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議事
○ 座長
ただ今から第4回労災保険制度検討小委員会を開催したいと思います。前回の第3回小委員会で質問がありました事項についてお答えいただく必要な資料と、前回、事務局から提出されました論点メモにつきまして、これまでの小委員会の議論などを踏まえて議論の叩き台としての考え方を整理した資料を提出願っておりますので、それも合わせて事務局から説明をしていただきます。その後、論点についての資料に基づいて議論を進めていきたいと考えております。そんな進め方で行わさせていただきます。よろしくお願いします。資料の説明について、よろしくお願いします。
○ 事務局
資料No.1、1頁でございます。前回の小委員会で8項目ほど御質問がございました。口頭で御説明させていただくもの、資料を付けたものとございます。最初の第1は労災病院の関係です。前回の資料ですと2頁です。旭労災病院における病診連携についてですが、医師会以外の診療所があるかどうかという御質問でございました。
表現が「医師会の診療所」となっていたものですからわかりにくかったのですが、正確には医師会に加盟しているドクター、医師を病診連携制度の登録医にしているという意味でございます。したがいまして、ドクター単位でやっているというような制度であります。紹介件数が3,000件ほどあったかと思いますけれども、私傷病と労災の比率がわかるかどうかについて、残念ながらそういう調査はしておりません。今後必要があればまた調査をしてみたいと思います。
2番目、労災就学等援護経費についてでございます。前回の資料ですと5頁です。年金の給付基礎日額が1万6,000円以上の方については労災就学等援護費を支給しないということとしております。それが全体の年金受給者の9割をカバーしているという考え方は如何ということですが、制度発足当時からの考え方としましては、支給制限にかかる給付基礎日額による平均的な年金受給者の年収と、一般労働者の平均的な給与を比較しまして、おおむね、一般的な労働者の平均給与を超えるものについては支給制限をかけているというような考え方できております。
そういう考え方でまいりましても、おおむね、遺族年金や障害年金を受給している方々の9割についてはその就学等援護経費の対象になるというような状況です。ちなみに、1万6,000円の給付基礎日額です。平成10年の数字でいくと、平均的な年金受給年額は323万円で、一般労働者の平均的な給与総額が343万円ということです。税金の負担であるとか、社会保障の負担であるとか、そういうものを考えますと、おおむね、給付基礎日額が1万6,000円を超えると平均的な労働者の給与総額を上回るというようなことになろうかと思います。
3点目、労災診療費の貸付事業に対する補助金についてです。前回の資料ですと6頁です。問題のあるレセプトが10万弱あるわけですけれども、その中の不当事案、不正事案の数がわかるかどうかという御質問です。これが、故意でそういった不正な請求をやってくるのか、あるいは、本当に間違えて請求をしてくるのかといった事情は把握しておりません。いずれにせよ、労災指定医療機関に不正がありまして平成10年度に取り消した件数は2件です。
第4点目、木造家屋等低層住宅建築工事安全対策モデル事業について、予算がどうなっているかという御質問がありました。前回の資料ですと26頁です。予算上の積算としましては、10年度予算ですけれども、この事業は466の現場を対象とするというようなことで予算を組んでいるということです。
第5点目、労働災害防止団体の補助金についてです。事業内容は詳細に書いてあったのですが、その予算と事業実績の比較などの数字が入っておりませんでした。その人件費にいくらぐらい出ているかというような数字も入っておりませんでした。前回の資料ですと21頁以降です。今回、その参考1ということで、事業内容は前回詳細に書いたものと同じで、それぞれ、予算の実績、あるいは、例えばセミナーであればその回数の実績等々を詳細に記述してあります。時間の関係もありまして、内容の説明は省略させていただきたいと思います。
第6点目、紛争解決援助制度についてです。前回の資料ですと18頁です。運用実績に関連して、その人数ベースの件数がわかるか、あるいは、申告してくるほうの内訳として事業主あるいは労働者の内訳、それぞれ、どのぐらいの比率かという御質問がありました。これは、申し訳ありませんけれども、そういった観点からの統計といいますか、調査は行っておりません。今後、こういった点、必要な事項であると考えますので、調査方法なりを改善していきたいと考えております。
第7点目、中小企業勤労者総合福祉推進事業です。いわゆる、サービスセンターの関係です。これについては、人間ドッグについての補助をやっているわけですけれども、政管健保とか、そういったものとダブるのではないかというような御質問がございました。実態を調べておりますと、確かに、政管健保も人間ドッグ受診にかかる補助制度があります。ただ、実際には、利用できる人員なり予算に枠があるということで、受診できる人員は限られているというような実態にあります。そういった政管健保等からの補助を受けられない場合、この事業によりますサービスセンターからの補助が受けられるというような実態になっているということです。
第8点目、予算関係で2つ御意見がありました。1つは、金額だけではなくて、それぞれの労働福祉事業の割合の内訳はどうなっているかということです。参考の3、9頁です。見にくくて恐縮なのですが、下からいきますと、棒グラフの間にゴシックで少し太い線があるかと思いますけれども、それがそれぞれの事業4区分を示しております。いちばん下が(18)から(15)という所になっているものが、社会復帰促進事業にかかわる諸事業の予算全体、労働福祉事業費全体に占める内訳です。(14)から(12)が次の被災労働者援護事業の比率、(11)から(7)が安全衛生確保事業の比率です、いちばん上が労働条件確保事業の比率です。全体の予算規模なり、それぞれの額の変化によって若干凹凸がありますが、このような状況になっているということです。
10頁にまいりまして、労働基準局全体の予算の内訳で、一般会計と特別会計の比率がどうなっているかというような御質問がございました。10頁ですけれども、平成11年度予算額で見ますと、基準局全体で1兆2,000億円です。一般会計の比率は、いちばん上にありますように、1.8パーセントで2パーセントを切るというような状況です。特別会計労災勘定ですけれども、98.2パーセントといったものが特別会計の比率であるということです。
11頁にまいりまして、先ほど座長からもありましたように、今後の労働福祉事業の在り方につきまして、これまで論点として提出してきたものにつきまして、今後の当小委員会の議論の叩き台とするという観点から考え方などを整理したものを準備させていただきました。ゴシックで書いてあるものが、これまでの論点として提出してきたものです。細い字で書いてあるものが、今回、議論の叩き台になるよう準備させていただいたものです。
社会復帰促進事業についてどう考えるか。今後、労災年金受給者数が累増するといった観点からいきますと、事業の必要性は今後ますます高まるのではないか。予算と実績の乖離が大きい事業については予算規模を見直すべきではないか。ただ、そうはいっても、社会復帰促進事業の事業内容は基本的には今後とも充実すべきではないか。
被災労働者等援護事業についてどう考えるか。労災年金受給者が累増するということからいきますと、事業の必要性は今後も高まるのではないか。予算と実績の乖離の大きい事業については予算規模を見直すべきではないか。それから、公的宿泊施設について、労災の関係でも全国に9施設ほど宿泊が可能な施設がありますが、こういった施設についても、今後、廃止の方向で検討すべきではないかと。
次に、労働安全衛生確保事業についてどう考えるか。現在、労災事故は確かに減少しているわけですが、そうはいっても、その減少に応じて事業を縮小することは適当ではないのではないか。今後とも、その経済活動規模に応じた事業を継続して実施すべきではないか。実績が上がらない事業、いろいろと御指摘もありましたけれども、そういったものについては原因の究明の上、今後の対応策を早急に検討すべきではないか。
労働条件確保事業についてどう考えるか。労働条件確保事業については、その目的、効果等の観点からその範囲が不明確になる恐れがあることから、事業の内容をより明確にすべきではないか。その1つとして、労働条件確保事業の1つである未払賃金立替払事業について、これを引き続き労働福祉事業として行うことについてどう考えるか。使用者の責任に属する賃金の不払いに対する立替払事業については、その財源を、事業主の共同責任に基づき労働者の保護を図るという労災保険制度に求め、引き続き労働福祉事業として実施することが適当ではないか。
社会復帰促進事業のうち、大きな割合を占める労災病院について、その実態を踏まえどう考えるか。勤労者医療の中核的機能を高めるため、労災指定医療機関や産業医との連携システムを含め、その機能再構築を図るべきではないか。労災病院の設置状況あるいは労災患者の利用実態などを勘案し、必要に応じ、既存施設の統廃合等を図るべきではないか。出資金のさらなる縮減、民間へのさらなる事業委託を図るべきではないかということです。
3頁にまいります。労働福祉事業全体の枠組みをどう考えるかという論点です。この論点の中では、1つは、被災者や遺族にかかる社会復帰促進事業、被災労働者等援護事業、労働災害の減少につながる労働者安全衛生確保事業、こういった3つの事業と労働条件確保事業の性格の相違をどのように考えるか。これにつきましては、被災者や遺族にかかる社会復帰促進事業、被災労働者等援護事業、労働災害の減少につながる労働安全衛生確保事業、これらの事業と事業主の共同責任によって労働条件の確保、向上を図っていく、そういった観点から行っている労働条件確保事業との性格の相違を明確にすべきではないか。こういった性格の相違を考慮すると、現在は4つの事業を合わせて労働福祉事業という名称で総括しているわけですけれども、労働福祉事業という名称は不適切ではないか。
次の論点としましては、労働福祉事業の実施状況について、審議会がチェックする仕組みが必要ではないか。事業の実施状況を定期的に審議会に報告、この審議会というのは当審議会ですが、審議会に報告するとともに、必要に応じ、事業内容の見直しを行うべきではないか。以上が事業全体の枠組みについてです。
以下は財源の問題についてでございます。14頁以下ですが、今後の労働福祉事業の運営に必要な財源を安定的に確保するためにはいかなる措置が必要であるか。最初の論点としましては、今後の保険料収入及び限度額の見通しをどう考えるか。これは、前回、資料を提出しましたように、今後の保険料収入の見通しは、今後の労働災害の発生状況、さらに、経済状況によって左右されるが、その政府経済見通しのとおり経済成長が達成されたとしても、限度額は平成13年度には2,300億円前後、平成16年度には2,200億円前後となり、平成11年度に比べて100億円から200億円少なくなる。ただし、経済状況如何によれば、それをさらに大幅に下回る懸念もある。
もう一つの基礎数字としましては、今後の年金受給者数の見通しをどう考えるかということです。2015年にかけて労災年金受給者数が累増し、その後しばらく22万人台で推移すると見込まれる。同時に、労災年金受給者の高齢化も進むものと考えられる。
