| 1 | 日時 | 平成12年1月18日(火)10:00〜12:00 |
| 2 | 場所 | 通商産業省別館第946号室 |
| 3 | 出席者 | |
| 〔委員〕 | 公益者代表 保原会長、岩村委員、岸委員、金城委員、野見山委員、 松本委員 労働者代表 北裏委員、佐藤委員、高松委員、真島委員、松浦委員 使用者代表 久保委員、桜井委員、高梨委員、早川委員 |
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| 〔事務局〕 | 野寺労働基準局長、横田審議官、荒労災管理課長、笹川補償課長、安部労災保険業務室長、本川労災保険財政数理室長、田邉主任中央労災補償監察官、高崎企画官、石井職業病認定対策室長、田中労災保険審理室長、中野計画課長、鶴田労働衛生課長 | |
| 4 | 議題 ○ 労災保険制度検討小委員会検討結果の報告について |
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| 5 | 議事 ○ 会長 ただ今から、労働者災害補償保険審議会を開催します。本日は、田中委員、宇田川委員、廣田委員が欠席されております。 それでは、議事に入ります。本日は、昨年当審議会に設置した労災保険制度検討小委員会の検討結果が報告書として取りまとめられましたので、小委員会の座長を務められました野見山委員から報告をしていただきます。野見山委員、よろしくお願いします。 ○ 委員 報告書そのものは資料にありますが、概要について簡単に御説明したいと思います。本審議会に労災保険制度検討小委員会が設置されたのは昨年の8月ですが、それ以降、小委員会において主要検討事項として、主として3つの依頼がありました。1番目に労災保険制度における労働者の健康確保支援の在り方、2番目に今後の労働福祉事業の在り方、3番目にこれまでの審議会の建議において検討課題とされた事項などを中心に検討を行ってまいりました。また、この検討過程において、労使各側から労災保険制度に関する要望事項の提出を求め、これについても併せて検討を行ったところです。これらの検討結果が、昨年末に開催された第12回の小委員会において取りまとめられましたので、座長を務めました私のほうから、簡単に御報告させていただきたいと思います。 第1の労災保険制度における労働者の健康確保支援の在り方についてです。これらの議論については、1頁に書いてありますが、小委員会においては、今後、労働者の高齢化が進展する中で、脳・心臓疾患の発症の増加が懸念されることから、労災保険制度においても、その発症の予防に資する観点から労働者の健康確保を支援するため、何らかの措置を講ずべきであるかどうか、講ずる場合には、その内容はどのようなものが適当であるかについての検討を行ったところです。 この点については4頁の記1に述べておりますとおり、労災保険制度において労働者の健康確保を支援するための措置を創設することについては小委員会としての意見の一致を見ましたが、その方法については二つの意見がありました。1つは、「労災保険の法定給付として、新たに『健康確保支援給付』(仮称)を創設し、生活上の要因のほか、業務による過重な負担があった場合に、脳・心臓疾患を発症し、あるいは悪化させうる危険因子を相当程度有することを疑い得る定期健康診断結果が出た者に対し、循環器系の異常に関する二次的な健康診断と、その結果に基づき、具体的な予防活動を促進するために有効な医師等による指導(栄養指導、運動指導、生活指導)を実施する」という意見です。これは公益および労働者側の委員の意見でした。 使用者側委員は、「労災保険制度の法定給付として実施することは適当でないとし、「当面の措置がやむを得ないものとしてどうしても実施するのであれば労働福祉事業の中で実施すべきであり、その際スクラップアンドビルドにも配慮する必要がある」という意見です。これは、脳・心臓疾患は基本的に私病であり、労働者個人の自己責任の問題であるとの認識に基づく意見と理解しております。 次に「労働福祉事業の在り方の見直し」についてです。この点については2頁の(2)の所に書いてありますが、小委員会では労働災害の減少、第3次産業化の進展等に伴い保険料収入が減少していくことが見込まれる一方、事業の主要な対象である労災年金受給者は増加傾向にあり、このような状況に対応していく必要があるという観点から、労働福祉事業の効率性、透明性及び安定性を確保するため、どのような措置を講ずべきであるかについて検討を行ったわけです。 その点につきましては、4頁の2の「労働福祉事業の在り方の見直し」に述べておりますとおり、およそ次のような結論を得ました。まず、第1の「事業内容の見直し」については、「今後とも労働条件確保事業をはじめとする各事業の内容についてその効果等を十分検討するとともに、必要に応じた見直しを行うこと等により、総事業費の縮減に努める」こと等としております。 (2)の「事業の透明性の確保」については、「労働福祉事業の透明性を確保する観点から、各事業の実施状況について、定期的に審議会に報告を行う」こと等としております。 (3)の「限度額設定方式の見直し」については、限度額の法的根拠の在り方について検討を行うこととされましたが、「賃金総額を基準とする限度額設定方式に改めることや、平均料率が低下する中では、保険料収入等に乗ずる係数(現在は18/118)について必要に応じて柔軟に改定する」という意見が述べられました。 次に「特別加入制度の対象範囲の拡大」についてです。この点について、小委員会においては、「雇用と異なる多様な就業分野の拡大が見込まれる中で、これらの者が安心して働くことができる条件の整備を図る」との観点から、労災保険制度の特別加入の対象範囲を拡大すべきかどうかについて検討を行いました。この点については5頁の記3に述べているように、個人家庭に雇用され介護や家事援助に従事する「家庭介護等労働者を新たに特別加入の対象に加える方向で検討を行う」との結論を得たわけです。 以上の3点につきましては、1頁の2の2行目にありますように、「小委員会としては、次のような考え方により、下記の制度改善を行う必要があるとの結論に至った」ということで、制度改善の必要性を求めたのが小委員会の結論です。 以上に加えて、小委員会においては、冒頭に申し上げたとおり、「過去の審議会における建議において指摘を行った事項と併せて、労使各側から労災保険制度に関する要望事項の提出を求め、そのうち優先的に検討すべき」事項について、対応の在り方の検討を行いました。その内容につきましては、3頁の3以下に、給付基礎日額の年齢階層別最低・最高限度額や、民事損害賠償や社会保険給付との併給調整など7項目について述べております。これらの点につきましては、一部、意見が併記されたものもありますが、「さらに検討を深め、あるいは運用上の対応を図るべき」との結論を得ております。 なお、ここに挙げております事項以外にも、要望事項として提出されたものがあります。それらにつきましては、別途、検討を行う機会を設けていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 簡単ではありますが、以上が小委員会の検討結果として取りまとめた報告書の概要です。