第349回労働者災害補償保険審議会議事録

日時 平成11年7月8日(木) 10:00〜12:00
場所 通商産業省別館第825号室
出席者
〔委員〕 公益者代表 保原会長、猪狩委員、金城委員、野見山委員、宮武委員
労働者代表 北裏委員、作間委員、佐藤委員、田中委員
使用者代表 宇田川委員、久保委員、高梨委員、早川委員、廣田委員
〔事務局〕 伊藤労働基準局長、横田審議官、荒労災管理課長、森政補償課長、安部労災保険業務室長、渡延労働時間課長、本川労災保険財政数理室長、吉野主任中央労災補償監察官、石井職業病認定対策室長、若松労災保険審理室長、坂本企画室長
議題
「労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度の特例に関する省令案要綱」について
議事

○ 会長
 ただいまから、労働者災害補償保険審議会を開催いたします。本日は、都村委員、松浦委員、光岡委員、清浦委員が欠席されております。委員の異動がありましたので、ご紹介いたします。日本鋼管株式会社取締役の久保委員です。

○ 委員
 久保です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○ 会長
 事務局にも人事異動がありましたので、自己紹介をお願いします。

○ 事務局
 6月2日付で労災保険業務室長になりました安部です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○ 事務局
 労災保険財政数理室長の本川です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 職業病認定対策室長の石井です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○ 会長
 次に、事務局よりご挨拶をお願いいたします。

○ 事務局
 現在、来年度の予算編成の作業を進めているところですが、本日、それに先立ち、労働福祉事業の費用の限度額について、労働大臣より、その特例措置について諮問をさせていただきます。
 御案内のように、日本の経済情勢は大変厳しい状況で続いているわけですが、こうした状況とも相俟って、製造業等の雇用労働者の数が、ここ10カ月は、対前年比で減少を続けております。そうしたことからも窺われますように、産業構造が第三次産業に急速にシフトするということが進んでおります。
 そうしたことを背景に、労災保険の保険料収入について、来年度の見通しを立ててまいりますと、対前年度で見て、約1,000億円近い減が出てまいります。一方、そうした中でも、労働福祉事業で対応している未払賃金の立替払事業については、件数、金額とも非常に急増しております。
 労働災害の面で見ても、平成10年の死亡災害等を大幅に減らしていただいたことに窺えますように、労働災害は非常に減少してきているわけです。ただ、死亡災害が大幅に減った後、本年に入りましては、1月から5月の速報を見ると、また増加傾向に転じているということもあります。労働災害の予防等のための事業も、私どもは、引き続き、精力的に展開していかなければならないと考えている状況ところであります。
 ただ、御案内のように、労働福祉事業に充てるべき費用の限度額については、労災保険法の施行規則で、保険料収入等の118分の18ということで限度額が設定されておりますので、このままでは、来年度に向けての概算要求を編成するに当たっても、賃金立替払事業等をこなしきれない、予算の枠内・限度額の範囲内では、とても対応しきれないという現状です。したがって、後程御説明いたしますように、緊急的な措置として、一定の時限を設け、とりあえず、この厳しい経済情勢の中で対応していかなければいけない、未払賃金の立替払事業に要する費用等につきましては、118分の18という上限の限度額から外していただきたい、といった趣旨の省令改正について諮問をさせていただきます。
 これは、あくまで緊急的、かつ、一定期間の措置として諮問させていただくわけですが、保険料収入等を中心とした労災保険事業のこうした財政構造は、同時に中長期的な問題でもあり、こうした情勢の方向性が全く変わっていくということは、今後あり得ないものと理解しております。
 したがって、今後厳しい経済情勢が続くことが想定される中で、立替払事業等をはじめとする労働福祉事業を、中長期的に安定した形で展開していくためには、中長期的な視点からどう対応すべきか、こうした労働福祉事業の費用の限度額等の在り方について、委員の皆様方にも御議論をお願いしなくてはいけないと考えております。
 同時に、労災保険制度については、かねてから審議会でいろいろ基本的な問題等についても御議論を願ってきた経緯もあり、そうした中で出てまいりました宿題もあります。また、近年働く方々の高齢化等が進展していることから、健康、特に実際の疾病が発症した後の治療よりも、予防医療を重視する考え方が、政府全体、また与党内にも非常に強くありますので、そういったことに労災保険の面ではどう対応するのか、といったような課題も新たに出てきております。
 本日、緊急的に諮問申し上げる案件について御審議を願った後は、そうした中長期的な観点から対応すべき課題についても、できるだけ早い機会に、この審議会の中で議論を開始していただき、一定の方向を見出していただくような作業をお願いしていかなくてはならないと考えております。そうした点についても、この諮問の御審議が済みました後、委員の皆様方の御配慮を煩わさざるを得ないと思っておりますので、そうした点も併せてよろしくお願いを申し上げます。詳しくは、事務局のほうから、諮問案件ついて御説明をさせていただきますので、よろしく御審議をお願いいたします。

○ 会長
 それでは、議事に入ります。本日は、諮問案件が1件あります。「労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度の特例に関する省令案要綱」について、事務局から説明をお願いします。

