中央職業能力開発審議会第88回職業訓練基準部会議事録
労働省職業能力開発局能力開発課
日時平成10年1月16日(金) 14:30〜16:00
場所労働省省議室
議題(1) 理容・美容分野における訓練基準等の改正について
(2) 調理分野における訓練基準等の改正について
(3) 指導員訓練における新たな訓練課程の創設について
(4) その他
出席者 学識経験者今野 浩一郎(部会長)
労働者代表柿崎 昌悦
草野 忠義
事業主代表杉山 幸一
福田 守宏

(部会長)
 (開会の宣言)

(事務局)
 (挨拶)

○ 議題(1) 理容・美容分野における訓練基準等の改正について

(事務局)
 (配付資料No.1についての説明)

(部会長)
 ありがとうございました。
 それでは何かご意見がございますか。
 これは、全体的に系基礎の方に増えてきている感じですよね。ということは、理容と美容はあまり差が無くなってきているということですかね。

(事務局)
 あまり差が無くなってきているということですね。

(部会長)
 今の実態もそうですよね。

(委 員) そういう意味で、美容科の所の「パーマネントウェーブ」というのが、男も皆パーマネントかけていますからね。これがちょっと言い比べる感じなんでしょうね。

(部会長)
 「関係法規」の法規は、理容と美容と違うのですか。

(事務局)
 それぞれ理容師法と、美容師法というのが実際の法律であるのですよね。

(部会長)
 男も美容院行きますしね。

(委 員)
 今はですね。

(部会長)
 床屋でパーマをやらない所はないでしょうしね。
 これは今でもパーマネントと言うのですか。

(事務局)
 どうでしょうか。世の中ではパーマとしか言わないのではないのでしょうか。パーマネントウェーブまでついてますけど。
 今日のご審議は本当に技術的なレベルのことで大変恐縮なのですが、厚生省の方で、「理容師・美容師養成施設指定基準」が改正になりまして、訓練校でやる訓練についても、厚生省の養成施設指定基準に連動して改正するということでございますので、あまり実質的なご議論をしていただく余地が無くて大変恐縮なのですが、ご了解いただければと思います。

(委 員)
 全くよくわからないので参考までに、「物理」というのは何ですか。

(事務局)
 化学は薬品でしょうね。物理というのはどういう事なのでしょうね。

(事 務 局) 物理につきましては、熱伝導とか、光とか、電磁気などの物理原則を勉強したり、いろいろな機械とか器具を使いますので、それの構造とか特性とかを理解していないと、お客さん肌に触るものですから、そこは気をつけないと行けないということで、こういう中身が入ってます。それから、化学は香粧品を使いますので、そちらの関係を学んでいただくということになっています。

(委 員)
 初歩的な質問なのですが、理容と美容と簡単に言うとどこが違うのですか。

(事務局)
 理容は顔を剃るというのが一番大きな所です。美容というのはそこまでは入っていないです。あと、美容で特徴的なのは和装です。

(事務局)
 着物の気付けとか。

(事務局)
 そういうのが入っております。

(委 員)
 美容は。

(部会長)
 そういうことをやっているのですか。

(委 員)
 書いてありますよ。

(委 員)
 どっちが難しいですか。同じ様なものですかね。

(事務局)
 そうでしょうね。かつては男性用、女性用と分かれていたのが、実態が非常に似てきて、相互乗り入れではないですけど、女性が理容にかかるというのはまずないと思いますけど、その逆は一般的になっておりますから。

(部会長)
 そうすると、ヒゲは剃ってくれないのですか。

(事務局)
 剃りません。

(委 員)
 それは床屋で聞きました。ヒゲは剃ってはいけないと。床屋はいいと言ってました。実際、美容院に行ったことが無いから分かりませんけどね。

(委 員)
 髪を結うかどうかというのはあるのではないでしょうかね。男は切ったりかけるだけで、結うということはしないのではないでしょうか。結髪というやつです。日本髪とか。

