労働者災害補償保険審議会 議事録(第346回)

1 日 時  平成10年2月18日(水) 14:00〜16:40
2 場 所  中央合同庁舎第5号館 労働省省議室(16F)
3 出席者  〔委員〕 保原喜志夫、平賀俊行、金城清子、都村敦子、宮武剛、
北裏昌興、作間和雄、松浦清春、光岡貞雄、若月一昭、
宇田川靖、大島光夫、清浦寛、高梨昇三、早川祥子、廣田進
の各委員
  〔事務局〕伊藤労働基準局長、坂本審議官、坂田労災管理課長、森政補償
課長、永田労災保険業務室長、青木監督課長、井原計画課長、
安藤労災保険財政室長、白鳥労働保険徴収業務室長、黒田主任
労災補償監察官、安部職業病認定対策室長、田村労災保険審理
室長、田中調査官、渡延企画官
4 議 題  (1) 労災保険審議会議事録の公開について
(2) 「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する
   省令案要綱」及び「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する
   省令案要綱」について
(3) 平成10年度労働保険特別会計労災勘定予算(案)の概要について
(4) 労働時間法制及び労働契約等法制の整備について(建議)
(5) 「財政投融資の抜本的改革について」の概要について
(6) 特殊法人等の整理合理化について
5 議 事
○会 長
 ただいまから労働者災害補償保険審議会を開催いたします。
 早速、議事に入ります。本日はまず「労災保険審議会の議事録の公開」についてご審議をお願いいたします。そのあとで諮問案件が2件、報告案件が2件あります。初めに「労災保険審議会の議事録の公開」についてですが、この件につきましては、平成9年1月22日に開催されました当審議会におきまして、審議会については原則として、「議事録を公開する」という決定がなされています。そういうわけで議事録を公開するということは決まっていますが、議事録を公開する時期等につきまして、改めて委員の皆様にご意見をいただくこととしていたところです。まず、この件につきまして事務局から説明をしていただきます。

○事務局
 審議会の公開につきましては、先ほど会長からご説明をいただきましたように、平成9年、昨年の1月22日に開催されました当審議会におきまして、「審議会については原則として議事録を公開する。」旨のご了承をいただき、「審議会の議事録を公開する時期等につきましては、他の審議会の動向等も勘案しつつ、改めてご相談をさせていただく」ということとしたところです。
 これを受けまして、事務局といたしましては、中央労働基準審議会等の議事録の公開時期につきましては、平成9年4月以降となっていますが、こういったことを勘案しつつ、議事録公開の時期、あるいは方法につきまして、具体的に検討を行ってきたところですが、特段の支障がなければ、今回の審議会の議事録から公開をさせていただきたいと考えていまして本日、議事録公開の様式等を示させていただいています。具体的には資料bPをご覧になっていただきたいと思います。
 このうち、様式中の5番の所にありますように、各委員のご発言につきましては、匿名とし、会長のご発言、事務局の発言についてのみ、発言者を明記したいと考えています。また、公開する議事録につきましては、事務局で作成した議事録を後日、会長、労働者側代表1名、使用者側代表1名に、それぞれ公労使各側を代表して、内容を確認していただいた上で署名をいただくことにします。署名をいただく労使の委員は、審議会ごとに会長より名簿順にご指名いただくこととしたいと考えています。
 なお、いままで公開をしてまいりました議事要旨につきましては、事務局の責任で作成した上、審議会開催より概ね1週間以内に公開することといたします。
 また、議事録につきましては先ほど述べましたように、会長及び労使の代表にご署名をいただいたものを、審議会開催より概ね1カ月以内に公開することとし、具体的には労働省の16階にあります労働大臣官房総務課広報室に備え付けてある「審議会台帳」によりまして、一般の方々の閲覧を可能とすることとしたいと、このように考えています。以上です。

○会 長
 ありがとうございました。ただいま説明がありましたとおりです。議事録の公開につきましては、本日の会議からとし、その様式等につきましては、いま説明をいただいたとおりですが、この点いかがでしょうか。

○委 員
 なぜ会長と事務局の発言は明記をして、あとの委員はなんで匿名なのですか。

○事務局
 これはほかの審議会の例にならったということになるのですが、それ以上の理由はないのです。

○委 員
 私は昨年の1月の審議会でも、ここは公開化されるべきだと主張をしました。全くの少数でしたので、意見だけに止どめました。あとは議事録を公開するわけですから、何を、誰が発言したかを明記をするのが私は筋だと思っています。

○会 長
 そのほかの委員の方、いかがでしょうか。

○委 員
 質問ですが、事務局の発言というのは、事務局の何のタロベイと言いますか、あるいは肩書きになるのか。それとも単純にすべて「事務局」になるのか、その辺はどうなっていますか。

○事務局
 「事務局」として整理をしたいと思っています。

○会 長
 そのほかご意見いかがでしょうか。

○委 員
 労働側の意見としましては、私どもは極めて世間の移り変わりといいますか、環境条件に適応できる適正な発言をしますから、労働側としては記名方式でもかまわないと思います。三者構成でやっているものについて、中基審等の議論経過を言いますと、やはり、労使の見解に大きな隔たりがあって、それは労働側の委員が言ったか、使用者側の委員が言ったかということが大体わかるから、あえてそのうちの特定をして、誰が言ったというほどの必要性がないのではないか、という議論をした経緯がありますので、使用者側のほうが、もし労災保険審議会でも怪我をした人に対して、あるいは怪我をしないようにするにはどうするか、という施策にまで、労使の見解に大きな隔たりは私はないと思いますので、この審議会では記名方式でもいいのではないかと考えます。使用者側も特段反対をする理由はないと思うのですが、使用者側の意見も聞いた上で最終的な判断をさせていただきたいと思います。

○委 員
 実は事前にこういう案件がかかるということで、事務局から説明を受けているわけです。その時にはこういうペーパーのような形で、会長と事務局以外については、名前は書かないということで説明を受けています。その理由がほかの労働省関係の審議会における取扱いがそうである。特に中基審の取扱いがそうであるということから、私、個人としては、同じやり方でいいのかなというふうに考えているのです。使用者側として意思統一をしていませんので、ここで使用者側としてどうかと聞かれると、ちょっと答えにくいので、その辺については、別途ご返事をさせていただくとかしたいと思っていますが、いかがでしょうか。

○会 長
 そのほかご意見がありませんか。

○委 員
 私はすべて公開をするということに賛成です。

○委 員
 私は取りあえずは他に倣って、原案の形でいいのではないかと思います。誰が議論をしたかということではなくて、何が議論をされたかということがわかれば、初めての試みですので、取りあえずはその段階でいいのではないかと考えます。

○会 長
 私から提案をさせていただきますが、議事録の公開は本日分からやるということにしまして、各発言者の氏名を公開するかどうかというのは、次回の審議会で決める、それまで使用者側についてもご意見を統一していただき、その決めた時点で遡って、本日の分も含めて議事録を公開するということでいかがでしょうか。

○委 員
 結構です。

○会 長
 それでは、そういうふうにさせていただきます。

○委 員
 いま台帳に挿入して公開をするということでしたが、労働省ではいろいろな資料について、インターネットでの公開はどうなっているのでしょうか。もし、あるのでしたらインターネット上での公開については、今後どうするか。私はインターネットを通じても公開することが大切なのではないか、これからは多くの人たちが、いちいちここまで来て、そしてその資料を見るというのは大変ですが、インターネットを通じてであれば、すぐアクセスできるわけですので、そういう点について、どう考えておられるか伺いたいと思います。

○事務局
 インターネットの問題につきましては、まず、現在の状況を申し上げますと、特にインターネットを使った公開はしておりません。お考えの趣旨は確かに、なるべく多くの方にご覧いただく機会をつくるということではよくわかるのです、まだ省として、そこまでの段階に至っていませんので、今後、十分検討をさせていただきたいと思います。

○委 員
 よろしくお願いいたします。ほかの省庁では、こういうことについて、インターネットで公開している所もあると思いますので、それを参考にしてご検討をいただきたいと思います。

○会 長
 それでは、インターネットによって公開をするかどうかということは、検討事項ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。

○事務局
 蛇足ですが、審議会の議事録そのものをインターネットで公開するということは、現在労働省の場合はまだやっていませんが、できるだけいろいろな情報を公開するということで、審議会の答申ですとか、新聞発表ものですとか、そういったものについては、できる限りインターネットでオープンにしています。この審議会の議事録につきましては、今後検討をさせていただきたいと思います。

○会 長
 そうですね、ほかの審議会のこともあると思いますので、それでは検討事項ということにさせていただきます。「議事録の公開」の問題につきましては、以上の通りですが、そのほかご意見、ご発言がありませんか。ありませんようでしたら次に移らせていただきます。
 次は「諮問案件」です。1つ目は、労災保険率等の改正に関する「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」です。
 2つ目は、介護(補償)給付の額の引上げ及び葬祭料等の定額部分の額の引上げに関する「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」です。
 議事の進行の都合上、2つの諮問案件を事務局から説明していただきまして、一括してご議論をいただくことにさせていただきたいと思います。なお、その後、報告案件が4件ありますので、それはあとで事務局から報告をしていただく、このような進め方でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○会 長
 ご異論がないようですので、まず、労災保険率等の改正に関する「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」につきまして、事務局から説明をしていただきます。