○ 事務局
 諮問内容について御説明申し上げます。資料の1頁、今回諮問申し上げますのは、「労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度の特例に関する省令案要綱」についてです。内容については、2頁を全文読み上げます。
 「労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度の特例に関する省令案要綱。第1、平成13年度以前の各年度における労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度の特例。平成13年度以前の各年度においては、労働者災害補償保険特別支給金支給規則の規定による特別支給金の支給に関する事業に要する費用に加え、賃金の支払の確保等に関する法律第3章の規定による未払賃金の立替払事業に要する費用について、労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度から除外するものとすること。
 第2、施行期日等。この省令は、公布の日から施行し、平成11年度の決算から適用するものとすること。」
 以上です。こういった特例省令を設ける背景としては、労災保険料が予想以上に落ち込んでいること、他方、こういった経済情勢を反映し、未払賃金の立替払事業に要する費用が非常に増大していること。こういった2つを背景に、労働福祉事業等の限度についての特例を設けたいという趣旨です。
 ポイントとしては、現在、限度額の対象外になっているのは、特別支給金のみですが、未払賃金の立替払金が非常に増大していることを勘案し、平成13年度までの間の、立替払いに要する費用についても、労働福祉事業の限度から除外する、という趣旨です。
 具体的には3頁、労災保険法施行規則第43条の条文が、労働福祉事業等について限度を定めた条文です。2行目以下に、「特別支給金に関する事業を除く」というカッコ書きがありますが、これが、現在、労働福祉事業等の限度額から除かれている部分です。平成13年度までの間、このカッコ書きの部分について、特別支給金に加え、「立替払いに要する費用も除く」といった読換え規定をするという省令の内容です。
 4頁の上の段は、第43条を図解したものです。労働福祉事業に充てるべき限度額の中で、主な原資は、保険料収入及び積立金から生ずる収入です。積立金から生ずる収入については、積立金は全額大蔵省の資金運用部に預け入れており、資金運用部で運用しております。その利子収入がここに上がってきます。こういった保険料収入、積立金の利子収入等の118分の18を労働福祉事業の限度としています。
 いちばん右側の四角にあるように、「但し、特別支給金を除く」というふうに現行ではなっておりますが、今回お願いしている省令の特例省令は、このカッコ書の「但し」の部分を特別支給金に加えて、さらに「未払賃金の立替払事業に要する費用」を除くことを追加するものです。
 保険料収入の動向については、下の表で平成7年度から平成9年度は1兆5,000億円から1兆6,000億円程度でした。しかし、平成9年度をピークとして、平成10年度、平成11年度は徐々に低減してきてきており、平成10年度から平成11年度は、予算ベースで約1,000億円落ち込んでおります。また、平成12年度については、5月に保険料の年度更新の手続を取り、6月末で大体90%以上の事業の申告があるという状況ですが、そういった状況を基に推計すると、平成12年度の見込みは1兆3,340億円程度となり、平成11年度に比べると、985億円のマイナスとなります。
 こういった保険料収入の動向には、料率の関係があります。料率は、3年ごとに災害の動向等を勘案して見直しを行っております。平成7年度以降については、平成7・8・9年が1つのサイクルであり、平成6年度以前の平均料率が1,000分の10.9であったのに対し、平成7年度以降の平均料率は1,000分の10.0という形になっております。
 また、平成10・11・12年の3年間が1つのサイクルで、平成9年度に料率の見直しを行ったわけですが、平成9年度から平成10年度にかけては、平均料率が1,000分の9.8から1,000分の9.4に下がる、といった見直しを行っております。
 なお、労働保険徴収法の規定も踏まえ、今回の我々の予定としては、平成12年度中に料率の見直しを行い、平成13年度4月から新しい料率のサイクルになると考えております。
 保険料が中期的に低減している原因の1つとして、料率が災害動向を基本的に反映しているため、労働災害が減少しているといったことを反映し、料率が中長期的に低下してきているということがあります。また、もう1つは、平成10年から平成11年、あるいは平成11年から平成12年にかけては、今般の経済状況、失業率が5%に迫まっていること、あるいは毎勤ベースで見ても、賃金のマイナスが続いているといった状況を反映し、マクロで見た賃金総額が相当減少していることがあげられます。そういったものを反映し、平成11年、平成12年は前年に比べて1,000億円程度ずつ保険料が落ち込んでいくという状況になっているのではないかと考えております。
 一方、利子収入ですが、ここでは記載しておりませんが、平成12年度の見込みは1,720億円程度と見込んでおり、平成11年度に比べると340億円程度の減少になっております。これは、運用部の運用予定金利も、最近の低金利の状況を反映して相当低下しております。これは、7年ごとに預け替えしているわけですが、低い金利の部分がどんどん金額的には膨らんでくる、といったことが相当効いており、そういった影響で利子収入もマイナスが続く、といった状況になっております。
 そこで、いまの規定で118分の18を掛けると、平成12年度の限度額は2,380億円程度といったような額になります。
 一方、平成11年度の、労働福祉事業は、どの程度の実施予算になっているかということですが、平成11年度については、2,400億円程度の労働福祉事業を実施しています。この内容について、詳細を御説明いたします。
 5頁は、「未払賃金の立替払事業の実施状況」です。いちばん少なかった年は平成2年ですが、バブル経済の真っ直中でしたが、6億8,000万円でした。その後、徐々に増大してまいりまして、平成9年度には、初めて100億円を超え、平成10年度には170億円を超える、といった状況になっております。
 平成11年度の状況については、5月まで把握しているわけですが、いちばん下にあるように、企業数、支給者数、立替払額のいずれについても平成10年度の同時期と比べて3割から5割近く増大しているといった状況です。
 6頁は、「立替払事業の概要」です。立替払事業というのは、企業が倒産した場合、賃金あるいは退職金に不払いがあるといった場合に、いちばん下に限度額を掲載しておりますが、年齢別に設定した限度額に応じて、国が未払賃金の立替払いを行うといった事業です。
 7頁は、「平成11年度における労働福祉事業の概要」です。先程、平成11年度は2,400億円程度の労働福祉事業の実施を予定した予算になっていると申し上げましたが、その内容です。労働福祉事業については、労災保険法第23条で4つのカテゴリーに分かれております。1つ目は社会復帰促進事業、2つ目は被災労働者等援護事業、3つ目は安全衛生確保事業、4つ目は労働条件確保事業です。
 未払賃金立替払事業については、労働条件確保事業の中で実施しており、平成10年度、平成11年度の予算額として、平成10年度は91億円、平成11年度は100億円強の予算を計上しております。平成10年度については、予算の補正を行ったわけですが、91億円は補正前の当初予算の予算額で、補正後は113億円になっております。先程、平成10年度立替払いは173億円と申し上げたのですが、予算を超えて立替払いを実施したわけですが、不足部分については、労働福祉事業全体の経費の中で流用するといったことで対応しました。
 以上、保険料が最近相当落ち込んでいる状況にある一方、立替払事業費が逆に伸びている状況等について御説明いたしました。よろしくお願いいたします。

