| 5 |
議事
○ 座長
定刻になりましたので、ただいまから第8回労災保険制度検討小委員会を開催いたします。本日は岩村委員、田中委員が欠席です。前回は、労使から提出されていました労災保険制度についての要望事項等について、現状の説明を事務局からいただきましたが、本日は項目に沿って順次議論を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
資料1は前回配られたものですが、前回の議論の時にも要望がありましたが、その追加資料の説明をいただくことにしたいと思います。現状の説明だけではどうも議論がしにくいのではないかということで、もしよろしければ議論に資するという意味で事務局から、その要望に関するコメント、一応の考え方を叩き台として聞かせてもらうことが、議論を進めていく上でスムーズになるのではないかと思いますので、そのような形で進めさせていただきます。各項目ごとについて事務局から説明をいただきまして、それに基づいて議論をしていきたいと思います。
○ 事務局
本日は資料1、資料2を提出しております。資料1については前回出されたものと同じです。前回は横広の部分だけ、「要望事項と現状」ということで上の4枚を説明いたしましたが、本日はその添付資料と、関連する追加資料がある場合には、その追加資料を項目ごとに説明いたしまして、御議論をいただければと思っています。
「労災未加入事業場の一掃を図ること」という点です。これについては資料の5頁です。確かに商業、サービス業等の小規模事業場等について、労災保険の未加入事業場が相当多くあるというふうに私どもも認識しております。そういった認識の下に、例えば加入を促進する観点から、毎年10月を労働保険適用促進月間と定めていまして、広報活動を集中的に実施することを展開しています。
さらには、2にありますように、労働保険事務組合に労働保険適用促進委託業務を委託しておりまして、事務組合を通じた適用促進について鋭意努力しているところです。労災保険適用については強制加入ということですが、この未加入事業場の問題は、いわば古くて新しい問題でして、私どもとしましては、できるだけ適用を促進するといった観点から、こういった取組み、さらに努力をしていきたいと考えているところです。
なお、この問題につきましては、直接の担当は労働保険徴収課です。今日は徴収課長も出席しておりますので、追加なり補足の説明があればお願いしたいと思います。
○ 事務局
特にございません。
○ 座長
今、労働側から出された第1点について、事務局側の説明がありましたが、今後とも努力をしてもらうということで進めていくことでいかがですか。
○ 委員
質問ですが、適用促進業務の委託ということで、適用促進奨励金を支給しているようですが、どういう基準で支給をされていて、その奨励金の額は10年度の実績あるいは9年度の実績はどれくらいなのか。適用を奨励をした数が5万7,000件ということですが、そこでの保険料収入はどれだけ増えたのかが分かるようでしたら、平成10年度か平成9年度の実績で教えていただければと思います。
○ 事務局
適用勧奨の関係ですが、資料にありますように、平成10年度につきましては、これによって4万5,000件の事業場が新たに加入するという成果を得ています。予算的には11年度の予算を挙げていますが、約10億円ぐらいの予算規模で実施をしています。ここ数年は、毎年、大体5万事業場ぐらい新たに加入をしていただいているということです。ここのところ、若干ではありますが、伸びが落ちてきているという状況にあります。額ですが、適用勧奨の活動をした場合と、それによって具体的に保険加入に至った場合でランクを設けまして、その額を奨励金という形で出しているということです。額が細かいランクになっているものですから、またお示ししたいと思います。
○ 委員
小規模企業ですから、例えば保険料収入が年間で1,000万円というケースはないのでしょうが、仮に、年間の保険料が10万円の企業のケースで見れば、いくらの奨励金が出るのですか。
○ 事務局
これは加入する件数によって行っていますので、納めた保険料とは直接リンクはしていません。どれだけの数の事業場を加入させたかということで、そのランクにしたがって奨励金が出るということです。保険料の額とは直接リンクしていません。
○ 委員
ある特定の労働保険事務組合が、年間で10の新たな加入事業場があったというときには、いくら出るのですか。
○ 事務局
計算式が複雑なものですから、すぐには出ないのですが、それぞれの規模等に応じて、かなり細かい数字になります。
○ 委員
また別途教えてください。
○ 委員
関連しますが、単純に10億円で10万件をアプローチするということで割れば1,000円ですし、5万件アプローチすれば2,000円ということになるのですが、しかし、問題は、私どもが指摘、要請をしたのは、それにかかった費用が、対費用効果がどうかということではなく、未加入で救済できない労働者をいかに少なくするかというところに、その目的と意義があると私どもは考えていますので、確かに財政が逼迫しておりますから収支についても考慮する必要はあると思いますが、できれば、あまり収支計算を第一義にというふうには考えずに、やはり未加入事業場への働きかけ、加入促進は続けていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
○ 座長
適用促進に対する努力を引き続きやる、事務を効率的に推進するという趣旨でいきたいと思いますがよろしいですか。
○ 委員
何度か勧奨をしても入らない、手続を行わないという事業場に対して、罰則的な規定がありますが、それが実際に発動されたケースはどの程度あるのですか。今、奨励金の話が出ましたが、これは、ここに書かれている全国労働保険事務組合連合会に限られているのかどうか、その辺りを答えてほしいと思います。
○ 事務局
適用促進の委託関係は、労働保険事務組合の方に限定してやらせていただいています。罰則ということではなくて、給付を具体的に行った場合に、その費用に係る一部分を上乗せして事業主からいただくという費用徴収の規定があります。そういう意味で、罰則という形ではありませんが、手続を取らない場合には、事業主に、そういった意味での制裁と言いますか、ペナルティというものは制度としてはあります。
○ 座長
罰則ではなくて追徴金です。
○ 事務局
いま手元にそのデータはありません。
○ 委員
事務組合に奨励金のようなものを出すということですが、全国労働保険事務組合連合会というのは、特定の団体なわけですね。それを指しているのかどうか聞いているわけです。
○ 事務局
そのとおりです。
○ 委員
他に労働保険事務組合というのはいくつもあります。要するに全国労働保険事務組合連合会というのは、事務組合はみんな入らなければならないという事はないわけで、他の事務組合が加入促進といいますか、手続促進を行った場合についてはどうしているのか、その辺を答えてほしいと思います。
○ 事務局
国との関係では全国労働保険事務組合との間との委託ということですので、そこに加入していない場合には、具体的には対象にはならないという形になります。
○ 委員
全国労働保険事務組合に加入している事務組合というのは、おおむねどれぐらいになるのですか。
○ 事務局
大雑把に言いますと8割強です。
○ 座長
適用促進についての基本的な方向については、適用促進を図っていくということでまとめていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。その中にあります「労災かくし」の問題、これは事務局から資料が出ていないのですが、現状で、すでに厳正に対処する、あるいは死傷病報告書の提出の指導を徹底するということなどが書いてありますが、この要望を出された労働側としてはいかがですか。
○ 事務局
「労災かくし」についてですが、労働安全衛生法の第100条、労働安全衛生規則の第97条に基づきまして、「労働者死傷病報告」を事業者は出さなければいけないことになっています。どういう場合に出さなければいけないかといいますと、労働者が労働災害、その他、就業中または事業場内もしくは付属建設物内における負傷、窒息、又は急性中毒による死亡、又は休業をした時には、遅滞なく所轄の監督署に労働者死傷病報告を出さなければいけないということが、労働安全衛生法施行規則の第97条で決められています。
私どもは、こういった事故があった場合、この死傷病報告を出さない、あるいは虚偽の内容を記載して提出するといったものが「労災かくし」に該当すると考えています。いま座長からもありましたように、こういった事態があった場合には、監督等で発見をした場合には、非常に厳正に対処するということで従来から取り組んでいまして、年間では70〜80件ぐらい送検するといった対応もしているところです。これにつきましても、引き続き、そういった厳正な対応を行っていきたいと考えているところです。
○ 委員
労働者側として、年間どれぐらいの潜在するそうしたトラブル、事故があるかということを正直に言って把握しておりません。しかしながら、年間、電話による苦情相談などに対しても、10件を超えるということはありませんが、健康保険での治療を強要されたといった数件の事例が必ず出てくるわけです。そういうことで、全体像が把握できていないのに非常に厚かましいお願いであったわけですが、特に中小事業場においてそうした「労災かくし」があるとすれば、それはどういう所に起因するのかということを、是非一度調べていただいて、その真の原因を排除しなければ、その問題は改善できないと考えています。
