ハイリスク・ストラテジーに該当するものであろうと私どもは考えております。これを両方やっていくことが当然必要ではなかろうかと、私どもは考えているわけです。
○ 座長
その点で何か御意見等はございませんか。この報告書(案)については、前回以降、意見交換をしてまいりましたが、それぞれの表現その他については、御意見等があったと思います。いちばん大きなところは、使用者側から出ている、新しい給付制度の創設については賛成できないという御意見です。私がずっとこの小委員会の座長を務めてきての大勢としましては、公益委員の方々については、いろいろ条件付きではありますが、新しい制度の創設については賛成です。労働側のほうも御賛成ということになれば、小委員会としての報告をまとめる際は、健康確保支援給付制度の創設については、基本的に創設すべきという報告をベースに考えると。
同時に先ほど来、御発言がありますように、創設については賛成し難いというか、疑問が多いという点についても意見の表明があったわけですから、どういう方法をとるかは別として、本審議会にはその旨の報告はしなければいけないと思っております。どうやるかについては、この場で何か御意見があれば別ですが、むしろさらに事務局等とも調整を重ねて、何とか次回の小委員会で報告書(案)についてのまとめを一応終わりたいと思っております。そのような段取りでいかがでしょうか。ただ中身についてまだ御意見があればやりますが、もう出揃ったような感じがいたしましたので、ちょっと申し上げました。
○ 委員
今の座長の整理の仕方には私は反対です。正確には覚えていませんが、もともとこの小委員会で健康確保支援事業についての論議が始まったのは9月か10月です。2、3カ月の経過の中で議論されたわけですが、私どもが提起した疑問点について解明されているものは、ほとんど見当たらないと思います。そういう意味で、この小委員会として新しい給付制度を創設すべきと整理できるようなことになっているとは言えないのではないかと私は思います。ですから今おっしゃったような整理の仕方には私は反対です。給付をすることについて賛成できないとか微妙な言い方をなさっておりますが、明確に申し上げて、新しい法定給付として健康確保支援事業をやることについては反対です。
○ 委員
おっしゃられる趣旨はよく理解しましたが、今この文面にも「過労死」と括弧書きでありますように、社会問題としてマスコミをはじめいろいろと取り上げられています。日本の労働者だけにそういうことが起こっているのではないと思うけれど、この前の発言にもあるように、厳しいリストラや残業手当の付かない超過勤務、家で作業をしなければならないという労働者の実態等々を考えても、あるいはメンタルヘルスの問題は取り上げにくいとなっておりますが労働者の自殺の問題などを考えても、労働者のことを考えなければならない労働省としてどのようなことを考えるか、そしてその者を雇用している事業主がどのような責任を負うのか。
労働者は積極的に健診を受けてその指示に従うというのは、おっしゃられる発言の意味から言うと、逆に全部私病なのだと。では根っこから労災保険の給付をするじゃないかという発言は、私どもにとってはちょっと理解しにくいのです。今この問題を取り上げずに、そういった給付は取りやめだという結論をこの小委員会が出すとすると社会的には恥ずかしいことだと、私自身は思うのです。
○ 事務局
今の御発言の中で、疑問点にすべて答えていないという御意見がありましたが、例えばどういう疑問があって、どういう点に答えていないのか、これを明らかにしていただければありがたいと思います。私どもとしてはできるだけ資料を提供し、私どもの考え方をできるだけ分かりやすくこの場で御説明してきたつもりです。
○ 委員
今、いちばん最初の小委員会の設置についての資料を見たのですが、そこの議論の中では、生活習慣病に関わる有所見率が上昇したので、そういうことを何とかしようということで、健康確保を支援するための労災保険上の措置について検討しますという形になったのです。ですから一応それが前提ということで議論してきたのではないかと私は理解しているのです。
○ 座長
ですから私が先ほど来申し上げているように、本審議会から私どもの小委員会に付託されたテーマは、健康確保上の措置がどうあるべきか、労働福祉事業の見直しをどうしたらいいか、建議事項をどうしたらいいかということです。ですから少なくともこの3つは、本審議会にお答えをすべきキーワードというかエッセンスでなければいけないです。ですから何もお答えをしないわけにいかないので、第1の点については、基本的にはこう考えているけれどもいろいろな御意見がありましたというやり方がある。それから、労働福祉事業については、概ね報告書(案)に書いているような見直し節減の方向というのが大方の御意見であった。建議についても、民賠との調整問題等について検討すべきものは検討していってほしい。期間は9月からの期間ですが、宿題について議論、意見交換し、もちろん反論もありますから、全部賛成される方ばかりではないということはよく分かりますが、御異論もあるわけですけれども、それも含めた上で何とか年内に本審議会に報告をしたいと、こういうことで皆さん方の御理解をいただきたいと思っておりますがその辺はいかがですか。
