中央職業能力開発審議会第181回総会議事録
労働省職業能力開発局能力開発課
日時 平成11年7月26日(月)10:00〜11:30
場所 労働省省議室
議題 (1) 平成12年度の職業能力開発施策について
(2) 労働市場をめぐる諸情勢の変化と今後の職業能力開発施策の課題について
(3) その他
配付資料 No.1 平成12年度重点施策(案)(職業能力開発局)
No.2 労働市場をめぐる諸情勢の変化と今後の職業能力開発施策の課題について
No.3 「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策」について(抄)
No.4 「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」について
No.5 「中央省庁等改革」について(労働省関係部分)
No.6 ものづくり基盤技術振興基本法について
出席委員 学識経験者  尾高 煌之助
 小池 和男
 早川 宗八郎
 古郡 靹子
労働者代表  市川 清美
 草野 忠義
 鈴木 利文
 堀口 雅行
事業主代表  小嶋 隆善
 讃井 暢子
 杉山 幸一
 山田 恒夫

(会 長)
 「中央職業能力開発審議会第181 回総会」を開きたいと思います。それでは早速議事に入りたいと思います。最初の議題は「平成12年度の職業能力開発施策について」であります。それでは事務局から、ご説明をお願いいたします。

(事務局)
 (資料No.1に基づき説明)

(会 長)
 どうもありがとうございました。ただいまのご説明について、何か、ご質問なり、ご意見ございましたらどうぞ。

(委 員)
 「職業能力評価制度の充実」ということですが、今の技能検定制度は、いろいろ規制緩和の問題が一方ではかかっているわけですが、そういった中で、相当根本的に見直しをし、 場合によっては、今の職種の枠から超えて、ホワイトカラー、そのほかまで全部ひっくるめたようなところまで考えての評価制度の構築をしようというふうな意味も含まれてくるのでしょうか。

(事務局)
 現在の技能検定制度は国家検定ということで、これも着実に推進していく必要があると思います。併せて、民間の能力検定機関が行います能力検定をきちっと法的に位置付けて、その整備を図りながらエンプロイアビリティの確立に向けて基盤整備を図っていきたい。そういう趣旨で、こういう整備を図っていく必要があるのではないかと考えているところです。

(委 員)
 民間の検定制度等を中心にしていくという考え方になるのでしょうか。

(事務局)
 それを含めて整備をしていくということによって、客観的な評価制度を確立していこうと考えております。

(会 長)
 ホワイトカラーにも拡大するかどうかは、まだはっきりしていないわけですか。

(事務局)
 ここでホワイトカラーのお話がありましたが、民間の評価制度を中心に、どういった形で展開するのか、さらにこれから詰めていきたいと考えております。

(委 員)
 結局、能力開発全体が、やはりこの評価制度と絡んでいるわけで、実際には雇用の問題と関連して、各個人が自主的な能力開発をしようが、あるいは事業所の中でやろうが、どれだけ能力があるかということの評価というものが、本当は一貫して、全体で出来上がる制度の中に入っていることが望ましいのだろうと思うのです。ただ、今やっている技能検定制度、及びある意味では、それに近い性格の絡んだ民間のもの、それをひとつ統合していくというのは、本当に最初のステップなのかな、という感じがするのですが、その辺はどうでしょうか。

(事務局)
 訓練と100%結び付くかどうか。当然能力開発の取組を行いますと、どういう水準に到達できるのか、それが客観的に明らかにならないと、やはり訓練効果という測定自体ができないということになると思います。そういう意味で、こういう評価制度の整備が、いま求められている課題ではなかろうかという認識でおります。

(委 員)
 それは私も大変結構だと思います。

(会 長)
 ほかには、よろしいでしょうか。

(委 員)
 その評価というもの自身が、ただ単に技能検定ということに止まるのではなくて、今回大きな柱になっている自発的な能力開発の推進に対しても、自分たちがどこを目指すかという部分で、いわゆる能開法上の基本計画にありますように、産業なり業種の体系的あるいは段階的に、その都度、その都度によって評価できるというようなステップアップのトータル的なシステムが、もっと大切ではないかなと思うのです。それで民間を使ったバージョンアップについても、私たちは今まで何をしてきたのだ、その次に何がほしいのだというような部分、ただ単に技能検定の検定職種ということではなく、今までの職歴で、何をやってきて何を足せば何の職業に就ける、という部分のトータル的なプランを国として標準的なものを作ってやる必要があるのではないかと思うのです。
 ですから、ここの評価制度も、ただ単に技能検定ということではなく、もっと日本の産業、業種に立脚した、そして何をやってきたんだ、何をするのだ、というような部分まで広めていく必要が、もっとトータルビジョン的なものが必要ではないかと思うのです。ここで技能検定だけに固執しているのは、ちょっと狭いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

(事務局)
 ここでは、技能検定制度については必要な見直しを行うとともに、民間の評価制度についても整備を図ろうということです。そういう意味では、技能検定制度に限定するという考え方ではありません。むしろ、そのためにどういう評価制度があるのか。いま委員がおっしゃったように、段階をはっきりして、というふうなことだったのですが、一遍にそこまでできるかどうかは別として、きちっとした横断的な評価制度というものの整備を図っていく必要があるのではないかという考え方でおります。

