雇用審議会総会 議事録

1日時 平成11年11月24日(水) 10:00〜11:30
2場所 共用第13会議室
3出席者 【委 員】  市川佳子、岩瀬孝、内田公三、小野旭、尾原蓉子、北裏昌興、笹森清、関英夫、高梨昌、田島優子、田嶋義明、目黒依子の各委員
【事務局】  鳥生総合政策課長、渡邊職業安定局長、青木職業安定局次長、長谷川高齢・障害者対策部長、東企画課長、妹尾高齢者雇用対策課長、小玉能力開発課企画官
4議題 (1)65歳現役社会政策ビジョン研究会報告について
(2)その他
5議事  

○会長:
 ただいまから、雇用審議会の総会を開会いたしたいと思います。本日は、先日発表されました「65歳現役社会政策ビジョン研究会」の報告が主とした議題です。したがいまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局:
 資料No.1から資料No.5まで、いま会長のほうからお話がありました高齢者問題につきまして、ご説明させていただきたいと思います。65歳現役社会政策ビジョン研究会報告は資料No.4となっておりますが、関連のいろいろな高齢者雇用対策をめぐり動きがありましたので、資料No.1から順次ご説明をさせていただきたいと存じます。
 資料No.1は、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」、いわゆる経済計画です。これは本年の7月8日に閣議決定を見ております。その中で、高齢者雇用対策部分につきまして、抜粋したものが資料No.1です。第3部第2章のうち、第2節に「年齢にとらわれない経済社会」ということで盛り込まれております。まず第1パラグラフにつきましては、厚生年金の支給開始年齢の引上げ等の問題にかかわりまして、当面60歳台前半層の雇用機会の創出が最重要課題である。このため、65歳まで希望者全員が雇用される継続雇用制度の普及、促進を図る、ということが謳われております。
 第2パラグラフにおきまして、従前の雇用システムの維持が困難になるということから、高齢者の意欲と能力を活かせる雇用システムに変更していくことが必要である。この際には、これまでの年功賃金・処遇制度といったものが高齢者雇用の制約要因となりかねない。こういったことから、年功賃金・処遇制度等の企業の雇用制度の見直しが求められる。
 なお書きの所につきましては、定年制の問題と年齢差別禁止といったものの考え方につきまして、考え方が示されております。この定年制の維持の問題と年齢差別禁止という考え方につきまして、それぞれを比較検討し、その検討も踏まえて高齢者雇用対策を推進することが必要である、というようなことが謳われております。これが経済計画で指摘された内容です。
 資料No.2は、当審議会で非常に精力的にご審議いただきました、「雇用対策基本計画」です。このうちの高齢者雇用対策部分を抜粋しております。Iの「計画の基本的考え方」ということで、「少子・高齢化が進展していく」ということが謳われているわけです。第2パラグラフの所で、「今後、経済社会の活力を維持、発展させていくためには、高齢者の高い就業意欲が活かされ、その有する能力が十分に発揮されることが必要不可欠になる。また、公的年金制度等の改革が議論されているところであり、こうした制度変更による労働力供給の変化も予想される。高齢者の雇用の現状が依然として厳しく、また、今後60歳以上の労働力人口が大幅に増加することが見込まれる中で、高齢者の雇用機会の確保が一層重要な課題となってくる」ということで、「基本的考え方」として高齢者の雇用機会の確保について課題である、ということが謳われております。
 2頁目のIIIとして、「雇用対策の基本的事項」ということで、その中で4の「高齢者の雇用対策の推進」ということで、(1)として「長期的な高齢者雇用の在り方」、(2)として「向こう10年程度の間における取組」、(3)として「高齢期に向けた社会参加の促進」と、この3つにわたり謳われております。(1)の「長期的な高齢者雇用の在り方」ですが、第1パラグラフは、「急速に高齢化が進展する我が国において、その経済社会の活力を維持するためには、できるだけ多くの高齢者が社会に支えられる側から社会を支える側へ回ることが必要である。このため、将来的には高齢者が、意欲と能力がある限り、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会を実現していくことが必要である」ということが謳われております。
 次の次のパラグラフですが、「労働力需要の年齢構造を急速に変化させていく上では、従来の雇用慣行の見直しなど、様々な課題があり、これらを解決していくためには労使が率直に話し合い、政労使が協力して段階的な取組を行っていくことが必要である」。経済計画の中で、賃金処遇制度等の見直しといったところは、ここには具体的には書いていないのですが、労使の率直な話合い、さらにまた政府が入り協力して段階的な取組を図っていくことが必要である、ということをご指摘いただいております。
 (2)の「向こう10年程度の間における取組」です。ここでは、労働力供給のことを述べているわけですが、「(1)で述べたような将来展望を踏まえると、個々の企業においては、従来の人事管理制度の見直しを行いながら、向こう10年程度の間において、65歳に向けて定年年齢を引き上げていくことが必要である」ということで、向こう10年程度の間で65歳に向けて定年年齢を引き上げていく、ということが謳われております。「しかしながら、我が国の年功的な賃金が生活給的な側面も有している。従来の人事管理制度の見直しに当たっては解決すべき問題も多いことを考えると、当面は60歳台前半層の高齢者の労働力需要を高めていくために、再雇用による継続雇用、あるいは、他企業への再就職という方策も視野に入れていく必要がある」。定年延長のほかに、再雇用による継続雇用、あるいは他企業への再就職といった、いろいろな方策も検討していくことが必要であるということです。
 これを受けて、次のパラグラフで「意欲と能力のある高齢者が再雇用または他企業への再就職などを含め、何らかの形で65歳まで働き続けることができることを確保していくこととする」ということです。そのためのいろいろな手段が書いてあるわけですが、特に真ん中の辺りで、「さらに、高齢期における再就職を促進していくため、事業主に対して、労働者募集の段階における年齢制限を緩和していくことを求めていくこととする」ということで、政府の各種の指導援助のほかに、再就職が円滑になるような促進策、あるいは求人開拓、能力開発、いろいろなことが書いてあるわけですが、いまいちばんネックになっている年齢の制限についての方策を検討するようにということです。さらに、高齢期につきましては、年齢にかかわりなく働き続けることができる就業の場として、短時間勤務、高齢者の自営開業、シルバー人材センターの活用、そういったものをすべきである。
 それから、(3)で「雇用・就業のほか、ボランティア活動など、様々な社会参加を行っていくことが必要である」。さらに最後のほうでは、行政体制といたしまして、「高齢期雇用就業支援センターを活用しながら、退職準備活動に対する支援を行う」ということで、高齢者の方々のいろいろな就業規模があるわけで、それに対応したいろいろなフォートを設けるようにということが指摘されているところです。これが雇用対策基本計画です。
 資料No.3は、後ほどご説明させていただきます。
 資料No.4の冊子の部分、これは65歳現役社会政策ビジョン研究会のそのものですが、これは長いので、資料No.4の「報告書のポイント」に基づいて説明します。まず、この研究会の考え方ですが、冒頭3行に書いてありますように、「急速な高齢化の進展、高齢者の雇用環境の深刻化、年金支給開始年齢の段階的引上げ等、高齢者雇用をとりまく状況を踏まえ、向こう10年程度の間における我が国の高齢者雇用対策の在り方について、展望と課題を示すものである」、こういったことでいろいろご論議いただき、まとめたものです。