例えば安全管理の悪い所に対して、労災防止指導員が重点的に指導に行くということで、受け入れるのが大変だとか、あるいは規定どおりにこれからやらされるので大変だとかいうことが、原因の1つになっているのではないか。労災の多発事業場における重点指導が翌年以降行われるということから、なんとかそういうものを回避したいということが背景にあるのではないかと予測はしていますが、確定的なものが把握できていませんので、是非本当のそういった「労災かくし」につながる要因を見つけていただいて、それを排除するという取組みをお願いしたいという趣旨です。
○ 座長
事務局の方で表向き「労災かくし」と言われても困るかもしれませんが、災害の実態は。
○ 事務局
委員が言われたような要因もあろうかと思いますし、例えば建設業などですと、重大災害なり死亡災害があると、発注機関から指名停止を受けるとかいうことも1つの要因となって、労働災害があったことを隠したのだということも、新聞記事で読んだことがあります。いずれにせよ、監督署なり、労働基準局は、そういった申告があった場合には厳正に対応するということで取り組んでいますが、役所は若干敷居が高くて行きにくいということもあるのであれば、労災があったけれども会社の方はきちんとやってくれない、隠しているのではないかといった相談に応ずる事業を考えるとかいった工夫が必要なのかなという感じはしています。
○ 委員
関連してですが、いま事務局が言われましたが、建設業の経営事項審査というのがありまして、その中で安全成績というか、そういう評価があるわけですが、具体的に例えば大臣許可の場合、どのような形でその成績を評価する、要するに通報をしているのかどうか、あるいは知事許可の場合についてはどうやっているのか、その辺りについて説明をいただきたいと思います。これは積極的なことで経営事項審査の中に、安全ということを重視するという審査項目が入ったことは正しいことだと思っているのです。けれども、どうも通報の関係で言うと、あまりパイプがきれいにいっていないのではないか、という感触をもっているのです。その辺りの現状を教えてほしいと思います。
○ 事務局
建設業については、委員御指摘のとおり、労働基準監督機関と建設省関係の、例えば建設省等との間で相互通報制度といったものがあろうかと思います。その運用については、私、正確には今申し上げる知識をもっていないのです。
○ 事務局
前に監督関係をやっていた関係で説明させていただきます。「労災かくし」は、年間100件近くを想定しています。そのほか労働災害が発生して安衛法違反がある、これに係る送検件数も大体全部入れて600〜700件になるのだと思うのです。こういうものは、建設大臣許可の業者については、監督署から地方の労働基準局長を経由して、本省に上がってまいりまして、労働大臣から建設省に通報する。これも相当数、今は件数をはっきり申し上げられませんが、かなりの数をやっています。都道府県知事認可の業者については、各地方労働基準局長の段階で通報するシステムです。現在も相当数、件数的にも機能していると思います。手元に数字がないのですが、かなり動いていると理解しています。数字は後ほどお出しできると思います。
○ 事務局
相互通報制度を実効あらしめるものにするため、本省段階でも、建設省担当セクションと労働基準局は定期的に会合をもって、お互いに連絡を密にしながら、相互通報制度を有効に機能するような形で、お互に連携をとってやっているということもありますので、併せて御紹介しておきたいと思います。
○ 委員
非常に難しい問題だから言いにくいことなのですが、後ほど議論が行われると思いますが、「メリット制」の問題です。メリット制は、労災事故が起こらないように安全対策なり 職場環境の改善に努力をされている事業主の保険料を少しでも安くする、あるいはその逆に重くするという作用をしていると思うのです。逆に、メリット制がこういった「計画かくし」に繋がるのではないかという意見はずっとあるわけです。あるというふうに私が断定してしまうには何の資料もないものですから、それ以上は言いませんが、そうした声なりに何かコメントをすることが、事務局としてあるかどうかお聞きしたいと思います。
○ 事務局
確かに災害の発生が少ないということになると、そのメリット制の利益を受けられて、料率なり保険料が減額されるといった制度が、1つの「労災かくし」のインセンティプになっているのではないか、というような考え方があることはよく承知しています。しかしながら、これはなかなか立証は難しいものであろうと考えています。ただ、災害が少ないということでメリット制の適用を受けたということであっても、労災をかくしていたということが事後分かった場合には、そのメリットについても計算をし直すということを当然やっていますので、必ずしもメリット制だけが「労災かくし」につながっているというふうには考えられないと思っています。
○ 委員
こういうことを聞くと話が脇道に逸れる恐れがあるのですが、年間70〜80件送検するということなのですが、これはそういう疑いがあるというか、送検の対象になったのが、結果的に70〜80件だと思うのです。いわゆる「労災かくし」と疑われる事案というのは、年間どれぐらいあるのですか。その結果70〜80件に留まっているということですか。
○ 事務局
性格が「労災かくし」なものですから、隠されていますので、年どのくらいというのは。
○ 委員
70〜80件が最後には送検ということになったので、途中の段階で、いや、これは送検をするまでもないと、疑いが持たれたものというか。
○ 事務局
その点、ほとんど全数送検をしているのが今の姿なのです。これは、事が根が深いので、捕まえたものは例外なく送検をする。捜査上立証が困難というのは例としては出てくるのでしょうが、原則は全部送検という処理をしています。表面化したものがその数字とイコールになると、このような扱いになっています。
○ 委員
その上で質問をしたいのですが、70〜80件のうち、例えば送検をする段階、立証段階で、当然訴状なりには、なぜ隠したのかという理由なり原因を書かなければなりませんね。その理由なり原因を分類していった場合に、いちばん多い理由はなんですか。
○ 事務局
60年代、今の問題は大変大きく取り扱われた時がありまして、労働省労働基準局長名で厳正な監督をしろという通達を出しています。その際、各局動員して内部的に今お話のあった原因を調べているのです。その時、圧倒的な数で出てきたのが、元請から閉め出されるということなのです。そのほかメリット制の問題とか、いろいろな問題が小さくありますが、圧倒的多数は元請から排除されるというところで、下請業者として元請に隠してしまう。さらにそれをもう1つ引っくり返せば、元請のメリットとか、いろいろな社会的信用とかが出てくる。それが非常に大きなものだったと思っています。
○ 委員
今話になっていました指名業者というか、公共事業などから外されるということを恐れるというのも理由になっているのですか。それはかなり多いのですか。
○ 事務局
圧倒的に多いのは元請と下請の関係です。元請から排除されるというのは、非常に大きな動機になっていて、5割を超えていたと記憶をしています。
○ 座長
いわゆる「労災かくし」問題については、原因はいろいろあるにしても、その原因に即して厳正な対応ができるように改善をしていく、「労災かくし」のないような方向にもっていくということで、さらに当局に努力を促すということでいきたいと思います。また、まとめの段階には改めて御相談をいたします。
次の就業の多様化に対応した保険の対象労働者の拡大問題、特にシルバー人材センターの問題について、現状の説明がありましたが、今日、追加資料があるようですので、お願いいたします。
○ 事務局
シルバー人材センターですが、概要は資料6頁です。定年退職後の高年齢者等に対しまして、就業機会の増大を図ろうという趣旨で、60歳以上の健康で就業意欲のある高年齢者を対象にして、こういった事業をやっているということです。仕事の内容は、例えばワープロ宛名書き、公園管理、あと皆さんがよく見かけるのは駐輪場の管理とかといった、いわば雇用、あるいは労働と若干違うような、請負なり委託なりの形で仕事をするということが多くあるわけです。団体の数としましては約800で、会員総数は約50万人といった状況になっています。
御要望の趣旨は、労働者の定義を適切に拡大しろということが入っています。労働側の要望の(6)、手間請け従業者もいわば「労働者性」の判断の問題です。この2つの問題が関わるということで、労働者性の問題について説明させていただきます。
資料2の37頁です。御承知のように、労働基準法上、労働者というのは基準法の第9条で定めていまして、その適用対象である労働者については、「使用される者で賃金を支払われる者をいう」となっています。したがって労働者であるかどうか、我々はよく労働者性の有無と言うのですが、これについては使用者の指揮命令下にあるかどうか、そういった労務提供の形態、それから賃金の支払いという、その報酬の労務に対する対償性、要するに報酬が提供された労務に対するものであるかどうか、こういった基準で労働者性が有るか無いかといったことを総合的に判断しております。37頁は昭和60年の労働基準法研究会で示された労働者性の判断の基準の項目です。
