中央職業能力開発審議会第175回総会議事録
労働省職業能力開発局能力開発課
日時 平成9年11月17日(月)10:30〜11:13
場所労働省省議室
議題 (1) 自発的な職業能力開発を行う労働者に対する費用面における支援制度について(総括部会長報告)
(2) 高度職業訓練における新たな訓練過程の創設等について(職業訓練基準部会長報告)
(3) その他
出席委員 学識経験者尾高 煌之助
小池 和男
小宮山洋子
早川宗八郎
労働者代表柿崎 昌悦
草野 忠義
鈴木 利文
事業主代表岩口 縣一
斎藤 詢
杉山 幸一

議題(1) 自発的な職業能力開発を行う労働者に対する費用面における支援制度について

(総括部会長)
 5月30日に開催されましたこの審議会の総会におきまして、「自発的な職業能力開発を行う労働者に対する費用面における支援」について総括部会で検討するようにという課題をいただきました。この課題につきまして、7月から11月まで合計4回にわたりまして、総会部会を開催し、検討を行いました。
 検討結果は、お手元の資料No.1の「総括部会長報告」に示されておりましが、簡単に申しますと、5つの柱からなっております。お手元の資料No.1をご覧いただきますと、本文の項目が5つ並んでおりますが、ゴシックで書いてある項目の5つの柱からなっております。すなわち「自発的な職業能力開発の重要性と支援の必要性」、2番目が「自発的な職業能力開発の現状と問題点」、3番目が「今後の自発的な職業能力開発の支援等の性格」、4番目が「新たな支援制度の内容」、5番目が「新たな支援制度の枠組み等」であります。内容を事務局からお手数ですが読み上げていただきたいと思います。

(事務局)
 (配付資料No.1読み上げ)

(総括部会長)
 どうもありがとうございました。なお、総括部会では、次の3点について意見の開陳がございまして、意見の一致を見ておりますので、併せてご報告いたします。
 一番目は「新しい支援制度における支援の水準は、この制度の趣旨に照らして、適切かつ十分なものとすべきである」、2番目は「パートや派遣労働者など、本来雇用保険制度が適用されるものについては、加入手続の促進が考慮されてよく、また主婦など、雇用保険制度の対象外のものの職業能力開発にも、しかるべき対策が望ましい」、3番目は「中小企業における職業能力開発の促進のため、情報の普及、現行制度の評価などを含め、一層の努力が期待される」、これらの意見については本審議会におきましても、今後十分に配慮されるべきものと考えております。以上でございます。

(会 長)
 どうもありがとうございました。何かご意見、ご質問がございましたらどうぞ。

(委 員)
 補足の点でちょっと聞き逃がしましたので、お聞きします。2番目に言われました雇用保険の適用の拡大の問題と、もう1つは主婦などの問題についてどういう考え方で出されたのですか。要するに、雇用保険から外れているわけですが、それを対象にするようにというご意見だったわけでしょうか。それが1点です。それから3番目に出されました点について、もう1度お願いいたします。

(総括部会長)
 わかりました。3番目のほうからお答えいたします。3番目は、特に中小企業における職業能力開発の促進のために、すでに労働省等でご努力されているところですが、一層各種の制度に関する情報の普及、あるいは現行制度がどのぐらいうまくいっているかどうか、というような評価を我々としてもしたほうがいいかもしれない。そういうことも含めて、一層の努力が期待されるという趣旨でございます。
 2番目の広範について、現在雇用保険制度の対象外にある方々についての意見ですが、これは総括部会での議論では、雇用保険を主婦とか自営業等の方々に拡大しろということを議論されたわけではなく、そういう方々もあると。そういう方々は、当然といいますか、定義からしていま考えております新しい支援制度には入らないが、社会としてはニーズがあるのではないか。そのニーズのことを別途考える必要があるのではないか、そういうご意見でございました。

(会 長)
 いまの点について、何か事務局で補足説明されることがありましたらどうぞ。

(事務局)
 総括部会のときにもご説明しましたことですが、労働省におきましては育児や介護などで退職した方が、再就職するときにさまざまな支援措置を講じております。こういう再就職を円滑にさせる、あるいは本格的な再就職をしていただくというためには、その前後に職業能力の開発向上のための対策を講ずるというのは大変重要な課題であると思っております。そして今後、労働省としてはさらに仕事に就いておられない家庭の主婦が再就職をするときに、国としてどういう支援対策をさらに講ずることが必要かということを調査、研究をするということになっておりまして、その研究課題の1つとして、職業能力の開発という分野もあると思っておりますので、そういう研究の場で、今後さらに検討のあり方を勉強していきたいと思っております。

(会 長)
 他に何かございますか。もしございませんようでしたら、今日の総括部会長報告につきまして、審議会としてそれを了承したいというふうに思いますが、よろしゅうございますか。

(了 承)

 どうもありがとうございました。それから口頭の点はもちろん議事録に記すと同時に、今後の留意点としていろいろ考えてまいりたいと思います。
 それではただいま了承いただきました総括部会長報告につきましては、中央職業安定審議会に伝達する必要がございます。それは私にご一任いただけますでしょうか。