次の論点としましては、その限度額については平成6年建議において指摘された労働者の賃金総額の一定割合という考え方を取り入れることについてどう考えるか。料率の設定に当たりましては、その賃金総額の1.5厘相当分を労働福祉事業費用に当てるということで料率を決定して徴収しております。こういったことを直接反映した限度額とすべきではないか。、限度は省令で決めているわけですけれども、法的拘束力を強める観点から、その根拠を法律上明確にすべきではないか。
次に、未払賃金立替払事業に要する経費を限度額の対象から除外した今回の緊急避難措置について、景気動向に応じて所要額が大きく変動するという当該事業の性格に照らしてどう考えるか。未払賃金立替払事業に要する経費については、法律上請求があれば政府はこれに応じるということにされております。その景気の動向によって所要額が大きく変動するといった性格を考慮すると、継続的に限度額の対象から除外すべきではないか。
次に、積立金についてです。積立金の繰り入れに関する現行の取扱い、これは特別会計法で規定されておりますが、労災保険事業の保険給付費等を支弁するために必要があるときは、予算で定める金額を限り、労災勘定の歳入に繰り入れることができる、そういった取扱いについてどう考えるか。積立金は年金受給者の将来の年金給付費に当てる原資として積み立てられているものであり、権利性ある年金給付を将来にわたり確実に確保する、そういった観点からは積立金の繰り入れについては真に必要とされる場合に限定されるべきであり、現行の取扱いを維持するべきではないかということです。
もう一つ積立金に関連してですが、現行の積立方式についてどう考えるか。労災事故の責任は、労災事故が発生した時点の事業主が負うべきものと考えられることから、年金に要する費用は将来給付分も含めて当該年度において徴収するという現行の積立方式が妥当なものであり、今後とも維持すべきではないか。平成元年度から30年間の計画で徴収を行っている過去債務分についても、計画期間の延長は保険料負担をさらに後世代事業主に転嫁することにほかならない、そういったことから当初の計画を維持すべきではないか。以上でございます。
○ 座長
前回の質問に対する回答と論点ペーパー、両方が出ておりまして、今日は論点ペーパーを中心に議論をしていただければありがたいと思っております。その前に、質問に対する回答等について何か御意見、再質問等がありましたらお願いします。
○ 委員
労災就学等援護経費の給付基礎日額による支給制限の考え方の問題で、結局、前回御提出いただいた資料の5頁の所では、1万6,000円という水準を定めるときに、「年金受給者の9割をカバーできることを基準として」と、こういうふうに書いてあるのです。先ほどの御説明だと、結果としてこういうふうになるんですよと、基準というのは現役の人たちの賃金とのバランスで基準を決めて、結果が9割をカバーと、こういうふうな説明だったような気がするのです。この書き方と説明とが違うような気がするのですが、そこは説明のほうでよろしいかどうか。
もう一つ、紛争処理のことで、運用実績で事業主が来たのか勤労者が来たのかという、その辺の統計はないということなのですが、それは是非これから取っていただきたいと思います。たしか、中基審に所属しているわけではないのでよくわかりませんが、労働基準法改正をするときの労働省の説明は、紛争というのは労使双方からあり得るということで、労使双方の相談に応ずるということでこうした援助事業をやることにしていたのだと思うのです。この統計の取り方のときに、そういう取り方をまったくしていないというのは大変残念というか、遺憾だと思うのです。過去のことは別として、これからきちっと取っていただきたいと思います。お願いをしておきます。
○ 事務局
最初の点ですけれども、前回資料は、おおむね年金受給者の9割をカバーできることを基準として限度額水準を設定しているということで資料を提出しました。いろいろと従来の経緯を調べてみますと、確かに、「9割を基準として」云々というのは表現が妥当ではなかったのかなという感じはしております。
○ 事務局
紛争処理につきましては、いま委員がおっしゃいますとおり、誰が相談したかとか、どんな紛争についてどういう相談を求めたかということは大変重要だと思っています。このあいだ配ったような報告を地方局から求めておりますので、今後、その地方の局からの報告の求め方について改善を検討していきたいと思っております。
○ 委員
いまの紛争解決の問題ですが、労働者の中であっても、それは、個別の労働者が物を言っているということとか、あるいは労働組合がそれを言っているということとかあると思うのです。そういうデータもないということですか。
○ 事務局
紛争解決援助制度の場合は、紛争の当事者が相談を求めることができることになっておりますので、個別労働者が相談に来るということで、組合として来るというのはこの場には乗ってきておりません。
○ 座長
それでは、また必要に応じて労働福祉事業の現状に戻る場合には御質問等をしていただければ結構だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。資料No.2の今後の労働福祉事業の在り方についての論点ペーパーについて説明がございましたが、中身は事業の見直しと財源確保の問題というように大きく分かれております。ボリュウムもそうありませんので、全体をとおして御意見交換をしていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 委員
最初に、この論点ペーパーの作成の仕方の問題といいますか、審議会でどこまでこの意見、あるいは意見めいた意見が出ていたのかどうかはっきりしないのです。私も、休んだりしているときがあるのですが、何か、総じて見ると、審議会のこういう意見があったからということではなくて、事務局がこういうことで持っていきたいという、そういう方向で出ているような感じがしています。
当然、ある意味では、対立する意見というのもあったりするのですが、そういう論点の整理ではなくて、とにかくこういうことではないかと。こういうことの整理の仕方なので、つくり方自身についてどうなのかなと。もっといろいろな意見があり得るはずだと思いますし、こういう積極論と消極論、あるいは別の意見がありそうだと思うのです。そういう中でどれを選んでいきますかということならばわかるのですが、そうではなくて、1つの方向が出てしまって、あとはどうするのだと。うんと言うのか言わないのかというような感じがするのですが、そういう進め方というのは事務局主導のような感じがするのです。その点は、今の段階でどうということは言えないにしろ、今後の進め方の問題として申し上げておきたいと思います。全体的に、これはどうかということで議論を進めるということですけれども、そういう進め方でいいのですか。
○ 座長
少しお断わりしたいのですが、小委員会が始まった当初、どういう議論をしていくか。基本的には議論の成り行き次第ですけれども、年内である程度の方向が出せればありがたいという事務局側の要望もありましたので、議論をしていく上で事務局として将来の展望をどう考えているのか、現状をどう考えているのか、議論の叩き台になるものがあったほうが効率的に進められるのではないかというふうに私も申し上げたと思います。それで良い悪いは別として、これは全くの叩き台として考えているという、そういう前提です。
もちろん、この中にもっとこういう項目があるのではないかということが当然あ ると思うわけです。これは、第1回目に申し上げましたように、9月末までに労使 双方の皆さん方で何か検討すべき項目、あるいは方向等があれば出していただくと いうこともお願いしているかと思いますので、それも含めて議論をしていただきた いということでございます。あくまで叩き台ということで、必ずしもこれにこだわ ることは必要ないというように思っておりますので、それは自由に御議論いただけ ればありがたいと思っています。そんな進め方でよろしいかどうか、もう一度御議 論願いたいと思います。
○ 委員
第2回小委員会のときに、私は、今後の労災保険制度がどのように推移するのか、 あるいはどのように推移させなければならないのかということから議論して、その 上で各論の議論をしたほうがいいのではないですかという問題提起をしました。結 果として、まとめられた論点ペーパーは、そういった総論の中での労災保険制度、 例えば財源をどう確保するかとしているわけですが、財源を確保するかということ の前提の中に、出されているものは今までの議論経過を踏まえたものだから良いの ですが、基本的な部分で財源をどう確保するかということではなしに、この労災保 険制度の役割と、現在の施策との関係についてどう基本的な部分で評価をして、何 を強化しなければならないのか、不要なものは何なのかという総論的な議論をしな いと、木ばかりを見て森を見ずという危険性があるのではないかということはもう 一度申し上げておきたいと思います。
したがって、こうした論点については、議論が出てきたところですからこれで良 いのですが、そういう総論の部分での論点を1つ追加することが必要だということ を申し上げたいと思います。
○ 座長
釈迦に説法かと思いますけれども、事業の在り方と財源というのは、いわば、表 裏の関係にあって、いくら良い事業をやろうとしても財源確保がなければ事業の拡 大は難しいという結論にならざるを得ない。逆に、将来、財源に余裕があるのなら ばどんな事業でもいいから膨らましていくかということにはならないので、事業の 在り方にも関連してくる。とりあえず、この事業、財源の見通しを、いまの方向を 進めていくとかなり将来的に厳しくなってくるという見通しだということですので、 そういう厳しい前提で事業を考えるのか。
あるいは、厳しくなった場合には、財源確保の方向を考える必要があるかどうか。 表裏の関係ですので、その辺もいま委員がおっしゃったように総論の問題ですので、 その辺の御意見等を伺った上で個別の事業、財源確保に入っても結構でございます。
○ 委員
確かにそういうことなのですが、この労災保険制度といいますか、これについて は普通の制度とは少し違うと思います。労働災害によって被災した人のフォロー、 その家族、遺族のフォローということも極めて重要なテーマになっているわけです。 したがいまして、財源というものを考える場合には、労働福祉事業の財源確保策だ けではなく、労災保険の財源を。これは労働災害が減少していき、労働者の数が減 っていくということになれば、臨時的な料率改定をしない限り、私どもの期待から いっても、財源は減り続けるわけなのです。しかし、過去の被災者は残っていくこ とを考えておかないと。財源がなければ事業縮小、必要があれば上げるという、そ ういうことでもいいのですが、これはほかの事業とは少し趣旨を異にしていると私 は考えます。
○ 委員
労災保険制度というのは短期給付と長期給付とあるわけですね。もちろん、労働 福祉事業の中にも、ある意味で見れば長期的な給付ではなかろうかなという感じの ものもないわけではない。労働福祉事業そのものは、政策的な判断で変動する要素 だろうと思いますが、法定の給付の長期あるいは短期ということでいけば、保険で すので収支相当の原則ということでやっているはずですから、それなりの財政計算 をしてやっている。
