日時 | 平成12年9月20日(水)10:00〜12:00 | |
場所 | 共用第18会議室 | |
議題 | (1)今後の職業能力開発施策の在り方について (2)その他 |
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配付資料 | No.1 | 今後の論点 |
No.2 | 「3−1 多様な教育訓練機会の確保・提供について(ホワイトカラーの職業能力開発の推進について)」 | |
No.3 | 「3−2 多様な教育訓練機会の確保・提供について(就業形態の多様化に応じた能力開発、障害者等特別な配慮を必要とする人たちに対する能力開発について」 | |
No.4 | 「4 産業に必要な人材の育成について」 | |
No.5 | 「5 技能の振興、ものづくり労働者の能力開発の推進について」 | |
No.6 | 「6 人づくりを通じた国際社会への貢献について」 |
出席委員 | 総括部会所属 | 学識経験者 | 尾高煌之助 大澤 眞理 早川宗八郎 |
労働者代表 | 市川 清美 鈴木 利文 堀口 雅行 |
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事業主代表 | 青山 伸悦 小嶋 隆善 讃井 暢子 |
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総括部会所属以外 | 労働者代表 | 小栗 啓豊 平山 和雄 |
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事業主代表 | 尾崎 朋泰 山田 恒夫 |
(部会長)
ただいまから「中央職業能力開発審議会第76回総括部会を開催いたします。
それでは、早速議題に入りたいと思います。今日も前回に引き続いて、「今後の職業能力開発施策の在り方」について議論をしていただきたいと思っております。
議論に入ります前に、事務局から配付されております資料No.1「今後の論点」をご覧いただけますでしょうか。これは前回もお配りしたところでして、ご記憶と思いますが、前回はこのうち1と2を主に議論していただきました。その議論はいろいろなご意見が出て、活発に意見交換が行われて、必ずしもまとまっておりませんが、前回もご提案いたしましたように、この論点を今日はおしまいまで一応とにかく事務局から説明していただいて、それで議論をしていただいて、それを踏まえて次回以降全体の議論の集約を図っていきたいと思っています。
今日の議論の進め方ですが、3、4、5、6を大きく3つに分けて議論してはどうかというふうに思います。具体的に申しますと、まず3の「多様な教育訓練機会の確保・提供」のうちの最初に書いてある「ホワイトカラーの職業能力開発の推進について」。これが4の「産業に必要な人材の育成」と非常に関連が深こうございますので、まず最初に3のうちの「ホワイトカラー」の部分と4の「産業に必要な人材の育成」という所をまとめて説明を聞いて、それでご議論いただくというふうにしてはどうかと思います。
それが済みましたら、引き続き3の「多様な教育訓練機会の確保・提供」のうちの残りの2つ、「就業形態の多様化」と「障害者等特別な配慮を必要とする人たちに対する能力開発」についてご議論いただいたらどうかなと思います。
最後に、5の「技能の振興、ものづくり労働者の能力開発の推進」と6の「人づくりを通じた国際社会への貢献」についてご議論いただく。
以上のような3つの部分に分けて説明を聞き、かつ議論をしていただくというふうにしたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。時間の関係もありますのでそういうふうにさせていただきまして、まず事務局から「ホワイトカラーの職業能力開発」と「産業に必要な人材の育成」の部分について説明をお願いいたします。どうぞ、よろしく。
(事務局)
資料No.2です。「ホワイトカラーの職業能力開発の推進について」ということです。まず、大きく「現状と問題点」について、ご説明申し上げます。ここには、「民間教育訓練実態調査(平成11年5月)」の結果を引いてあります。ホワイトカラーの能力開発について、どういう状況にあるかということです。
「事業所調査」の2つ目のポツですが、「今後重視すべき教育訓練の重点」といたしましては、管理職では、「対人関係能力、管理能力、総合判断力、創造力等の向上」、事務職では、「基礎的な知識・技能の付与」、販売職では、「基礎的な知識・技能の付与」、「専門領域の高度化」、「対人関係能力、管理能力、総合判断力、創造力等の向上」とうふうにそれぞれの職種によって、ホワイトカラーと申しましても重視すべき教育訓練の重点が異なっております。
どのような教育訓練がどのぐらい行われているかということを個人調査で見ますと、最初の「個人調査」のポツですが、「教育訓練の受講状況」で、大体教育訓練を1年間に受けた者は半分強の割合がありまして、ただ管理職ということですと6割を超えておりまして、ほかの職種より高くなっております。
「教育訓練の受講施設」としては、自社または自社の施設の割合が高くて5割から7割。 「自己啓発」につきましては、やはり5割から6割の方が行っている状況です。
次に2頁です。3番目のポツにありますように、これは平成11年5月の調査ですが、教育訓練給付制度の周知の状況を知っているというのが約半数ということでした。
次にロ「ホワイトカラーに求められる能力」という所です。ここでは、日本労働研究機構(JIL)の調査についてご紹介しております。16頁の所をお開きいただきたいと思っております。これはJILのアンケート調査で、事務系・技術系・営業系・現業系も入っておりますが、あと管理職の代表として課長ということで、どういう能力が求められるのかということを調べたものです。
事務系につきましては、定型業務の処理能力というものが平均よりも多く出て、技術系につきましては担当業務に関する専門的な知識・技能、営業系につきましては、達成意欲・チャレンジ精神、トラブルに対処する能力、相手の信頼を得る能力、現業系については定型業務の処理能力、管理職につきましては、トラブルに対処する能力、以下非常に幅広い能力を要求されるということです。
その状況、平均との差などを見たのが、17頁と18頁の所に付いております。それぞれ事務系・技術系・営業系等によりまして、どういう特徴があるのか、平均と比べてどうであるのか、という傾向がこれで読み取れるということです。
(部会長)
こういう調査は、サンプル企業ばかりですか。
(事務局)
このサンプルは、事業所調査で大体2,000ぐらい会社があったと思います。
(部会長)
そういうことも併せて書いておいてください。
(事務局)
はい。次に19頁です。単に事務系・技術系ということだけではなくて、一歩踏み込んで業種別に見たものが19頁の所です。ここで見ますと、例えば同じ事務系と申しましても、金融・保険、卸売・小売ですと、担当業務に関する専門的な知識・技能という能力が求められる傾向がある。製造業ですと、人を適性に応じてうまく活用する能力というようなものが求められる。業種による差がそれぞれあります。営業系・技術系・現業系、あるいはその管理職につきましてもそういう傾向があります。例えば建設業におきましては、管理職でありましても担当業務に関する専門的な知識・技能が求められるというような結果が出ております。
2頁の所に戻りまして、こういう中で現在やっている施策について、2の所で書いてあります。実際にはビジネス・キャリア制度とアビリティガーデンの事業について記載してあります。
まずビジネス・キャリア制度ですが、これにつきましてはホワイトカラーの職務分野を10分野に分けまして、それぞれ教育訓練を行っていただく。その教育訓練を認定いたしまして、その認定講座の修了者等を対象に試験を実施して、合格すると修了認定書が出るという流れのものです。
それの解説をした図が22頁の所にあります。22頁の所に対象分野10分野、左の下のほうですが、「人事・労務・能力開発」から「国際業務」まで10分野書いてあります。これは平成5年度より開始いたしまして、平成10年度に10分野がそろったということです。現在、初級・中級という形でやっております。
この分野がどのように分かれているかというのは、25頁の所に書いてあります。例えば「人事・労務・能力開発」ですと、それぞれ「人事」「労務」「能力開発」とありまして、レベル初級・中級というふうに分かれております。その中をさらに細かくユニット分けしておりまして、それぞれ標準的にはこのぐらい勉強するという時間を決めておりまして、それぞれ講座が行われているということです。したがって、このユニットごとに取っていくといいますか勉強をして、段階を経て知識を深めていくというものです。これにつきましては平成11年度で7万1,000人という受講者数がありまして、比較的活用されているというふうに考えております。
3頁の所ですが、(ニ)と書いてあります。このビジネス・キャリア制度におきましては、一部の企業において企業の中の人事・処遇に連動した職務資格制度に取り入れたという例があります。
ビジネス・キャリア制度の問題点ですが、現在、初級・中級というものがありますが、初級・中級がどういう年齢層、どういう人をねらいにしているのかということが、いまのところ十分整理されていない面があるのではないか。また、いまのところ上級制度というものが創設されていないということがあります。
(2)ですが、ビジネス・キャリア制度をご覧いただいたように、かなり学習単位が細かく区分されております。このような細かく分けることが果たしていいのかどうか、という問題があろうかと思います。
(3)として、ビジネス・キャリア制度の認知度が必ずしも高くないということもあろうかと思います。
次に、アビリティガーデンです。アビリティガーデンは、平成9年にできたわけですが、そこにありますように、公共職業訓練の訓練科というのは技能系というのが大変多うございまして、平成12年度計画、1,951科のうち、何がホワイトカラー系かというものはありますが、情報系・事務系はそれぞれ116、202ということでして、ホワイトカラー関連の訓練科が必ずしも多くないという状況にあります。こうした中でホワイトカラーの職業能力開発に関する総合的、かつ中核的な拠点として、アビリティガーデンを平成9年度に発足させたわけです。
そこでは次のような事業をやっているわけです。1つはシンクタンクの機能と申しますが、調査研究開発です。もともとホワイトカラーの能力開発につきましては、どういうふうに訓練をやったらいいのかということが出発点です。産業界と共同いたしまして実態を調査研究して、教育訓練コースを開発していく、そしてそれを普及していく、というのが大きな柱です。もう1つは、開発した訓練コースについて実施するという教育訓練、もちろん公共職業能力開発施設で教育訓練をやるというものもあります。もう1つは、情報提供、情報発信の拠点という機能があります。