(了 承)

 それではそうさせていただきます。

議題(2) 高度職業訓練における新たな訓練課程の創設等について

(会 長)
 それでは次の課題の「高度職業訓練における新たな訓練課程の創設等」についてです。この件につきましても、5月30日に開催されました第173回総会におきまして、職業訓練基準部会での検討をお願いしております。今日は、職業訓練基準部会長がご欠席ですので、代わって事務局のほうから報告をお願い申しあげます。

(事務局) (配付資料No.2について報告)

(会 長)
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして何かご意見、ご質問はございますか。

(委 員)
 1つだけ簡単なことですが、1頁目の訓練生の数が「1単位につき」というのは、1訓練機関にしなかった理由は何かあるのですか。40名以内というのは。

(事務局)
 従来から訓練基準を定める際に、1つの1クラスという意味合いで1単位というような表現を使わせていただきました。

(委 員)
 例えば1訓練機関に2単位があっても、いいということですね。

(事務局)
 可能でございます。

(委 員)
 だから教育するには40人以上の編成をしてはいけないよという理解ですね。ただ、単位と言いますと、修業した各内容の教科の数え方も場合によっては単位で行うというようなこともしているわけですから、その辺の区別はどうなのかなということで質問を申し上げました。普通は訓練科と言い換えていい事柄ですね。

(会 長)
 というか、わかりやすく言えば訓練科の1学年定員ということですね。

(委 員)
 そういう意味ですね。

(会 長)
 「単位」という言葉は、他にも使っているのですか。

(事務局)
 現在、いわゆる文部省系の単位とか、そういう形ではございませんで、従来から1つのクラスのまとまりということで、専門課程でも1単位という表現になっております。

(会 長)
 能力開発関係の施設では、「単位」という言葉はそれなりに明確であるということですね。わかりました。趣旨はいまのような形で。他に何かございますか。

(委 員)
 前に短大のほうも、あの時単位制にしてほしいという要望なり、そういう意見もあったので、これだけ読んで混乱することはないと思うのですがあとは「訓練科」と書いてあるのだから、「訓練科」と書いてしまってもいいのかなと。

(会 長)
 たぶんそうだと思うのです。言葉遣いの基準が非常にテクニカルで、これはちょっとわかりにくいですね。しかし将来は文部省と乗り入れも可能性としてはあり得るかもしれないので、将来の検討事項の1つぐらいにお考えいただいたらどうですかね。いますぐにはちょっと無理だと思います。そういう趣旨ですね。

(委 員)
 そうです。誤解は招かないと思います。「人数」と書いてありますから。しかし用語として別な意味があるとすると、理解することで混乱するかなという気がします。

(会 長)
 1つ1つの言葉に難しいのですね。何か他にございますか。いまの点でも結構です。基準関係というのは、非常に言葉遣いが面倒ですから、どうぞご質問なさってください。

(委 員)
 いまの単位のことで、基準部会では再々にわたって、時間制から単位制に検討すべきだということで、全体がその考え方であったわけですので、議事録に留めてほしいのですが、将来にわたって在職労働者が自由に入れるような仕組づくりというのは、時間制では困難性があるわけです。
 したがって、現場の第一線のほうでは、ほとんど時間を単位に書き直して、その中で入りやすいような環境整備をするところであるわけです。先ほど会長等からお話がありましたように、文部省との関係もあるのですが、いずれにしろ、在職者が入れるような仕組づくりをもっと検討すべき課題ではないか、というふうに思うわけです。それからいま申し上げているような内容は、4頁にも「単位は時間とする」ということで、1つ1つの単位の問題の点について整理をされているわけですが、いずれにしろ、中小企業等の中の配慮も含めてお願い申し上げたいと思います。
 もう1点は、応用課程の中にいまの在職労働者が働きながら学べるような仕組づくりとして、夜間の訓練課程等も運用面でできるというふうに思いますし、今回の規定の中にはそのようなことも書かれているわけですので、是非開設が早期に行われるように関係方面に働きかけることが必要だろうと思います。以上、2点をお願い申し上げます。

(会 長)
 いまの第1点は、先ほどの論点にかかわっております。これはある意味では大きいわけですね。しかもいまのご指摘だと、4頁にたしかに「単位 とありまして。

(事務局)
 そこは省令改正までにもう少し検討したいと思います。

(会 長)
 いまの点は、第1点は委員がおっしゃった追加の1(4)の仕組みは、在職者がコースへお出になる場合、時間数で規定するだけではうまくいかない場合があるかもしれない。ですから、そういう点は割と広がりが多いので、これは議事録にとどめ、かつ将来の検討事項ですね。
 2点目についてはいかがですか。夜間を含めて、運用面でいろいろ工夫するということですが、これはいまは大変難しいのですか。

(委 員)
 まだ取り組んでいないのです。従来の専門課程の場合には、そういう議論があったのですが、高卒の学生が中心ということですので、その後発展がなかったのですが、応用課程の場合には在職労働者に対して一線の中に入れるような仕組づくりのほうがむしろ適正だと思うし、相関関係もあるわけです。