(会 長)
 今の点でも、ほかの点でも、何かございますか。

(委 員)
 教育訓練給付制度についてお尋ねします。労働者の自助努力を支援するということで非常に画期的な制度だと思っております。これまであまり時間は経っておりませんが実績といいましょうか、申請の状況とか、当初の計画と比べてどのような感じかとか、そういう情報がありましたら教えていただきたいと思います。

(事務局)
 実は、受講してすぐ給付金をもらえるというのではなくて、訓練が修了してから申請ということですので、まだ訓練中の方が多うございまして、実際に修了した方は、出始めたというところが実情です。現在のところ、累計で4,000 人ほどが実際に12月からの訓練を受講して、5月までに4,000 人ほどが受給に来ておられます。

(委 員)
 4,000 人の何かコースの中身とかに特徴があるのでしょうか。どんな分野にというような。

(事務局)
 利用の多い講座は、例えば、行政書士とか、そういった事務処理の関係。それから法務、財務、経営の関係、例えば社会保険労務士とか、中小企業診断士とか。あるいは社会福祉、医療保険の関係、例えば介護福祉とかヘルパー、そういったところがベスト3ぐらいの感じになっております。

(会 長)
 期間は、どのぐらいが多いのですか。

(事務局)
 教育訓練の講座、そのうち通信もありますが、1カ月以上、あと1年以内の範囲で多様な期間があります。それは弾力的です。今ここで受講しておられる方が期間別に、何カ月の訓練を受講してこられているのか、ちょっと手元に資料はございませんので。

(委 員)
 今のに関連してですが、民間のいろんな教育システムの、どれを対象にするかというのは労働省がお決めになるのではなかったのでしょうか。どういう所が対象に、例えば大学院なんかでも、いいんでしたよね。それは自動的にいいということではなくて、行政のほうで、どれがよくて、どれが対象でない、ということも決めるということだったと思うのですが。その辺はどういうふうになりますか。

(事務局)
 教育訓練給付については、労働大臣の指定する教育訓練講座から選択していただく、ということにいたしております。今回の緊急雇用対策の中で大学院等を対象にするということで拡大を図ることにいたしております。
 もともとこの教育訓練給付制度については、例えば趣味的なものとか、基礎的なもの、あまりにも短期であるもの等については、一応対象外にいたしております。今回の6月に決定されました緊急雇用対策の中で、特に大学院等の活用ということもありまして、教育訓練給付制度の対象として夜間大学院、通信制大学院等の修士課程、また、大学院等の高等教育機関が行いますコース登録制を対象にすることとしたところです。
 指定基準の考え方ですが、まず教育訓練給付金の支給の対象となる教育訓練の指定基準として、教育訓練実施者についての基準、教育訓練の内容あるいは期間、時期あるいは指導者等、教材等の問題が一応基準として定められているところです。
 この中で、今回の緊急雇用対策に伴いまして、大学院等の夜間の大学院、あるいは通信制の大学院の修士課程を教育訓練給付の対象とするために基準の改正を行ったところです。高度の専門教育であって労働者が就業と両立して教育訓練を受講することが可能であるものにあっては、概ね2年以内、ということで新しく指定基準に追加したところです。

(委 員)
 一般の従業員が自分で訓練をしようと思った時に、対象となるもの、自分が考えているものが当てはまるのか、当てはまらないのかというのは、どういうふうにして分かるのですか。何かパンフレットみたいなものをお作りですか。

(事務局)
 指定講座にどのようなものがあって、自分の希望のものがあるかどうかということについては、安定所等には冊子で分野別にいろいろなものがありますが、それだけでは十分ではないので、いま労働省のホームページがあります。その中に、すべての講座の内容を見ていただけるような形になっています。

(委 員)
 関連してですが、修了されて給付金を受けた方が4,000 人程度という話ですが、いま受講中の方は、大体どのぐらいになっているのでしょうか。どのぐらい受講していて、そのうち4,000 人は修了していますよ、ということになるのでしょうか。

(事務局)
 実は、いま指定講座が4,000 超あります。その中で、実際に本人が受講されて受講修了した段階で安定所のほうにお持ちになりますので、多数の教育機関の中で、どれだけの方が受講されているかは、ちょっと分かりません。

(会 長)
 いまお話のあった夜間大学院は、まだでしょう。これからですね。

(事務局)
 そうです。

(会 長)
 ほかに、何かございますか。

(委 員)
 折角国が新しくいいことをやろうとしてもPRが足りないというか、この辺については、いかが考えておるのでしょうか。現場では、意外と分かっていないのです。確かにホームページを見れば分かるんでしょうけれども。

(事務局)
 今回の重点施策の中で入れています情報提供体制の整備、例えばこの教育訓練給付について、必ずしも情報が提供できているような状況ではないものですから、そういったことを考慮しながら、そういう体制整備を図っていきたいと考えております。現時点で、例えば講座について必ずしも十分周知が図られていない、というご指摘はあろうかと考えております。

(委 員)
 ただ単に、労働省でいいものをやっていますよ、こういう制度ありましたよ、というような部分ではよろしいのですが、なかなかそれが浸透していない。技能検定の、先ほどの問題もありますけれども、これから労働省として職業能力開発に関する相談援助が、ただ職業能力開発ではなく、雇用の安定に資するという部分の大前提がありましたら、やはり、今まで自分が何をやってきたんだというような部分でビジュアル的に精査できるもの、そして、その職業訓練によって、それをプラスすることによって新たな職業能力訓練をし、そして開発をして新たな就業、あるいは雇用の安定につながるというところまでの相談援助なり、あるいはカウンセリングなり、ガイドをするというような体制整備まで考えているのかどうか、その辺を、ちょっとお知らせいただければと思いますので。