 中身としましては、(1)の「中長期的な高齢者雇用対策の基本的な考え方」です。経済計画、あるいは雇用対策基本計画とダブる部分も出てくるわけですが、21世紀初頭においては、高齢者が参加する経済社会と、それに対応した労働市場を政策目標として、「将来的には高齢者が健康で意欲と能力がある限り、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会を実現していくことが必要である。従来の雇用慣行の見直しをはじめ、さまざまな課題がある。これらを解決していくためには、労使が率直に話し合い、政労使が協力して段階的な取組を行っていくことが必要。個々の企業においては、賃金・人事処遇制度の見直しを行いながら、高齢者の職域開発など、高齢者が働き続けていくような条件整備を行い、高齢労働力を一層活用していくことが必要である」。
 経済計画で謳われておりました年齢差別の関係ですが、「米国における年齢差別禁止のような手法を用いる場合には、定年制の見直しが求められるが、現時点においては定年制が高齢者の雇用機会の維持・確保に貢献している側面を無視するわけにはいかず、その性急な見直しを避けることが適当である」。
 いろいろな高齢者の方々の就業規模があるわけですが、「活力ある高齢化を実現する観点からは、高齢者に対してさまざまな選択肢を用意し、職業生活からの引退時期や、高齢期における勤務対応等の選択に当たっての個人の自由を自主的に確保していくことが必要」ということで、いろいろな就業規模に応じたフォートを探るというほかにも、思い切って引退するということも含めて、自由にできるような制度をつくるべきであるということが謳われております。
 (2)は、「定年の引上げ等による65歳までの雇用の確保」ということです。最後の所にありますが、最初の○の所は、「働く意欲と能力のある高齢者について、何らかの形で65歳までの雇用を確保するように努めることが必要である」ということです。ここにつきましては、いままで経済計画、雇用対策基本計画でいろいろ謳われておりますが、定年の段階的な引上げ、定年後の継続雇用制度、あるいは他企業の再就職の斡旋等といったいろいろな手段を設けて、何らかの形で65歳までの雇用を確保するように努める。この場合においては、「従来の賃金・人事処遇制度の見直しが大きな課題となる。各企業においては労使が十分に協議をしていくことが望まれる」ということです。
 この際、行政としてどういうスタンスで臨むかということですが、「行政としては労使の主体的な取組を尊重し、これに対する支援を行う必要がある。ただ、現時点において、法律で強制的に定年の引上げ等を行うことは適切ではない」ということで、65歳まで向こう10年程度で定年制を引き上げていくということですが、法律ではなかなか難しいのではないかということが謳われております。
 (3)は、「高齢者の再就職の援助・促進」です。「雇用の中断が可能な限り生じないようにするための方策が必要である。また、中断が生じたとしても、早期の再就職が必要である。そのため、離職前からの積極的な求職支援が必要である。再就職に当たっては、労働者自身についても、主体性をもって職業生活設計、職業能力開発、求職活動を行うための環境整備が必要である」。事業主につきまして、基本計画でも謳われておりますが、「労働者募集段階における年齢制限の緩和を求めていくことが必要である」ということが謳われております。
 (4)は、「高齢者の多様な雇用・就業機会の確保等」です。まず、多様な働き方の志向が高まっている、あるいは年金支給開始年齢の段階的引上げに伴い、短期間、あるいは短時間の就業をはじめとする、多様な雇用・就業ニーズが高まっている。このため、安定機関の強化に加えて、民間の労働力需給調整機関が高齢者のニーズに対応して、かつ高齢者の熟練や知識を有効に活用するための適切なマッチングが行われることが望ましい。また、シルバー人材センター、あるいは起業、自営、あるいはNPO、あるいはボランティア活動等についての促進をすることも必要である、ということです。
 こういった具体的な指摘を行いながら、最後は「年齢にかかわらず働き続けることのできる社会の構築、定年の引上げ等による65歳までの雇用の確保、高齢者の多様なニーズに応えた機会の確保等の課題について、政府の施策の方向を示すことが不可欠である」というまとめとなっております。それで、このビジョン研究会のメンバーがそこに掲げてあります。本日ご出席の小野先生にもご参加いただいて、取りまとめをしていただいたところです。以上が雇用政策ビジョン研究会の概要です。
 資料No.3に戻りまして、「活力ある高齢化国際シンポジウムの概要」です。去る9月22日に政府間会合が行われたわけですが、20日、21日、22日とシンポジウムが行われております。高梨会長に基調講演をしていただき、本日ご出席の委員の皆様方のうち、何人かの方々にもご参加いただいたわけです。国際的にも「アクティブ・エージング(活力ある高齢化)」ということが非常に謳われているということです。
 3の所で共通認識が書いてありますので、簡単にご紹介させていただきます。最初の○の所ですが、「G8各国の共通課題」として、人口の急速な高齢化への的確な対応というものが必要である。高齢者が社会から支えられるよりも、社会を支える側に回ってもらうという、いわゆるアクティブ・エージングの理念・概念がますます重要であるという認識が得られております。雇用、社会保障をはじめとする多くの政策分野について、各国の実情に応じてアクティブ・エージングという観点から、具体的な取組が強化されなければならないということ。健康保持・増進の観点、あるいは持続的な経済成長と雇用の拡大を可能にする適切なマクロ経済政策が必要であること。雇用に関して、高齢者が、その年齢や志向に応じ、適切に取り扱われるような取組が行われる必要があること。高齢者のニーズに応じた多様な活動の機会が提供され、高齢者個人の選択肢が拡大されることが重要であること。アクティブ・エージングの具体的な実現のためには、各国において女性のおかれた環境に特に留意する必要があること。さらに、労使の協力を得ることが必要である、というようなことで共通の認識が得られております。
 具体的な政策として、1)として「更なる雇用・就業の促進」といったものが必要ではないか。世界的規模で見られているわけですが、「急速な技術革新、産業構造の変化、個人の職業生涯等に視野を置いたエンプロイアビリティーの向上が必要である。そのためには、教育訓練、あるいは政労使、その他の関係者の役割が重要ではないか。あるいは、高齢者に対する職業訓練、特に情報技術に関する職業訓練の機会を拡大する必要があるだろう。また、高齢者の雇用の拡大につきまして、年齢差別に取り組む必要があるのではないか。あるいは、高齢者雇用についての企業へのインセンティブを高める必要があるのではないか」。その中として、「労働者の能力・技能・経験に応じた賃金制度、高齢者の雇入れ、雇用の継続、高齢者の働きやすい環境整備に対する政府の助成、あるいは求職活動、職業訓練に対する政府によるきめ細かな支援の必要性」といったものが必要である。
 それから、「就業意欲、体力、資産等の個人差に基づく就業ニーズに対応したパートタイム労働等、柔軟な就業形態の提供」といったものも必要ではないかということです。「柔軟な雇用の活用は、高齢者の就業機会の拡大、高齢者の就業インセンティブの向上につながり、さらには部分年金と併せて、高齢者個人のニーズに応じた段階的な引退を可能にする」ということで進める必要があるのではないか。あるいは「自営業の促進」といったものも必要である。
 d)として、「社会保障制度について、見直しをする必要があるのではないか。引退年齢を個人が選択できるように、中立的な制度が求められる。その際、仕事か退職かの二者択一ではなくて、年金の支給開始年齢に達した後も含め、段階的な引退を可能とすることも重要である。また、社会保障制度から、高齢者が長期に働くことを阻害する要素を払拭することが重要である」。