確かに、過去において、長期給付についての積み立てがなされていないという現 実があったのに対しては、平成元年で、これからは充足賦課方式でやりましょうと いうことで行ったわけですので、そこのところは一定の整理は一応ついているのか なと。ただ、短期給付の問題については、大災害が発生するということで、治療を 要する人が相当程度出てくると、こういうようなことが出てくれば、その場合の現 行の制度というのは積立金は使えないのではないですか。正確に覚えていないので すが、年金給付のほうに積立金を使うと。そうすると、料率に直ぐに反映してくる 制度がいいのかどうかという問題はあるのだろうと思うのです。基本的には、いま の財政方式の将来分について充足賦課方式をとっているということで、ある程度の 財政均衡がなされる仕組みにはなっていると言えるのではないかなとは思うのです。 短期給付のために積立金を取り崩せるのですか。
○ 事務局
特別会計の事実関係でいきますと、保険給付に支弁するというようになっておりますので、短年度の保険給付が賄えないぐらい保険料収入が落ち込むということがあった場合には、それは給付全体ですから、短期給付、長期給付、区別せずにやっているということです。ただ、その積立金自体の性格としては、ある程度の積立金の規模があって、それが、本来であれば円滑に運用されることによって全体としての年金給付が円滑に行えるというような発想であるため、取り崩していくというようなことは想定していないません。
○ 座長
先ほど委員から御発言がありました件なのですが、労災保険法第1条にもありますように、被災労働者に対する保険給付が基本であることははっきりしております。合わせて社会復帰その他の福祉事業も入っておりますので、本体事業の財政的な安定を図ることは当然の大前提として進めていくということで考えさせていただいたらどうでしょうか。
○ 委員
はい。
○ 座長
それでは、どうぞ御自由に。御意見が出しにくければ、個別事業の見直しなり全体の事業のほうから議論をしていただきましょうか。全体の枠組みはどうやったらいいか。あるいは、個別事業、4事業をどうやったらいいか。
○ 委員
通し番号の14頁の所から言いますと、労働者の賃金総額の1.5厘相当分を福祉事業費用に充てるべき額として徴収していることを直接限度額に反映させるということにより、全体のバランスとして、労働者個人、あるいは事業主の負担というものが変化するのか、あるいは、その時点では変化しないけれども将来にどういうかかわりを持つと考えられているのか。
これはこれからの基本の問題になると思うのです。そこら辺りは、平成6年に建議をされたということで、今回も建議すべきではないかというようにしてありますので、その基本的な考え方、判断について確認しておきたいと思います。
○ 事務局
賃金総額の1,000分の1.5を労働福祉事業に充てるという考え方で料率を設定しているのは、先ほどの平成元年から充足賦課方式を採用したという御議論がありましたが、それを議論した当審議会で、そのような考え方で全業種共通で1,000分の1.5を労災保険率に加えていくというような議論をした上で決められていると理解しております。ただ、現実の労働福祉事業にかかる限度額をその後どうやって決めてきたかといいますと、保険料収入と積立金の利子収入の115分の15、平成7年から118分の18を限度額にするという考え方でまいりました。
それでいきますと、私どもいま問題意識として持っているのは、その保険料が全体としてマイナスになってくるような社会になりますと、その限度額も必然的に平行的に減少していくというようなことになる。これは、立替払事業をはじめ安全衛生関係の事業など必要な事業が円滑、かつ安定的にできないのではないかというような問題意識を持っているわけです。逆に、その賃金総額の1,000分の1.5を労働福祉事業に充てるということで料率を設定している考え方をそのままストレートに限度額にするという考え方をとりますと、その限度額自体が保険料の増減とは別に、賃金総額、いわば、マクロで見た賃金総額にリンクするというような形になりますので、保険料収入が減少する、これは、労働災害の減少あるいはサービス経済化が進んで料率が低い、いま1,000分の6がいちばん低いのですが、そういった業種が増えてきて、平均料率が下がってくる、そういった影響で保険料が減ってくるとしても、その限度額自体はそれ自体の影響を受けないで安定的な限度額になるというように私どもは考えているわけです。
○ 委員
平成元年当時この審議会の議論がどういう議論だったかということは私はわかりませんが、今の財政方式を取り入れる前というのは労働福祉事業を全産業から出していただくという考え方ではなくて、災害分の保険料率の中から回していたというのが実態ではないかと思うのです。
労働福祉事業というのも、全産業で一律に負担してもらったほうがいいだろうということでそのやり方が変わったのだろうと思うのですが、そのときに、賃金総額の1.5を労働福祉事業に回すということの水準まで1.5にするということで、これから未来永劫ずっとやっていくのですよと、こういう整理の仕方ではないのではないかと思うし、もしそうだとすれば、その考え方は誤りだと思うのです。
なぜなら、その賃金総額というのは、雇用労働者数と賃金水準によって変動してくるわけですが、労働福祉事業というのは、4つの種類の事業があり、これらにはいろいろな性格の事業があるのですが、その4つの性格の事業を賃金総額にリンクして限度額をどんどん上げていっていいのですよと、要するに、1.5ならば1.5で上げていっていいのですよという設定の仕方ではないはずです。そうであるからこそ、115分の15という限度額を設けていたのであって、賃金総額の1.5厘相当を労働福祉事業に充てる額とするということを審議会なりで決めていったとは私は、思っていないのです。いつの審議会で、あるいは省令なり告示なりで、そういう考え方が出ていたのでしょうか。
結果として、いま現在は1.5厘で取っているということは確かにそのとおりなのですが、それは結果であって、1.5厘を労働福祉事業に回しますということが先にあって決めていたというようには思っていないのです。
○ 事務局
未来永劫決めたかどうかと言われると困るのですが、昭和63年12月13日の第317回の労働者災害補償保険審議会でございます。これは平成元年以降の料率の設定を御議論いただいた審議会ですが、その場で労働省のほうから「全業種一律に1,000分の1.5厘相当分を労働福祉事業に充てるべき額として負担していただこうということです。」というような御説明を行った上で平成元年以降の料率が決定されたというような経緯があります。そういう意味で、先ほども申しましたけれども、1,000分の1.5相当を労働福祉事業に充てるという合意なりコンセンサスの下で、その後推移しているというように私どもとしては理解をしているということです。
○ 委員
それは労働省の御説明はそうであったかもしれませんけれども、それを政策的に保険料率を設定するときに、労働福祉事業の限度額は賃金総額の1,000分の1,5でいくのですよということであれば、今の限度額の設定の仕方、すなわち保険料収入かける118分の18の仕方自身がおかしいことになるのです。それはそうではなくて、労働福祉事業というのは、従来は、平成元年以前については、そういう設定としないで災害率の中に含まれるという形にしていましたから、結果的に見れば、その災害率の高い所が労働福祉事業に回す金を相当取られる形になっている。それを是正しようということで、一律的に業種を問わず一定の水準を回すようにしましょうと。そのときに、ではどのぐらいの水準になるかということがわからなくて、そういう考え方を整理することができない。そういうことできっちり数字も出していただいて、1,000分の1.5はそういうことに回しますよと、こういうことだろうと思うのです。多分、そのときに、通勤災害についても説明しているはずですが、通勤災害については、いま1,000分の1取っているわけです。通勤災害について、その1厘の限度額でしか回さないということはやっているのでしょうか。そんなことはないはずです。
通勤災害があれば、全体の中での給付はきちんとしているはずであって、その全体の保険料率の中の内訳としてそういう性格付けのものがいくつかありますよと。いまでいけば4つの分類の性格の料率が合わさって保険料率が構成されているという、その4つの中のうちの労働福祉事業というのはこの程度の水準ですよと。こういうふうに理解されるのです。私は、この立論の仕方自身がいかがかなと思います。
○ 座長
わかりました。そうすると、私の理解ですが、2段構えの御意見ということでいいのでしょうか。要するに、賃金総額の一定割合を労働福祉事業に充てるべき財源として徴収するという考え方でいいかどうかということが1つ。よろしいという立場に立った場合、現在、118分の18ですか、これにほぼ相当するのが賃金の1.5厘相当部分だと。だから、1.5厘相当部分というものをいま直ぐオーケーするのかどうか。これは事業が将来拡大していく必要があるとなれば1.5厘相当が上がっていくかもしれません。それは流動的な問題として、2段構えで、賃金総額の一定部分割合を徴収するという考え方の導入について、事務局として1.5厘も含めていますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○ 委員
既に基本の方向は議論をして確認されていると。経緯の中ではそういうように決められているということですから、これを改めて議論をし直してもいいのですが、充てることについては私のほうは異存ありません。ただ、その下の項目の未払賃金立替払事業を限度額の別枠にするという議論が、この1.5厘を設定したときに、立替払事業分の財源を別枠にするかしないかということまでの議論はされていなかったのではないかと思います。これはまた、この小委員会、審議会が立替払事業分だけを限度額から外して1.5厘で既に実質徴収している額を踏襲してやると、相当大きな金を労働福祉事業にバラ撒くということになる。私は、労働福祉事業についてはバラ撒き部分が多いと思っているのです。
これは、そういう前提があったのかどうかという確認と、前提があったとしてもいまの予算額に占める立替払事業分の割合からしたら、それは料率を見直すべきだと、こういう意見を申し上げたいと思います。
○ 委員
私自身は、端的に言えば反対です。賃金総額の一定割合という考え方で法律なりに書くことは反対です。理由としては、2つあります。1つは、ここの所ではないのですが、労働福祉事業は4事業あり、これらの4事業は性格が異なると、こういう議論をしようとしているわけですね。しかも、未払賃金立替払事業部分については、限度額の枠の外にしましょうと、こういう議論がなされているわけです。
一方において、平成6年の建議で言う賃金総額の一定の枠内というのは、労働福祉事業の何をとらえているかなのです。こういうように4つなり、あるいは未払賃金立替払事業の部分を限度額の枠外にするというようなことを前提にしているかどうかというと、平成6年の建議の時点でそこまで考えていたとは思えない。
もう一つは、労働福祉事業にはいろいろな性格の事業があると思っています。被災労働者等援護事業だとか社会復帰促進援護事業だとかという、被災労働者というものがいることに伴って出てくる事業の種類もあるわけですけれども、災害の予防のための活動の費用というものもあるわけです。そういう事業の性格がいろいろあるというものが、賃金総額、要するに、雇用労働者かける賃金水準、それによってその水準が抑えられる。水準が高いか低いかは別として、それとリンクする性格のものではないのだろうと思います。
その被災労働者の社会復帰とか援護というのは、それなりの被災労働者数がいるわけです。これらの者に対してどれだけの政策的な判断をするかということになるでしょう。災害の発生の関係で申し上げれば、災害の発生というものの予防活動を安全衛生活動をどれだけ推進していくかというのは、そのときの政策判断であり、どれだけの予防活動にお金を注ぎ込んでいくかということでやらなければならない性格のものであって、賃金水準かける労働者数という賃金総額にリンクするという性格には馴染まないのではないかと思うのです。しかも、限度額で入れるという考え方ですから。