なお、この60年の労働基準法研究会の報告自体は、資料1の24頁以下に添付してございます。ここには指揮監督下の労働にあるかどうかのメルクマールとしては4つ挙げています。1つ目は仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無、要するに言われた事について断る自由があるかどうか、断れるのであれば使用従属性がない、指揮監督下の労働とは言えないという考え方です。2つ目は、業務遂行上の指揮監督の有無、これは、こういう仕事をこういうふうにやれといった指揮なり監督があるかどうか、それがあるのであれば、指揮監督下の労働と言えるであろうということです。拘束性の有無。これは、時間なり勤務場所等について拘束性が有るかどうか、これが有るのであれば指揮監督下の労働と言えるであろうということです。4つ目は代替性の有無。代替性というのは分かりにくいのですが、どういうことかと言いますと、本人に代ってほかの者に仕事をさせることができるか、あるいはその本人にプラスして補助者を自分の裁量で使うことができるかどうかといった意味です。そういった意味の代替性があるということであれば、指揮監督下の労働とは言えないだろう、労働者性が薄いという考え方です。
次ぎに、労働者性の判断を補強する要素ということがありまして、使用従属性だけではなかなか判断できないという場合、事業者性の有無といったことも判断をしています。例えば、自分で機械なり器具、しかも割と高価な機械とか器具を持ち込んで仕事をしているということであれば、労働者というよりも事業者性が強いのではないか、あと負担関係であれば、仕事で何か損失が出た場合、その損失を働いている方が負担をするということであれば、労働者というよりも事業者性が強いのではないかということです。
報酬の額も、一般的に雇用されている人よりも相当高い報酬を貰っているということであれば事業者性が高く、労働者性が薄いのではないかという考え方です。いずれにしても、労働者であるかどうかという問題については、こういった要素を総合的に全体判断をして決めるということになっています。この意味は、例えその契約の内容が、シルバー人材センターみたいに請負とか委託ということであっても、働いている実態がここに挙げたようなメルクマールなり基準に照らして労働者性があるというふうに判断をされれば、当然ながら、その人については労働者として取り扱うという考え方で臨んでいるということです。
ちなみに御要望がありました「手間請け従事者」ですが、これについても平成8年の労働基準法研究会で事例研究的なものが行われております。資料1の10頁以下です。11頁に「手間請け」の意味を定義しており、工事の種類、坪単価、工事面積等により、総労働量及び総報酬の予定額が決められ、労務提供者に対して、労務提供の対価として、労務提供の実績に応じた割合で報酬を支払うといった、建設業における労務提供方式を「手間請け」と定義するということです。
「手間請け従事者」につきましても、60年の基準法研究会で示されたような判断の基準、つまり、その仕事の依頼に対して諾否の自由があるかどうか、業務遂行上の指揮監督があるかどうかにつきまして、具体的に見たものが資料の14頁以下です。この平成8年の基準法研究会の報告というのは、「手間請け従事者」に対して、60年の基準法研究会で示された判断基準を具体的に考えるとどういうふうになるかといったようなことを、研究なり分析をしたものです。
ひとつひとつの説明は避けますが、諾否の自由、指揮監督の有無、拘束性の有無、機械・器具等の負担関係の有無、負担関係の状況等によって、「手間請け従事者」については、実態判断をして労働者性を考えるといったことで取り組んでいるわけです。いずれにしましても、労働者性の問題につきましては、先程来申し上げていますように、実態に照らして総合的に判断をするということで、シルバー人材センター会員だからといって、全部が全部労働者でないということを前提に判断をしている、ということではないということです。
観点は違うのですが、労災保険の場合は、基準法上の労働者に適用することが原則ですが、基準法上の労働者でない場合にも特別加入という制度を設けていまして、いわば労災保険の適用を拡大する制度が資料の7頁にあります。労働者でない場合も特別加入できるのが(1)〜(3)でして、中小事業主、一人親方、特定作業従事者、これは例えば家内労働者とか、特定な危険な機械を扱うとか有害業務を扱うといったことに着目をして、特定作業従事者についても特別加入ができるといった仕組みを作っています。ただ、ここで言われているシルバー人材センターの会員については、特別加入の制度は現在のところはありません。なお、「手間請け従事者」については、建設業ということで、人を若干使っているのであれば、中小事業主に該当するという場合はあろうかと考えています。
要望では上がっていないのですが、事務局でも今、若干問題意識をもって検討しているのはホームヘルパーです。家政婦紹介所から紹介をされて家庭に雇われるという人というのは、労働基準法上の労働者ではない、労働基準法が適用されないことになっているものですから、この人たちについて、もし災害があった場合にどうするかといったことは、若干問題意識をもって、今検討をしている状況にあります。いずれにしても、労働者性については、シルバー人材センターの会員、あるいは手間請け従事者についても、その実態に応じて適切に判断をしていきたいという考え方です。
○ 座長
ありがとうございました。要望を出された労働側の御意見はいかがですか。要するに労働者性を認めてくれということなのか、労働者性を認めるかどうかというよりも、そうではない場合には特別加入という制度を使ってとにかく適用するようにしてくれという御要望なのか。その辺について、ここに書いてあるのは、保険の対象にすることと書いてありますが、その辺の要望の趣旨、狙いはいかがですか。
○ 委員
これは3と6の関係、7の関係と、明らかに2つ目的があります。1つの方は働き方が多様化をしているということで、シルバー人材センターなど、例えば事業主がいかに低賃金労働者を確保するかということで、シルバー人材センターを通じて、指定されている以外の、例えば工場での加工や剪断とかの作業に従事して、災害に遭ったという事例などもありました。そういう事例が具体的に出てきているということです。
さらに今家庭に雇用される介護を行うという問題と合わせて、今度介護保険制度が出来ますと、低額手当でのヘルパーが出てくる。ホームヘルパーで、例えば行政に雇われるとか、あるいは民間の介護事業主に雇われるとかいうことが起こってきて、なるべくならNPO事業体が低額手当で、例えば通勤手当とか弁当代程度でやることになってくる。この作業遂行中に起こる災害というのは非常に少ないと思うのですが、ホームヘルプ事業ということになりますと、患者さんの所を1日に何カ所か回ることになりますと、その移動中の交通災害というものが、非常に危険度が高くなる、罹災率が高くなるということを心配しているわけです。
そういうものをどうするかという問題が、私は喫緊の課題となるのではないかと判断をしておりますので、そういった新しい働き方といいますか、労働省が今年の6月11日に出された「緊急雇用対策」の中では、雇用機会を増やすのではなしに就労機会を増やすということで、2000億円からの予算を付けられたものに関連する事業についても、いろいろなものが出てきている。それぞれ都道府県で検討をしていますから、そういう実態も踏まえた対応策が必要であるということです。
6番に関連していると思いますが、特別加入に関連する一人親方などの働き方の問題は、例えば、工事に関連する環境対策等の関係で元請事業主の管理監督を非常に強く求めて、就労時間であるとか公害対策であるとかいうものが強く求められるということで、いわば請負ということになっていますが、原材料の調達から廃材の処理まで、すべては元請事業主の責任で行って、いわば時間労働者と同じような働き方も増えていると私どもは判断をしております。そういった実態に照らしてこれをどうするのかという問題です。
もう1つは、提起されている委員から説明をしていただきたいのですが、なかなか事業は成り立たないということで、いくつかの業務を掛け持ちでされるという所などでは、特別加入者が、それぞれの事業ごとに保険を掛けなければならないという矛盾も現在あるということでして、これらを一度整理していただいて、今回の改正で、ここは大きく変化していますから、できれば的を絞るものの1つとして、この部分については検討をいただきたいと私どもは考えています。
○ 委員
おおむねのところは、今発言をしていただきましたが、基本的に労働者性がより強いといいますか、そういった人については労働者として扱う、救済する方向をとるべきではないかと考えているわけです。そこで、60年の研究会報告、平成8年の研究会報告は、この議論をすると非常に長くなると思うのですが、それなりに差異がある。私たちとしては後に出た平成8年の研究会報告のほうが、より手間請負の労働者性を、労働者として見る要素として高く見ていると考えているのです。
ところが、実際の労災事故が発生した場合などの現場と言いますか、基準局、監督署段階におきましては、どうもこの問題でいろいろと論争をするケースがあるのですが、60年の基準を基本に置いていて、8年の報告は、ここにも書いてあるとおり参考ということになるようです。もう少し突っ込んで言えば、建設業のみならず、今働き方が非常に変わってきている。雇用の契約なのか請負いなのかという、その境目がなかなか難しくなりつつあると思うのです。そういうところで、少しでも労働者性が強いものについては、労働者として扱うというふうな姿勢をとってほしい。その根拠として、平成8年の研究会報告があると思われます。要するに60年と8年と同様の研究会報告について、実際、労災関係者の皆さんは、どう受け止めておられるのか、そこから議論をしないといけないなとは思っているのですが、我々は前進したものと考えています。