○ 委員
私どもがその都度申し上げたことについて整理し今すぐ申し上げるというわけにもまいりませんが、2つ3つ整理をしていただきたいことについて重ねて申し上げたいと思います。
1つは、そもそもの出発点は「過労死」防止対策ではなくて、疾病の予防対策というのが労働側から提起されていたわけです。今回御提案なさっているのが、脳・心臓疾患が業務上の負荷で増悪するといったケースなのですが、そもそも、健康確保支援事業を脳・心臓疾患だけに絞るということ、逆に申し上げれば、それ以外の関係については一切法定給付の対象にしないで、脳・心臓疾患の関係だけやるということについての合理的な説明があるかどうかという点が1つです。
それから、脳・心臓疾患についてということを法律上に書けるのか書けないのかという点です。労災保険法上は重大な疾病ということで労働大臣が定めるというようなやり方もあるのだろうとは思いますけれども、そういう性格なものなのかどうなのか。今までの労災保険法上の体系でいけば、ある程度こういうものに対してこういう施策が講じられるということが法律の条文の中でも明らかになる形の表現があって、その細部事項について労働大臣が定めるという縛りはできるわけですが、脳・心臓疾患ということを法律上書けるのかどうなのか、その辺がわからないのです。
労災保険法で法定給付とするということであれば、使用者が法律上の責任とか、あるいは責務とかを負っているということが前提になるわけですが、一体、使用者はどこに責任を負っているのか。二次健診を行うべきであるという責務は何に基づいて行っているのか。運動療法等の指導をするということ、要するにその費用負担を事業者にかぶせているわけですが、その費用負担というのをどこの規定の上でやられているのか。もちろん、一次健診の問題については、安衛法上実施義務というのが使用者に課せられていますけれども、今二次健診について言われているのは、労働大臣の告示の中で、義務としてではなくて推奨の形で二次健診を受けさせるように勧めなさいと、それだけにとどまっているわけです。一般の健康保険法でも、リハビリテーションなどについて法定の給付が行われていますけれども、運動療法、生活療法、食事療法というのは、いわば治療の範囲になってくるわけです。治療の範囲について、使用者の費用で負担をしろということが、どこの法律上の条文に規定されているのか。
さらに申し上げれば、事務局は、一次健診の結果死の「四重奏」という点についての該当者について給付対象にすると考えているわけです。約5,000万人の労働者のうちで、定期健康診断の対象になる方々、つまり常用労働者というのはその一部分です。パートその他の臨時の方々というのは定期健康診断の対象にならない方々です。一方において、労災保険の保険料の納付義務というのは、すべての労働者の賃金に対して掛けられるわけですから、保険料の負担と給付との関係が一致していないということがあります。
さらに申し上げれば、基礎疾患である脳・心臓疾患が自然の経過を超えて著しく発症するという状況に置かれている方々というのは、5,000万人の労働者の中でそんなに大勢の方々がいるわけではないと思います。もちろん、いないというふうに申し上げているわけではありません。ラインの上で定型的な仕事をしておられる方々というのは、通常の労働者以上に負荷がある仕事をさせられるということにはなっていないのだと思います。したがって、ほとんどの方々は過重負荷が行われる状況ではない。しかし、それらのラインの労働者の賃金についても、新しい給付の関係については保険料負担は課せられるということで、ここの点についても負担と給付との関係がパラレルになっていないということがあると思います。
労災保険法での費用負担というのはすべて事業者です。一方、健康保険法上の制度というのは労使双方が負担をしている仕組みです。一次健診の結果、労働者が二次健診を受けたり、あるいは運動指導を受けたりというのは、今日時点においては自分の費用で負担をするという形になっています。その自分の費用で負担をするということが、なぜ労災保険法で行うのか、全額使用者が負担しなければならないものに転嫁していくのか、その辺もわからない。まだいくつもの疑問があるわけです。
○ 事務局
これまで答えていないと言いながら、今初めて聞いた問題がいくつかあるということは、私は非常に残念だと思います。例えば法律で書けるかどうかであるとか、健保は労使負担であるのになぜ治療の一歩手前の二次健診といったものが全額事業主であるのか。これは、私の記憶が間違っていなければ、おそらく今日初めて言われた問題です。そういったものも含めて答えていないというふうにおっしゃるのは、非常に心外な感じがいたします。