(事務局)
 現状で、例えば情報提供について不十分な問題があると。特に自発的な能力開発を進めるに当たっては、どうしても専門的な相談というのが不可欠であろうと。それによって適切なアドバイスに基づいて自発的な能力開発が可能になるだろうと。そういう意味での体制整備といいますか、そういうふうなきちっとしたものを作っていかなければならないだろう、という基本的な問題意識は持っております。
 ただ、一遍に全てできるというわけにはいきませんので、そういうものを段階的にどうやって進めていくかということで、今後の方向性の柱として考えているということです。

(委 員)
 民間の能力開発機関を使うということになると、かなり大きな人数が、先ほど修了者4,000 人という話もありましたが、今後どんどん伸びてくると思うのです。そこで相談援助の適切なアドバイスをして、アドバイスの結果、やっぱりこの訓練を受けて良かったな、というようなところまで持っていかなければ。ただ単に訓練を受けたということにしないで、先ほど言いましたように職業の安定につながる、あるいは自分の向上につながるというところをアドバイスしてやるということが、より効果的になるのではないかと思います。
 ただ単に失業者だけではなく、退職者もということになると、全国的にはすごく大きな数が今後予想されるということですので、この相談援助、情報提供の支援体制は、是非、目玉として拡充をしていただきたい、という要望を付け加えてお願いしたいと思います。

(会 長)
 企業内で相談支援を担当する方はいらっしゃいますが、組合はどうですか、そういうのは。組合は、能力開発担当のような方は、いらっしゃるとなかなかいいのではないかと思っているのですが。

(委 員)
 具体的に、単組でどういうふうにやっているか、というのは私もよく知りませんが、幾つかの事例では、やはり職業能力開発を労働組合の仕事の1つと位置付けてやっている所もありますので、中にはあると思いますが、全般的にということになりますと、なかなか、そこまではいっていないのではないかと思います。よそのことはよく分かりませんけれども。

(委 員)
 均等法で教育訓練が男女平等になったということで、例えば、これまで教育訓練について労使の協議事項、あるいは、協議とまではいかないまでも、議題として挙げられていなかったものも均等法が出来たということで、労働側からは積極的に提議をし、教育訓練についても労使の問題ということでやっていきましょう、というような促進はされていると思います。

(会 長)
 全建総連とか、非常に伝統ある組合は熱心にやっているのですが、そうでない場合は、例えば、それが労使協議に取り上げる回数は、必ずしも多くないような気がしますので、私個人的には、なるべくなら組合の方も、そういうことを少しリソースを配分していただければ有難いという感じがします。
 この点は次の議題とかなり重なりますので、次の議題のご説明をいただいて、両方についていろいろご意見なり、ご質問をいただくということでよろしゅうございますか。

                     (異議なし)

(会 長)
 それでは、次の議題の説明をお願いいたします。

(事務局)
 (資料No.2に基づき説明)

(会 長)
 どうもありがとうございました。ただいまのご説明について、何か、ご質問なり、ご意見がございましたら、どうぞ。

(委 員)
 「全期間を通じて段階的かつ体系的に」という所は、「期待されてきたが」という言葉ですが、期待されたけれども出来なかったという否定語で我々はとるのです。やはり、体 系的、段階的な職業能力開発というのは、私は根幹だと思うのです。それを捨てないで、その都度、その都度対応していく、あるいは支援していくというのではないかと思うのです。これは、期待されたけれども出来なかったから今度こっちに移る、ということですか。そうではないと思うのですが、いかがでしょうか。

(事務局)
 表現に不確かなところがあるかもしれませんが、我々の問題意識は、要するに事業主に職業生活の全期間を通じて段階的、体系的に全て行っていただくということを基本に期待しておったと。しかし、労働移動が増大する、雇用の流動化が進む中で、そういった期待を事業主に全てお願いする、というふうなことは、必ずしも現在の状況に合っていないのではないかと、そういう趣旨で「期待されてきたが」と。要するに、出来なかったからということではなくて、今の状況の変化に対応するには、こういう期待ということがふさわしいのかどうかということを、これからご議論いただく必要があるのではないかと考えておる次第です。

(委 員)
 関連してですが、期待されてきていたけれども今後もそれは期待されますと。それに付加して労働者個人の者が加わるような格好にして、その比率は変わるでしょうけれども。何かこちらが全部否定されてしまって今度こちら、という感じの表現なんですよ、これは。何かもうちょっと補足したほうがいいような感じがしないでもないですね。

(事務局)
 この場は議論のたたき台ということですので、また次回、検討に当たって表現等については、また工夫させていただきたいと思います。

(会 長)
 今日は基本的なアイディアなりをお出しいただければよろしいと思います。

(委 員)
 今後の課題についてということですが、今までの課題と違うものを今後は考えていく。それはなぜかと言うと、状況が変化したからだと。それがこの議題のテーマですか。何でこれがいま問題になっているのかを、ちょっとご説明いただけますか。