アビリティガーデンの問題点ですが、(1)にある産業団体とアビリティガーデンとの共同で開発した教育訓練コースは年々増えているわけですが、これにつきましては必ずしも民間ベースにどんどん広がっていくというふうにはなっておりません。アビリティガーデンで実施は続いておりますが、広がりに若干問題点があるのではないか。
もう1つは、ホワイトカラーの訓練を行う人です。これは内部と外部の双方の人材を活用しておりまして、実際には外部からの講師の方を非常に多く活用しているわけですが、ホワイトカラーの訓練につきまして指導員個人の能力に負っている部分が多いという側面があります。
3番目といたしまして、アビリティガーデンの開発した離転職者訓練につきまして、全国19カ所のポリテクセンター等に展開しているわけですが、在職者訓練につきましては、一部AGネットという衛星通信で雇用・能力開発機構都道府県センター等に配信していますが、直接実施するという形では全国展開はまだされていない。一部大阪でやっている例はありますが、必ずしも進んでいないという状況にあります。
「今後の方向」ということですが、まずホワイトカラーの労働者につきましては、特に実践的な職業能力というものが重要であろう、キャリア形成を柱とした施策を展開すべきであろうということですが、その際その特性を踏まえた評価を整備していくことが重要ということが言えるのではないかと思っております。
このような観点から、ビジネス・キャリア制度の在り方を見直すということ、さらには民間教育訓練機関とか企業などが実施している試験制度を活用していく、ということを検討するのが必要、ということについてご議論いただきたいと思っております。
次にビジネス・キャリア制度につきましては、これは当面ということですが、ホワイトカラーの特性を踏まえた効果的な活用を図るという観点から、例えば現行制度のレベル、位置づけの明確化、学習単位の大括化等につきまして見直しを行ったらいかがかということです。
(3)ですが、ホワイトカラーの能力開発を行う際に、やはり教育訓練の受皿の整備ということが必要ですが、アビリティガーデンで開発した教育訓練コースを1つは民間のほうに広めていく、あるいは公共職業能力開発施設でやっていく、ということについてもう少し拡充が図れないかということです。
(4)ですが、ホワイトカラー向けの職業訓練といいますか教育訓練、広く教育訓練とお考えいただいたほうがいいかもしれませんが、あるいはキャリア・コンサルティングというものが問題になっております。そういうことを考えますと、職業訓練指導員の養成等に当たりましても、こういう人材の養成について体制整備が必要ではないか。
教育訓練の方法といたしまして、インターネットや衛星通信の活用。中身といたしまして、(6)にありますように高度な企画力、折衝力というものを開発する必要があるという中で、ビジネス・キャリア制度の上級の在り方なども含めて、そういう能力を開発したり評価する方法について検討すべきではないかということです。
次に資料No.4ということになりますが、「産業に必要な人材の育成について」ということです。いま現在、産業のサービス化、産業構造の転換が起こっているわけですが、私どもといたしましては民間の教育訓練、事業主の行う訓練を基盤といたしまして、その振興、情報提供、相談を含めて振興を図っております。
そういう中で3の所ですが、「21世紀人材立国計画」ということで、産学官関係者の結集の下で人材育成を推進するということをしているわけです。
そういう中でまず公共職業訓練についてどのようになっているか、ということが4番目です。1つは、これは第6次職業能力開発基本計画の期間中ですが、平成9年に制度改正を行いまして、職業能力開発短期大学校の大学校化というのを進めているところです。これは現在も継続中でして、来年度、平成13年4月にかけて大学校化を進めているということです。
もう1つは、公共職業訓練につきまして、訓練科目についてどうなっているのかということでして、14頁をお開きいただきたいと思います。これは、第6次職業能力開発基本計画期間中、どういうふうに訓練科目の見直しが行われたのかということです。平成7年度と12年度の計画ベースで取っております。訓練科、平成7年度は1,911科、平成12年度は1,951科ということで、そう大きく変わってはございませんが、中におきましては増えたもの、減ったものが様々あります。
まず増えたものといたしましては、福祉・医療関係。特に介護関係が伸びているわけです。あるいは観光などのサービス。機械の関係ですと、例えばメカトロニクスというのは79科から157科というふうに非常に増えましたが、一方、機械加工というようなものは若干減ったりしております。全体としては、1割程度増えている。農林関係といいますか、これは園芸、造園というものが若干増えております。建設関係につきましては、インテリアというものが減っておりますが、施工関係、外装関係、建設機械運転等が増えておりまして、全体として1割程度増えているということです。
一方で金属、電気・電子、化学、非金属加工というようなものにつきましては、大体横ばいということです。一方、減少している科目といたしましては、事務が減っております。ただ、これは、一般事務が減っておりますが、一方でアビリティガーデン等の管理層を対象とした訓練については増えているということです。その他減ったものとしては、洋裁・和裁、自動車整備、金属塗装、工業デザインというようなものが減っておりまして、全体として訓練科数はあまり変っておりませんが、科目の見直しをこのように5年間で進めてきたということです。
これで1頁目の所へ戻りますが、こういう中で特に最近雇用情勢が厳しい中で、離転職者訓練を初めとして雇用対策としての訓練をやっているということが1頁から2頁目の所に書いてあります。
訓練の中身の関係ですが、2頁目のニのちょっと下ですが、現状では職種ごとの知識・技能に関する訓練コースが中心ですが、民間教育訓練機関等、これはアビリティガーデンでやっているものもありますが、自ら問題を発見し、課題を形成した上でこれを解決する能力の開発向上に資する訓練コースというような事例も見られます。
それにつきましては例えばということで、体系的ではありませんが15頁の所に例を付けてあります。創造力、企画力、問題解決力、こういうのを解決するためには、主として演習の時間の割合を比較的長く取って、それぞれ工夫をされてやっているというような例があります。
次に2頁、5で「職業能力開発ニーズの把握」ということですが、これにつきましては公共部門におきましても日ごろからニーズ把握をして、先ほど申し上げたような訓練科目の入れ替えなどに活用しているところです。
具体的な訓練の分野、特に成長分野における状況を2頁の6「IT化に対応した職業能力開発施策」以下書いてあります。いま現在かなりIT化が進んでおりまして、特にその中でもインターネットというものの活用は非常に進んでおります。
そういう中で3頁にかけて書いてありますが、ITに関するリテラシーを有さない人もいま現在かなりいる。特にネットワークリテラシーということが問題となっているわけです。
これにつきましては21頁の所に、これは郵政省の「通信白書」で書いてあります。通信白書では「情報基礎リテラシー」「パソコンリテラシー」「ネットワークリテラシー」というふうに3つに分けてありますが、情報基礎リテラシーとは、例えば「ビデオの番組予約を自分でできますか」とかこういうことで聞いているので、まさに情報基礎です。パソコンということは、「ワープロまたはパソコンを使って文章を入力できるか」というようなこと、ネットワークリテラシーにつきましては、「インターネットを利用したことがありますか」とか「電子メールアドレスを持っていますか」というようなことで、「全くインターネットを利用したことがない」という方を含めて「ネットワークリテラシーがない」という方が、いま現在3分の2(平成11年度)いるということです。
それを人材の面で見た所が、3頁の(2)ということです。IT関連の人材につきましては、労働省で行っている産業労働モニターによりますと、6割強の企業で不足感、不足しているということになっております。
その不足をどう補うかということですが、2番目のポツにありますように、人材の充足方法としては、外部から採用するというよりも、教育研修による既存社員の能力向上によるというものが多くなっております。
また3番目のポツですが、IT関連人材の求人の条件を見ましても、ほとんどの職種で経験を重視するというような状況があります。
こうした中で4番目のポツですが、IT関連の人材につきまして、かなり技術革新のスピードが速いということで、自発的な能力開発の必要性というのを認識している割合が高くなっております。
こうした中で、例えば民間の専修学校・各種学校におきましても、情報処理に関する学科がある専修学校は304校というように実施をしているところです。
施策につきましては、3頁のいちばん下の所から公共職業能力開発施設、これは高度ポリテクセンター等も含めまして退職者・離職者、かなりの規模を実施しております。
あるいはロということで、本年の5月から働く人すべてのIT化対応の推進ということで、離転職者を中心に様々な訓練をしております。
ハの所につきましては、コンピューター・カレッジ、その他、この分野に特に焦点を当てた施策を行っております。
以上がITでして、4頁のいちばん下の所からは、IT以外の成長分野ですが、まず「介護分野」につきまして5頁の所に書いてあります。介護分野につきましては、要介護老人は平成16年度には310万人というようなことが見込まれておりまして、それを支える人材の需要は毎年6.6万人ずつ増えるというふうに見込まれております。
こうした中で専修学校・各種学校等民間の教育訓練機関でもコースを実施しておりますが、公共職業訓練におきましても平成11年度につきましては1.3万人という規模で介護分野の訓練を実施しています。また、教育訓練給付制度の活用もしております。
また、その成長分野の中で「環境分野」につきましてはまだまだ取りかかったばかりですが、これにつきましても、特にリサイクルということがますます重要になってきますので、そういう分野の人材育成も含めて進めていくということです。
「今後の方向」ということですが、ここではまず公共と民間の役割分担について1に書いてあります。次のように整理できるのではないかということで、ご議論いただきたいと思っております。公共部門の役割としては、民間における教育訓練、これは事業主等ですが、教育訓練を振興するということ、あるいはそのニーズがありながら民間では実施が期待し難い、あるいはまた実施していない分野について直接実施するということかと思いますが、具体的には、1つは民間でニーズに対応した教育訓練が実施されるような情報提供、相談というようなものがあるのではないか。(2)の所は一歩進んで、教育訓練のインセンティブを与えるための助成金の支給というもの。(3)といたしまして、教育訓練コースを開発したり、教育訓練全体をコーディネートする機能。(4)といたしまして、教育訓練給付制度の活用による民間の教育訓練機関における教育訓練機会の確保というようなものがあるのではないか。