それは別にしまして、言われた問題については、例えば脳・心臓疾患だけに限る理由というようなことは、第7回の本小委員会の資料1で、要するに業務上補償すべき疾病としては、例えば脳・心臓疾患のほか、いちばん端的には有害な業務により発症する疾病ということで有機溶剤中毒なども考えられます。ただこれは原因物質なり原因の業務と発症する疾病という因果関係が非常に明確であり、そういった意味では、そういったものの予防というのは、現在安衛法で課している特殊健康診断であるとか、あるいは有害物質から労働者の暴露をシャットアウトするとか、そういった安衛法の体系で予防を行うべきであるということを説明しております。そういった体系の範疇に入っていない脳・心臓疾患を今回は対象にするのだという趣旨で、これが経営側委員のご理解をいただいているかどうかは別にいたしまして、そういう趣旨で御説明してあります。
脳・心臓疾患は法律上きちんと書けるのかどうかということについては、おそらく今日初めて言われたことだと思いますけれども、今書きぶりについては、事実上内閣法制局とも協議を始めておりますが、法律の条文であるのか、あるいは今おっしゃったような省令の条文であるのか、また詰め切っておりません。ただ、法令という意味の広い体系の中で対象とする疾病を限定するということは当然可能であると私どもは考えているわけです。
二次健診が安衛法上の義務でもないのになぜ労災でやるのか、あるいは最後の問題にも関わるかもしれませんが、私病たる脳・心臓疾患の予防につながるような問題について、なぜ労災保険でやるのかというような問題です。これについても、私どもの考えは、第7回の本小委員会に提出した資料1のいちばん最後に「労災保険で実施する理由」ということで整理しております。1つは、当然ながら「過労死」といったものがあらゆる業種等にわたって発生しているというようなこと。それは、要するに労災という意味だけではなくて、もし発症した場合、死に至る、あるいは重大な障害が残るといったことで、企業にとって非常に大きな損失があるということを防止することが重要であろう。それから、安全衛生法の中では、脳・心臓疾患につきましても定期健康診断等で健康状態の把握をきちんとして、その結果、事後措置の実施といったものを義務付けております。
これは先ほどの御発言にもありましたけれども、いわばガイドラインにおいてそういった事後措置をより適切に行うに当たっては、再検査、精密検査等の受診を勧奨するといったようにされているわけです。さらには、裁判例の状況を見ましても、いろいろな裁判例で、事業主が労働者の健康状態をきちんと把握して適切な業務上の配慮を行うといったことが安全配慮義務の重大な要素とされている。そういった裁判例が多く存在する。そういったことを総合的に勘案すれば、今回私どもが検討しております新しい給付を労災保険でやるということについては合理性があるだろうというふうに私どもは考えているわけです。
給付と費用負担について合理的な説明がないというようなお話がありました。これについては前回御説明しております。パート労働者を対象に入れるかどうか。パート労働法に基づくパート指針に基づいてきちんと健診をやっているという企業の場合、そういったパート労働者をこの事業に入れるかどうかというのは検討の余地があるかと思いますけれども、仮に労働安全衛生法の定期健診を義務付けている常用労働者だけにこういった給付を行うといった場合においても、抽象的、理念的には各業種別の常用労働者比率といったものを考慮して負担を考えれば、御質問には十分対応できるのではないかというふうに考えているわけです。
ほとんどの人は過重負荷などないのだ、過重負荷などがあるのはごくわずかな人で、そういった人が「過労死」になっているのだといった趣旨の御発言もありましたけれども、認定基準に従っていわゆる「過労死」を認定した状況を見ますと、割と各業種に固まってあるという状況ではありません。ほとんどの業種にいわば満遍なく発生しておりまして、そういう意味ではあらゆる業種に負担をかけるといったことを合理的に説明できるのではないかというふうに考えているわけです。
○ 委員
安全衛生部の方に聞きたいのですが、先ほどの一次健診の実施義務はあるということについては、私もそのように思っておりますが、労働安全衛生法において使用者に二次健診を義務付けている規定がどこにあるのか。労働大臣告示がありますけれども、労働大臣告示には二次健診を推奨しなさいということが書いてあるだけです。それは勧めるということであって、使用者として二次健診を行う義務がある、行う責務があるというところまでは、書いていないと思っていますが、先ほどの説明では、一次健診で義務付けられているのと、労働大臣告示で勧奨するということを使用者側の義務の根拠として示しているようなのですが、それでいいのでしょうか。
○ 事務局
私は、二次健診が安全衛生法の体系で事業主の義務になっているというようなことは申し上げておりません。
○ 委員
私が申し上げているのは、二次健診の費用を労災保険で給付しようというふうに考えている構想なわけですけれども、二次健診を行う費用負担をどこで義務付けるということが、今の法体系上で出てきているのでしょうか。そこを最初の段階で問うているのです。
