第5回労災保険制度検討小委員会議事録

日時 平成11年10月6日(水) 16:00〜17:00
場所 共用第7会議室
出席者
〔委員〕 公益者代表 野見山座長、岩村委員、岸委員、松本委員
労働者代表 佐藤委員、田中委員、松浦委員
使用者代表 宇田川委員、久保委員、高梨委員
〔事務局〕 野寺労働基準局長、横田審議官、荒労災管理課長、笹川補償課長、本川労災保険財政数理室長、高崎企画官、石井職業病認定対策室長、中野計画課長、鶴田労働衛生課長
議題

○ 労災保険における労働者の健康確保支援の在り方について

議事

○ 座長
 定刻になりましたので、第5回小委員会を開催したいと思います。まず最初に、当初事務局を通じて、労使双方から、労災保険制度についての要望事項の御提出をお願いしていましたが、提出されておりますので、それについてそれぞれ、労使双方から御発言がありましたらお願いします。では最初に労働者側代表委員から、何かありましたらどうぞ。

○ 委員
 ここに書いてあるとおりですが、雇用労働を取り巻く環境や、あるいはこれまで長い間培ってきた雇用制度の関係、あるいは働き方の関係について、大きく変化をしています。そういう変化に対応するいくつかの新しい施策について、是非見直しをお願いしたいということが1つです。それから、これまでもありました既存の労働災害、じん肺や腰痛症あるいは頸肩腕症等に関連するその対応策について、見直しをお願いしたいということで、合計5つほど出しています。そういうことですので、ひとつよろしくお願いします。

○ 座長
 ありがとうございました。他に何か御発言はありますか。

○ 委員
 詳細な資料は、議論されるときに、追ってまたお出ししたいと思いますが、手間請負という仕事の従事の仕方が非常に多くなっていて、請負であるのか、雇用であるのかが非常に難しい。その判断が、それぞれの監督署で行われているわけです。平成8年に出された、略して「専門部会報告」が、私どもは今、労働省としての直近の判断基準だと思っていますが、それぞれの各県において、対応がまちまちであるということもあるので、本省としての指導についてお願いしたいというのが1点です。
 もう1つは、「業種区分」の問題です。もともと私自身は、現在の労災保険の非常に細かい業種区分について異論があるのですが、建設業の中でも、相当区分が分かれている。この部分について御論議いただきたい。それから加工所を持っているような大工、あるいは鉄鋼などについて、製造業も含めて加入するという指導が各地で行われているようですが、この問題についても実情を出しながら、御論議いただきたいと思っています。

○ 座長
 ありがとうございます。では、使用者側委員から、要望事項についてありました らどうぞ。

○ 委員
 ペーパーのとおりですが、若干コメントさせていただければと思います。私ども委員としては、日経連加盟団体などに対して、アンケート調査を行うなどして取りまとめたものです。以下の項目については、本小委員会や本審等の場において、検討していただきたいと考えています。大きく分けて3つの分類をしています。1つ目が優先的に検討していただきたい事項です。2つ目には優先的検討事項に引き続き検討すべき事項です。3つ目は事務手続の簡素化等の関係です。この3番目の問題については、本審議会などで検討しなくても、行政だけの判断ですぐにでもできる事項がほとんどだと思いますので、そのような方向で、労働省として3番目の問題については取り組んでいただければありがたいと思います。
 最初の優先的に検討すべき項目について、若干だけコメントさせていただきたいと思います。第1番目の「労働福祉事業の事業範囲の見直しと効率化」の点については、労働福祉事業で、本来の趣旨を大きく超えた事業運営がなされているものがあります。現状の個々の事業項目について、厳密な見直しを行うべきです。特に中小企業退職金共済助成費、勤労者財産形成促進事業等の労働条件確保事業は、本来の目的から外れているなどの問題が多いと思います。
 2つ目の「労災病院の機能、統廃合、民営化等の検討」ですが、被災労働者の利用状況、地域偏在等を踏まえ、その機能、統廃合、民営化等について検討すべきだと考えています。
 3つ目の問題は、「労災年金と社会保険給付との調整の在り方の検討」です。労災保険では、社会保険給付との調整を実施していますが、2割程度に留まっており、結果的に障害補償年金と老齢厚生年金で、非常に手厚い補償となっています。障害補償は、労働能力の喪失が前提となっていることから、定年後、残存労働能力がなくなったと考えられる一定年齢以上、例えば70歳以上についての障害補償年金の給付打切り等の見直しについて検討すべきだと思います。老齢厚生年金受給者に対しても、労災保険から休業補償給付がなされますが、両者間の調整を検討すべきだと思います。さらに介護給付、介護支援については、平成12年度施行の介護保険制度の給付と重複することのないよう、事前の調整を図るべきだと思います。
 「労災保険給付と民事損害賠償との完全調整」ですが、従来から私ども使用者側委員が主張しているところで、完全調整を行うべきであり、法律上の仕組みを早急に整理すべきと考えます。
 「積立金の財政方式の見直し」についてですが、労災保険の財政方式は、平成元年改正により、新規裁定年金受給者にかかる費用については、充足賦課方式となりました。一方、過去債務分については、現在、平成元年から30年間の計算で積立していますが、最近の積立金の累積状況等を考えれば、現行の積立方法のあり方についての見直しを検討すべきだと思います。
 最後の「メリット増減率の引上げ(建設業を含む)」の関係ですが、各事業主のさらなる努力を促す意味から、現在、増減率プラス・マイナス40%ですが、その幅をさらに拡大すべきだと考えます。また建設事業のメリット増減率は、現在プラス・マイナス30%ですが、これを少なくとも他の事業並みに引き上げるべきだと思います。さらに事業場における労働災害防止の推進に一層のインセンティブを持たせる観点から、メリット適用事業場の大幅な拡大を図るべきだと考えます。
 2つ目の項目の「優先的検討項目に引き続き検討すべき項目について」の説明は、今日の段階では省略させていただきます。

○ 座長
 ありがとうございました。

○ 委員
 もう1つ、ただいまの検討項目とは別ですが、私として問題提起をしたいと思います。それは、私立学校の非常勤職員の通勤災害の範囲についての問題提起です。私立学校の非常勤職員の中には、複数の学校の授業を受け持っている者が相当数おり、これらの方々の中には、同一日に自宅からA校へ、A校の授業のあと、交通機関を用いてB校へ、B校の授業のあと自宅へ、との移動のケースがあります。現行労災保険法では、自宅からA校へ、そしてB校から自宅への移動中の災害は、通勤災害の対象となりますが、A校からB校への移動は、自宅と職場との間の経路ではないので、通勤災害の範囲とはならないと解されているようです。通勤災害の制度が発足した当時、このような就業形態は想定していなかったのではないかと思料されますが、かかるケースについて、通勤災害保護制度上、どのように取り扱うか、労働省としても検討すべきであると思うので、問題提起をしたいと思います。

○ 座長
 ありがとうございました。それでは、いただきました要望事項を拝見すると、行政側の対応で措置できるものから、今回のこの小委員会の検討時期等から、なかなか手に負えないものなど多岐にわたっているように思いますが、いずれにしても、今回の事務局側から出ている検討事項、労働福祉事業の見直し、健康確保のための対策等々にかかわる部分については、それぞれの問題について検討するときに、これらの要望も含めて御意見、御議論いただければありがたいと思っています。その他の点についても、当面の検討委員会の検討事項が一段落した段階で、御提案いただいた要望事項についてどのように扱うか、また御相談していきたいと思っています。そのような取扱いでよろしいでしょうか。よろしければ、そういう扱いで、今後議論していきたいと思います。
 本日は、「労働者の健康確保を支援するための労災保険上の措置」がテーマになっているので、事務局側が準備した資料について、御説明いただきたいと思います。