 「更なる退職後の社会参加」として、「雇用・就業といったこと以外にも、退職した後でも何らかの形で社会参加が必要ではないか」ということで、「退職前からの準備の必要性と事業主による支援の重要性」といったものが必要ではないか。それから、「多様な活動の機会の確保が必要ではないか。その際、高齢者自身による組織的な取組が、各国の実情に応じて多様な形で展開されることも重要である。その際には、労働組合、NPO、ボランティア団体等の組織活動の活発化と、それへの高齢者の重要な参加が必要である」ということが謳われております。こういった形で、シンポジウム、政府間会合が行われたということで、これはご紹介させていただきます。
 資料No.1、資料No.2、資料No.4、これで経済計画、雇用対策基本計画、65歳現役社会政策ビジョン研究会について、こういった点でご指摘をいただきましたので、政府としてどのようなことをやるかということです。資料No.5として、今後、事務局としてこういったことをやらせていただきたいということで、まとめております。資料No.5は、「活力ある高齢化の実現に向けた高齢者雇用対策の確立について」ということです。まず、趣旨です。最初の所につきましては、いま申し述べました経済計画、あるいは雇用対策基本計画、あるいはビジョン研究会の報告により、「活力ある高齢化の実現に向けた今後における高齢者雇用対策の展望と課題が示されたところである」ということが書いてあります。この「活力ある高齢化を実現し、我が国の経済活力の維持・強化、雇用の安定の確保を図るためには、中高年齢者の雇用環境への深刻化への的確な対応を図りつつ、将来的には高齢者が健康で意欲と能力がある限り、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会の実現を目指す必要がある。そのための総合的な高齢者雇用対策を早急に確立し、推進することが求められる。このため、高齢者雇用対策の確立について、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正も含め、検討を行うこととする」ということでお願いをしたいというわけです。
 「検討の背景」ですが、次のような事情があるということです。「労働力人口の高齢化の急速な進展」ということで、特に「団塊の世代」が向こう10年で60歳台前半層へ入っていくということです。それから、「老齢厚生年金の満額支給開始年齢の段階的引上げ」ですが、少なくとも基礎年金部分につきましては、2001年度から支給開始年齢が下がっていくということです。現在衆議院で行われておりますが、仮にいまの年金法が通過したとすれば、2013年度から、また3年ごとに1歳刻みで、報酬比例部分も65歳支給のほうへ繰り下がっていくということです。高齢者の雇用・就業ニーズが多様化しているということ。最近見られるように、企業の事業再構築に伴う雇用量削減が懸念されること。従来から言われていることですが、年齢間の労働力需給のミスマッチ、特に高齢者の部分については非常にそのミスマッチが激しい、といったことが背景として挙げられるわけです。
 こういった背景を踏まえて、基本的には前々から申し述べておりますが、「定年の引上げ等による65歳までの雇用の確保」、「中高年齢者の再就職の援助、促進」、「高齢者の多様なニーズに応じた雇用・就業機会の確保」、こういったものを対策として打っていく必要があるだろう。こういったことを通じて、将来的には、高齢者が健康で意欲と能力がある限り、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会が実現されるといったことが必要ではないか。
 また、ビジョン研究会では、当面、定年制を撤廃して、年齢差別禁止法といったものが導入されることは時期尚早であるとご指摘をいただいておりますが、その関係につきましても、将来的には検討課題となってくるだろうということが、将来的に展望されるわけです。
 こういった将来の対策の方向性も考えながら、今後、我々としてどういったことを検討していくことが必要であるかということで、4として「検討課題」を掲げております。(1)として、「定年の引上げ等による65歳までの雇用の確保に向けた取組の強化」です。「65歳定年制の普及に向けた、段階的な取組の促進が必要である。(定年の引上げ、あるいは定年後の継続雇用制度の導入・促進 等)」、この際にはビジョン研からも言われておりますとおり、法律で強制的にやるということは避けたいと考えております。
 (2)として、「中高年齢者の再就職の援助、促進に向けた取組の強化」です。「中高年齢者に対する在職中からの再就職援助についての事業主の役割の強化」ということで、現在、「再就職援助計画といったものを事業主が定めるように、公共職業安定所長が要請できる」という規定が法律上あるわけですが、その辺について、さらに有効活用できないかといったことです。それから、「再就職に向けた労働者自身の主体性発揮のための環境整備」ということで、定年を迎える方はわかっているわけですので、在職中に求職活動ができるようにしてあげる、あるいは能力開発について、主体的に取り組む場合に、事業主からの配慮といったものが何か考えられないか、というような観点です。「公共職業安定所の機能強化」として、従前、離職者、失業者に重きを置いていたわけですが、在職求職者についても対策を強化する必要があるのではないか、といったことです。「官民連携の下での高齢者の労働力需給調整の円滑化」ということで、安定所、あるいは職業安定法、労働者派遣法は12月1日から改正されたものが施行されるわけですが、その辺のところを併せて対策を打つべきではないか。さらに、求人にかかる年齢条件の緩和等について、官民を挙げてやっていくべきではないかという観点です。
 (3)として、「高齢者の多様な雇用・就業ニーズへの的確な対応」ということです。まず、「高齢者の労働力需給の適切なマッチングのための民間労働力需給調整機関の活用」ということです。先ほども言いましたが、職業安定法、あるいは労働者派遣法につきまして、改正法が12月1日から施行されるということです。特に高齢者につきまして、短時間雇用といったものも必要です。そういった場合、職業紹介、あるいは新しく拡大された派遣の業務等について、あるいは派遣機関について、検討を行う必要があるのではないかということです。シルバー人材センターにつきまして、現在は短期的かつ臨時的ということで、斡旋、あるいは無料の職業紹介といったものを行っているわけですが、先ほども申しましたように、短時間といったものについて、業務の範囲を拡大していく必要があるのではないか。これは、シルバー人材センター発足の理念に全く合致するわけですので、その辺のところを考えていくべきではないか。あるいは、雇用にかかわる場合にあるわけですので、安心して就業できる環境の整備等について、検討すべきではないかということです。それから、「自営、起業、あるいはNPO、ボランティア等の就業、社会参加の促進」、こういったものも必要であるということです。
 「その他」の行政体制として、高年齢者雇用安定センターの業務、あるいは高齢期雇用就業支援センター、これは安定所にあります高齢者のコーナーです。あるいは、地方公共団体と連携して、高年齢者相談室といったものを置いてありますが、そういったものについて体制整備をする必要があるのではないか。あるいは(2)、(3)にかかわる関係で、国による援助、事業主、あるいは労働者個人への助成措置といったものが必要ではないか。あるいは調査研究、こういったものをさらに深めるべきではないか、といったことが検討視点と考えられるわけです。
 この際、関連施策等やる必要があるので、「労働力需給調整機能の強化」ということで、民間とも連携を図りながら、失業を経ない形での労働移動、こういったものを目指す必要があるということです。それから、「より就職促進が可能となるセーフティーネットの再確立」ということで、雇用保険法もソフト面としてはセーフティーネットを構築しているわけですので、その辺との関連性についても検討すべきではないかということです。
 以上のような点につきまして、検討させていただければということで、当審議会にお願いする次第です。