(部会長)
 たぶん美容院の一部ですよね。仕事が。

(委 員)
 そうですね。

(部会長)
 今、皆ハサミでカットですよね。

(委 員)
 それもしますし、ただ、髷を付けて結うというのはしないのではないでしょうか。

○ 議題(2) 調理分野における訓練基準等の改正について

(事務局)
 (配付資料No.2についての説明)

(部会長)
 ありがとうございました。それではご意見があればお願いします。
 専門課程の方は、就職は比較的マネージメント系というか、訓練内容からするとそういう形で就職しているのですか。

(事務局)
 公共の方では調理関係の専門課程はやっておりません。民間の在職者の方を対象とした認定短大という形でやっておりますので、実際には企業に就職されている方に能力を付けようという訓練になっております。

(部会長)
 この時代に西洋料理とは何のことを言っているのかという時代にだんだんなって来ましたよね。

(事務局)
 前回も御指摘ございました。

(部会長)
 最近、西洋料理店と言いませんものね。

(事務局)
 専門調査員会の方でも、料理の種類が複合化してきているので、実習なども含めてすべて出来るような基準に変更していった方がいいのではないかというご意見をいただいて、それで大きく時間数が変わったということです。

(委 員)
 そうすると、既にそういう業種に就かれている方の、いわゆるブラッシュアップ的な形で行かれる方が多いわけですか。

(事務局)
 実態論としてはそうです。制度的には別に公共でやってもいいわけですけど、その場合は新卒者が入ってきたりということがあるわけですけれども、現在の実態論としては在職者を対象としたものしかやられていないということです。

(部会長)
 如何でございますか。理・美容よりは身近なテーマだと思うのですが。

(委 員)
 みな出来るけれども、1つが下手だというのも困るような気もしますけどね。

(委 員)
 何でも出来る人をつくったら、特殊な美味しい料理を作る人は減ってきてしまいますね。

(委 員)
 そうですね。

(委 員)
 時代の流れだから仕様がないのですかね。
 これはやはり、レクチャーの方が増えて実習が減っているという感じですよね。

(事務局)
 実は現在の基準があるのですが、現在の基準があって、厚生省の調理師養成施設の指定基準というのが変わりましたので、それに合わせてこの様に変えたいというのを一度お諮りしてるのです。それから専門調査員会にお諮りした結果、この様に更に変えたいというのを今日見ていただいております。先程事務局が比較したのは、前回諮問をしました時とどういうふうに変わったかという説明だったのですが、現行の基準と比べますと学科の時間が相当減っています。むしろ実習の時間を増やそうということで、教育訓練施設が縛られずに、自由に特徴のある教育が出来るようにということで、学科が減って実習が増えている。その実習も各日本料理、中国料理、西洋料理ということよりも、どの料理をやるにしても共通に勉強する部分が増えていると。実施時間数としては増えているということです。

(委 員)
 わかりました。

○ 議題(3) 指導員訓練における新たな訓練課程の創設について

(事務局)
 (配付資料No.3についての説明)