○ 事務局
 資料の1頁です。労働福祉事業を御議論いただいたときも述べさせていただきましたが、議論の参考、議論がしやすいようにという観点から、論点を提起させていただいています。もちろん、御議論の中でこれ以外の論点でこういうものがあるだろうという御指摘もあろうかと思いますので、それは随時御指摘いただければ、また追加していきたいと考えています。
 1つは「労災保険における労働者の健康確保支援の必要性をどう考えるか」その前提として、労働者の健康の現状をどう考えるか。「過労死」の状況についてどう考えるか。メンタルの問題が最近非常にクローズアップされていますが、メンタルヘルスの重要性についてどう考えるか。そういう中で、労災保険制度上労働者の健康確保を支援するための措置を設ける必要性について、どう考えるか。「労災保険制度における労働者の健康確保支援のための具体的な方策として、どのような措置が考えられるか」「過労死」を念頭に置くと、業務により増悪する恐れのある疾病を予防するためにはどのような方策が有効と考えられるか。とりあえず、こういう論点をお出ししています。
 次の頁は、「労働者の健康の現状をどう考えるか」という点です。労働省で、労働者の健康状況調査を概ね5年おきぐらいにやっています。常用労働者を10人以上雇用する民営事業所約1万2,000を対象にして行っている調査です。これによると、「健康である」という労働者の割合が8割弱です。「不調である」というのが2割弱です。ただ、昭和57年当時等と比べると、だんだんではありますが、健康であると思っている労働者の割合が若干減っている、逆に不調であると思っている労働者の割合がやや増えているということが伺えようかと思います。
 次に同じ調査による「普段の仕事での身体の疲れの程度別労働者割合」です。これもやはり傾向的には疲れると考えている労働者の割合が増えているということが伺えようかと思います。
 3頁では同じ調査により、神経の疲れということも聞いています。これについても、疲れると考えている労働者の割合が、だんだん増えています。さらに仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスの有無などについて調べた表です。やはり強い不安とかストレスを感じている労働者の割合が、昭和57年50.6%、平成9年62.8%ということで、仕事なり職業生活に関連したストレスが増えている状況です。
 4頁は「持病の有無」です。持病というのは、医者からきちんとした診断をされているものです。昭和57年20.4%であったものが、10ポイントばかり増えて、平成9年には31.5%という状況になっています。持病の割合として高いのは胃腸病であるとか、高血圧、あとは神経痛、リュウマチが高い割合になっています。
 次に「将来の健康状態の不安」です。これは平成4年から新しく入った項目で、昭和50年代と比較することはできないのですが、8割程度の労働者が、将来の健康について不安であるという状況です。
 5頁は第1回目の小委員会でもお出しした資料です。労働省の調査ですが、定期健康診断で有所見とされた者の割合です。平成3年27.4%だったものが10ポイント以上上がりまして、平成10年には4割を超えて41.2%と、定期健康診断で4割以上の労働者が、何らかの所見があるということになっています。下の表は、どのような有所見があるかというものです。平成10年で見ると、多いものは血中脂質、あるいは肝機能、その次は血圧、心電図が高い割合の有所見率を示しています。
 6頁です。「過労死」などに着目すると、循環器系の疾患の患者がどのぐらいいるかということが問題になるわけですが、平成8年で150万人弱の循環器系疾患の患者がいるということです。昭和59年は122万でしたので、相当程度増大しているということが伺えると思います。
 7頁は死亡原因の状況です。厚生省の人口動態統計で平成9年のものです。それによると、いちばん上の「年齢」、「総数」と書いてある所が年齢計なのですが、がんがいちばん多いわけです。その次としては、脳・心疾患の範疇に入る心臓病であるとか、脳卒中が死亡原因の2位、3位を占めています。
 さらに下の調査は、やはり厚生省の研究から抜粋したものですが、東京都内で1989年から1993年に発生した突然死2万弱、1万8,000例について、その原因がどういうものであったかを調べたものです。心血管系疾患が57.4%、脳血管系疾患が18.0%ということで、この2つで全体の突然死の4分の3を占めるということになっています。
 8頁も第1回目の小委員会でお出しした資料です。脳血管疾患及び虚血性心疾患等の労災補償の状況です。いわゆる「過労死」の状況です。「過労死」というのは、合計の欄で「1号」と「9号」となっていますが、9号が業務に起因することの明らかな疾病ということで、脳血管疾患及び虚血性心疾患の「過労死」事案が、この9号です。請求件数全体では、平成6年から400なり500、あるいは600弱という状況で、認定事例としては平成6年に32件、平成10年度90件となっています。
 9頁は、労働者の健康状態の把握が争点となった裁判例についていくつか集めてみました。ポイントとしては上の2行で、「事業主が労働者の健康状態を的確に把握していなかったということなどについて、事業主に安全配慮義務違反があったとして、民事損害賠償の支払いを命じた判決」をいくつか集めています。例えば1番目の東京地裁の平成10年の判決ですが、(2)の所でアンダーラインが引いてありますが、「健康診断を実施した上、労働者の年齢、健康状態等に応じて従事する作業時間及び内容の軽減、就労場所の変更等適切な処置を取るべき義務を負うというべきである」ということや、(3)のアンダーラインの部分で、「高血圧をさらに増悪させ、脳出血等の致命的な合併症に至らせる可能性のある精神的緊張を伴う過重な業務に就かせないようにするとか、業務を軽減するなどの配慮をする義務を負う」ということが指摘されています。
 2番目はいわゆる電通事件についての裁判例です。10頁で「被災者の上司は、被災者の顔色が悪く、その健康状態が悪いことに気づいていながらも、何らの具体的な措置を取らないまま、従前どおりの業務を続けるままにさせたこと等にかんがみれば過失があった」ということが指摘されています。
 さらに3番目は岡山地裁ですが、安全配慮義務との関係ではアンダーラインの部分ですが、「労働安全衛生法上の正規の健診を実施していれば、被災者の健康状態を把握していたはずであるが、これを実施しなかった被告に労働安全衛生法等の公的責任義務違反とともに安全配慮義務違反がある」ということが指摘されています。
 さらに4つ目は津地裁の裁判例です。下の3行ですが、「被告には、労務管理の一環として継続的に同人の健康状態を把握する義務があったにも関わらず、その義務を尽くさなかった故に、訓練の時点では被告の主張のような予見可能性となったものである」ということが指摘されています。いずれにせよ、健康診断を通じた労働者の健康状態の把握が、安全配慮義務を構成する1つの要素になっているということが伺われると考えています。
 11頁は、健康確保という観点から、労働省がどのような対策を取っているかというものを体系図で示したものがこの資料の5です。基本的対策としては、労働災害防止計画というものを定めて、これに沿って、各般の対策を実施しています。特に衛生関係については、企業内に衛生管理者を置くとか、産業医を置くとか、そういったことで労働衛生管理体制をきちんとさせる。さらには健康管理の推進ですが、健康診断の実施及び適切な事後措置の実施促進という観点からの健康管理の推進を図っています。さらに全般的な健康保持増進対策としては、心身両面にわたるトータルな健康づくり、いわゆる「THP」と総称していますが、そういう事業であるとか、あるいは詳細な説明は省略させていただきますが、以下、並んでいる職業性疾病予防対策、あるいは化学物質に係る健康障害予防対策を総合的に推進しています。
 12頁です。先ほどの裁判例でも、健康診断を通じた労働者の健康状態の把握が、1つのポイントになるということを申し上げたのですが、労働安全衛生法の中で、健康診断の位置づけなり体系がどうなっているかを示したものが資料の6です。一般健康診断というのは2)ですが、労働安全衛生法第66条において、定期健康診断を事業主に義務づけています。なお、そういう一般健康診断の検査項目が並んでいますが、1から11までの検査項目によって、こういった定期健康診断を行わなければならないとされているわけです。
 健康診断については、もちろん健康診断を行いっ放しということではありません。下のフローチャートにあるように、健康診断で何らかの有所見が出た者については、医師等の意見を聞いたうえで、適切な事後措置を講じなければならないとなっています。事後措置というのは、例えばより軽易な業務に転換させるとか、あるいは労働時間を短縮するとか、そういうことがいろいろ考えられるわけですが、医師の意見を聞いたうえで、事後措置を講じなければならないとなっています。その場合、その事後措置の実施に当たり、医師の意見を聞くわけですが、単に定期健康診断だけの情報では足らないという場合、例えば当該労働者と話し合いを行うとか、あるいは再検査または精密検査が必要な場合には、当該労働者に対して、そういう再検査あるいは精密検査を受診するように勧奨しなさいということが、ガイドラインで定められています。事業主側で、そういう事後措置を取らなければいけないとなっているわけですが、一方、労働者も健康診断の結果の通知を受けて、健康保持のための努力をしなさいということが、安全衛生法上定められています。
 13頁です。健康診断について、企業がどういうフォローを行っているかという状況について、今回調査をしてみました。これは(労働福祉事業団調べ)とありますが、労働福祉事業団というのは、労災病院を運営している労働省の特殊法人です。全国15カ所の労災病院及び労災病院に併設している健診センターが、その当該労災病院などを利用している事業場を対象に、アンケート状を送付することにより、この調査を行いました。調査項目としては、「定期健康診断の実施対象者に対する異常所見者の状況」、2つ目は「要精密検査の所見者の状況」、3つ目としては「精密検査の受診状況及び企業が精密検査の実施に当たりどのような支援をしているか」ということを調べたわけです。調査は平成11年9月に行いました。調査対象事業場としては、427事業場に調査票を送り、有効回答率は78.7%、約8割です。
 13頁は、業種別に健康診断の実施状況等をまとめたものです。全体としては、定期健診受診率は労働者割合で96.5%の労働者が定期健診を受けています。そこで何らかの所見が出たという有所見率が34.8%です。その中で、さらに要精検つまり精密検査が必要ですと判定された者の割合が、定期健診受診者全体に対する割合としては11.6%、約1割強、有所見者に対する割合としては33.3%です。さらに精密検査が必要ですとされた中で、精密検査を実際に受けた人は39.4%になっています。
 次は企業における精密検査への取組み状況です。精密検査が必要ですと言われた労働者に対して、精密検査を受けなさいというような勧奨を行っている事業場は割と多くて90.6%、9割の事業場がそういった勧奨を行っています。ただ実際に有所見が出た労働者が精密検査に行ったかどうかを確認している企業は、半分の54.8%ぐらいです。さらに費用を援助しているかどうかですが、援助を実施している事業場の割合は26.2%、4分の1程度です。内容は、精密検査に要する費用の全額を援助しているのが19.9%、費用の一部を援助しているのが6.3%になっています。
 3つ目としては、精密検査受診にかかる費用の援助と、精密検査受診率の関係です。労働者の割合ですが、精密検査の受診について援助がある事業場では、72.5%の労働者が精密検査を受けています。他方、援助がない事業場では、精密検査の受診率はやはり落ちて29.9%で、精密検査が必要だと言われた人の7割が精密検査に行っていないということです。
 14頁は同じ事項について、事業場規模別に整理したものです。細かく見れば別かもしれませんが、相対的には今述べた状況は、規模によってそう大きな差はどうもないのではないか、という点が伺われるのではないかと思っています。
 15頁は、最初に申し上げた労働省の労働者の健康状況調査により、労働者が事業場、企業に対して、健康管理に関してどういうことを期待しているかを調べたものです。8割弱、76.1%の労働者が、何らかのことを健康管理に関連して事業場に期待しているということです。その内容として多いものは、「健康診断の結果に応じた健康指導の実施」、「がん検診や人間ドックの受診費用の負担軽減」、「職場内外における休養施設、スポーツ施設の整備、利用の拡充」、「施設・整備等の職場環境の改善」、こういうことについて企業に期待することが多いとなっているわけです。
 16頁は、脳血管疾患について、予防対策は体系的にどうなっているかということです。これは中央労働災害防止協会で取りまとめた、『作業関連疾患の予防必携』から抜粋したものです。予防というのは、一次予防、二次予防、三次予防からなっています。疾病の一次予防はいちばん左の欄ですが、要するに発症前に、健康保持増進させて、病気にならないようにしようというのが疾病の一次予防です。あるいは何らかの有所見があって、発症する可能性が高い、「ハイリスク状態」と言っていますが、そういう状態を健診などで把握をして、発症に至らないようにしようというのが一次予防です。  発症したあとは二次予防に移って、早期発見・早期治療、あるいは重症化の防止。病気になったあとの世界としては疾病の二次予防と言われています。さらに疾病の三次予防というのは、一定程度回復したあと、リハビリテーションをきちんとやるというのが三次予防の概念です。
 17頁です。脳血管疾患の多くは、いわゆる生活習慣病に含まれるわけですが、その生活習慣病の考え方、あるいは予防について、平成9年の「厚生白書」から抜粋したものです。18頁ですが、真ん中の2の2です。「生活習慣病」の導入は、「一次予防を重視し、その生活習慣の改善を目指す」という観点から提唱されたということです。一次予防ですから、先ほど申したように、実際に病気になる前に、そうならないように健康保持増進をする、あるいはハイリスク状態にある場合には、発症しないようにいろいろな手立てを講じるといったことが重要であるということです。
 ちなみにこの「厚生白書」では、一次予防ではどういう点が重要か、ということが提唱されていて、それが19頁です。いちばん上に「生活習慣の現状と課題」と題されています。健康づくりの3要素は、「栄養」・「運動」・「休養」であるということで、一次予防においては単に「健康を守る」というだけではなく、栄養、運動、休養が重要ですということが提唱されています。具体的に栄養面、運動面、休養面でどのようなことが提唱されているかというのは、以下に述べられていますが、その点は省略させていただきます。