○ 事務局
それは、先ほど来申し上げているように、今度は義務だから保険という立論ではありません。縷々申し上げたように、「過労死」につながるような問題、あるいは労働安全衛生法の中でも定期健診に基づく有所見者に対しては必要な再検査等の受診を勧奨しているということ、あるいは裁判例の状況、さらには申し上げませんでしたけれども、労災の今の体系でも労働基準法の災害補償責任を超えたことを労災保険の世界で実施しております。例えば通勤災害であるとか、給付の年金化であるとかです。そういったことから鑑みて、いわば総合的に勘案して、こういった給付を労災保険でやることについても要請があるだろうというふうに申し上げたのです。今回は、どこかに義務があって、それをパラレルに果たすための保険給付であるというような考え方ではありません。
○ 委員
労災保険法は保険制度をとっていて、今回行おうとしている制度というのは、保険給付として行おうとしているわけです。とすれば、もともと事業者が負担をすべき責務があって、その責務を分散しようということで保険制度に乗せるということの中で行われてくるというのが一般だと思うのです。もともとの責務があるかないかというところについて曖昧なまま、要するに今でも通勤災害というのは労働基準法にもないではないかということです。しかし、現在は労災保険法の1つの体系としてなっているということです。それはあくまでも従来の労災保険法に付随する給付として、またILOの動き、あるいはドイツとかフランスとかにおける状況等もあって行われているわけです。こういう労災についての予防給付が、外国においてどうなっているか調べてほしいということが公益の先生から御質問があったわけですが、国際的な動き、ILOの動き、あるいは諸外国においてどういう状況になっているかということについてのお答えも未だないと思うのです。
それはそれとして、いずれにしても、一定の使用者の費用負担の責務があって、それをどうやって分散していくかということは、費用負担者である我々の側から、今までの個人負担では大変だ、だからやはりリスク分散をしようではないかということで、国の制度としてお願いをするということなら分かるのです。もともとの費用負担をすべき義務について明確なお答えをいただいていない中で、この案件について創設すべきという結論はとてもではないけれども反対です。
○ 委員
前回と繰り返しになろうかと思うのですが、最近の企業環境は非常に厳しくて、リストラとかそういったものが強行されています。そういったために、個人の労働負荷が非常に高くなっている。そういったものが背景になって、いろいろな死傷事故なりそういった問題が急増してきているという状態になっている。これに対して、やはり社会的な問題からも、この対策というものが求められているのではないかと理解しております。災害が起これば、またこういった死亡事故が起これば、本人、遺族、そして企業にとってかけがえのない損失であるのは事実なのですけれども、あえて言えば、労災保険財政から見てもこれはゆゆしきことである。予防対策を講じなければいけないという背景は十分揃っているのではないかと思うのです。
健康診断といったものは労働安全衛生法で決められていて、一次健診は義務付けられているわけなのですが、現実の問題としてはそこでほとんど終わってしまっているわけです。経営者の責任は、健康診断を受けさせたからということで、それでほとんどの場合が、終わってしまっている。そこに問題があって、先ほど意見が出ておりました労働安全衛生法でもう少し工夫すればいいのであって、なぜ労災保険がやらなければいけないのかという問題があります。これは、労働安全衛生法でさらに過重な義務付けをしていく方がいいのか、労災の財政制度として予防していくということに力点を置いて考える方がいいのかという問題点から見ますと、やはり労災保険制度の中で特に死につながるような危険が予知できるのであれば、そこに限定をして対策を講じていくというのが妥当な道ではないかと考えるのです。そういった面で、これまでの議論経過について御理解いただきたいと思うのです。
○ 委員
私自身、現実に「過労死」事案というのが発生いたしておりますし、何らの対応もとらないということでいいとは思っていません。また、現に一次健診の結果、脳・心臓関係の異常所見が認められるという人が現実にいるわけですから、その方々について放置しておくことがいいというふうに思っているわけでもないのです。それは、中心的には自己責任として健康管理に努めていくということが基本だと思います。問題にしているのは、労災保険の法定給付としてそういうことをするということについて、合理的な説明があったというふうには今までの説明を伺っている中ではとても感じられないということで、反対を主張させていただいているわけです。
○ 委員
