中央職業能力開発審議会第178回総会議事録
労働省職業能力開発局能力開発課
日時 平成10年10月28日(水)15:00〜16:30
場所労働省省議室
議題 (1)平成11年度職業能力開発局重点施策について
(2)平成11年度職業能力開発局概算要求について
(3)教育訓練給付における教育訓練コース等について
(4)その他
配付資料 No.1 中央職業能力開発審議会委員名簿
No.2 第18期中央職業能力開発審議会部会委員名簿(案)
No.3 平成11年度重点施策(職業能力開発局)
No.4 平成11年度職業能力開発行政関係の概算要求について
No.5 教育訓練給付制度の労働大臣指定講座について
出席委員 学識経験者小池会長、大澤委員、早川委員
労働者代表市川委員、草野委員、鈴木委員、堀口委員
事業主代表尾委員、小嶋委員(代理 柳瀬氏)、讃井委員、杉山委員、山田委員


(事務局)
 ただいまから中央職業能力開発審議会第178回の総会を開催いたします。本日は第18期委員による最初の総会ですので、会長が選任されるまでの間、事務局が、会議の進行を務めさせていただきます。

(事務局)
(資料No.1に沿って委員の紹介)


(会長の選任等)
(資料No.2に沿って委員の各部会への所属につき決定)


(会  長)
 それでは今日の議題についていろいろとご議論いただきたいと思います。まず第1番目の議題は、お手元にありますように「平成11年度職業能力開発局重点施策について」ですが、同時に2番目の議題、「平成11年度職業能力開発局概算要求について」と内容の上で非常に関連しておりますので、この両方を併せてご議論いただきたいと思います。それではまず始めに、事務局からご説明をお願いします。


(事務局)
(資料No.3に沿って説明)


(会  長)
 どうもありがとうございました。引き続きお願いします。


(事務局)
(資料No.4に沿って説明)


(会  長)
 どうもありがとうございました。いまのお二人の説明に対して、何か質問なりご意見なりがありましたらどうぞ。


(委  員)
 昨年少し説明資料が不親切ではないかというご意見が出まして、こういうふうに説明が詳しくなったのではないかと思います。


(事務局)
 お叱りをいただきましたので。


(委  員)
 そのとおりになっていますね。


(委  員)
 資料No.3の重点施策の2枚目の真ん中あたりで、技能振興の推進という項目で、若年労働者の「モノづくり」に対する理解を促進するための啓発というところで、学校教育の場で熟練技能者の活用を図っていきたいと、こんなお話があったかと思うのですが、具体的にどういうことを考えているのかお伺いしたいということと、加えて関連して、その次の技能競技大会に対する話が出されていますが、私が承知している技能競技会、もちろんそれはそれなりにいいのですが、いまの若い方々に対してアピールするのには、少し職種が偏重しているのではないかということを感じているのですが、現実的に対応するとなると、この技能五輪競技会の職種の見直しとか、いまの若い方に対してアピールできるようなものを入れていくような考えも含めてご検討されているのかどうかをお伺いしたいと思います。


(事務局)
 まず(2)の若年労働者の「モノづくり」に対する理解を促進するための啓発についてですが、私どもは学校教育の具体的な中身に関して直接申し上げる立場にはないのですが、モノを作ることの大事さというものを若い時期から理解してもらうためにはいろいろな場面で広報・啓発をしていくことが重要だと思っております。特に義務教育の現場では、このところかなり自由な時間を割いて、学校単位で工夫した授業を作っていこうという考え方が出てきております。例えば優れた技能者が先生として、もしくは先生の補助として、また義務教育以外でも工業高校、専門学校、各種学校などもあると思うのですが、そういう所でも活躍の場があれば、若い人たちが優れた技能者の活躍する姿を身近に感じることができ、「モノづくり」という職業に対する動機付けを行っていくことができるのではないかと思います。ただし、それをやっていくためには、難しい問題もありますので、その辺は文部省ともよく話し合って進めていかなければならないと思っています。そういう意味で、来年1年間をかけて、どんなことが問題になるのか、どういう措置を講ずればそういうシステムがうまくいくのかということを研究したいと思っております。そして、その成果を踏まえまして、再来年から具体的なものを実施していければと考えております。