(部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、如何でございますか。

(委 員)
 それでは、何点か質問と意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 第1点の問題は、審議日程について、平成11年度ということが出ておりますし、それに対応してどういうふうに日程が組まれるのかというのが第1点目で教えていただきたいと思います。
 第2点の部分は、今までの基準を見ると、文部省との関係はそんなに重要視しないで応用課程を担当するという前提であるだろうというふうに思いますが、もし文部省との関係が派生するのならば、学位との問題も合わせて直すのに相当期間がかかる現実の問題があるわけです。今の研究課程はその一例だと思っているわけです。そこを意識しないで労働省独自の問題を、是非整理をしていただきたいと思うところであるわけです。
 それから3つ目の問題として、専攻の内容について、受講する者についてお願い申し上げたいと思うのですけれども、1年間の教育を受けて直ちに応用課程を担当するなどということほど甘いことはないだろうと思うわけです。余計なことを言うかもしれませんが、現実の問題として今、事業団の総力をあげて今の指導員をもう1回見直して、何年か経験を持った、しかもそれだけの実績を持った者を応用課程を担当する指導員ということにしているところであるわけです。こういう課程を作るという事について特段反対するということではございませんけれども、研究課程を修了したものが、1年間で応用課程を担当しうるという様な錯覚が発生するようなことがないようにしなければいけないのではないだろうか。それだけの能力はありません。第一線の現場の方との問題もあるわけですし、色々なことを考えた場合には、もっと物づくりに対して考え方を整理しなければいけないと思います。仮にこの様な事が出来た場合でも、雇用促進事業団の方に対しても、研究課程から単に上がる事ばかりではなくて、むしろ在職指導員の人を優先し、しかも実際に応用課程を担当出来るような人選のうえで展開していただくと言うことが適切ではないだろうかと考えているところです。
 それから4点目の問題で、単純な質問で恐縮ですけれど、7の「訓練生の数」ということで、各専攻分野ごとに20人以下と出てますから、専攻科が4つあるわけですので、80人という数字で読んでいいのかどうかと思っているところであるわけです。つまり最初の総合大学校の設置の時の専攻20人、何人にするかは別問題としても、そこまでは一定の許容の範囲である、こういうことで読んでよろしいのかどうか。
 それから中身については、応用課程はどちらかというとものづくりを中心に応用課題をどういうふうに解明するか。1人の専門家の力の問題は非常に大切にしなければいけないと思うのですけれど、グループごとにその課題を整理し、専門的な要素が絡み合ってものづくりをしていくという様な事が応用課程の本命中の本命であるわけです。従って3ページに出ておりますような、専攻の目的について、これから参考にさせていただきたいのですけど、専攻分野の専門性を高めるという事を中心にここに専攻を掲げているわけですけれども、この事も大切ですけれど、それ以上に物づくりに対する応用課程の在り方の中で、この課程が構成されることをお願い申し上げておきたいと思っています。
 最後に一点だけ、仮に民間等に行くなどということがあり得るだろうと思うのですけど、民間の方に行った場合に、現在の民間の賃金体系なりを考えた場合には、この1年間をどういうふうに評価するかということが非常に難しいような状況にあるわけです。つまり、かつての高卒1年課程と同じ様な状況で、大学院の3年課程を修了したということの処遇をするのかどうか分かりませんけど、その場合での考え方の問題を資格との分も含めながら、どういうふうにお考えなのかなという様なことで、民間に行くと予想しておりませんので、そこまで必要かどうか別問題ですけれども、仮の話としてその問題があった場合にはどうするのかなということが幾らか頭の中にはあるわけです。
 以上の様な事の状況で教えていただきたいと思うところであるわけです。

(部会長)
 如何ですか。では順番にお願いします。7点ほどありましたが。

(事務局)
 今日参考資料お配りするつもりで関係条文が抜けてる部分がございましたので、指導員訓練関係の基準の資料をお配りさせていただきたいと思います。審議日程としては平成11年度に応用研究課程を設置できればと考えておりますが、ただこういう訓練課程を設ける場合にはやはり訓練基準を省令で定めていただかないといけないということがございます。指導員訓練の訓練基準につきましては、資料No.3の1ページ目に書いている程度の、非常に弾力的に運用できる時代に即した形で、指導員を養成する中身にできるようにという様な程度の省令になっておりまして、そういった関係で今日ご議論いただいて、基本的な線としてはこういう形でいいのではないかという様なことでご了解いただければ、総会の方にご報告いただいて、その後基本的な部分の省令づくりの作業に入らせていただければと。それで、具体的に11年度からスタートしていくわけですけれども、それまでの間に如何に教える教科の中身を本当にいい物にしていくかというところを現実的に詰めていって、11年度にスタートしていくというようなことでご理解いただければと思います。
 2点目ですけれど、今回のはご指摘のように、文部省の方とは全くリンクしないでいいだろうということで考えて整理させていただいてます。従来の指導員の訓練は、どちらかというと、文部省の学位も可能な限り貰おうという趣旨でやっておりましたけれども、今回、元々1年ということで設定したこともございますけれども、そういった関係で、やはり実務経験者の方もかなり入っていただく必要があるのではないかというような事も含めまして、文部省の基準の方とはリンクさせないような形で、労働省として必要な基準として設けられないかということで、今回ご提案させていただいているということでご理解いただければと思っています。
 2点目は以上です。