○事務局
 私のほうから資料bQにつきまして説明をさせていただきます。説明の上では資料bRを用いまして説明をさせていただきたいと思います。したがって、資料bR、「労災保険率等の改定について」です。
 労災保険率につきましては、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」、あるいはこれに係わります政省令等によりまして、「将来にわたる労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるもの」ということにされていまして、事業の種類、現在は52ありますが、この各種類ごとに過去3年間の災害率等を考慮して、決定をされているところです。
 近年、新たな3年間の災害率等が把握される3年ごとに、労災保険率の改定の必要性を検討いたしています。最近では、平成3年度から5年度までの災害率等を考慮しまして、平成7年4月1日に料率改定を行ったところですが、今般、平成6年度から平成8年度までの3年間の災害率等が新たに把握されたことによりまして、労災保険率の改定の必要性を検討したところです。
 その結果によりますと、労働災害の減少等を反映し、事業の種類により差異はありますが、全体として現行の料率、全業種平均で1,000分の9.9ですが、これに対して1,000分の0.5、率にして5.1%の引下げとしたいと考えています。
 労災保険率の構成要素につきましては、表にあるとおりですが、改定案によりますと、災害料率分が1,000分の7.3から、6.9へ引き下げてあります。労働福祉事業分はそのままです。また、過去債務分につきましては、1,000分の1.1から1,000分の1.0へ引下げでして、都合、現行が1,000分の9.9に対して、改定案では1,000分の9.4ということになるわけです。
 事業の種類別の労災保険率の状況は別表の1、あるいは2のとおりです。なお、今回、事業の種類につきまして、一部変更をしています。まず金属または非金属鉱業、石炭鉱業につきましては、近年事業数、あるいは労働者数が著しく少ないものとなりまして、また、災害率、災害の種類、さらに作業実態等が類似しているということから、この両者を統合しまして、「金属鉱業、非金属鉱業又は石炭鉱業」としたいと考えています。
 「その他の窯業又は土石製品製造業」の事業の種類の細目のうちに、「コンクリート製造業」というのがありますが、これにつきましては、他の事業に比べまして、災害率、災害の種類、作業実態等が異なっており、分離独立したほうが保険料負担の公平の観点から望ましいと考えられますので、今回「コンクリート製造業」を、1つの事業の種類として新設をしたいと考えています。なお、この改定案によります労災保険率等の引下げとなり、平成10年度の保険料負担は、全体で853億円減少する見込みです。
 次に、「労務費率の改定」です。労災保険料の算定は、賃金総額に労災保険率を乗じて行うのが原則となっていますが、請負による建設事業でして、賃金総額を正確に算定することが困難なものにつきましては、「その請負金額に事業の種類ごとに定められた労務費率を乗じて得た額を、その事業の賃金総額とする」という特例が認められています。「労務費率」につきましては、請負金額に占める労務費の割合について、実態調査を行い、必要に応じて改定を行うこととしています。
 なお、「労務費率」の改定は、必要な保険料収入を確保するため、当該事業の種類の労災保険率も併せて改定することとしていますので、財政的な影響はありません。労務比率の改定案は別表3のとおりです。 「参考1」としまして、労災保険財政の長期推計を掲げています。現在、特に積立金につきましては、この表によりますと、平成8年度で5兆6,000億となっていますが、平成元年度から30年かけまして、いわゆる過去債務分を積み増しをしていくことになっていますが、そのことにつきまして、ここで長期推計をした結果です。2018年、平成30年度には、13兆2,600億円を超えまして、ほぼ必要な所要額をここで達成することができることになっています。
 「参考2」が平均料率の推移です。昭和53年度からの平均料率をそこに掲げていますので、ご覧いただければと思います。以上です。

○会 長
 ありがとうございました。ただいまのは「労災保険率の改定」に関することですが、引き続きまして、介護(補償)給付の額の引上げ及び葬祭料等の定額部分の額の引上げに関する「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局
 引き続きまして「介護(補償)給付の額の引上げ」につきまして、資料bSに則しまして説明をさせていただきます。障害(補償)年金、あるいは傷病(補償)年金を受ける権利を有する労働者が、その年金の支給事由となる障害によりまして、常時又は随時介護を受けている場合には、労災保険法に規定する介護(補償)給付が支給をされています。
 今回この介護(補償)給付の額につきまして、他制度の介護手当との均衡、あるいは在宅で介護を受ける重度被災労働者の実態に配慮しまして、引上げを行うこととしたいと考えています。
 内容につきましては、常時介護あるいは随時介護に分けまして、それぞれ額がありますが、実際に介護に要する費用として支出した費用が、これを超えるときに支給する限度額につきましては、常時介護につきまして10万5,980円のところを、10万7,100円にします。また、随時介護につきましては、5万2,990円を、5万3,550円にいたします。
 また、介護の費用を支出して介護を受けた日がない場合等で、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日がある時に支給する額につきましては、常時介護については5万7,550円を、5万8,150円、また随時介護につきましては2万8,780円を、2万9,080円にしたいと考えています。なお、施行につきましては、4月1日からと考えています。以上が介護(補償)給付の額の引上げについてです。
 資料bTにしたがいまして「葬祭料の定額部分の引上げ」につきまして、説明をさせていただきます。葬祭料につきましては、葬祭に要する費用としまして、最低必要とされる共通的な費用のほかに、死亡労働者の稼得能力に応じまして、幅のある費用部分が含まれていることが通常ですので、定額部分と賃金比例部分を組み合わせる方式によりまして補償を行っています。
 今般、葬祭料の定額部分につきまして、葬祭に要する費用の上昇を考慮し、死亡労働者の遺族に対する十分な補償を行うために、定額部分の引上げを行いたいと考えていまして、現行29万5,000円のところを、30万5,000円にしたいということです。施行時期につきましては4月1日を予定しています。以上です。

○会 長
 ありがとうございました。ただいま介護(補償)給付、葬祭料の引上げについて説明をしていただきました。以上の2つの諮問案件につきまして、ご意見、ご質問をお願いいたします。

○委 員
 2点ほどお伺いしたいのですが、参考1の所の「労災保険の財政の長期推計」ですが、確かに労働災害は相当の率で過去ずうっと減少してきているわけです。
 ですけれども、仕事上のストレスとの関連で、ある程度の因果関係があることで、うつ病とか、精神疾患とかが増えています。日経新聞によりますと、こちらでも検討会をつくられたということですが、保険給付の長期推計をされる場合の方法として、労働災害は減少していますが、うつ病とか、精神的なストレス等による、労働災害として認定される可能性のある疾病は増えてきているという点で、その辺が2018年までの保険給付の推計で考慮されているのかどうか。保険給付の長期推計の方法についてお伺いしたいというのが1点です。
 もう1点は、後半のほうの「介護(補償)給付等の引上げ」ですが、通常の老齢年金とか、公的な年金の場合には、物価スライドがとられているわけです。労災の年金給付の場合は賃金スライドだと思うのですが、介護(補償)給付の対前年の引上げ率が、これは計算をすればわかるのでしょうが、どのくらいか。ほかの労災年金の賃金スライド率がどのくらいで、それと比べると、どうなのかということと、介護(補償)給付の引上げの趣旨のところに、引上げを行う理由が書かれているわけですが、その場合に介護をする場合のいろいろなサービスとか、介護用品とかを購入する場合も、値上がりしてくる可能性があるわけですが、そういう物価のスライドとか、あるいは一般の労働者の賃金の上昇とか、そういうスライド率が、ここで考慮されているのかどうかという点について、お尋ねしたいのです。

○会 長
 いま2点ご質問をいただきました。1つは将来の保険給付の推計の方法につきまして、特に精神疾患等の増大を考慮しているかという問題。もう1つは介護(補償)給付の算定の仕方といいますか、引上げの根拠となるようなことにつきましてご質問をいただいたわけですが、事務局よろしいですか。

○事務局
 1点目のほうをご説明したいと思います。「保険給付の将来」についてということですが、なかなか将来を見通すというのは難しいので、現在、平成8年度までのデータがありますので、それによりまして最近の傾向といいますか、労働災害は減っているけれども、保険給付は若干伸びている。最近の状況ですと、大体1%程度保険給付が伸びています。そういったものを使いまして、平成30年度までの保険給付の伸びを見込んでいます。
 これには年金受給者の動向もあります。年金受給者も現在程度の新規年金受給者がいると仮定をしまして、それによる将来給付といいますか、それを全部見込んで保険給付を出しているということです。

○事務局
 介護(補償)給付についてですが、ご質問の趣旨にまだ全部お答えできないのですが、この説明資料にもありますように、今回の引上げにつきましては、他制度の介護手当を参考にしているわけです。それは具体的に申しますと、被爆者援護法に基づく原爆被爆者に対する介護手当の上限額と同水準にしたところです。
 これは、いろいろな介護手当の中で、最も高い水準のものが被爆者援護法による介護手当でして、労災の場合もそれに倣ったということです。引上げ率等自体はいま計算をしています。介護手当の引上げ率につきましては1.05%になりますが、その他の賃金スライド等につきましては時間をいただければと思います。

○会 長
 これは次回にお願いしたいと思います。よろしいですか。

○委 員
 次回にお願いします。

○委 員
 質問が1つあります。労災の保険料率改定の基礎に使われました災害率は、どの統計資料を使って算定されているのかというのと、現実にそれに基づく災害率の増減について、該当期間について教えていただきたいと思います。

○事務局
 実際に災害率と保険料率を計算する際に用いたものにつきまして、労災保険のデータ、保険給付、保険料収入の業務統計があります。私どもでやっています業務統計を用いて計算をしています。最近の災害率等の動向ですが、3年間の状況を見るということになっていますので、3年間の平均で見ていますが、6年度から8年度までの平均の新規受給者を見ますと、64万6,900人ほどあります。
 これを適用労働者数の割合で見ますと1.37%という状況になっています。その前の3年間と、3年度から5年度でみますと、新規受給者が72万8,800人でして、適用労働者数の割合で見ますと、1.60%でして、新規受給者数、対、適用労働者に対する割合についても、どちらも低下しているという状況です。

○委 員
 料率というのは適用労働者数で、新規受給者の累計というか、年平均化を割ったもので算定しているということですか。

○事務局
 算定につきましては、それ以外にも実際保険給付ですと、障害の程度等もあります。

○委 員
 障害の程度も考慮しているわけですか。

○事務局
 はい、もちろんです。

○委 員
 それは給付額のほうでやっているわけですか。

○事務局
 給付額です。年金受給者につきましては、将来給付も全部含めて計算をしています。

○委 員
 受給者数で計算する部分と、給付額で計算をする部分とあるわけですね。受給者数とか、災害発生件数でやっているわけではないですね。

○事務局
 基本的には給付額と、収入の部分がありますので、賃金総額といいますか、それとの関係で料率が決まるということです。

○委 員
 基本的にはこの2つの案については賛成なのですが、1つは質問です。労災保険料率の改定問題の資料が、別表3の労務費比率の関係で、水力発電施設と、ずい道等の新設事業の関係については、労務比率が下がっている。既設の建築物の関係については上がっている。いま労働時間の短縮が進められていますし、物価が安定をしていたとは言いながらも、労務費も改定をされるという、賃金も改定をされるということであれば、ここいら辺りが、上がった所と、下がった所が起こったのか、なぜこういう変化が起こったのか、事情がわかれば教えていただきたいと思います。機械化、装備率が高くなって、人の数が減ったのかなとも判断をしますが、そこいら辺りがわかっていれば教えていただきたいというのが1つです。
 もう1つ、介護(補償)給付の関係についての意見です。こういうふうに挙げていただくのはいいのですが、趣旨の(2)の2行目にありますように、「重度被災労働者の実態に配慮する」というのは、あまりにも労働災害、被災者に対する冒涜ではないか。私は最低でも「実態を考慮する」ということにしないと、配慮をしてやったというふうに、語感は受けますが、これは使用者側が労災保険は積み立てておられるわけですので、被災労働者の介護をする者に配慮をするという言葉が適切かどうか。私はこれは適正を欠いているのではないかと思いますので、できれば訂正をしていただきたいという意見です。