(委  員)
 何かそういう検討が終わったので、重点項目として挙げたのかなと思ったのですが、そういうことであれば、ちょっと急いでほしいですね。やはり啓発するところまでくるとなれば、もう検討は終わっていて、実施の段階かなと思って聞いたわけなのです。それから技能五輪の関係はどうでしょうか。


(事務局)
 技能五輪の施策の内容ですが、技能五輪というのは21歳までの方に参加していただいて、その技能を競っているわけですが、参加者は15年前に比べると随分減少しておりまして、少し地方大会から盛り上げていって、全国大会を大いに活気のあるものとしていきたい。そして、この技能競技大会で優勝するということが若い技能者にとって非常に素晴らしいことなのだという、大げさに言えば一つの文化的な価値にまで高められればと思っております。そのためには、まず、地方大会に参加してもらうための広報・啓発を一層充実したものにしていきたいと思っております。併せて2年に1回、国際技能五輪がありまして、そこへの参加者は技能五輪全国大会で各職種の優勝者が参加することになっています。この国際大会に出場する皆さん方を国としても援助しながら、その技能五輪国際大会に向けて、出場選手の技能をより一層素晴らしいものにしていく、そういう支援策を国としてやっていきたいという内容です。
 ご指摘の若い人にとって魅力ある職種かどうかという問題ですが、私どもとしてはいまの職種が技能五輪全国大会の競技職種としてふさわしいものではないかと考えてやっておりますが、より適切な職種があるという可能性もございますので、その点はご指摘を踏まえてもう一度 、検討させていただきたいと思います。


(会  長)
 よろしいですか。何か前に言ったような、特に注文がおありなのではないでしょうか。


(委  員)
 これも国際大会との関連を中心に考えると、どうしてもいまの職種に限定されてしまうようなところがあるのです。いわゆる製造業を中心として、国づくりをやってきた時代のものです。日本もそれはそれなりに十分役割を果たしたと思うのですが、しかし、いまはちょっと日本 の場合は情報化その他も含めて、いまの国際大会にリンクしたものだけの種目では、うまくカバーできないのではないかと思っているわけです。ですから、国際大会につながるものの種目はもちろん必要なのですが、それ以外の日本単独のものをもうちょっと円を広げて研究していく必要があるのではないか、という認識を持っているものですから、若者に焦点を当てるのであれば、やはりそういう物差しで種目の見直し、追加をしていただいたらいいのではないか。いまやっているものをやめろという意味ではないのです。新しいものを広げていく必要があるのではないかという認識です。


(事務局)
 いまご指摘された話は私なりに理解できる話で、確かに全国大会は、技能五輪国際大会の予選的な位置付けにもなっているために、その職種の範囲内であったのだろうと思います。ご指摘がありました点については、主催団体の中央職業能力開発協会とも話し合いながら、若い人がもっと参加できるような職種があるのかどうか検討させていただきたいと思います。


(委  員)
 私ばかりで申し訳ないのですが、前からの継続ということも含めて、主体的な能力開発に対する支援の促進ということで、これは新たな法律が施行されて、今年から具体的に広がるのです。これはもう素晴らしいことでいいのですが、そのときの宿題になっていたのは、いまは雇用保険適用者しか対象にならないのではないかというご指摘があって、やはりそうではない一般国民全部にそういう機会を広げるためには、やはり雇用保険法の範疇ではなくて、労働行政全体としてカバーできるような仕組みを考えてほしいというのがあったわけです。少し平たく言うと、雇用保険の保険料でやるのではなくて、税金や何かを使った労働行政としてできないかという話があったのですが、その辺についてはどんな検討をされているのですか。


(事務局)
 いまのお話は、教育訓練給付制度絡みのお話だというふうに思いますが、私どもとしては今年の春の雇用保険法の改正で、教育訓練給付制度をスタートさせるわけですので、当面とりあえずはこの制度を円滑に進めるということを、いまのところは第一に置いているわけです。議論としては自己啓発税制というのがあることはわかっていますので、そういった面についても研究は進めているわけですが、現在のところは、来年度に向けては教育訓練給付制度でいこうという考えを持っております。