○会長:
 どうもありがとうございました。ただいまの事務局の報告につきまして、ご質問、ご意見がありましたらどうぞ。先般お決め願った「第9次雇用対策基本計画」を踏まえながら、全体の審議が進んで、資料No.5は新しい政策として具体化された1つです。ご意見がありましたらどうぞ。

○委員:
 いまの資料の説明と最後に提案のあった「雇用対策の確立」、これを全部ひっくるめて質問、意見ということでいいのですか。もう中身に入ってしまうのですか。

○会長:
 はい。

○委員:
 資料的なものと、いまの具体的な提案があった分と関係するのですが、いくつか考え方を聞かせてください。1つは、資料No.1、資料No.2、資料No.3、資料No.4を全部通して、「現状の賃金・人事処遇制度の見直し」という言葉がいろいろな所に入っているのです。当然そういうことをやらなければいけないのではないかと思うのですが、労働省として、まず1つはこれに対する基本的な考え方があります。もう1つ、これに関係して、就業時間、労働時間、これに対する記述がどこにもないというふうに見たのです。特に最後の提案の所に関係してくると、雇用が失われていくという部分の対応で、労働時間問題を横に置いて雇用量が出てくるかとか、そこのところが非常に希薄ではないかというのが1つです。
 2つ目は、これも3回ばかり口頭説明が補完されたのですが、年齢差別禁止の問題、これは法整備になじまないという言い方をされてきました。論議経過をあまり詳しく聞いていませんので、いままでのビジョン研を含めて、どうしてそういう結論になってしまったのか。
 同じように65歳定年の問題、これは何らかの形で雇用確保をしなければいけないという中で、短期間、あるいは短時間の就業という働き方という選択肢を出しているのですが、ここに対しては賃金保障の面、あるいは社会保障の面、それぞれに対して均等待遇がなされなければいけないのではないかと思っております。それに対する考え方は、この中で論議をされた経過があるかどうか。まず最初にこれだけお聞きしておきます。