例えば住販メーカーなどですと、有無を言わさず一人親方に入れてしまう、そうでないと就業させない、そういうケースが本当にたくさんあるわけです。それならば、本来から言えば、今言われたように、そんなに違わないと言いますか、出来高払いの労働者と同じような扱いの人たちについても、基準局や監督署は、一人親方の特別加入に入っているから労働者性の問題などはいちいち論争をすることはないと、現場ではそういう対応をされるケースが非常に多いのです。
この議論は単純ではなく今日で終わらない議論だと私は思っているのです。まとめて言いますと、要するに60年と8年の、それぞれ労働省が設けられた研究会報告についての差異がどの程度あると見られているのか。我々は積極的に平成8年報告を評価している。そこで、参考ということではなくて、少なくとも労働者性の判断の事務担当を行う人たちを拘束する内部通達ぐらいは出すべきではないか。そんなふうに考えているわけです。
一人親方の問題は、今のことをお答えいただいた後にもう少し述べたいと思います。
○ 事務局
最初に60年報告と8年報告の関係についてお答えしたいと思います。私どもの方では、60年報告、8年報告、いずれも業務をしていく上での1つの重要な参考資料ということで扱っています。特に60年報告を優先させて考えるべしとか、そういった指示は、もちろん一切しておりません。捉え方といたしまして、私どもの理解としましては、8年報告というのは60年報告をある意味で具体化したというか、より検討を深化したものであろうということで、中身的に矛盾するものとも考えていませんし、その意味で、特に取扱いの軽重ということをあえてしているということはありません。両方とも、要な参考資料として、きちんとそれを踏まえて判断するように、地方には、両方の中身について周知をこれまでもしてきていますし、今後もその辺りの周知をしっかりしていきたいと考えています。
○ 事務局
ボランティアのお話があったかと思うのですが、確かに最近NPOといったものが話題になっています。NPO自体は、1つの団体を作っていれば、そこで働いている従業員と言うか、職員と言うのか、団体に従事している人は、当然ながらそこの団体に雇用されている人、労働者という位置付けで、労災保険が当然適用されるということになっています。NPOのトップの人ですが、業種的にサービス業に当たるという考え方から、中小事業主として、制度上、特別加入はできるといった考え方になっています。実際に、ある団体がありまして、そこの団体のトップの方が特別加入をしていまして、何か災害があった時には給付が行われたといった事例はあります。
ただ、有償ボランティアというものがどういう実態にあるかということは、詳らかには私は承知をしていないのです。例えば、休みの日、1日、2日行って、何らかの団体の活動に従事するといったような人について労働者性が有るか無いか。あるいは特別加入の対象として考えるかどうか。休みの日にたまに行くとかいう実態で、あるのであれば、そこはなかなか難しいのではないかという感じを受けています。
○ 委員
今特別加入のことについて出てまいりましたので、お願いがあるのです。海外派遣者の問題なのです。私どもの検討項目からすると、引き続いて検討をしていただきたいという所の中に、「海外派遣者等の特別加入の給付基礎日額等の見直しと、事務組合委託義務付けの廃止」という項目を入れていまして、それについてまた時間を取っていただけるのならそこでやりますが、今、たまたま特別加入制度の問題が出てきたので、もしここで発言してよろしければお願いをしたいのです。
○ 事務局
進め方について私が御意見を申し上げるのは僭越かも知れませんが、経営側からいただいた意見としては、まず優先的に検討をすべき項目ということで6項目をいただきまして、これをまずやろうということで整理させていただいています。確かに優先的検討項目に引き続き検討をすべき事項ということで、御指摘のありました特別加入制度の在り方についても触れられているのは承知しております。私がこういうことを言うのは僭越ですが、今この場で検討する問題には入っていないと私どもは理解をしています。ただ、お話を聞いて今後の参考にするという趣旨であれば、内容についてお聞きしておくのはもちろん結構です。
○ 委員
後でまた機会をとっていただくということで結構です。
○ 座長
今の3番目の項目ですが、私個人の意見を申し上げても何ですが、新しい雇用対策計画でも、NPOだとか、ボランティアとか、介護労働者の問題、今までのタイプとちょっと違う労働者が出てきている。労働者と言うかどうかは別として、就業者が出てきています。それに対して、個々具体的に個別判断で労働者性が有るか無いかという議論を一人ひとりやっていっても大変な問題ですから、やはり概念的に、ある程度、いわば典型的な形の、こういう人たちは労災保険についてどう考えるかという、いわば対応の方針といいますか、労働省として、多様化の時代の新しいタイプの就業者の労災保険問題についてどう考えるか。それを検討してもらうということは、今回すぐ結論が出るかどうかは別として、検討課題として出しておいたらどうかなと思いますが、よろしいですか。
○ 委員
そういうまとめで結構です。私どもは個々については調べておりますが、いま事務局からも発言がありましたように、NPOの事務局の専従者については、事業主として、あるいは従業員としての加入ができることになっています。私どもが求めているのは、例えば、通常は他の事業主に雇用されているとか、事業をやられているとかいう方で、休日だけ、時間外だけ有償ボランティアとかNPOに加入してされている方について、新たに労災に加入をさせろと言っているのではないのです。
家庭の専業主婦の方が、1週間のうち何日間かそういう形でボランティアを行うとか、他に雇用契約を結んでおられない方がNPOグループに入って介護事業をやるという実態も最近増えてきている。NPOの団体がやる場合に、どういうふうに救済をしてやるかということが、非常に今難しい問題になっていると思います。総論でどういうものについては就労者と見なすということを検討する場を是非つくっていただいて、方向を出していただきたいということです。
○ 座長
それでは、そういった方向で少し議論のまとめをしていきたいと思っておりますが、具体的には後ほど案がまとまったところで相談しましょう。
次に、(4)にいきます。じん肺症について、その患者が肺がんになった場合の給付対象問題ということですが、これは国際的な動向を反映して、検討部会をつくっているということです。これには資料もありますが、対応策について何か御説明はありますか。
○ 事務局
資料1の「現状」及び8頁の参考4に書いてありますが、じん肺の管理区分として、1から4までございます。管理4というのが、いちばん重い区分になるわけです。現在の取扱いとしましては、じん肺管理区分が管理4と決定され、そういった人に発生した肺がんについては、業務起因性があると判断しているところです。どのくらいの件数があるかというのが、8頁の上の表の「じん肺肺がんに係る労災補償状況」です。最近は20〜30件ぐらいの認定があります。じん肺管理区分の1から4がどういうものかというのが、下の管理区分の表です。管理4というのは、非常に影が大きいとか、じん肺による著しい肺機能の障害があるという状況の者です。
なお、この問題につきましては、国際がん研究機構が、二酸化珪素、いわゆるシリカについて、発がん性の評価を変えております。そういったことも踏まえまして、本年度から2カ年計画で、じん肺患者に発生した肺がんの問題をどういうふうに考えるかといった検討を行っております。36頁ですが、専門検討会をつくって現在検討を開始したという状況です。要望のありましたじん肺症についても、合併症の認定基準や考え方を改善し、管理3の者が肺がんを発症した場合、給付対象とするなどの見直しを行うといった点につきましても、この専門検討会の検討結果を踏まえまして、対応を考えたいと考えているところです。
○ 座長
事務局側の対応についていかがでしょうか。
(異議なし)
○ 座長
どうもありがとうございました。それでは次の(5)、障害等級の認定基準の見直し問題にいきます。これも前回の現状の説明では、とにかく分野別に検討会をつくって、見直しの必要性について検討を行うこととして動いているようですが、何か追加的な御説明はございますか。
○ 事務局
この点につきましては、特に追加資料あるいは添付資料はありません。この前も申しましたように、障害等級表等につきましては、昭和50年以来、大きな見直しや改正をすることなく現状に至っております。現在、直しをする必要性があるかどうかという点も含めまして、本年度から専門検討会を設置したいと考えております。これには2、3年かかると思いますが、その結論を待って対応を考えたいと思っております。
○ 座長
いかがでしょうか。
○ 委員
同一の障害で男女で障害等級が異なる扱いになっているケースが今あるのですが、均等法の精神からすれば、その精神に則って改善したほうがいいのではないかと思いますので、折角の御検討の際には、その辺もひっくるめた検討をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
○ 事務局