(会  長)
 いまの制度に関しては第3の議題でも、お金のみではないですが関連が出ますので、そのときにまたどうぞ。いまの部分も結構です。ほかにはございませんか。


(委  員)
 重点施策の第2の4の「新たな職業能力評価制度の具体化に向けて」という項目については、概算要求のほうを見ますと、職業能力評価制度のあり方についての調査研究ということになっています。調査研究があって、では具体的に職業能力評価をどうするのかというのが具体化に向けた検討ではないかなと思うのですが、昨年度に引き続き、また調査研究に進むだけにしてしまうのかというようなところで、ちょっとお話を伺わせていただきたい。昨今の失業率なり、あるいは有効求人倍率を見ますと、ではどうやって労働力の移動を可能にするのかというような部分は、やはり技能検定なり、ビジネス・キャリアというようなものに止どまらず、職業能力を評価してどう移動するかという大きなテーマにつながるのではないかと思うのです。ですから、ここも制度の具体化に向けてという部分は非常に注目しておりますので、そこら辺をもうちょっと詳しい報告なり、あるいは予算付けの裏付けなどがありましたらお願いします。


(事務局)
 職業能力評価制度のあり方についての調査研究については、今年度と来年度の2年間にわたって研究しようということで、概算要求の資料に書いてあるのは、検討の視点を書いてあるわけです。今後はそういった検討を踏まえて、企業を対象とするアンケート調査、あるいは外国の実態等を調べつつ、まず現在実施しております技能検定制度とか、技能審査認定制度、そういった労働省所管の制度との関連も含めて、今後検討をしていこうというふうに考えているとろです。


(会  長)
 私はこの点についてコメントが2点あります。第1点は、よその国との競争の極めて重要な場になりそうな予感がしております。2点目の1つはおそらく評価のかなりは乱暴でいいから実務をどう評価するか。2つ目はそうすると幾つかの企業にわたっても何でもいいのですが、企業内の評価制度をベースにして、その中のよさそうなものを情報として、政府の役割の1つは情報ですから、情報として流通するということも1つの考えではないだろうかというふうに思います。つまり、簡単にパッと免状を出して、これで流通するというのは、いまは果たしてどうだろうか。よその国の傾向については、あまり多くの国はやっていませんが、下手だけど表向きはまさにいま私が言った方向で、実務の経験を何とか入れて評価して、それを各個別企業がやるという方向です。それを相互に流通させるという方向なのですが、そういうことはむしろ日本のほうが上手なのではないかと思うので、是非そういうことはそういう方向がいいかどうかわかりませんが、その方向も含めて検討していただくと大変ありがたい。つまり、それをやらないと、おそらく乱暴に言うと、ISO9000とか14000みたいに、労働安全衛生がそこに入りますが、やがてこれもヨーロッパ発のルールが、デファクトスタンダードで押し付けられる可能性があるので、なるべく日本もどんどん出さないと、日本の雇用にとって損ではないかという気がしているものですから、抽象的な言い方ですが、是非お願いしたいと思います。


(委  員)
 いまので1点。先日もある電機会社からお話をお伺いしましたところ、すごく能力開発の、自己啓発の部分をやっていると。その中で、やはり評価のところなどは、やはり個人の評価については客観的な評価として日本だけでなくて、世界的な、特にアジアを含めた評価をできるような体制が日本ではできるのではないかというようなお話をしているのです。できるのではないかというと、どこで制度的なものにして、どうやって体制を組んで、どう発信するかという部分が、まさに今、そこを狙った評価構築を具体化するための検討かなというふうに思っていますし、そういうふうに期待していますので、是非よろしくお願いしたいと思います。


(会  長)
 特にございませんでしたら先に進んで、またいろいろご質問なりご意見をいただくことにしましょうか。そうしますと、もう1つの議題は、先ほど話に出ましたが、よろしくお願いします。


(事務局)
(資料No.5に沿って説明)


(会  長)
 どうもありがとうございました。これは講座指定についてですが、この制度はおそらく能力開発の枠組の中で、かなり大きな変化であったように思います。いままでは事業主経由が主だったので個人という、ここでは自発的なというふうな言い方をしている大事な制度です。それが今度発足します。どうぞどの点でも結構です。


(委  員)
 趣旨は前からお聞きしているのですが、具体的に例えば講座数が3,445で、ビジネス・キャリア認定が770になっています。全体の講座がどれだけあったのか、ビジネス・キャリアに認定された講座とそうでないものは基準がどうなっておられるのかということ。それから教育訓練の内容を見てみますと、ひょっとしたら通信制にある生産管理に入っているかもしれませんが、結構技術系の電気とか機械、あるいは情報関連とかさまざまありますが、そういったものがパッと見る限りないのですが、資料に出てきていないだけなのか、意図的な策なのか、そこら辺りをご説明いただければと思います。