○ 事務局
 最後は資料11ですが、皆様方のお手元に「労災保険制度のあり方に関する研究会報告書(概要)」をお配りしています。実は平成6年度の労働者災害 補償保険審議会の建議において、「労災保険給付と民事損害賠償との調整のあり方については、法律の専門家による検討を行う」とされているところです。あるいは同じ建議の中で、「給付基礎日額の最低補償額や、年齢、階層別の最高限度額については、稼得能力が必ずしも適正に評価されていない面がある」という指摘もなされています。そういう指摘を受けて、労災保険給付と民事損害賠償との調整の問題、あるいは年金における年齢による稼得能力への対応の問題を中心に、法律の専門家の先生方にお集まりいただいて、検討をお願いしたという経緯があります。
 その際に、これらの2つの項目のほか、予防対策の関係、あるいは、新たな労働災害に対応する業務上外の認定のあり方についての問題も検討いただいたわけですが、これは皆様方も御承知のように、昨今の産業構造の変化によるホワイトカラー化の問題、高齢化の進展ということを背景として、いわゆる「過労死」の問題や精神的なストレスの増大等の健康に関する問題が非常に大きな関心を呼んでいたことや、あるいは労災認定に関する複雑困難事案にかかる行政訴訟事件が非常に多く提起されていったという背景を考慮して、併せて法律の専門の先生方に御検討いただいたものです。
 内容については、報告書自体、非常に大部なものになっているので、今日は概要ペーパーで簡単に御説明させていただきます。それが資料11です。
 この報告書は項目が4つありまして、それがそれぞれ1章、2章、3章、4章という形になっています。1章目が予防対策、社会復帰・援護対策の関係です。これについては、「課題の所在」を見ていただければと思いますが、労災事故というものが質的に変化している中で、業務に関連して起こり得る基礎疾患の増悪に対する予防対策を行うことが適当かどうか、あるいは行うとした場合に、どのような形で行うかというものが問題意識としてあったものです。具体的な検討の中身は2の(2)ですが、まず労災保険制度の現在の枠組みを前提にした場合には、予防に関する仕組みとしては、保険給付でやる場合と、労働福祉事業でやる場合と、2つの導入の余地があるというのは理論的に明らかなわけですが、この点について助成による予防施策の有効性と問題点について御検討いただいています。
 有効性の関係については、助成的な方策によって、労災の防止対策を進めていくことについては、事業主の保険費用負担の問題あるいは事業損失の軽減という形を通じて非常に有効であるという検討がなされています。助成という手法は、規制的なものに比べると柔軟性があるということで、事業主、労働者双方の多角的な取組みが促進できるという意味でも有効であると言われています。
 他方問題点もあり、その問題点の1つはやはり労災という枠組みである以上、対象は基礎疾患を増悪させる要因に業務というものが関連する者に絞らなければならないという点、あるいは有効だからといって、何でもやるのではなくて、その施策が持つ経費節減効果、要するに対費用効果という点もきちんと比較しなければならないということが指摘されています。今申し上げたことも踏まえて、労災保険制度の枠組み、整合性、あるいは労働者のプライバシーの問題、事業主の問題点も踏まえて、助成措置を導入することが適当なのかどうかを検討することが必要だというまとめになっています。
 仮に保険給付等の形態により予防施策を導入するとした場合の検討課題も御指摘いただいています。まず保険給付による予防施策では、何を「保険事故」として構成するかという問題や、メリット制の対象にした場合には、予防施策をすればするほど事業主としてみれば不利になるという問題もあるので、そのあたりはどう手当てするのかという視点、あるいは先ほども触れましたが、労働者のプライバシーの問題、要するに健康の問題というのは、労働者自身、必ずしも事業主に知られたくないという部分もあるので、そのあたりの手立てを検討しなければならないということを御指摘いただいています。労働福祉事業で行う場合についても、同じように御検討いただいていますが、例えば労働者のプライバシー保護のための施策、措置も、十分に取らなければならないということを御指摘いただいています。
 次の頁の「社会復帰・援護の対策の充実の方向」についても御指摘をいただいています。
 第2章の関係は、「新たな労働災害に対応する業務上外の認定のあり方について」の問題ですが簡単に御説明します。判例等を分析いただいていますが、3の「裁判における認定の基本的考え方」で統一的な方向性なり見解を導き出すことは、現状非常に困難な状況にあるとなっています。そういうことで今後については、できるかぎり具体的な事例を集めて、それについて多角的な検討を行っていく必要があるということです。今後の課題としては、まず裁判例の動向を正確に分析する必要があるということや、この問題は医学的な問題もあるので、さまざまな検討の中で、改善を図れるべき点があれば、随時改善を図るべきだという御指摘も受けています。また、事務処理の迅速、公正化を図るためには、職員の研修の充実の必要性や、マニュアル等の整備の必要性も御指摘いただいています。
 第3章の検討事項は、年金に稼得能力への対応が十分なされているかという点です。現行制度の評価については、そこにあるように、若年期における被災者の方々の支給水準が総じて低くなりすぎているという問題がある。一方、高齢時においては、年齢につれて給付額が十分低下するという仕組みになっていないのではないかということで、高齢時における稼得能力の低下への対応をきちんとすべきではないかということが指摘されています。これらの問題についての対応策としては、2にあるように、5つの方式を御提案いただいています。基本的には最後のE案を軸にしながら今後検討していったらいいのではないかということを御提示いただいています。内容については省略させていただきます。
 最後の第4章は民事賠償との調整の問題です。これについては、1で現状の調整方式の問題点を御指摘いただいています。また、24頁ですが、第三者行為災害の場合における調整においても現行方式には問題があるということが指摘されています。では、そういう問題を前提として、どういう調整のあり方があるのかについては、24頁の2です。《事業主責任災害の場合》と、《第三者行為災害》の場合それぞれについて、具体的な調整の方式を御提案いただいていますが、先生方の御検討の中でもそれぞれに問題点があるということで、それぞれの方式による調整の問題点等も十分検討して、この問題をどう考えていくのかということを検討しなければならないという検討結果を方向としていただいています。