議論が膠着状態で噛み合わないのですけれども、いちばんのポイントは、結局のところ、急性の脳・心臓疾患の発症の予防という脳・心臓のリスクを誰が負担するのかというところに集約されていて、議論の焦点も結局そこにあるのだろうと思います。自己責任であるという面があることは私も否定はしませんけれども、他方で、実際に自己責任を果たそうとしても、1日のかなりの部分を職場で過ごす人にとっては、そういう自己責任を果たす環境がそもそもないということはあるのだと思うのです。それは、やはり就業というものに伴う1つのリスクであって、それを事業主の側に負担してもらって健康確保の給付を行うというのは、論理として私は成り立ち得るだろうと思います。
したがって、要は急性脳・心臓疾患等が、まさに一般的な急性脳・心臓疾患ではなくて、業務によって悪化し得るような、そういう急性脳・心臓疾患をきちんと捉えた上で予防ができるか。それを労災でやるのだということがはっきりしていれば、少なくとも今やっている給付とは違う考え方ではありますけれども、労災保険の上に乗せるということはできると思います。ここは、使用者側委員と議論がどうしても噛み合わないというか、基本的な認識なり判断のところの差なものですから、最終的にはこうした委員の意見の違いというのもあったということを反映させて報告書に書くことにせざるを得ないのか。そういう意味では、報告書については座長が先ほどおっしゃった考え方でよろしいのではないかと私は思います。
○ 座長
他に何かございますでしょうか。
○ 委員
私の場合、前回申し上げた意見に尽きるのですが、つくづく考えてみますと、こういう制度を設けること自体が、法律の本来の趣旨に合致しているのかどうか、全くはみ出していることにならないのかどうかというところが、1つの起因点としてはあると思うのです。しかし、100%はみ出しているわけではなくて、ある程度その中に納まるという考え方で、そういう考え方があるからこそ、事務局の方はこういう案を出してくるのだと思います。
もう1つ、1つの判断材料として前回申し上げたことに敷衍する話なのですが、こういうリスクがあった場合に、そのリスクを事前に予防するというか、そのリスクが本当のリスクに陥らないようにするためにかかる費用というものと、実際にそのリスクが本当のリスクになって突然死なり、脳疾患あるいは心臓疾患ということで起きた場合にかかる労災上の費用ですが、それとのバランスシートというか、そういうものも当然考えていらっしゃると思うのです。そうすれば、予防に金をかけた方がいいのか、あるいは実際に起きてあたふたとしていろいろ費用をかけたほうがいいのか、出る金と入る金との経済的な計算になると思うのです。その辺もある程度勘案しなければならないのかという気はするのです。おそらくこういう案を出されるからには、無理をしてでも予防に金をかけておいた方が、後々かかるであろう金よりも安く上がるということであろうと私は推察して、こういう考え方がもう1つの考え方だろうというぐらいに考えています。その辺は、バランスシートというか、実際に予防した場合と実際になった場合と比べ、圧倒的に予防していたほうが得なのだと。そういう面から見て、それにかかる費用を考えた場合にはどうなのだろうということは、具体的にデータとして何か説明できるものはあるのですか。
○ 委員
先ほど、労災保険の財政上からも得策ではないかという趣旨の発言になったかと思うのですが、お金と命は天秤にかける問題ではなくて、かけがえのない命の問題ですから、これはやはり優先的に考えていただくということは当然のことではないかと思います。そういう中にあって、あえて言うならば、財政上も給付を少なくするというのは当然の努力義務ではないかという趣旨で申し上げましたので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
○ 事務局
この脳・心臓疾患ということだけに着目して申しますと、私はお金の多寡だけで判断すべきものではないだろうと考えております。実はこの5年間ぐらいで脳・心臓疾患をいわゆる「過労死」として認定した例が3百数十例あります。そのぐらいの人数ですと、遺族給付等々を全部入れましても1年間で約10億内外です。ただ今も御発言がありましたが、脳・心臓疾患の場合は突然発症し、かつ被害が非常に甚大であるというようなことに鑑みれば、単に労災保険財政上の効果のみならず、企業にとっての、例えばこれまでの教育訓練の関係の労働者に対する投資が無駄になるとか、非常に有能な人のポストに穴が開くとか、そういったことを考えれば、必ずしも労災保険法上で単に10億円かというような問題ではないと私どもは考えています。社会的にはもっと大きなコストがかかっているし、そのためには私どもが御提案しているようなスキームというものが、そういった社会的にかかっているコストを減少させる方向で機能させるというふうに私どもは考えているわけです。
○ 座長
他に何か御意見がありましたら伺います。
○ 委員
私もどちらかと言いますと、本当に脳疾患、心臓疾患とも、業務との因果関係について、業務の状況で必ずそういうものが起こり得るものなのか、そういう因果関係的なものが知りたいということです。