○事務局:
 まず、処遇・人事・管理、それから賃金の観点の処遇制度の問題です。そこにつきましては、具体的にはビジョン研の中でいろいろなご議論をいただいたわけですが、やはりそこは労使問題であるということで、随所に「労使の率直な話合い」という言葉が出てくるわけですが、基本的には産業、それから産業の中でも職種によりいろいろな形態があり得るということで、一律には決められないだろうということで、労使双方からもご指摘をいただいております。政府といたしましては、そういった取組について、何らかの形で支援ができないかというようなスタンスです。ですから、「労使の率直な話合い」のほかに、「政労使で段階的に進めていくべきではないか」、そういったスタンスで労使と政労使と使い分けてあるというのが、基本計画なりビジョン研の報告の概要です。
 労働時間の短縮の面につきましては、65歳現役社会政策ビジョン研究会を立ち上げる際に、基本的にどういったものを基礎資料としたかということですが、これは職業安定局長の私的研究会ですが、雇用政策研究会がありまして、6月に一応の報告をいただいてあるわけです。労働力人口について、若年者が減り、高齢者が360万人ぐらい増えるという中で、どういった形で経済成長を維持していくかというモデル推計をしているわけですが、その際には時短が進んだケースということを入れながら推計をしています。そういった時短の進展といったものがないと難しいのではないか、ということで推計いたしております。
 ビジョン研の中で、直接時短の話を絡めて高齢者雇用対策という話はなかったわけですが、今後の社会のトレンドとして、フランスも来年の4月からですか、さらに時短をして、ワークシェアリング的なことをやるという話が出ております。ただ、ビジョン研の中でワークシェアリングというお話も出たのですが、人によってワークシェアリングの定義が違うものですから、賃率をどうするか。例えば40時間を35時間に持ってきたときに、給料はそのままなのか、あるいはパーアワーごとで決めていくのか、その辺が決まらないものですから、そこは深く入るのはなかなか難しいということで、積極的に詰めた議論はされておりません。ただ、大きな方向といたしまして、時短も絡めた中での高齢者雇用全体、あるいは日本全体での労働力のあり方ということになるのだろうと思いますが、そういった議論がされたのはたしかです。
 定年制と年齢差別の観点ですが、昨年の4月1日から、定年制を定める場合には60歳を下回ってはならない、ということが義務化されたわけです。ある意味でいきますと、60歳までは何らかの理由がないと解雇できない。逆の言い方をいたしますと、60歳ではどんなに働きたいと思っていても、一応、解雇するに当たっての正当理由があるということです。その辺の2つの側面をどう見るかということで、片方では保障している、あるいは片方ではそこで切られてしまうというどちらを見るのだということで、経済計画を策定する際にもいろいろご議論があったようです。意欲・能力がある方については、60歳定年というのは阻害要因になっているし、ある一面では60までは何らかの形で保障される、これをどういうふうにバランスをとるかということです。
 その際、定年制を取り払うということになりますと、解雇の正当理由、積極的に言えば解雇事由法というのか、消極的に言えば解雇規制法と言うのか、いろいろな言い方があるのでしょうが、その辺のところをきちんとする必要があるのではないかと言われておりますが、解雇の判例4法理等について法制化すべきではないかというご意見もいろいろあるわけです。その辺につきまして、まだ社会的に十分合意ができていないだろうということで、ビジョン研究会といたしましては、年齢差別禁止法についてただちにやるというのは尚早ではないかということです。ただ、いろいろな先生からは積極的にやるべきではないか、というご意見をいただいたのも事実です。
 65歳定年の問題につきましても、これは冒頭にも申しましたが、産業界により、あるいはいろいろな業種、あるいは職種により、60歳前後をめぐり、労働者個人の方々の能力・意欲は千差万別であろうということです。そういったものについて、法的に義務化していくということはなかなか困難ではないかということで、これは公・労・使、皆様方、それぞれお考えにある背景は違うのだろうと思いますが、そこは皆さん法律でやろうという議論にはなかなかならなかったということが実情です。
 短時間、短期間といった雇用の問題です。賃金あるいは社会保障の問題、均等待遇の問題、その点につきまして、そういった問題があるということは、私どもも十分認識はしているところですが、研究会といたしまして、具体的にそこまで突っ込んで議論はなかったというのが実際ではなかろうかと思っております。

○委員:
 説明としてはそういうことでしょう。それでどうだという話になるのですが、いまの説明の中であった60歳の義務化の問題、確かにされましたけれども、実態はそうではないですね。ほとんどがもう完全に55歳程度で、仕事がなくなるというケースは少ないのですが、そこが60歳まで保障されているというケースはないわけです。義務化してもそれです。だとすると、65歳まで働く、そういう環境はつくりますよと言ったって、それに乗るか、乗らないかということになれば、きっちりしたものにしていかなければ実効なんか上がらない。もちろん、一連の人事・処遇制度の見直しなんかも含めてそうなのですが、労使協議の中身にもよるのですが、いまの実態から言うと、労使協議にそれを全部求めるというのは、これは我々の力不足もあるかもしれませんが、まず難しいということになると、セーフティーネットというのか、そういう範囲の中で、ここの部分だけ法的に整備をしてあげるということがないと、実態上はいかないのではないか。
 もう1つ、高齢者雇用の問題は、そういう状況になることは間違いないので、高齢者の活用について、これが望ましいとするのか、絶対的に必要だとするのかということは、我々は逆に絶対的に必要だと思うのです。今日の朝のニュースで、「あなたは還暦というのをいまなら何歳だと思っていますか」というのをやっていました。20代の方はいまなら71歳、40歳以上の人は、平均的ですが70.何歳だということで、いずれにしても昔に比べれば10年減っているわけです。もちろん個人差はあります。個人差はあるけれど、ほとんどの人が適応能力を持っている人たちなのです。これはもう、そういう方たちのために働く場を保障することが望ましいではなくて、当然そのことをカウントに入れた中でどういう制度をつくるかというふうにしていかなければ、アクティブ・エージングとか何か言ったって実効は上がらない。だから、そのベースを基本的につくるのだ、そのことを活用しなければいけないというふうに置き換えていくと、中身はだいぶ変わってくるのではないか。そういう観点を是非取り入れてほしいと思うのです。
 ワークシェアリングの問題は難しいけれども、これもまたテレビの話で恐縮ですが、夕べのニュースを見ていたら、名古屋で女子大生がデモをやりましたね。各企業のリストラ計画、それはそれだけれども、とにかく現役にはソフトランディングさせながら、もう入口を全部閉ざしてしまう。こんなのではたまらない。その中で言われたのが、社会経済生産性本部、これは連合もある程度タイアップさせてもらったのですが、サービス残業と恒常的な時間外の削減の問題で、どのぐらいの雇用が不足するのかと。少なくとも経営者自体が、いまサービス残業について当然だ、そのことでもって能力評価をするのだなんていう考え方を、本当に持っているのかどうか。私はこれは若干変わってきたとは思うけれども、まだ根にはあると思います。労働者側だけがサービス残業をやめましょうと言っても、これはやはりそれぞれ一人ひとりの人たちは怖いのです。だから、できっこないのです。そこで政労使が、そういうものについてきっちりして雇用につなげるのだという、いわゆる労働時間とワークシェアリングの関係について、まず第1段階のいちばんベースになるところをどう整理するかということを、きっちり打ち出す必要があるのではないか。これが求められている時代ではないかと、そういうことを思っております。