○ 事務局
問題は2つありまして、1つは、その労働福祉事業自体を実施するために、労災保険料のどの程度の割合を充てるかという問題があります。これは、先ほど来申し上げましたように、労働省としては、平成元年に考え方を変えました。これは委員がおっしゃるように、平成元年以降は、広く全体の事業主が同じ負担をするべきだということで1,000の1.5を全業種一律で負担しましょうということでやってきております。ここは、おそらく、コンセンサスがあって、御異論がないのではないかと思っております。
もう一つは、その限度額をどのように設定するかということです。平成元年以降やってきたのは、平均料率分の1.5というものを出して、これが大体115分の15とか、118分の18という部分に保険料の割合に換算すると非常に近い数字になる。非常にテクニカルな操作をしまして、1,000分の1.5はそこで設定するといいながら、限度額というのはその平均料率分の1.5というものを換算して保険料のどの程度の割合を限度額にするかということでテクニカルにやってきたわけです。その辺が、料率の設定の考え方と限度額の設定の考え方が違うのではなかろうかというような点も1つの問題意識ではあります。
もう一つは、安全衛生事業ですが、例えばその保険料が減っていく割合に応じて減っていいかどうかというのは御議論があろうかと思うのです。私どもとしては、おそらく、ベーシックな安全衛生対策は、災害がある程度減ってからといって手を抜くわけにはいかないというように考えております。そういう意味では、例えば安全衛生対策などは経済全体の規模にリンクした限度額の下で、その限度額を目一杯使うというのはまた別だと思うのです。その限度額の中で必要な政策判断を行い、必要なものをやっていくことのほうが現実に則しているのではないかというように考えているわけです。
○ 座長
財源の問題に入っていますけれども、ほかに御意見いかがですか。
○ 委員
途中で退席しないといけないので、全体のことを申し上げるわけにもいかないのですが、11頁に安全衛生確保事業の関係について事務当局のほうから出ています。災害事故発生件数の減少に応じて事業を縮小する考え方は私は反対です。適当か否かという問題ではなくて、そういう議論がなされているとは私は思っていないのです。
災害の発生が、例えば1割減れば安全衛生確保事業の費用も1割減らすというようなものではないと思っています。安全衛生の問題というのは、先ほども申し上げたのですが、それなりに予防の効果があるわけですから、政策的にどの程度の政策判断でやるかということであって、発生数の減少に応じて事業を縮小するという、その立論自体がないのではないかと思うのです。
また、後半で出てくる「経済活動規模に応じた事業を」という、そこの所はどうなのかなと思うのです。経済活動の規模というのは、昨今の景気の動向のように、大変変動してくるわけです。それから、産業構造というものも、昭和20年代のような石炭産業などのウェートが占めるようなところから、いまはほとんどその2つ以外にないという、その産業構造が大きく変化をしている。むしろ、ソフト化、あるいは情報産業のように移っていくということで、災害の発生リスクと経済活動規模の問題とは必ずしもリンクしないのです。リンクしないものを、リンクさせるような形で継続させようという考え方は、いかがかなと思います。前の立論も反対ですが、「今後とも経済活動規模に」云々というのも、今後ともというのは従来そうしていたかどうか、私は必ずしもそうは思っていないのですが、そこの所の論点の整理の仕方は私は反対でございます。
もう一つ、その下にある「労働条件確保事業」の問題ですけれども、ここに書いてあるのは、その範囲が不明確になるおそれがあるから明確にしろという整理の仕方です。事はそんな簡単なことかといいますか、この程度の問題ではないかなと思っています。果たして労働条件確保事業の中には、法律が出来たときに予定していたような性格の事業なのかどうか。そういうことからすると、どうもそれに外れているようなものもあるのではないかというように思うわけです。そういう意味では、事業内容の明確化ということではしていただく必要があるのですが、切り口としては、真に労働条件確保事業として必要な事業なのかどうかという切り口で見ていくことが必要なのではないのかと思います。
それから、残った社会復帰促進事業と被災労働者等援護事業について言えば、先ほども申し上げたように、これらの事業は必要な事業だと思います。一般論として申し上げればです。ただ、それぞれの事業の中にはいろいろな事業がありますので、その事業の性格からして、必要がある事業については充実させていく事業もあるでしょう。
しかしまた一方において、役割は終えた事業もあるのかなと思いますので、そこの所は個々の事業の性格によって対応していくということで、私は、事業全体として見れば必要性が高まるとは思っていなくて、一般論としては事業の必要性は引き続きありますよと、こういう整理だと思います。これらの事業というのは、被災労働者のための施策として定着してきた面もありますので、今後とも充実すべきは充実させ、また、整理すべきは整理していくということだと思います。
いちばん下の未払賃金立替払事業の問題について言えば、ここではいまのままでよろしいというようになっているのですが、私としては、今日の場でこれについての考え方を申し上げるのは保留させていただきたいと思います。いろいろな意見を総合して判断をしないといけないのかなというように思います。ただ、いまの時点で廃止をしろというところまで言うつもりはありません。しからばどうしたらいいのかと言うと、そこのところはもう少し整理した上で申し上げたいと思います。
○ 座長
委員から御意見の開陳をお願いいたします。
○ 委員
先ほどの御意見は部分的にわからないところもあるのですが、冒頭、指摘がありましたように、総論の所で怪我をされた方の家族を含めて、社会復帰促進事業をする、被災労働者等援護事業もやる、労働条件確保事業もやる。こういう所について、異論がある人は全然いないと思いますし、財源が足りなければ料率を上げてやらなければいけないだろうし、その辺のところが食い違うとは全然思っていないわけです。
結局、この委員会が出来たその冒頭の未払賃金立替払事業の所がもともと論議のもとになったわけですから、そういう点では労働福祉事業という言葉は別としても、その労働条件確保事業の所の中身が、現在本当に必要なのか、もっと違う所と一緒にすべきなのか、これは少し統廃合したほうがいいのか、あるいは、幅が広がりすぎたから抑えたほうがいいのかと、そういう整理の論議をしないと話があっちに行ったりこっちに行ったりして、論議に参加しようにもしようがないなと思っています。ですから、私は、この事業というのは、労災保険はもちろん働く者にとっては大変必要なものですから、そういう視点から財源のことも、全体の論議のこともしてもらわないと、委員としても発言のしようが難しいなと、このように思っているのです。
○ 座長
それでは、議事の進め方を伺っておりますと、社会復帰促進事業、被災労働者等援護事業、この辺り、中身の改善、必要性が高まるというのか、今後とも増えるというか、言い方はありますけれども、あまり大きな御議論がないとすれば、安全衛生確保対策を経済活動規模に応じた継続的なやり方をするか、あるいは政策的に必要があればそのときは増やすとか、弾力的な運用の仕方があるにしても、災害の予防対策事業としては意義があると、皆さん方、大体のところはコンセンサスが得られるのではないかと思うのです。
問題は労働条件確保事業ということで、これは、事務局も書いていますように、範囲の問題、目的、効果、あるいは労働福祉事業の中で置いておく問題点、これに御意見があるように思いますので、もしよかったら、労働条件確保事業について事務局のほうが、「範囲が不明確になる恐れがあることから事業の内容をより明確にすべきではないか」と、このように考えている点で敷衍して説明することがあれば敷衍していただく。なければ、このような方向でいいのかどうか、その辺を御議論していただければありがたいと思います。
○ 委員
基本的には、こういう考え方でよろしいのですが、この4つの事業を総括して労働福祉事業というのか。本当は福祉ではなしに、被災者の救援ですから、それと労働条件確保事業と、2つぐらいに、これは、目的と趣旨が少し違うので分けて考えたほうがいいのではないかと思います。
また、被災労働者等援護事業の関係についてなのですが、あえて言わせていただくと、この前から何回も議論してきていますように、被災労働者の年齢が高齢化して、リハビリや介護という問題も含めて、その必要度が高くなってきているということは、これまで問題、実情が明らかになってきておりますし、私としては、この問題に関連して直ちに不要とするものがないのです。どこを指して、充実すべきは充実する、廃止すべきは廃止するというように言われているのか、そういうように申し送るとなかなか決着がつかないので、少し明確にしてもらいたい。
高齢化ということと、前回に大きな資料を出してもらって説明を受けた話からすると、基本的には廃止すべきものはない。個々に書いてありますように、公的宿泊施設については、私が申し上げたように、その方向が示されていますので、そういうことで足りるのではないかと思いますが、何かお考えがあれば、私も勉強をしますので、聞きたいと思います。
○ 座長
座長としてまとめる責任がありますので、大体、議論の大まかな流れがどっちに行っているか、それは議論していただければありがたいと思っています。その辺も踏まえてお願いできればありがたいと思います。
○ 委員
委員の御質問には直接お答え申し上げないで、13頁の所ですけれども、労働条件確保事業について、ここでは事業主の共同責任によってという性格付けで労働条件確保事業を位置付けているようなのです。私は、労働条件確保事業の中で、未払賃金立替払事業制度の問題は、確かに、そういう側面は否定できないのかなと思うのです。それでは、それ以外に行われている労働条件確保事業が、事業主の共同責任でやらなければならない事業か。財形の事業、退職金共済の助成事業とかは、私は、そんな性格のものでは全くないと、いまは共同責任の問題とは全然違う観点で労働条件確保事業が行われているのではないかなと思うのです。今の労働条件確保事業が、すべてこの事業主の共同責任という考え方の整理をするというのは、事務局が整理しているのだとすれば、それは少し行き過ぎではないかと思うのです。
○ 座長
ここの所は、弁護するわけではないですけれども、未払賃金立替払事業は共同責任であるけれども一般の労働条件の確保向上のための事業もあるわけですから、ここに「共同責任等による」ということに、全部が全部共同責任でやっているのではないかと。事務局側で御異論があれば別ですけれども。
○ 委員
未払賃金立替払事業の関係については、私は、共同責任だと思います。これは、ドイツ、フランスを中心にして、立替払保険事業制度がもう既に発足をしております。その年々に毎年の決算をやって不足金が生じた分は会員になった全事業主で共同負担をすると、こういう制度だってもう既に先進国では見られるわけです。