小委員会の座長としては、労災保険制度の改善を行うに当たり、本審議会におきまして、小委員会の場で両論併記という形で取りまとめられた労働者の健康確保を支援するための措置の方法を中心に、本総会で各側の意見の一致を見ていただくよう、御検討いただければありがたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ○ 会長 どうもありがとうございました。まず、小委員会の委員でいらっしゃいました労使の各委員から、御意見があればお伺いしたいと思います。 ○ 委員 意見ではありませんが質問です。ニュースを持ってきておりませんので日付が定かではありませんが、4頁の終わりから5頁にかけて、労働福祉事業の見直し問題についてこのように議論をしてきたのですが、一部、NHKを中心としたニュースで、労災病院の具体的な名前を挙げた統合という報道がされておりますが、これは小委員会で検討した以外に、事務局として具体的な名前も含めた検討を片方で進めているのかどうか。もしそのような取扱いがされているとすれば、議論の経過からすると大きな問題ですので、その事実についてまず確認をしたいと思います。 ○ 会長 今の御質問について、お願いします。 ○ 事務局 NHKのテレビの報道は、確か先週だったと思います。これの経緯は、昨年の年末なのですが、総務庁の行政監察局から、労働福祉事業についての監察の結果に基づく勧告というものがなされました。その内容は多岐にわたっているのですが、その中の1つとして、労災病院について、統合または民営化を進めるべきであるというような勧告がなされております。その対象として、総務庁行政監察局の考え方としましては、1つは近くに複数、労災病院がある所。例えば同一の医療圏の中に複数あるような所であるとか、損益状況から見て将来も改善の見込みがないとか、そういった所については統合とかを考えるべきではないかというような勧告でした。 これは労働大臣に対して正式になされたものですので、私どもにNHKから取材があったわけですが、どうするのですかということはありました。それに対して私どもがお答えしたのは、監察に基づく勧告について、労働省としては誠意を持って検討しなければいけない。例えば、労災病院はどうするのだということであれば、同一医療圏にある複数の労災病院については統合という考え方もなされているので、そのような考え方も踏まえて検討しなければいけないということを申し上げたわけです。 実は、同一医療圏に複数の労災病院があるというのは、3カ所あります。具体的には北海道の美唄労災と岩見沢労災、これが同じ医療圏です。名古屋にある中部労災と旭労災病院、これも同じ医療圏です。それから、北九州にある九州労災病院と門司労災病院も同じ医療圏です。そういったところで、同じ医療圏に複数あるということになると特定されてくるわけで、私がこことここを統合するというふうに申し上げたわけではないのですが、そういった同一医療圏というような観点から病院名が明らかになって、ああいう報道になった。私どもとしては、その監察の結果を受けて、これから検討しなければいけないということを申し上げたわけです。以上が事実関係です。 ○ 委員 事情についてはわかりましたが、この委員会の中でも、私どもの方からは、具体的に統合・廃合の関係について検討するべきであるという指摘をしたときには、そういった検討の方向で、統廃合を含めた方向で今後検討するという答えが出てきたにもかかわらず、行政監察局からの指摘があったということで、極めて簡単にそういう方向、あるいは答弁がなされるということは、小委員会における検討を無視したものではないかと考えますので、今後の発言の関係については、十分に慎重な対応をお願いするということが1つです。 それから、早急にそういった見解を出すということについては、継続的にその在り方について私どもが指摘したのは、同一医療圏にあれば全部統廃合せよというふうに意見を申し上げたわけではなく、周辺にどのような医療機関があり、病床数がどの程度あるのかということ等、極めて多面的な検討をして、その価値観といいますか、地域における利便度あるいは有効性というものを勘案して、統廃合についても検討すべきということを申し上げたわけです。同一医療圏に労災病院が2つあるからということのみをもって、これを統合するという事務局見解、あるいはそういった方向で具体的な検討を行うという事務局見解が出されるというのは、議論の経過からしても極めて不本意でありますので、是非ひとつ引き続き具体的な検討をさせていただくようにお願いしたいと思います。 ○ 事務局 今回のこの小委員会の報告におきましても、労災病院につきましては統廃合を含めて検討を行う、というふうにされております。そのとき、設置状況であるとか、「患者の利用実態等を勘案し」とあります。もちろん、近くにあるからすぐ統合とか、そういうふうにシンプルに考えているわけではありません。地域の医療事情であるとか、今おっしゃいましたように、ベッド数であるとか近隣の医療事情はどうかとか、そういうことを多面的に今後検討しながら、然るべく適切な結論を得ていきたいと考えております。 ○ 会長 今後の検討の予定とか、そういうものは今のところはないのですか。 ○ 事務局 実は先ほど申しました行政監察局の勧告では、そういった統合等を含めて、労災病院について再編整備計画を策定しろということになっております。実はその背景としましては、特殊法人につきまして、行政改革の閣議決定が平成9年になされております。これは、統合等も含めて労災病院の運営の見直しを行えというような閣議決定でした。そういったことも踏まえて、今回の勧告では再編整備計画をつくりなさいということになっております。私どもとしては、そういった閣議決定、今回の再編整備計画を作れといった勧告を踏まえて、鋭意検討を進めていきたいと思っております。 ○ 委員 閣議決定による再編整備計画を作っていきたいということについては、この小委員会で引き続き検討するのか、それとも事務局として検討されるのかというのが不明ですから、いま私は小委員会で議論をしてきた経過がありますので、ここでやらせてくださいと申し上げましたが、いかなる取扱いをされるのかについて明確にしていただきたい。 ○ 事務局 私どもと労働福祉事業団とで協議を進めつつ、適宜、当審議会にも検討状況を報告していきたいと考えております。 ○ 委員 労働福祉事業団といいますか、労災病院を所管している所との検討、調整ということを言われましたけれども、本来、今回の労働福祉事業の再編見直しという問題が検討のテーマになってきた経過、小委員会における検討の経過からすれば、これは確かに専門的な事情は小委員会あるいは審議会ではわかりにくいという部分はありますけれども、適宜、適切にということで、方向が固まってしまったものをこれで了解してくださいというような、そういう提案は少なくとも避けてもらいたい、という要望を申し上げておきたいと思います。 ○ 事務局 今の御意見、御要望を踏まえて、対応したいと思います。 ○ 会長 労災病院の件はひとまずよろしいですか。 ○ 委員 3頁の3の(5)は、使用者側から要望事項として出されまして、表現としては基本的にこれでいいかと思い、特にこれ以上のお話は進まないものと思っておりました。特に建設業においてメリットを増率あるいは減率するということは、労働者側の要求であった(3)の「労災かくし」につながる懸念が非常に強い。