(事務局)
 これから先の能力開発施策を検討するに当たって、我々事務局でいろいろ検討する中で、現在の職業能力開発の法体系が、必ずしも今日の経済社会情勢に適合していない面があるのではないかと。そういう意味で能力開発の法体系自体の制度的な検討を必要としてきている状況にあるのではないかと考えているところです。その前提として、私どもとして、こういう問題意識を持っているということで、そういう課題として検討していることについて、この審議会の委員の先生方で、どういうふうなことをお考えなのか、お聞かせ願えればということでお出しした次第です。
 どちらかと言いますと、資料1については、来年度の重点施策ということで、比較的短期の問題意識でして、2のほうは、少し中長期、かと言って能力開発計画をどうこうするということではありませんが、今後そういう観点に立って、施策を検討するに当たっては、制度的な検討を必要とする場合の1つの視点ということでお出しさせていただきました、ということです。

(会 長)
 そうすると、少し長期のことを考えたいと。

(事務局)
 はい。

(委 員)
 私は逆にとったのです。「職業生活の全期間を通じて」というのはやめて、いま就業しなければならないから、就業能力の向上をやることに観点を移しましょう、というふうに取ったのですが、そうではないのですね。

(事務局)
 確かに、文章表現に問題があるかもしれませんが。

(委 員)
 要するに、段階的、体系的に職業生活の全期間を通して構築していきましょう、というのを、何か少し筋を変えて、現状の労働状況でいったらそんなことは言っていられないから、いま勤められる場所を探すような能力開発をしましょうと。そういう方針転換をしましょうというふうにも読めるのですが、その点ではどうでしょうか。

(事務局)
 今までの体系は職業生涯を通じた能力開発というものを企業内で行うということになっていたと思うのですが、それで全てがカバーできるかどうか、という問題はあるのだろうと思います。そういう意味で、「期待されてきたが」という所が、ちょっと表現が不十分だと言われれば、そのとおりかと思いますが。むしろ事業主の支援策として、こういうエンプロイアビリティの向上といった観点に立っての支援策、ということも必要な状況にあるのではないかと。そういう問題意識をまとめさせていただいたという気持ちです。

(委 員)
 今までそれぞれの企業で、教育を相当やってきたと思いますが、その主眼は、やはり職業生活という一般的なものではなくて、その企業の仕事に対する教育ということを主眼としてやってきたところがあります。その結果として、それは当然世間に通じないものではありませんから、一般的な意味の能力も身についておったとは思いますが、その意図するところは、会社のためということでやってきたのではなかろうかというふうに思います。
 今回、こうお書きになっておるものを見ると、そういうものも大切であろうけれども、その他に労働移動の増大に伴った、ご本人の一般的な就業能力という言葉の中の、いわゆる転職能力というか、そういうものの向上を図るようにしていきたい、というように私は受け取ったのですが、いかがでございましょうか。

(事務局)
 転職を含めた、要するに訓練については、その企業に役に立つ訓練が外でも通用するということですが、基本的には、そういうことなのだろうと我々も考えていました。企業内の訓練として当然その企業内に役に立つ、かつ、外でも役に立つような訓練という形での推進といったことに、より比重を置いたこれからの取組が必要なのではないか、という観点から一応整理させていただいたつもりでおるのですが。

(会 長)
 ほかに何か、ほかの点でも結構ですけれども。

(委 員)
 今でも70万〜80万いると言われる派遣労働者の多くは女性の登録型です。今度ネガティブリスト化されるということで増えていくことが想定されるわけですが、彼女たちの働き方というのは、契約期間が切れると登録会社でスキルアップのための研修を受けている。それで、また新たな契約期間を待っているというような形です。そういった派遣労働者に対しての職業能力アップの支援というのも今度の課題の中に入っているのでしょうか。

(事務局)
 これ自体は少し横断的に考えたものですから、特定の分野とかということまでは、必ずしも意識はしておりませんが、当然、派遣労働者あるいはパート労働者という層は、これから増えてくると思いますので、そういった観点からの取組も必要になってくるだろうと 思っております。

(委 員)
 国が行う能力開発について、どのようなプログラムを受けて、その結果、その後の就職状況はどうで、どのようなキャリア形成が行われているか、というような受講生についての追跡調査、そういうものについて何か今まで大掛かりな調査をやられたことがあるのかどうか。受講生の進路状況が分かるような情報があれば、それをお示しいただくなり、あるいは、一般に広く情報公開していくということが大事ではないかと思っているのですが。

(事務局)
 追跡調査という形では必ずしもないかと思いますが、例えば離職者について訓練を実施して、訓練修了後どのぐらいの方が就職されている、どういう分野に就職をなさっている、追跡としては、2〜3カ月後にどのぐらいの方が就職をなさっているということは、それから後の訓練を展開するに当たって必要ですので、そういった意味での情報は、全数とはいきませんが、サンプル的には把握しております。

(会 長)
 能力開発についての情報は、外からアプローチするのには比較的難しいのですね。つまり、「能力開発ブック」みたいなものがあまりないのですね、数年置きにはあるのですけれども。ですから是非、いつか機会をみて考えてください。簡単にアプローチすることは一般には、なかなかできない。例えば検定を受けた人は何人かという数字自身も、必ずしも案外多くないのです、外から見る場合。それもいつか考えていただければ有難いと思います。

(委 員)
 サポートしたいと思います。今後の課題を考えるということですから、その前提として今までやってきたことをどう評価するか、ということが当然問題になってくる。それについては、いま委員がおっしゃったことが非常に重要だと思うのです。だから、もしできたら私ども、大学等で関係するものはご協力してもいいわけで、是非、分析をしていただいて、今までの状況がどうで、どういうふうに評価されるかという。つまり、職業能力開発のプログラム自体の評価をする、ということが重要ではないでしょうか。もし必要ならば、私どもお手伝いをしてもいいと思います。