○会 長
 わかりました。まず労務比率の問題です。

○事務局
 1点目の労務比率につきましては、私どもで実態調査を行いまして、その結果に基づいてこういう案をお出ししているということです。今回の調査結果によりますと、水力発電、ずい道新設事業、それから既設建築物設備工事の2つについて、現行の労務比率と調査結果が乖離していて、今回、改定をしたいということです。その原因につきまして詳しい分析をしていませんので、お答えしかねるところですが、既設建築物設備工事業につきましては、過去はもう少し低い率でして、調査結果によりますと、傾向的には上がってきている。これだけが特異な感じがします。それ以外については傾向的に労務比率は下がってきているような状況です。全体的には20%に近い所にきているという感じがしています。以上です。

○会 長
 もう1つ、介護(補償)給付の趣旨説明の表現の問題です。

○委 員
 はい。

○会 長
 これはご意見だと思いますが、「実態に配慮し」というのを「考慮」という表現のほうがいいのではないかというお話ですが、委員の方、もしご異論がなければ「実態を考慮し」としたいと思いますが、よろしいですか。

○委 員
 私はこのままでいいと思います。「配慮」ということは、まさにその実態について配慮をするということであって、その実態に沿って引き上げるということを言っているわけではないという意味合いを含めて、「配慮」と言っているのです。
 単に「実態」についてだけ考えて引き上げるのではなくて、ほかの制度との均衡も考慮のことと、実態についてもと、こういうことを言っているので、私はこのままでいいのかなと思っているのです。
 また、今回の改定をされる10万7,100円等についても、被爆者援護措置法に基づくところの改定額とピッタリ一致した形で引き上げられているわけでして、現実にいろいろな形で在宅の方々の生活の実態と言いますか、介護費用について調査はしているのだろうと思いますが、その調査結果だけをもって、引上げ幅を決めたということではないと思いますので、私は原案でいいのかなと考えます。

○会 長
 では、もう少しご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○委 員
 ほかの制度との均衡というものは前段に入っているわけですし、「実態に配慮する」というのは、どちらかというと、厳しい実態を汲んで、これはお手盛りをしてやるというふうにこれは読めますよ。もともと労災保険とこうしたものの補償というのは、経営の責任で被災をした人が在宅で介護を受けることについて、その介護をする者の実態等もやはり考慮しないといけないのではないか。配慮ではいかにも施してやったというように、これは読めますよ。そんなに労災保険というのは高くないでしょう。やはり被災者のことを第一に考えてやる。あるいはその家族のことを第一に考慮して考えておくということが、私は適切な表現だと思います。

○委 員
 介護(補償)給付のアップ率は、被爆者援護措置法のアップ率と全く同じということでしょうか。それが1点質問なのです。
 確かに他制度とのバランスというのはあるのですが、介護の重要性を考えたら、特に労働をしていて災害なり病気なりになったというのは、通常の業務外の病気とか、要介護の状況と違うと思うのです。労働に関連をしているという意味ではですね。ですから、労災のほうで先駆けて少しアップ率を、実態を考えて高くするということがあってもいいわけですので、ここはアップ率が全く同じというのであれば、その前の「均衡」ということだけで言葉として、趣旨としてはいいのかもしれませんが、ほかに考慮をしているのであれば、私はむしろ在宅で介護を受ける重度被災労働者の実態を考慮し、かつ他制度との均衡も考えてということで、それを前に持ってきたほうが労災保険の引上げの趣旨としてはいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○委 員
 この介護(補償)給付については、前回の改正のときに、初めて法定給付になった給付でして、労働基準法上の災害補償とは全く関係のない給付なわけです。
 確かにほかの制度として、原爆措置法に基づく介護手当がありますが、一般国民についての介護手当というのは、いま国の制度としては無いし、新たに成立した介護保険法においても、そういう制度は全く無いのです。これは、いわば現金給付として、家族の人たちが大変であるということをもって現金給付を、常時介護と、随時介護の方々について出そうというものです。実際にこれは在宅のものですが、ケアプラザのほうにお入りになるという方々もおられますし、ホームヘルプサービスを受けるという方々も、労災の被災者の方々の中にはおられるわけですので、労災のほうを先行的に引き上げていけばいいのだという論理で、引き上げていくというのは、私はいかがであろうかと思います。

○事務局
 まず他制度との均衡ということで、被爆者援護法に基づく介護手当との関係なのですが、今回の改正につきましては、全く同額です。

○委 員
 いまの話ですと、これは他に先駆けて労災保険の中で、介護の給付制度を導入したということで、いま制度導入の趣旨は、まさに労災被災者に対する配慮から生まれたものであって、あくまでも「配慮」ということを明確にしておく必要があるやの発言に聞こえたのですが、そういうふうに判断をされているのか、そして、また、ほかの委員は。私は今回始めてまいりましたので、導入の経緯は知りませんが、本当にそういう趣旨のものなのかどうか。これは非常に重要な問題ですから、もう少し議論を是非。従来からおられる委員なり、事務局の方たちが制度導入の趣旨について、どういうふうに議論をして、これを設けたのか正確に、明らかにしていただきたいと思います。

○会 長
 考慮と配慮というのは、どういう違いがあるのか、ないのかということは、1つは言葉の遣い方というか、国語学の問題でもあると思います。ですから、ここで考慮より配慮のほうがずうっと重いのだということは、私は必ずしも言えないと思います。
 ただ、この制度でご認識いただきたいのは、まず障害(補償)給付があって、その上にプラスアルファーをして、一定の人についてだけですが、介護(補償)給付が行われるわけです。労働基準法には、こういう制度がない。いずれ介護保険法が施行されますと、介護保険法との関係でもまた、調整の問題が出てくると思います。そういうことで、私もこの介護(補償)給付の制度を議論をするときに、委員の1人としていましたが、そういう観点からの議論というのは、あまりなかったような気がします。
 先ほど言いましたように、「配慮」「考慮」でもそんなに違いがないと、私自身は思っているものですから、もし皆さんの多数が「考慮」がよろしいということであれば、それでも結構だと思います。少なくともこの制度の導入の時の議論に遡っても、あまり意味がないと私は思っていますが、いかがでしょうか。

○委 員
 私は国語的な、正確な意味はわかりませんが、私どもが一般的に使うのは「配慮」というのは、強い者が弱い者に心配りをするというときに「配慮」という言葉を一般的には使います。「考慮」と「配慮」とは、日常生活上、こういう言葉、表現をすることについては、非常に大きな違いが、特に労働災害等で被災をされて、介護を必要とされている方たちが見た場合に「俺は配慮されているのだ」と、こういう非常に厳しい、寂しい思いをさせるということに、私はつながると思いますので、是非こだわりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○委 員
 私は役所でこういうことを書いている。法律の案文と違って、そういう厳密な審査を経ていない文章だろうと思うのです。私はそこまで厳密には、もし私が過去の経験に基づいてこういう作文をするときに、考慮と配慮の区別をそんなにはしていない。そういう意味では会長が言われるように考慮と配慮について、実質的に差を検討した上でこの言葉を使ったようには思えないのですが、確かに配慮という言葉には、考えてみれば気の毒な人に恩恵を及ぼす、というような語感があるような感じがしますし、考慮はその意味ではニュートラルです。そんなに違わないのでしたら使用者側の委員がどうお考えになっているかはわかりませんが、考慮という言葉を使われてかまわないのではないかと思います。

○委 員
 この介護(補償)給付が制定されるときのバックグラウンドの説明としては、かつては労災事故の福祉事業として恩恵的に介護手当というのが出ていたのですが、制度化するということになりますと、それは恩恵的なものではなく、制度の中に組み込まれたものとなるということになりますし、それは、ひいては、いわば権利性というものを明確にしたということも言えるかもしれません。そこに遡ることでいま議論をする気はありませんが、私も何か「考慮」のほうがいいような気がします。それは国語の問題ですから、趣旨から言うと「考慮」のほうが適切なのかなという気が、いま聞いていてしました。

○事務局
 こういった介護をされる被災労働者の実情を、十分念頭に置いて、こういった制度化をし、また額の改定に当たっても、そういうことを十分念頭に置いて私ども対応していることは事実ですので、念頭に置いている状態を「配慮して」という言葉が現れるか、これは我々、十分に吟味して、非常に重く見ているという気持が現れるような表現で、次回以降ですね。これ自体は1つの資料として提出してありますので、これ自体が効果をもったり、一人歩きをする文章ではありませんので、それに応じて直すなり、次回以降も十分そこに気をつけた文章にいたしたいと思っています。

○会 長
 委員いかがですか。

○委 員
 結構です。ただ、先ほどのご指摘がこの文章を直せというふうなご指摘で、会長もそんなふうな仕切りだったので、私としてはここの「配慮」をいまここで「考慮」にするということについては、いかがかと、こういう趣旨で発言をさせていただきました。事務局の言われるように、これは事務局が作ったペーパーで、趣旨を書いているわけですので、いま委員が言われたような趣旨を踏まえてより適切な表現があれば、次回からはそういうふうにしていただけるとすれば、それは私は結構です。

○会 長
 いま事務局からも発言がありましたが、これは法律の条文でもなんでもない、説明書きですから、この文章はそのままにして。ただ、こういうことについては、今後事務局のほうでも、用語法等に気をつけてやっていくということでよろしいですか。ご不満の方もおられると思いますが恐縮ですがそういうことでお願いいたします。どうもありがとうございました。そのほか、いまの2つの諮問案件につきましてご意見等がありませんか。