今の問題について、今の段階でははっきりお答えできないのですが、認定基準で定めるいろいろな検査手技は昭和50年のものですから、現実の医療現場での実態に合わないような機械であったり、出てきた数字をどう評価するかというのも、20数年経って医学的な知見というものもかなり変化しているわけです。そのようなこともありまして、まず認定基準自体の問題点を整理しようという作業を今進めております。そういう中で、障害等級表に問題が転嫁するなら、また1つのテーマとして検討していこうという手順で進めております。ですから、今お尋ねの件については、私どもが進めようとしている検査手技の洗い作業のほうを先に進めさせていただいて、その後でお話のような問題に入れるかどうかを考えていきたいと思っておりますので、そのような形で進めさせていただきたいと思っております。
○ 座長
それでは同じ項目で、はり・きゅうの給付対象問題について改善を要望されておりますね。現行の(1)(2)の条件に該当する場合にやっているということですが、これを改善しろという御趣旨ですか。
○ 委員
これは西洋医学と東洋医学の問題、医療界の問題にも関連するのです。私どもが要請を受けますのは、国民個々人の基礎体力が低下していて、筋を吊った、筋が切れたという事例が非常に多く、むしろ湿布をするよりも、はり・きゅうの方がより効果的だという事例があるのです。結果として、私は自費でそういう治療をして治癒しました、という事例なども出てきているわけですが、西洋医学に関わっている医師はそれを認めてくれなかったという事例がちょっとあるのです。私どもは素人ですから、医学的にどちらが正しかったのか、東洋医学に関する治療のほうが効果が絶大であったかどうかが証明できないだけに、非常に難しい問題ですが、そうした意見があって、そうした多面的な治療をすることが促進できるようにお願いしたい、という趣旨でお受け取りいただきたいと思います。
○ 事務局
はり・きゅうの問題につきましては、いわば医学界全体にも関わる問題です。御承知の方も多いかと思いますが、はり・きゅうというのは、日本の医療の考え方では、確かに医療類似行為というように位置付けられておりまして、医療本体とは違うという位置付けになっております。そういったことを踏まえまして、現状では、主治医が必要と認める、あるいは診断書を書くということが条件になっております。はり・きゅうを実施する期間につきましても、一定期間に限るといった扱いになっております。この辺については健保等とのバランスもあるということで、こういった扱いを変えていくのはなかなか難しい状況にあるのではないかという感じを受けております。
○ 座長
ほかに御意見はございますか。一応要望が出ておりますので念頭に置いていきたいと思います。次は手間請け労働従事者の問題ですが、これは先ほど議論がありましたように、8年の報告について業務の参考としていくということで指導していただくようですが、これでよろしいですか。
○ 委員
ILOの場でも請負労働ということで論議されてきております。その概念についても皆さんの考え方はいろいろ違って、結果的には結論を得ないまま、あと3年後ぐらいに再度議論するということになっているようです。日本の政府は、残念ながら、請負労働は労働者性が高いという立場に立たないような考え方を示されたように聞いております。この問題は、一連の問題として、建設業のみならず、請負いのような形で契約が行われ、実際は雇用という内容を持っているような労働が、これからどんどん増えていくと思うのです。その辺りで、今の対応については、日本政府はちょっと遅れているのではないかという感想を持っておりますので、ILOの問題について、もし何かコメントすることがあったら、おっしゃって欲しいと思います。
○ 事務局
たしかに2、3年前だと思いますが、コントラクトレーバーというものが、ILOで議題になりました。
○ 事務局
コントラクトレーバーが議題になったことは事実です。長い検討を経て、昨年の総会で議論になったのですが、結局条約にはならないで、数年間待って再検討することになっています。その際に日本政府として言ったことは、日本の場合は雇用関係と請負いとは違っていて、もしコントラクトレーバーという概念を持ち込むならば、一体どういうことになるのかということを問題にしたわけです。日本がそういう問題提起をしたこともあるのですが、ほかの国々からも同じような問題意識がかなり出まして、最終的には、さらに状況を調査して議論に備えるということになりまして、先延ばしになったわけです。
そういう意味で、その場で日本政府があえてコントラクトレーバーという概念を否定したということではありません。つまり、日本の法制からすると、仮に両者が請負いという形を取ったとしても、実態が労働者であれば労働者であるという主張をしたわけです。そういう法制にとって、コントラクトレーバーというのは一体どういうふうに位置付けられるかという問題意識だったので、今の委員の御説明とは、ちょっと違うのではないかと思っております。
○ 座長
いまの質疑応答は、テイクノートしておきましょう。ほかになければ(6)はいかがですか。
○ 座長
(7)は、建設業に関する労災保険上の適用業種区分の問題です。事務局側の現状の説明もありますが、要望を出された労働側として、何かコメントがございましたらどうぞ。
○ 委員
先ほども発言がありましたが、ここでは非常に零細な事業場のことを言っているわけです。事業主本人も特別加入するような事業場で、加工する建屋を持っている、あるいは現実に建築物を構築する現場があると。その加工する作業場なりを持っていると、そこの部分は製造業だとおっしゃるわけですが、そこの線引きの問題が非常に難しいと思うのです。極端な例で言いますと、最近はそんなにたくさんの人を使っていない、数人も使っていないような大工でも作業場を持っているじゃないか、だから作業場の方は製造業で、建築は現場を指しているわけで、労災の成立は2つの事業によって行われるべきだという主張が、現場で再三行われるケースがあるわけです。
それは私たちから見た場合、全てを建築現場で加工するわけではないですから、最近はちょっと硬直的な判断が、それぞれの監督署の段階で行われているように思っております。そういうことはやめていただいて、何がその業の主たるものかというところで、建設業であれば建設ということで成立させる、そのようにお願いしたいということです。
併せまして、仮に加工する所に専門の加工する労働者がいて、事業主もその仕事をするとした場合、ここにも書いてありますように、2つの特別加入を行わなければならないことになります。いまの私の理解が違っていれば言って欲しいのですが、そうすると基礎日額に365日を両方とも掛けることになるというのは、誰が考えても矛盾した話だと思うのです。同じ人間が同時に2つの事業をこなしていくことはないのです。かつて一人親方の特別加入が、いつから入っても1年365日だと定められておりましたのが、前の見直しの中でいろいろ直されていった経過から考えますと、仮に事業が2つあるとした場合、それぞれの割合によって、特別加入すべき月で割るなり、そういう方法を取ることができるのではないかと思うので、そこのところを要請しておきたいと思います。
特別加入の範囲につきまして、一人親方の問題です。これは要望とは書いてなくて、説明の所に書いてあります。先ほどの議論ともよく似てきますが、仮に大きく譲って請負いとした場合、いろんな新しい業種が生まれてきているわけです。しかし、一人親方が加入できる業種というのは非常に限られているのです。これを拡大することは、労災保険の財政にとって、それほど難しいことではないのではないかと思いますので、要望しておきたいと思います。
○ 座長
事務局から何かコメントはございますか。
○ 事務局
基本的な適用事業の種類の決定につきましては、有機的に経営体として成立している1つの事業については1つの料率を適用するというのが大原則です。その場合、どういうふうに決めるかについては、やはり具体的な作業なり、内容なり、従事している労働者の数なり、どういう物を作っているかなどを勘案しながら、何が主たる事業であるかということを見て、それで判断します。個々に見れば、いろいろな作業が複合的に形成されて1つの事業になっているものもありますが、主たるものが何であるかということを個別に判断しながらやっているということです。その辺で硬直的という御指摘がございましたが、我々としましても、適用事業の料率を決定するに当たっての最初の問題ですので、その辺は慎重に、これからも指導していきたいと思います。
○ 委員
2つの特別加入の問題は、同一人として考えた場合、どうお考えですか。
○ 事務局
御指摘は、建設現場でも働き、自分の仕事場も持っていて、自分の仕事場でやっている仕事が特別加入が認められる仕事である場合、建設現場と両方の保険関係を成立させて、日額を決めて保険料を払うとき、自分の仕事場の方は365日分を特別加入分として払うのだけれど、現実には建設現場へ行って働いているのだから、365日分というのは払い過ぎではないかという御趣旨でしょうか。
○ 委員
そういうことです。
○ 事務局
これには保険整備の問題もありますので、特別加入制度をどういうふうに考えるかです。特別加入制度において、そういう案分的なことが可能なのかどうかという検討を踏まえて、仮に可能だということになれば、そういう形で適用のほうはやっておくということですが。
○ 事務局
次回までに考え方を整理して、また議論させていただきたいと思います。
○ 委員
いま細分化してあるものを、もう少し大括りにできないかということですよね。
○ 事務局