○ 座長
 どうもありがとうございました。ただいま御説明がありました問題について、御 質問、御意見があればお願いします。

○ 委員
 いくつかあるのですが、1つずついきたいと思います。最初の説明で、「労働者の健康の状況」を見ると、これは大変だなという気がしているのです。昭和57年からどんどん平成9年に至って、非常にパーセンテージが上がってきている、全般的にそういう傾向が出てきているわけです。この傾向は、例えば昭和57年以前から比べた場合にも、同じような傾向で、ずっと右肩上がりというか、そういう形で進んでいるのでしょうか。それとも、特にこの昭和57年から平成9年の最近の数字がこういう具合になっているのでしょうか。
 もう1点は、いろいろ仕事が複雑になってきているとか、社会的な要因などいろいろあるのでしょうが、この小委員会でこういうテーマはあまり馴染まないかもしれませんが、どこの何が原因でこういうことになったのか、そのあたりがわかったら教えてください。

○ 事務局
 最初の57年以前の状況はどうであったかという点なのですが、いま手元に数字を持っていませんので、調べてまた次回にでも御報告したいと思います。

○ 事務局
 まず第1点の数字の話ですが、これは平成元年に健診項目を新たに追加しているので、その前の項目と後の項目が違うので、単純に比較はできないというのが1つあります。
 最近増えてきている理由としては、やはり健診項目が増えたということも1つには言われていますし、労働者の高齢化も指摘されている原因の1つではあります。第2点のストレス等の問題については、一般に作業環境やいろいろな環境の変化が労働者に与える影響として、ストレス等を感じる方々が多くなってきているということは言われていますが、全体的な細かい分析等を専門的な立場から、場合によっては発言していただければありがたいと思います。

○ 委員
 そうすると労働者自身というか、人間そのものが弱くなっているなどということではなくて、年齢構成の問題とか、あるいは社会的な要因ということでこういう数字の結果になって表れているということですね。

○ 事務局
 両方の数字とも、それはあると思います。

○ 委員
 年齢構成はたしかに高齢化していますから、例えば自覚症状とか何かについては、本当は年齢で補正した数字を労働省で取られると良いと思うのです。平成9年とか平成4年、それから先ほど拝見していた産業別の所でも、事業所割合で出てくるものは、もしそれぞれの事業所が同じように熱心に取り組んでいるとすれば、例えば13頁の精密検査の取組み状況など製造業の方が「勧奨実施率」とか比較的むしろ良いぐらいに見えますね。ところが、その上の健康診断の要精検と判定されたものがどうだというあたりのところになると、労働者割合によっているので、これはそれぞれの業種ごとの年齢構成の違いとか、例えば製造業などは、ひょっとしたらベテランが多いのかもしれないとか、サービス業は若い層が多いかもしれないとか、あるいはこれは男女別に分けていないので、そのあたりの御質問に答えるとすると、もう少し子細に結果を追ったもので説明しないと難しいと思うのです。必ずしも年齢とか、健診項目がたしかに充実してきているので、そのことがプラスアルファされているとは思いますが、それだけかどうかということに関しては、もう少し詳しく見ないと。