そういうことから言いましても、共同責任で、賃確法は持ってきておりませんが、おそらく、そういう趣旨のことは書いてある。ただ、労働条件確保事業の関係については共同責任ではなく、生産構造が2層化、3層化、多重化している中で、下請けや中小企業の労働者を支援する。あるいは、そういった事業主を支援する趣旨が含まれているので、労働条件確保事業すべてに事業主の共同責任はかぶらないでいい。しかし、未払賃金立替払事業関係についてはかぶるものだと、そのように御指摘しておきたいと思います。
○ 委員
中小企業の退職金の問題などを考えた場合に、この会計から出ている部分というのは金額では大きいけれども、事業総体から考えるとあまり大きなお金ではないわけです。労働者の労働条件確保事業について、共同責任という言い方はそれで良いと思うのです。零細企業にある程度助成的な意味を持つということであれば、大きな事業主を例にとれば、社会的な責任という意味合いも含めれば、共同責任という言葉があってもそんなに不都合ではないのではないか。そこの労働者の退職金を全部この会計から持ち出しているというわけでは決してないのであって、そういうように考えればいいのではないかなと思います。
○ 座長
13頁の全体の枠組みの中の各事業との相違、性格の相違をどう考えるか。ここは修文上の問題はいろいろあると思いますけれども、ベースとしてはこういうようなことをベースにする。名称の問題は、先ほど「いかがか」というお話もありましたので、それも踏まえて報告に反映させていくということでいかがかなと思います。
○ 委員
このことは、単独でここの所の整理をするということでいくのではなくて、結局、後で出てくる未払賃金立替払事業を除外するかどうかとか、あるいは先ほど出てきた労働者の賃金総額の一定割合という考え方をどの辺の所に入れるか、そういう議論の前提条件でここに書いているのだと思うのです。そちらのほうを十分に議論しないまま、こちらのほうはこれでいきましょうというわけにはまいらないと。
性格付けが違うものがあることはあるのでしょうというぐらいの整理の仕方は、それは確かに性格が違うものですけれども、それでは燦然と区別していくということを前提として議論をしてもらうというのはいかがかなというように思います。
もう1点、少し戻るのですが、12頁の所で労災病院の問題について書いてありますけれども、いちばんは、その役割をどのように考えるかということだろうと思います。「勤労者医療」という言葉を使っているのですが、勤労者医療という、なかなか難しい概念がどういうものなのかよく分からないのですが、例えば、厚生年金病院などというのもあり、社会保険病院というのもあるわけです。片方は、厚生年金等の事業の福祉事業としてやっている。片方は、政府管掌健康保険制度の事業としてやっている。いずれも勤労者を対象にした保険制度なわけです。
一方、この労災病院のほうは労働保険ですから勤労者医療ということなのですが、さて、実態的に労災病院を利用されておられる方々というのは、勤労者がもちろん多いことは多い、あるいはその家族が多いことは多いのですが、本来の目的は、まだ労災指定医もあまりいない段階で、労災病院で労災治療をやっていただこうということで出発をしているのです。そういう経緯と今の機能とがどういうことなのかという点については、きちっと再整理をしていただいたほうがいいのかなというように思うのです。その意味で、この労災病院の機能というものをどのような機能にしていくのか。単に指定医あるいは産業医との連携ということだけでいいのかどうなのか、その辺は議論をしていただきたいと思います。
それから、統廃合の問題については、確かに、それも含めて進めていただかないといけないと思いますが、統廃合の際に民営化していくということも含めて是非議論をしていくべきではないかというように思います。
○ 委員
話を元に戻してしまって申し訳ないのですが、先ほど議論になっておりました14頁、財源の安定的な確保という所で、事務局のほうから叩き台というか、議論の所在としてその賃金総額の1.5厘相当分を限度額とする考え方はどうだろうかというのが出ていまして、それについての議論があったわけです。私は、こういう考え方もあり得るだろうと思います。その前提として、いちばん知っているのは事務局なので、事務局側から基本的な理由というか、説明をもう少し説得的なものを出していただくのが必要ではないかと思います。1つは、財源を安定的に確保することが議論の前提というか、目的になっているわけですが、そうすると、なぜ安定的に確保する必要があるのか。つまり、変動しても構わない事業もあるだろうと思うのです。そうすると、今後、保険料収入が減っていったときに、その財源が少なくなってくると困るという事業を抱えていることの説明がないと安定的に確保する必要があることが論理的に説明できないだろうという気がします。
もう一つは、平成6年のときにどのような議論があったのか分からないのですが、1.5厘相当分を限度額とするというような考え方はそのときに出ていたのだろうと。その前は、先ほどの議論にもありましたように、災害率に含めて考えるということだったようです。その災害率に含めていたものを1.5厘相当分に持っていったのは、どういう理由だったのかがいま一つ私には分からなかった。そこでも、おそらくは、財源の安定的確保ということがあったのかなという気がします。
ただ、賃金総額の1.5厘相当分という形でやるとすると、その災害率とか、そういったものとは無関係な財源にしようということで、災害率とは無関係にして行う事業というのがあるのかどうか。そういう事業の性格があるのかどうか。例えば予防事業などについては災害率と無関係で賃金総額とリンクした財源を確保して行う必要があるということをどう説明するのか。先ほど御説明いただいたのですが、それでもいいのかなという気がします。
そういったように、予防事業その他各種の事業を、災害率とは無関係の財源を確保する形で行う必要があるということをもう少し御説明していただく。もしこの考え方をとるとすればその点を御説明いただく必要があるのではないかというように思いました。
○ 事務局
平成元年の経緯について、安定的な財源確保が趣旨にあったかどうか、そこは詳細を確認しますが、基本的にはそのときに労働福祉事業自体が広く適用労働者全体にわたると、災害の防止とか健康の増進、労働条件の確保、そういった事業を労働者全体を対象とするような事業に拡大してきたと、そういったことを踏まえまして全業種一律の負担をしようというようなことであったと理解しています。 それ以前は、確かに、100分の15をその料率にかけて上乗せてしてとっていたのです。だから、同じパーセントでいくと料率が高い所のほうが額自体が増えるということだったのですが、そうではなくて、全労働者を対象とするような事業も増えてきたということに鑑み、そういった労働福祉事業分の料率、設定方式というのでしょうか、そういうものを変更したと理解しております。財源の安定的確保はどういうように位置付けられていたかというのは、当時の審議会の議論をもう少し精査してみたいと思います。
また、私どもとしてこういった方式をとらなければいけない理由、安定的に事業を確保しなければいけない、逆に言うと、保険料にリンクして減っていく、あるいは縮小をしていくと困るものはどういったものがあるかということを踏まえてもう少し考え方を整理して次回以降また御議論いただきたいと思います。
○ 委員
労働安全衛生確保事業に関しまして事務局側で出された「労災事故発生件数の減少において事業を縮小することは適当ではない」ということに関して労働災害事故は減少しておりますけれども、それは産業構造が変わってきておりますので、むしろ、当然のことであるので、死亡とか、それへの災害補償が非常に大切なことに21世紀はなるのかどうか。
働く人たちの健康とか安全とか、それを基盤にした企業の発展とかということがもっと広い意味で、単に災害とか死亡が減少するということではなくて、働いている人たちがよく言うクオリティ・オブ・ワーキングライフがどのように上がっていくのか、それこそ、私ども日本が21世紀に目標とするべきところだと思います。そういう観点で、経済活動の規模に応じたといいますか、日本が先進国らしい姿で発展していくためには、この表現でそれほど妥当性を欠くものではないのではないと思っております。もしもここが立場によって違うようでしたらば、申し上げようと思ったのです。
もう一つ、労災病院のことです。12頁の所に関しては先ほどの御発言に私も賛成です。賛成と申しましたのは、労災指定医療機関や産業医との連携システムということではなくて、もし労災病院が労災病院のままでいくのでしたら、21世紀にどういう活動を中心にしなければいけないのか。
産炭地や何かの医療機関の充実ということで、おそらく、20世紀につくられ、発展してきたものだと思いますので、21世紀の勤労者医療の中核的機能になるのでしたら、その在り方も含めまして、単に健診センターをつくるとかいうことではもうないと思うのです。健診もいろいろな所で実施されていますし、それが中心になるのではなくて、もっと違う目で見る。そういう意味では、あるべき姿というものをもう少し具体的にしていただきたい。労働省ではいろいろな数字を出されていて、災害とか何かの統計はありますけれども、働いている人たちの健康水準がもう少し見えるような形の資料、最近はいろいろな所でいろいろな調査がなされていると思うので、在るべき姿を考える上では、そのあたりのこともデータとして必要なのではないかと思います。
○ 事務局
11頁の安全衛生確保事業で「労災事故発生件数の減少において事業が縮小する」という考え方は、別に、労働省としてとっているというわけではありません。今の現状は保険料にリンクした労働福祉事業の限度額の中で、ほかの事業と併せて実施しているということで考えますと、その限度額自体が減少するという中では、大胆にあっちを大きく減らして安全衛生はそのままでやればいいではないかというお考えもあろうかと思いますけれども、他の必要な事業もやっているという中では、その限度額が減っていきますと、保険料の低下に応じて限度額が減っていくと安全衛生確保事業自体もその影響を受けざるを得ないというようなことを言いたかったわけです。健康水準等の資料については、また今後御提出していきたいと思います。
○ 座長
引き続き議論にいきたいと思いますけれども、どこからでもというと議論をしにくいかもわかりませんが、労働福祉4事業の現状について説明がありましたので次にその現状を聞いた上で今後どうしたらいいか、11頁、12頁のところでいかがでしょうか。
○ 委員
労働条件確保事業の関係ですが、法の趣旨がどこまで考えているのかよくわかりませんが、常識的に見て少し範囲を超えているのではないかと思われる部分があると思います。この事業についてはそうなのですが、全体の4つの事業について言えば、大概、仔細に見ていけばいろいろあるのだろう、必要なものなのだろうと思いますが、この後をどう考えればいいかということになりますと、効率化というのでしょうか、事業は必要であるにしても、それをどう効率化していくかといったようなことが大きなポイントになるのではないか。そのための情報の開示とか、どこでどのようにするかは別としまして、そういったようなことも必要になってくるのではないかという感じがしております。
労働条件確保事業だけについて言えば、保険料を払えば給付があるというのが保険なのだろうと思うのです。労働条件確保事業について言えば、保険料を払っても初めから見返りがないという事業がいくつかあるわけです。強いて言えば、所得移転みたいな、税金みたいな性格を持っている事業がいくつかある。そうしますと、話は大きくなってしまうのですが、果たして、労災保険の中の事業に位置付けして本当にいいのだろうか、別の立て方をする必要があるのではないかというような感じもしているわけです。その辺は、この労働条件確保については必要性と立て方というところがあるのではないかなという感じがいたしております。