(事務局)
 いまの点ですが、今回の指定については8月末までに教育訓練給付の講座指定を希望する教育訓練機関に調査表を提出していただくという形で実施しました。したがって、全国網羅的に調査をして、こちらのサイドで指定したわけではなくて、向こうの申請というか、意思に基づいて適切なものを指定をしたということです。ビジネス・キヤリアについては同様に3,000ほどありますが、それぞれの教育訓練施設に対して、今回の教育訓練給付の講座指定の希望があるかどうかを確認して、そのうちあったのが770ということです。
 それから今回の教育訓練の内容の内訳には上ってきておりませんが、従来から技術系のものも一部指定をしてきておりまして、従来の中高年齢労働者等受講奨励金でも指定をしてきており、その辺は今回制度の転換があったわけですが、基本的にはそういうものは引き継いでいこうということで指定をしておりますので、そういうものも含まれております。


(委  員)
 ということは生産管理に入っているのですか。項目のところに見えなかったものですから、通信制の項目を見ると技術系が表に見えなかったものですから、質問したわけです。少ないですね。


(事務局)
 ええ、この中のその他というか、それ以外の項目に分類されている部分です。


(委  員)
 そうすると、講座については申請主義で、特段こちらで絞られていないという感じですね。


(事務局)
 そうです。


(会  長)
 技術関係の講座は例えばどんなものがイメージとしてはあるのですか。


(委  員)
 それはたくさんあります。例えば電気、機械などいろいろな技術的な部分の講座的なものは結構あるのではないでしょうか。それからどこまで広げたらいいかわかりませんが、ただ、それが見えなかったものですからちょっとお聞きしたわけで、情報関連なども相当ありますね。


(事務局)
 情報関連は指定しております。


(委  員)
 自己啓発の教育訓練というときには、事務系のほうが多く見えて、技術系は少なそうに見えて、ちょっとそこがわからなかったものですから。ということは、逆に言えば申請が少なかったということですか。


(事務局)
 今回もともとビジネス・キャリア制度の分を除くと、3,500ほどの講座が中高年齢労働者受講奨励金制度では指定がされていたのですが、実際申請が出てきたのは3,500指定されていたうちの約2,800程度でして、おそらく今回制度が大きく変わりまして、従来は2分の1助成の10万円限度というような制度だったのが、今回20万円と、上限額が上がったのですが期間が5年間、間があかないといけないというようなこともあり、従来の指定されていたもののうちから、今回の制度に適合するものを出してきたのだろうと。金額が非常に少ないものですとか、ちょっとこま切れになっているものは、あまり受講される方が少ないのではないかなど、そういうこともあって、おそらく次の指定に、毎年4月と10月の年2回ずつ追加指定をしていきたいと思っておりますので、そういうところに新しく編成したものは出てくるのではないかと思っております。


(委  員)
 余計な心配かもわかりませんが、例えばビジネス・キャリア認定講座ということで、例えば通信教育など宣伝事務で入れる。それでよくわからないけれども、労働省が認定しているのだったらよさそうだと。これは、最近ときどき学校などがつぶれたりしますものですから、そういう部分で申請主義に寄っていて、少し不安もないではないかなと。門戸を閉めるという意味ではないのですが、大きな意味ではそこらも一応チェックされて。


(事務局)
 私どもの指定の名称の使い方については一応制限を設けておりまして、正確に使ってくださいということは関係団体等を通じて指導はしております。今回、特に新しい教育訓練施設は、いままでお付き合いがないというか、指定の実績のない所については慎重に対応したいと思っておりまして、今回過去に実績のあるものを主体に指定をさせていただいております。


(会  長)
 前々からこの審議会でいろいろ議論されていた点ですが、いわゆる在職者が夜の大学院に行った場合には、今回の指定講座には一応出ていませんですが、それについては可能となるように考えるという方向できたというように思います。この議論には多分2つの意味があります。1つは大学院教育みたいなものは、いまある実務による技能をさらに高めるために重要だろうということがありますので、是非それを。
 それからもう1つの点は、いままで見ておりますと、文部省の場合は普通の昼間の在職者のいない場合の大学院、あるいは学部学生の場合は文部省の奨学金が出るのですね。ところが在職者は日本育英会なりいろいろな奨学金の場合も所得制限に引っかかりまして、事実上出ないわけです。そういう点もありますので、大学院を指定講座に含めるにはいろいろ面倒な問題もあるかもわかりませんが、是非ご努力をお願いしたいという要望です。