(会 長)
 第1点の労働者の自発的能力開発の重要性の増大ですが、これはもちろん大変結構なことなのですが、その時にはっきり2つのことをわけて、それぞれに注目してほしい。1つは、労働移動が増大する中で必要になったということは結構なのですが、しかし、2つには、労働移動がない場合でも、非常に高度な技能の場合には、例えば、どういうコースに行くかは企業はなかなか判定しにくくて、かなり高度の技能を持っている本人の選択なりが重要になってきている感じがいたします。私が知る中で、これは前にも言いましたが、いちばんよくやっているのはアメリカのモトローラという会社ではなかっただろうか、という感じがします。日本ではそれほど見たことがない、あるのだろうとは思いますが。
 2番目の公正で客観的な職業能力評価制度も極めて重要でありますが、ここで私が申し上げたいのは2つあります。1つは、これは何回もここで言っていてあまり迫力はないのですが、基本的に実務経験の評価に力点を置かざるを得ないであろうというふうに思うのです。つまりテストとか、そういう方式を捨てるわけでは全くない、それはそれで、もちろんいいわけです。それが従来の技能検定なりにいろいろあったわけですが、それとは別に、実務経験を評価すると、どうしても曖昧さが残りますが、それでも、それを評価していく方法が必要であろうというふうに思います。それがかなり今、西ヨーロッパ、アメリカのかけ声だけは大勢ですが、本当は、これは日本がいちばん上手なはずではないかと思います。
 ただ、その場合にきちっとはなかなかいかない、どうしても曖昧さが残る。つまり、やさしい仕事であれば割りときちっと計れるのですが、ちょっと面倒な仕事だと仕事をよく知っている人の主観的な判定がどうしても加わる。そういう意味ではしょうがない面がある。
 その上で更にもう1つ申し上げたいのは、多分、産業ごとにきちっと標準化できるレベルというのは、恐らく技能の中の、名人上手は別にして、中レベルぐらいまでかもしれない。そこから上は、もっと曖昧さが増すということを十分承知でやる必要があるのではないだろうか、という感じがします
 3番目は職業生活の全期間を通じてというのは非常に重要なことで、これは今後も堅持すべきことです。

(委 員)
 派遣労働者の能力開発とか、パートタイマーの能力開発については、私自身、大変難しい。どうやってエンプロイアビリティの向上を高めていけばいいのかについては、常日頃わからなくて。
 例えば、コンピューター関連の技術のようなものというのは、最近非常に重要なんだろうと思うのですが、あれはややもすると、すぐ古くなってしまって、適応力のない人には5年も経つと使いものにならないような人になってしまう、という傾向があるのではないかと思います。ですから、何か永続性のあるような技術をどうやって身につけさせていったらいいのかということを、能力開発を考えるときには、今後検討していっていただきたいと思います。

(会 長)
 計算によりますと、今は4分の1ぐらいになっていて非常に大きな人数です。しかも、最近のアメリカの文献だと、派遣とかパートの方に期待する技能が非常に高まっている。だから、いろいろ悩んでいるみたいですね。つまり、今まで正社員が担当していたのが、どんどんパート、派遣に変わっていくわけですから。そうすると、そういうところの能力開発は、やはり必要で、その必要なのをどうしているか。見ていると2つあって、1つは非常に気の毒な、つまり就職の前の前提条件として、本人負担でいろいろコースに通ってたくさん単位取って来いというのと、もう1つは、本当は企業内でやるのがふさわしいようなコースまで全部、外に任せてしまう企業がたくさん出てきた。この2つみたいです。
 それは必ずしもあまりいい傾向ではないような気がしますが、大いに研究課題としては。

(委 員)
 課題を全体的にまとめられている問題認識そのものは、大体私どもが持っている認識と大きな差がないのでいいのではないかという感じはいたします。実際に私どもが企業にあって感ずるのは、なかなか難しいのでしょうけれども、結局エンプロイアビリティというのも、何らかの形での証明みたいのがいるとすれば、やはり評価制度がどうしても気になってくる。ただ、現実に実効あるのは、なかなか出来てこないというのが現実の悩みだろうと思います。
 先ほど会長がおっしゃったのは、どちらかと言うと実務経験。ブルーもかなり念頭にあるのかも分かりませんが、実際はホワイトが今いちばん大きな焦点になってきていて、労働省の方が書かれたのもホワイトカラーが、かなり中心になりつつあるということを意識されているのだろうと思うのです。例えば実務経験の評価というのも言われました。それはいいのだろうと思うのですが、例えば業歴というか、途中入社者の面接などは途中経験は入ってくるわけで、そういう意味でエンプロイアビリティの証明というのは、あまり良くはないけれど、ペーパーテストではないけれども、何か証明する部分というものを、あるコース、学校のコース、あるいは通信教育のコースを国として、国でやるとなかなか難しい部分があるとすれば第三者機関みたいな所で認定する所を。私はブルーは相当できていると思うのですが、ホワイトカラーのほうの、そういう共通の標準能力評価のクラス付けというのが、これから大きな課題ではないかという感じがしております。べき論としてはみんな分かっていると思うのですが、具体的に、実効あるものとして提言できるような形でまとめていただければというふうに、是非、お願いしたいと思います。
 それから3番目、いろいろ出てきているのですが、実は私は、わりと逆にサーッと読めました。要するに労働者に対する職業生活の全期間というのは、今までは終身雇用で一企業に閉じられていて、要するに企業にお任せしていたと、それでまた良かったという意味が前段で、それが民間に任せていただけでは済まない時代がきて、むしろ一企業だけに閉じるのではなくて、いろんな形での可能性を含めて労働市場が自由化されてという形の中で、国がやるべきものが、こういうところに重要になってくるのではないかというふうに読んだので。むしろ問題認識としては、終身雇用からの脱皮という意味で、企業もそれを考えなければいけないけれども、本人もそういうものを意識して、それに対して支援策として企業では無理な面もあるから、国として支援していくという、こういう趣旨だろうと思いますので、言っておられることは、私はいいのではないかと思います。