○ 委員
今の御発言に反論するわけではありませんが、労働条件確保事業というのは、先ほども言いましたけれども、主要には中小零細事業の将来的な流動的な施策として行われると、これが労災保険、災害のための保険だという意味からするとそぐわないという御意見のように受け止めるわけです。しかし、言ってみれば労働省全体の財源の問題とか、労働条件全体を少しずつ改善していく問題としてどこに財源を求めるかといった場合は、雇用保険財政あるいは労災保険財政というようにならざるを得ないと思うのです。
そういったものの大きさといいますか、どの程度助成をしていくか、誘導していくか、そういう議論としてはあると思うのですが、馴染まないということはないのではないか。そのように思いますので、「範囲が不明確」ということが書いてありますけれども、それは実施している内容によって不明確ではないのではないかなと思います。
○ 委員
大企業と中小企業の関係でおっしゃっていると思うのですが、そういう部分は 場合によってはあってもいいのかも分かりません。ただ、私が申し上げたいのは、 それぞれで収支を明確にして、それぞれの事業の中で趣旨をはっきりさせることが 必要なのではないかと。ドンブリ勘定でやるというのは、結局、企業にも、あるい は労働者もそうでしょうけれども、よくわからない分野が出てきてしまう。そうい う意味合いで、徴収も、例えば1つでいいのかもわかりません。ただし、その中は きちっと収支という意味で分けてはっきりさせていくことが必要なのではないか。 そのために別の立て方が必要であれば、そういうやり方も必要なのではないかとい うことを言っているわけです。
○ 座長
この4事業の個々の面については、社会復帰促進事業、被災労働者等援護事業等についていろいろ御意見が出ましたけれども、そういう御意見に沿ってある程度整理をしていくということと、安全衛生確保事業は災害件数で変動する、減少によって財源が減るということにかかわりなく必要な対策についてはしていくという前提でもって確保事業を考えていくということ、労働条件確保事業については、範囲等について労使でいろいろ御議論がありますけれども、ある程度範囲を明らかにして、情報開示等を通じて必要性を明示した上で実施していくということ等で、ある程度整理をしていってもらったらいかがかと思います。
よろしければ、最後の未払賃金立替払事業、これは先ほどから公労使の委員からそれぞれの御立場で御発言がありましたけれども、労働福祉事業という名称でいくかどうかは別として、いわば、労災保険の財源を前提とした事業として今後も行っていくという方向についてはいかがでしょうか。「労働福祉事業として」とはっきり書いてありますが、こういうことでいくかどうか、また最終的な議論のところでもう一回意見交換をしていただいても結構だと思いますが。
○ 委員
議論の素材を提供するという意味で、私がこれから申し上げることは、別に、そうしろという意味で言っているわけではないのですが、こういった未払賃金があった場合の立替払いというのは、ドイツやフランスなどの場合は労災とは別個に、賃金支払確保保険だったか、そのような形でやっています。それは使用者から保険料を取って事業運営をしているという立法例もあります。
そうだとすると、我が国のように労災保険の中にこうした立替払事業を取り込んでやるという制度設計と、労災保険とは切り離して別途の保険事業みたいなものにするという、そういうオプションが政策的にはあり得るだろうと思います。1つお伺いしたいのは、ここでは引き続き労働福祉事業として実施するのが適当ではないかという、そういう御意見で事務局のほうは叩き台を出して来られていますけれども、いま申し上げたように、制度設計としては別のオプションもあるのです。そうしたオプションをとらない、あるいは少なくとも現状ではとるのは適当ではないというような理由が何かあるのかということをお伺いしたいと思います。
○ 事務局
ただ今の点ですが、外国の似たような法制について、これは私どももしっかりと調査し切っているわけではありませんし、現に制度が動いているドイツのような国もございます。我々が不十分ながら調べたところでは、ただ今御指摘のように、例えばスペインなどは独立の保険制度的なものでやっている。ドイツの場合は労災保険の仕組みを使っていて、ここから先は非常に精査を要するのですが、労災保険率の外枠の使用者責任を表わす率をオンして取っている。ただ、徴収機構等は労災保険のものを使う形でこの制度を運用しているというように聞いております。
過去の資料等をさかのぼって見ますと、昭和51年にこの未払賃金立替払制度が出来たときに同様の議論がございまして、その当時でも外国法制等を精査いたしております。ただ、その当時の考え方としまして、昭和49年ごろの石油ショック後の不払い、焦付きが頻発している時期でしたが、その時期においても不払い、焦付きの額は大概30億円程度でございました。
その後、昭和51年に制度が発足してから、ここ数年は急激に増えておりますが、どんなに多くても30億円代というところで推移してきておりました。そういった当時の額、予想される額を考えた場合に、仮にこれを使用者の責任を基盤とする独立の保険制度を別途設けるとした場合、その料率の水準、コスト、特に徴収適用まで全く独立にやるとしたらどういうコストになるか。そういうことを総合的に勘案した結果、既存の使用者責任を基盤とした労災保険制度の枠の中で適用徴収を行い、給付の事務に当たっても監督署を活用する。この方式が、経費、人員等の面で極めて簡素合理的であろうという御判断の下に、国会で労災保険法の改正とセットで賃確法の成立があったと考えております。
なお、今回、この審議会での御検討を契機にしまして、当方といたしましても再度過去の経緯も踏まえてそこらあたりのところを検討しているわけです。現在、行財政改革が非常に強く求められているわけでございまして、この昭和51年当時の人員、経費の面で合理的であるとの考えは、今日においても何ら変わってはいないのではないかと思っているところでございます。
○ 委員
今の御説明でよく分かりましたけれども、もう1つ考えられるというか、気になるのは、私がきちんと理解していればですけれども、今のところ未払賃金立替払事業は労働福祉事業の予算の上限枠から外していらっしゃるが、それは、結局、外さないと増えてしまっているから大変だという話なのですが、そうすると、このまま今の水準で推移していくと、結局のところ、保険料率をいじらなければ、その分、この事業でもってお金を食う話になりますよね。その辺のコントロールは、今のように一緒にやっていてできるのだろうかということが1つ気になります。
仮に、今の御説明を伺っていったときに、政策的な制度設計上のもう1つのオプションとしては、未払賃金立替払事業に関する保険料分を別途書き込み徴収は従来どおり一緒にやって会計は別扱いにするという制度設計上のオプションというのもあるのですが、それも取り入れない理由は何かおありでしょうか。
○ 事務局
未払賃金立替払事業に要する費用は、特例措置をとりまして、平成11年度の決算から平成13年度までの間は限度額の対象としないという措置を取っておりま す。理由は、委員がおっしゃったとおりで、限度額が減ってくる中で立替払いが200億円にもなろうとしているという状況の下でそういう措置をとりました。これで実際にどういう効果が出るかということなのですが、料率の設定の考え方が今のままであるとすれば、要するに、積立金に回る額が、今は毎年4,000億円程度あるのですが、そのうち100億円なり200億円を立替払いで食うというような形になります。ただ、20年、30年の長い年金支払いに要する経費という点では、100億円、200億円という額は全体の中では吸収できる程度であると思っております。
○ 事務局
後段のほうのオプションとして、いま事実上の料率計算上の考慮、要素として入っている部分を法令上頭も出している。それは委員の御指摘の行き着くところは独立経理をするという。
○ 委員
そういうことになります。近いイメージは雇用保険の中の3事業のような形です。
○ 事務局
4事業の安定資金みたいなものを設けて、そこが独立経理する。ほかの分との出し入れのルートは法制上限定して、その要件を満たさない限り出し入れはできないと。
○ 委員
そういう考え方は1つありますね。
○ 事務局
そういうことは1つ考えられるのですが、これは既に特例省令の際に経年別の立替払額の資料とかを出しているわけですけれども、非常に少ない年では平成2年度の6億円程度から直近では平成10年度の173億円まで、雇用安定事業のほうも変動が非常に大きいのですが、こちらのほうはそれに輪をかけて大きい。
特に、GDPが四半期単位で見て、3期でしたか、連続してマイナスになるというのは、正直言って戦後初のことであって、非常に予測のできない展開を示しているわけです。雇用安定事業の場合と違って、6億円から173億円まで変動のあるものについて、適正な金をプールする水準がわかるかと。これが、正直言って、非常に判然としがたい。結局、その適正なプールの水準がわからなければ、出し入れのルートについては相当広くしておかなければならない。そういうことを考えたときに、現実的に別枠の仕切りを入れるメリットというのが今の時点では考えにくいのではないかというように考えております。
○ 委員
今と同じようなことなのですが、先ほどの御意見は、要するに、何でもかんでもドンブリ勘定でやるなと。ドンブリ勘定でやって収支も分からせない。経営の方は金が大変なのだということで、そのこと自体は、確かに、本来、ここのところが良いかどうかというのはたくさんあります。この労働省なり厚生省がやっている勤労者対象のもので、使用者責任の部分と健康保険みたいにお互いの共済的な部分とありまして、その中で本当にここの中がいちばん良いのか、いまの使用者責任的な労災保険の中がいちばん良いのか、そうではなくて違うところが良いのか、そういうところも研究してほしいということが1つあります。
同時に、もしこれを労災保険の中でいくということならば、毎回こういう論議をしてもあまり創造的ではないですから、趣旨を明確にして、これはこういう趣旨でこの中に入れてあるのだ、したがって、これはこういうことだということもある程度整理して、もちろん今までも整理してあると思いますけれども、そのあたりは誰が見てもここに置いておくのがいちばんベターで運用もこうなっているのだということをもう少し明らかにしていないと。
例えば、ここの勤労者財産形成促進事業について、私は中身をよく知りませんけれども、これなどは財形法のほうにもあるようだし、あっちでもこっちでも重なっているような印象を受けることはあるのです。趣旨は全然違うのだと言われる部分もあると思いますけれども、何か、そういうところでもう少しはっきりしたほうがいい部分もあれば、次回に、これはこれこれしかじかでこれとは全然違うのだということであればそれでもいいし、少し時間をかけて一緒にするべきところはするとか、そういうものを整理してほしいということはあると思うのです。
○ 座長
労働条件確保事業等については、現状少しレビューいたしましたけれども、さらに目的、趣旨、効果等について再確認をして、必要なものについての整理をしていくという方向で考えていただくことにしたいと思います。未払賃金立替払事業についてはいかがでしょう。今いろいろなオプションもあり得るということの御発言もありましたけれども、事務局側から立法のときの経緯の説明があって現状になっているということでしたが、さらに、再検討する余地があるかどうか分かりませんが、未払賃金立替払事業を今後とも実行していくことについては御異論がないようでございます。その扱いについて、さらにこの4事業の中でどのような扱いをしていくかということについて検討してもらうことにしたいと思っております。