労働者がいる零細企業で1つの事業であれば、1つの料率しか適用になりません。ところが一人親方ということになりますと、一人親方は事業主としていろんな作業をしますので、場合によっては分けて、この部分は特別加入、この部分は中小零細企業の使用者としてということが保険的には出てくるだろうと思います。ですから特別加入の部分と、一般の適用事業という考え方とは、必ずしも一致しないということです。
○ 委員
前にも言いましたが、非常に零細な事業場で、加工するための作業場を持っていて、加工した物を現場へ行って組み立てるなり、建築するなりというのは、全体として言えば建設の事業でいいと私たちは思うのです。しかし、そこの部分で現実に指導が行われるときには、製造業ですよ、建設事業ですよということで加入を求められるわけです。要するに、それぞれで成立させるという問題がたくさん発生していると思うのです。
○ 事務局
それは1つの事業場が複数の作業を行っているということですか。
○ 委員
複数の作業と言いますか、作業場を持っていると、ほとんどのケースでそういうことをおっしゃられるのです。
○ 事務局
適用する側から申し上げますと、基本的には労働者の比率がどうなっているか、あるいは売上げがどうなっているかを見ながら、そこは個別に判断するということしか申し上げられません。
○ 委員
分かりやすく言えば、指し物大工屋がドアを自分の工場で作ると、そこでちゃんと入っておかなければならない、そこで出来上がった物を持って行って作り付けをすると、今度は建設業として入らなければならないということです。
○ 座長
プレハブを起こすときのように、木材を切る時点では木材製造業になって、組み立てるときには建設業になる、別々の業種でやるということだけれど、1つの目的のための連続した作業であれば、一貫した作業として1つの業種区分で考えるということもあり得ると思うのです。
○ 委員
1つで良いのではないかということです。
○ 座長
それは、今結論が出なければ出ないで結構ですから、実態を研究してください。
○ 事務局
もう一度相談させていただいた上で、次回にまたお話させていただきます。
○ 座長
よろしければ、労働者側から出していただいた要望事項についての議論は、一応終わることにしたいと思います。次に、使用者側から提示された事項についての意見交換に入りたいと思います。もちろん結論はまだ先送りですが、労働福祉事業の見直し問題、労災病院のあり方の検討というのは、今回の小委員会のメイン的な検討事項ですので、もうすでに一応の議論は終わっておりますから、(3)の労災年金と社会保険給付との調整から入りたいと思います。この前、すでに現状の説明がありましたが、「あり方の検討」というのは、どういう意図をお持ちで提案されていらっしゃるのか、もう一度趣旨説明をしていただいたほうが、事務局側のコメントも出しやすいと思いますので。
○ 委員
3つほどございます。確かに現在の障害年金というのは、労災保険の障害(補償)年金と厚生年金の障害年金とが同一の事由に基づく場合は調整しているのです。ところが事由が違うと、ここにも書いてありますように調整しないわけです。事務局のペーパーで明記されているのは、老齢厚生年金と労災の方の障害(補償)年金との関係は、やっていないということなのです。例えば定年後に障害年金を受給している者が、今であればずっと年金がもらえるわけですが、障害がなくて雇用されていても、通常であれば、60歳なら60歳になれば定年で退職してしまうわけです。そうは言っても、人によっては、60歳を過ぎてもいろいろな仕事に就く方もいらっしゃるわけではありますが、ずっと障害(補償)年金がもらえるという制度は、やはりおかしいのではないかと思うのです。ですから、例えば70歳ぐらいになったら障害(補償)年金を打ち切るということを考えてもいいのではないか、という点が1つあります。
もう1つは、60歳以上の方々で、老齢厚生年金をもらっているケースがあります。賃金の額によって調整はされますが、老齢厚生年金を受給しながら、その方が働いているというケースがあります。そのときに労災の方で事故があると、休業補償というものが出ます。そういう意味では休業補償と老齢厚生年金と両方から出るということがあるわけです。そのときに、金額によっては両者の調整をするということが必要ではないか、という点が2つ目です。
3つ目は、今すぐの話ではないのですが、来年4月から介護保険法が施行になります。その段階で、今まで労働省がやっている介護(補償)給付との調整が必要ではないかと思います。その3点です。
是非、一度整理したようなものを作ってもらえるとありがたいと思います。例えば今賃上げのときに、高卒で賃金30何万円という平均的なものがありますね。これだけの賃金の人が、35歳なら35歳で障害を持ったときに、その方はどれだけの障害年金がもらえるかというのが1つです。これは労働省サイドの問題です。ところが障害の部位や何かによって、その方が働かないケースと働くケースの両方があるのです。そうすると、35歳で障害を受けても、その方がずっと引き続いてその仕事をしていると、60歳まで働くわけです。20歳から働くとすれば、60歳までの間の40年間の老齢厚生年金が60歳から出ることになります。そうすると、労災の障害(補償)年金と厚生年金の老齢年金が60歳から両方出るわけですが、今は全く調整されていないので、相当な収入になるケースが出てくるのです。
しかも労災の方の障害(補償)年金は、額は変わってきますが、70歳になっても75歳になっても出るわけです。やはり事由が違うからといって調整しないという発想をするのではなくて、そもそもの目的からして一体どうなのかということについて、やはり私は検討していただいた方がいいと思うのです。昔、失業給付と年金給付とは支給事由が違います、ということを2つの省はずっと言い続けてきたわけですが、結局、前回の平成4年の年金改正のときに、失業給付と年金の関係も調整しましょうということで踏み切ったわけです。すべてについて給付しないということではなくて、額によって調整するという方法を取ってもいいだろうと思うのです。その辺は是非検討していただきたいというのが、私どもの趣旨です。
○ 事務局
そこら辺について、私どもは、ちょっと違う考え方を持っております。労災補償というのは、要するに労働者のトータルの所得を補償すること自体を目的とした保険ではないわけです。労災保険というのは、労災事故によって被った損害を補填するのが目的です。受けた損害が、厚生年金あるいは国民年金と労災側から二重に補填されるのはおかしいではないかということで、二重の補填を回避するといった意味で社会保険と調整しているわけです。そういった意味では、同一事由に対して労災あるいは社会保険から給付がなされる場合について、調整は必要だと思いますが、それ以外の場合、例えば結果的にもらうお金が多いのではないかという観点から調整するというのは、労災保険の場合、私どもはいかがなものかと考えております。
(3)の問題意識としては3つ伺いました。1つ目の、労災の障害(補償)年金が終身に出るのはおかしいではないかという問題は、社会保険の調整とはちょっと観点が違うと私どもは考えます。これも従来の審議会の問題になっておりますが、もし関連があるとすれば、次の4頁の(1)、年金の給付基礎日額の最低・最高限度額をどう考えるかです。確かに日本の年功制を反映して、中高年で高い賃金のときに事故に遭った場合、それをベースにして高い給付基礎日額のまま、60歳を超え70歳を越えてもずっと年金が支給されるのはおかしいではないか、そこをどう考えるかという問題としては、考えるべきではないかと思います。
2つ目は、老齢年金と休業補償についてです。これも冒頭に申しましたように、労災と社会保険との調整というのは、同一事由で二重填補がなされてはいけないという観点から調整すべきであって、結果としてもらうお金が多いから調整すべきという考え方を取るのはどうかと私どもは考えております。
3つ目に御指摘がありましたのは、介護保険との関係です。これは従来から申し上げておりますように、介護保険と労災の介護補償給付は、法律で調整するということで決着が付いております。どういうやり方でやるかというのは、また次回に資料を提出したいと思います。労災の方をまず先行して支給するというやり方で、法律レベルでは調整がついております。
○ 座長
いま両方の意見が出ましたが、御感想、その他御意見はありませんか。
○ 委員
確かに財源が逼迫していて、これ以上使用者側が負担を拡大するのは無理だというお気持は私も分かりますが、特に障害(補償)年金の関係は、業務に支障をきたすだけではなく、日常生活でも、例えば視力を失うとか、聴力を失うということは、生涯ついて回る問題なのです。ハンディなのです。そういうことで、年齢がきたら、本来働かなくてもいい就労年齢を超えたら、これを打ち切れというのは、業務上発生した障害に対して、あまりにも無理な発言だと判断いたします。ここら辺りは、障害というものが、単に仕事を続けるということに対してハンディを持ったということだけではなく、生きていくという生活上にも大きなハンディを持っているという事実を踏まえた補償について、やはり考えていただきたいということを是非申し上げておきたいと思います。
○ 委員
障害補償を一時金から年金にしたことから、こういう問題が出てくるわけです。一時金で給付してしまえば、そのときにいただいたお金をどういうふうに運用していくかということになるのです。今は労災の方の年金制度というようになっていますが、確かに生活の面で打ち切られると困る側面があることは、私もそうだと思います。ただ通常であれば、厚生年金の障害年金が出ているはずなのです。要するにダブっているから、その調整がなされているという形になるのです。先ほど私は障害(補償)年金について打ち切ったらどうかと申し上げましたが、そうすると収入がゼロになるということではなくて、障害厚生年金が出ているはずなので、そのことを申し上げるわけです。