(委 員)
 結構です。

(事務局)
 3点目は受講者という事で、これを出ればすぐに本当に応用課程を教えられるかどうかという問題のご指摘だと思います。確かに、文部省の教職員課程を出たから必ずしもすぐ先生としてやっていけるかどうかと同じ議論ではないかと思います。ただ最低限の要件としては、こういった形を出れば、一部の教科とか、そこまで排除する必要はないのかなと。確かに経験を積んでいかなければ、本来目指すべき応用課程としての指導員のレベルまではなかなか達しない部分はあるかと思いますけど、そういった趣旨で経験を積み重ねていくことによって、本来のレベルが確保されるということはあるのでしょうけど、基本的素養として応用課題を解決していくような課題の設定とか、カリキュラムの作り方ということについては、理解させるということで最低限の要件は満たせるようにという形で、我々としては考えては如何かなと。当然、応用研究課程自体が平成11年度から開始になりますので、これの修了生というのは平成12年度にしか出て参りません。応用課程自体は平成11年度にスタートするわけですけれども、そこの部分は当然今、事業団立の短期大学校なりで専門課程を教えていただいている方で、やはり応用課程を教えていただけるような能力を十分持っておられる方に、研修等の実施などをして、その方々に最初はかなりの部分のご負担をお願いするような場面も多くなってくる可能性はあるのかなと考えてございます。
 以上3点、十分でしょうか。

(委 員)
 今の考え方の主旨は解ったつもりですけど、学生との期待感の問題も含めて、今研究課程を修了したものが、当然短大に行けるので来るでしょ。実態を含めて考えた場合には、殆ど実習の対応は出来てないのです。従って、学科は担当できるけれども実技の問題点はもう一回教育を仕直すということで、本当に短大の方に配置した方が適切かどうかというふうな事が現実の問題であるわけです。そのことを考えると、研究課程だけの問題を整理するのではなく、長期課程から研究課程も含めて一定の整理をしたうえで応用研究課程が存在することであるだろう。それが先程の言った、文部省との関係も含めて直すことが出来ない、今からやっても3年か4年かかるという話ですから、その様なことの無いようにしていただきたいために先程の発言をしたところであるわけです。
 2つ目の問題点については、実際問題来年の4月から現実の問題として、何人かの指導員の人が応用課程を担当するため研修に入るわけですけど、この人達の処遇の問題を含めて、折角11年度から発足するわけだけれども、さかのぼってその課程を修了したという何かの認定が出来るようにしていただけないだろうかと思うところもあるわけです。つまり、実際上は12年から応用課程の最後の共同開発の問題が出てくるわけですけれども、しかし現実の問題として、1年目だって一定の考え方を整理しなければいけないことだと思うわけです。さすれば、指導員は、4校については少なくとも配置をされるわけですし、そのために10年度の研修が実施されるわけです。単なる研修の問題ばかりではなく、おって認定をしてあげるというくらいの措置を、この中で組むことが出来ないだろうかと考えるところであるわけです。それは運用できるかどうか分かりませんけれども、法改正の問題などが発生するならばなかなか難しいかもしれませんけど、その点もよろしくお願い申し上げておきたいと思うところであるわけです。
 細かな点についてはご説明していただいたわけですので、今後の問題や課題も含めながら、是非よろしくお願い申し上げておきたいと思うところであるわけです。