また、公共部門につきましては、民間では実施が期待し難い分野といたしまして、多額の設備投資を要する先端的な分野のほかセーフティーネットとしての教育訓練、これは離転職者訓練です。あるいは中小企業の在職者向けの低料金の訓練などを実施していく必要があるというふうに考えております。
こういうふうに情報提供から直接実施するものまであるわけですが、そういう役割を果たしていく前提といたしまして、職業能力開発に関する情報ニーズを的確に把握するということが重要ではないか。具体的には、求人動向とか、各種調査を通じて把握するということですが、その上でやはり産学官で情報交換をしていくということが重要ではないかと思っております。
以上が「官民の役割分担の考え方」ですが、次に職業訓練の中身の問題、分野とか手法とか中身の問題ですが、まずIT分野の能力開発についてどう考えるかということです。
これは資料26、いちばん最後の頁に「概念図」というものを作って付けてみましたが、IT関係と申しましても、いわゆるIT産業、情報通信関連の企業で必要とされる人材と、一般の企業と言いますか、非IT産業で必要とされる人材があるのではないであろうか。その中でも高度なものと基礎的なものがあるのではないかということで、マトリックス的に書いたのがこの図です。
まず、一般のどういう企業でありましても、いちばん下の所ですが、ITのリテラシー部分というのが、今後産業社会におきまして読み、書き、そろばんというようなものと同じような位置づけになるのではないかということでして、基本的にみんなが身につけていなければならないということになるのではないかと思っています。コンピューターに関する基礎知識とか、基本的にはワープロ操作等につきましては、現在も離転職者訓練等でやっておりますが、こういうものは必要である。
次に、IT産業でない場合、非IT産業でありましても、事業運営上ネットワークを使うというようなものがあるかと思います。そのようなものがまず1つあろうかと思います。より高度なものになりますと、経営戦略という観点から情報マネジメントをどうしていくか、ということが一般企業でも必要になろうかというふうに考えております。そのような高度なものについてはいま現在公共職業訓練ではやっておりませんが、企業内ネットワークの構築等に関しては若干公共職業訓練等でもやっているということです。
次に、情報通信産業、右上の四角ですが、これにつきましては情報処理に関する実践的能力、情報処理技術者の2種とか1種というようなものを考えておりますが、このようなものにつきましては職業能力開発短期大学校とか職業能力開発大学校等におきまして一部実施しております。それよりさらに高度なものにつきまして、特にコンサルティングという分野が(3)、(2)が生産現場における高度な開発能力ということですが、今後はこういう分野がより重要になってくると思います。一部、生産現場におけるシステムの管理につきましては、いま現在でも高度ポリテクセンターにおいて実施していることがあります。
このような中で6頁の所をどういうふうにやっていくかということですが、1つはデジタル・ディバイドというものが言われておりますので、そういうものの解消に努めることが必要ではないかということがあります。したがって、このためすべての労働者のIT化対応ということを目指して、比較的基礎的な訓練も必要ではないか。そのときの手法として、平日日中以外の訓練を実施する等というようなことが必要ではないかということです。
7頁の所は、それより一歩進んでより高度なものについてどういうふうにするかというものですが、情報通信技術者というものの知識・技術の高度化というもの、あるいは一般企業の企業活動のITへの浸透に伴ったホワイトカラー労働者の業務遂行上IT活用の能力が求められているということ。この双方に対応いたしまして、高度、先端的な教育訓練コースの開発に積極的に取り組むことが必要ということです。また、その際の訓練の方法といたしましても、バーチャルなネットワークというような訓練システムというのを考えたらどうかということです。
次にロ、介護分野、環境分野等の成長分野につきましても、やはり今後人材育成を重視していくべきではないかということです。
最後のハですが、職業訓練コースにつきましては、従来は職種ごとの知識・技能ということでしたが、今後は問題発見・解決能力とか、創造力というものが重要になりますので、体験学習とか、場合によってはボランティア活動等も組み込むなどして多様化を図ったらいかがかということです。
(部会長)
どうもありがとうございました。いろいろ盛りだくさんなので、まず把握するだけでも大変ですが、以上につきまして自由にご議論いただきたいと思います。どなたからでもどうぞ。
(委員)
資料No.2の4頁の「生涯職業能力開発促進センターの問題点」という所で、アビリティガーデンが産業団体と共同で開発した教育訓練コースについては、なかなか業界団体のほうで実施するところに至ってないというお話ですが、その理由は何ということなのでしょうか。一緒に開発してきたのですから、比較的入りやすいのではないかなとは思うのですが、何か障害があるのかどうかお伺いしたいのですが。
(事務局)
1つには、端的に申しまして景気の要因というのもあります。やはりアビリティガーデンで実施し続けたほうがコスト的にいいというような面が、正直申し上げて若干あるようにも聞いております。ただ、アビリティガーデンで同じコースをずっとやっていきますと、新たにどんどん開発していったコースをやる場がなくなるという問題がありますので、次々に先導的な分野をやっていくという観点からは、開発して一定程度定着したものについては、やはり必要なものについては業界団体でどんどんやっていただくということが必要かと思っております。
(委員)
ビジネス・キャリア制度もそうですが、後ほど出ましたが、ITも高度な技術を持った者の採用なども、資格よりも経験が実は重視されているというのは、資格というのは取得した時点での技能を認定されたという資格制度の持つ限界というのもあるのですが、ビジネス・キャリア制度の問題点として3点ほど挙がっていますが、そうしたこの制度の修了試験を合格した者に対するフォローというようなことはお考えでしょうか。
(事務局)
それについては、「今後の方向」の所で書いてありますが、1つには、ビジネス・キャリア制度につきましては、職業能力評価制度として、普通の資格検定とは違いまして、労働大臣が認定しておりますのはやはり教育訓練コース。やはりホワイトカラーに段階を追って勉強していただくという側面も、かなり施策として大きい部分があります。
一方で、修了時にいま能力を確認するという面で、若干評価的な側面もありまして、したがってビジネス・キャリア制度につきまして、今後どうしていくかという中で、ここの所に書いてありますが、評価制度ということでありましたら、もうちょっと違うやり方もあるのかもしれませんし、自己啓発をどんどんやらせるというための仕組みであれば、そういうためにまた何か考えなくてはいけないのかもしれない。若干そういう意味で、自己啓発促進の面と評価の面とが混り合っているというような側面をどのように考えるかということかと思います。
(委員)
関連して、やはりホワイトカラーの能力開発だけではなくて、第1回で浮かび上がっていた横断的な評価システムという大きな課題から見ても、かなり注目もされてきましたし、活用の度合いというより、これは問題提起として、この間第5次及び第6次の職業能力開発基本計画の中でも1つ目玉として続けられたと思うのです。そういうふうに考えますと、これがいまどういう到達点にあるかということを評価する素材がもっと何かほしいような気がするのです。ですから、企業による活用状況にありますように、そういうところで、ここの場でヒアリングするかどうかは別にして、何かそういうデータがあるのでしょうか。つまり実際に合格をされた方のあとの軌跡とか、導入にしているところ、あるいはそれがうまく行かないような事例も、経営者サイドの方々の反応とか。あるいは前回の計画のときの、これはもしもそういうデータがすでにあったら申し訳ないのですが、認定基準の見直し、企業内での処遇への結び付きの実態把握ということが計画でも謳われていましたので、それらを含めて積み重ねの上に立って議論しなくてはいけないわけですから、もう少し次回以降この所での評価をする何かデータをさらに示していただけたらなと思います。
(部会長)
ビジネス・キャリア制度の評価ですね。
(事務局)
もちろんビジネス・キャリア制度そのものについてアンケートのようなものとか、あるいはここで若干企業名だけ書いてありますが、そういう事例はありますので、精査いたしまして、どこまでの資料があるかは次回までに検討してみます。
(事務局)
おっしゃるとおり横断的にホワイトカラーの能力を体系的に評価してくシステムというのは、おそらく非常に重要な、そういう意味でビジネス・キャリア制度をそういうかなり広範なシステムとして、今後活用することがあるんじゃないかと思っていまして、おっしゃったようなこれを終わった後どういう企業の中でやっていくのか、あるいは企業がやる労働者の方がそれをどう評価していくのかということも含めていくと、ヒアリングを行いたいと思っていまして、その結果についてはこの審議会においてもご報告申し上げて、またご議論していただきたい、述べたいと思っております。
(委員)
処遇への影響調査みたいなのは、すでにされているわけですか、実態把握というのは。
(事務局)
包括的な調査ということではありませんが、こういうふうに一部企業の中で人事処遇に連動した資格制度を設けるというのも出てきているということは承知しているわけですが、包括的な調査まではやっておりません。
(部会長)
まだ日が浅いからあまり包括的な調査は難しいでしょう。でもヒアリング等もやるといいですね。
(事務局)
そうですね。
(委員)
ビジネス・キャリア制度の初級、中級に加え、いずれ上級というのは計画されているようですが、初級を取られた方は必ずまた中級へ進むのでしょうか、あるいは中級を修了した方が上級に対する、さらにもっと勉強したいという、そのような要望というのはかなり強いものがあるのでしょうか。結局、例えばその分野、ある特定の分野がありますね。分野のエキスパートになりたいというような意向のもとにビジネス・キャリア制度が利用されているかどうか、そのような観点からの質問なのですが。
(事務局)
確かに上級について問合わせ等は来ておりますので、さらに勉強したいという方はおられるのかと思いますが、定量的にどうかというのは正確に把握したものはありません。
(部会長)
企業に対するヒアリングだけではなくて、受講生に対する感想を聞くとか、そういうことも必要かもしれませんね。それは、ちょっとすぐにはできないでしょうね。
(委員)