○ 会長
 ただいま、「労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度の特例に関する省令案要綱」について御説明をいただきました。内容的には、未払賃金の立替払事業に要する費用を、特別支給金の支給に関する事業に要する費用と同じように、労働福祉事業等に要する費用に充てるべき額の限度から除外する、というのが提案の趣旨であります。御説明のありました、諮問案件ついて、御意見、御質問をお願いいたします。

○ 委員
 「労働福祉事業の概要」の労働条件確保事業の中の(1)(2)(3)については、それぞれ経過があろうかと思うのですが、当時の状況等も含め、少し御説明をいただけたらと思います。どういう経緯で、こういう事業が労働福祉事業の中に入ってきたのか、ということが主たる質問の趣旨です。

○ 事務局
 労災保険法第23条で、労働福祉事業の4つのカテゴリーに分けているというお話をさせていただきました。4つ目の労働条件確保事業を具体的に読み上げます。「賃金の支払の確保、労働条件に係る事項の管理に関する事業主に対する指導及び援助その他適正な労働条件の確保を図るために必要な事業」となっております。
 具体的には、大きくここに挙げている3つになるわけですが、(1)の未払賃金立替払事業については、別途、賃金の支払確保に関する法律というのがあります。これが、立替払事業の実施について具体的に定めた法律ですが、昭和51年に制定されたものです。当時の背景としては、第一次石油ショックを背景にして、企業倒産が増え、さらに倒産した場合、賃金の不払いが多々ありました。その当時は、救済措置がなかったため、賃金の不払いが生じると、倒産した企業の財産に、一般の債権者と同じように、労働者も何らかの措置を取るということしかなかったわけです。そういった状況では、倒産した労働者の保護に欠けるという意味合いで、未払賃金立替払事業を昭和51年以降、その法律に基づいて実施してきたわけです。
 次に、その際、なぜ労働福祉事業で実施したかということです。労災保険というのは、10億程度の一般会計からの繰入れがありますが、原則、全額事業主の保険料に基づいて運営されている保険ですが、他方、賃金についても、基本的に企業、あるいは事業主が労働者に対して支払わなければいけないものです。このため、一部の事業主が支払わなかった賃金等について、全額事業主が拠出している労災保険を活用して立替払事業を実施するということが適当ではないかといった考え方に基づき、発足当初から、労働福祉事業として、こういった立替払事業を実施してきたわけです。
 (2)の財産形成促進事業実施費は、雇用促進事業団が財形の融資事務とか、教育資金の貸付事務をやっているわけですが、雇用促進事業団に必要な経費を交付するということで実施しております。
 (3)の中小企業退職金共済助成費については、掛金の一部について助成する、といった措置を講じて、独力では退職金を設けられないような中小企業に、共済制度で退職金制度をつくってもらうことを促進するというのが事業の内容です。いずれも、労働条件の1つの重要なファクターであると考えられ、労働条件の確保を図るとの趣旨に照らして、労働福祉事業で実施するのが適当である、というような考え方の下に実施しているものです。

○ 委員
 今回の、特例扱いという提案ですが、それを検討するプロセスの中で、他の案というのはなかったのでしょうか。例えば、結果的に労働福祉事業の限度額をオーバーしたような部分について、積立金からの取り崩しをするといったような案もあろうかと思うのですが、そういう検討はしなかったのですか。

○ 事務局
 今回、保険料が非常に落ち込むといった中で、限度額が低減してくるわけですが、そうすると、労働福祉事業の予算が非常にタイトになる。そのときに、どういうオプションがあったのかということです。確かに、1つとしては、積立金を取り崩すというようなことも考えられ得る選択肢の1つです。ただし、積立金については、労働保険特別会計法の第19条で、「保険給付に充てるため必要なときは、積立金を歳入に繰り入れることができる」と規定されております。
 ここでのポイントは2つあります。1つは積立金は、趣旨として将来の年金原資に充てるというのが本来の趣旨であるため、当然ながら積立金自体が、保険給付にしか充てることができない、というのが1つです。
 もう1つは、「保険給付に充てるときに必要なときは」という規定になっておりますので、単年度の保険料収入で、単年度の保険給付が支払えない、というような状況になった場合に、歳入に繰り入れることができると考えております。
 そういったことから申し上げますと、平成12年度の予算等について考えますと、労働保険特別会計法の規定を見直すということは時間的にも困難ですし、積立金を労働福祉事業に充てることとなると、積立金本来の趣旨からしていかがか、ということになります。そういった意味では、積立金を取り崩すというのは、考え方としては1つの選択なのですが、現実問題としては不可能に近いと考えております。
 今回お願いしている限度額の特例措置により、限度額の対象から臨時特例的に立替払事業費を除外するといったようなことをすると、短期的な効果としては、積立金に回るべき額がその分100億円から100数十億円減少することになります。そういう意味合いで考えると、現在、既にある積立金を取り崩すのか、それとも今後積んでいく積立金を若干少なくするのかということで、金額的な効果、結論という面では、ほぼ同様のものであると考えております。
 積立金に回るべき額が100億円なり100数十億円減ると申し上げたわけですが、しからば将来の年金給付のほうは大丈夫か、といった心配もあろうかと思います。全体の年金数理6兆数千億円の積立金がある中では、100億円、200億円については、全体の中で吸収できる程度の金額であろうと考えております。
 もう1つ考えられ得るオプションとしては、118分の18自体を引き上げる、ということも考えられます。こういった限度額は、昭和56年から設定しており、その当初は115分の15といった割合でした。それを、平成7年の料率改定に合わせ、料率が全体として低下するといった中で118分の18に引き上げてきた経緯があります。
 そういった経緯から鑑みれば、118分の18を引き上げるというようなことも考えられるものです。ただ、それは料率が中期的、長期的には低下する、あるいは経済の落ち込みが非常に予想を超えて大きいといったような下では、一時的な方策にすぎず、118分の18を上げるということで対応するとすると、恒久的に何回も何回も上げていかなければいけない、といったことになりますので、ふさわしい選択肢とは言えないのではないか。このようなことをいろいろ考え、今回のようなこういった経済状況を反映して非常に増大している未払賃金の立替払いを円滑に実施するために、それを労働福祉事業の部分から外す、といったような御提案を申し上げております。