(事務局)
 まだ個別のご説明することがありますので。

(事務局)
 それでは4点目、5点目、まだ残っておりますのでそちらの方を説明します。
 訓練生の数は、先程ご指摘いただいた様に、各専攻ごとに20人という枠を示していますので、最大80人入れることは可能です。制度上はそういうことです。ただ、当面応用課程が今後どれくらい立ち上がっていくかによって、その訓練課程で育成して行くべき指導員の人数も変わってくるかとも思いますので、そこは実行上どれだけの人数でやるべきかというものについては、また別途考えていかないといけないのではないか。ただ、枠としては各専攻ごと20名ずつ入れるような形で考えては如何かということで整理させていただいております。
 あと教科の中身で、応用課題をいかに解決していくかということで、3ページの参考資料の、具体的に書いている教科の主な内容の所が余りにもさっと書きすぎたので、特に専攻分野ごとの特論とか、目立ち過ぎたのかと思いますけど、我々としても課題解決をやらせるという部分の能力又それを指導していける能力というものがここで付かないといけないということは当然考えてございますので、1の「習得させる主な能力等」の中でも(5)の位置づけで、他のは基本的に課題解決能力ということで書いてたのですけど、2の方が十分書けてなかったので大変申し訳なかったと思いますが、その点は十分考えながら実際のものは作っていかないといけないなと考えてございます。4点目は以上です。
 ここを出て民間に行く方の話が最後だったと思いますが、これはおっしゃられるように、民間企業の方でどういう処遇でやっていただけるかというのは非常に難しい問題で、我々としてもなかなかこうなるというふうに申し上げられないところがあって、ここは出来る限り民間の方に就職したいという事であれば、公務員も一定の実務を経験すれば格付けが少し上に上げて貰えるという様な事もございますので、そういった取扱いが何とか出来ないのかという様なお願いはしていかないといけないのかなということは考えられますが、今の段階ではなかなかうちの方も分かりかねるところです。

(部会長)
 よろしいですか。

(委 員)
 はい。

(部会長)
 他に質問ございますか。
 これは11年からはじまるから、時間無いですよね。

(事務局)
 そうですね。ですから、募集自体を出来る限り早く始めないと、応用課程も含めまして。

(委 員)
 これは法律条項になるのですか、省令なのですか。

(事務局)
 指導員訓練の基準については省令レベルになります。

(委 員)
 そうすると先程のように、応用の問題も含めて仮に出来た場合には、さかのぼるということも出来るのですか。

(事務局)
 ただ、訓練課程を修了したというのを急に適用するというのは難しいのかなと思います。

(委 員)
 1ページの9に、一定の修了した者については免除するという規程を明確にしておけば、これを全部やらなければいけないことは事実ですから、それで可能性は見つけだすことが出来るのではないかと思って質問してるのですけど。

(事務局)
 それはおっしゃる通りです。だから、この規程を新たに設ければ、ほんの少し受けることによって修了したという証明はすぐ出せる様な形になっています。

(部会長)
 9がないと平成11年度から始められないですよね。

(事務局)
 そうですね。

(委 員)
 それと、これを教える先生というのは大体誰がやるのですか。

(事務局)
 ここはやはり、現在の大学校の先生にも適任者はおられるでしょうし、あと民間の実務経験者の先生にかなりご負担いただかないと、こういう部分はなかなか対応が難しいのかなとは考えてございます。

(委 員)
 ただ、実際に民間の第一線でがんばっている人は沢山いらっしゃるのに非常に恐縮ですけど、教育をするというのと民間での現場の状況とが、大きな違いがあるとことも事実なのです。技術の状況は非常に民間の方が進んでいるからといっても、教育論になってくるとやはりそれは専門家の状況で展開するべきですので、単に民間の先生が来て対応すれば物事を解明することではないことだけはお願い申し上げたいと思うのです。従って交流の問題点についても、例えば100パーセントの民間の人が来れば問題が解明するということでもないはずだと思うし、むしろ置かれている課程の問題を考えた場合には、足りない部分について民間の力を借りると、こういうふうなことだろうと思うわけです。指導員も民間に行かないから、単に民間の状況を知らないというそんな端的なものではなくて、常に第一線との接点があるわけですから、単に研修の問題は民間に行けばいいという問題でもない話だと思いますので、余計な事を言って恐縮ですけれど、その点もご理解の上で考え方を整理していただければ非常に幸いだと思うところであるわけです。従って、今でも能開大の先生方がいらっしゃるのに、更に屋上屋に先生を足すのか、単に民間から差し遣わして今の人と併せて展開するのか、こういう様なことなのか、もう一度言うならば、集まって来た人が色々な面で議論して、その課題を整理していくということが最重点課題とするならば、大概色々な面での理論構成の問題なども、他の高度の力を借りるということにしなければ、能開大の先生方が沢山増えてしまって、予算を作ってくれるのは非常によろしいのですけど、本当に大丈夫なのか。
 それからもう一つは、先程お聞きした20名という専攻の問題は、一時は確かに沢山の人数を養成しなければいけないと思うのだけれども、どこかから止まるはずだと思うのです。その時に廃止の問題も含めて適切な指導体制の問題をしておかなければ、またどこかで人数が過剰になってくるという様なことが発生するだろうと思うわけですので、周到な準備も含めて是非考え方を整理していただくことをお願い申し上げておきたいと思うわけです。