そんな考え方から、できれば建設業は現行の30%でとどめていただくというような意見も申し上げたつもりです。 ところが、表現としてはそういう要望があったわけですから、これでいいものと思っておりましたけれども、最近の業界新聞によりますと、日建連など3団体がメリット幅の引き上げを要望している。そういう要望に対して、労働省労働基準局のどなたかが、大手建設業団体だけでなく、産業界としての統一した要望があれば、会期中の労災保険審議会に諮問するなどして対応したいという回答をされている。これは、小委員会としてはここまでで議論が止まって、引き続いて議論をするということについては、そのもの自身が諮問という形で出されるということなのか、この小委員会が発展して、本審議会の報告の中に入れようとお考えになってコメントなさったのか、その辺りが不明確です。小委員会においては、これ以上の記載はしないということでとどまっているのであって、それ以上に超えた発言をなさっていると読み取れる新聞記事については、若干不適当ではないかと思いますので、見解を述べていただきたいと思います。 ○ 委員 12月27日段階までの小委員会における議論の経過からいたしますと、私どもとしても「検討を行う」という形での整理でいいと、このように判断をいたしました。なぜ、その段階でそういう判断をしたかというと、建設関係の団体の中で、この問題についてどう対応するかということの検討をしている最中で、その結論が12月の下旬の段階では出ないということから、小委員会の結論として、検討を行うということでの整理をすることについて、私どもとしてはそれはそれで結構だと、このように思っていたわけです。 その後、建設関係の団体の中で整理をしたところ、メリット増減幅については拡大をしていただこう、こういうことで整理ができました。したがって、私どもとしては小委員会の報告は小委員会の報告として、それがこの総会の場に報告されたわけですので、総会として取りまとめをする段階においては、メリット増減率については検討を行うという形でなくて、もう一歩進んでいただいて、増減率について拡大をすると、こういう方向で整理をしていただきたいと、このように思っております。諮問答申の関係は、当然のことですが、私どもといたしましては、小委員会の関係だけ踏まえて事務局が対応するということは思っておりません。当然のことですが、審議会における結論を得た上で、それに対応した形で諮問なりをすると、このように思っていたわけです。いずれにしても、我々といたしましては、ここの3頁の所に置いていただくのではなくて、後ろの記のほうに拡大をすると、このような方向で御検討を是非していただきたいと思っておりますので、関連して意見を申し述べたところです。 ○ 会長 いま建設業のメリット率の拡大ということで、それぞれ御発言がありました。事務局の方は何かありますか。 ○ 事務局 この問題につきましては、私どもの考え方を小委員会でも申し述べてきたところですが、現在、建設のメリット増減幅は上下30%、他産業は40%です。これについても建設業の団体等を中心に、他産業並みにしてほしいというお話は従前からありました。私どもが申し上げてきたのは、メリットの幅というのは、単に幅を広げるというだけの問題ではありません。ベースとしての料率、建設関係の料率が上がる可能性があるのです。そういったことも含んだうえで、中小企業の建設業者を含めて建設業全体のコンセンサスができるのであれば、私どもとしては前向きに考えましょうということは小委員会でも申し上げてきたことです。 事実関係を申し上げますと、今お話がありましたが、昨年の12月末の段階では、いわば大手を中心とした所ではほぼコンセンサスができていたところです。ただ、地方の中小の団体も含めた団体においては、まだこの問題についての対応は固まっていなかった、ということは事実です。私どものスタンスはいまも変わっていませんで、こういったベースの料率が上がるといったことも含めたうえで、業界全体としての合意ができるのであれば、前向きに考えたいと思っております。 今発言の中でおっしゃいました新聞、日刊建設工業新聞だと思うのですが、会期中の労災保険審議会に諮問するということは、私どもの説明をどう受け取ったかわからないのですが、私としては小委員会報告でもこの問題はさらに検討を深めるということになっております。そういうことであれば、当審議会の場で議論していただいて、建議の中に盛り込むということも、私どもとしてはあって然るべき問題と考えております。 ただ御懸念されているように、メリット増減幅が広がることによって「労災かくし」というものが行われるのではないかという御懸念があることも事実です。私どもは基本的には、メリット増減幅の問題と「労災かくし」が行われる問題は別問題というふうに考えておりますが、「労災かくし」の問題につきましても、小委員会報告で言われておりますように、中央機関に対する指導周知を図り、引き続き適正な実施に努めるといったようなことが言われております。こういった点を踏まえて、私どもとしては「労災かくし」の問題についても、引き続き適切な対応をとっていきたいと考えているところです。 ○ 委員 御承知のとおり、建設業の許可を取っている業者というのは56万社あるわけです。非常に零細な業者もあるわけです。そういうことになると、メリットが適用されない小規模な事業者もあると思いますが、このコメントにもありますように、今建設業界の中身についていろいろと議論をしなければ、そう簡単にメリット増減幅拡大ということにはならないのではないか。だから、これからこの小委員会報告と本審との関係がどうなるのかというのが非常に懸念されるのですが、ひとまず小委員会報告はこのまま置いていただくと。新たに諮問をなさるのなら、それはそれとして別途やっていただかないと、新たな項目を起こして、先ほどの要望で記の以降に記載するというような御意見もありましたが、そういう必要はないかと思いますので、現状のこの報告でとどめてほしい、そのように思います。 ○ 会長 今異なった意見が出されました。建設業のメリット増減幅の拡大につきまして、小委員会報告では検討事項という指摘にとどまっているわけですが、もう一つ進めて、むしろ建議の中に含めて記という所に書くべきではないかという御意見かと思います。これに対して、小委員会報告のとおり、検討事項にとどめて、もし今後検討するのであれば、改めてこの場かあるいは小委員会で検討すべきであるという御意見だと思います。この点についてお諮りしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 委員 まとめが違うのではないですか。報告は報告として報告していただいたうえ、総会の中で追加をしてもらえるかどうかの審議をしてもらいたい、というふうに発言されたように思います。むしろ、一旦このまとめに疑義がないかどうかということを確認していただいて、報告書はまとめていただくということが適切な取りまとめではないかと判断いたしますので、もう一度お諮りいただきたいと思います。 ○ 会長 わかりました。そういう趣旨ですか。 ○ 委員 報告書になっているのは、もうそのとおりです。だから、次の段階で、小委員会の報告書を受けた審議会として、取りまとめ、建議なら建議、意見書なら意見書、そういう作業にこれから入っていくわけです。