○ 会長
 課長のほうから、積立金の取り崩しについての問題、118分の18という、労働福祉事業に充てるべき保険料収入等の割合の変更の是非等について説明をしていただきましたが、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○ 委員
 特例措置を平成13年度までに切った理由であるが、それ以降についてどうなのか。こういった雇用状況の悪化といったものが、平成13年以降には解消されるのではないか、という見通しの上に立って、平成13年以前のものに限って特例を外すというようなことを考えられたのかどうか。その辺の雇用状況の見通し等についてお聞かせ下さい。

○ 事務局
 なぜ平成13年度まで、この臨時特例措置を設けるかという趣旨の質問だと思います。今回措置については、おそらく今後、保険料収入が低下をする、といった傾向の下で臨時的な特例措置を行うものと考えております。私どもとしては、中期的には、労働福祉事業の在り方、こういった保険料収入等の一定割合を労働福祉事業の限度額とするといったような限度額のあり方等について、中期的観点からの見直しを、是非、この審議会で御検討いただきたいと考えております。冒頭、申し上げましたとおり、そういった検討の場を早くつくっていきたいと考えております。
 このようなことから、平成13年度になるか、平成14年度になるかはわかりませんが、我々としては、2、3年後は、労働福祉事業全体の見直しを実施したいということを考えております。そういった意味合いで平成13年度までの特例と考えております。
 なお、経済状況、雇用状況はどうなるかという質問に対して私は門外漢ですが、今回、国会に雇用対策の補正予算も提出するといったようなことで、政府全体として雇用対策に取り組んでおりますので、そういった効果が早急に出るようにと期待しているところです。

○ 委員
 他の方法は考えられないかということで、積立金の取り崩しのことの提案があって、お答えがありました。もちろん、積立金を取り崩すというのも1つの方法とは思いますが、そこからお金を借りてくるという方法を作り、後で返すということは考えられないのか。その辺は検討したのかどうかを教えてください。
 もう1つは、今回のものが平成11年度を含めて3年間の特例ということになるのですが、その3年間を過ぎた時点で元に戻るかというと、元に戻すことは考えていないのだと思うのです。3年間の特例措置が終わった時点で今の時点の状況に戻すという考え方はなくて別の方向に持っていくということで、先程も事務局から、労働福祉事業の見直しはやりたいという旨の御発言がありました。そうだとすれば、その特例のところだけ取り上げて議論をするのではなく、全体的な議論の中での特例措置、すなわち、労働福祉事業全体がどうなのかという議論の上で、当面どうするかということをやらないといけないのではないでしょうか。それなのに、緊急措置の方だけとりあえずやって、中長期的な検討は後からやりましょうという提案で、戻すつもりはないわけです。いずれにしても、将来変えたいということのようですから、そうであるとすれば、全体のことを議論した上で、当面どうするかということを考えるという手順を取ったほうがいいのではないでしょうか。

○ 事務局
 1点目の御質問は、積立金から借り入れるといった方法が取れないかということですが、考え方としてはあり得る方法だと思います。積立金については、労働保険特別会計法があり、積立金の取り崩し、あるいは歳入に繰り入れるということについては、この特別法で規定してあります。
 先程御提案のあったような考え方も1つの方法ではあるとは思うわけですが、残念ながら現行の特別会計法には、積立金から借りてくるといったやり方は規定されておりません。先程申しましたように、保険給付に充てるとき歳入に繰り入れることはできるといった規定のみです。そういったことにかんがみますと、考え方としてはあり得なくはない方法ではあるのですが、現実問題としてそういう方法を取るのは非常に困難ではないでしょうか。現行法の下ではできないということです。
 2点目のご質問は、平成14年度以降元に戻す気がないのであれば、そもそも労働福祉事業全体の議論をして、緊急避難、あるいは特例の措置も議論すべきではなかろうか、ということでした。今の労働福祉事業の限度額の設定方法について、確かに、中長期的に見直しを行いたいと考えています。もっと正確に言えば、この審議会で見直しの検討を始めていただきたいと考えております。それは、審議会全体として、今後どういう内容にするのがいいのかどうか、それは本審議会で十分御検討、御議論していただかなければならない事案です。場合によっては、今の限度額の設定方法でいいのではないか、といったような結論も考え方としてはあり得るわけです。
 そうすると、我々としては別に元に戻すかどうかというのは、審議会の結論が出た時点で、平成13年度の今ごろになるのかもしれませんが、その時点で判断すべきことであって、今から、新たなやり方で絶対こうなるとか、そういったことを前提には考えられないわけです。そういう意味で、我々としては臨時特例的な措置を最初に議論していただきたいと思っております。
 もう1つ、このようにお願いしている理由として、平成12年度の予算要求を8月末に大蔵省に出さなければいけないといった事情があります。労働省としては、要求の時点で当然ながら労災保険法の施行規則に違反するような内容の予算案を出すといったことは絶対に避けなければいけないと考えております。
 また、事務的な作業としては、8月下旬を目途に、現在、予算の係数の数値を積み上げているところでして、実際その限度額がどういうふうになるのか、これがはっきりしないと予算の係数の積み上げの作業も、事実上できないといったことになるわけです。そういった意味合いもあり、特例的な今回の措置を早急に御議論いただいて、結論をいただきたいというふうにお願いしているということです。

○ 委員
 積立金からの融資についての特別会計法上の規定はないというのはそのとおりです。ですから、その特別会計法を改正してそういう道を開くということは、その選択肢の対象になり得るかどうか。もちろん、平成12年度の措置ということになると、規則の場合は、あくまでも大臣の判断でできるわけですけれども、法律を改正するとなると国会の手続が要るということで、その辺の時間的な余裕があるかどうかという問題はもちろんあります。制度的にそういう道があり得るとすれば、そういうこともひっくるめて検討すべきではなかったのか、という点はいかがでしょうか。