○ 事務局
 いくつかの原因の1つと申し上げたので、それだけと言ったつもりはないのです。そういうことが指摘されているのは事実だと思います。

○ 委員
 日本人全体が弱くなっているわけではないでしょうね。

○ 事務局
 脆弱性については調査しているわけではないので、全体像の脆弱性は明確にすることはできません。

○ 委員
 疾病割合で見ると年齢によるものとか。例えば4頁で、神経リウマチなどがそれほど増えていない、むしろ減っているにもかかわらず、あるいは胃腸病が減っているにもかかわらず、高血圧の分布や糖尿病の比率などが増えているので。

○ 委員
 そちらの方の仕事の関係があるわけですね。

○ 委員
 最近は移動健診車が積載している設備機器が、非常に精密化されてきました。いわゆる設備の充実などによって、一昔前までは、時間中に職場の周りにつけて、移動健診車に乗って検査するというものから、最近はそれぞれの企業が健康診断を大事に扱うということになったために、キメ細かな健診をするようにだんだん変化してきていること、設備がより高度なものになったということ、中身が充実したということなども、この増加現象につながっているのではないか。
 私の経験では、実際に生化学分析装置を入れて一元管理をすることになったときに、有所見者が素晴らしく増えた。それは管理1から3までで、管理1の所は肥満度、それから老眼を持った人まで有所見者とするとか、そういう取扱いの区分を細かく細分化して、すべてを有所見者にすれば、当然こういう変化は起こってくるということが考えられます。弱体化したのではなくて、生活様式も変化して贅沢にもなっていると言えるのではないかと私は思います。
 私も質問が1つあるのですが、今日説明をいただいた資料では、私どもは健康確保支援事業を是非保険の中でしてもらいたいという考え方を持っているわけですが、健康診断結果に基づいて、有所見者がどのような形で、あるいはどの分野で労働災害や労働疾病に結び付いているのかということが、分かりにくいのではないかと思います。
 例えばこの資料の中で唯一あるのは、8頁の資料3の「脳血管疾患、虚血性疾患等が労災補償の適用を受けた数」というのがありますが、これがそういった有所見が増えてきたために、その適用が増えたかどうかというのは、この数字では非常にばらつきがあってあまり見えないわけです。ですから健康診断の結果、有所見者が増えた、それが労働災害や労働疾病を増加させているか否かということが、もう少し明確にならないと、労災保険による予防対策というものが、労災保険費用に有効に機能するとか、あるいは職場離脱率を改善するということになる議論をするのには、少しこの資料では不足ではないかと思うのです。
 私どもはいわゆる実体験からして大いに役立つと思っていますが、何かその辺での説明資料がもう少し工夫がいるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○ 委員
 今の1件と関連すると思うのですが、例えば健康診断をやるといった場合に、健康診断の効果というのはそれなりにあると思います。ならば、実際に健康診断を受けた人と受けなかった人によって、そのあとの病気の発生率というか、受けることによって予防効果があったことを証明するような資料、あるいは数字的なデータがあればと思います。健康を確保するためにはこういう事業が必要なのだということの理由づけに非常になりやすいと思うのですが、そういうものはあるのですか。

○ 事務局
 御指摘の点ですが、有所見が増えて、どの程度労働災害、疾病が増えているか、あるいは労働日の損失につながっているかという点について、資料等を当たって、できるだけ次回に報告をしたいと思います。

○ 事務局
 健康診断の有用性というのは、いわゆる治療に結びついた効果の問題、事業者から見た面、労働者から見た面を含めて、いろいろな観点からの有用性があると思います。それについては、現在、3年計画で調査研究を進めています。厚生省と労働省の健康診断の在り方等を含めて指摘を受けているものですから、そういうことで今進めています。

○ 委員
 今のところ、裏づけるようなデータというものはあるのですか。

○ 事務局
 先生方の中ではそういう報告書を出されているかもしれませんが、労働省としてお示しするデータは持っていません。

○ 委員
 例えば、民間企業ではそのようなデータがたくさん取ってありますから、全国的ではなく、そういったものを先駆的に充実させたところの産業、企業を調査して、資料を借りてきて提出していただければと思います。新日鉄では、51年から総合健康診断制度を導入しています。有所見者に対しては、水上、陸上のトレーニング施設と教室を持っています。健康診断の内容を充実したことによって、成人病の早期発見が著しく高くなったことが成果として1つあります。
 それから、そういったヘルス教室を作る。あるいは酒害、高血圧、高脂肪といった人たちに対する適切な対策を指導、援助するということにより休業率などについても著しく減少したという、相当大きなデータもこれまでも今も積み上げています。民間でそういった先駆的取組みをしているところのデータをもってやれば、相当参考になるのではないか。極めて、大きな成果が挙がっていると確信しています。

○ 事務局
 民間企業ではかなりいろいろなケースがありますので、次回ぐらいに効果をお示しできればと思います。

○ 委員
 この事業場規模別、それから産業別に関して、ミックスした資料がないものかと思います。とりわけ、0から99人という括りは大き過ぎると思うのです。
 今日、使用者側から出されている検討事項で、「未手続事業場の解消」という問題があります。非常に零細な企業まで、建設業でこれほど高い定期健診をやっているとはとても思えないのです。実態をこういう場所で論議するについては、例えば30名ぐらいまで、10、20、30といった辺りの資料が本当は必要なのではないかと思います。そういう資料が出せるかどうか、ちょっとお尋ねします。

○ 委員
 13頁からの調査の件なのですが、たまたま先ほどの説明では、労働福祉事業団が調査した労災病院15カ所、事業場の数で427という中で、その約8割が回答したということでした。
 今の規模の問題もあると思いますが、集計対象がどのようになっているのか、というのは大事な点だと思います。事業所の数で300ぐらいだろうと思いますが、労働者の数でどれぐらいなのか、男女別に見るとどうなのか、あるいは、年齢で見ると年齢層の偏りがあるのかどうか。今日は無理でしょうが、集計対象の全体像がわかるような資料も是非、次回にでも提供していただきたいと思います。労働者数で見ると事業所数で見るとこうというものを細かく見ていかないと、単に数字が高い低いだけで一定の評価がなされるということではなく、もう少し基礎的な資料を踏まえながら検討することが必要ではないかと思いますので、お願いしておきたいと思います。

○ 事務局
 規模と業種のクロス、あるいは規模についてもう少し、例えば100人未満の所を30 人や50人というところで切ってみて、どういうことになっているかという点につい ては、また次回に提出したいと思います。
 それから、調査対象事業所数は427、有効回答率が78.7%、したがって有効回答数は336事業所です。対象労働者は5万813人でした。ただ、男女別なり年齢別といったような調査は行っていません。先ほど言いましたように、規模と業種の区別などについては次回提出したいと思います。
 それから先ほどのお話ですが、実態としては建設業はそれほどやっていないのではないかというお話でした。これはちょっと感想めいた話になりますが、労災病院などに健診に来ている、事業所として健診を委託しているようなところを対象にアンケートを今回は行いました。そういう意味では、おそらく健康問題についての意識なり対策なりが割ときちんとしている企業なり事業所が対象になっているのかなという感じがします。ただ、立証しろと言われてもなかなか難しいものがあります。