その段階のことについて、私は拡大するということで盛り込んでくれということを申し上げているわけです。 ○ 会長 わかりました。報告書につきましては私の誤解がありましたが、このまま検討事項ということにして、次の総会でこの問題をいわば実施事項といいますか、そういう中に入れるかどうかということを改めて検討すべきだというのが委員の御意見であると承りましたがいかがですか。 ○ 委員 諮問という形で出されるのなら、それは審議会委員として論議に応じなければいけないと思いますが、新たに建議として行うというのであれば、そういう論議が行われることなら、それはそれとして私はその場面においては反対だということになろうかと思います。だから、この報告はこの報告の段階でとどめて、検討を行うことに何も反対はしないという意味です。 ○ 会長 この報告書自体については、特に反対ということはないと思いますので、この点は報告書の段階では検討事項ということにさせていただきます。そのほか、御意見はありますか。 ○ 委員 報告書は、いま小委員会の座長のほうから審議会に報告がなされたわけですので、これからは審議会として、小委員会の報告を受けてどうするか、こういう議論になるのだと思います。重ねて申し上げますが、建設業のメリット増減幅については、これは法律事項だと思います。したがって、通常国会に出そうとするなら、然るべき時期に、1月か2月の段階で諮問、答申ということが必要になってまいります。建議なら建議、意見書なら意見書の中に、きちっと盛り込んでいただいて、それに従って行政として諮問、答申という手続を踏んで改正法案を出すとこういう方向で動いていただきたいと思います。 なぜ私どもがメリット増減幅について申し上げるかというと、メリット制というのは、災害の防止のインセンティブが働くと、このように思っております。もちろん、建設業のみならず、他産業においてもこういう制度がとられているわけで、そこのところが40%です。私どもはそちらのほうも引き上げてほしいと思ってはいるのですが、製造業などが40%、それに対して建設業が30%にとどまっているということから、少なくとも他産業並みに引き上げていただきたいというのが私どもの本意です。是非、そういう方向で御検討をいただきたいと思います。 先ほど小委員会の座長からもありました、特に要望として、健康確保支援事業の関係について、意見が対立しているので、取りまとめに当たって整理してくれと、このような御要望がありました。私どもの基本的な考え方というのは、この報告書の中に記載されているとおりですが、私どもとしてはいくつかの点について質問をさせていただいて、事業について、あるいは給付について、事務局がどのように考えているのか、御答弁をいただきたいと思っております。実はいくつか項目があるのですが、その辺についてやらせていただいていいかどうか、会長に御了解いただいてからと思っています。恐縮ですが、相当いくつかあるのです。 ○ 会長 報告書は報告書として、この審議会で受けるということでよろしいですか。そのあとで、具体的にどういう建議をするかということについて、まず御意見を伺って議論を進めるということでよろしいですか。 ○ 委員 それならそういう議事設定をしないと、今日会長がそういうまとめ方をなさるのは、それはそれとしてあるかもしれないけれども、今日の本審は小委員会報告を受けるということが原則であって、それを新たに建議項目について論議をするのなら、やはりそれぞれの委員なり、あるいはそれぞれの側なりが、一定の考え方をまとめて臨まなければいけないということになると思うのです。その辺りは発表があると思いますが、今日はこの小委員会報告を、小委員会委員であった者以外の委員の方々からも質問を受けてと、いうことなら成り立ちますが、これはこれとして一旦上げて、建議する項目については、それなりに事務局からペーパーを出すなり、この間の論議を踏まえて出すなり、そのようにしていただいたほうが筋は通っているのではないかと思います。 ○ 会長 どうも議事が混乱して申し訳ありません。今日は報告書の中身を検討するということをもう少しさせていただきたいと思います。 ○ 委員 私は、先ほど発言のあった質問の中身について確認をしておきたいと思いますが、報告書に関するものなのか、それとも今後の建議やあるいは法案要綱づくりに向けた具体的な取組みということに対する質問なのか。その質問の如何によって、ここでは取り上げることが不適切かどうかということが判断されなければならないと。ただ、この報告書については、小委員以外の人が疑問に思われている部分について、まずは確認をしていただいて、報告書として一応集約をしてもらいたい。その上で、質問事項がこの報告に直接関連するものか、関連するものではないのか、事前に確認をしてもらって、どの段階で質問というものを受けるのか、あるいは意見なのかということについては、考え方を確認してもらったうえで捌いていただきたいと思います。私はそうされるのが適当だと思います。 ○ 会長 今御指摘がありましたが、結局どちらの御意見ですか。 ○ 委員 どちらでもいいのですが、報告書の質問事項ということの方が通りやすそうですので、小委員会の報告書の健康確保支援給付の関係について質問をさせていただきたいと思います。 ○ 会長 わかりました。そうすると、いまここで諮られているのは、小委員会の報告書を審議会として承認するかどうかという問題ですが、それとの関連で御質問なさると、そのように理解してよろしいですか。あるいは、そうではなくて、報告書は報告書として、審議会としては承認するということで、それを前提に建議の内容に関わるような御質問をなさるということなのか。 ○ 委員 会長の仕切りでございますので、とやかく申し上げませんけれども、承認するとか何とかということよりは、審議会として小委員会に付託をしたわけですので、それは受ける立場しかないわけで、あとは審議会でどう処理するかだと私は思っています。承認をするという手続が必要であるとすれば、それはそれで特に反対はいたしませんけれども、承認をしたところで、そこからまだ議論は発展するわけだと思いますので、それにはこだわりません。私自身は、いままでの小委員会の過程での議論でも、まだ不明確である点が幾多ありますので、その点について御質問をさせていただきたいと、こういうのが趣旨ですので、小委員会の報告書についての質問という形で質問をさせていただきたいと思いますが、いかがですか。 ○ 会長 いかがでしょうか。 ○ 委員 一応のまとめを年末にいたしておりますので、まさか小委員会の報告を審議会のほうに承認させないために遅延策をとられているとは思いません。そうではなく、真摯に議論経過の中で取り残していたものがあったとか、あるいはまとめの段階でうっかり確認を忘れていたものがあったとか、あるいは再確認をしておく必要があるという部分であれば、私自身は差し支えないと思いますけれども、できればこれはそういう疑念を抱かせないような質問にしてもらいたいです。 ○ 会長 私も理解が十分でないのですが、委員の御発言を伺って議事を進めたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○ 委員 第6回の小委員会のときに、健康確保支援給付のスキーム案が資料No.4として出ております。