(事務局)
 いま会長が言われた夜間大学院コースについては、現在文部省と調整中でして、次の指定に向けて調整しているところです。


(会  長)
 特によその国とかと、いろいろ議論をしてワアワア言わなければならない。そうしないと折角いいものを作っても、結果的に押し込まれてしまって、雇用に響いてくるということになると非常に損ですので、そのときにワアワア議論して主張するような人を作っていくためには、実務経験をうまく整理するチャンスをなるべく作っていく必要があって、そういう意味でも案外重要な気がします。


(事務局)
 いま会長がおっしゃられた点なのですが、一応今回は12月1日という年度の途中からスタートできる制度について立ち上げようと。もう一段、実は4月1日からの方も予定しておりますので、時期的には先発ではないのではなかろうか、というようなことも含め、もちろん早いほうがいいわけですが、そういう点があり、作業テンポとしてはちょっと遅れておりますが、しかるべく調整をして、どういう結果になるかは私どもでは勝手に申し上げられませんが、会長のご意向の方向で動いています。


(委  員)
 いまの点は、特に職業能力開発短期大学校が大学校化して、応用課程を新設しますね。その応用課程への在職者の対応給付といいますか、いまの大学院の話にもありましたが、それはもっと別個に考えていただけるようになっていると思っていたのですが、どうでしたかね。


(事務局)
 短期大学校、あるいは大学校といういわゆる公共の施設における教育訓練を対象にするかどうかについては、非常に難しい問題があるわけです。もともと公費で補填されている施設ですので、平均的には受講料という氷山の一角の下のほうの部分を公費で補填しているわけですので、こういった補填を受けていない民間の教育訓練機関を受ける場合と比べた場合、個人の目から見たかかる経費に着目した議論が必要だろうと思いますが、財源との関係で二重にならないかという点もありますので、明らかに駄目というのではないのですが、当分の間は慎重であるべきではなかろうかということです。


(委  員)
 それは国立大学の大学院でも同じことで問題が起こり得るように思います。


(事務局)
 その問題が起こり得ると思います。ただ、直接的かどうかがありまして、少なくとも雇用促進事業団の能開施設ですと、明らかに財源は全く同じですので、しかも財源が同じときに、実は困る点がありまして、能力開発施設については使用者負担の保険料それだけを財源としていますが、教育訓練給付になりますと労使切半の保険料負担財源で、競合するところに投入するときに負担いかにあるべしという問題も、十分念頭に置かざるを得ないのではないか。これはいずれ最終的には職業安定局とも調整しなければいけませんが。


(委  員)
 おっしゃることはよくわかりますが、折角今度能開関連が大学校化して応用課程を作ったわけで、特に在職者、社会人向けということも謳っておりますので、そこら辺の便宜というか、こういう制度を活用できれば是非していただきたいということです。


(委  員)
 細かいことですが、これは申請書というものが多分あるということになるのだろうと思うのですが、これは公共職業安定所にしか置いていないということなのでしょうか。

(事務局)
 両方申し上げますと、まず1つは講座指定の申請については一応調査票というものを作っており、調査票で教育訓練の内容とか、施設にかかるいろいろな要件を記入していただいて、提出していただくということになっており、それは雇用促進事業団を通じて、労働省に上がってくるようになっています。
 個別の教育訓練を受講された方が教育訓練給付金を受給したいという場合は、公共職業安定所に申請書がありますので、その申請書で申請をしていただいて、安定所から口座振込みがされるという手続きになっています。


(委  員)
 つまり平日に取りに行かなければいけないということになるわけですね。


(事務局)
 一応今回は安定局に聞いたところ、教育訓練機関にあらかじめ申請書なりを配付できるような便宜も図っていきたいというふうに言っておりました。


(会  長)
 この第3議題に限らず、第1、第2も含めまして、どの点でも結構ですからどうぞ。


(委  員)
 前にも議論になったと思うのですが、いろいろないい制度を作っても、それがどこまで浸透するかという問題が議論になりましたが、今回はどういう形でPRというか、利用促進のための手段を考えておられるのかをちょっとお聞かせください。