(事務局)
 応用課程のカリキュラムは、いわば応用課程をどういうふうに中身を仕組んでいくのか、どう教えるのかという事に付きましては、事業団の方で十分検討いただいているわけでございまして、そういうふうな生徒を育てるためにはどういうふうな教育システムがいいのかということの目から見た上で、それを教える先生方の体制というのを考えていきたいと思っているわけです。その中には能開大の先生もお入りになるでしょうし、委員がおっしゃった様に、この部分については民間のこの部分をお借りしようということも当然考えて行かなくてはなりませんので、あくまでどういう教育をするためにどういう指導体制が必要かという面で、民間の力もお借りしますし、現行の能開大あるいは短大の先生方の力をお借りする形で内容を仕組んで行きたいと考えております。

(委 員)
 先程申し上げた様な状態で、長期課程と研究課程の問題を抜きにして、屋上屋の問題が土台がしっかりしないというのはよろしくないですね。その問題点を整理しないで上の方に上積みするとなると、上が崩れる恐れがあるわけですから、ここの問題を抜きにして、折角作る応用研究課程については、一回研究課程の問題の上に物事を考えるのではなくて、本来有る必要なものをどういうふうに構成するのかということで考えていただきたいというふうに思うところであるわけです。

(事務局)
 長期課程とか研究課程の中身につきましても、全体としてどう仕組んだらいいのかということは、当然考えなくてはならない問題だと認識してございます。ある一定の分については見直しも掛けたいということで、色々検討を進めているところでございますが、ただ文部省の学位との関係を全く無くしていいのかどうかという難しい問題もございまして、その辺の色々な状況を加味しながら、限られた時間の中でどこまで先生のご意向等も踏まえながら、現実的にどう対応できるかと。これは難しい考えではございますが、そういう方向で努力させていただきたいと思います。

(委 員)
 先程、民間から援助を受けるという前に、基本的な定員は増やさないで、臨時と言いますか、3年なら3年当初援助して、その過程で今おられるスタッフの方が勉強して、それで次に続けていくという様なことは制度上可能なのですか。定員を増やしていくということなのですか。

(事務局)
 定員とおっしゃるのは大学校の先生の定員ですよね。基本的にそこを大きく増やしてということにはならないと思うのです。ですからそれは色々なやり方があって、例えば大学校の先生の任用をする時に、アカデミズムな世界ばかりではなくて民間の経験者を任用するとか、あるいは人事交流で民間の方に来ていただく。あるいは大学校の先生も民間の経験をしていただくというような形で交流するとか、あるいはパーマネントな指導員という事ではなくて、非常勤の先生としてあるコマだけ持っていただくとか、それは色々な工夫の仕方があるのではないかと思うのですけど、基本的にはこのためだけに大学校の指導員の定員を大幅に増やすということにはならないと思います。

(委 員)
 私はそれはそれで、そういう方法だろうと思うのですけど、民間から良い人を来て貰おうと思うと期限を切って、3年なら3年だけ良い人に来てもらえるという考え方もございますよね。ですから、そういう工夫の余地があるかどうかですよね。一旦滑り出せば、そのやり方なりが多少解ってくると思うのです。最初が大変だと思いますけど。問題課題解決能力などというのはですね。