○事務局:
 65歳というか、高齢者雇用のことについては、共通な方向というのは大体一致していると思うのですが、それぞれのどこを強調するかということで若干の差はあるかと思います。いま委員がおっしゃいましたように、60で終わりというのは、既に一種の足かせになっているという点は否定できないのではないかと思うのです。行政の中でもいろいろなお知恵を借りながら、60歳定年ということを随分長い間かかってやってきて、そのころは大変大きな理想だったわけですが、やはり時代は変わり、いま60歳というのが、保障の面と同時に、足かせということが強く意識されるようになって、それはもう肉体的、精神的な、高齢者のそもそもの労働力としての価値というのがものすごく上がってきているということは、否定できない事実だと思います。
 私たちの考えでも、65以上はフル年金ということも考えますと、少なくとも意思がある人は65 まで働けるということで、いま60歳定年はどうも道が閉ざされている面があると思うので、制度的にそこを開いていくということは、これは当たり前ではないかという感じがします。また、法の整備は60歳定年を義務化ということで、65まではまだ努力義務になっている。そこの手当がまだ弱いということで、法整備も遅れているのではないか。高齢法の改正ということで、いままでいろいろなご意見をいただきましたので、そういうことを世の中に訴えていくということがいま大きな意味があって、それは働ければ働いたほうがいいということではなくて、65なんかむしろ当然ではないかという感じで、私どもの意識はいるわけです。そういう方向に向けて、いろいろな諸制度をつくっていくのではないかと思っています。
 ただ、先ほどちょっと出ていましたように、例えば賃金の問題が大きくあるわけです。労使の話合いが基本だと言いましたけれども、どうせいままでは賃金の問題は労使の自主的なご判断で、政府として支援することがあればする。例えば最賃法ということでやってきたと思うのですが、これからそれだけでいいのかという気はしております。このまま行けば、60から65に単純に勤務を延長するとなると、いままでの賃金カーブをそのまま延ばしたのでは、もちろんコスト倒れになっていくわけで、日本の生産性に合った処遇というのも必要です。
 そこの工夫はもちろん必要なわけですが、そういう賃金カーブの問題について、政府は単に消極的にものを言うだけでいいかどうかということについては、これはいろいろご議論があると思うのですが、高齢者雇用という観点から人事・処遇管理というものについて、公的にもいろいろご意見を聞いて発言することが必要ではないか。そういう時代にもなってきているのではないか。別にそういうことを決めているわけではないですが、そういう感想というか意識も持っていて、仮にこれから法律改正というのを実現すれば、もちろんこれはご意見を聞きながらですけれども、高齢者雇用の指針という中でも、そういったところについてある程度、世の中の意見喚起ということも必要ではないかと思っています。もちろん、特に安定局として決めたという話ではないのですが、いまそんな感じがします。

○事務局:
 ワークシェアリングの話が出まして、いま答えさせていただいたのですが、委員がおっしゃるように、ビジョン研究会の中で、短時間雇用等の議論がそんなにたくさん出たわけではありません。ビジョン研究会の本体の13頁の「高齢者の多様な雇用・就業機会の確保」という所で、短時間や短期間の就業をはじめとする多様な雇用就業ニーズに対応すべきだと、こういうことです。短時間雇用、あるいはワークシェアリングと言ってもいろいろな形があって、先ほど言いましたように、一定の枠の中で話を文章としてまとめるのがなかなか難しかったという事情があろうかと思いますが、いずれにしても短時間雇用というのはこれから拡大するであろうという基本認識は、皆さん一致していたのではないかと思います。そういった中で、需要と供給のマッチングというか、そういったところの機能なんかも強化していく必要があるのではないかということがこのビジョン研究会の中では触れられた、ということだけ一言申し上げておきます。

○委員:
 基本的にはいいのですが、確かに労働力年齢が引き上がってきているということもあろうかと思うのですが、実際に現場で65歳までの雇用とか、60歳台前半層の雇用、継続雇用とかいうような形で、いろいろ労使で取り組んだことがあるのです。そういう中で感じましたのは、いままで60歳が職場、現場の中にいる。そこに新しく、そういう人と違う特性を持った人が存在をしてくるということが、やはり大きな問題として出てくるわけです。高齢者の特性として、腕力が落ちてくるとか、視力が落ちてくるとか、そういう人が現場の中で一緒に仕事をするということになってきますと、そういったマイナスの特性をカバーするようなものが、職場環境の改善というような形で、どうしても必要になってくる。そうしますと、企業としてはそれにコストがかかるわけで、そのコストを追加して、なおかつその人たちに働いていただいてメリットがあるのかどうかということが、企業の中では大きな問題になってくるということ。
 いま企業の中では、そういったマイナスの特性をカバーする、いろいろな器具とか、そういったものを研究開発していると思うのです。それをただ1つの企業の中でしまってしまうのではなしに、何か発表会をやって、こういう器具が有効であるというようなことがあってもいいのではないか。例えば、屈んで仕事をする。それは、作業台のようなものを置いたら、もっと楽になる。ちょっと重たいものを、簡単なフッカーのようなもので移動することが可能になってくる。あるいは視力が衰えて、ゲージを見るのが見にくい。ちょっとした改善でそれをデジタル化して、大きな数字でポンと出てくるというような器具なんかも出ているわけです。
 そういったものを見ることによって、自信を持って働き続けることが可能になったというような、いろいろな事例がありますので、そういう個々の企業が持っている事例を、もっとオープンに発表するような場があってもいいのではないか。そういったものと併せて、65歳の雇用継続なり、定年延長なり、働き続けることができるような環境整備というものをやっていく必要がある。そういったところにも視点を当てた論議が必要ではないかと思います。