(事務局)
 現在のところ11月中旬に新聞広告を大々的に安定局サイドを中心に打っていくということを当面考えております。その後、制度が発足してからは、全国にあるハローワークが全部機能するようになりますので、そういう出先を通じながら適宜マスコミの広報も含めながら、できるだけ多くの皆さんに教育訓練給付制度が浸透するように努力していきたいと思っています。


(会  長)
 あまりたくさん殺到すると困る、という部分もありますよ。


(委  員)
 大体において満たないのではないかなという心配をしているのですが。


(事務局)
 ただいまの件で補足いたしますと、今回のは講座数が非常に多い。それから同じ種類、同じ内容の講座も随分たくさんあるのです。そういう状況があるので、当面は教育訓練給付の内容についての広報と、教育訓練機関サイドからの広報と両方でいくことになろうかと思います。実は最終的な形を考えますと、「私はこういう種類のものを受けたいのだけれども、どういうものがありますか。」という問い合わせについてどう答えていくのか。「こういうのを見たけれども、指定されているのかいないのか。」、そういう問い合わせ等もあろうかということで、大げさな意味のデータベースではない簡易版のデータ整理をしておきまして、いろいろな問い合わせに答えられる体制をいま作ろうとしています。ただ、制度発足時にはちょっと間に合っていないという状況です。


(事務局) 
 とりあえず11月中は本省の雇用保険課と民間訓練促進室のほうでそういった要請も受けるということでやっておりまして、制度が発足しましたら、各ハローワークで個別の講座の問い合わせ、それからできれば雇用促進センターについてもそういう問い合わせが受けられるように、順次体制を整備していきたいと思っております。


(委  員)
 3,445講座で、施設としては239施設ということですが、地域的に大ざっぱに言ってどういう感じなのでしょうか。


(事務局)
 実は東京に集中しておりまして、全体の約6割が東京です。あと大阪、福岡、愛知といったような大府県になるわけなのですが、従来の実績で申し上げますと、受講する場合はかなり通信講座などもありますので、全国満遍なく、結構受けていただいております。もちろん大都市に集中しているということは間違いないのですが、前の実績で出ていない県はありませんでした。


(会  長)
 いままで話題に出なかった重点項目の第3、「人づくり」を通じた国際社会への貢献の中の2、企業活動の国際化に対応した職業能力開発の推進というところで、その中の1つに、在職者がよその国に派遣されて、そこで企業内訓練を推進する、教えられるという話だったかと思いますが、間違っていたらごめんなさい。それは大変重要なことだと思うのですが、これは人数は増えていますでしょうか。


(事務局)
 いまご指摘の制度というのは、(財)海外職業訓練協会でやっている事業なのですが、日本企業が例えば海外進出をする場合、現地で労働者を雇い、その人たちに教育訓練をしなければいけない。そこで、進出企業に派遣される我が国の労働者に、外国人を教育する能力を身に付けてあげないと、そういう能力が何もないまま外国に行っても、現地の会社において教育訓練 ができないということで、派遣前の一定期間、一定のスキームで、そういう能力を身に付けるための制度がありまして、この制度を活用する企業及び労働者というのは徐々に増えているという状況です。


(会  長)
 たしか最初はシルバーみたいな人を想定して、私よりは若いけれどそういう感じだったと思うのです。これはとても大事なことで、私が知りたいのは、いますぐである必要はありませんが、1つは日系企業だけではなくて、非日系の例えばインドネシア地元企業からの要請があったとすれば、それは派遣できるのかということと、企業内訓練というときに、実際に日本の職場には、いわゆる計画的なOJTもあるしそうでないものもあり、こういったOJTを通じて仕事表を書いたりといったノウハウを修得している現実がありますね。つまりいわゆるOff−JTだけではなく、OJTのほうにまでなっているのかを、いつか教えてください。


(事務局)
 基本的にはOJTの部分が非常に大事で、教える理論というよりも、その国の労働者の考え方、国民性ということを踏まえた教え方というのがあると思うのです。それを実際、現地の企業へ行って、身に付けていくという意味では、Off−JTによってその人たちは身に付いていくと。


(会  長)
 それはわかりますが、日系企業以外にも派遣されているのでしょうか。


(事務局) 
 その割合は今わかりませんが、日系だけでなく、例えば取引先の企業とか、そういうものは含まれていると思います。


(会  長)
 むしろ取引先だけではなくて、取引先も相当カバーしているのですが、直接インドネシアの日経連に当たるような機関を通してとか、そういうふうなルートはないのでしょうか。これは長期的には非常に大事なコースだと思うのです。