もう1つ、何度も出てきていますのは、もちろん本人だけではなくて、社会とか企業にとって大変な損失であるというふうに言われるならば、やはり労災で云々というよりも、企業そのものがもう少し労働環境といったものを事前にきちっとすべきではないかと思うのです。そういうことがまずあれば、一次健診でも問題ないということになってくるし、また一次健診で見つかったら、それはある意味では個人の責任において生活習慣を改めるとか治療をするとかということではないかと思うのです。企業側にも問題があるかもしれませんが、もう少し働く環境の安全というものを考えていけば、こういう状況について、必ずしも労災で費用を負担するというふうにしなくてもいいのではないかと考えるのです。
○ 委員
今のことに関連して事例を挙げます。1つは印刷会社の事例ですが、次から次に印刷物が出てきて、それを梱包して出荷するといった業務です。これは3直交代で、深夜業務もやりながらやっているということです。リストラによって人が削減されて交代する人もいない。体の調子が悪かったけれども、結局出ていかざるを得なくて、そういう日がずっと続いていった。そのために、その人は脳疾患で亡くなったという事例があるわけです。一次健診で異常が見つかって、二次健診を受けるように勧められていたのですが、それに行けないうちにそういうことが発生してしまったという事例です。
もう1つは、研究開発部門ですが、いつまでに何々を開発しろというような指示があって、1週間ほとんど会社に泊り込みでということが数カ月続いていた。そういった中で脳疾患が起こったという事例です。
現場にそういう実態がある中で、一次健康診断までは受けるのですけれども、それに対して企業側が適切な処置を講じていれば死に至らなかったのではないかという事例があるわけです。どこを抑えればそういったものが防げるのか。そういった事例が非常に多くなっているから社会問題になってきている。それに対して我々はどういう対策をするのかというのが今問われているのではないかと思っているのです。
○ 委員
そういう現実もあるでしょうが、個人的に考えると、私も周りの人間たちを見ていて、使用者側がそこまで踏み込んで、徹底的に健診を受けるように指導をしていくということももちろんですが、本人が言わないために、つまり自分が二次健診を受けるなり自分の不具合で健診を受けるなり、そういったものを申し出ないということもあります。それは環境もあると思いますが、意外と使用者側はそれが分からなくて、それは例えば周りなり家族なりがきちっと言えば、それを聞けば即健診をしなさいというようなことが、ここ数カ月の間に2、3件ありました。身内も含めて個人的なことですが、そういうこともありましたので、やはりある程度、個人ももう少し自分の体を責任を持って処置するというような方向にいくべきではないか。何でもかんでも公のもので対応していくという、それも大変大切なことで十分気持は分かるのですけれども、あとはチェック機関の問題もあると思います。どこで歯止めをきちっとかけたうえで、そういう方々の面倒を見ていくのかどうか。その辺もきちっとしないことには、範囲が定まらないままにだらだらと流れていく可能性もあるということを感じます。
○ 委員
本人がしっかりして健康管理をすれば助かる事例というのがほとんどだろうと思いますけれども、それができないから現実に急増しているわけです。だから、どこかで法的に規制をかけるということをしてあげないと、これに歯止めがかからないというのが実態ではないかと思います。自分の健康、命に対して、情けないことですけれども。特に研究開発部門になりますと、誰でも行ってできるというものではないですから、その人が下りるということになれば、企業としての戦略がいろいろ変わってくる重要なものです。だから、責任とか、ストレスとか、いろいろな重圧がかかってきて、自殺であるとか脳・心臓疾患、そういったものに追い込まれていっているわけです。
○ 座長
ほかに御意見はありますか。この報告書の中身について、今日を含めてこれまで議論がありました点について、特に御異論がないような点については、事務局のほうでこの報告書の修正・改善をしていただくことにしたいと思います。「健康確保支援給付の創設」の所は使用者側委員は賛成できないということで、ここの所はどうもコンセンサスでこの報告書を出すというのはちょっと難しいようにも思いますので、この辺をどういう形で本審議会に報告するか。次回は12月15日を予定しておりますが、できればそれまでに調整等検討していただいて、何とか15日の小委員会で報告書をまとめて、本審に報告できるような状態でまとめたいと思います。大変でしょうが、その間御努力いただいて、小委員会にこぎつけたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