また介護についても申し上げましたが、次回、是非整理したものを提示していただきたいと思います。難しいのは、市町村が上乗せするというケースが出てくるだろうと思うのです。そういうときにどうするかについて、法律上の調整がなされているかどうかという点もありますので、是非その点も。ホームヘルプサービスというのは法定の給付だけでないのと、もう1つには一定の限度額というのが決まりますから、介護保険の方でいわゆるホームヘルプサービスを少なくして、ほかのサービスを余計もらうという形が出てくるわけです。そうすると労災の方でやっているのはホームヘルプサービスだけですので、そういう意味でどうするかということを、こういうことで調整するというものを、分かりやすく説明したものを是非出していただきたいと思います。
○ 座長
すぐ結論が出る問題ではありませんので、必要な資料等が準備できましたらお願いしたいと思います。この議論を続けていくのもいかがかと思いますので、その次以降にしたいと思います。
○ 委員
次に移ってももちろん結構ですが、この問題は前から言われている問題ですので、全然駄目だという事務局の答弁だけではなくて、もっと整理したものを。今私が申し上げた老齢厚生年金と休業(補償)給付との関係について、現状はこうなっています、あるいは障害(補償)年金については現状はこうなっています、一方、この人が働いているケースはこういうふうになりますというものを、是非分かりやすいような資料として、次回か次々回に御提供いただきたいと思います。介護についても同様です。
○ 座長
併給調整を行わない結果、どういう現状になっているかという辺りの資料ですね。事務局側の立場はわかりましたが、議論の材料になると思いますので、できましたら資料を準備していただきたいと思います。
次は(4)、「労災保険給付と民事損害賠償との調整の問題」です。これはその次の頁の「過去の建議」の(2)との関係もありますので、そこでまとめて議論させていただいた方がいいと思いますから、そのときに御意見等をお願いしたいと思います。5番目の「積立金の財政方針の見直し」については、実は第4回の小委員会のとき、事務局側が論点ペーパーを出したのですが、あまり議論をしないで先送りにしておりますので、次回にでも時間を取って、改めて議論した方がいいのではないかと思います。今日は時間も迫ってきておりますので、(6)(7)をひと通り議論して、意見交換をしてはどうかと思いますが、よろしいですか。
(異議なし)
○ 座長
それでは(6)の、建設業におけるメリット増減率の幅を広げるということですが、現状の説明はありますが、事務局側から何かコメントはありますか。
○ 事務局
メリット制の概要は、33頁に算式が書いてあります。要するに3年間の労災の収支を考えまして、事故が少なくて保険給付に回っているお金が少ないといった事業主については、一般業種では料率を40%の範囲内で引き下げ、保険給付がいっぱい出ている事業主については、40%の範囲で料率を引き上げるといった制度です。ただ御留意いただきたいのは、メリット制度が適用になる事業場については規模の要件がございます。資料の真ん中より下ですが、継続事業については100人以上の労働者を使用するような事業、100人未満については一定の条件を満たす事業です。また一括有期事業については確定保険料の額が100万円以上の事業で、単独有期につきましても確定保険料の額が100万円以上の事業といった状況にあります。
なぜ100人以上の労働者を使用する事業についてのみメリット制が適用されるかということですが、例えば10人とか20人の事業であれば、その年、あるいは3年間事故がなかったとしましても、10人であれば3年間で延べ30人ですから、それが災害防止努力によるのか、たまたま事故がなかったのか、保険数理上は確定できないのです。保険数理の考え方からいくと、一定の規模以上の事業について、こういったものを適用するという考え方になっております。
次の頁ですが、一般の業種は40%の幅で保険料率、あるいは有期事業の場合は、保険料を上げ下げするということになっております。ただ、建設の事業、立木の伐採の事業につきましては、一括有期事業あるいは有期事業につきましても、30%の範囲内で料率なり保険料を上げ下げするという現状になっております。建設関係の御要望は、一般業種と同じように40%の幅で料率なり保険料を上げ下げするという制度にすべきであるということだろうと考えております。ただ、この点については規模の小さい所には適用がありません。
もう1つ御留意いただきたいと思うのは、今30%の範囲で上げ下げしている建設業について40%の範囲内で上げ下げするということになりますと、実際問題ではメリット制の適用を受けて保険料率が下がる、保険料が下がる事業が多くあります。ただ建設業全体では、災害がありましたら負担すべき保険料は同じ額が必要です。そういう意味で、ベースになる保険料率については、メリット幅を広げればベースになる保険料率は上がる方向で作用するといったことになります。私どもはそういったことも踏まえて、建設業全体、関係団体が、災害防止努力をした所はそのほかの産業と同じように40%のメリットを受け、事故を起こした所は40%の範囲でデメリットを受けて、ベースの保険料率が若干上がるということも含んだ上でコンセンサスが得られるのであれば、前向きに考えなければいけない問題であるかと考えております。
○ 座長
使用者側からの御要望については、いかがですか。
○ 委員
私どもがお願いしているのは3つございます。端的に申し上げれば、第1番の優先順位は、建設業のメリットが今は±30%ですが、それを他の産業並みにしていただきたいという問題です。我々としては、結果的に、もしそういうことをすれば、ベースになるところが若干上の方にシフトする可能性があるという問題は、もう割り切るしかないと思っています。ただ業界がどういうふうにするかというのは、結構大事な問題ですが、それが1つです。
もう1つは、一般の上限率が±40%となっていますが、そこのところをもう一声。すでに±45%というのができているわけですが、これは特別な所だけですので、一般的な形で±40%の上を作るということを是非お願いしたい。
もう1つは、災害率があれば若干違いますが、先ほどの御説明で100人以上という原則でしたね。ここのところも対象になる所を拡大することによって、たまたまというケースももちろんあるだろうと思いますが、災害防止をすればちゃんと保険料が下がるというインセンティブを与えることによって、災害防止を一生懸命やるということにも繋がってまいりますので、規模についても是非御検討いただきたいというのが私どもの趣旨です。
○ 座長
メリットの増減幅を広げると、「労災かくし」が促進されるのではないか、刺激的になりすぎるということについての御意見は、どうですか。
○ 委員
事務局が言ったように、建設業における元請、下請の関係というのは非常に厳しいものがあります。一度外されてしまうともう仕事がないので、涙を飲んでということが実際問題として起こっているのです。そのことがメリット制の問題と結び付かなければ、それはいいと思うのです。そういうことから言うと、あまり上げない方がいいのではないかと思います。
○ 事務局
私どもも若干試算をしてみました。例えばいまの±40%を±50%にした場合、先ほどの建設業と同じように全体で必要な保険料は同じなわけで、ベースの保険料は上がる方向に作用します。試算では、確か1,000分の0.5ぐらい保険料率を押し上げる方向に作用します。先ほど100人未満の事業場には、こういったメリット制はそもそも適用しないと申し上げました。これは出来るかどうか、また吟味してみないといけないのですが、90人とか80人に下げるにしても、それ以下の事業場というのは、そういうメリットを受けないわけで、逆にベースの保険料が上がるといった影響しかないわけです。そういった意味で、メリット制の幅を広げることが、いわば中小企業の負担増に繋がることになるということを是非御理解願いたい。そういった意味合いで、経済界全体のコンセンサスが得られるかどうかという問題があろうかと思います。コンセンサスを得るのは難しいのではないかと私どもは思っております。
○ 座長
集団の安全衛生事業を共同でやっている事業の場合、中小企業でもメリット制が適用になるのではないですか。特例の±45%ですね。だから100人以下は全部駄目ということではないですね。集団で事業をやっている場合には対応になると。
○ 委員
今の数字の性格を教えていただきたいのです。±40%を±50%にしたときに、押し上げるのが1,000分の0.5ということを教えていただいたのですが、それは建設業と林業を除くすべての業種についてそうなるということでしょうか。それとも平均なのでしょうか。というのは、1,000分の6の所がありますね。あるいは製造業だと相当高い所もあるわけですが、1,000分の6の所も0.5なのか、あるいは料率の高い所の0.5なのか、その辺がどうなるのか教えていただきたいと思います。
○ 事務局
労災保険の保険料率は、今は52の業種に分かれておりまして、それぞれの業種ごとに収支バランスをするという考え方で、保険料率を定めることになっております。メリット制を拡大した場合の影響というのももちろん業種ごとに違ってくるわけですが、仮にすべての業種が一律に負担すると考えたならば1,000分の0.5ということで、実際に業種によってはそれ以上になる所もあるし、それ以下になる所も出てくるのではないかということになります。