資料No.4の「公共部門の役割」という5頁から6頁にかけて書いてありますが、6頁の真ん中辺りの所で「職業能力開発に関する情報・ニーズを的確に把握することを大前提」という、やはりこれはいちばん政府の重要なお仕事ではないかと思うのです。今回の能力開発の計画で、キャリア形成、その他、個々人の能力開発というところに注目をしているわけで、きめ細かい措置によって点と点の結び付きによってミスマッチを解消していくというところは非常にいいことだと思うのですが、それだけですと何か面が見えないといいましょうか、今後の方向性が出てこないのではないかという気がいたします。グランドデザインといいましょうか、全体的な青写真みたいなものがあって、それに合致するような形で点と点を結んでミスマッチを解消していくというようなことが重要ではないかと思うのです。
具体的な例としては、例えば、ここでは介護については今後80万人の労働需要があるというような数字が挙がっておりますが、その他の分野につきましても、何かそういった目標といいましょうか、その数字のようなものが、非常に難しいとは思うのですが出てくるといいのではないかなという気がいたします。特にITの関係ですと、現在議論されているIT基本法との関係もありますし、今後どれだけの人員の養成というのが必要なのか。企業の中でどれだけ養成していくことができるのか。外の機関では新たにどれだけ養成しなくてはいけないのかといったような全体的な姿といいましょうか、そういうのが見えると非常にいいだろうと思います。
(事務局)
それは非常に重要な点だと思います。今後、個別のキャリア形成とかキャリアカウンセリングといった相談をやっていきますが、相談した結果、希望に応じてやった所は就職に結び付かないということでは仕方ないわけでして、やはりニーズ把握ということは極めて重要ですし、キャリア形成ということを考えると、現在の過不足状況だけでなくて、ある程度、例えば今後3年後はどうなっていくのかとか、そういうことも含めて考えなくてはいけないなというふうに思っています。そういう意味で情報というものは重要な意味を持ってくると思いますので、全国的な調査をいろいろ、人材の獲得とかについて民間教育訓練実態調査でやっていますが、そういうものを少し整備して体系化して、そういうものに応じられるように、全国レベル、地方レベル、それぞれいろいろな調査をやっていますが、整理してそういうキャリア・カウンセリングとか相談、そういうものに情報も合わせて提供していく、相談できるような体制ということを築くことが非常に重要だというふうに思っております。そういう方向で是非努力してみたいと考えているところです。
(部会長)
グランドデザインというのは、数字が示されればいいのですか。
(委員)
いえ、数字ということだけではないのでしょうが、1つのメルクマールとしては数字も欲しいですよね。何もないのに、こっちの方向に行きますというだけでは、ちょっとわかりにくいかと思います。別にその数字にこだわる必要はないと思いますが。
(部会長)
重要なことをおっしゃったのですが、グランドデザインとか面とおっしゃったから、どういうことをイメージしておられるのかなと思って。
(委員)
いまと同じような提示なのですが、公共と民間の役割の特に公共の部門で、国の役割なり県の役割ということを含めて、国の役割というものをもうちょっと前面に出していただけないかなと思うのです。あとで、7頁にあるようなどうもこういう必要な提供分野の部分で、では誰がどうやって開発していくのか、あるいは解決する能力に資する部門、あるいは自ら問題を提起するというような部門もやはり、この中身についてどういうふうに先導的な部分を引っ張っていくという、国の能力開発に対する将来展望をきちっと、公共の実施する部分と先導する部分というものを明確に分けて、今年のミスマッチ解消のための雇用対策などがありますと、そのミスマッチは、年齢とか労働条件のミスマッチはいいにしても、職業能力のミスマッチという部分をどう先に見て、そのミスマッチをどう埋めていくのかというところが、労働省の能力開発の大きな施策のポイントではないかと思うのです。
ですから、先の見える部分の役割というのは、もうちょっとはっきり書くあんばいがあるのではないかなと。国はもうちょっと先を見た、あるいは政策を引っ張っていくというような部分の書き方がどこかに出てこないかなと思っています。
それと、先生が言われたニーズの把握になると、能力開発という部分ですと、エンプロイアビリティ、就労につながるということにすると、やはり労働省としては産業団体とか業界とかという部分のニーズを把握して、産業ロットなり団体ロットなりというような共同開発する、あるいは共同で訓練を実施するという部分で、足場を産業とか雇用とかというふうに置くようなニーズ調査なりニーズ把握ということが必要ではないかなと思います。
(事務局)
前者の役割、国と都道府県の役割分担みたいな話がありました。これは考え方としては、国というのはなかなか民間では開発できないような高度なもの、コストがかかるもの、そういうものは訓練コストとして開発していくという役割が1つ大きくあるだろうと。それからセーフティーネットとして雇用対策の一環として離転職者対策とか、そういう部分の訓練を担う。これは大きな柱として2つあると思うのです。地方のほうは、基本的には地域ニーズに応じてやっていくということだろうと思います。その地域ニーズに応じてやるという、抽象的に言いますのは、具体的にどうかということになると非常に難しいものがあるのですが、都道府県の中では、例えばコミュニティーカレッジみたいなことで、訓練校を応援していこうとか、あるいは、これは多くの所が商工労働部という中で能力開発課もあるわけですが、そういう産業政策を振興する中で人材の育成ということを一体的にやっていくと、そういう意味での能力開発という視点などもあり得る。各都道府県も、そうした観点から取り組んでいくこともあるわけです。したがって、重点の置き所というのは、国と都道府県と違ってくるだろうと思います。そういう重点を得意とする分野にどんどん進出することにより、自ずと住み分けができてくるということではなかろうかというふうに考えています。
ニーズ把握という点が重要になるわけですが、おっしゃるとおり、これは産業界がどういうものを求めるかと、これは非常に重要です。そういう意味で、産学官の連携でそういうニーズを常時把握できるようなツールというのをつくっておくということは極めて重要ではないかと思っていまして、21世紀人材立国計画という、これは平成11年から行っておりますが、そういう一般会計による施策がありまして、その中でそういう産学官の連携においてニーズを把握して、その把握したニーズに基づいて訓練コースを設定していくというような事業をやっております。この事業を通してそういう産業界との状況を常時把握できるような体制というものをつくっていきたいというふうに考えております。
(委員)
私もそう思っていますので、能力開発などというと本当に日々変わりますので、ニーズを把握した結果、もう今日の訓練がまた明日変わってもいいというぐらいのスピードを持った対応が必要です。ですから、これは国が開発したカリキュラムはある程度定着したら、私たちはもう民間のほうにこの分はやってもらう、あるいは民間の人に活力をというような部分で、国がどんどん開発して定着したら民間に委ねるというような部分が、いまかなり民間のほうにも委託訓練なり、教育訓練給付金なども来ますので、それはどんどん国の役割としてはそういう先を見た部分で情報提供する、あるいは開拓するといいながら民間のほうに活力を委ねるというような部分だと思うのです。ここに書いていますので、この方向はもう大賛成ですので、よろしくお願いします。
(部会長)
国とおっしゃるとき、公共全体を考えていらっしゃるのですか、地方と対比した国ということですか。
(委員)
地方と対比したと。
(委員)
関連して、先ほどの話の最後に言われた業界団体というのは私も極めて重要だと思っています。ですから、民と官、あるいは先ほどのビジネス・キャリアもそうなのですが、国でやってある程度モデルをつくる。それが個人の点というビジョンで、企業単位だけではその横断化というのは難しくて、それをホワイトの場合はどの職種も共通だという指摘も前々回ありましたが、それにしても能力開発レベルでの何か共同支援というか共同訓練というか、それがとても重要だと思うし、それは地域の業界団体も、中小企業の場合はなおさらそうだと思いますが。これは論点は後ほど申し上げますが、データとしてそういう中小企業労働確保法などでもそういう共同訓練の支援はありましたが、業界団体、あるいは地域において共同でやっている訓練の取組みという何かデータはありますか。あるいは次回、次々回までにそういう案というのは、可能ですか。
(事務局)
ちょっと調べてみます。
(部会長)
ドイツでは商工会議所がいろいろやっていますね。日本はあまり商工会議所はやらないのですね。
(委員)
いま商工会議所というような話が出たのですが、ドイツと比較してどうのこうのと申し上げるつもりはないのですが、実は先生方ご承知のとおり、ドイツとかフランスというのは国の補助的な機関という側面が非常に大きいと思うのです。その生い立ちは、日本の商工会議所と大分違っているというところを知っていただきたいなということがあるのです。
もう1つは、地方における商工会議所は、実は労働行政にも大分支援させていただいているかなというふうに思っております。特に先ほどの話に出ましたニーズの把握の問題で、情報というのはどのように継続的に把握していくか。その把握した情報を分析してどのような訓練をしていったらいいのかということは、非常に重要な点かなと私どもは思っています。そういう面でおそらく商工会議所はお手伝いできることももっとあるのではないかなというふうに考えていますので、そういうことがあればと思います。
また、こちらのほうからもご提案するべきことがありましたらご提案させていただきたいと思っておりますが、いずれにしましても地域の現在の雇用情勢というのは非常に厳しいものもありますので、雇用対策という面についても商工会議所は非常に地域でいま頑張っている最中ですが、国の行政の一体化と申しますか、それと都道府県の行政の一本化と申しますか、総的な力をもっと集中してやっていったほうが、むろん効果が上がるのではないかなという印象を持っております。何かお手伝いできるとしたら、声をかけていただきたいと思います。
(部会長)
お手伝いしてくださるのでしたら、例えば何か研究などでも委託でやっていただくとかいろいろありますね。何かありますか。
(委員)
資料No.2の5頁の(4)ですが、ご説明に職業訓練指導員を養成するというようなことが書かれていると思っているのですが、やはりここに書いてあるようなホワイトカラーの指導員の養成というのは、ほとんどないのが実態なのです。ですから、こういうふうに書きましたら、どう指導員を養成していくのかというような問題もありますが、それよりもキャリア・コンサルティング、あるいは職業能力開発のアドバイザーとかコーディネーターとかという部分、訓練指導をする指導員ではなく、その訓練をより良くするというような部分をどう国として今後養成していくかという部分が、例えば国の職業能力開発大学校なり職業能力開発総合大学校のように、そういう機関に設定して養成していくのか、あるいはどこがふさわしいかなのですが、国としてはこういうキャリア・コンサルティングをもっともっと幅広く養成して、公共へ行かなくても、民間のほうに入れるようなシステムづくりというのがどこか必要ではないのかなと思っていますので、その部分の対策を図る分につきましては、何か具体的な明記があればなと思っています。