そこのスキーム案の所で、「定期健康診断を受けたときに有所見」となっておりますが、定期健康診断というのは、雇入時の健診もありますし、年1回もあるし、年2回の健診というのもあるわけです。結局、この給付は、その健診の都度、給付がなされるということになるのか、その辺についてどう考えているのか、教えていただきたいと思います。 ○ 事務局 基本的には、年1回行われる定期健康診断をベースに考えたいと思います。雇入時健診とか、あるいは例えば深夜業、特定業務をやっている方は年2回の健診が義務付けられております。こういった場合には、新しい労災のほうで支給する給付の方で、その都度支給するということではなくて、年1回給付ということで、いわば制限を掛けるといった形で考えたい。基本的には、年1回給付を行うということで考えたいと思います。いずれにしても、その辺につきましては、本審議会から建議という形で出されたあと、法案の要綱といったものを作ることになるわけですが、そういった段階で、さらに明確にしたいと思っております。 ○ 委員 今回、いわゆる「過労死」対策を労災保険法上の給付としてやることを考えているわけですが、いわゆる「過労死」対策というのを、労災保険法のほうでやるのではなくて、労働安全衛生法の中で二次健診を位置付けてやるという考え方もないわけではないと思うのです。その辺りについて、事務局はどういうふうに考えているのか、教えていただきたいと思います。 ○ 事務局 二次健診につきまして、脳・心臓疾患に関連するような所見について、一律に労働安全衛生法で二次健診を義務付けるといった考え方もあろうかと思いますが、私どもは一律に個々の企業、あるいは事業主にそういった公法上の義務を課すといったことは、中小企業等のことを考えると、企業に過度の負担を求めることになるのではないかと考えております。 また、実態として、こういった脳・心臓疾患のリスクといったものは、実際上、中高年労働者に多いわけです。そういったことを踏まえると、さらに二次健診の義務を企業に課すということになると、中高年労働者の雇用コストも増大する、といったことにつながりかねない。場合によっては、中高年労働者の雇用からの排除といったことも懸念されるわけで、労働安全衛生法による義務付けよりは、保険システムを使って、そういった経費を保険の方から支出する、という仕組みのほうが適切ではないかと考えております。 ○ 委員 それは、事務局としてそういう考え方だということでよろしいですか。 ○ 事務局 結構です。 ○ 委員 私どもは、ペーパーに書かれているように、どうしても実施するということであれば、労働福祉事業で実施するべきでないかとこういう意見を述べたわけです。それに対して、法定給付でやると、こういう考え方があるわけです。この2つを比べたときに、なぜ法定のほうがいいのか、あるいは事務局からすれば、労働福祉事業のほうが適切でないのか。その辺についての考え方というのは、いったいどういう点からそういうことを主張するのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。 ○ 事務局 現行の労働福祉事業の枠組みの中で、こういった脳・心臓疾患を対象にした二次健診に対する費用助成といったものができるかできないかということだけから申し上げますと、法律的にはもちろん、できないということはないと考えております。ただ、制度の確実性、確実にこういった所見が出た労働者が給付を受けられるといったことを考えますと、労働福祉事業よりは法定給付のほうがより制度の確実性が出ると思っているわけです。 具体的にどういうことかと申し上げますと、労働福祉事業で考えられる制度としては、例えば企業が二次健診を受けた労働者に対して費用を助成するといった制度を設け、そういった企業に対して、労災保険の労働福祉事業として一部の費用を助成金として支給する、といったような制度が考えられます。そういった場合、企業が最初にそういう制度を導入することが前提になるわけで、中小企業等のことを考えますと必ずしも実効性といいますか、制度の確実性が上がらないのではないかということが考えられます。 さらに、労働福祉事業で現物給付としてこういったものを仕組んではどうかという御意見があろうかと思います。これについても、この給付の目的を小委員会でも申し上げてきましたが、二次健診をやって、脳・心臓疾患の発症のリスクのある労働者について、さらに適切な事後措置を企業で講じていただく。そういった給付の目的から考えますと、その二次健診の結果というものが企業の産業医等に提出されるといったことが確保されなければいけないわけです。労働福祉事業ですと、要綱ベースでしかそういったことが規定されないということになるわけですが、法定給付であれば、法令上そういったことも確保、担保できるということがあります。たとえ現物給付で労働福祉事業の中で仕組むといったことでも、給付の目的を確実に達成させるという観点から考えると、法定給付のほうがいいのではないかと考えているわけです。 ○ 委員 この事業については平成13年度からやるときの年度ベースで約100億ぐらいの経費がかかるという説明がありました。100億というのは、保険料率に換算すると、どのぐらいアップということになるのか、その点を1つ教えていただきたいと思います。 それに関連して、3年ごとに料率改定が行われるわけですが、料率改定は過去3年間の災害の減少等を勘案しながらやるわけです。先ほどの保険料率の100億に見合うアップ率と、災害の減少によるところのダウンといいますか、引下げというのとを計算すると、結局、プラスになるのか、マイナスになるのか、その辺はどう考えているかという点が1つです。 さらに積立金の問題についてですが、過去債務の問題について、30年間で償還をするということで、ずっと作業をしてきているわけです。私どもは小委員会の場で、その30年の期間を5年ないし10年延ばしたらどうか、ということを主張してまいりました。資料が出ているのですが、この前出して頂いている資料がわかりにくいのです。11回の時に出ている資料ではわかりにくいのですが、結局、10年間延ばすということにすればどれだけ保険料率が下がって、それに伴って13年度はどれだけの保険料収入の減ということになるのか、その辺について数字を教えてもらいたいと思います。 ○ 事務局 最初の御質問ですが、100億円程度、これは算定項目としては、対象労働者は、肥満、血中脂質、血糖値、血圧、こういった4つの項目すべてに異常所見があるといった労働者は、約30万人と推計しております。必要な二次健診、保健指導等々の単価を見込みますと、3万円強ぐらいと考えております。30万人×3万円プラスアルファということで、100億円程度と現在見込んでいるわけです。 これが保険料率に換算するとどのぐらいになるかという御質問ですが、保険料全体のレベルにも影響されてくることなので、推計値になるわけですが、1,000分の0.1に満たない。具体的には1,000分の0.07程度であろうというふうに現段階では見込んでおります。労災保険料率の改定は、実は今年の秋ぐらいから作業を始めて、来年の4月1日から新しい料率の体系になります。現在の状況では、賃金総額も下がっていますので、従来よりはそんなに料率が下がらないと思うのですが、ある程度料率が下がるであろうという見込みをしております。給付のほうは0.07程度ですから、それが含まれても、災害動向による料率の減少というものはほとんど影響を受けないというふうに現在は考えているところです。 