御意見も出尽くしたようですので、今日はこれで終了したいと思います。次回は12月15日の水曜日15時から開催いたしますので、よろしくお願いします。次回、できれば最後のまとめで終わりたいと思っておりますので、御協力よろしくお願いいたします。この小委員会報告書の取りまとめが御了解いただければ、そのあと本審の開催をお願いして報告をするという方向で進めたいと思いますので、その点は事務局のほうで調整をしていただければありがたいと思っております。
○ 委員
今日配られたペーパーと資料1、資料2と両方あるわけですが、資料1にあるように、いろいろな見解の違いというのがあるわけです。審議会の小委員会が15日までに開かれないで、どういう形で最終的な15日の小委員会の報告書がまとまっていくのでしょうか。しかも、そのあと本審まで予定されているということであるとすれば、先ほど来私どもとしては健康確保支援事業の問題だけになってしまったのですが、それについての意見は申しているわけです。それは、要するに座長が判断された形で出してくる、あるいは事務局がこういう案でやるということで15日の小委員会に出してくるのでしょうか。
○ 座長
今考えておりますのは、修正を加えるにしても、今の報告書について、基本的に御異論のない方々と、特に創設について反対の方がいらっしゃるので、15日まで、特に反対の委員のところとよく御相談をして、御理解いただけるような報告書(案)の準備にかかってもらおうという趣旨です。
○ 委員
資料1の所に、健康確保支援事業以外の点についてもいろいろな意見があるわけですが、その点もひっくるめてどういう報告書にするかということについて、事務局において調整をして、調整し終わったものを15日に出すという理解でいいのでしょうか。
○ 座長
関係委員とも、事前の御相談をお願いしようというふうに思っております。
○ 委員
これだけ議論が対立していてそれは可能なのですか。健康確保支援事業については、これだけ意見が対立していてますが。
○ 座長
ですから、先ほど来申し上げておりますように、使用者側委員は反対であるということはよく分かりましたが、その他の小委員会の方々については、基本的な方向については御了解いただいているのではないか。ですから、小委員会としては、創設の方向について本審に報告をしたらいかがかというのが私の考え方です。それについて反対であるということですから、もちろん反対の声も本審に反映させなければいけませんから、反映させる方法をどういう形でするか、御相談をさせていただきたいと、このように申し上げているのです。
○ 委員
本審の前に、小委員会における考え方の整理をどういうふうにするかということだと思うのです。私どもは健康確保支援給付について先ほど来の主張を申し述べているわけです。それで、この報告書が整理できるとはなかなか信じにくいのですけれども。
○ 座長
ですから、小委員会では意見がコンセンサスでまとまりましたという報告はできないだろうと思うのです。それはおっしゃるとおりです。ですから、創設の部分についてはコンセンサスには至らなかったけれども、多くの方々の意見のまとめとしては創設すべき方向に落ち着いた、そのように私は判断しているのです。その判断が駄目だとおっしゃればまた別ですけれども、私はそのように理解して、同時に使用者側の御意見は反対であるということですから、それももちろん何らかの形で本審に報告をするという方向でまとめたい。そのやり方については、特に反対をしていらっしゃる使用者側の考え方も伺いながら、どういうふうにしたらいいか15日までに調整をさせていただきたいと思っているわけです。
○ 委員
特段意見はありませんが、座長のまとめ方で結構だと思います。今座長の御発言にありましたことで、この制度の創設について多数は賛成である、反対もあるという趣旨のまとめ方をどのようにするかということだろうと思います。折角これだけ議論をしてきて、この制度を元の木阿弥に戻すようなことにはしないという座長のまとめに賛成です。
○ 事務局
先ほどの御発言は、小委員会として今座長がお話になったようなまとめ方ではなくて、何か一致点を見出すために努力をもっとすべきではないか。そうすると、15日ではちょっと無理ではないかという意味で言っていらっしゃるのでしょうか。あるいはもう1回持つとか。
○ 委員
私も労災審議会を7年ぐらいやっているのですけれども、今までも、審議会の場で、議論が対立するというような局面はいろいろな事項についていくつもあったのです。しかし、それはそれで議論の過程はいろいろな激論を取り交わすにしても、何らかの形で考え方の整理ができるような方法をとってきたわけです。また、対立する点については引き続き検討しようというような整理の仕方をしてきていて、先ほど座長がおっしゃったような、いわば多数意見はこうだ、少数意見として反対意見があったというような整理の仕方はしてこなかったというのが、ここ7、8年のやり方です。この際、今までそのやり方が良かったのか悪かったのか、そこは評価はいろいろ分かれるところだと思います。そういうやり方はやり方として、今回は要するに意見の対立があれば両論を併記するとか、あるいは一方が多かった、一方は少数だということで、いわば切り捨てをする形で整理をしていくということなのか。座長の考え方は、要するにこういう少数意見もあった、こういうことで多数意見はこうだと、こういう形で整理をするような感じなのですけれども、それはちょっといかがかなと思ったりしているのですが。