(委 員)
 今後の職業能力開発施策の課題ということで長期的に大きいことを考えるということであれば、それなりに重要でありますし、十分よく考えられていると思いますが、3つほど考える材料を提供したいと思います。
 現在日本経済は非常に大きな困難の中にありますが、私個人的には、この困難はいずれ必ず克服されると思うのです。克服されるということを考えに置いて、将来に向けての職業訓練のことを考える必要があると思います。そういうふうに考えますと、長期に大きいことを考えるということでしたら、少なくとも3つほど考えて、視点に置いておく必要があるのではないか。
 1つは、前にも言ったことがありますが、職業教育というのは一般教育と連動するものですから、教育制度一般との連動をどういうふうに考えるかということを、どこかで考える必要があるだろうと。「エンプロイアビリティ」と書いてありますが、就業能力とか、あるいは即戦力というのは、私は大学を含めた教育制度の中で培われる基礎能力と無関係のものではないと思いますので、そういう観点からも。あるいは、今まではキャッチアップで済んだけれども、これからは創造的な開発能力が必要とされると言われておりますが、そういうことを目指して一般教育、あるいは職業教育の中で、そういう要請に対してどういうふうに対応していったらいいかという、教育哲学も含めて教育制度との連動を考える必要があるのではないかというのが1つ。
 もう1つは、日本の社会というのは、基本的に職業生活に関しては男の社会だと思うのですが、もっと女性労働を活用する必要があるだろうと思います。そのためにいろいろと難しい問題があります。例えば少子化にどういうふうに対応するか、先ほど話題になった派遣労働者をどう考えるかという問題があります。たくさん難しい問題があるのは承知の上で、しかし女性労働を活用していくにはどういうふうに考えたらいいか、その中で職業 開発あるいは職業能力開発をどういうふうに位置付けたらいいかという問題があるだろう、ということが2つ目です。
 3つ目は、国際労働移動を考えておかないといけない。最近は不況のためにあまり問題になっていませんが、外から来る労働、あるいは外へ出掛けて行く労働、両方の面で国際労働をどういうふうに位置付けるかということも考えなくてはいけない。そういうコンテキストの中で職業能力開発を考える必要がある、ということを忘れないように、注意を喚起しておきたいと思います。

(委 員)
 基本的には、労働者の自発的な能力開発を強調しましょうと。これまである程度事業主が中心だったものをコンビネーションにしていくというのでしょうか、なるべく環境変化に対応できるように事業主の責任と、それからあとは自助努力と言いましょうか、コンビネーションで職業能力を考えていくという発想だと思いますので、基本的な方向としては正しいものではないかと思います。
 先ほどからお話がありましたように、働く側もいろんな働き方をする人がいると、必ずしも企業と密接に結び付いているわけではなく、パートですとか、派遣ですとか、いろいろな働き方をする人がいるということ。仮に企業に長い間働いているにしても、ある程度自主的に自分のキャリアの方向というのを決めていきたいということになれば、やはり自主的な能力開発の重要性というのでしょうか。そして、それに対する支援というのが重要になってくるというのは当然だと思います。
 ですから、基本的な方向としては賛成をしたいと思いますが、やはり職業能力開発ですので、実際の職業に結び付くというのでしょうか、そういう能力開発をどうやってやっていくか、というところが重要だと思うのです。市場のニーズといいましょうか、あるいは将来の産業構造の方向性とか、そういったものに合致した職業能力開発の支援をしていくにはどうしたらいいかという、その方向性だけではなくて、メカニズムといいましょうか、そういうところも少し考える必要があるのかなと。端的に言えば、民間との協力といいましょうか、労使と言ってもいいかもしれませんが、なるべく現状に立脚した情報を得て、それで何が必要かということを見極めながら、そういった方向の能力開発に支援を行っていくという、メカニズムといいましょうか、そういう制度的なものもお考えいただいたらいいのかな、というような気がいたします。
 もう1つは、一律のものではなくて、ある程度地方で職業能力開発のニーズについて特色がある、そういったものをどうやって吸収していくか。中央だけで考えるのではなくてローカルなレベルに落として考えるとか、そういったことも必要なのかなというような気がいたします。

(会 長)
 それは長期の課題でありますので、多分、何回も繰り返し出てくると思います。いろいろ大事なご意見ありがとうございました。
 あと幾つか報告がありますので、報告のほうに移ってよろしゅうございますでしょうか。

                     (異議なし)

(会 長)
 それでは、ご説明お願いいたします。

(事務局)
 (資料No.3に沿って説明)