過去債務の話ですが、資料としては第10回、昨年の12月1日の資料です。資料1の3頁の下の表、「過去債務の償却期間延長による影響」という所です。現行が平成30年まで、これは元年に始めましたから30年間で償却しようといった考え方で、現在は1,000分の1.0を料率にオンしているというのが現状です。これを例えば平成35年までということで、平成元年の時点から見ますと、5年間延長するということになりますと、現段階では1,000分の0.8過去債務部分については引き下げられるということですから、逆に言うと1,000分の0.2が引き下がります。10年間延長すると、いちばん右の平成40年までということで、これは1,000分の0.65に引き下げられます。これを具体的にやるときは、あとの5年間は1,000分の0.7でやって、そのあとは1,000分の0.6でやるとか、ちょっと工夫しなければいけないのですが、1,000分の0.65に引き下げられるというような試算結果です。 ○ 委員 金額的には、平成13年度で10年のばしの平成40年ケースでいくとすれば、推計でしょうけれども、どのぐらい下がるということになるのですか。 ○ 事務局 金額で申しますと、いま1,000分の0.1が150億円〜160億円程度です。1,000分の0.2であれば320億、1,000分の0.3であればその3倍というようになります。ただ、四捨五入の関係で0.1、0.2ときれいにいかない場合もあるのですが、1,000分の0.1を160億円程度、というふうに見込んでくださればいいということです。 ○ 委員 そうすると、10年延ばすと、160億円×3倍で480億円ぐらい減ると、こういうことですか。 ○ 事務局 単年度ではです。1,000分の1.0を1,000分の0.7にするということの単年度の効果というのは、160億×3倍ということです。 ○ 委員 それは10年のケースだと、もっとなりますね。 ○ 事務局 今の1,000分の0.3は、過去債務だけを見た10年延長のケースです。 ○ 委員 過去債務分だけだとそういうことになるということですか。 ○ 事務局 はい。 ○ 委員 いずれにしても、100億給付を行えば、負担は増えるわけですね。そういう意味で、使用者側としては負担の問題については非常に強い関心があるところで、過去債務の償却の問題について、小委員会の場では5年ないし10年ということを申し上げたのですが、私どもとしては10年延ばしということをしていただきたいと思っているのです。その点について、事務局はどういう考えなのですか。 ○ 事務局 これは、議事に先立って私どもから御説明しておけばよかったのですが、小委員会で報告をまとめていただきました。今回、今日総会に提出されたわけですが、今後の審議会の手続として私どもでお願いしたいのは、この小委員会の報告、あるいは本日の議論等を踏まえて、労災保険審議会全体として、労働大臣宛に制度改善についての建議をいただきたいと考えております。今の問題につきましては、小委員会の場でも意見がありました。本日、この総会でも過去債務の期間を10年延長してほしい、といった意見も表明されたわけです。 そういった意見を踏まえて、事務局としては、この点について建議にどのように盛り込めるか、御検討いただきたいというふうに考えております。 ○ 委員 今回の給付というのは、いわゆる「過労死」を防ぐということから、脳・心臓疾患に関連しての防止ということからの給付を考えているわけです。そもそも予防給付という形での主張もあるわけで、そこのところが、とりあえずはいわゆる「過労死」についてやって、しばらくしたら別の分野についても給付をするということになるとすれば、100億にとどまらずに、大変な額に膨らんでしまうということにもなりかねないと思うのです。対象が拡大するおそれはないのかという、その辺についての考え方は事務局としてどうなのか、お答えいただきたいと思います。 ○ 事務局 今回この健康確保支援給付で脳・心臓疾患を対象とした理由としては、この脳・心臓疾患といったものは過重な業務によって発症に至る、そういった場合に「過労死」として社会的に大きな問題になっていることが1つあります。さらに、この脳・心臓疾患につきましては、突然発症し、発症した場合の被害が甚大であること、これも大きな要素であろうと思っております。さらに、今回いわば予防ということを念頭に置いて給付の対象にしたのは、脳・心臓疾患が健康診断等で事前に発症の危険性を把握できるということ。さらに、そういった把握ができた場合、適切な保健指導により発症を予防することができるといったことを踏まえて、今回、脳・心臓疾患を対象として、健康確保支援給付といったものを御提案したわけです。 職場において予防が問題になるといった場面、ほかの場面はどういうことが考えられるかといったことを想定しますと、まず1つはいわゆる化学物質に起因する職業性の疾患等が考えられます。これにつきましては、こういった原因物質と疾病といったものの因果関係が極めて明確です。そういったものにつきましては、今回の給付のように、発症の危険を把握して、保健指導により予防するというような考え方ではなくて、いわば労働安全衛生法の体系の中で、危険物質から労働者の曝露といったものをシャットアウトする。これが基本的な疾病の予防であろうというふうに考えております。 現段階で、もう1つ社会的な観点で問題になっていることでは、メンタルヘルスがあります。業務上の原因もあり、うつ病が高じて自殺するといったようなことが、現在問題になっているわけです。ただ、これにつきましては、小委員会の報告の2頁でも言われたわけですが、現段階で多くの事業場で行われている集団健康診断では、メンタルヘルス面で個別に対応が必要となる者の把握が難しいということを考えますと、脳・心臓疾患と同じ仕組みによる対策というのは、現段階ではとれないというふうに考えております。 以上申し述べたような理由から、今回の健康確保支援給付の対象といったものは脳・心臓疾患に限定して行われる、というふうに私どもは考えているわけです。 ○ 委員 新しい保険給付を皆さん方が受けられるということになったときに、その給付を受けた人が、その後、脳・心臓疾患が発症するということも出てくるかもしれないと思うのです。そういうときに、労災の認定の申請があったときに、労災の「過労死」の認定がされやすくなるといいますか、前に健康支援確保給付を受けていたのだから、「過労死」の認定をある意味では当然やるべきではないかという懸念もあるのではないかと思うのです。その辺、大変心配な点ですが、どのようにお考えか、事務局の考え方を伺いたいと思います。 ○ 事務局 この点につきましても、小委員会で何回かお話させていただいたと思いますが、現在いわゆる「過労死」として認定されるためには、すなわち脳・心臓疾患の発症について、業務起因性があると認定されるためには、「業務による過重負荷により、基礎疾患が自然経過を超えて急激に著しく増悪し発症する」といったことが必要です。こういったことが、いわゆる認定基準に規定されているわけで、認定基準の考え方は、今回の新しい給付の導入によって変わるということは、私どもは考えておりません。 