○事務局:
 おっしゃることは、全くそのとおりだと思います。いまおっしゃるように、65歳までの雇用確保と言ったときに、実際に企業の場で職場が開発されなければ絵に描いた餅になるわけです。そういった部分で、労使、政府の努力というのが必要になるというのが、基本的な考え方として背景にあると思います。
 具体的にいろいろな企業の努力というのが進んでいるというのも、それもそのとおりだと思います。実は、これは10年ぐらい前からですが、高年齢者雇用開発協会という所がありまして、そこで個々の企業と共同研究というのをやっております。そういった中で、具体的な職場づくりというか、いまおっしゃいました職場の環境の改善とか、あるいは高齢者に適した賃金・人事・労務管理のあり方とか、そういった共同研究をやって、その成果を社会の共有のものにしようと、こういうことで100件近くいままでやってきたことがあります。いま、そういった事例を皆が使えるようなデータベース化するということも検討しておりまして、近々にインターネットにそういうものを載せようということです。いずれにしても、そういった側面で企業の動きもかなり強まっているように思いますし、またいろいろな具体的事例が出てくると思います。それぞれの企業にとって企業秘密という部分がありますので、なかなか具体的に企業としては外に出したくない部分等々もあるので、難しい部分もあるのですが、そういったことは我々も努力をして、なるべくそういう好事例が外に出るようにしていきたい。今回の経済新生対策の中でも、「高齢化」というのが1つのテーマになっておりまして、そういった中で、高齢者雇用について、いまおっしゃったような研究も強めていきたい、ということで考えております。

○委員:
 ビジョンのほうは今後10年間ということで、そういう面ではいろいろな課題について、指摘等は納得できるものです。現実に組合のほうでやっていますと、ここにもいろいろありますが、結局、老齢厚生年金の満額支給開始年齢が2001年度ですから、再来年の4月からなるということです。現実的な課題がいま突きつけられている話で、今後10年間の話よりも、2001年4月以降60になる、定年になって年金をもらえない層というのが確実に出てくるわけです。ここに出ているのはフル年金で17万で、部分年金で10万ということですが、要は7万円の年金がこれからもらえなくなるという現実があるわけです。年間80万から、いろいろ払うと100万ぐらい、足りない生活費の分をいったいどうするかというところは、もう直近の所に来ているという現実を認識する必要があるのではないか。
 特に退職者については、60歳以降これまではいわゆる自分で貯めた自助努力の部分と、それから会社のいわゆる退職金、それに厚生年金ということで、その3つでバランスをとった老後生活を送ったわけですが、そのうち年金の部分が、単純に言えば100万円収入がなくなるというわけです。その分をいったいどうするかというところでいきますと、もちろん自助努力の部分も当然あるでしょうけれども、やはり高齢者の雇用、いわゆる賃金でもらっていくということで、定年年齢の引上げなり継続雇用の制度をきちんと確立しないと、いまの消費不況は将来に対する不安という所が大きいとすると、現実的に既に年間100万円の減収が目に見えているとなると、当然、現在の消費にも結び付かないのではないか。そういう面では早急な高齢者、いわゆる60歳以降の雇用に対する強力な政策が必要ではないか、と考えています。
 加えて、私どもの組織におきましても、60歳以降の継続雇用ということで、昨年から取り組んでいます。今年の秋も、まだ確立されていない所がほとんどですけれども、やっているわけです。労使の中では、現在の経済情勢の中ですと、やはり会社から確約はなかなか取れないというような現状で、何とか2001年3月までに検討するように、継続協議というのが多くなっています。現実には企業側の論理のほうは、1つは現下の経済情勢に基づくリストラ圧力といいますか、これから人を増やさないで何とかしていく。それから、新卒も非常に雇用情勢は厳しくて絞っている部分もありますので、事実、新卒と高齢者を天秤に掛けているようなところもあるわけで、そういう面ではリストラ圧力の問題ということです。
 企業側からすると、選別の論理といいますか、会社が良いと思った人は雇用をしてもいいと。でも、我々の論理とすると、基本的には働く意欲がある方を是非、雇用してくれと、そういう制度の確立を求めるわけですが、企業側のほうは、あくまでもクレジット付きの会社が認めた者ということです。会社の認めた者ということは、その人の能力の問題もありますし、経済情勢の問題もあって、今年は1人だけど来年は5人とか、いくらでも自由が利いてしまう。我々労働者の立場からすると、非常に不安定な将来にならざるを得ないということで、もちろん経済とかいろいろありますけれども、その2つの所が実際の労使交渉の場でデッドロックに乗り上げるところが多い。何とか継続交渉に持ち込んで、もう1年ぐらい経済環境の好転とかを狙ってやっているのですが、現実の労使関係の場ではそういう状況もあるということを認識されたうえで、高齢者雇用安定等に関する法律等の改正も含めてご検討されるということであれば、より強力な対応も必要です。2001年1月には省庁の再編もありまして、いわゆる厚生省の年金の部分と就業の雇用の問題が、1つの省庁となって一元化されるわけですので、是非そういうことも視点に置いた積極的な検討をお願いしたいと思います。