(会 長)
 どうもありがとうございました。ただいまのご報告について、何か、ご意見、ご質問がありましたら、どうぞ。

(委 員)
 「自主選択方式による能力開発事業の実施」という所の中で、「ホワイトカラー等の中高年非自発的離職者」とあって、常に「非自発的離職者」と書いてあります。一方では自主選択といいながら、自発的離職者はいけないのでしょうか。

(事務局)
 特に今回の対策は何を重点に行ったかと言いますと、やはり、こういう雇用情勢の中で離職を余儀なくされた方、特に中高年の方については再就職の困難性が増している、そういう方を対象に特別の対策を講じていこうという考え方です。これは能力開発だけではなくて、政策全体としてそういう取組を行っています。その一環として自主選択方式の能力開発の施策については、中高年の非自発の方を対象に展開していこうと考えているところです。

(委 員)
 バックグラウンドは分かるのですが、ちょっと長い目で見ると、例えば自主選択方式の能力開発事業というのは、先ほど言われた、少し将来のビジョンに関連するところもあります。だから、非自発が中心でいいのでしょうけれども、何か自発的離職者を除くような 感じになるというのも、将来とのつなぎという意味では若干違和感というか、当面の、こういう厳しい時の、という意味では分からないではないけれども、何かそこは少し、政策の将来へ向けての意味での整合性が、ちょっと気になるところだったので、あえて発言したのです。

(事務局)
 繰り返しになりますが、今回は緊急雇用対策ということで、短期間でまとめさせていただいたものです。その中では、特に重点度の高い方を重点に対策を講じるということで、この自主選択方式についても、中高年の非自発、ということを対象にやっていく必要があ るだろうという考え方でまとめさせていただきました。

(委 員)
 そういう意見があるということだけを、ちょっと。

(会 長)
 重点のほうで、特に考えてほしいということですね。

(委 員)
 重点というか、要するに、いろいろな形で一企業に労働者が閉じ込められる、閉じ込められるという言葉は悪いのですが、そういう中からフレックスにしようという考え方、それから本人もそういう態勢の備えをしようというのが全体のトーンとしては、将来に向かってはありますが。ただ、当面の対策として、という限定した意味では分からないではないですが、何か言葉としては、例えば自主選択方式による能力開発事業と将来に向いた言葉になっているものですから、ちょっとそこに違和感を覚えるという感じです。それで、短期対策なら短期対策でバンとやって、長期対策だったら、それはそれでやっていく、という部分がないと政策の流れが見えにくくなるなという、ちょっと感じがしたものですから。折角いい方向のことを施行されようとしているので、という意味で申し上げたわけです。

(事務局)
 これは特に離転職者を対象にしているものですから、どうしてもそういうことにターゲットを絞り込まざるを得ないのかな、というふうな問題意識を持っているのです。もともと自発的な能力開発という観点は、どちらかと言いますと在職時における、離職時も当然あり得るとは思いますが、この離転職者の職業訓練についての構造をざっと申し上げますと、費用は公費負担で行う、その期間中は雇用保険の受給等の生活保障がある、そういう中での取組なものですから、どうしても重点的な対応をせざるを得ないだろうと考えているところです。

(会 長)
 今の点でも、ほかの点でも、いかがでしょうか。

(委 員)
 最後の「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の所に、「年齢にとらわれない社会」という言葉があります。就学とか勤労については、なるほど年齢にとらわれずといことが必要だと思います。職業生活からの引退という点について、同じような意味で並べて書くのは、いかがなものであろうか、という気がいたします。どんなポジションでも、いわゆる定年というものを、ある一定の期間がくれば変わるということがないと、大きい意味での進歩はないのではないか、というように実務経験から思うわけです。
 例えば、先生方の教授というようなポジションでも、やはり定年がなければ学問の進歩は固定化してくるのではないか。端的に考えた時に、やはり現役で就いておられる方の能力のほうが新米で入って来る人よりも上であることは事実でありますから、能力という観点だけで比較をして、どちらが上であるか、それから本人のやりたいという意欲、それだけでこれを決める、こういうことでは社会の進歩はあり得ないのではないか。したがって、定年というか、そういうふうなものの共生ということは必要なのではなかろうかというふうに実は考えております。
 したがって、生活をするという意味での雇用の可能性という面であれば別でありますが、ちょっと表現上、誤解をするようなことがありますので、その辺は分けて考えるべきではないかと思っております。

(事務局)
 一応、経済審議会の答申に基づいて決定されたことですので、こういう方向が経済審議会で議論されて示されたという。ご指摘されたように、現在の定年制度をベースに雇用管理がなされている、そういう意味ではピッタリの表現にはなっておらないかもしれませんが、将来の方向として、あるべき姿として年齢にとらわれない社会という方向を目指していく。この目標は2010年を視野に置いておりますので、そういった方向で政府全体として、あるべき姿を描いたということで、是非ご理解いただきたいと思います。

(委 員)
 それは2種類あるのではないかと申し上げているわけです。社会の進歩のために、定年ということは意味があるのだという見方が、少し欠けているのではないかということを言っているわけです。

(委 員)
 技術的なことを伺います。この緊急雇用対策で、「実践能力訓練の推進を支援し」、その次に「学卒未就職者に対するいろいろな支援活動」と書いてありますが、「支援」というのは、企業主に対して支援するわけですが、1件についていくらぐらいとか、費用面について教えていただけますでしょうか。それから「未就職者、学卒の未就職者に対するいろいろな支援」というのは、これは国が行うわけですか。準備講習とか企業実習というのは。また、その場合の費用等はどういうことになっているのでしょうか。

