中央職業能力開発審議会第180回総会議事録
労働省職業能力開発局能力開発課
日時 平成11年1月27日(水)11:00〜12:00
場所 富国生命ビル28F第2会議室
議題 (1) 平成11年度職業能力開発行政関係予算(案)について
(2) その他
配付資料 No.1 職業能力開発相談支援事業の実施
No.2 平成11年度職業能力開発行政関係予算(案)の概要
No.3 雇用・能力開発機構法案(仮称)の概要
No.4 「中央省庁等改革に係る大綱」の概要(労働省関係部分)
No.5 地方分権推進計画の内容を実施するため今通常国会において法律改正を予定している職業能力開発関係事務の概要について
出席委員 学識経験者  小池会長、猪木委員、早川委員、古郡委員
労働者代表  市川委員、小栗委員、平山委員、堀口委員
事業主代表  岩口委員、尾崎委員、小嶋委員、讃井委員、杉山委員、山田委員

(会長)
 ただいまから中央職業能力開発審議会第180回総会を開催いたします。早速、議事に入りたいと思います。議題は、(1)「平成11年度職業能力開発行政関係予算(案)について」です。事務局から説明をお願いします。

(事務局)
 (資料No.1〜No.2に沿って説明)

(会長)
 どうもありがとうございました。ただいまのご説明について、どの点からでも結構ですので、何かご質問なりご意見をどうぞ。

(委 員)
 予算の説明をいただきましたが、総理大臣の所信表明演説の中でも「男女共同参画社会への実現」ということを謳われておりまして、当然各省庁、各局の予算にもそれが反映されているというふうに考えますが、全体として、その視点をどういうふうに組み込んであるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

(事務局)
 基本的に能開局としてまず第1に考えることは、訓練の機会の与え方ではないかと思います。これは予算的措置云々というよりも、例えば女性のみを対象にした訓練科、あるいは女子校としての訓練校の存在というものをなくしていくというのが第1にあると思います。それから、あらゆる機会均等的な訓練機会の与え方です。ですから、受講に当たって男女差別は絶対にしない。あるいは、そのような科目設定をこれからしていくというのが肝要ではないかと思っております。運営上の問題としては、そういうことはあると思います。

(委員)
 均等法で、ポジティブアクションについて、事業主の取組みに対して国が援助するということが入っております。事業主が、例えば過去の差別を是正するために、女性に対して、特別に優先して追加的な教育訓練を行う場合、国も援助をするというようなこともしておりますので、能開局の予算の中で、例えば事業主がポジティブアクションの措置を講じたときに、積極的に支援するということも、今後是非検討していただきたいと思います。予算の面でも反映されるような形でお願いしたいと思います。

(会 長)
 いまの点でも、ほかの点でもどうぞ。

(委 員)
 「外国人留学生受入事業」として、今度、職業能力開発総合大学校へ留学生として受け入れる人数を10人から16人に拡大するという話ですが、一般会計から学生たちへの生活費だけは援助していただけるのですが、設備、またはそれのために教育上さらに手間がかかるといいますか、いろいろなケアをしなければならないという部分もありますので、その辺の配慮を今後よろしくお願いしたいということを、この機会に申し上げさせていただきます。

(会 長)
 いまの点について、何か説明はありますか。

(事務局)
 ただいまの件、方針としては今後ご趣旨に沿うように、いろいろと検討させていただきたいと思います。

(委 員)
 よろしくお願いいたします。

(委 員)
 中高年の離職者・転職者に対する職業訓練については、新たな追加予算がありますが、再就職者に対する職業訓練についての予算は、何か特別な措置があるのでしょうか。

(事務局)
 補正予算の関係で、中高年離職者・転職者のところを強調してきましたが、ほかの訓練枠についても拡大を行っております。

(委 員)
 「再就職者」については、一時期就業を中断して再就職してくる女性の職業訓練についての予算、という観点でお伺いしたいのです。

(事務局)
 それらの予算に対して、女性局のほうでも若干の予算計上をしております。私どものほうは、公共訓練に来られる方については、基本的に求職者をメインにしてやっております。一旦お辞めになって、ブラッシュアップのために来られる方について、特別な訓練枠ということではそこまでは計上しておりません。