○ 座長
その点は、ずっとこれまでの議論を伺っていて、さらに回を重ねていけば共通点といいましょうか、皆さんの納得できる整理が見出せるかどうか。それについて必ずしも私は楽観的ではなくて、しかもいままでいろいろな御意見が出て、事務局に対する質問、あるいは反論等いろいろ出ましたけれども、事務当局としても、誠心誠意、とにかくお答えできるところはした。これは賛成していただけるかどうか、必ずしも納得いただけなかったかもしれませんけれども、それなりに回答は、できるところはほぼしているのではないか。さらにこれから先、回を重ねて質疑応答、資料提出等を重ねていって、皆さんのコンセンサスを得られるような整理ができるかどうか。私は必ずしも楽観的ではないものですから、私が申し上げたような整理の仕方はいかがだろうかと、このように申し上げているわけですけれども、それで御納得はいただけませんか。
○ 委員
異例な報告書だろうと思いますけれども。
○ 座長
私としてはコンセンサスが得られませんでしたという報告にはなるまいと、これまでの議論の実績から言って、そのように判断しているわけです。異例というのか、私は古い審議会の経験は知りませんけれども、コンセンサスがなければ建議もできなかったのかどうか、その辺はよくわかりません。私は前例はよく存じませんので、座長として、まとめとしてはどうかという範囲内でやっているわけです。
○ 事務局
座長のお気持はおそらく、私どもが8月に年内に取りまとめということでお願いしましたので、その辺を非常に重たく受け止めていただいて、そういう進行をされているのだろうというふうに推察するところです。もちろん、残り少ない時間の中で、私どもは別に両論併記と全部決めて調整するというようなことは考えておりません。できるだけ一致点を探りたいと思っております。そういった方向で、残り少ない時間で努力はしたい。ただ、私どもは最初からこの小委員会として年内には一定の報告をお願いしたいということで御審議をお願いしておりますので、その点は御留意いただければと考えております。
○ 座長
15日までいろいろ努力をして、また15日に小委員会で意見交換をした上で結論を出しましょう。
○ 委員
先ほどの座長の御発言ですので、事務局もそうだと思いますが、別に15日に小委員会をやることについて反対しているわけではないのです。要するに、小委員会のあと本審をセットしているわけです。通常であれば、小委員会においてこういう報告書が出来上がりましたということを本審の方に座長から報告するということをして、しかも今度は審議会として議論を詰めていって、審議会としてどういう取扱いにするかということについての議論を重ねた上で、本審として労働大臣に建議とか意見書の提出とか何かというのが今まで行われていたパターンなのです。今回どういうふうにされるのか、その先はよく分からないのですけれども、結局セットしてしまいますとね。
○ 座長
だから、15日にまとまらなければ小委員会報告を本審に出せないわけですから、本審を開いた場合でも報告書を提出するということにはならないと思います。ですから、あくまで報告書がまとまるかどうかということが15日の小委員会の仕事ですから、その先で本審がどういう内容になるか。これは本審を一応予定している事務局の考え方であって、私自身は本審があって、まとまればやるし、まとまらなければ、さらにまとめるための努力をするということにしたいと思っています。
○ 事務局
いま15日に本審を予定しておりますが、仮にまとまらないとなれば、場合によっては今言った形で取りまとめた結果を報告することはできませんので、小委員会による審議状況の中間報告みたいなことをやると思います。中間報告というか、状況を報告するとか、そういう形で本審を開くということも可能ではないかとは思います。いずれにしても、15日の小委員会でおまとめいただけるかどうかということにかかっているわけです。使用者側委員から若干異議があるとか、いずれにしてもまとまらないという結果になれば、本審を開くとしてもそれを踏まえた形で対応しなくてはいけないと思っています。
○ 座長
まだ10日弱ありますので、今までの意見をどういう形で報告するのがベストなのか、それぞれ少し調整をしていただいてやりたいと思っております。15日の開催については予定させていただいておりますので、本審は本審で別と考えましょう。小委員会の問題としてやりましょう。それでは、15日開催ということで、よろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
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