○ 委員
そうすると1,000分の6の所が、1,000分の0.5プラスになるということではなくて、1,000分の6の場合は、もうちょっと小さくなるということですね。
○ 事務局
全部ならしたらどうかということで、実際に1,000分の6の所がさらに1,000分の0.5より上がるかどうかについては、今は数字がありません。
○ 委員
高くなる方向ではないですよね。平均で1,000分の6の所が0.5ではなくて、6になる、あるいは0.7になるという方向ではなくて、0.4になるか0.3になるかという方向ではないですか。
○ 事務局
御希望ならば計算をやってみますが、おそらく1,000分の6というのは、商業とか、サービス業とか、金融とか、本社の事務労働などが多いかと思います。直感的には大企業の方が、割と事故が少なくて、メリットを受けている可能性がございます。そうすると上がる割合もちょっと高くなる可能性はあるのではないかと思いますが、必ずしも平均よりも下がるというふうには断定できないのではないかと思います。
○ 委員
分かりました。お願いがあります。52業種すべてについてやっていただく必要はないのですが、1,000分の6の所と、比較的料率の高い所を3つ4つぐらいについて、どういうふうになるか、大雑把な試算というのも御提供いただければと思います。
○ 座長
押し上げるなら反対、押し上げなければやってくれ、ということなのかどうか分かりませんが、学識経験者委員はどうですか。慎重論もあるし、幅を広げてくれというのもあるでしょうけれど、何かコメントがありましたらどうぞ。
○ 委員
やはり「労災かくし」との関連が本当にあるのならば、そういうことはあまりやらない方が良いような気もするのですが、本当にどこまで関連があるのかどうか。
○ 委員
こういうふうに言うのが正しいかどうかは分かりませんが、算定基礎調査という税務署のような調査をやられますよね。言葉は違うと思いますが、どれぐらいやられて、どれぐらいの修正申告をさせたかという問題もあろうかと思うのです。ある程度の数字を持っておられるのなら報告して欲しいと思います。
○ 事務局
それは保険料の算定基礎調査だと思います。これにつきまして、我々としては、一応5%を目標に業務計画という形で考えております。これは各局によってばらつきがありますので実際には5%に達しておりませんが、大体その程度実施をしているという状況です。それによって徴収不足の部分、徴収しすぎている部分というのがございます。大雑把に申し上げますと、3割4割ぐらいの感じですね。これは労災保険だけでなく労働保険全体ですが、自主申告、自主納付という形でやっているものですから、その辺でどうしても実績との出入りが出てくるということがあります。1年で保険年度が終わった段階で確定清算するという形で処理している関係で、算定基礎調査をやったときの結果として、若干修正するという部分がパーセンテージとしてはちょっと多めに出てくるという状況です。
○ 委員
不足が3割4割ということですか。
○ 事務局
それは両方ございます。
○ 委員
もうちょっと、そこのところをはっきり言ってください。
○ 事務局
いま手元に具体的なデータがないのですが、やはりどちらかと言えば、件数的には不足の方が多いという状況です。ただ実際に取りすぎているという部分もあります。
○ 座長
それでは資料等は次回に出していただくということで、議論を詰めていきたいと思います。
最後の(7)については、通勤災害の定義の問題にも絡んできまして、Aの事業場からBの事業場へ回っているときの災害の問題でしたね。その辺はいかがですか。
○ 事務局
おそらく私学の非常勤講師の先生方は、こういった問題があろうかと思います。ただ、こういった問題は私学の非常勤講師だけに限られるわけでなくて、一般的にいわゆるダブルジョブワーカー、2つの仕事を持っている人が増えていると言われております。増えているとは言われているのですが、では統計的に何かあるか、調査や研究が何かあるかとなりますと、私どもも調べてみたのですが、なかなかいい調査がございません。そういった意味で、ダブルジョブの実態というのはなかなか分からない状況です。
私学の非常勤講師だけに限らず、ダブルジョブなり二重就労の実態なりがもうちょっと明らかにならないと、ダブルジョブに伴う通勤災害の問題をどういうふうに考えるかといったことは、ちょっと難しいのかなと思っております。ただ就業の多様化と言われておりますので、そういった意味で、ダブルジョブは今後も増えるだろうと予想されますので、問題意識を持って引き続き検討というか、必要があれば調査なりを実施するといったことも含めて、考えたいと思っております。
○ 座長
例えば、昼間は事務所に勤めて、夜は夜警をやっているというのが、最近は結構増えているのではないかという感じがしているのです。ただ実態はわかりませんがね。ですから、まず実態の就業について労働力調査とか、就業構造基本統計調査などで分かりませんか。
○ 事務局
既存の調査をいろいろ当たってみたのですが、なかなか分からないですね。
○ 委員
建設業の場合、作業場を持っているのと、出先で仕事をするのとで、2つの保険に入らなければならないということになると、この先生も2つの学校で保険に入ればいいではないですか。
○ 事務局
例えば2つの学校で保険に入っていて、もし校内で事故に遭ったということであれば、問題はないと思います。自宅からA大学に行くとき、これも問題ないです。ただしA大学からB大学へ行くときというのが、どうも今の通勤の定義では読めないのです。しかも業務上でもない。
○ 委員
雇用関係があるかどうかは分かりませんが、家から仕事場に行くときは対象になって、Aという仕事場からBという仕事場へ移るときに対象にならないというのは、法律的にはそうなっているのでしょうけれども、常識的にはやや考えにくい点があるのです。
○ 事務局
今の法律そのものが、そういったことを想定していないのです。
○ 委員
ダブルジョブワーカーではないけれど、今この不況下で、1つは正規で勤めて一方では派遣みたいな形で勤めるという人が増えていることは確かに事実です。
○ 事務局
非常に大きな問題ではあると思います。関連して問題になりますのは、そういった場合に給付をどうするかというのが大きな問題になってきます。例えば、月給50万の仕事と10万の仕事をやっていて、10万の仕事をしているときに事故に遭ったら、10万が給付基礎日額になるのだけれど、50万の仕事については出来なくなってしまうわけです。その人のトータルとしては60万という形ですが、2つ持っていた場合、そういうことがあり得るわけです。そういう場合にどういうふうに考えるか、非常に大きな問題がいろいろ出てきますから、ダブル就業の実態等を十分調査させていただいた上で、どうするかを検討していかなくてはいけないと思います。
○ 座長
研究する余地はありますから、研究してください。そういうことぐらいは要望で出してもいいと思います。委員、いかがですか。
○ 委員
なかなか難しい問題を抱えているのですが、実態の問題点と制度上の問題点と両方あるだろうと思いますので、そういうものを整理して、さらに議論を進めて、一定の方向を出すということでいかがかと思います。
○ 委員
事実問題として、労災認定が問題になって、裁判までいっているということはないのですか。
○ 事務局
私どもは承知しておりません。
○ 座長
それでは一応(7)までの議論をしたことにいたしまして、本日はこの辺で終了したいと思います。次回は、使用者側から出ております民事損害賠償との調整問題、過去の建議に基づいて出てきている最高限度額裁定の見直し、積立金の財政方式の見直しを取り残しているので、次回に議論しましょう。また、第4回のときに事務局から論点ペーパーも出ていますので、一応それも踏まえて、そのときに議論していただくことにしたらどうかと思います。
○ 委員
お願いがあります。積立金の財政方式の見直しのところで、資料を作っていただければありがたいと思います。本日提出されている資料の中にも、積立金がどれだけ積み上がってきたかという過去の実績などもありますが、そもそも平成元年のときに一定の計画を立てたわけです。立てたときの計画と、今の状況との乖離がどういうふうになっているのかという点について整理していただけないでしょうか。なかなか難しいのですが、元年のときは昭和62年度価格や何かで、ずっときているはずです。ところが実績の方は現実の額できていますので、乖離といっても単純に比較したのでは単に差が多く出るという形ですので、割引きをしないといけません。そういう中で、どれだけ当初の計画と現実とが違ってきているかという点について、できるなら整理したものを資料としてお願いしたいと思います。
○ 委員
その点に関して、いまは1,000分の1ですね。ですから、あと20年間1,000分の1でやっていくと、どこで完成するのか。いまは76%ですが、残りの24%があと何年で完成するのか、逆に20年でやろうとしたら何パーセントでいいのか、その辺のシミュレーションをお願いします。
○ 事務局
分かりました。
○ 座長
今のシミュレーション、その他資料はお願いいたします。次回は先ほど申し上げました議論を引き続き行いますと同時に、前回議論いたしました健康確保支援のための労災保険上の措置について、事務局のほうから追加資料が出てまいりますので、時間がありましたら、それについても議論を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
|