(委員)
いまの点1つだけ。ホワイトカラーという話なのですが、ブルーカラーもこの前の職業能力開発基本計画では、指導員資格の問題を見直し、同時に職業能力開発総合大学校等問題を考え直すということで、そのうちあとのほうはいろいろ苦心しているのですが、何しろ制度自体の中に縛られている部分がたくさんあります。ましてホワイトカラーの話やいまの相談援助の話など、当然関係してくるのかもしれませんが、その辺も少し広く含めて、次の職業能力開発基本計画の中でお考えいただければと思います。
(事務局)
前段のキャリア・コンサルティングのことですが、これは一応2つぐらいに分けて考える必要があると思います。つまり、キャリア・カウンセリング、キャリア・コンサルティングを、企業の中でやっていくことも必要になってきます。そうした場合には、ある程度短期で、実践的な能力が身につくようなコースを開発して、そういう方をある程度の量確保していくことが必要になるだろうと思います。他方、非常に専門的なレベルでは、専門家というものが必要になるので、これは例えばアメリカなどは大学院レベルでキャリア・カウンセリングの専門家の養成をやっています。心理学なども含めてやっていて、アメリカのほうの心理学は、かなりプラグマティックなものですから、学問体系というよりも、実践を積んだりすることも含めてやっているようです。そういうアメリカの例なども念頭に置きながら、やはり大学レベル、大学院レベルで、そういう専門家の養成も他方で考えなければいけない。そういうことで2つに分けて一応考えて、推進していく必要があるのかなという感じを持っています。
それから先程おっしゃられたことで、ブルーカラーについてもいろいろ対応しなければいけない。それから指導員制度というものですが、これは訓練基準があり、この訓練基準に則って、指導員という者が置かれているという、政策の立て方がそのようになっています。予算もそれにくっ付いているという形でできているわけです。ですから、これをある程度どこまで緩められるかということはあります。
(委員)
緩めるというよりも、やはり崩さないと、現状のブルーカラー関係のコース開発から考えると、もう一度基本的に組み立て直すことが必要なのではないかと思います。
(事務局)
おっしゃるとおりだと思います。ですから、やはり世の中の必要性に基づいて、訓練コースを設定したり、そういう指導ができるような体制がまず肝心でありますので、そういう観点から、いまの仕組みをどう組み立て直せるのか、という検討は当然しなければいけないだろうと思っています。その中で考えていきたいと思います。
(部会長)
ブルーカラーについては、もちろん考えていくわけですが、この全体の枠組みの中だと、いまの3以外の所で考えることにたぶんなりますね。あとの5になるのか、どこかそういう所に入るしかないです。ホワイトカラーを議論するというのは、いままでやっていないことを拡充していこうと言っている所だから、議論としてはほかのセクションとやるのではないですか。それなりに考えていくのだろうと思います。ほかにございますか。
(委員)
資料4の7頁のいちばん最後なのですが、職業訓練コースについては、アビリティガーデンなどもそうなのですが、従来の職種ごとの訓練コースというのはたくさんあるわけです。ここに書いてあるように、「自ら問題を発見し、それを解決する能力の開発等に絡んで、体験学習やボランティア活動を組み込むなどの多様化を図ることが必要だ」と謳ってあるのですが、具体的に国のほうで何か考えていることがあれば、お教えいただければと思います。
(部会長)
ここの所は、いろいろなことを考えているのだろうと私も思います。何かご説明はありませんか。
(事務局)
いまの訓練を例えば離職者6カ月とか、3カ月単位で考えて、2つを組み合わせるなど。そういう中に、例えば若年者の方については、コースの1コマとして、体験学習やボランティアなどを組み込んで、選択してできる仕組みなどをこれから模索していきたいと思っています。
(部会長)
まだご意見はいろいろあるかと思いますが、時間の関係もありますので、一応先へ進んで、必要があればまた戻ってくるということにしてはどうでしょうか。もしよろしければ、2番目のグループへまいりましょうか。つまり「就業形態の多様化に応じた能力開発」と「障害者等特別な配慮を必要とする人たちに対する能力開発」。では、まず説明をお願いします。
(事務局)
資料No.3ですが、まず最初に「現状と問題点」ということで、「就業形態の多様化に応じた能力開発」について書いています。就業形態の多様化が進んでいることは、前回、前々回の資料でもお出ししましたが、平成11年の就業形態多様化調査によると、非正社員の割合が27.5%ということです。非正社員に対する能力開発の実施状況については、さまざまな調査がありますが、パートについては、例えば「入社時導入教育」39.2%、「接客教育」32.3%などという数字があります。
(1)「パートタイム労働者」の関係ですが、パートタイム労働者に対する能力開発については、正社員に比べると、実施状況は高くはないわけですが、各種の能力開発を実施する割合は高まりつつあるようです。これは資料3で、95年の調査を付けていますが、具体的には例えば「パートタイマーの仕事に向いたマニュアルを整備している」や「先輩をトレーナーとしている」というようなものは、90年と95年と比べると、増えてきているということです。また、パートタイム労働者のうち、職業能力を高めたいと思っている者の割合は、他の非正社員と比べても高くはないわけですが、これも1987年の調査と99年の調査を比較すると、やはり能力開発の意欲は高まっているということです。
パートタイム労働者の能力開発上の問題点としては、これも95年の調査ですが、「自分の時間を重視するため、所定時間外での教育訓練を嫌がる」や、「教育成果の実が上がっても、処遇に反映させにくい」「教育の成果が出ないうちに辞めてしまうことが多い」ということがあり、企業側、労働者側双方の事情があるということです。
行政としては、短時間就労を希望する方については、訓練時間等に配慮して、公共職業訓練を実施しています。具体的には2頁にありますが、訓練の期間について配慮する。例えば月、水、金という形でやるとか、1日当たりの訓練時間を短くするなどということで、短時間就労希望者も、受けやすい訓練の形態を工夫しているということです。
次に派遣労働者について、2頁の(2)に書いています。教育訓練については、実際のところ、派遣労働者といってもいろいろあるわけですが、例えば新規採用登録時には43.6%から64.2%、派遣直前に38.4%から49.6%という形で、教育訓練が行われています。教育訓練については、一般労働者派遣事業で、これは登録型等が多いわけですが、派遣元事業所のOFF-JTが最も多くて、以下派遣先でのOJT等となっています。「特定」は常用雇用ですが、事業所内でのOJTが最も多くなっています。派遣元事業所に、派遣労働者の雇用管理上、今後重視する点を尋ねた中では、「教育訓練の充実」が比較的高くなっていて、やはり派遣事業の特性からいって、能力開発については、事業主側も派遣元事業主も、力を入れるという状況にあるようです。
3頁の「派遣労働者の能力開発上の問題点」については、登録型あるいは常用についても、「業務の都合で実施しにくい」がいちばん多くなっています。あるいは「コストがかかりすぎる」などというものがあります。登録型等については、「教育訓練を受けて辞めてしまう人がいる等」も、一定程度多くなっています。
次に、障害者等特別配慮を必要とする人たちに対する能力開発です。障害者に対する職業訓練については、ノーマライゼーションの理念というものがありますので、できるかぎり一般の職業能力開発校において、健常者とともに訓練をするという考え方で、そのための施設整備等を進めているわけです。一方で、一般の職業能力開発校においても、障害者対象の訓練科という例もあります。一方で、障害の程度が重い方もいるわけで、なかなか一般の職業能力開発校では難しい場合には、障害者の職業能力開発校がありまして、そこで訓練を行うことにしています。これは現在、国立校が13校、都道府県立校6校、全国に計19校ということです。国立校は、基本的にはブロック単位には必ずあるという配置にしています。訓練規模については、国立校2,370人、都道府県立校380人という規模で実施しています。
これはいわゆる養成訓練というか、比較的若い人の訓練が実際上は多いわけですが、それ以外に、特に在職者訓練について、最近力を入れています。これは第6次職業能力開発基本計画でも指摘していましたが、在職者訓練については、平成12年度で定員780名ということで実施しています。
また、最近の雇用情勢という中で、教育訓練機関等に対する委託訓練も拡充しています。これは障害者校がブロックを中心とした設置になっているので、地域の離転職者訓練のニーズに応じる必要があるということで、平成10年度から実施していることで、これも拡充してきているわけです。また、障害者については、特に訓練技法の調査、研究等が重要ですので、それについても国立のリハビリテーションセンター等において実施していますし、また職業能力開発総合大学校においても、調査、研究を行っていただいています。
障害者の能力開発の問題点については、資料14の22頁に若干付けています。これは事業所に対して調査したもので、平成10年の調査です。22頁の上は身体障害者、下が知的障害者ということですが、まず、「現在雇用上配慮していること」ということで、それぞれ調査の下から3番目ですが、「研修・教育訓練の実施等能力開発への配慮」は、大体1割程度の配慮ということで、ほかの事項に比べて配慮している割合が高いわけではありません。一方、「今後取り組む必要がある事項」ということで見ると、「研修・教育訓練の実施等能力開発への配慮」は2割程度となっていて、高まっているし、絶対数も比較的高いということです。
次に23頁で、いちばん上は精神障害者について条件整備を聞いた問です。精神障害者についても、上から4番目「採用後、精神障害者となった従業員に対する職場復帰のための再訓練の機会の提供」が大体2割ぐらいとなっています。その他、真ん中の「関係機関に期待する取組み」の中でも、能力開発関係がありまして、真ん中の辺りで、「障害者に対する能力向上のための再訓練」が大体2割ということになっています。
こういう中で、今後どういう方向に考えたらいいのかということが5頁です。まず、就業形態の多様化関連については、パートタイム、派遣労働、さらには在宅就労などもありますが、多様な雇用就業形態に対応するために、訓練期間、時間等に配慮した訓練コースの設置や、あるいはその手法として、遠隔の手法などを使った教育訓練機会を整備していく必要があるのではないかということです。特にパートタイム労働については、良好な就業形態としていくことの重要性がありますので、やはり事業主、労働者双方とも、能力開発に力を入れていくことが必要ではないかということです。