(事務局) 
 それは改めてご報告したいと思います。


(委  員)
 ちょっと思い出したのですが、重点施策の第2の3に、公共職業訓練の充実とありますが、前々から女性の中で言われていたのですが、保育所へ預ける場合に、前提として仕事に就いていないと預かってくれないということがあり、そのため逆に子供がいるから仕事が見つからないという実態を生むことにもなっている。同様なことから懸念されるのですが、職業訓練を受けるときに、受けるということを要件に保育所がいまは預かってくれるのでしょうか。前はそうでなかったのですが、今はどうでしょうか。


(事務局) 
 私ども行政の関係で保育所との関係はただちにわかりかねるのですが。


(委  員)
 そういう要求をずっと連合はやってきたわけですが、いま厚生省との関係で、それは改善されたのでしょうか。


(事務局)
 職業訓練を受ける場合保育所が預かるということですか。


(委  員)
 ええ、保育所はいわゆる保育に欠ける子供しか預かりませんから、いわゆる職に就いていない場合は預からないというようなことがありまして、職業訓練の場合も職業訓練を受けるという要件があれば、その要件をもって保育所が預かるということにしておかないと、なかなか子育て中の女性が職業訓練を受けることができない、そういうことが前々から課題であったわけですが。


(事務局) 
 ちょっと知らずに申し訳ないのですが、その要望は連合としてどこに出されているのでしょうか。


(委  員)
 制度政策要求ですとか。


(事務局) 
 具体的に役所のどこにという話ではないということですか。具体的な話がわからないと、例えば職業訓練といいましても、公共職業訓練の養成的な意味の訓練の場合ですと、在職者というよりも普通の学校に通っている場合との比較になってしまう。在職訓練の場合ですと、もともとその問題が起こらない。


(委  員)
 在職時ではなくて、新たにです。育児のため、いったん家庭に入ったケースで再就職のケースですね。


(事務局) 
 そうすると失業中ということですね。


(委  員)
 それを失業中というのであればそういうことです。


(事務局) 
 そうしますと、もともと離転職者向けの訓練の多くは3カ月なわけです。それからもともとの問題としては、失業時ということでおっしゃられるのであれば、失業中が前提になってしまいます。そのときにご案内のごとく、失業の認定要件というのがありますから、別の問題も含むと思うのです。したがって、どこにどういう形でご要望されているのかなということを確認したかったのはそういう意味です。それがはっきりしていますと、そこのほうでの検討状況を私どもで把握してお話できますが、一般論としてという話では、多分ないと思いますので、失業中ということであれば、先ほどのような問題も整理しておかないとまずいはずなのです。つまり、訓練中というよりも失業中というのが先行してしまいますから。ですから、ちょっと後ほどでも結構ですので、どういう状況かを教えていただきましたら、例えば厚生省関係の問題であれば厚生省に確認するよりほかに私どもとしては方法がありませんし、ということなのです。


(会  長)
 職安の紹介でいくと訓練費がつきますね。その期間があります。多分そういうことでしょう。


(事務局) 
 失業の認定のときに、もし子育てをしなければいけないので、どんな条件でも働けるとは言えませんと言ったときにどうなるかの問題が、まず前提にあります。それをクリアしているとすると、訓練期間中に保育の問題が果たして起こるかどうか。これは責任ある回答は職業安定局しかできませんので、それはちょっと職業安定局のほうで十分確認しないと、と思います。もし事務的にいままでどこかと折衝されているのならそことの関係ですし、もしそうではなくて一般要望の格好で、制度政策要求に書いていたのにどうなったかということであれば、検討すべき部局に問い合わせるよりほかにないと思うのです。


(委  員)
 はい、おっしゃることはわかりました。


(会  長)
 案外、幅の広い問題で、先ほどの教育訓練給付の将来課題の1つに雇用保険受給者でない方についてどうするかと、論理的には同じ問題かもしれませんね。まだいろいろ議論しなければいけないのですが、時間にそろそろなってまいりましたので、特にこれだけは発言しておきたいということがありましたらどうぞ。もしなければ本日の総会はこれで終了したいと思いますがよろしゅうございましょうか。それではどうも今日はありがとうございました。


(注)  本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、職業能力開発局能力開発課 03-3593-1211(代)までお願いします。



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