したがいまして、新しい給付が創設された場合、給付を受給していた労働者が仮に将来、脳・心臓疾患を発症したという場合につきましても、別に色を付けて判断するというわけではありませんで、先ほど申し上げた「過労死」の認定基準の考え方に沿って、業務上であるかどうかの判断を行うわけです。 実際問題として考えてみますと、この新しい健康確保支援給付の目的とするところは、二次健診を通じて労働者の健康状態を的確に把握する、そういったものに基づいて就業上の適切な措置を講じさせるといったことが目的です。そういった適切な就業上の措置が講じられるということであれば、実際問題としては「過労死」というような事態にはならないことが多くなるのではないかと考えているわけです。 ○ 委員 そういう給付なり事業ができたときに、なおかつ労働者が裁判所に民事の損害賠償の請求をすると、こういうケースもあるだろうと思います。その場合に、使用者の安全配慮義務の問題が争点になってくると思います。私どもとしてはこのように考えるわけですが、労働者が健康確保支援給付を受給することを促し、その結果に応じて適切な事後措置を講じていれば、使用者は安全配慮義務を相当程度果たしたものと評価されて然るべきであると、このように思っているわけです。また、労働者が当該給付を受給せずに、あるいは保健指導があったのだけれども健康保持努力を怠っている。そういう事実があれば、労働者が怠っているのは過失だと評価されて然るべきだと、私どもはこのように思います。その点についてはいかがでしょうか。事務局は裁判所ではないから言えないかもしれませんが。 ○ 委員 制度の導入とは別の労災が発症した場合の適応問題ですから、この制度の導入問題とは直接関係ないのではないですか。 ○ 会長 私から一言、答えさせていただきます。それは結局裁判所の問題で、委員のおっしゃったのは、ここで事務局がどう答えるという問題でもないと思いますので、その質問はそれだけにさせていただきたいのですがよろしいですか。 ○ 事務局 小委員会でもお答えしてまいりまして、会長におっしゃっていただきましたように、もちろん裁判所の判断だから、事務局がこうだからこうだということにはならないわけです。ただ、この点について、民事上の争いが生じた場合としては、最近の判例を見ますと、労働者の健康状態をきちんと把握しておくこと、それに基づいて適切な措置をとること、こういったものがいわゆる安全配慮義務の大きな要素、ポイントとされているわけです。 そういった点から見ますと、健康支援給付を活用して健康状態を把握し、適切な就業上の措置をとるといったようなことがきちんと実施されているとすれば、これはもちろん最終的には裁判所の判断になるわけですが、私どもとしては、一定程度安全配慮義務が履行されていたというふうに裁判所においても評価されるのではないかというふうに期待しているところです。私どもが言ったからと言っても、これは最終的に裁判所の判断だと会長がおっしゃれば、もちろんそうです。 ○ 委員 先ほど用いた第6回の小委員会に提出された資料の健康確保支援給付のスキーム案なのですが、有所見の場合に事後措置が行われたり、あるいは健康確保支援給付の二次健診等が行われたあとの事後措置につなげると、こういうことになっているのかと思います。企業には、産業医が位置付けられているわけです。その産業医は専属産業医の場合もあるし、嘱託産業医もあるし、産業医の専任義務のない所もありますが、健康確保支援給付の二次健診に基づいて事後措置を講ずる場合の産業医の位置付けについてはどのように考えているのかという点が1つです。 もう1つは、有所見は「死の四重奏」の4項目すべてということですが、この4つの有所見があるということで、自動的に健康確保支援給付が受けられるということになるのか、それとも一旦事業主の所に四重奏であるということが伝えられて、今の制度上、健康診断の結果は労働者に通知するということになっていますので、その辺を踏まえてなのかという問題です。 もう1つは産業医の位置付けなのですが、産業医がいるときに、有所見の人たちの状況を見るということが当然あるわけです。この労災の給付というのは、産業医は全く関係がなしに行われるという制度にするのかどうなのか、その辺はどういう考えなのか伺いたいと思います。 ○ 事務局 現在の労働安全衛生法では、定期健康診断で有所見があった場合、医師の意見を聞いて適切な事後措置を講じなければならないというふうになっております。そういうことから考えますと、実際上、産業医が専任されている場合には、企業においては多くの場合、産業医の意見を聞いて事後措置を講じている、というふうに考えられるわけです。そういった意味におきましては、今回の健康確保支援給付を導入して、二次健診の結果が出てくるということであれば、その二次健診の結果につきましても、産業医が考慮して、職業上の措置について事業主に意見を申し述べるという流れになるのではないかと考えております。 ○ 委員 そうなりますと、産業医がいる会社については、基本的には二次健診を受けるか受けないかというのは、産業医が判断をされるということで理解していいのですか。個人の判断で二次健診を受けるようなことはないということで理解していいのですか。 ○ 事務局 理論的には、今回の法改正で、労働者は二次検診を受ける『権利』をもつことになりますから、法令に定める異常所見がある労働者は、当然に二次検診を受けることができることになります。 もっとも、すでに平成8年10月1日の指針で、産業医のいる事業場では、健診の実施から事後措置に至る各段階で産業医が関与すべきことになっていますから、一般的には産業医の判断がポイントであり、産業医の意見に従って二次健診が行われることになるでしょう。 ○ 委員 専属の産業医がいる事業所であっても、健診は外部の健診機関にお願いするというケースはいくらでもあるわけですね。外部の健診機関で行ったときには、まず健診機関の医師自身が健診の結果についてどういうふうに考えるかという意見を出しているわけです。同時に、産業医としては企業全体の従業員の健康管理を預かっておりますので、そういう意味で産業医は産業医としての判断というのもいまは行われているわけです。それは労働安全衛生法の体系の問題ですが、今度の健康確保支援給付というものは、どの段階で請求の手続が始まるのかという、その辺が、産業医の所を通過してからなのかどうなのかということなのです。 ○ 事務局 制度上仕組むときには、産業医については選任義務がある所、ない所がありますから、法令上それを仕組むというのはなかなか難しいと思っております。 ○ 委員 建設業についても給付が行われるということになりますが、建設業は有期事業と継続とあるわけです。有期事業の場合には、元請の所で保険関係が成立するわけですが、健康診断というのは、下請ごとにその義務がかかっているわけです。この給付というのは、どちらの使用者に対して手続なりということがあるのか。下請の事業主の健康診断で給付が始まるということでいいのかどうか。 ○ 事務局 委員がおっしゃいましたように、健康診断については、下請のほうに義務がかかってくるわけです。そういう観点から考えますと、この給付については、活用された場合には下請の労災保険番号を使うというふうに基本的には考えています。 ○ 委員 給付に関連する事業として、THPという事業が既に労働福祉事業の中で行われているわけです。このTHPの事業と今回の給付との関係についてダブる点はないのかどうなのか、その辺についての考えをお聞かせいただきたい。 ○ 事務局 私の答えが不十分であれば、THPはあとで安全衛生部から補足をお願いしたいと思います。THPは、基本的には、健康である人が健康であり続けるといったことを主目的とした事業です。今回の健康確保支援給付につきましては、脳・心臓疾患の発症のリスクが極めて高い人をまずは定期健康診断で補足をして、発症のリスクがどの程度あるのかどうかを健診で確認した上、適切な事後措置を講ずるというものです。ことにより脳・心臓疾患の発症を予防することを目的としております。 また、 一方で、医師による保険指導を講ずることによって、より悪化しないようにするということですので、そういう意味ではTHPとの区分といいますか、目的は異なるというふうに私どもとしては考えております。 ○ 委員 すみません。大概にしてもらわないと、相当おさらいだし、労災保険法の勉強会ではありませんから。 ○ 委員 勉強で聞いているつもりでは全くございません。保健指導をやるというのは、医師がやるということになっているわけです。それは結局、エコー検査とか、頸部検査とか、そういうことを行ったところの医師が行うとこういうことになるのだと思いますけれども、それらの医師は。 ○ 委員 そんなことがわかっていないのだったら、これは小委員会にもう1回差し戻してください。それなら報告書は今日出さないでください。 ○ 会長 委員の御質問は、あと何項目ぐらいありますか。 ○ 委員 あと5、6項目です。 ○ 委員 基本問題がわかっていない。そんな問題を再確認しなければならないのなら、それは小委員会に戻してください。 ○ 会長 すみませんが、時間もありますので、御質問をまとめてお願いしたいと思います。 ○ 委員 今の問題と、この給付についてはメリット制の適用の場合の費用に反映されるものなのかどうなのか、という点が1つです。また別の機会に聞くことにしましょう。 ○ 事務局 メリット制の適用に関してですが、メリット制は先ほど建設業の時も御議論がありましたが、基本的には企業の災害防止努力を料率に反映させよう、という考え方です。今回の健康確保支援給付については、一定の所見を持った労働者が、その企業にどのぐらい出現するかといったような問題は、いわば企業の災害防止努力とは次元の異なる要素が多くあるわけです。そういった意味ではメリット制の適用に際しては、健康確保支援給付については、いわば通勤災害と同じように除外して考えるという制度を仕組む必要があろうと考えております。 ○ 会長 どうもありがとうございました。 ○ 委員 今までの質疑を聞いていて、疑義と意見があります。まず1つは、平成13年度からこの健康確保支援給付事業を行うということであれば、料率はどうなるかという質問があり、それに対する答えがありました。小委員会の中では、健康確保支援給付事業については、料率を改めて引き上げてこれを実施するという、そういう議論も確認されていないので、いまの保険料率の中でこれは新たな施策として制度を導入するということの議論であったというふうに私どもは判断いたしております。料率を改めて改定するかどうかについての返事を、もう一度、明確にしてもらいたいということが1つです。 2つ目は、この事業をやったら、年間およそ100億円程度があるということで、今後その対象が拡大すると100億円にとどまらないという話がありまして、それに対する答えも出てきましたが、極めて不明瞭でありました。私どもとしては、健康確保支援給付事業を行えば、労災の減少というものにつながると考えておりますので、この支援制度導入に伴うメリットも出てきますから、総支出との関係については改善をされると、こういうことも当然考えるべきです。また、それが前提でなければ、こういう制度を導入する必要もないわけですから、その辺りは事務局でちゃんとした見解を持たなければいけないです。そのような質問と意見を申し上げておきたいと思います。 もう1つは、10年延ばしに対する事務局の考え方が出てきました。この小委員会報告の中では、きっちりと整理をしてもらった上、その後の取扱いとして整理をされるように、重ねて要請を申し上げておきたいと思います。 ○ 事務局 1つ、料率の問題ですが、これは理論といいますか、論理的な問題と実際問題を分けて考える必要があろうというふうに考えております。1つ、理論的、論理的な問題としては、労災保険制度の中に新しい給付といったものを仕組むということであれば、理論的には給付のために必要な費用、経費といったものを料率に反映させる。その意味では料率が上がるというようなことになるわけです。理論的、論理的にはそのとおりです。ただ、実際問題としましては、金額のレベルがどうかといった問題が1つです。それから、労災につきましては、労災事故の動向に応じて、労災保険料率を見直す必要があるということが1つあります。そういった点を考えると、現段階で私どもが考えている給付の対象が30万人程度、必要な検査等々を考えると100億程度というふうに私どもは現在見込んでおります。そういったレベルの金額です。それから、昨今の労災事故の減少を鑑みました場合に、労災保険率が低下するであろうという見込みです。 そういうことを考えますと、実際問題として、13年度からスタートする料率、これは業種別には別ですけれども、全業種を平均した場合には、料率を上げるということをしなくても、新しい給付を労災保険制度の中に導入することができるという趣旨で申し上げたわけです。 メリットの問題として、確かに委員がおっしゃるように、予防給付を実施することによって、「過労死」の認定が減少する。そういう意味で、労災としての総支出が減るといったことを、私どもは当然期待しているわけです。そういった効果は当然あろうかと思います。ただ、個々の事業、企業について見ますと、予防給付として企業の保険番号を使って支出するという場面においては、一定の有所見が出るといった労働者がどの程度いるかどうかというものは、企業の災害防止努力とは若干違う次元の問題ではないか。そういう意味で、メリット制の適用に当たっては通勤災害と同じような取扱いをしたほうがいいのではないかというようなことで申し上げたわけです。ちょっと質問の趣旨を取り違えていたら申し訳ありません 対象につきましては、現在、社会問題になっているのはメンタルヘルスがあるわけですが、現在の精神医学の状況、健康診断のやり方等々を考えますと、健康診断を通じて、予防ということをメンタルについて考えるというのは現段階では難しい状況にあるといったことを申し上げたわけです。過去債務につきましては、私どもとしては先ほど申し上げましたように、建議にどのように盛り込めるか御議論いただきたいということです。 ○ 会長 小委員会の委員でなかった委員の方の御意見、御質問がありましたら伺いたいと思います。特にありませんか。全体として、この報告書について、特に御意見はありませんか。長い間議論いただきましたが、この報告書を受けて、次回にどういう建議をなすべきかという議論をさせていただきたいと思います。 本日の審議はこれで終わりにさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。 |
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照会先 労働基準局労災管理課