障害者の能力開発については、障害者の雇用対策全体の一環ということもありますので、障害者対策全体の中で考えたらどうか。具体的には就職前の職業準備訓練から就職後の職場適応まで、一環した支援が重要で、その中でやはり関係機関との連携が重要ではないかということです。また、今後ともノーマライゼーションの観点から、一般校での受入れ、重度障害等に対した障害者校における訓練科の設定、あるいは最近の状況にかんがみて、在職者訓練、離転職者訓練について拡充していくことが必要ではないかということです。
(部会長)
どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対するご意見、ご質問、コメント等、ご議論をお願いしたいと思います。「ノーマライゼーションの理念」というのは何ですか。
(事務局)
健常者も障害者も区別しないということです。
(委員)
1頁から2頁の所に、パートタイム労働の訓練対象者が、雇用保険受給者になっているわけですが、ご承知のように、いわゆるパート法第11条で、「国、都道府県及び雇用・能力開発機構は、短時間労働者及び短時間労働者になろうとする者について、職業訓練の実施について特別な配慮」と言っているわけです。例えば1,200万人いるパートのうち、女子が7割ぐらい占めていて、そしてこういう人たちが一旦例えば育児、介護等で職場を離れて、雇用保険の受給者ではないという人たちにとっては、公的な訓練が受けられないということは、やはり改めていかなければいけない課題だと思うのです。しかもこの中身を見ると、単に10日間で75時間ぐらいですから、こうした訓練を受けた方は、これから就業して、実際に雇用保険を負担する担い手となるメンバーでもありますから、是非こういうところを見直していくことを検討の課題に挙げていただきたいと思います。
(事務局)
実際に訓練コースを3カ月、6カ月等を中心にかなり離転職者を組んでいて、ここでは短時間を希望される方で、特に短い訓練について特別に書いているということで、1つには短時間労働を希望される方でも、やはり3カ月、6カ月の訓練を受けられる方がたくさんいらっしゃるということが1点あります。あとは、実際には安定所において求職登録をして、受講指示なり受講推薦を受けてやって来るわけですが、その中で特に最近は一般会計等も導入しているので、雇用保険受給者以外の方についても、かなり幅広く訓練を受けているという実態があります。
(部会長)
いまのご要望に対しては、すでにやっているということですか。
(事務局)
もちろん、この短時間のコースについて、実態がどうかということまでは、必ずしも十分わからない部分があります。というのは、いま申し上げたように、短時間の希望ということであっても、やはり事務で一定程度、例えばエクセルのどの辺まで勉強したいというような方は、3カ月のコースを選ばれているかもしれませんので、その中でどのぐらい実はパート希望者がいるかということは、正直言ってわからない部分もあります。
(委員)
具体的なことを言うと、いまの実態の中では、例えば近所の商店でパートで働こうと思っても、「一太郎はできますか、エクセルはできますか、会計ソフトは使えますか」と、パートで働こうと思っても、その程度の技術は問われるわけです。したがって、先ほどのペーパーの絡みで言えば、国民のすべてに基礎的なIT関係の技能を与えるというようなことを考えている文脈の中では、いまでは対象者としているというお話がありましたが、今後の職業能力開発基本計画の中では、そのあとが重要だと思います。
(部会長)
でも国のやっている職業能力開発は雇用保険でやっているわけですから、広げていくとまた財政の問題や、誰が負担するかという問題を考えないといけないのだと思います。ですから、どこまで一般的にやるかというのは考えないといけません。
(委員)
ただパート労働法11条で、特別な配慮をすると言っていますから、それに応えた施策を労働省としてどういう施策を具体化されているのかということです。
(部会長)
ほかにございませんか。
(委員)
特にパート労働者の問題を、かなり主要に浮上させたことはとても重要なことですし、今度の計画でも、どこまで具体化するかはともかくとして、とても重要な論点だと思うのです。ただお示しをされている資料2、3、4を拝見するかぎり、果たしてこれが能力開発というものなのか、何か就業時の仕事の指示であったり、最低限の職場での仕事をこなすためのまさに教育という話であって、いわゆる人材育成、人材開発という意味での、言ってみれば少し結果的に処遇にも結びついていくような我々が思っている能力開発という意味合いと、実際に企業で増えているというご指摘もありますが、そこでされているのとはだいぶギャップがあるなと、このデータを見るかぎり実感をするわけです。
ですから、逆に言うと、論点の所にも書いてあるように、重要だということを、問題点は出ていますが、例えば経営者の方々がそもそも必要性を感じておられるのかどうか。というのは、やはりパートという一括りにするのも少し乱暴なところがあって、やはり専門職、パート的な人と、あるいは昇進・昇格、今だと基幹的パートに続けられる方々と、それからこの分類で言うと、職業能力も当事者も高めたいとは必ずしも思っていないという方々とは、それほどきれいに線引きはできないかもしれませんが、メッセージを絞り込んでいこうとする場合には、何かその辺の視点も入れておかないと、パート労働者全体に対して球を投げかけても、どうもニーズや実態に合わないかなという感じがします。重要な論点のわりには、もう少し検討素材がほしいという感じがします。
(事務局)
おっしゃったように、パートの問題は内部労働市場とのかかわりで、非常に大きな問題で、単に能力開発に止どまらず、あとのキャリア形成をどうしていくかという問題が非常に重要なのではないかと思っています。考え方としては、パートの方は採用が外部労働市場というか、地域の市場で決まってきて、どちらかというと基幹労働者の方は内部労働市場みたいな感じになります。ただ、外部労働市場で入った方も、長期間やはり勤続する中で、内部労働市場化していくというか、キャリア形成のあり方を考えていっていただくことがおそらく重要なのだろう。その内外労働市場というのをどう考えていくか。基本的な大きな問題があると思うのです。
もう1つは、オランダなどもそうですが、単なる短時間労働で、中身が正規と変わらなくて、時間が短いという就業形態なども、おそらく今後労使で話し合いされながら作っていくということが、やはりパートという問題に対する1つの回答となってくるのではないか。能力開発もそういうことに合わせてやっていく必要があって、今のところここに書いてあるようなOAやパソコンなど、簡単なことを能力開発でやっているわけですが、これはパートと言っても専門的な方も出てくるとすれば、在職者訓練の中で、その適切なコースを設定して、パートの方だろうと、そうでない方だろうと、中身に応じて受けられるような仕組みというものを整備していく必要があるだろう。ですから、パート対策というのは一様でなくて、いろいろな仕掛けをする中で、能力開発もそれに合わせて考えていくという多角的な対応が必要だろうと考えています。その辺は女性局や職業安定局などと話し合いながら、どういう対策をしていくかを真剣に考えなくてはいけないと考えています。
(委員)
業種によっては、ほとんど基幹的な人がパートで、店長だけ、関係者だけが正社員というのはいまざらにあるわけです。そういうことが本当にここで言うところのOJTということでやるのか、あるいはパートの中のセンターなのか、それがよく我々もわからないのです。実態上、我々が把握しているかぎりは、勤続十数年のパートの方がおられて、実質上、正社員に対しての教育をやっているという職場もあるわけです。その辺の実態把握が、このデータを見るかぎりではイメージがつかないのです。
(部会長)
パートと言ってもいろいろあるということですね。
(委員)
パートのことで引き続きなのですが、ホワイトカラーの今後の方向を拝見すると、「職業能力評価システムを整備し」というのが筆頭に来ているわけですが、パートに関連しては、そういう論点が見られないのです。例のパートタイム労働に係る雇用管理研究会報告などを見ると、これは正規の社員と同等の職務をしているパートの人も、そうでない人についても、職業能力評価システムの確立がかなり重要視されていたと思いますので、ホワイトカラーだけではなくて、パートについてもその辺のところをもう少し検討というか、考えていただきたいと思います。
(事務局)
これはおっしゃるとおりです。ですから、「ホワイトカラー」と言ったときに、別にパートを除外しているという趣旨ではないよう、パートも含めて、全体としての能力評価ということを考えていきたいと思います。
(部会長)
いまおっしゃった点は、もしかするともう少し書き込んでいくかもしれない。
(事務局)
そうですね、職業能力開発基本計画のときに、この辺の議論も踏まえて、どのように今後考えたらいいか、整備させていただきたいと思います。
(部会長)
パート以外の所はどうですか。とりわけ障害者等の文例について、何かございますか。定員の充足率はどのぐらいなのですか。わかりますか。
(事務局)
約85%です。
(部会長)
特別、皆さんからなければ、先へ進んでもよろしいですか。それでは、引き続いて「技能の振興、ものづくり労働者の能力開発の推進」と、「人づくりを通じた国際社会への貢献」、全体の枠組みの中の5番と6番ですが、これらについての議論に移りたいと思います。まず、例によって事務局から資料が提出されていますので、その資料についての説明をお願いします。
(事務局)
それでは資料No.5について、ご説明をさせていただきます。「技能振興のための施策がまとめられる背景」ということが書いてありますが、時間の都合がありますので、この部分は省かせていただきますが、基本的な認識として、ものづくりの現場で、若年者を中心にものづくり離れが進んでいる。その一方で、熟練技能者の高齢化が進んで、熟練技能の継承が困難になっていて、社会的に技能の重要性を理解していただいて、その技能尊重気運の醸成を図っていくことが重要であろう、というような社会的な背景があるということです。
2番目に「施策の現状」です。大きく分けて3点書いてあります。1つは「ものづくり振興施策全般の推進」ということで、前回の総括部会でもご説明させていただきましたが、昨年の3月に成立をしたものづくり基盤技術振興基本法に基づいて、今年の9月にものづくり基盤技術基本計画が策定されました。今後、これに基づいて、関係省庁が連携をしたうえで、各種の施策を計画的に展開していくことになっています。
次に、「ものづくり教育・学習に関する懇談会」があります。これは技能士等の熟練技能者の方々に講師になってもらって、教育現場において、ものづくり教育あるいはものづくり学習というものを普及させていけないか、ということで、労働省と文部省との間で、その方策について検討を行っているというものです。本年5月に検討状況の中間まとめを行いましたが、これから実際にいくつかの学校でトライアルをしていこうと考えています。