12頁の労災病院については、いろいろと御意見がありましたので、そういう御意見も踏まえて、特に今後中長期的に労災病院はどうあるべきかというあたりのレビューもした上で、改革を進めていくという前提で進めていってもらったらどうかと思います。そんなことでよろしいでしょうか。
○ 委員
労災病院は、何カ所か見せてもらいましたが、実質的に労働災害で受診をされる方の率というのはどこの病院も押し並べて非常に低い。普通の医療機関、中核的機能を持っている医療機関と変わらないような構成になっている。そういうことは、そこの責任者が実際に認めておられるわけです。
言ってみれば、地域的な中核病院としての役割をいまは担っているが、リハビリなどについては一生懸命に努力していますよというような答えが返ってくる。それはそれとして役割があるのでしょうけれども、待合室などを見ていると、一般の病院とほとんど変わらない。そういう実態を何カ所か見せていただいたので、縮小ということについては気が引けるところがありますからよく検討していただきたいと思いますけれども、実態を見た以上に何か出せるものがあったら出していただいて検討をしたいと思います。
○ 座長
勤労者医療の中核的機能とは一体何ぞやという難しい問題がありますけれども、このあたりもある程度はっきりさせていくという前提で、必要性を皆さんに理解いただくことが必要かと思います。改革を進めていくという前提で、見直しをするということでお願いしたいと思います。よろしければ、次の「全体の枠組み」については先ほど来いろいろ議論をいただきまして、4事業とはいっても中身については差のあるところもあるというお話もございました。そのあたりの性格の相違、そういったことをある程度整理していって、その結果、名称を変えたほうがいいのかどうか等、そういうことについても検討をしていくという前提で整理していったらいかがかと思います。チェック機能をするということについて御異論ないと思いますけれども、今のような整理の仕方でよろしいでしょうか。
○ 委員
13頁の後段の部分の「審議会がチェックする仕組み」について、1つお伺いしたいのは、労災審議会はなくなるのではないかと思うのですが、それはいかがなさるのかということが第1点。もう1点は、細かいことですけれども、例えば労働条件確保事業の未払賃金立替払事業以外の事業についてもいろいろと疑問が出されると、その1つの原因は、要するに、何をやっているかよくわからないというのがあるのだと思うのです。
この文面を見ると、事業の実施状況を定期的に審議会に報告するということで、事業を行ってから報告をするというふうに読めなくもないのです。その点はいかがなものかという気が若干しています。先ほどの御意見等を考えるとここは少し引っかかる気がいたします。
○ 事務局
審議会ですけれども、確かに、平成13年1月1日から厚生労働省となります。そのときに合わせまして審議会も大きく整理されまして、労働省関係の審議会では労働政策審議会という1つの大きな審議会が政策議論をする審議会として存続することになっております。いままで労災保険審議会が果たしてきた役割、労災保険法の改正案の諮問に応じ答申をするとか、政省令の諮問に応じて答申をする、あるいは重要事項について議論をするといったような労災保険審議会の機能自体は、すべてその新しい労働政策審議会に引き継がれることになっております。実際問題としては、部会等をつくりまして、その中で労災問題を専ら議論するというようなことになろうかと思いますけれども、この審議会の機能自体は新しい審議会に引き継がれるということです。
2点目につきましては、実施状況だけでいいかどうかという御意見ですけれども、11頁の下から2つ目の
○、「労働条件確保事業についてどう考えるか」と、そこで事業の内容をより明確にすべきではないかというような論点、考え方を御提示しております。これとの合わせ技というのでしょうか、そこでどのような仕組みが良いのか御議論いただければと考えております。
○ 委員
審議会云々ではなくて、今回、小委員会を通じて労働福祉事業の項目はある程度理解していたのですが、細目にわたって、正直言って、こういうことをやっているのだということは初めて理解したわけです。そういう意味で、今後の必要性の確認とか重点事業といった部分というのは当然出てくると思いますので、一般の情報公開という意味で労働省のほうで何か考えておられるのか。例えば、こういう立場ではなくて、一般企業の人でこういうことをやってもらっているとか、そういったような把握ができるようになれば、ある程度のところ非常に良いのかなと思います。一般的な情報公開という意味で、その辺については何かお考えになっていますか。
○ 事務局
決算とか予算とか、そういう意味では、もちろんお求めがあれば当然情報公開しているのですが、おそらく、委員の御指摘はもっと積極的に、労災保険の中でやっているいろいろな事業の内容なり全体の枠組みをもっと分かり易い形で国民なり労使に提示をすべきではないかという御趣旨ではないかと思うのですが、そういう意味では努力が足らないのかなという感じはしております。
○ 委員
特に、安全衛生確保事業辺りは、正直に言って「あっ、こういうことまでやっていたのか」ということをこの立場でやっと理解したのです。いろいろな企業の立場、で我々が出している労災保険がこういうように使われているという理解をまとめておくことは、ある意味で今後の行政施策には非常に重要なことだと思いますので、できるだけ工夫していただけたらなと思います。
○ 事務局
安全衛生対策自体は、おそらく、いろいろな面で関連の企業なり業界の団体あるいは労働組合の方に御説明しているかと思うのですが、それと労災保険というものを組み合わせて財源的にこういうものでやっているということは、おそらく、ほとんど説明努力というものはしていないと思います。その辺、少し足りないのかなという感じがします。
○ 座長
労働福祉事業全体について、広報というか、そういうものについても十分これから努力していくというようなことなどもお願いしたいと思っております。先ほど、事後報告だけではなく実施状況もというお話がございましたけれども、個々の事業について諮問を受けるとか、そういうことは少し無理かもしれませんけれども、今後こういう事業を展開していきたい、というようなことなどについて、御説明を事前に受けるとか、意見を聞く機会を設けていただくとか、そういうようなことはあってもいいのかなと思います。特に、この労働条件確保事業等については、そのあたりをある程度はっきりさせていくということは必要かと思っております。そのあたりを少し踏まえて考えてもらうということなどいかがでしょうか。
○ 委員
もう1点よろしいでしょうか。13頁の前段の項、名称を変えてはどうかということですが、これは、労働条件確保事業と他の3つとは性格が違うというふうに書いてあることから推すと、他の3つを一まとめにし、労働条件確保事業を別立てにする、名前を変えるというようなことをお考えになっていらっしゃるということでしょうか。
○ 事務局
これをどういうふうに考えているかとなかなかお答えしにくいのですが、当審議会のコンセンサス、こういう方向で行けというようなことになれば、要するに、社会復帰と援護ということで被災労働者あるいは遺族に直接かかわるようなものはひとまとめにする。安全衛生をそれに付けられるか、一緒にできるかどうかというのはまた考えなければいけないと思うのですが、安全衛生は別かなという感じもいたします。そういう意味では3つないし2つというような方向で考えるのがいいのかなと思っています。もちろん、こういうことで行けということで審議会のコンセンサスが得られればですが。
○ 座長
その3つについて、それぞれに別な名称を付けるという意味なのか、3つの性格を代表するような名称に改めていくというのか、その辺はどういうことに。
○ 事務局
そこまではまだ検討していません。
○ 座長
まだそこまで詰めてないようでございますが、名称問題はさらに事務局側も検討していくということのようですので。
○ 委員
ただ、労働条件確保事業の説明が、先ほど議論になった事業主の共同責任ということで、それはそうかなという気もするのですが抵抗がある。これを見ると「えっ」と思うのも出てくるかもしれません。何かもう少しうまいキャッチフレーズがあれば、という気がします。
○ 座長
それでは、一応13頁まで議論を詰めましたので、次は14頁の財源確保でございます。議論に入る前に、
○の一番上から2番目。「将来見通し」は前回以来事務局のほうから説明が上がっております。この辺についてあえて御異論があれば別ですが、なければ大体こういう方向を前提にして以下を考えるというようにしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、限度額における平成6年建議の指摘事項問題についてです。これもいろいろと議論が出ておりまして、まだ結論が出るような状況ではございません。各委員それぞれ御意見等がございましたが、将来の災害率と無関係な形での料率の在り方がいいのかどうか。あるいは、事業の安定性が本当に必要なのかどうかといったところを、今回は確たる回答がなかなか出ておりませんので、出た上でこのあたりを再度、次回というか、今日この方向でいいということであれば問題ないのですがいかがでしょうか。この賃金総額比率というもので行くことの問題と現行制度との違い等も含めて。
○ 委員
ここでの1.5厘の議論というのは、118分の18の議論という、今はそういうふうに整理されているわけですけれども、それに取り換えてこういう基準を設けたいということですか。
○ 座長
はい。
○ 委員
その背景というのはどういう。
○ 事務局
今の労災保険の料率を設定するときにどういうようにやっているかなのですが、休業とか療養、あるいは障害年金等の長期、これは災害の発生動向に応じて計算した上で設定するというやり方、災害の動向によって増減するというやり方でございます。一方、通勤災害の1,000分の1は固定的に全業種一律であるということ、労働福祉事業につきましても、平成元年以降は全業種につきまして一律に1,000分の1.5を労働福祉事業に充てるというようなことで料率を設定し、いわば、それが合わさったものがその事業の全体の保険料率になっております。
ここで問題提起しておりますのは、そういった料率の設定なり徴収の考え方に則しまして、その限度額自体もマクロの賃金総額にリンクして1,000分の1.5というような形で決めるという考え方はどうだろうかということです。現在はどうやっているかといいますと、平均料率分の1.5というものを計算しまして、それが限りなく118分の18というものに近いということで、保険料プラス積立金の利子収入の118分の18を限度額に充てるというような、わりとテクニカルな操作を行っているということですけれども、その料率を設定する考え方を直接反映した限度額とすることはどうであろうかというような問題意識です。
○ 委員
考え方としては今と同じだということですか。
○ 事務局
そうです。
○ 委員
わかりました。
○ 座長
それでは、この限度額の財源問題については次回に労働省側から説得力のある御説明を再度伺った上で方向を出すということで今日は一応パスしたらいかがかと思います。
○ 委員