(委 員)
 「職業能力開発行政の体制整備」の部分の主なところをご説明いただければと思います。

(事務局)
 約3億弱の伸びと思います。1つには、雇用促進事業団の関係がございます。新法人については、設置場所をいま神奈川で考えております。したがって、そちらのほうに移る経費等が若干かかるということで、こちらに計上されたものです。

(委 員)
 「中高年離職者等に対する職業訓練の推進」の予算の内訳ですが、3次補正では325億円で、11年度予算では33億円ということで、補正と11年度予算の間に大きな開きがあって、これで本当に当初の狙いとするところがうまくいくのかどうか。また、どうして補正と11年度の予算の間に開きが生じるのか、その辺を教えていただきたいのです。

(事務局)
 先ほどから総事業で360億弱というご説明をいたしましたのは、そこの関係がございます。能開事業は、補正が12月末ということで、その時点で、10年度補正で325億と載っております。これは、ひとつには15カ月予算の中で切れ目のない事業を行うという3次補正の予算編成方針があります。したがって、全体事業が見渡せる格好、いわゆる15カ月予算の全体像がある程度見渡せる予算構成を、補正で行いました。したがって、10年度に計上している予算も、11年度に使う姿になっています。全体で360億弱を15カ月で使う、という理解をしていただきたいと思います。

(委 員)
 11年予算度総額が増えたうちのほとんどが雇用勘定ということになっておりますが、もちろん雇用問題を解決するにあたって、能力開発というのは非常に重要なことですので、さもありなんということかと思いますが、全体の雇用勘定の中で、能力開発の部分の比重というのが、どのように変化しているのかというのは、いかがでしょうか。

(事務局)
 基本的には、雇用勘定の中で、いわゆる事業主拠出分の3事業というのは、職業安定のために使う経費、職業能力開発のために使う経費、あとは福祉に使う経費というようになっています。4分の2相当が従来は安定所に、残りの4分の1ずつが能開とか雇用と福祉というような関係になっておりましたが、いまはその中でいちばん伸びを示しているのは、能開事業です。恐らく11年度は3分の1程度のお金をこちらのほうに回していただいている、というような格好になっていると思います。

(会 長)
 お金の出所と使い道というものに分けられたほうが理解しやすいかもしれませんね。

(委 員)
 今の時点では、結局予算対予算の比較で出さざるを得ないということですが、いつかの審議会で実績として、出していただければと思います。

(事務局)
 訓練計画そのものを、いつかまたお示ししたいと思います。

(会 長)
 続きまして、議題(2)「その他」です。能開課長のほうから、説明をお願いします。

(事務局)
 (資料No.3〜No.5に沿って説明)

(会 長)
 どうもありがとうございました。何かご質問なり、ご意見なりございますか。

(委 員)
 「雇用・能力開発機構法案」を説明されたのですが、いままでの雇用促進事業団の業務と、この新しい「雇用・能力開発機構」の業務は、何がなくなって、何が付け加わって、いままでと引き継ぐのは何かというのがわからないので、ご説明いただきたいのです。次に、経営規模といいますか、いままでの雇用促進事業団の予算規模みたいなものと、今度の「雇用・能力開発機構」の規模が、どうなるのでしょうか。最後に、今までのは特殊法人ですが、今度はどうなっているのですか。この3つですが、教えていただければと思います。

(会 長)
 いまの点について、どうぞ。

(事務局)
 新しい「雇用・能力開発機構」も特殊法人です。それから業務面では、やめる業務がありまして、例えば、移転就職者用の宿舎の建設だとか、福祉施設の建設といった業務については行わないというのが基本です。

(事務局)
 全体像としては、基本的にはほぼ変わらないのではないかと思います。ただ、こちらの新しい法人に移行するに当たって、事業の効率的な見直しをせよというところがありまして、定員等において相当な削減を行っております。

(委 員)
 相当というのは。

(事務局)
 11年度の職員数で見ると、106名を削減しております。

(事務局)
 法律でまず現在、雇用促進事業団は、理事長、副理事長と理事7人以内を置くということになっていますが、その理事の数についても2人削減して5人以内というふうにスリム化するということもございます。定員削減については、100人規模での定員削減を実行することになっております。