○委 員
 若干、質問と、若干、意見めいたものがあるのですが、保険料率の改定は長期の保険財政見通しを踏まえてやるというのは、当然なことなのですが、参考の1の所の注の所で、積立金、5の所でスライド率を年2%、金利、年3%ということで推計をしているのですが、スライド率というのは、これからの賃金上昇で、約20年間にわたってどうなるかということになるのですが、我が国の経済構造、財政構造、その他諸々を考えてみると、要するに賃金水準が毎年実質2%ずつ上がっていけるのかどうかと思えるのですが、この辺はどういう根拠で2%という数字をお使いになったのかというのが1点です。金利、年3%としてありますが、これは4の所の預託金利と同じことになるのだと思います。財投をどうするか、全額預託義務をどうするかという問題が政府でも自民党でも、いろいろ言われている中で、いま預託金利は2%そこそこなわけです。過去の分があるから若干高いのかもしれないのですが、とても前から使っているような5.5%なんていうのは使えないでしょうけれども、3ということの根拠と、最近における平均預託金利は、どの辺になっているのかどうかというのを教えていただきたいと思います。
 戻りまして1頁目の所に、災害料率が、現行が1,000分の7.3ということですが、この災害料率というのは、業務上によるものと、それから通勤災害によるものと2つに分かれるのだと思いますが、通勤災害が1で、業務上が6.3だと思いますが、改定案についての内訳はどういうふうになっているのか教えていただきたいと思います。
 さらに、今回料率は「業種を2分割してそれぞれ料率を定める」というものがあります。この資料によりますと、「災害率とか災害の種類とか作業実態が異なっているので分離した」ということでしょうが、ここの、従来、その他の窯業または土石製品製造業と言われていたもの以外の業種で、災害率だとか、あるいは災害の種類だとか、作業実態が異なっているようなものが、ほかの所にはないのかどうなのか。
 だいぶ前の時点なんですが、私らとしては、「実態に合わせて分割をしたらどうだ」ということを言っていたのですが、「そんなもの、ありませんよ」ということで、いったのが実態だったのですが、今回、初めてこういう形で「分割」というのが出てきたわけですが、ほかの所にないのかどうなのか。
 それから適用労働者数は、従来の、その他の窯業または土石製品製造業の適用事業所数と、今回分けた場合の、その他の窯業または土石製品製造業とコンクリート製造業と、どういうふうに適用労働者は分かれるのか。ほかの業種では、それよりも人数の低い所は多分ないだろうと思うのです。
 それから石炭については我々前から「統合したらどうか」と申し上げてきたと思いますが、今回初めて統合されたことは、いろんな問題があったのでしょうか大変結構なことだと思います。
 もう1つ、第三種特別加入保険料率が1,000分の1引き下げられるのですが、この加入者数は、今どのぐらい増えてきているのかどうかについて教えていだきたいと思います。

○会 長
 保険料率の改定に関連しまして幾つかご質問をいただきましたので、事務局、よろしくお願いします。

○事務局
 まず長期推計のスライド率ですが、長期推計は2%と置いております。これについては、私どもの『毎月勤労統計調査』、これの1人当たりの決まって支給する給与があります。実際のスライド率の基になっているものです。これについて6年度から8年度までの3年間、大体1.7%、2%近い伸びでして、一応今後も、将来については不透明ですが、この6年度から8年度までの平均の伸びが今後も続くものとして長期推計をしております。
 また、「将来は賃金額が伸びるかどうか分からない」というご指摘がありました。これもまた3年後といいますか、随時見直しを行う予定です。また3年後につきましても、賃金スライド率も、その時点に合ったスライド率を使っていくということにしたいと思っています。
 次に預託金利3%ということですが、これは現在の資金運用部の預託金利、直近は2%台となっておりますが、大体2.9から2.7とか、そんな数字です。
 直近ですと2.3ぐらいまで下がった時期もありますが、今月ですか2.5くらいに上がってきたかと思います。そんなことで日によりましてだいぶ変わっておりますので、そういったことも考慮しまして、一応3%と確定しております。これについても将来再推計する時はまた見直してまいりたいと思っております。
 それから現在預託している積立金、8年度末で5兆6,000億円ほどありますが、これにつきましての平均の率というお尋ねかと思いますけれども。これについてはいろいろ計算方法があるようですが、現在預託している積立金の利率を単純に平均しますと4.18%ほどになっています。これは単純に平均したものですので、平均利回りという観点で計算しますと、平成8年度の運用利回りで見ますと、これも計算方法は年度末の積立金で利子収入を割るのか、それとも、それぞれの年度末の平均、中間で見るのかというようなことで変わってくるかと思いますが、、年度中央で見るということで見ますと、平成8年度は4.7%ほどの運用利回り。前年度末で見れば5.0ぐらいということです。
 次は1頁目の構成要素の災害料率分のお尋ねですが、現行の1,000分の7.3が1,000分の6.9という改定案です。これについては通勤災害分を1厘ということで計算しております。改定案についても、純粋の災害分が1,000分の5.9、通勤災害が1,000分の1、これを足しまして1,000分の6.9と計算しております。
 それから業種分類ですが、今回コンクリート製造業を分離独立させるということで行っております。これ以外の業種、特にその他の何とかというような所です。
 こういった所についても、その細目について災害率、災害の種類、作業形態というものを分析しましたところ、適用労働者数が特に少ないものを除いては、特に今回分離独立させるものに該当するものはなかったということで、今回コンクリート製造業のみを分離独立させるということです。このコンクリート製造業の適用労働者数と適用事業所数は、事業所数は9,000事業、適用労働者数は13万人ほどで、保険数字に対象となる保険集団という観点から見れば、相当の数ではないかと考えております。次に第三種海外派遣者の適用労働者についてご説明いたします。

○事務局
 第三種の海外保険の管理者ですが、平成8年度末の数字で8万6,921人となっております。

○委 員
 ありがとうございました。通災ですが、通災はずっと1厘ということでやってきているのでしょうが、何か感覚的には、そこまでいっていないのではないかなというような見方を私らはしているのです。今回は今回なんでしょうが、少し将来的に通災を1,000分の1ということでずっと固定しておいていいのかどうなのか。通勤災害の実態に照らして、是非、ご検討いただきたいということを要望しておきたいと思います。

○会 長
 蛇足ですが、通勤災害の立法をする時に実態調査をしました。かなり綿密な実態調査をやったのですが、その時は1,000分の1強ぐらいに多分なったんだろうと思います。ところが、ご案内のとおり通勤災害の多くは交通事故なものですから、自賠責とか、そっちのほうに回って、そこで足りることになりますと労働者も通勤災害の届けをしないのです。そういうことがあって労働省としても、なかなか実態がつかめないという状況かと思いますが、いずれにしても、事務局のほうでご配慮を願いたいと思います。その点よろしゅうございましょうか。
 そのほか何か、ご質問、ご意見はございませんでしょうか。労災保険率等の改 定、介護(補償)給付、葬祭料の改定について、よろしゅうございましょうか。

(異議なしの声あり)

○会 長
 それでは、諮問案どおり、ご意見をいただいたということに致します。これは諮問案件ですので大臣に対して答申することになるわけですが、答申の文案につきましては、従来通り会長の私にご一任をお願いしたいと思います。

(異議なしの声あり)

○会 長
 ありがとうございました。
 次に報告案件に移ります。まず、「平成10年度労働保険特別会計労災勘定予算(案)」の概要について、事務局からご説明をお願いします。