○ 事務局
 特別会計法上の問題ですが、雇用勘定なり、労災勘定なり、1つの会計の勘定の中で融資し合うという制度は制度的にあり得ません。それは、とりも直さず同じ会計の中ですから、ある意味では積立金を取り崩すということ自体同じことになるわけです。他の会計から借りてくるとか、一定の融資を受けるということはあり得ても、余ったら剰余を積立てておく、その剰余から融資を受けるというのではなくて、結局は何らかの形で積立金を使える道を開くいうことになります。
 その場合には、いままで保険給付にしか使えないという積立金の性格を労働福祉事業にも使えるという道を開くことになるので、ある意味では、今日の緊急避難措置よりも、根本的な、特別会計法の根幹にまでおよぶ見直し措置ということになります。労働福祉事業の中では、特別支給金のように被災者の数に応じてむしろ義務経費として出ていくものもありますが、多くはある程度計画的に予算を組んで計画的に執行するものであるため、本来なら予算が不足し積立金に手を付けなくてはいけないような執行をするということ自体通常あり得ないし、あってはならない経費を多く含んでいます。
 そういう事案に、積立金を使えるという形にするということについては、かなり制度の基本的な論議を経ないとできないだろうと思います。それも1つの選択肢として検討するのであれば、別途、当審議会で御議論願わなくてはいけないと思います。
 もう1つは、そういった労働福祉事業全体をどうあるべきか、その費用の限度額はどうあるべきかというようなことを含めて基本的な論議をした中で、緊急避難措置もその一環として考えるべきではないかという御指摘もいただいているわけですけれども、こういった経済情勢の中で、立替払事業が予算を90億円ちょっと組んでいたのに実際上は170億円ぐらいまで出てきているのですが、そういった経済の落ち込み又は倒産件数の増加というのは、労災保険だけではなくて経済全体の動向についてある意味では予測できなかった面があります。
 ただ、こうした状況の中で、実際に賃金を貰えない労働者がたくさん出てくるという現象が発生するわけで、これらの人たちに対してこれから1年なり相当な期間をかけて法律改正等をやるという手続きを待った上で、この緊急避難措置を講ずることになれば、基本的には予算の範囲内でしか立替払いはできないということになってきますから、私どもは、あくまでも118分の18の範囲内で予算を組んで、立替払事業も限度額を超えたら後は立替払いを行わない。要するに早い者勝ちという処理を行わなくてはいけないことになります。これは、現在の状況の中ではとても許されない話でありまして、まず緊急的にこの経済情勢の中で国としてまた制度としてやるべきことをやっていくための措置をとりあえず時限を限って講じて、さらに、基本的な制度の在り方についても早急に議論を開始して、この時限が切れるまでには、労働福祉事業の費用の限度額の新しい考え方を確立していただく、そういった道筋を選ぶべきではないかと思っております。

○ 委員
 事務局の勘定内での貸し借りができるかどうかというのはわかります。後段の御指摘の中で、私自身も事務局がいうように、立替払制度があるのに、予算的な措置のことで、実際には立替払いができないというような事態は、賃金が未払いとなっている労働者の皆さん方の救済ということになりませんので、それはあってはならないことだと思います。
 問題は、そのやり方のところでして、立替払事業についてはきちっと予算を取って、他のところでどういうふうにその効率化ができるかという、そういうやり方だってあるわけです。もちろん、例えば、被災労働者の子供たちが学校へ行っているという場合に、1万円ぐらいの援助をするといった制度がありますが、そういう制度をなくすというわけには現実問題としていきません。同様に、ある一定の制度があるときに、その事業内容、条件等を切り下げることができないという部分もあります。しかし、労働福祉事業全体の中で、全てが全て今の時点で必要なものなのか、合理化ができないものなのかどうかということを考えた上で、限度額に係る今回の特例措置についても判断をしないといけないと感ずるのです。
 その意味で、次回かその次かは別として、もっと我々が判断できる資料を提供していただきたいと思うのです。今の労働福祉事業について申し上げれば、参考の5頁に、いくつかの事業が書いてあります。委員からの労働条件確保事業についての質問に対して、事務局からお答えがありましたが、ほかの事業はどういう性格の事業であるか、もちろん、かつての審議会の場で御説明を受けたりしているのですが、どういう性格の事業で、どれほどの利用者、あるいは決算額があるかというものを、過去何年か分について出していただいて、費用対効果はどうであるのか、役割は既に終わったのか、現時点でもそれは引き続き必要であるのかどうなのかということが分かるよう、社会復帰援護事業、安全衛生確保事業、労働条件確保事業のそれぞれの事業について資料を是非御提供下さい。
 その下の所に、業務取扱費、施設整備費、他勘定へ繰入れというのがありますが、これも併せると結構な額になります。その辺も併せて全体としてどういうふうに推移しているのかという点の資料は御提供いただけないでしょうか。

○ 事務局
 それは、準備させていただきます。

○ 会長
 ただいまの、御発言は、要望ということで承らせていただきますので、その点は事務局のほうでよろしくお願いいたします。

○ 事務局
 それでは、一つ一つの事業について費用対効果等の分かるような資料は準備させていただきます。ただし、今までも毎年度の予算要求の際に概要等について当審議会に説明して、労働福祉事業等の予算も決めてきた経緯がありますし、また、特例措置を検討する前提として、1つ1つの事業についてこれを削れば特例措置をやらなくてもいいのではないかという観点から一つ一つの事業の適否を踏み込んだ上で、この特例措置を講ずるかどうかまでご議論していくとなると、おそらく一つ一つの事業にはそれぞれ多くの対象者がいる以上、1つ1つの事業の見直し等について当該事業の恩恵を受けている方々のコンセンサスを得ていくことは、短期間ではとても困難であろうと思います。
 また、計画していた倍以上の倒産件数が発生している中で、立替払事業をどうやっていくかという課題に対し、新たな財政負担が出るという形ではなく、緊急的に対応していく今回のやり方について、今月中には審議会からの一定の御意見をいただいて、私どもも概算要求の準備に入らないと、実際上対応ができなくなります。こうした事情があることも考慮に入れていただいた上で、我々が準備する資料を見ていただきたいと思います。
○ 会長
 事務局の発言のような趣旨で資料を準備させていただくということでよろしいでしょうか。つまり、本日諮問された件についてはどんなに遅くとも8月末の概算要求に間に合うような形で答申を出さなければいけない。答申の前に労働福祉事業是部の見直しをするというのは結構大変な仕事ですから、全体の見直し等についてはその後で随時相談をしながら検討していくという趣旨で事務局から御発言をいただいたのだと思います。