施策の大きな2番目が、「ものづくり振興に係る環境整備」で、各種競技大会の開催です。1つは技能五輪全国大会で、これは昭和38年から毎年実施していますが、若い技能者の人たちに集まっていただいて、技能のレベルの日本一を競うという大会です。昨年は静岡県で開催をしましたが、全国から約700人の若い方々が参加をして、31職種で競技を行ったということです。本年は11月に埼玉県で開催する予定にしています。
次の2頁ですが、「技能五輪国際大会の参加」というのがあります。若い人たちが集まって、今度は世界一を競うという世界大会もあります。昭和25年から始まっていますが、日本は昭和37年にスペインで開催された第11回の国際大会から参加をしています。これも昨年はカナダのモントリオールで開かれましたが、33カ国から約600人の若い技能者の方々が参加をして、技を競ったということです。日本からも34人の方々が参加をして、そのうち6人の方が金メダルを取ったということです。来年は韓国で開催される予定になっています。
次に「技能グランプリの開催」ということですが、これは特に優れた技能を有する、1級技能士の方々が参加する競技大会です。昭和57年から毎年開催しています。例年約400名近い方々が全国から参加をして、それぞれの技を競うというものです。
次に「全国障害者技能競技大会の開催」ということで、これは技能競技の障害者の皆さん方の技能を競う大会ということで、「アビリンピック」と呼んでいます。昭和47年から実施しています。書いてありませんが、これについても国際大会がありまして、本年の8月にはチェコで、この障害者の方々の国際競技大会が開催されました。若干宣伝なのですが、今月24日の日曜日に、テレビ東京で夕方の4時から、このチェコで行われた障害者の競技大会が、1時間番組で放送されます。「プラハの熱い夏」という番組ですので、委員の皆様方も、もしもお時間があれば、見ていただければと思います。
次に「技能者を対象とした表彰の実施」です。卓越した技能者の表彰、これは「現在の名工」ということで、皆様もご存じかと思いますが、それぞれ優れた技能を持っておられる方々を表彰することにより、広く技能尊重気運の気風を浸透させていこうと。またその人の社会的な地位を高めていこうということで、その下にもありますが、技能検定関係の表彰、それから技能振興関係の表彰ということで、各種の表彰制度を設けています。
次に(3)で大きな3つ目ですが、「高度熟練技能の維持継承」ということで、高度熟練技能活用促進事業というものを平成9年度から実施しています。これは具体的には、どういう職種に、今後とも維持・継承していかなくてはいけない熟練技能があるのかということを、専門家の方々に集まっていただいて特定をします。それを踏まえて、それぞれの業種、職種の中から、高度熟練技能者の方々を選定し、そうした方々が持つ熟練技能に係る情報を広く提供していこうという事業です。
次の3頁のいちばん上のほうに、「平成10年度から高度熟練技能者の選定を開始」と書いてありますが、必要性が高いということで、専門家の方々にご議論いただいて、まず自動車、半導体というところから、やはり重要ではないかということで、順次業種を選び指定をしています。現在、約1,500名の方を選定しています。また、その選定をしたうえで、それらの人たちに係る情報を、インターネット等を通じて提供しているわけです。
この資料5のいちばん後ろにブルーのパンフレットが付いていますが、これはこうした情報の中で、皆様方に見ていただこうということで、一部抜粋をしてパンフレットの形にしているものです。ページをめくっていただきますと、3頁に「コンテンツ」がありますが、精密技能の現場というのは、それぞれの認定をされた方々が、一体どういう熟練技能を持っているのか、どういうものがいわゆる熟練技能なのか、ということをご紹介するものです。その下の「達人物語」と書いてあるのが、そういう高度熟練技能者になるために、自分はどのようなことをしてきたのかというようなキャリアを、少し語っていただくということで集めたパンフレットです。こうしたことで情報提供を現在行っています。
資料に戻っていただいて3頁です。現在、こうした施策を実施しているわけですが、3番の「論点」で2つ掲げています。1つは「ものづくり振興に係る環境整備」ということです。先ほどご説明をしたものづくり基盤技術基本計画においても、引き続きその技能尊重気運の醸成を図っていくということですので、こうした大会や表彰制度等についての施策を、引き続き充実していく必要があるのではないかということが1点目です。
2点目に、職業能力評価システムの1つとして、技能検定制度等を実施しているわけですが、毎年約20万人の方が受験をされているわけです。そうした評価システムの整備を引き続き図っていくということと、なかなか難しいわけですが、その技能労働者の方々の処遇改善に結び付いていくような方策も、どのようなことが考えられるのか、今後検討が必要になっていくのではないかということが2点目です。
3点目ですが、個々の労働者のキャリア形成が重要になっているわけですが、技能についても、年齢やキャリアに応じて、努力目標を設定することで励みにしていただけないか。先ほど申しましたが、現行施策の中で、技能五輪の国際大会や国内大会を、原則として21歳を上限ということでやっています。技能グランプリという先ほどの1級技能者の競技は、参加者の年齢を見ると、平均年齢が約40歳ぐらいとなっています。高度熟練技能促進事業の中で、高度熟練技能者の選定をされている方の平均年齢が約50歳、卓越の人は60歳ぐらいなど、世代ごとに位置づけがあります。そういう意味では、1人の技能労働者の年齢やキャリアに応じて、目標みたいなものの現行の施策も位置づけた場合に、いまのような施策でいいのか、もっと充実したほうがいいのか、何か新しいものがいいのか、そういう観点から少し考えられないだろうかというのが3点目の論点です。
2つ目の「高度熟練技能の維持継承」は、いわゆる「技能のデジタル化」と言われていますが、そうしたことを例えば職業訓練の分野で生かしていくことができないだろうかということです。要は、職業訓練の例えば訓練技法などについても、そういうものを生かして、より短い期間で、より高度な技能が身につくような訓練など、そういうことに生かしていけないのかということです。
2つ目は、先ほどの高度熟練技能の活用促進事業の関係ですが、引き続き、業種等の必要なものをやっていく。それから認定をし、その人の協力を得て、いろいろな技能に係る情報を提供していくわけですが、それからさらに踏み込んで、そうした技能者の方々が社会的にもっと活躍していただけるような形を何か考えていくことが必要ではないかということが2点目です。
3点目ですが、熟練技能を継承するということで、特に例えば大企業の中では、仕事場を離れて、優れた技能を持った先輩が、後輩の方々に2年間とか1年間の期限を区切って教えているという取組みがなされているケースがあるわけです。中小企業などになると、技能を継承したいけれども、そういうことがコスト的に、時間的にできないということもあるのではないかということで、中小企業などは、なかなか個々ではできないけれども、業界として、地域として何か取り組んでいくという動きがあった場合に、そういうことを行政として何か支援していくことはできないのだろうかということで、3点目が書いてあります。
(事務局)
時間が少し押していますので、少し端折った説明になりますが、ご了解いただきたいと思います。「人づくりを通じた国際社会への貢献」です。3つに分けていますが、1つ目の「国際協力の現状」は、1つルールがあります。国が日本政府として、途上国の相手方も政府といった、ガバメント・ガバメントの協力で、国際協力を行っていく場合には、予算の出し方として、国際協力事業団につけた予算を、各省が国際協力事業団と協力しながら実施していくというルールがあります。その中で、職業能力開発分野というのは、昭和35年からやっていますが、非常に歴史のある分野の1 つです。
(ア)にあるのがJICAを通じた政府間協力です。これは手法として、プロジェクト方式の技術協力、専門家だけを派遣する場合、海外の政府関係職員を日本に招聘して研修を行うといういろいろなメソッドがありますが、いずれの分野も、能力開発の非常に大きな実績を残しています。
プロジェクトについては5年計画で、通常5、6名の専門家を派遣して、チームとして5年間継続して協力を実施するものです。これについては、平成11年度末までに22カ国、45カ所で、ほぼ旧ソ連圏等を除く全世界のいろいろな地域で協力をしてきています。現在は7カ国に対してプロジェクトを実施しています。(2)の「長期専門家の派遣」は、このプロジェクトに派遣する場合と、政策アドバイザーとして、相手国の政府の中で、能力開発施策等をアドバイスするという2つの場合がありますが、これも現在18カ国に53人の長期専門家、ちなみに長期専門家というのは、滞在が1年以上になる人たちを言っていますが、こういった数になっています。どういった人たちが行っているかについては、雇用・能力開発機構の訓練施設の指導員の方に行ってもらう場合が非常に多く、若干労働省の現役職員も派遣しています。(3)の「海外の研修員の受入れ」は、毎年20か国を超える国から、20コース近くの合計150人程度の政府職員を招聘して研修を行っています。
2頁目で、「第3国研修」というのは、最近脚光を浴びている方法で、プロジェクトが終了したあとにそれで終わりというのではなくて、プロジェクトが終了した訓練センターにおいて、日本が技術移転したものを生かして、周辺の国に、その国のイニシアチブで技術移転を行うというスキームです。そこに日本が資金面、人的な協力を行うということで、波及効果が期待できます。これについても協力を行っています。
それから、JICAを通じたもの以外の労働省の独自予算で行っているものとして、(イ)と(ウ)があります。(イ)はすべて一般会計ですが、ILOを通じた技術協力、それから民間セクターへの協力ということで、APECという21カ国が加盟している枠組みがありますが、そのAPECの中でも、人材養成が重視されています。そういったところで、これは日経連にもご協力をいただいていますが、日本としてのAPEC諸国への人材分野の協力事業を実施しています。
(ウ)は職業能力開発総合大学校に国費留学生を受け入れています。これはインドネシア、フィリピン、タイ、マレーシアに現在限っていますが、ほぼ年間16名の枠で、先方の国の公的な訓練施設の指導員を養成するという明確な目標の下に、日本で4年間等の長期課程で勉強してもらっているものです。いままで合計120名を受け入れています。