(委 員)
 現実の問題として今やっているのです。今の所、高度集積地域を16地域指定しているのですけど、ここでものづくりで新たな物を作るにはどうしたらいいのかということで、共同研究などをして物を作る過程を全部展開している最中なのです。従って、事務局の方でこれから頑張ってくれて指導員もかなり増えるのかどうか分かりませんけど、今の所残念ですけど、今ある体制をごちゃごちゃにしてこの中から指導員を生みなさいという至上命令なものですから、事業団の総力で全部を掻き回すという作業に入らなければいけないわけです。従って、体制として全くゼロからスタートするのではなくて、もう既に企業人スクールの問題も含めて実際に動かしてることが事実ですから、それでも慎重に物事を考えなければいけないことだし、ある面ではものづくりの最高たるものに発展するためにはどうするかということで、それぞれの英知を絞っている最中であるわけです。足りない部分なり色々な面での問題点は、事業団の職員ばかりではなく、当然の様に民間の方から力を借りなければいけない。というふうな制度もあるのです。情報関係の先生方は何名か来ていただいたとか、航空機整備については民間から来ていただいた。こういうふうな実態も一面では制度として存在しているところであるわけです。これは余計な話しかもしれませんけど、人が増えないで掻き回して対応するというのは大変な話しだということを、是非理解していただくために。

(委 員)
 文部省の方も段々とかき混ぜるという方にやってきているのですかね。

(部会長)
 文部省はかなり前から単位互換ということでやってます。

(委 員)
 そうですね。それとか、5年で試験をして期限をきるとか。

(部会長)
 教員のですか。国立大学は大丈夫です。私立大学は労働基準法との関係があるからどうかという話しなのですけど。それよりか、雑談ですけど大学はいかに教員を減らすかということを問題にしています。

(委 員)
 増えないとすると、さっきのようにかき混ぜるとか勉強するとか。

(部会長)
 大学の場合は定員が減りますのでね。学生定員が。

(委 員)
 必然的に減っていくと。

(部会長)
 これはカリキュラムがね。まだちょっとイメージが。問題解決というと言葉としては分かるのですけど。ですからこういう指導員訓練も、実際にどういうカリキュラムなのかがなかなかイメージしにくいですよね。どうも私らの頭の中には、電気科とか機械科とかが頭に入っているものだから非常に難しいですよね。

(事務局)
 応用課程では一緒に複合化して訓練をしています。一言でいいますと。

(部会長)
 言葉ではね。その中身ですよね。複合化する時に全員に情報、電気、機械、全部ちょっとずつ覚えさせるというのをイメージすればいいのか、何か1個物を一緒に見たり、つくるとか。

(事務局)
 ものを皆で一緒につくるというイメージですね。

(部会長)
 ただ、ものをつくって行くということで、2年間もそればかりやってられないでしょうから、どうするのかなと。

(委 員)
 1年目は従って先程事務局からお話があったように、ある面では自分の専攻したものばかりではなく、もっと幅を広げるのです。

(部会長)
 知識として。

(委 員)
 ええ知識としてですね、技能も含めて。それは中小企業の方に就職をする時に、俺はこの専攻をしたというだけで、その中小企業の中で中心的な存在になることは出来ない、もっと幅を広げようということの分が1年の課程でありまして、2年になったら、1人の力の問題ではなく何人かのグループでものをつくるというふうな過程なり企画があり、こういうふうなことを踏んだ上で実際にものをつくらせるという方法なのですよね。

(部会長)
 そうすると、1年目のカリキュラムについては既存の機械とか電気でいいわけですよね、そういう人は。

(委 員)
 そうです。極端に言えば、機械を学んだ者は電気を勉強しなさいということですね。

(部会長)
 ですから、教える指導員は機械は機械の人が教えて、電気は電気の人ですよね。2年目以降ですよね、おしゃったのは。そういう人達はどういう能力が必要かと。

(委 員)
 そうですね。

(部会長)
 日産とか三菱電機とか。

(委 員)
 短大の方ですね。

(部会長)
 短大ではなくて、エンジニアの養成学校があって、2年間コースくらいで、30歳くらいの人を対象として、イメージは似てますよね。そのかわり、2年間フルに引っぱり出す事など出来ないから1ヶ月に1週間と決めるのです。それで、機械の人が来ても、電気の人が来ても、情報の人が来ても、全部教えるのですよね。それで2年目以降は自分の現場の問題を持ってくるのです。あれも一種のエンジニアエリート養成コースを作ってますよね。似てますよね。