(会 長)
 事実として、昔ふうに言うと短期の向上訓練はしばしば夕方とか、そういうことはなかったのですか。

(委 員)
 短期のほうは、いま土曜日、日曜日、夜間もほとんど実施しているところですが、この長期のほうです。短期はやっております。

(会 長)
 いまの点について、何かございますか。

(事務局)
 要するに在職者がこの応用課程を卒業できる形で、もっと柔軟に、ただ時間だけに絞るだけではなくて、これだけのものをやった場合、時間で判断するのではなくて、内容で判断していこうではないかというご趣旨かと思います。私どもにとって、ものすごく重要なポイントだと思いますので少し事務的にしっかり詰めさせますので、真剣に検討させていただきたいと思います。

(会 長)
 それはもちろんいいのですが、いまの点は連続した時間でなくても、総時間数ぐらいは書かなくていいのですか。その点だけ気になったので。連続したある時間というのは、運用上困るというのはわかるのですが、ご趣旨はそういうことですか。

(委 員)
 そうです。単位制を導入すると、本人が受けやすいような環境の中で出入りができるのです。しかも、この報告書にありますように、互換というのか、それぞれの在職労働者がいまの技能なり、技術を評価される場合には、それを短縮することができると。短縮することができるといっても、時間数を単に2,800時間を何時間短縮できるかということはわからないです。単位があってはじめて短縮ができるわけです。おそらくそれを現場のほうでは実施しなければいけないだろうと思うのですが、制度として作る以上は、単位制を認めて、この評価の問題を通して何単位を省略することができる、この過程を省略することができる、この科目が省略することができるということで、もっと具体化しなければ利用するほうも利用しにくいだろうということで申し上げているつもりです。

(会 長)
 わかりました。そうすると、委員がおっしゃったのは、この文書で言いますと、3頁の「その他」の第1項目をもう少し具体的におっしゃったわけですね。

(委 員)
 おっしゃるとおりでございます。

(会 長)
 これはまさに検討課題として記されていると思います。できるものとするわけですから、それを具体的にどうするかはこれからの検討ということですね。

(委 員)
 ですから、訓練時間を細切れにして、単位という概念でアチーブメントつまり完成度をちゃんと検討できるような形で出席して、それで応用課程修了ですというふうな判定ができると、応用短期課程との関連なり、在職者に対して大変メリットが大きいのではないかと思います。これは文部省でやっている学士の認可のある単位を本当にいろいろつまみ食いしている人も、それが全体として学士に対応する数を満足すれば、認定できるというふうな格好になっていますので、今後是非ご配慮いただければ、特に在職者などに対してはメリットが大きいのではないかと思います。それで単位のことでちょっとご質問を申し上げたわけです。

(会 長)
 そうしますと、「単位」という言葉自身の持つ様々な含みは非常に大きいようですので、今後事務局でも大いに検討していただきたいと思います。いまの点も含めて、その他の点でございますか。
 私から簡単なことですが、ここで応用短期に非常に需要が殺倒するのではないかという気がしないでもない、これは単なる憶測に過ぎませんが。しかし趣旨としては、長期のほうを主にお考えで、このプランをお立てになったのでしょうか。つまり単純に考えていくと、短期のほうがやや付随的みたいにちょっと書かれている気がしますが、在職者を念頭に置いた場合、実際はこちらにワッとくるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。

(事務局)
 その点につきましては、決め方が長期のほうから入っていますのであれですが、今後のニーズとしては、いま会長がおっしゃったように、特に中小企業を中心とした在職者の方の高度化を図るというニーズが我々としても高まってくるだろうし、今後の方向としては、それは積極的に対応していかなければならないのではないかと考えております。

(会 長)
 いままでの専門訓練の実績を見ていると、かなり短期のほうの人数のほうが多かったように思いますので、もし訓練課程がその傾向に及ぶとしたら、多少それに心構えをしておく必要があるかもしれません。他にございませんか。もしございませんでしたら、ただいま説明のありました応用課程の修了者、つまりこれは資料No.2の3頁の「その他」の「第3項」に書かれておりますように、「応用課程の修了者が技能検定を受験する際の受験資格及び試験免除の件につきまして」、かなりいろいろ問題を検討していく必要があると思います。そこでこの問題の検討は、技能振興部会にお願いしたいと思いますので、よろしゅうございますか。
 本日の議題は以上でございます。事務局からお知らせをお願いいたします。

(事務局)
 ただいま2つの報告をいただきましたが、そのうち総括部会長報告につきまして、自発的な職業能力開発の問題で、この後総会において了承されましたことを、この後記者発表する予定にいたしておりますので、併せてよろしくお願い申し上げます。

(会 長)
 これで本日の議題は終了いたしました。他に何か議題にかかわらないことでも結構ですから、ご意見なり、ご質問がございましたら、どうぞ。
 特にございませんようですので、今日の会議はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

(閉 会)



(注)  本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、職業能力開発局能力開発課 03-3593-1211(代)までお願いします。



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