○ 委員
 今の関係ですが、もし出していただけるのならホワイトカラーとブルーカラーの区分も難しいのでしょうが、そのあたりも分かれば教えていただきたいと思います。

○ 事務局
 その点も取っていないのですが、例えば業種について、典型的に製造業や建設業とか商業サービスがどうなっているか、その辺のところで工夫はしてみたいと思います。

○ 委員
 労働者の属性は取っていないのですか。

○ 事務局
 取っていません。

○ 委員
 そうすると、ちょっと分析は難しいかもわかりません。でも出来る範囲内でお願いします。

○ 座長
 今日、事務局側から出た「論点メモ」があるわけです。今まで説明された資料で十分かどうかは分かりませんが、労災保険における労働者の健康確保支援の必要性を議論する前提として、資料1に書いてありますが、現状あるいはこれからの展望を含めて健康問題をどう考えるか、あるいは、現下の「過労死」問題について、健康確保対策等の関連でどう考えるか等々、このあたりで何か御意見があれば伺えればありがたいと思います。具体的な支援対策は、またいずれ事務局側が出してくると思います。今日は健康確保問題について御意見等を伺えればと思います。

○ 委員
 今の労働安全衛生法の中で、従業員の健康管理についてかなり詳しく書いてあるし、産業医の問題及び保健婦の問題等が出ているわけです。そういうものがきちんと整備されているところでは、今お話があったようにちゃんとした方法が取られていると思っています。
 今回の問題提起というのは、先ほどの資料等も踏まえ、そうは言ってもこれから増えてくるところの第三次産業、商業のところはなかなかやり切れない。あるいは、これから裁量労働が増えてきたり派遣労働が増えてくると、自己管理や自主開発などなかなか管理しづらくなってくる。
 したがって健康管理は大事だけれども、そのような状況の中で今の方法ではなかなかカバーし切れないのではないか。そういう意味で、法的にきちんとしたいということと、もう1つはそのための違う事業もやりたいという問題提起なのか。これから検討する上で、そこを教えてほしいのですが。

○ 座長
 労災保険法上の問題と安全衛生対策としての問題、両方あると思いますので、どういう説明がいいのでしょうか。労災保険法上で考えているということですか。

○ 事務局
 若干先走ったことを申し上げることになって、お叱りを受けるかもしれませんが、本日、御説明したような状況の中で、労災保険の中でどのようなことが出来るかという御質問だと思います。12頁をご覧ください。先ほども御説明しましたが、いわゆる定期健康診断については企業の義務として「こういった項目についてやりなさい」ということになっています。
 先ほどの労働福祉事業団の調査等でもお話しましたが、一定の所見が出てもさらに原因が分からない。例えば、血圧が高くても、どういう病気が原因になって血圧が高いのかがわからない。そういった点で二次検査なり再検査、あるいは精密検査がさらに必要ということが言われる場合が多くあるわけです。そういった点について、事業主が適切な事後措置を取るにあたっても必要になるし、労働者自身もどういう病気なのか、あるいはどういう病気になる可能性があるのか分からないというわけです。
 再検査や精密検査については、現在、受診を勧奨しなさいというレベルでガイドラインの中で位置づけられています。受診の勧奨についても、今回の労働福祉事業団による調査から分かることは、勧奨はしているのですが、実際、企業としてきちんと精密検査を受けたかどうか確認しているのは半分ぐらいであるということでした。さらに、企業の経済的な援助がないと7割の労働者が何らかの有所見があって「さらに検査したほうがいい」と言われても放ってあるという状況です。
 労働省としては、例えば給付を出すとしたら経済的な援助も出来るわけです。定期健診で何らかの有所見が出て、さらに精密検査などが必要といった部分を捉えて、そのあたりに労災保険給付等で、精密検査等の健康診断で対策を取れないかどうかということを問題意識としては持っています。
 さらに、「過労死」などに着目すると、生活習慣病の一次予防の概念の中で、運動や栄養指導といったものも重要なファクターになります。その辺も、労働者に対する健康指導のような形で、労災の中に取り組めないだろうかということを考えている状況です。

○ 委員
 この前から問題になっている事業として、これ以上増やすとまた問題になるかもしれませんが事業としてはどうなのでしょうか。例えば大手の場合には、先ほどあったように水泳や陸上など、いろいろ取り入れながらやっているという話がありました。でも、それにかからない小さいところなどを何とかしないといけないということだと思うのですが、そのあたりも事業として何か考えているということですか。

○ 事務局
 16頁をご覧ください。「脳血管疾患の予防対策」、その一次予防のところが2つに分かれるわけです。病気になっていないといっても、全く健康な状態と、病気になる可能性が非常に高いという意味でのハイリスクの状態、2つの場面があります。今おっしゃったようなことは、ここでも「心と身体の健康づくり(THP)」と書いてありますが、要するに健康な人がずっと健康なままでいるようにという意味で、現在、事業としては安全衛生部でTHPという事業をやっています。そういったものを中心に、今後とも考えていくのかと思っています。
 今回、労災の中で取り入れられないかと考えているのは定期健診で何らかの有所見が出るというのはリスクが高い状態ですから、病気は発症していないけれども、そういったハイリスク状態にある方々の健康管理などをもっときちんと出来ないかという問題意識です。

○ 委員
 今回提出されている「論点」なのですが、「論点」のところで「健康確保支援の必要性」とか、あるいは「健康確保支援のための具体策」云々とあります。今の説明だと、安全衛生確保事業ということではなくて、新たな保険給付の事業として何がやれるかということで検討していきたいということになるのでしょうか。
 そのような設定の仕方はいかがかと思います。そもそも、健康の問題というものをどのように理解するかなのです。事業者が労働者の健康について、すべて責任を持つという考え方でいくのかどうなのか。職業病の関係以外に生活習慣病というか、平成元年ごろの健診項目の追加ということで、当時でいけば成人病対策のための健診項目が付け加わっているわけです。そういうものを事業者に義務づけるという形で、しかも事後措置として責任を持たせる形で、事業者が個々人の労働者の健康に関与していく。その形の中で、精密検査を要するような人が出てきたときに、それを義務づける方向までは今のところ考えていないのだろうと思います。
 それでは、そのような必要性があるとして、それを保険という制度で援助をしなければならない必要性まであるのか、ないのかということだろうと思います。そもそも、健康を保持するという問題について、事業主に責任を負わせる、あるいは事業主の経済的負担で行わせるというやり方もあるのかもしれませんが、健康管理の問題というのは基本的には自己責任だろうと思っています。ただ、事業主として援助、支援をしてあげる、きっかけを与えてあげるというようなことは必要なのでしょうが、そもそも健康を保持していく、あるいは確保していくということは、御本人がどこまで自覚してやっていくかどうか、そのあたりにかかわってくることだと思います。
 法定給付としてやるかどうかという問題は、労災保険法上の問題だけでなく、健康保険法上の問題としても、予防給付についてどうするかという問題があるわけです。一般健康保険法上の現在の取扱いというのは、ここで言う第一次予防を保険給付の対象にするということは、今はしていないわけです。もちろん、財政的に困難な事情があるということもあるのでしょう。そこを労災の方だけ、なぜ精密検査なり再検査について、保険給付の対象にしなければならないのかどうかという点があると思います。そもそも検討の方法として、保険給付としてやるかどうかというように、範囲を限定して検討していくという方法はいかがかと思います。