○事務局
 資料bUに沿いまして平成10年度の労災勘定予算(案)について概要を説明させていただきます。
 まず1頁です。歳入予算額は、総額で10年度は2兆0,498億強です。これは料率の改定等がありました結果、95.2%ということになっております。
 歳出予算額は1兆3,929億強です。これについてもいろいろと支出の見直しをした結果、対前年度比では95.7%となっております。
 2頁目からは多少詳しく説明をさせていただきます。まず歳入についてです。
 「他勘定より受入」の中の大半を占めますのは保険料収入で、これが来年度は1兆5,284億です。先ほど申し上げましたように、料率改定だけを取り出しますと853億の減ですが、これに賃金総額の増という要素が加わりますので、その結果、保険料収入として見た場合は770億の減ということです。
 「一般会計より受入」は、前年度と同様13億700万円です。これは労災保険事業に対する国庫補助です。
 「未経過保険料受入」は521億ほどありますが、これは有期事業、特に建設事業です。これについては、年度をまたがって実施される場合には、前年度において保険料を一括して徴収する関係から、翌年度に係わる保険料というものを計算して、翌年度の歳入として受け入れるということをしておりますが、その額です。
 4番目は「支払備金受入」で2,025億強あります。これも前年度、特に1月から3月の間において労働災害に遭った労働者に対して支払うべき給付見込み額です。これも実際に給付をする時点が翌年度にかかりますので、短期給付、長期給付、それぞれ一定の割合を掛けまして翌年度の歳入として給付見込み額を計上しています。
 「雑収入」は2,646億ありますが、このうちの大きいものは積立金の預託金利収入です。10年度においては2,354億ということで運用利回りの経過を反映して若干の減となっております。
 次は3頁の歳出の「給付費」です。保険給付費については総額で9,021億あります。短期、長期に分けますと、短期給付は若干の減で5,169億です。長期給付は若干の増で3,851億となっております。長期給付に係わります年金受給者については、21万6,000人から21万8,000人と2,000人の増となっております。なお、特別支給金については1,515億で若干の減となっております。
 「業務取扱費」は580億ほどあります。これは労災保険事業に必要な人件費、事務費です。この中で政策的なものとしては、労災保険給付の迅速、適正な処理をするための体制整備を含めて予算を計上いたしています。
 「労働福祉事業費」は1,363億です。主なものは労働福祉事業団に対する交付金、あるいは労災就学援護費等です。
 4番目の「労働福祉事業団出資」は292億です。労災病院の施設整備、増改築に伴う予算で51億の減となっております。
 「他勘定へ繰入」は976億です。これは保険料返還金等です。
 最後の「予備費」は180億です。これは最近ほとんど使用されていないという実態を考慮しまして320億の減としたところです。以上が歳出の主要項目です。
 続きまして4頁から労働福祉事業に係わります予算を多少詳しく説明したいと思います。労働福祉事業には4つの柱があり、その1つは「社会復帰促進事業」で、トータルでは488億ということで82億の減となっております。このうちの1番目の補装具、アフターケア等の関係費については54億強ですが、そこには、特に義肢等支給制度の拡充ということで18億から26億へ増としております。 現在義肢等の補装具については制度の充実を詰めてきておりますが、来年度についても、従来対象となっていなかった症状固定の障害年金受給者にも新たに支給する。また、新たに電動のギャッチベッド、あるいは電動リフト式の電動車椅子、そういったものも対象として加えております。
 2番目は「被災労働者社会復帰経費」です。これは振動障害者に対する特別の対策です。3番目は「労働福祉事業団への出資金・交付金」です。労働福祉事業団に対する出資金・交付金については、実はこの社会復帰促進事業以外にも幾つかの事項にまたがっておりますが、ここに掲げたものが主要なものです。先ほど申し上げましたように、出資金については339億が291億となっております。
 交付金については、これは主に本部の運営経費等です。これも127億から、108億へ見直しを行っております。
 4番目は「障害者職業能力開発校」の関係です。これは全国に12カ所あります障害者のための職業能力開発校の施設整備について例年予算を計上しておりますが、来年度は大型のものがないということから減となっています。
 Uは「被災労働者等援護事業」です。トータルでは379億ということで若干の増となっています。「労災就学等援護経費」は若干の増となっておりますが、これは今般、単価の引上げを行っております。備考欄にありますが、まず労災就学援護経費ですが、これは遺族年金あるいは重度の障害年金の受給者の方につきまして、その子弟の就学を支援するための給付です。今回、月額単価を小学生から大学生まで、それぞれ引上げをしております。これは日本育英会奨学金の改定に併せて改定をしております。支給対象者については若干の減を見込んでおります。
 次の「労災就労保育援護経費」ですが、これも就学援護経費と同様の単価引上げを今回いたしております。
 次は5頁の「高齢被災労働者等援護経費」です。149億ということで4億強の増となっております。これは労災年金受給者に対する相談体制整備費ということで労災ケアサポート事業というものを実施しております。これは労災年金福祉協会という財団法人に委託をし、介護に係わります専門的な相談援助を行う事業ですが、今回、若干の増といたしております。
 その次は「労災特別介護施設の設置運営経費」で、これも増となっております。
 これは昨年熊本へ視察に行かれた委員の皆さまにケアプラザをご覧いただいたと思いますが、そのケアプラザ関係の予算です。まず(1)は、既設のものとしてすでに4カ所にありますが、その4カ所のケアプラザに対する運営委託費で、これが29億強です。委託先は労災ケアセンターです。
 (2)は「新たなケアプラザの設置費」です。これが51億強あります。6次施設ということになっておりますが、6次施設が広島の呉、7次施設が宮城の富谷町、仙台市のすぐ近くです。8次施設が愛媛の新居浜市で、それぞれ来年度は建設費を予定しております。
 (3)は、在宅の重度被災労働者に対しましてケアプラザを活用した介護サービスをいろいろと提供いたしておりますが、そのための予算も、ちょっと順番が前後いたしますが(1)の運営委託費の中に計上いたしております。
 次は「在宅介護の支援経費」で、28億ということで若干の減となっております。これもケアセンターに委託をして、まず(2)の「労災ホームヘルプサービス事業」ということで、ホームヘルパーの派遣をここで行っております。また(3)ということで「介護機器のレンタル事業」、例えば車椅子とか、介助用のリフト、そういったもののレンタル事業も併せて行っています。予算は、そこにあるとおりです。
 最後に「今後の施設介護の在り方等に関する検討経費」ということで600万円ほど計上しておりますが、ケアプラザについては、先ほど申し上げましたように、すでに第1次から第4次施設まではオープンしております。また、第5次施設以降についても第8次施設までは、それぞれ建設をすでに着工する段階にきております。一応ブロックごとに整備するという段階はこれで終わるわけですが、今後、この施設介護、あるいは在宅介護について、どういう方策が必要か、適切かということについて、これから専門家の方にお集まりいただいてご議論をお願いしたいと思っておりまして、そのための予算です。
 次は6頁の「労災診療費の貸付事業に対する補助金」です。194億ということで若干の減です。まず労災診療費については、最終的には地方の労働基準局においてチェックをするということになっておりますが、それに先だちまして財団法人労災保険情報センターという所でレセプトの事前点検を行っております。そのための予算が、そこにあります(1)「審査事務の委託費」で、51億強です。
 2番目は「労災診療被災労働者援護事業・補助事業」です。労災の場合は、いわゆる業務上外の認定ということがありまして、病院等から請求された場合に支払まで若干の期間を要します。その間、無利子で診療費相当を貸し付けるという事業を行っております。その貸付金が128億強あるということです。このお金は、貸付金ですのでいずれ返って来るものです。
 4番目は「労働福祉事業団の出資金・交付金」です。ここにありますのは、例えば介護用の住宅改造資金の貸付等に充てるための予算です。
 Vは「安全衛生確保事業」です。これが605億強ということで若干の減となっています。まず1番目が「労働災害防止対策推進費」です。この中身は地域産業保健センターの整備というのがありまして22億計上しています。地域産業保健センターというのは、主に郡市医師会を対象として地域における産業保健活動の拠点として整備を行ってきております。現在、すでに全国で347カ所の整備は終わっております。来年度については、この地域センターを活用いたしまして、例えば新たに週末夜間の相談窓口の開設、あるいはメンタルヘルスに関する相談窓口の拡充、こういったものを実施することといたしております。
 次は「安全衛生施設整備費」です。現在、田町に安全衛生総合センターというものを建設中ですが、そのための予算として46億強です。
 3番目として「労働時間対策費」。これは労働時間短縮促進援助等の事業経費で206億から124億ということで大幅な減となっています。これについては、週40時間制の定着のために計上しているわけですが、本年度は、それまでありました、いわゆる時短奨励金の経過措置に係わるものが相当多額になっておりましたが、来年度はそれがなくなりますので、このように減となっているわけです。
 次の(2)は「中小企業集団に対する労働時間の短縮事業の委託費」で、1億強です。
 その次の2は「労働災害防止団体の補助金」で96億強です。これは中災防をはじめとして業種別の災防団体がありますが、これに対していろんな補助を行う事業です。労働災害防止対策費、あるいは健康確保事業の助成事業、さらに中小企業の安全衛生活動の促進のための助成事業といったいろいろの事業を実施しております。
 3番目は「産業医学振興経費」です。これも114億ということで8億強の減となっております。これは北九州にあります、いわゆる産医大、あるいは病院の運営費です。
 7頁は「労働福祉事業団の出資金・交付金」ということで、ここにも事業団関係の予算があります。ここにありますのは、各労災病院にあります健康診断センターの機器整備の予算、あるいは産業保健推進センターの予算を中心に計上しています。産業保健推進センターというのは、各県ごとに労働福祉事業団の施設として、それぞれの地域における産業医の活動を支援するための拠点としていま整備を進めておりますが、来年度、新たに5カ所を予定しております。これが認められますと、合計で29カ所、29県に設置する運びとなります。
 最後のは「労働条件確保事業」です。これもトータルでは182億ということで10億ほどの増となっております。まず「未払賃金の立替払い事業」です。これについては上限額の改定を行っております。そこにあるように年齢によりまして一部引上げを行っております。また、昨今の倒産の多発といった事態を受けまして、予算額については90億強を計上いたしております。
 2番目は「勤労者財産形成促進事業」に係わる予算で、14億強ということで若干の減といたしております。
 さらに3番目、「中小企業退職金共済助成費」は、77億ということで若干の増となっております。この内訳として中小企業の退職金共済に対する掛金助成、加入促進のための掛金助成、それから総合的短時間労働者対策推進費、いわゆるパートタイム対策もこの中で実施しています。
 さらに、「労働条件に係る紛争の解決に資する相談・支援事業」として5億強の予算を予定しております。これは、すでに国会に提出しました労働基準法の改正に伴う予算で、労働条件に係る個別紛争の解決に資するために監督署に労働条件相談コーナーを整備する。拡充ということですが予定をしており、そのための予算です。
 次は8頁の「労災保険の経済概況」です。この中では、特にご覧いただきたいのは、最後のほうの2、3行です。決算上の収支過不足あるいは積立金です。平成9年度をご覧いただきますと、決算上の収支としては、これはあくまでも見積りですが4,945億ほどの黒字となっております。また、積立金については、9年度末では6兆971億を見込んでおります。以上です。

○会 長
 長時間ありがとうございました。ただいま平成10年度労働保険特別会計労災勘定予算概要について、ご説明いただきました。ご意見、ご質問、お願いします。

○委 員
 細かいことで恐縮なんですが、6頁の所で労働時間対策費が出ております。
 120億ぐらい減るということなのですが、これは10年度の話ですけれども、11年度は、経過措置の金額を除いては、ほとんどゼロになるのかどうか。時短促進法は延長になっていましたので、いつまでなっていたのか今すぐには思い出せないのですが、11年度はどういうふうになるのか、教えていただきたいと思います。

○事務局
 その質問に対するお答えは、お時間いただけますか、担当を呼んでまいりますので。

○会 長
 その回答は後からにさせていただきたいと思います。
 委員、次のご質問お願いします。

○委 員
 質問というか意見めいたものになるのですけれども、先ほど説明をいただいた5頁の所で、労災特別介護施設を8次まで建設をしていくという予定になっています。
 私の所にある事業主から、「本当にこういう施設が四国に必要なのかな」というお話がありました。要するに、現在でも4カ所オープンしているけれども、1カ所を除いては相当空いている。呉に出来る予定の所に挟んだ向こう側に造って、結局、他と同じように空施設部分が多いというような状況になるのではないのかね、労災の金はもっと効率的に使うべきではないのかな、こんな意見みたいなのが届いているのです。施設をどこに建設するかというときには、それなりの政策判断をされているのだと思うのです。私らは、全く相談をあずかっておりません。
 予算なりの時に決まってくるという話なんですが、もっと効率的な費用の側面でいろいろ考えていったほうがいい面があるのかな、という点が1つです。これは聞きおいていただくだけで結構なんですけれども。
 もう1つは、同じ事業主が私に対して、こういう問題提起をしております。被災労働者が休業した時、いわば休業補償ですね。休業に関する給付がなされるのですが、その給付が全収の120%出ると、そういう制度というのはおかしいのではないかという指摘がございました。常識的に私も、そんなことはあり得ないことで。通常であれば法定給付の60%と、特別支給金として20%ということで80%が最高限ということになるのです。
 よくよく調べて見ると、最低賃金額しかもらっていない人については最低補償額がありますので、と思って、そのことかと思っていたのですが実はそうではなくて、自賠のほうから100%出ると。その100%とは別に特別支給金が20%出るので、要するに税金のかからない給付が120%出る。それぞれの給付の法的な性格からして、いろいろな議論はあるとは思うのですが、どうもそこのところが。
 私自身も理屈の上では、特別支給金は法律で義務付けられたものではない、労働福祉事業としてのものであるとかという面はあるのかなと思うのですが、どうも感覚的に、常識的に見ると、合わせると従来の賃金を上回る給付があるので、何かの時に是非、検討をしていただきたいと思っているのです。
 もう1つは、7頁の最後の所に「労働条件紛争解決の相談支援事業」ということなのですが、5億円ということで、これは平年度ベースだと、もっと増えるのかなと思ったりもするのです。そこはちょっと分かりませんが。個別紛争について監督権限を司法警察権を持っている所が労働条件の紛争の解決に乗り出して、局長が助言指導をすると。その局長というのは、司法警察権まで持っている局長なわけですね。確かに個別労使紛争というのが増えているとか、労政事務所などの実態を見ても、そういう実態があるわけだし、基準局なり、あるいは監督署に対する相談の件数も増えていると思うのですけれども、やり方として監督権限を背景に一方の援助の申し出で始まることになっているのですね。そうすると、通常は労働者のほうが援助の要請をするということですから。そうすると、向けられる助言、援助というのが事業主側に向けられるケースが多かったりするのだろうと思うのです。そういうものを、労災は事業主が100%負担しているものを原資として、こういう手法をとるということについては、なかなか理解がしにくいところなんです。
 先ほどのご説明の中で監督署に相談コーナーを作るということなのですが、基準局に担当の人を置いたりもするということで、その人は、基準局の監督下に置くというふうに聞いているのですが、なかなか難しい仕組みで、労働条件に関する紛争で勤務評定、人事考課がおかしいことによって賃金の差別がありますよ、というような紛争が持ち込まれた時に、それに基づいて局長の指導なり、助言をなされるについては、非常に難しい問題をはらんでいるような気がするのです。
 どうして労災の金を使わなければいけないのか、その辺を伺えれば。違法ではないとは思っているのですが、違法でないから使ってもいいというものでもないのかな、と思ったりするのです。