要するに、賃金総額とリンクしないのではないかという議論にお答えいただかないと、この案でやりたいということであれば、先に進まないのではないかという気がするのです。要するに、予防、安全確保は政策判断でやるので賃金総額とリンクしないのではないか、被災労働者の援護も同様に賃金総額とは関係ないのではないかと、そういう御議論だったので、「いや、そうではない」ということはお答えいただかないと、また同じ議論が蒸し返しになるのではないかと思います。
○ 座長
そのあたりのところはもう一度説明していただくということにしましょうか。
○ 事務局
はい。この問題をやるときにまた御提出したいと思います。
○ 座長
分かりました。その次の未払賃金立替払事業を限度額から対象除外するという問題。これにつきましては先ほどから委員からもお話しがありましたけれども、いかがでしょうか。現在の臨時的な措置を今後継続的に対象除外にしていくということでございます。未払賃金立替払事業が労働福祉事業の労働条件確保事業の中に入っているという前提でこういう考え方が事務局から出てきていると思います。それも含めて御議論になると思いますけれども、何か御意見がございましたら。
○ 委員
これは、もしこういうことになると、今回は170億円と大きい額なのですが、平均的には数10億円出ていたわけですね。そのあたりのものについては労働福祉事業はその分をまた膨らませるとか、そういうような推移になるのですか。結果的には外払いというか。
○ 事務局
それは、限度額の設定方式にもよりますし、限度額の中でどういった事業をやっていくのか、先ほどの議論にもつながりますけれども、審議会としてどの程度関与しながら、現状は労働福祉事業という名前で総括していますけれども、そういった事業をどの程度やっていくかというようなことに関連してこようかと思います。いま労働省として空いた隙間をこの事業で埋めますとか、そういうようなことは想定しておりません。
○ 事務局
基本的に、限度額をここから外したからといって、その分で他の事業を膨らますということは考えておりません。今年の予算編成と来年度予算、12年度予算を御説明申し上げたと思いますけれども、緊急避難的に枠外にさせていただきましたけれども、限度額の枠外にした未払賃金の額を含めても前年度予算の労働福祉事業の予算よりも少ない額にしております。そういう考え方はこれからも基本的にはとっていきたいと思いますから、枠外にしたからといって直ちにそれで他の事業を膨らませることは考えておりません。
○ 委員
これは緊急避難的なことでいろいろと議論がありましたけれども、やむを得ないことということで、それぞれが最終的に賛成をした。平成11年度決算というような文章が省令で載っている。そこを継続的に外すというようにすることは賛成です。この方法しかないのではないかと思います。
○ 委員
この問題は、いろいろな議論があった中で、とりあえず緊急避難ということで賛成をしようということで来ている経緯があります。7月だったと思うのですが、急転直下、これがこうなりますと、議論をする必要がありますので、もう少し検討の時間が必要ではないかと思います。
○ 座長
それでは、これはもう少し検討を続けるということで保留にしておきましょう。よろしいでしょうか。この限度額の特例措置の継続的扱いについては議論を少し先に送りたいと思います。その次の積立金の繰入れに関する取扱いについて、現行どおりでいいのではないかという事務局の考え方があります。このあたりはいかがでしょうか。これは財源に積立金を使えという議論に発した議論ですか。これは経緯を少しはっきりさせておかないと。
○ 事務局
そうです。問題意識としましては未払賃金立替払事業を限度額から緊急避難的に除外するという省令を御議論いただいたときに、積立金を一時的に労働福祉事業に充てるということで借り入れができないのか、取り崩しができないのかというような御議論がありました。そういったことを踏まえまして、ここで論点として出しているのは、現行の積立金というのは将来の年金給付に充てるという意味合いで積んでいるということです。そういう意味では、取り崩さなければいけないような事態になったとしても、労災の本来給付にしか充てられないということは維持しなければいけないのではなかろうかと、そういうような考え方でこういった論点を御提出しているということです。
○ 座長
いま御説明がありましたことを前提に、現行の取扱いについて、特に大きな議論に発展しなければ、一応このまま置いといて、また後で最終的なまとめの段階で必要があれば議論をするということにしておきます。最後に入る前に、3番目の
○の所で賃金総額のことばかり申し上げましたけれども、2つ目の「・」で限度額の法的拘束力を強めるというのはどうかと。これは事務局のアクションを縛ることにもなるわけですが、いまは規則で定めて限度額をつくるということでやっていますが、これは、法律上、限度額を定めるというようなことで明確にしたらどうかということのようです。これを説明してください。
○ 事務局
御説明させていただきますと、省令で限度額の考え方と限度額自体の算定の仕方を書いております。それを法律上明確にすべきではないかということです。これには、いろいろとオプションがあろうかと思います。1つは、その労働福祉事業を適正な規模でやっていくという観点から、その審議会の議論を経た上で限度額を決めるのだと、いわば、基本的な考え方を法律に書き、その下の規則なりで実際の算定方式なり、そういったものをいまと同じように省令で書くということを、我々事務的には想定しながら、こういった論点を御提案していると考えております。考え方自体を法律に書くという考え方ももちろんあろうかと思います。それが可能であるかどうかこれから詰めなければいけないわけですけれども、現状では適正規模でやっていくという意味合いで限度額について法律の根拠をつくる方向で、いま内部で議論をしているという状況です。
○ 座長
この「・」については、もう少し引き続いて検討する必要があると思います。今の時点でこの点について何か御意見がございますか。
○ 委員
労働福祉事業の全体の合意が得られれば、ここでそんなに縛ってしまうとおかしなものになるのではないかと思います。全体の論議の中でもう少し議論してみないと、何も中身が決まらないうちに限度額で縛るというのもどうか。皆が労働福祉事業についてわかったということになれば、多少、限度額をオーバーしてもということにもなっていますから、その辺は一緒に論議したらどうかなと思うのです。
○ 委員
今の事務局の御説明の趣旨は、限度額そのものを法律に書くということではなくて、決め方を審議会にかけるとか。
○ 事務局
限度額をつくるということです。要するに、役所の好き勝手に労働福祉事業の話がどんどん行かないように限度額をきちんと決めなさいということを法律で書く。おそらく、限度額の内容自体はそのときの経済情勢あるいは政策の必要性によって変わることもあり得ますから、その中身自体あるいは算定の方式自体は省令で書くのがいいのではないかというように思っております。
○ 座長
何か今ここで御意見を伺っておく必要がありますか。それでは、このあたりも引き続き検討していくということで進みたいと思います。14頁の最後、15頁の現行の積立て方式の在り方について、御意見を頂戴したいと思います。
○ 委員
下から2つ目の
○の「未払賃金立替払に要する経費」というのはどういうものですか。未払賃金そのものですか。
○ 事務局
これは立替払いに要する経費なのですが、立替払のやり方というのは、それまで立替払したもののうち、その年度に回収される金額がございます。それは当然ながら立替払に充てるということで、例えば立替払を200億円したとしたら、50億円がその年に回収で返ってくる。ネットで使うのは150億円ですから、その150億円ということです。
○ 委員
かかる事務費とかいうことではなくて、そのものですか。
○ 事務局
はい、事務費もこの中に入っておりません。
○ 委員
そうしますと、この関係で「請求があれば政府はこれに応じる」となっているわけですが、これと下の現行の取扱いと同じような感じもするのですが、そこはどうなのでしょうか。
○ 座長
払わなければいけないという意味では同じではないかという御議論です。年金の権利性と立替払の請求問題と違いがあるかと。
○ 事務局
積立金との関連ですと、積立金の趣旨といいますか、なぜ労災保険として6兆5,000億円の積立を持っているか、問題はそこだと思います。ここはいつも御説明していますように、その年で事故が起きまして、将来年金を給付しなければいけないという場合には、そのときの料率に反映して将来給付分を取るというような考え方で取っております。したがって、将来、年金を円滑にというか、きちんと払うために、一定の塊としての積立金が必要になってくるわけです。そういうものであれば、そういった積立金を給付以外のものに充てていくというのは、同じ権利性があるものであっても同一に考えることはできないのではなかろうかというような意味合いでございます。
○ 座長
いかがですか。この発言をされた委員がいま退席されておりますので、必要な議論はまたみえた時点でやるという前提で一応終わりたいと思います。今日のこのペーパー全体について何か御意見等がございましたら。
○ 委員
当然の前提なのだろうと思いますが、論点ペーパーがそれぞれの事業の見直し、財源の確保という形で出てきてはいますけれども、例えば事業の見直しの所は個別の事業についてどう考えるかというような形で出ている。財源の確保の所もそれぞれの論点をどう考えるかという形で出ています。我々の理解としては、これは相互に結び付いていると理解してよろしいですよね。例えば、財源の確保をどうするかという問題も、先ほど議論したような1,000分の1.5を確保するというのは、あくまでも事業の内容、現状を維持するという前提ではないというように理解した上での話であるということで了解できると。
○ 座長
これは御相談ですけれども、まとめるときは、前段で総論的な議論で今お話しのようなところを全部盛り込んだ上で、個々の事業についてはどうあるべきか、総論がどうあるべきかというようなことで報告をまとめていかざるを得ません。在り方と財源とは密接に関係があるとか、その辺は最初の所でやっておいたほうがいいと思います。
○ 委員
そうですね。議論の進め方は今日のこれで全くよろしいと思います。また、個別に議論しなければいけないと思うのですが、他方で、全体は全体として。
○ 座長
はい。全体の所をどのようにまとめたらいいか、その辺はまた御相談をしながら進めたいと思いますので、そのときはよろしくお願いいたします。それでは、一応個々の問題に関する論点ペーパーについての議論は、ひとわたりのレビューをここで終わります。もちろん、まとめの段階で再度議論することは大いにありますし、取り残しの議論もありますので、それはまた改めて機会をつくってやりたいと思います。とりあえず、今後の労働福祉事業の在り方についての第1次的な検討はここで終わりたいと思っております。
今日これまでいただいた御意見を十分に踏まえた上でのレポート作成にかかっていくということで御了解いただきたいと思います。ほかの議論等も終わった上で改めてまた伺いたいと思います。次回は、必要な事務局からの報告もあるかと思いますが、それも含めて、メインのテーマとしましては「過労死の増加等に対応して、労働者の健康確保を支援するための労災保険上の措置について」をテーマにして御議論いただくことにしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
それでは、今日はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
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