(委 員)
 労働省もそういうことの状況で、大企業というよりも中小企業の方に入っていって、中心にものづくりを担当できるような者にしようということで、今のところ専攻すぎてしまって、実際にものをつくるといっても、その分野には得意だけど他の分野にはなかなか入っていけないという仕組みになっているわけです。従って、こういうやつは長期課程をちゃんと整理しなければ、なかなかものづくりの問題点の部分も長期課程でどういうふうに位置づけをして、もっと実習を大切にして展開していくというような事の方向も考えなければいけないだろうと思うのです。今日は応用研究課程を創設するところの問題が中心でしょうから。

(部会長)
 一種のインターンシップみたいな感じですね、2年目は。それを訓練所内インターンシップ。

(委 員)
 そうです。おっしゃるとおりです。

(部会長)
 全然話は違いますけど、私は工学部出身なので、私の頃は夏休みに1ヶ月間位工場に放り込まれましたけどね。

(委 員)
 今の能開大もやってることです。夏休みを使って民間の方に入っているのです。1ヶ月間とそれなりのことの実務担当ということで行っているのです。

(委 員)
 今もありますか。

(委 員)
 ええ、やっています。

(部会長)
 せっかくの夏休みをと思いながら行きましたけどね。

(委 員)
 ただし、これも非常に失礼だけど、民間に行って中枢部分を教えてくれるのかといったら、なかなか教えてくれないですものね。それから賃金は一体誰が払うのかということとか、先程民間の方からお見えになる人についても賃金の問題が絡んでいまして、優秀な人を引き抜くとなるとそれ相応の賃金を支給しなければいけないということの部分が出てくるわけです。それらの一つずつの労働条件を解決していただいて来ていただくというのもなかなか難しいですよね。

(事務局)
 今既にインターンシップを能開大でもやってらっしゃるというお話でございましたけれども、今度新しく作りたいと思っております応用課程にも、どういう形でインターンシップが入れられるかというのは検討しているのです。それから、インターンシップ自体もっと広く能開短大、能開大学校の話だけではなくて、労働省全体として文部省や通産省と調査を進め、ある方向も出たと思うのです。方向としてはインターンシップを推進しようと思ってます。その時にインターンシップというのは、学生の利益、大学の利益、受け入れる産業界の利益、それぞれありますけど、それをどういうふうに調和をさせるかとか、インターンシップをやりたい所、受け入れたい所、それが公平にチャンスを得て、それをどういうふうにマッチングするかといったような難しい面もあるようですけれども、これは推進しようということで向かっていると思います。特に応用課程という様な性格の、こういう問題を具体的に解決する実践まで身に付けさせるための課程として、インターンシップというのはどういうふうに活用できるかというのは大いに前向きに考えていくべき課題であると思います。

(部会長)
 今日はガイド的なフレームワークとして、基準部会でこういう方向で承認して欲しいという提案でございますよね。

(事務局)
 そうすると省令の形でもう一回お諮りするのですか。

(事務局)
 それは省令案要綱という形で、総会での方でお諮りするような形になります。

(部会長)
 如何でございますか。よろしゅうございますでしょうか。

(委 員)
 明後日の総会にもう諮るのですよね。

(事務局)
 はい。今日ご審議していただいて一応何点かご注文いただきましたけれども、この枠組みについてはご了解いただいたという理解で、月曜日に審議会の総会を開きますので、そこでこの中の省令になった時の骨子をこれを踏まえて省令の形でお諮りしたいということでございます。

(部会長)
 よろしゅうございますでしょうか。これでガイド的なフレームワークは決まったとしても、問題は山積です。一つ一つやらなければいけないことはいっぱいありそうですね。
 それでは、今日3つの議題をご検討いただきましたが、3議題ともご了解いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
 他に何かございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それではこれで終了したいと思います。ありがとうございました。



(注)  本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、職業能力開発局能力開発課 03-3593-1211(代)までお願いします。



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