○事務局
 順次お答えいたします。
 まず初めの時短関係でございますが、ここにあります時短のための援助事業については、今のところ平成10年度で終わりということです。
 それからケアプラザの問題ですが、ケアプラザは今4カ所動いておりますが、このうち2カ所、千葉の四街道、愛知の瀬戸のケアプラザについては、いずれも満床です。熊本の宇土、北海道の岩見沢については、まだ7割ほどですが、これは設置して間もないということ、それから施設介護の緊要度というものを勘案して入居を認めてきておりますので、そういうことも関係があろうかと思います。

○会 長
 条件が厳しいということですか。

○事務局
 はい、ある程度ハードルを高くしております。実質的にこのケアプラザに入居されますと終身になることも多いわけですので、そういう点も考慮して判断をしております。
 それから新居浜についてのご指摘ですが、私どもとしては、やはり、このケアプラザは各ブロックごとに、まずモデル的に造っていきまして、その様子を見ながら、今後さらに必要があれば展開していくというスタンスで今まで考えております。四国ブロックについても、その地域の重度被災労働者の状況を十分勘案して、ニーズはあるということで建設着工をしているものです。
 自賠責との関係で特別支給金を合わせると賃金よりも高くなるということについてのご指摘ですが、これについては特別支給金についての性格論があります。現在、特別支給金は労働福祉事業として実施されておりますので、保険給付のような強い権利性を持ったものではなく、あくまでも援護金、あるいは見舞金的なものと考えております。したがいまして、特別支給金と自賠責保険によって得た額との調整は、性格が異なるということから現在のところ調整はいたしておりません。
 なお、この点については最高裁判決、平成8年2月ですが、これにおきましても特別支給金と民事損害賠償額との調整は認めていないところです。私からは以上です。

○事務局
 7頁の3の所、労働条件に係る紛争の解決に資する相談支援事業ですが、この事業については、実は全国の労働基準監督署に労働条件に係わるトラブルというのが、基準法違反ということで年間2万件くらい出ております。これについては、ご指摘があったように、監督権限というものを持って是正、指導等をやっているわけですが、そういったトラブルとは別に、全国で7万件ほど監督署のほうにトラブルとして相談が来ております。
 これは基準法違反ではないけれども、労働条件に係わるということで、主に、例えば不当に解雇をされたとか、賃金などの労働条件が一方的に切り下げられたというような相談でして、これは、最後は裁判所の民事ということで情報提供などしていま対応しているわけです。
 どうも労使の間の紛争というのは、そういったものが輻輳してきておりますので、やはり両方解決できないと真の労使の間のトラブル解決にはならないということで、正面からそういったものについても、できる範囲でトラブル解決のための援助をしようという趣旨です。
 したがって、今度のシステムでも援助、指導ということで、そういった監督権限とは切り離した世界でやっていこうということです。相談事業ということで挙げているわけです。そういう意味ですので、最終的には、お互いに納得ができる範囲で。実はトラブルというのも非常にプリミティブなトラブルからはじまりまして、相当複雑なものもありますが、非常にプリミティブなトラブルというのは、お互いよく話をしてみると、かなり解決できるというようなものもあります。そういったものについては、相当効果が期待できるのではないかと思っております。
 ここで考えておりますのは、そういったようなものであり、本当に、非常に複雑にこじれたような話になりますと。これは裁判でやっていただくしかないということで、この相談事業では処理できるものを迅速に処理しようということで、1カ月ないし3カ月程度で解決ができるようなものについてやっていこう、ということです。そういう意味では、非常に強い権限でゴリゴリとやっていくというものではないということです。
 また、内容についても、先ほど申し上げましたようなものが多うございます。
 人事考課等については、これはちょっと、相談ではなかなかし難い、受け難いのではないかと。お話を聞いて問題を整理することはできるにしても、それを一定の基準、水準を示して、具体的に方向性を示すということは難しいのではないかと思っております。
 これについては非常にたくさんの労使トラブルがあるものですから、こういったものを、いわば、そういう相談レベルで解決を労使で自主的にしていただこうと、そして、その援助をしようということですので、豊かな勤労者生活の実現だとか、労働条件の適正な確保に資するということで、労災保険の労働福祉事業として適しているのではないかということで、労災保険からの負担をお願いしたということです。

○会 長
 一応ご説明をいただきましたが、これはなかなかご納得がいかないのではないかと思いますけれども。

○委 員
 特別支給金の問題は最高裁で判断が出ていると言っても、それは民事損害賠償と支給金との関係を言っているわけでして、私が申し上げているのは、要するに100%を超えてまで、法定の給付ではないとしても出す必要があるのか。民賠との関係を言っているのではなくて、そういう観点なので、どこかの時に、また、是非ご検討いただきたいと思っています。
 それから、いま最後にお話しいただきましたが、紛争解決が自主的解決ではないのですね。基準局長が助言、指導を行うことができる、ということになっているわけですから。しかも、この基準法改正案を見ても、ほかの部分でも助言、指導の規定が入っている所もあるわけです。やはり、それだけの権限を持っている人が、多分、通常は事業主に対してなんでしょうけれども、助言、指導と。その助言、指導をいただいたことが事業主だけにとどまらずに、援助を申し入れた労働者にも伝わるということになると、その方は、そういうものが出たよということで、それによっての、いわば履行を迫るみたいな、そういうことが出てきはしないのか。非常にこのシステムは慎重なやり方が必要だと思う。本来、どうするかという問題は、基本的に検討しなければならない問題だと思うのです。当面の措置として、どうするかというようなことが建議の中でも言われていたのだと思うのです。その辺、当面の措置と言ったのが、基準法の本則で今回改正されるということで改正案が国会に出ているのですけれども。
 でも、労災の金を使うことについては、さっきもお答えいただいたのですが、しっくりいかないですね。

○会 長
 確かに、本来の筋ではないのですね。個別紛争が非常に増えていて、これについては、その紛争を解決する特別の機関が必要であるということは従来からいろいろな所で言われているわけですが、裁判制度の一元化との関係で、なかなか難しいですね。
 特に法務省は、特別の手続を作るということに消極的であるときいています。
 本当は、そういうのを迅速に解決するような紛争処理機関が、是非、必要なんだと思いますけれども、これがなかなかうまくいかない。それで、こんな所にしわ寄せがきているということなんだと思いますが、ここは労災保険審議会ですので、別の所で大いに議論をしたいと思います。

○事務局
 今の個別紛争処理システムは、基本的には、例えばこういう労働条件の問題だけではなくて、派遣の問題、いろんなことを通じて労働にまつわる問題は広く出て来る可能性があるので、例えば労働委員会も含めて、そういった個別の問題についての紛争処理システムを考えたらどうか、という大きな議論があることが大前提になっていますが、当面やれることということで、こういった形になっていることが1つあります。
 ただ、当面やれることとしてでも、やれることを先に進めてやらなければいけないというふうに思って今回の基準法改正の中に入れていますのは、やはり、日本の経済あるいは産業構造変化の局面にある、新しい産業構造、経済構造に移っていく過程で確実に増えるのは労働移動なり、人の配置なり、そういったものが変わっていく。そこで出て来るのは、やはり人の移動が増えれば、実際に窓口でも増えてきていますが、解雇、あるいは解雇なのか自己退職なのかも分からないような形で職場を離れて来るケース。あるいは、新しく採用されたけれども、その時の示された労働条件と、その後いろんな形で変更されてくるケース。いろんなことについての不利益変更等をめぐる民事上のものは、やっぱり出てくるわけです。これらについて監督署、基準局が、基準法について持っている監督権限とは別に、例えば警察が警察だからといって指導をやらないわけではなくて、相談にもあずかるし指導もやるように。そこは今まで蓄積された判例理論なり、民事法上の理論なりを外部の方の知恵も使って、明らかにこれはおかしいのではないかと分かるものについて助言なり、そういうものをしていくことによって無用の摩擦を長期間放置することのないような状況を作っていくということは、どちらかと言うと、やはり構造転換を進めていくことで、我々はよく「失業なき労働移動」と言っておりますが、同時に労働条件という面から見れば、摩擦なき労働移動でなくてはいけないと思うのです。
 そういうことも、ちゃんと手を加えてスムーズな労働移動なり、いろんなものが実現できるような環境整備をしておかないと。一方で構造を変えていかなくてはいけないという話だけが先行しても、これはうまくいかないだろうと思うのです。
 そういう意味では、マクロの面で捉えれば、経営者側にとってもこういった経済構造、産業構造がスムーズに、摩擦なしに転換されて、時代に合った形に移っていく過程で出るこういう現象に対して環境整備の一環として手を打っていくのだと、そういう意味では労災保険の主事業として、いわば一定の仕組みがあったとしても、これは事業主全体に還元されていく、いわば日本の国民全体の利益につながっている話ではないかと思うのです。

○委 員
 非常に難しいのは法律で整理解雇なら整理解雇についての基準が設けられているとかというのであれば、それはそれなりに法律に基づいた権限行使ということができるのでしょうけれども。いまは解雇権の乱用の理論だとか、不利益変更についての考え方というのは、判例理論で出て来ている問題ですので、実際に助言なり指導をしていただく時に、その辺の判断、裁判官はそれなりの訓練を重ねてきておられるのだろうとは思うのですが、裁判官までの訓練はされていない方々において、専門家といいますか、職場の実情にも明るい人の助言といいますか、そういうのを得る仕組みにはなっているようですが。この辺でやめておきます。