○ 委員
 よく分からないのですが、概算要求が8月末であるのでというお話と、今月中に一定の結論をという御発言がありました。例えば、税法などの改正だと4月からというのが普通で、3月31日までに成立しないと相当混乱することがあるわけです。そういう意味で、いろいろな審議会の結論は、早目の段階でということになるのだと思います。
よく分からないのは、概算要求をする前の段階で省令が公布されていないといけないという、その気持はわかるのですが、省令違反の概算要求は法令的にできないということではないのではないかと思うのです。それは、審議会の答申が出ないのであれば、それは省令ができないのはやむを得ないことであります。
 年末の編成のときまでわざわざ引っ張るという意味ではないのですが、ただ、概算要求を一つの期限にして、その前には必ず結論を貰わないと法律違反の概算要求になってしまうというのは、そういうふうに固い理解をしなくてもいいのではないかと思うのですが。

○ 事務局
 そこは、予算と法律の関係のやり方について御説明申し上げなくてはならないと思います。通常、概算要求を出す中には法律改正を前提にする部分もあります。ただ、法律改正というのは国会の審議が必要なわけですので、概算要求の段階で、法律改正を前提として、どういう法律改正をする予定かというのも登録します。それが、予算関連法案として通常国会で審議され、予算とつじつまの合う形になるわけです。これは、国会の審議を経るという意味合いで、どうしてもそうせざるを得ない一定の仕組みとして定着してきているわけです。
 今回のように、労働省令で決めてある制約である、「118分の18」というのは、労働大臣が決めている規則ですから、内部の規則みたいなものです。これは、概算要求を労働省から出して、それを最終的には全体として政府の予算案として閣議決定するわけですから、労働省が自分でこういう要求を作りましたということで公に要求書として出していく以上、労働大臣の権限で決めている労働省令は国会の審議を煩わすわけではないので、そこは、予算要求の時点では整合性が取れていなければいけないということになります。
 それを、法律改正をするとかということであれば国会の審議を待たなければいけないわけですが、そういうものではありませんから、公に概算要求を出すときに自らの作っている労働省令と矛盾した姿というのは作れません。自己矛盾を起こしている予算要求になってしまうということです。法律だったら、国会が法案を否決すれば当然その予算は組み換えとなり、その予算は執行できなくなる仕組みになっているわけです。

○ 委員
 今回、労働省から出された提案は、予想外の景気の動向で出てきた予算を上回るような立替払いのための費用にどう対応するかという問題です。もともと、基本的には労災保険法第23条の労働福祉事業自体は、保険給付を貫徹するような全体として意味あらしめるための事業でありますから、これを一定財源確保しなければいけないということは事実だと思います。
 ただ、今回の提案について、規則の第43条の中の除外している特別支給金制度は保険給付に準ずるものだということで除くというのが規則本来の趣旨ではないかと思うわけです。そういう意味でいけば、今度はこの除外の中に立替払事業を含めるということは、必ずしも本筋ではない。だから、恒久的な制度としてあってはいけないと思うわけです。したがって、期間を定めた形で緊急避難的にやるというのは、基本的にやむを得ない事業として認めていくべきであると思います。
 今まで、いろいろな方法の提案がありました。限度額を変えたらどうか、積立金からの融通など。ただ、118分の18という問題は、労働福祉事業がどうあったらいいかということに関わる率であって、労働福祉事業全体の見直しをしないままに単に118分の18を若干上げる、あるいは、積立金について先程労働省から説明のありましたような趣旨を超えて融通し合うというようなことは緊急避難措置としては、必ずしも適当ではないと思います。したがって、今回は、あくまで緊急避難的な措置として対応するという労働省の考え方はやむを得ないものとして考えます。
 先程からいろいろ出ている、労働福祉事業の中身とか、118分の18の問題だとか、積立金の活用とか、そういう問題は中長期的な視点から労災補償保険制度を意味あらしめるために方向にどう変えていくかというときに当然議論になってくる問題でありま す。料率の問題も、今の法律で考えている中身がいいのかどうか。例えば、特別支給金や労働福祉事業の中身の在り方自体も見直していく必要がある。今の業種別だとか災害の発生頻度に基づいてやっているやり方がいいのかどうか。特に、労働福祉事業等についてもそれに連動する形がいいのかどうかなど、かなり中長期的に検討する必要がある。それを、今回の立替払事業を労働福祉事業の限度から外すという緊急的な措置に絡めて議論するのは必ずしも適当ではない。場所を変えてやったほうがより建設的な結論が出るのではないかと思います。

○ 会長
 いろいろ御意見をいただきましたが、先程委員がまとめてくれたような線で御了解いただければ大変ありがたいのですが、いかがでしょうか。それはこの答申を認めるということではなくて、労働福祉事業の抜本的な検討は、また機会を改めてということで、今回の諮問には直接結び付けないというような取り扱いでいかがでしょうか。

○ 委員
 それは、多数決で決を取るような性格のものでしょうか。

○ 会長
 できれば、皆様の御了解を得たいと思っています。

○ 委員
 今、支出のほうだけ申し上げたのですが、例えば収入のほうにしても4頁に出てきているのは保険料収入のことしか書いてないのですが、利子の収入について平成12年度の見込みとして1,720億円の利子収入で対前年比3,400億円減るということで口頭説明がありました。ここの上段で見れば、1号の中には保険料収入のほかに、積立金から生ずる収入というのもあります。2号の所には預託金利子収入とか返納金などもあります。また、3号というのもあるわけですので、そういう全体像をお示しいただく中で、平成12年度の見込額が2,380億円というふうに推計されているのでしょう。その辺がどういうふうになるのかということも見極めた上で、判断をいたしたいと考えております。