(委 員)
 いままでは、どれぐらいだったのですか。

(事務局)
 大体4,800人ぐらいの規模です。

(委 員)
 要するに、よく特殊法人で整理統合と言われますが、方向、中身があまり変わらない感じもしないでもないので、ちょっとお伺いしたのです。

(会 長)
 能力開発関係は変わらないのではないですか。

(事務局)
 業務としてはこれまで移転就職者用宿舎、通称、雇用促進住宅といっていたものとか、「憩いの村」とか、「ハイツ」などといったような勤労者福祉施設といったものの新設は行わないということで、この関係では、関係予算の相当な節約になります。あと新法人として行う業務というのは、冒頭申しましたが、私どもの担当している職業能力開発関連の業務とか、中小企業の人材確保などの事業主支援業務、それから勤労者の財産形成促進業務の3つの業務に重点化して行う方向です。

(委 員)
 ポリテクセンターというのがありますね。これらについてはどうなのですか。

(事務局)
 ポリテクセンターというのは、基本的に職業訓練を実施するいわゆる訓練校です。いまこういう雇用情勢ですので、事業としては、いろいろ受入枠を拡大していただいているところです。一時的な措置かもしれませんが、訓練枠の大幅な増というものを、いま実際にしていただくというような格好になっております。ただ訓練施設数全体をどうやっていくかについては、過去において、いろいろな勧告をいただいておりまして、例えば、ポリテクセンターが3年ぐらい前までは、全国に66カ所ありましたが、それについては、60カ所に再編するということもやっております。そういう中において、訓練規模は若干伸ばしているということです。

(会 長)
 もとの雇用促進事業団の能開事業は、いまの時期では、ある意味で拡大ですね。

(事務局)
 能開の部分については、やはりこういう時世を受けて、若干の拡大になるかもしれません。

(委 員)
 機関委任事務の件ですが、「自治事務」と「法定受託事務」について、2つお伺いしたいのですが、法定受託事務と、従来の機関委任事務と、どういう点で違うかということと、機関委任事務として残るものがあるのかどうかということです。ついでに予算面の問題等にどういう影響が及ぶであろうかということで、ちょっとお話を伺いたいのです。

(事務局)
 まず機関委任事務というのは、すべて法定受託事務にするか、純粋に自治事務にするかという仕分けになっておりまして、法定受託事務については、都道府県にやらせるという形の事務です。それ以外は自治事務なのですが、全国的に統一的な運用が必要だというようなケースであれば、それについて国が計画を作って、その計画に沿って都道府県に動いてもらうような形での自治事務というのは多少残ります。それに対する予算的な手当をどうするかというのは、これから検討していくことになろうかと思います。実際は、いまも都道府県がやっている事務は、そのまま都道府県がやることになるわけですので、基本的に大きな変化はないというふうにご説明したわけです。

(委 員)
 出向を含めた人事交流等に及ぼす影響といいますか、変化というのはどうでしょうか。

(事務局)
 職業能力開発行政の関係は、実際は都道府県では、純粋に県の職員が担当している業務なので、そういう所についても変化はないというふうに思います。

(会 長)
 2つぐらいありまして、1つは実績についての能開のハンドブックみたいなものを、ご面倒でも恐縮ですが、できたら作っていただくとありがたいのです。私のように多分外部のほうでいちばん知っている者ですら、例えば、何人このコースを受けたかとか、なかなか簡単にはわからないのです。多少もったいないと思いますので、ささやかなものでも結構ですから、能開のPRのためにも、作成いただきたいと思います。2番目に、今非常に人が動いていますので、動くときに採用する方が、どういう形で採用者の技能を推察しているかについて、経験ある者を採用するときに、この技能の部分については、こういうふうに推察して、わりと大過なかった。この部分はなかなか推察できないという区別がはっきりあると大変助かると思うのです。そういう調査研究をどこかでしていただくと、大変ありがたいと思います。
 昔は日本の大企業のブルーカラーは、私の知っている限り、相当いい会社でも相当ブルーカラーが動いていまして、特に保全というのは、かなり経験工が多かったです。ところが、非常に中途採用が少なくなりましたので、しかもホワイトカラーの場合などはどうするのだろうというのは、大変興味があります。アメリカは、文章の書き方でもって、実は判定している、A4の履歴書2枚で判定するというのが、私の印象です。それはともかく、実際に採用されたほうに少し調査されていくというのは、案外1つの基礎資料になるのではないかと思います。
 ほかにございますか。特にないようでしたら、本日は以上をもって終了いたします。ありがとうございました。



(注)  本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、職業能力開発局能力開発課 03-3593-1211(代)までお願いします。



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