○委 員
 先ほどケアプラザが必要かどうかという疑問が出されたわけですが、これについて簡単に一言だけ申し上げたいのです。事務局がご説明になったように、やはり年齢要件が課せられているのですね。ですから40代とかで被災した場合には、どうしてもということであれば入れる場合もあるのですが、一応60歳以上ですか、年齢要件があるということ。それから、それほど必要ではないのではないかということですが、どういう場所に、どのような規模のどういう設備を持った施設を設置するかということについては、労働省のほうで実態調査をされておりまして、重度の被災労働者の介護人数を都道府県別に把握しており、それで施設介護を希望するか、あるいは在宅を希望するか、あるいは障害の程度とか、何によって被災をしたかとか、そういうことも調べており、それを基に医療と福祉と労働等の専門家が集まりまして、どこにどういうのを造ればいいかというようなことを議論しているということはあります。ですから、一応実態の把握に基づいているということ。
 それから介護(補償)給付が導入される時に議論されましたように、今、やはり高齢化、それから核家族化、女性が労働市場に参加する度合いが強くなっているということで、やはり在宅での家族による介護というのが、すごく困難になってきているわけです。それが1つあること。
 それからILOでも、業務上の病気とか怪我によって被災した者に対しては、十分な対応というような、そういう条約もあるということで介護(補償)給付が導入される時に議論されたのです。同じように、やはり家族介護というのも限界があると思うのです。しかも、それが重度であるという方が、このケアプラザに入ってケアを受けるということの意味は非常に大きいと思います。
 もう1つは、やはりノーマライゼーションの考え方で、重度の障害を持っても家庭とか、住み慣れた地域とかで、できるだけ生活できるようにということがありまして、今は、例えば瀬戸なども私は拝見させていただいたのですが、かなり他府県から、関西のほうとか、中部の他の県とか、むしろ他府県から入っている方のほうが多いわけです。ですから、それがもしその県にあれば、家族に近い所で施設ケアを受けられるということで、家族との交流とかも可能になるということです。現在は4カ所しかないということもありまして、ほかの県から入っている方が非常に多いわけです。その辺を考慮しますと、やはりケアプラザが必要ではないということはない、というふうに思います。

○会 長
 どうもありがとうございました。

○委 員
 私はケアプラザは必要ないと申し上げたつもりはないのです。呉でまだ建設中であるにもかかわらず新居浜に造るという。呉が満杯になるという見込みかもしれないのですが、その点について、ある事業主からの声が出て来ておりますので申し上げているのです。そこのところは、要するに各県に1つずつというふうに、あるいは、できるだけ近い所に設けるということは、ご本人のことから考えれば、それはいいに決まっている話ではあるのですね。それは一般民間の人たちの特別養護老人ホームにしても、できるだけ近い所にあるということが望ましいのですが、なかなかそれが、例えば23区にしたって、なかなか設けられなくて郊外にという実態もあるわけです。
 私自身、全部否定しているのではなくて、もう少し慎重な配慮があってほしいなという声に対して、私も、そういうふうに思うということで発言をさせていただいたわけです。

○会 長
 どうもありがとうございました。それでは、だいぶ時間も経っておりますので、平成10年度の予算概要につきまして、特にご質問、ご意見がなければこれで終わりにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(異議なしの声あり)

○会 長
 それでは次に移らせていただきます。次は「労働時間法制及び労働契約等法制の整備」について、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局
 それでは、「労働時間法制及び労働契約等法制の整備」について説明させていただきます。これは中央労働基準審議会から昨年12月11日に出された建議で、その抜粋です。この中には幾つかの項目があるわけですが、そのうち特に当審議会と関係が今後あろうかというものを説明したいと思います。
 6として、「時間外・休日労働のあり方及び関連事項としての深夜業」という項目があります。この中に、さらに(1)、「長時間時間外労働の実効ある抑制方策について」と。これは時間外労働に関しまして労使協定が適正に締結され実施されるように実効ある指導を行うことが必要であるという立場に立ちまして、労働基準法において、時間外労働協定において延長する労働時間の上限に関する基準を定めることができる、そういう根拠を設定するとともに、使用者がその基準に留意すべきこととする責務や、その基準に関し使用者に対して必要な指導・助言を行うこと、という一連の措置に関する法令上の規定を設けること、ということが盛り込まれております。
 これに対して、それぞれ各側のご意見もあるわけですが、(2)として、男女雇用機会均等法との関連で、いわゆる女子保護規定が解消されることになっているわけですが、いわゆる激変緩和措置として育児・介護休業法の深夜業の制限を請求できる労働者の範囲を基本に、そのうち激変緩和措置の対象となることを希望する者を対象として、いま申し上げました、上記(1)の基準において通常の労働者よりも低い水準の時間を設定し、3年程度この措置を講ずることが適当である、といった内容も盛り込まれております。
 さらに、(6)として、「その他」の下の欄で、深夜業についてはその実態及び健康面への影響に関する調査をまず行い、その結果を踏まえ深夜業に係わる諸問題について深夜業に従事する労働者の就業環境を整備、健康管理等の在り方を含め検討する場を設けることが必要である、ということも謳われております。
 最後に、3頁ですが、こういったことも踏まえまして、最後の3行ですが、「また、別途定める水準に照らし過重な時間外労働や深夜業に従事した労働者の健康確保を図るため、疾病の予防の観点から、労働者の健康管理努力に対する援助のための事業を実施することを検討することが適当である」ということが盛り込まれております。この最後の3行に係わりまして、今後、当審議会においても、仮にこの新たな事業というものが労災保険の事業として実施されるとなりました場合には、そのことが労災保険事業として適当かどうか、そういったことも含めて、いろいろとご議論をいただきたいと考えております。以上です。

○会 長
 抽象的なご説明で恐縮ですが、要するに、最後の3行の所で「別途定める水準に照らし過重な時間外労働や深夜業に従事した労働者の健康確保を図るため、疾病の予防の観点から労働者の健康管理努力に対する援助のための事業を実施する」と。そういうことをここで検討していきたいということです。
 これについて、ご意見、ございませんでしょうか。

○委 員
 ここは中央労働基準審議会から大臣に対して建議をされた内容でして、まだ法案になっておりませんので、この審議会では、聞きおいた、そういうような建議がされたと。そして、これが成立すればこの審議会においても、こうした問題の検討が必要になる、ということの報告の範囲にとどめておいていただきたいと思います。

○会 長
 最終的にはそういうことになると思います。これは私の個人的な意見ですが、法案が成立した段階で、ある程度詰めておかないと来年の施行に間に合わないのではないかという気がします。ただ、あまり先走ってもいけませんので、国会の審議状況を見ながらということになろうかと思います。

○委 員
 今の会長のご発言の趣旨は、ちょっとよく理解できないのです。基準法がいま国会に出ておるわけですが、その改正案が成立して施行日が法律に書いてあるとおりになったことにして、ここの最後の3行の検討の結果が法律の施行に影響が出てくるという趣旨でございますか。

○会 長
 はい。

○委 員
 それはどうしてでしょうか。

○会 長
 抽象的に言えば、健康確保の措置を何かの形で労災保険財政を使ってやるということになると、結局、労働省の概算要求案が一応できるのは8月いっぱいで、その後、大蔵との折衝とか何かによって暮れまでに予算の形ができないといけないとか、そういうふうに逆算しますと、法案が成立するのが仮に6月だということにしますと、6月から8月までというのは、いかにも厳しいかなという気がする。ごく大まかに言えばそういうことです。

○委 員
 というのは、実施をするということを前提にご発言なさっているのだと思うのですが、私は中基審に関与していませんし、文字だけを見ているだけなのですけれども、検討することが適当であるという結論が中基審の建議の中で出ているので、中基審としては、検討をしなさいということまで言っているのであって、実施するかどうかの問題を検討した結果、結論が出ることだと思いますので、11年度予算にどうするかという問題とは、直接は関係がないのかなと思ったりもするのです。

○事務局
 中央労働基準審議会の建議は今国会に出されています労働基準法の改正を中心に議論をなさってきて建議を出されたわけです。もちろんその中には法案に盛り込まれていない、今後検討をしてほしい事項や、さらに煮詰めなければいけない事項等々も併せて建議されていることも事実でございます。
 ただ、こうした形の建議の中で、こういった点を検討することが適当であるというふうにされている点については、私どもは、いま出している法案がもし成立をみて来年4月1日から実施することになれば、こういう過重な深夜業、あるいは時間外についての健康管理努力の援助というものも、いわば併せて実施していくべきことが望ましいので併せて検討しろ、という趣旨の建議であると受け止めております。もし4月に併せて実施する前提で当審議会の意見も聞きたいとなれば、8月末の概算要求もにらんでスケジュールを設定させていただいて、いろいろご意見を拝聴することになろうかということですので。もし、その時期にやってはまずいということになれば、逆に言うと、法案の施行と併せて実施しないということを逆に鮮明にした形になるので、その辺も、どちらにしても意思を明確にしなければいけないという意味では、早い段階で審議会でご意見を聞く機会があれば、是非、そういったことについて対応をさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、審議のスケジュールなり、法案の成立がいつになるかということも、まだ正直分かりませんので、その辺を判断の上、また改めてスケジュール等についてはご相談することになろうかと思っております。

○委 員
 通ることを前提にして予算との関係、準備との関係も含めて、事前に準備や検討についての報告を確認をするということについては反対であります。
 なぜならば、この3行にも現れていますように私ども過重な労働時間や深夜業に従事した労働者の健康確保を図るということのための予防策をつけるのではなくて、そういう過重な労働はしないような基準を作るという要求をしているわけですから。過重な労働によって健康を損なうということを予防するための施策などは、それ以前の問題でいま議論をしているわけですから。そういった疾病や健康障害が起こるという、そういうような問題を前提として、そういう働き方を前提とした対応策について、今の段階で法律がまだ成立をしない前に、これを議論するということについては反対であります。また、この労災審議会の趣旨からいって反するものだというふうに思います。

○会 長
 どうぞ、ご意見をお願いします。

○委 員
 今の点とはちょっと観点が違うのですが、確認をさせていただきたいのは、検討するという場はこの審議会であって中基審の場ではない、ということでよろしいのでしょうね。

○事務局
 それはおっしゃるとおりです。委員のお話もお気持はよく分かります。ただ、ここでいっている「健康管理努力」というのは、委員のほうは、最低労働基準としての深夜業とか残業時間に対する取組みをされているので、それがまず前提だというお気持だろうと思うのですが、それは私どもは理解します。ただ、最低労働基準がもし出来たとして、その最低労働基準さえ守られていれば絶対病気にならないのかということではないわけです。健康管理というのは、もっと広範な視点から取り組まれる問題ですので、そこは、必ずしも健康管理というものと最低労働基準というものはリンクしないと思っておりますが、いずれにしても、そういったお気持も我々理解できますので、法案の審議や何かの状況は十分見ながら、改めてご相談することになろうかと思います。