○ 委員
 考え方がずいぶん古いのではないですか。いま説明をいただいた資料の中で、すべてが仕事や業務に起因して自殺や「過労死」という問題が起こっているのかどうか、それにどれだけの関わりがあるのかどうかは、この資料では不明確だという指摘をしました。この資料の中でも間違いなく業務や作業というもの、あるいは職場における人間関係というものが生活習慣病と言われる成人病を重くしている、あるいは、それが重なって自殺へ追い込んでいるという事実はもう見逃すことができない。この点、そうした事が問題でメンタル・ヘルスを導入しなければならないという指摘も取組みも、多くの事業主がされているわけですから、これを否定するわけ にはいかないと思います。
 そういう意味で、今言われたように、私はどれだけ後押しをしているのかという、いわゆる職場の業務や人間関係から来るストレスというものが病気を悪化させるという、悪い意味での後押しをしているのかがもう少し見えるように、そして、また、予防のための取組みをしたがために、どのような効果が生まれているのか、これは民間企業でも、官部門でも結構ですから、先駆的な取組みをされたところの実績を明らかにすることによって、私はこの問題の解決はできると思います。
 昔、安全と健康については事業主の責任だと言っていましたが、今は労働者自ら、安全と健康は自ら、そしてお互いに守るというように意識が変化してきています。ですから「事業主がそのようなことをする必要はない」という考え方は、ちょっと時代錯誤ではないかと思います。

○ 委員
 私事になりますが、息子がある企業に就職しました。入社式があって、「父親は出席してください」という話になった。そこで、会社の役職を紹介するのかと思っていたら、「カウンセラーを紹介します」と言って、それぞれの氏名を紹介した。その後、「何々課の課長です」ということがあったのです。その企業の姿勢というのは、非常に素晴らしいものだと思いました。いちばん最初に、何をつかまえようとしているかというところが分かって、感心をして帰ってきたところです。
 ただ今も発言がありましたが、境目というのは非常に難しいとは思います。今の人間生活の中で占める労働の重さというのは、より大きくなっているというか、それが時間の問題、持つものの重さの問題ということではなくて、メンタルな面も含めて言うと、以前に比べてその率は高くなっている。その意味で言えば、事業主の一定の責任、それから労働者の個人責任という問題も当然あると思います。そこのところを切って捨てるような議論にはせず、積極的に取り上げるようにしてほしい。何を取り上げるかという方向に持っていってほしいと思います。

○ 委員
 仕事との関わりで、例えばストレスなどから自殺に至るような理由というのは、断面としてはわかります。しかし、一般的に、労働者の健康問題が即労災につながるのかということからいくと、ちょっと飛躍があり過ぎる感じがします。現実に区分けをして、そもそも労災保険としてどう考えるかという議論をしておかないと。断面を捉えて、全体がおかしくならないかという懸念がありますので問題提起をしたいと思います。

○ 委員
 再検査なり、精密検査が全く不必要だと思っているわけでは全くありません。そういうことを事業者として助成していこうということを労使間で話し合った上でしていく。労使間の合意としてやることについて、それは労使が自主的に決めればいい話であります。労使が有用だというように考えれば、それはそれでいいと思っています。
 私が申し上げたいのは、それを法律によって義務づけたり、あるいは労災保険制度という制度の中で、その費用は事業主の費用ということになるわけですが、その負担において、それを援助するという仕組みまで持っていくのが必要な状況になっているのかどうか。「古い考え方」という御指摘もありましたが、そのあたりを十分議論せずにいくといけないのではないかということを言いたかったのです。

○ 座長
 今のところ、保険給付でやるという提案が出ているわけではないのです。いちばんのところは、労働者の健康確保は大事な問題である。しかも、それをいろいろな形で支援していく必要がある。そこまでは、どなたも異論がないと思います。その支援の形について例えば今までやってきた労働福祉事業という形で足りるのかどうか、あるいは保険給付という形を導入していく必要があるかどうか。次回ぐらいに事務局が叩き台を出してくれるかもしれませんが、事前の段階として「支援対策が必要だ」というところまでは特段異論はないのかと思っています。いかがでしょうか。

○ 委員
 労働者と事業主とが今のグローバル化の中で対立をするという考え方は、私どもは基本的には持っていません。特に、安全と健康問題については、事業主も労働者もお互いに知恵を出し合って、より安全で健康な職場を作るという考え方に変わりはないわけです。
 ただ、今指摘があった問題でよく考えておかなければならないのは、労使の自治で自主的に決めてやればいいということがあまりにも多くなり過ぎてしまった。確かにそれは良いのですが、今の産業構造が二重、三重化している中で、下請や中小企業の事業主が適正なコスト運用を親企業や大企業からもらっていないために、労働者の健康確保や労災災害に関する生命の代金まで、例えば企業が出す特別弔慰金まで、今ものすごく大きな格差が生まれているのです。
 例えば中小企業、零細企業で死亡災害が起こる。労災保険で年金を給付するという、その金額はどこでも同じなのですが、企業が独自に払う特別弔慰金などというのは3,000万円から100万円までとか、あるいは葬式代だけ、あるいは葬式補助とか、非常に大きな差が出てきているわけです。
 健康管理に関わる問題まで非常に大きな格差が出てきていますから、私はやはり、事業規模や産業経済によって、労働者の健康や安全という問題に対する格差は解消する。そうするためには、やはりある一定の保険制度などで最低の支援をすることが必要ではないか。こう考えていることは申し上げておきたい。実態がそうなっていますから。

○ 委員
 支援するということについて、否定するつもりはありません。ただ、支援というものについて、一定の行為が行われた場合に助成金を出すというものだけではないと思っています。もっと別の意味で、いろいろな形で啓発をしたり、体制を整備したり、情報を提供するということを含めて考えなければならない問題であって、一定の助成金を出すことが支援の主要なものであるという理解だとすれば、支援をすることについて皆の理解があったと整理されるのはいかがかと思います。

○ 委員
 「支援金を出す」という話がありましたか。文章には書いていませんが。

○ 座長
 まだ、そこまではいっていません。

○ 事務局
 冒頭、事務局で何を考えているか説明するときに、おそらく一部の委員からお叱りがあるのではないかということをお断りした上でお話したわけです。今の御議論を伺った上で、次回にまた整理して提出したいと思います。そもそも、労災保険の世界で、「過労死等」に着目して健康診断をやる必要性を具体的にどう考えるのか。やるとしても、どういう方策、事業になるのか。労働福祉事業がいいのか、保険給付がいいのか。労働福祉事業の中でも、啓発などをやるのか、あるいは助成金を出すのがいいのか。いろいろ議論があると思います。私どもの気持としては保険給付でやりたいということがあるのですが、そういった論点を整理して提出したいと思います。
 聞いていて思ったのは、特に「過労死」などの原因となる生活習慣病について、これを予防するのは労働者個人の責任ではないかという御意見がありました。この点について、考え方を申し上げておきたいと思います。名前からわかるように、確かに生活習慣病は食生活、運動不足といったものが原因になって発症のリスクが高まる、あるいは発症するといったことは確かだと思います。ただ、そういったリスクを持っている労働者が業務上の過重負荷があることによって、最悪の場合は亡くなることもあるわけです。そういった労災認定例もありますし、民事上の裁判もあるわけです。
 先ほど、判例の安全配慮義務のところで御紹介しましたが、一定の範囲で事業主に責任があるとされているわけです。だから、生活習慣病とはいえ、全部が全部個人の責任であるとは司法の考え方、あるいは「過労死」を認定している労災補償の考え方も、必ずしもそうはなっていないのではないか。全部を予防するのが企業の責任だというようには言い切れないと思うのですが、一定の範囲で生活習慣病の増悪を予防するといったことには企業の責任が認められているというのが考え方ではないか。そういったことであれば、事業主の全額拠出で賄っていく労災保険の世界で、何らかの手当を講じるということも不自然な考え方ではないのではないかというように、私自身も考えています。