(事務局)
 成長分野の実践能力訓練については、経済構造の変革と創造のためのプログラムに示された新規成長15分野と言われる情報とか、医療福祉とか、今後経済的にも大きくなりますし雇用面でも拡大が見込まれる分野を中心に、将来的には人が必要とされる、増加するこ とが見込まれるわけですが、それを現時点で前倒しで雇用していただく場合についての助成をベースに行うものです。前倒し雇用だけではなくて、職場でのOJTを中心とした訓練を行う場合について奨励金を出そうということです。雇入れの場合は、30歳以上65歳未満ということになっていますが、45歳以上と30歳〜44歳までで異なっています。1人当たりの助成金は45歳以上が70万円で、44歳以下が40万円となっております。
 訓練の場合については、3カ月程度の訓練で、訓練経費あるいは本人に対する訓練手当 の支給を含め、3カ月で50万円程度ということで、期間に応じてということで3カ月から6カ月程度のOJT訓練を行うという形で整理させていただいております。
 学卒未就職者対策としては、学生職業センター、あるいは学生職業相談所という学生向けのハローワークにおいて、1人ひとりの希望、適性に応じた対策を行うということで、まず登録をいたしまして、学歴、保有資格、希望職種内容などの登録を行う、必要な情報提供等を行う。その上で企業実習を行うということにいたしております。特に訓練の必要な人については訓練を実施するということです。いずれも公費負担するための予算措置が行われております。本人に対してお金がいくということではなくて、例えば企業実習、あるいは職業訓練に要する経費。特に職業訓練で申し上げますと、専修学校、各種学校等の民間教育訓練機関を活用した3カ月程度の訓練を予定しておりまして、そういった訓練費 用について、今回の補正予算で組んでおるということです。

(委 員)
 まだ実績は分かりませんね。

(事務局)
 登録の関係は5月以降行っておりまして、相当数あがっているというふうに聞いており、これから講習、さらに、これは本人の希望もありますので、訓練コースの設定といったことになってくるだろうと思います。

(会 長)
 今までのご説明に関わりないことでも結構ですから、この際、何かおっしゃりたいことがありましたら、どうぞ。

(委 員)
 先ほど定年の話が出ましたが、労働組合でもいま「エイジレス社会に向けて」という議論をいたしておりますが、いま現在、労働界全体として結論が出たというふうには私は理 解をしておりませんが、方向としてはアメリカ型のエイジレス社会を目指すべきだ、というご意見を、大変強くお持ちの所もあります。ただ、現実問題としては、なかなかそうはいかないだろうということで、未だ議論の最中だということだけご報告しておきます。
 先ほど冒頭のほうで職業能力開発施策の今後の中長期的課題というところで、一体今の日本の産業構造、経済構造改革、あるいは失業の状態が将来どうなっていくのかというのは、なかなか見通しは大変難しいと思うのです。今の状況は、いずれにしろ改革しなければなりませんから、一定の解決を見るだろうと私も思っておりますが、その時点で失業率は一体どうなっているのか、というのは非常に見通しは難しいのではないかと思います。
 というのは、少子高齢化の中で労働力が不足するのではないかという見方が当然ありますし、私もそう思っております。一方で、少子高齢化ということは、トータルすると人口が減っていくとなると需要面のサイドも減ってくるわけです。そういう意味では、失業率が果たして、どのぐらいが適正、適正というのはおかしいのですが、定常的な失業率かどうかは非常に難しい。そういう面で、中長期的をどういう期間の長さで捉えるかというのは能力開発の政策を作る上で、非常に難しいのではないかと思います。
 そういう意味で言いますと、当面、いま私は非常に大事なのは、先ほども話題になっておりましたが非自発的失業者が非常に多いというところの解決策をどうしていくのかというのが、まずいちばん労働省に求められるのではないかな、というふうに思っております。それと、この能力開発をどうドッキングさせていくか、というところが最大のテーマだろうと思っています。
 長期安定雇用の問題は先ほどチラッと出ましたが、私は長期安定雇用というのは、産業、業種、企業によって残していく所も多分に出てくるだろうと、むしろ、そのことが産業なり企業の競争力の強さにつながっている部分も多分にあると思います。そういう意味では、長期安定雇用は、いずれ崩れるという前提条件を置かないほうがいいのではないかと思っております。
 もう1点は、最初見た時に、これは大変いいなと思ったのですが、よく考えると、なかなか危険な部分もあるなと。それは「事業主が行う能力開発の促進」の「企業内に能力開発の相談支援を担当する者を配置すること等を推進する」。具体的にどういう支援、あるいは助成をされるのかは分かりませんが、一面いいようでありますが下手をすると、再就職斡旋とか、肩たたきとか、そういうことにもつながりかねない危険性を一方では持っているのではないか。そういう意味では、こういう問題については、やはり労使の協議というものを、ちゃんと行うということを、きちっと入れておいたほうがいいのではないか、というふうに思います。ちょっと長くなりましたが以上です。

(会 長)
 ほかに何かございますでしょうか。もしなければ、本日の会合は以上をもって終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。



(注)  本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、職業能力開発局能力開発課 03-3593-1211(代)までお願いします。



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