○ 会長
 今の点は、そんなに時間はかからない問題だと思います。先程、委員がおっしゃったような、労働福祉事業全体について抜本的な見直しということになると大変ですから、今回そこまではおっしゃっていないのだと思います。問題は、差し当たりどの程度の検討をすべきかということで収入の点についてはよくわかりましたけれども、支出の内容、効果等について事務局から数字の説明をいただくというのは、そう困難なことではないと思います。ただ、その中身を検討するということになると相当な時間を要するということですから、その点はいかがでしょうか。私が先程申し上げたのは、中身の検討はしばらく機会を改めてという趣旨です。

○ 委員
 できるだけその一つ一つの中身について検討すべきだと思いますが、諮問のあった案件の緊急性というのもそれは無視できない事情にあることは、私自身はわかっているつもりです。したがって、出していただいた資料の中でどういうふうな感覚が得られるのかという、その辺の状況を見ながら判断をさせていただくということにいたします。やはり、こういう状況にあるということは、もちろん審議会の委員が知る必要もあると思っています。
 一般利害関係者、端的に申し上げれば企業の事業主が、今の労災保険の状況がどういう状況にあるか、労働福祉事業の事業そのものがどういう状況にあるかということも把握した上で考えるということは必要なことだと思っております。口頭で説明していただいても議事録が出るのは相当先でして、国民がその議事録を拝見するのは、相当先になってしまいます。そういう意味で、この利害関係のある事業主に是非資料が提供できるようなことをした上で判断をするということをしていただきたいいうのが要望であります。それが難しくすべて口頭で説明をしますということであれば、それはやむを得ません。

○ 会長
 当局のほうからも、対応についてお話をいただきたいと思いますが、私の考え方としては、先程委員がおっしゃったのは、要するに労働福祉事業も含めて収入、支出についての全体像が企業の方にわかるようにという趣旨だったと思いますので、その内容を細かく検討するというのはまた別の機会にして、事務局の方でもし可能であればそういう全体像がわかるような資料を作っていただけますでしょうか。

○ 事務局
 御要望のあった資料については準備して、次回御提出いたします。

○ 委員
 緊急避難という意味でいけば、企業も現状は緊急避難しなければいけないような非常に厳しい状況にあります。したがって、コストはできるだけ切り詰めていきたいという一方の要請もあるわけです。理論とは別のそういう現実的な要請もあるわけです。そういう意味でやらなければいけない事業ではあるけれども、何か他に方法はないかということでいろいろお話をしているわけです。現行法では、これ以外にはないということになると、それ以上何の話にもならないわけです。
 今、いろいろ出ている検討の資料として、積立金の中身ですが、年金の受給者とそうでない受給者とあるかと思います。その人たちの収入と給付、年金受給者の収支とそうでない人の収支というのをできるだけ遡って、あるいは、この先の推計もできるのであればそれも含めて、そういう分けた数字をお示しいただけないでしょうか。

○ 事務局
 趣旨がよく理解できない点があったのですが、年金と年金以外という意味合いでは休業給付などの年金以外の給付がこれまでどういう推移になっていて、例えば遺族年金とか障害年金などの年金がどういう推移にあるか、今後どのようになるかといった、年金と年金以外で給付がどのようになっているかという理解でよろしいのでしょうか。

○ 委員
 そういう給付と、それに対応する収入です。
○ 事務局
 収入については、徴収法で労災保険料率の考え方が書いてあります。労働災害の動向であるとか、労働福祉事業に要する費用であるとか、そういったことを勘案して、財政均衡になるように料率を設定すると規定されてあります。具体的に3年間の災害動向等を勘案して決めることになっております。
 災害動向という意味では、現実に年金給付がどのぐらい、年金以外がどのぐらいというところまで分けられるかどうかというのは検討してみますが、なかなか難しいかもしれません。

○ 会長
 具体的にどういうことですか。事務局が言っているのと、ちょっと違うのではないですか。

○ 委員
 年金受給になると、そのときに保険料を徴収しますね。

○ 会長
 年金を貰っている人ですか。

○ 委員
 年金を受給されるようになると、その時点でこれから先の保険料を徴収するわけでしょう。

○ 事務局
 メリット制の問題ですか。

○ 委員
 メリット制ではないです。

○ 事務局
 給付のほうは、委員がおっしゃるように年金とか給付別にきちっと統計の数字は出せます。一方、保険料収入は全体を一本で取っており年金受給者がずっと累積していく、その将来の債務分については将来の債務が溜まったときにその時点の給付に要する保険料を事業主から取るわけにいかないものですから、今から計画的に積み立てておこうということでこれは全然手を付けていないわけです。
 ですから、収支を見るときには、年金、一時金、療養の給付等の給付ごとに収支を合わせることはできないわけです。積立金は手付かずのまま計画的にずっと積立てられているだけです。毎年の保険料は年金のための保険料ということにはなっていません。

○ 委員
 そういう分け方はできませんか。

○ 事務局
 はい。

○ 会長
 毎年の積立額がいくらだというのは言えますけれども、もともと保険料を積立てのためにいくら払っているとかそういう問題ではないです。

○ 事務局
 給付の方は出ますので出してみたいと思います。

○ 委員
 別の資料というか、今現在6兆円ぐらい積立金があるわけです。本来の完全充足方式でいくとすればそれは6兆円では足りなくて、8兆円程度が必要なわけです。それを、平成元年に30年間で完全な積立てを完了するという財政方式の大まかな計画を立てたことで、この積立てていく部分と足りない部分を今積立てている部分と両方あるわけです。それが、今我々が納めている保険料の平均の9.4の中で、どのような配分になるのか、その辺の資料を是非御提供いただきたいと思います。