○ 座長
 保険制度に関する研究会でも、昔、既に1度やっていらっしゃるわけですが、何かありますか。

○ 委員
 それぞれの御立場はよく分かります。今、医学の世界では災害が起こってからとか、病気が起こってから補償をする。あるいは、そのために治療の費用をかけていくよりも、世界的な流れとして、予防にお金をかけた方が効率がいいというか、その方が国の中の医療費の支出の割合が押さえられるということが常識になってきています。
 それから16頁、「(ハイリスク状態)に対して特殊予防」というように書いてあります。予防の対策の中で、ポピュレーション・ストラテジーとハイリスク・ストラテジーということがこの10年ぐらい言われてきています。啓蒙や啓発というところで全体に対して予防のストラテジーを取るのと、それからいろいろなリスクを持っている人たちにストラテジーを取るのと、どちらが有効か、あるいはどのように組み合わせていったらいいかという議論が欧米でもたくさん出てきています。次回、その辺を少し紹介されるといいのではないかと思います。
 12頁、「労働者の健康診断に係る労働安全衛生法の体系」のところで、先ほど事務局から、平成何年から少しずつ検査項目が充実してきたというお話がありました。これも労働者にとって良いことです。有所見者に対して、事後措置を実施するように労働安全衛生法も改正されてきています。そういうところで、産業医が産業医らしい活動を事業場でするには、やはりきちんとした措置をしなければいけないのですが、法律が変わっても、それを十分していない産業医がたくさんいる。そのようなインセンティブを何らかの形で取り入れたほうがおそらく日本の労働衛生の水準は上がるのだろうと思います。
 せっかくやっているのですから、健康診断を受けている人たちにも、あるいは費用を持っている人たちにとっても、項目の充実とともに、問題がある人たちに指導した方がよりきちんとした、もっと効果があるものになるように思います。メニューや実施項目が増えるだけでは、本当の意味で中身が良いものにはならないと思います。
 それから、脳血管疾患や心血管疾患など、特に心血管疾患においては、日本では1970年代から80年代前半ぐらいまでは世界的に見ると低いほうだったのですが、国民の栄養摂取の変化から見て、それが疾病構造の中で前面に出てきているという現実は押さえなくてはいけないだろうと思います。その上でどのようなことが出来るのか。おそらく予防した方が、国全体の中の医療費の問題などを考えるときに有効なのではないかと思います。私には労使の利害が全くありませんので、その立場で申し上げています。

○ 座長
 ありがとうございました。

○ 委員
 先ほど議論されていた、予防をどういう形で労災保険の中に取り込むのか、あるいは取り込むべきかという点については、今日お配りいただいた報告書の中で、専ら法律的な見地からですが検討されています。後ほどお読みいただければ、ある程度の問題点をつかめるのかと思います。
 いちばん大きな、多分基本的な問題点というのは、先ほど事務局もちょっと触れていましたが、一方では多分労使の方々がおっしゃるように、労使双方が労働者の生活習慣病等について予防対策を講じる必要性があるというのはそのとおりなのだろうと思います。ただ、それを事業主が負担している労災保険の中に取り入れてやろうという場合には、現在の労災保険法の仕組みを前提とする限りは、やはり何らかの形で業務との因果関係を求めないといけないのではないかと思っています。その点、保険給付でやるか、労働福祉事業でやるかで若干濃淡があるのではないかという気がします。
 保険給付でやるとすれば、あくまでも現在の仕組みを変えないという前提に立てば、業務との関連性というのはやはり強く要求されるように思います。他方、労働福祉事業であれば、労働福祉事業自体をどうするかという問題と関係しますが、もう少し業務との関連性は弱く取れるような気がします。ですから、事務局で案を考えていただく際には、労災保険制度に載せるとすれば、やはり業務との関連性という点について御検討をお願いできればと思います。

○ 座長
 ありがとうございました。

○ 委員
 今、労使双方の意見をなるほどと聞いたわけですが、私の感想としては、いろいろな仕組みを考えていかなければならないのだろうけれども、事務局がおっしゃったような保険給付という形の制度を作ろうというアイデアがあるとすれば、他の国の例、こういう制度において非常に進んでいる国、あるいは歴史のある国があると思います。そういう国がどのようにやっているのか、成功しているのかどうなのか、あるいは1回やったのだけど、あまりうまくいかずに失敗したのか。いわゆる、諸外国の例というものがあった方が非常に説得しやすいというか、どちらに対する説得であるかは別にして、説得しやすい材料になるのではないかと思います。それがあれば、非常に参考にしやすいと思います。おそらくイメージを持っていらっしゃると思うので、そのあたり、よろしくお願いしたいと思います。

○ 委員
 また後で議論すればいいのですが、例えば今の一般健診項目の中で、肝機能なら肝機能の検査でGOTがこの範囲であれば正常と認められるとなっているわけです。ところが、それより外れている人が現にいるわけです。そのとき、医師はGOTばかりではなくて、GPTなども総合的に勘案しながら、「あなたは再検査をしたほうがいい」というように言うわけです。
 問題はGOT、あるいはGPTがその範囲になるかならないかということが、業務の上で関連して出てくるものもあるわけです。有機溶剤などを扱っているような人の場合、肝機能ではないかもしれませんが、そもそも職場の危険性から正常範囲を外れるというケースも出てくるわけです。
 ところが、そういう問題ではなくて、今言っておられるのは「過労死」というところに焦点を当てておられます。焦点を当てていることを否定するつもりはありません。それは個人が持っている持病というものが、職場の過重な負荷によって増悪するという点が加わるはずなのです。したがって、それが業務上の災害になるという話なのです。
 今言っているのは、この再検査がどこに属するかというと、要するに正常な範囲から外れている、したがって、あなたは病気かもしれないので、きちんと再検査なり精密検査を受けた方がいいという、そこのところを事業主の負担で助成をするのかしないのか。そこのところにポイントがあると思っています。

○ 委員
 従業員が稼ぎ出したお金ですから、取締役がポケットマネーを出しているわけではないのだから。これはたまたま、事業主が負担をしているというだけなのです。
 先ほど御発言がありましたが、福祉の方にすればもうちょっと起因性が薄くてもいいのではないかということでした。ただ、事業主負担としても、労災保険のお金については、これはやはり従業員として稼ぎ出したお金で払っているのだと思いますから、当然の権利だと思っています。支給された給料の中からあえて天引して、雇用保険のように従業員が個人負担をするということにはなっていませんが、事業上あるいは作業従事上の安全や健康などは事業主が守るということになっているので、作業あるいは業務に起因した災害に対して、労働者が個人の賃金の中から負担して補償をしてもらうという考え方は基本的にはありません。当然の取扱いなのです。
 そのあたり、私どもは事業との起因性がないものまで、あるいは今のような作業実態の中で悪化を非常に促進しているという問題、あるいは危惧があるから言っているわけです。これは労働者代表の委員が言っている、使用者代表の委員が言っているということで、この種の問題で意見が基本的に対立するということ自体おかしいと思っています。私が主張していることは、労働者により有利にというようなことを言っているつもりはありません。

○ 座長
 本日は労働者の健康の状況、そして健康確保対策の現状、必要性等、いろいろな角度から御議論をいただきました。
 本日の御議論も踏まえた上で、次回の小委員会では労働者の健康確保を支援するための具体的な方策について、事務局がどのような考え方を持っているかを中心に、少し叩き台として出していただきたいと思います。本日、いろいろ出た追加的要望もありますので、そういうことにお答えできるような資料の準備をしていただくということで御議論をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 今日はこのあたりで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

照会先
労働基準局労災管理課

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