3頁目ですが、以上、申しましたような我々の施策のバックボーンをなすものは、政府開発援助全体の方針に沿っているわけです。これについては時間の関係であまり詳しく述べられませんが、いままでも援助哲学がいくつかの変遷を経ていて、現在では少し抽象的ですが、「人間中心の開発」ということで、また国内的に特に「国民に見えるODA」が強調されています。この中で、人間中心の開発のベースには、やはり物ということではなくて、人材養成に対する協力が非常に重要視されています。その中で教育と同じように、職業訓練、職業能力開発というものも1つの重要分野に位置づけられています。
(3)(4)は最近の技術協力における背景をなす事情を考慮したもので、ITに係る国際的なデジタルディバイド対策についても、労働省としてノウハウを生かして、援助することができるのではないかということで、来年度予算要求をしているのが(3)です。(4)は「ものづくり基盤技術の振興に係る国際協力」で、先ほどご説明がありました、ものづくり基盤技術基本計画の中にも盛り込まれていますが、アジアを中心に、途上国に対してもそういった視点での協力が必要ではないかということです。
4頁の2番目の「外国人研修技能実習制度の推進」です。外国人の研修事業は、いろいろな関係者が介在していて、各分野で実施されていますが、経済の国際化等の進展に伴って、全体としては増加傾向にあって、最近は5万人弱が入って来ています。この形態は、先ほど申したようなJICA等が行う政府が直接絡んでいるものと、政府が補助金等を出して、公益法人等が実施しているもの、純粋に企業ベースのものに分けられます。このうち労働省としては、日本ILO協会、中央職業能力開発協会に委託あるいは補助金を出して、民間部門の技能者養成ということで、2つプログラムをやっています。これが(イ)です。
(ウ)は、一方、全体の研修生の中の比率としては、民間ベースで実施しているものが70%ということで、いちばん多くなっていますが、これが適切に実施されるように、平成3年に労働省、法務省、外務省等の5省庁の共官の財団法人として、国際研修協力機構というものが設立されました。ここが「外国人研修制度の健全な推進」という設立目的の下に、いろいろ指導に当たっているということです。
(2)「技能実習制度」は、研修をさらに推し進め、その研修を終了した者が、さらに実践的な技能等を仕事をしながら習得することを支援する、広い意味での国際協力です。雇用関係の下で、労働関係の法令適用の下で実施するものです。これは平成5年に創設されたもので、最近、増加傾向にありまして、昨年は約1万1,000人が技能実習に移行しています。また、現在その職種として、公的に評価ができ、かつ送出し国の訓練ニーズに合致するものとして選ばれた59職種について実施をしています。これについても、先ほど申した国際研修協力機構を、各所管関係省庁が指導する形で、国際研修協力機構が、この直接実施する企業等をいろいろ指導しているという状況です。
大きい3番は、「海外進出企業等対策について」ということです。「進出」という言葉は語弊があるかもしれませんが、要するに企業活動拠点を海外に移すということですが、最近のアジア経済危機等の状況で、総数としては、日本企業の海外での生産が下り坂になっています。現地での日系企業の問題として、労働省が噛めるものとして労使関係の問題や、あるいは日本人のメンタルヘルスの問題などいろいろありますが、その中に、順調に仕事を立ち上げていくために、海外職業訓練という、海外でその国の人を雇用して、その人たちに仕事を十分伝えていく、仕事を円滑にやってもらう。そういう指導者が必要であるということで、海外職業訓練協力センターを活用して、そういった指導者の養成事業を海外職業訓練協会に委託して実施しています。
大きな2点の論点ですが、今、申しました状況で、国際協力については、JICAベースを通じたもの、それから民間ベースのものを含めて、人づくりというものの重要性が高まっていますので、ITに係る国際的なデジタルディバイド対策という面も含めて、今後ますます効果的な国際協力の推進を行う必要があると考えています。
技能実習制度についても、いろいろ議論のあるところですが、労働力の不足を補うという観点ではなくて、開発途上国の訓練ニーズを踏まえて、それに弾力的に対応できるような職種を追加する等、関係省庁とともに制度の適正かつ円滑な推進に努めることが必要だろうと考えています。
(部会長)
どうもありがとうございました。5番と6番は非常に大事なことを扱っていますが、残念ながら議論していただく時間がないので、引き続いて次回以降に継続してやることにしたらどうかと思いますが、是非いま言っておきたいことがおありの方はご発言いただきたいと思います。
(委員)
技能振興の5番の最後のご説明なのですが、問題の設定は非常にいいと思っているわけですが、今後の方向の中に、何か入口というか、外延的にいわゆる教育機会の中で、国民全体に技能の大切さを訴えよう、知らせていこうとなって、それから急にこの「高度な技能」があって、その間の論点というか、今後の方向の設定の中で、そもそも技能者をどう養成していくかとか、いまの養成の中での問題点はないのかとか、そういうところがスポッと抜けているような、本来しっかりやらなければいけない所がすでにできているからいいのかと、それでいいのかなという感じを率直に思ったので、是非今後の全体の流れの中では、きちんと入ってくるのかなと思っていますが。
(事務局)
そこのところは、公共職業訓練の非常に中心的なところとしてやっているところで、やはり世の中のニーズに応じた技能労働者の育成をどうするかという課題で、ある意味では公共職業訓練のあり方のところでご議論いただいている部分かなと思いまして、ここのところでは、熟練技能やものづくりに関する意識の教育等の連携で高めていくとか、そういう部分を特化して抜き出しているという感じです。むしろおっしゃるのは本体、公共職業訓練のあり方やそのニーズに応じて、どう訓練コースを設定していくかというところにかかわる部分かなという理解で、先ほどの公共職業訓練のところで、ご議論を多少いただければという気持でした。
(部会長)
では、今日のいろいろなご説明、ご議論を踏まえて、次回以降、どのように議論していただくかについて、事務局に案を作っていただいたので、それを説明していただけますか。
(事務局)
今後の進め方についてご説明させていただきますが、その前に資料を配らせていただきます。これは次回以降の進め方の案ということではありませんが、今日、技能の振興のところと国際社会への貢献をご説明して、ご議論、ご質問等はまた次回ということになると思いますが、前回と今回、あるいは次回の冒頭もあります。そういうことも含めて、一応全体的な総論的なことを私どもで整理させていただいて、次回お出ししてご議論いただこうと思います。
ただ、その次々回以後どうするかということがあります。このお配りしたのは「公益法人の設立許可指導監督基準及び公益法人に対する検査等の委託に関する基準」という平成8年9月に閣議決定されたものです。実はここの3番を見ていただくと、「公益法人の中には、行政代行的行為等を行っているものがあり、これらの透明化を図るため、別紙の2のとおり、公益法人に対する検査等の委託に関する規制を定める」とあります。このことが技能検定の一部職種を委託している、あるいは技能審査認定制度ということで、公益法人の行う技能審査について、国が認定を行うということをやっていて、この施策が、この公益法人に対する検査等の委託に関する基準に関連してきます。そして第1番目の「検査等の公益法人の委託等」で、「各官庁が不特定または多数の者に対する検査、認定、資格付与等の事務を公益法人に委託等を行う場合、以下の要件がすべて整っていることを要する」とされて、例えば職種で言うとビルメンテナンスや調理の技能検定を公益法人に委託している場合があります。これがこの項目に該当するわけです。特に1の(1)(3)ですが、「委託等を行う事務の基本的内容及び事務の委託等を行うことのできる公益法人の基準を法律で定める」となっています。また、(3)ですが、「委託等を受ける公益法人は、法律またはこれに基づく政令によって指定されていること」となっています。現在、この2職種について技能検定の委託を行っているわけですが、その場合に、公益法人の基準等について、法律で定められていません。したがって、ここのこういう職種については、公益法人の基準を、何らかの形で法律で定めることが必要になってきます。
また、2の「検査等の推薦等」とあり、「各官庁が、特に公益法人が独自に行っている検査等の推薦、認定等を行う必要がある場合、以下の要件がすべて整っていることを要する」となっていて、この項目に公益法人が行う27職種の技能審査について、一定の基準を満たすものを労働大臣が認定するという仕組みです。これについても、(1)にあるように、「推薦等が法令に基づくものである」と、(3)「推薦等をされた検査等及びこれを行う公益法人は、法令によって指定されていること」と書いてありまして、これについても、やはり法律上きちんと位置づけることが必要になってきます。
こういった対応が必要になりますが、次の頁の最後の所で、「各官庁は上記1〜3について必要な措置を、平成12年度末までに行うものとする」となっています。したがって、技能検定の委託基準、それから技能審査認定の基準等について法律上位置づけ、それを12年度末までに行うという閣議決定になっています。これを踏まえて、職業能力開発促進法についても、一定の制度改善を行う必要があるという要請が出てきます。そうしたことから、この職業能力開発促進法の改正を行わざるを得ないということで、何を盛り込むかという議論を行っていく必要が出てきています。
これまで、この中央職業能力開発審議会あるいは総括部会で、今後の施策のあり方と第7次職業能力開発基本計画というテーマでご議論いただいているわけですが、一応こういう法律上の対応が必要だということですので、次回、一応これまでの議論を総論的に整理するとともに、次々回以後については、特に次回の総論を踏まえて、具体的に法律に何を盛り込むかというご議論に特化していただいて、議論していただいたらどうかと考えています。もちろん、法律に何を盛り込むかということについては、これまでご議論してきた内容に基づいて、この具体化を図っていくことになろうと思いますので、そういった進め方でよろしいかどうか、事務局としてお諮りする次第でございます。
(部会長)
いまのご提案についていかがでしょうか。要するに、次回以降、いままでの説明やご議論を深めて、できるだけそれを集約する作業をする一方では、いずれ法改正あるいはそれに類する作業も必要だろうということです。差し当たりの予定としては、いま事務局がおっしゃったように、次回は集約を図っていく方向です。その次の機会に、そういうところまで議論が煮詰まれば、法律改正等についても議論していただくことを考えたいということです。
たくさんやることがあって大変ですが、では、そういうことで次回以降を予定させていただきます。次回は、いまのところ10月5日の13時に、この総括部会を開催する予定ですので、どうぞよろしくご参集をお願いします。では、今日はここまでといたします。どうもありがとうございました。
照会先 厚生労働省 職業能力開発局 総務課 政策計画・調整係(内線5959)