○ 会長
 それでよろしいですか。

○ 委員
 はい。

○ 会長
 その点はわかりました。

○ 委員
 事業主の立場で言うと、今は少しでも保険料率を下げたいということで努力しているところでありますから、そういう点では労働福祉事業が固定的に増えるということについていろいろ意見があることはわかります。何度か事務局から発言があったように、現下の状況の中でこの状況を放っておくわけにはいかないわけですから、いろいろ意見があるとしても、抜本的な論議はまたゆっくりやりたいと思います。本日、その問題をここで蒸し返されても時間がありませんから、今回の提案内容で十分ではないかと思います。そういう意味で、先程の論議で十分理解しましたので、結構です。是非この方向で今回は取りまとめていただきたいと思っています。

○ 委員
 同じようなことですが、賃確を確保するという意味では賛成です。一言言いたいのは、今回の保険料収入の落ち込みということには、経済状況もあるけれども、そういう経済状況を反映して一定の政策的配慮が行われて料率が決定されたというように私自身は受け取っています。そうではないとおっしゃるかもしれませんが、当時の大臣談話などを考えると、そういうふうに受け取れます。だから、労働福祉事業の率が上がるというのは、ある意味ではやむを得ないことだと思っています。今言っている部分は余分なことかわかりませんが、非常に厳しい雇用情勢の中で法律が役立たないと意味がないわけですから賛成です。

○ 委員
 概要要求を8月末までにということで7月に結論を欲しいというのは、収入等の予想はかなり前からできていたと思うので、少し遅いという気がいたします。今後は、こういうことがないようにきちっと審議ができるようにやっていただきたいと思います。
 労働福祉事業についても、本当に社会状況も変わってきていますから、中長期的な見直しというのはなるべく早目に着手していただきたいと思います。それだけお願いして、私は、今回の諮問には賛成です。

○ 会長
 いろいろ御意見をいただきましたが、要望がありました事項として労災保険財政の全体が見えるような資料を示してもらいたいということがありました。おそらくそういう資料を検討した上で、今回の答申についての意見を決めたいということなのだと思います。あと特に意見がなければ、私としては、もう一回集まっていただいて、そこで資料を御検討いただいて、そこで答申について最終的な御意見を出していただけたらと思っています。1回と思っていますが、そうならないかもしれません。できるだけこの委員会としては、公労使共に賛成という形での御意見をいただきたいと思います。これから御検討なさる必要等があると思いますので、本日は、答申をしないという取扱いにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○ 委員
 本日、取りやめても間に合うのですか。

○ 会長
 できるだけ議論を尽くした上で答えを出すというようにしたいと思います。あるいは、最終的に答申に反対という御意見があるかもしれませんが、とにかく議論は尽くしたいと思います。期日はあまり余裕はないのですが、できればあと1回で済めばいいと思っています。そういうことで、次回に継続して審議をさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。

(異議なし)

○ 委員
 その点はその点として、まだお願いしたいことがあのですが駄目でしょうか、次回お願いするということでも結構です。

○ 会長
 本日の議題に直接関係のあることですか。

○ 委員
 はい。

○ 会長
 それでは、どうぞ。

○ 委員
 今回の諮問案の施行が、平成11年度決算からとなっています。御提供いただいた参考の2を見ている限りでは、限度額に対する予算の割合が92.92ということで、限度内におさまる予定になっているわけです。そこのところが、平成11年度の未払賃金の立替払いの実施費が102億円の予算が組まれていています。平成11年度予算で102億円が計上されていても、なおかつこの限度額を上回る可能性があるということで、平成11年度の決算から適用にしているのだと思います。どういう状況の中で、平成11年度決算で上回る可能性があるのか。それを、ご提供いただきたいのです。
 平成12年度については保険料収入が1,000億円落ちるということで、今の制度のままだと難しいということでのデータは出ているのですが、平成11年度が駄目になる、というのがちょっとわかりませんのでその点のデータをお願いします。要するに、収納率が相当落ちればそれはなり得るのかもしれないのですが、どうして収納率が落ちることになるのか。

○ 会長
 それは、保険料収入全体ですか、あるいは立替払いとの関係でですか。

○ 委員
 両方だと思います。未払賃金の予算が102億円しか組んでないけれども。

○ 事務局
 平成11年度決算から適用するという考え方については、平成11年度についても保険料収入が、例えば建設事業等が落ち込むということが予想されております。予算では1兆4,000億円組んでいるのですが、おそらくそれよりも現在の経済状況を反映して落ち込むだろうと考えております。
 今、具体的な数字はないのですが、お示しした来年度の予想見込みで1兆3,300億円という数字をお示ししておりますが、これにかなり近い数字になるような感じを受けております。
 もう1つは立替払いですが、これは資料でお示ししましたように、5月までの状況を見ると、立替払金額で平成10年度の同月比で47%増ということです。予算は100億円程度組んでいるわけですが、このまま推移していくと場合によっては平成10年度の170億円という額になる可能性が極めて高いというような状況を勘案して、平成11年度の決算から適用するというような考え方で御提案申し上げております。

○ 委員
 立替払事業の方がよくわからないのですが、予算のところで91億円というのが平成10年度ですね。それが、平成10年度の支払いが173億円ということになっているのは、平成10年度の予算というのは当初予算なのでしょうか、補正後の予算なのでしょうか。これと実際に支出されている立替払事業と平成10年度の決算との関係はどういうふうになるのでしょうか。

○ 事務局
 資料で出しております、平成10年度の立替払いの予算91億円とありますのは、補正前の当初予算です。補正後については109億円です。決算ベースということになると、立替払いも資料で実績を出しておりますが173億円になっております。いずれにしても、本年度の保険料収入見込み等々の数字についても次回御提出したいと考えております。

○ 会長
 そのほか、御意見、御質問はございませんでしょうか。

(特に発言なし)

○ 会長
 議事は、これだけにさせていただきます。本日の議事録の署名委員は、労働者側委員を代表して田中委員、使用者側委員を代表して廣田委員にお願いします。以上をもちまして、本日の会議は終了させていただきます。どうも、ありがとうございました。


照会先
労働基準局労災管理課企画調整係


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