○会 長
 何か、ご意見ございませんか。

○委 員
 考慮するということであれば、今日は報告を受けたということで取りまとめをしていただきたいと思います。

○会 長
 今日はこういう報告があったということで、具体的にどうやるかというのはいずれまた、やるかやらないかも含めてですね。仮にやるとしても、どういうことをやるのか、その基準は何かとか、えらい難しい問題があると思いますので、別途お諮りしなければいけないことになると思いますが、今日はその報告を受けたということにさせていただきます。次に「財政投融資の抜本的改革について」の概要について事務局から説明をお願いします。

○事務局
 財政投融資の抜本的改革についての概要ということで、資料8に「資金運用審議会懇談会とりまとめ」というのがありますので、これについて説明をさせていただきます。
 財政投融資につきましては、郵便貯金あるいは厚生年金といった国の制度や信用に基づいて集められた各種の公的資金を原資といたしまして、政策目的の実現のためにいろいろと行われております投融資のことでありますが、労災年金、労災保険の積立金を含めまして、この資金については、これまで資金運用部へ全額預託義務が課せられ、資金運用部において統合的に管理・運用されてきております。しかしながら、こうした資金の統合・管理・運用といった仕組みについては、この取りまとめの中にもありますように、財投の規模の肥大化といった問題があることから、その抜本的な改革の必要性ということがかねてから指摘をされてきたところです。
 具体的な内容は資料の3頁になりますが、資金調達の在り方、あるいは5頁になりますが自主運用の在り方に述べられておりますように、現行の預託義務を廃止して財投機関債等によって財投の資金調達を行い、郵便貯金あるいは年金につきましては自主運用を行うという考え方が示されております。
 この自主運用の対象となる資金の範囲については、資料の最後の頁に付けてあります。これは概要でありますが、本文そのものは「郵便貯金及び年金積立金について現行の預託義務を廃止するとしても、その他の特別会計の積立金等については国庫制度の在り方、個別に運用することの非効率性・安全性の問題等から現行の仕組みを継続することが必要である」という記述があります。
 一方、財投の改革の問題に関しては、昨年自民党におきましてもいろいろと議論がなされており、11月17日には「財政投融資の改革について」という自民党の行政改革推進本部の報告書がまとめられております。
 それを読みますと、この資金運用審議会の懇談会の取りまとめと、ほぼ同趣旨ですが、資金調達に関しては郵便貯金や年金資金、さらに簡保資金についても、資金運用部に対する全額預託義務を廃止し、金融市場を通じた完全自主運用を行うということを謳っております。また、資金運用部を廃止するということなどにも触れられております。
 したがいまして、労災保険の積立金も今後こういったいろいろな報告書の中で、必ずしも明確な取扱いが定められているわけではありませんが、今後、引き続き財投改革の一環として議論されることが予想されます。その意味で今回は、とりあえず、この取りまとめがなされたということを報告させていただきたいと思いますが、いずれにせよ今後、皆様方には労災保険積立金の問題について、引き続き情報提供をさせていただきたいと思っております。以上です。

○会 長
 今ご説明がありましたのは、結局、労災保険の資金の運用の在り方について従来とは違ったやり方を考えなければいけないかもしれないということで、いずれ必要があればこの審議会にお諮りをするということでよろしゅうございますね。

○委 員
 是非、そこのところは審議会で十分議論をしていただきたいのですが、現在5、6兆円ある労災の積立金が、負担はすべて事業主が負担をしているわけですけれども、そのお金の運用が成功と失敗とがあり得るという状況になるとすれば、我々事業主としては、結局失敗すれば負担が被ってくるということになりますので。
 一方において郵貯だとか、厚生年金だとかという動きはありますが、我々は我々の審議会として最も適切な運用ということはどうなのかという観点で、ほかがやるからほかと横並びみたいな発想ではなくて、是非、慎重な検討ということで。
 情報提供していただくのは有難いのですが、決まってから情報提供ということではなくて、諮っていただくということを是非、積み上げていただきたいと思います。

○会 長
 今の委員のご意見を踏まえて、よろしくお願いいたします。
 それでは、報告案件の最後になりますが「特殊法人等の整理合理化」について事務局からお願いいたします。

○事務局
 資料bXですが「特殊法人等の整理合理化について」、これも抜粋です。昨年12月26日に閣議決定されたものですが、特殊法人については昨年3回に分けまして、それぞれ決定がされておりますが、最後の12月の閣議決定において労災病院についても指摘があります。労働福祉事業団ですが3点指摘があります。
 まず1点は、勤労者医療の中核的機能を高めるため労災指定医療機関や産業医等との連携システムを含め、その機能の再構築を図る。2点目は、労災病院の実態、労災患者入院比率8%にも照らし、その運営の在り方につき統合及び民営化を含め検討する。3番目は、毎年度損失が生じている経営状況を改善し労災保険からの出資金の縮減を図る、ということになっております。
 労災病院について議論がありましたのは、この2番目にもありますように労災患者の比率が低下してきているということ、あるいは、現在かなり特色を失って地域の一病院となっているのではないかという指摘があったわけです。それに対していろいろと議論をした結果、いま申し上げた3点の指摘になったわけです。
 私どもとしては、この中で言いますと3点目の出資金の縮減については、先ほど予算の中で説明をいたしましたように51億円の減ということで、相当思い切った縮減を図っております。
 また、(1)の「勤労者医療の推進」については、現在労災病院におきまして、それぞれの専門分野というものを改めて議論をし、必要があれば専門センターというような形でそのセンターに医療スタッフ、あるいは設備等を集約するといったことも含め検討しております。また、特に今後大事になってくると思われます予防については、産業保健活動の一環として、産業医あるいは産業保健推進センターとの連携というものを強化していきたいと考えております。
 そのための具体策に現在着手をしたところです。それから統合及び民営化については、今後幅広く検討してまいりたいと考えております。以上です。

○会 長
 ありがとうございました。特殊法人等の整理合理化について報告をしていただきましたが、何か、ご質問等ございますか。

○委 員
 お願いでございますが、ここにも「経営状況を改善し」ということがあるのですが、是非、この審議会に労働福祉事業団の事業がどういうものなのか、あるいは労災病院の実態がどういうものなのか、経営状況がどういうものなのかという点について、それこそ情報を提供していただきたいと思います。

○委 員
 私も要望を1つ。最近の傾向として閣議決定をして、その方向を示して審議会に押しつけてくるという事例が非常に多くなっております。審議会においては、その是非ということについても真剣な議論ができないまま、というようなケースも生まれてきているやに私ども判断をしているわけであります。
 確かに、この労災保険というのは事業主が払っておりますが、事業主が払う金は、みんな従業員が一生懸命働いて稼ぎ出した金でありますから、私どもにも応分の権利は当然あるわけです。そういったことから言いますと、この労災保険の資金運用という面では非常に合理的に、かつ有効な使い方をすることは当然であります。是非、いま委員が言われたように、審議会としての独自性を持った今後の審議をお願いをしておきたいと思います。

○会 長
 いま各委員からご発言がありましたような趣旨を踏まえて、今後、審議をしてまいりたいと思います。
 私のほうで用意しましたものは以上でございますが、何か、そのほかに特段ご発言、ご意見等がありましたらお願いいたします。はい、どうぞ。

○委 員
 初めてなものですからこの審議会の場がいいのかどうなのか、あるいは話をするとしても、どの議題の中で言っていいのかちょっと分からなかったものですから最後にさせてもらうわけですが、1、2分、お願いします。
 先ほど介護(補償)給付の関係で議論しました。私が言いたいのは、介護(補償)給付と今後出てくる介護保険との関連で一言申し上げたいと思っております。
 名前のとおり保険と給付でありますから、保険料を拠出するのも、先ほどの話じゃありませんが事業主が、あるいは個人かでは根本的に違います。したがって、その制度そのものも、例えば給付の基準だとか、給付の対象だとか、この2つは違うと思います。ただ介護ということについて見れば一緒のことではないかなと思うのです。
 一方で、いま省庁再編という形で労働福祉省というものをつくろうかという話があります。そこで私が言いたいのは、例えば一方で介護を要するという事象が起きた場合、他方のほうにも自動的にそのことが、申請という言葉が適当かどうか分かりませんが、文書的に流れて行って、それが認定をされて給付をされると。
 こっちも申請しなければならない、こっちも申請しなければならないというようなことではなくて、2つが1つになるような、そんなことはできないのかなと思います。

○会 長
 介護保険法がいずれ施行されますが、その時の手続ですね。

○委 員
 そうです。

○会 長
 それから、労災保険でいう介護補償給付、あるいは介護給付の手続きをできるだけ統一化して簡素化するというご意見だと思いますので、承っておきます。

○委 員
 本日の議題とは全然関係ないのですが、じん肺と合併肺がんの問題についてですが、現在、国際がん研究機関の中で結晶質シリカについては発がん性があるよということで、分類の中で1のほうにグレードアップしたというようなことが決まったようです。そういった問題について、早く対応すべきではないかというようなことで53年11月に基発608号、管理区分4というところを限定しながら、これらを若干容認したような取扱いをしておりますが、この見直しと、それから職業病リストの中に、けい肺の合併肺がんについては認めるというふうにして、リストの中に追加すべきではないかと思いますので、これについて今後検討いただきたいということで、要望をひとつ申し上げておきたいと思います。

○会 長
 じん肺と肺がんとの関係につきまして、いずれ検討をしなければいけないと思いますので。

○事務局
 じん肺審議会等でご議論していただくのが適当な話題かと思いますので、じん肺審議会のほうの事務局のほうから、ご連絡をとらせていただきまして対処したいと思います。

○事務局
 再度ご説明をしておきたいと思います。ただいまのご指摘の問題については、私どものほうも従来から大変重要な科学的な見解であると受け止めております。
 先般、疫学あるいは病理、公衆衛生、臨床といった専門家の方にお集まりをいただきまして、IARCの評価替えについてどのように受け止めて今後どういうふうに扱っていくべきなのかという観点から、ご検討いただくということで作業を開始しておりますので、今しばらく時間をいただきたいと思います。

○委 員
 労災の審議委員の1人として、いろいろなトラブルが起こっているということに対して責任を感じていますので、善処方お願いしたいと思います。

○事務局
 はい。

○会 長
 いずれ、その報告、あるいは、場合によってはご審議をお願いするということになるかと思います。そのほかにはございませんでしょうか。
 ございませんようでしたら、本日はこれで終わりにしたいと思います。なお、本日の議事録の署名委員をお願いしたいと思います。
 労働者側委員として北裏委員に、また使用者側委員としては宇田川委員にお願い致します。
 長時間にわたりありがとうございました。



(注)  本文中に記載されている資料については多量なため省略しております。資料についての問い合せについては、労働基準局労災管理課 03-3593-1211(代)までお願いします。



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