○委員:
 経団連でも最近、雇用労働問題というのを勉強しておりまして、10月にちょっとした提言も出しております。その考え方は、いま労働省のほうからいろいろご説明がありました基本計画とか、そういった考えとほとんど軌を一にしているわけです。高齢者というのは、意欲と能力がある限りにおいて、65歳ぐらいまでは大いに働けるようにしようということは大賛成というか、そういうふうにしていかなければならないと、経団連としても考えております。
 中長期的に考えると、少子・高齢化で必要な労働力も確保できないおそれがあるということで、やはり中長期的には高齢者の活用、あるいは女性にももっと活躍していただくということが必要なわけです。短期的には、ただいまお話がありましたように大変な長期不況で、企業もリストラをしたくてしているわけではなくて、やむを得ずやっているのだろうと思うのです。
 一昨日も、文部大臣が経団連会長の所へお見えになりまして、新卒の採用をやってくれというお話で、新卒の採用は去年よりも非常に厳しい状況にあるというわけなのです。企業としては、現在働いている人は何とか雇用を継続してやろうとなると、やはり新卒抑制というのが直接的にはいちばん摩擦の少ないやり方になってしまうので、どうしてもそういうほうへ行ってしまう。そうすると、折角の貴重な若年労働力という者が、働きたいのに就職できないということになってしまうのです。もっとも最近は、就職をしても3年間で3割ぐらいの人が替わってしまうそうです。それはまた別問題として、そういう状況なので、高齢者の活用というのは、短期的には若年労働力の採用の問題というのと絡めて、なかなか難しい問題かという気がしております。
 なお、個人的な感想を申し上げれば、大体60ぐらいまで働いたら、あとは遊んでいても、のんびりと余生を過ごせるのが理想かと思うわけです。それは、厚生年金もいろいろな事情であまりもらえなくなると、どうしても働いて、さらに稼がなくてはいけない。そうしないと生きていけないというようなことは、本当はどうも情けないという気がしております。
 余談ですが、先ほど少し労働時間の話が出ましたが、先般経団連で「欧州ミッション」というのでヨーロッパを回ってきたのです。フランスでは大統領と首相と両方に会いましたけれども、フランスの経団連というか、ベネフという組織がありまして、そこと懇談をしました。まさにいま35時間法案というのが大問題になっているようで、フランスの経済会は何とかそれをやめるように政府に働きかけているようですが、ジョスパン内閣のほうはやはりやりたいということで、いま大変微妙な段階に来ているようです。我々が行った経団連のミッションにも、そういうことをやられると日本から進出した企業も来なくなってしまうというようなことで、ひとつ日本からも外圧をかけてくれという話もありまして、外国でも難しい問題になっているのだな、という感想を持って帰ってきました。

○委員:
 1つは意見で、1つは質問です。先ほど委員のご質問等にも出ていました年齢差別禁止の問題ですが、高齢化したから差別禁止というものではないと思うのです。差別の禁止というのは、もっと高い理念というか、哲学的な意味があるものであって、高齢化していなければ差別していいのだという理屈にはならないわけですから、差別の禁止ということをもう少し広く捉えていただいて、雇用におけるあらゆる分野での差別の禁止ということを含めた議論を、これからお願いしたいと思っております。当然、これは雇用の機会を得るとか、そこで排除されないという差別だけではなくて、待遇、処遇の均等ということも絡まってくるわけです。高齢化したから、単なる年齢差別禁止法というのをつくりましょうとかいう議論ではなくて、雇用の場における差別というものをもっと理念をちゃんと持った形で検討していただきたい、というのが1つ意見です。
 そうでないと、こちらで年齢差別禁止法というのが仮にできたとしましても、使えないというか、今度は例えば性による差別はどうなのだとか、そのほか身体障害者の方とか、そういったものに対する差別はどうなのかという話がポロポロ別に出てくるわけです。そうではなくて、もっとトータルに雇用差別禁止法といったようなものを視野に置いて、検討していくことが必要ではないかと思います。
 もう1つは質問で、これは先ほどの委員のほうからのものとダブるのですが、高齢者が働くうえでの安全衛生の問題は、もう少しきめ細かくやっていただきたい。10年ぐらい前に、私の所の組合で再雇用等々で調査をしたときに、労災の発生率と年齢とどのぐらいの連関があるのだろうか、というのを調べた経緯があったのです。仮に現在の労災の発生率と年齢に有意の連関性があるとすれば、やはりこれからもっと年齢の高い層が職場に入っていくというときには、特に私ども製造業に多いわけですが、職場の安全衛生は非常に重要な問題ですので、そちらに対する調査とか研究も少しして、いろいろなデータを出していただければと思います。

○委員:
 研究会の報告書についても、労働省の対策案についても、全体的に感じることですが、これは一般論的な議論であるという印象が非常に強いわけです。現実を見ますと、男性と女性の働き方が大変大きく異なっているというのは、国際比較をしてみましても、最近では特に日本に特徴的で、ほかの先進国ではそれほどのギャップがないという実態があるわけです。ですから、そういう実態を踏まえると、中長期的な考え方においても、やはり女性の状況を考慮した対策というのが必要だと思うのです。それが議論のうえであったかどうか、その点について伺いたいのです。それから、もし研究会でそういう議論がなかったとしたら、事務局として、そういう議論が必要であるという提案はされなかったのか。その場合には、そういう認識がなかったのか、その辺も踏まえて伺いたいのです。
 こういうことを申しますのは、善意にこういうものを解釈しますと、それは男女の別なくということなのだという、非常に理想的な見解をお持ちだということなのかもしれませんが、現実にこれだけギャップがあるわけですから、そういう中立的なものだけでは不十分だ。ますます、このギャップをそのまま覆い隠してしまうような、そういう方向に行きかねないという心配がありますので、それは必要だと思います。
 国際的に見ますと、女性の地位向上とか、女性のエンパワーメントということがずっと言われてきておりまして、95年の第4回世界女性会議でも、構造綱領というのが採択されて、その中に女性の経済的なエンパワーメントということが、非常に重要な領域として入っているわけです。それに対して日本政府も、フルにコミットメントを表明しているわけです。その中で特に高齢者に関して言いますと、高齢女性の経済的な不安定、問題ということがかなり強調されているわけです。特に高齢社会という状況が見えてきますと、高齢女性の経済的な不安というのは、大変大きな問題なのです。そういう意味でも、一般論的に議論するということはやはり不十分であって、現実を踏まえた議論がどうしても必要だと思います。
 いただいた資料の中にもありますが、高齢者の就業の理由に関しても、経済的な理由で就業したいというのは男性と女性で差はありますけれども、高齢者の女性の中でも、自分の生活を維持するために必要だというのはかなり浮かび上がってきているわけです。そういう意味でも、男女の違いということを踏まえた議論というのは、ビジョンの中でも是非やるべきことなので、最初のポイントに戻りますが、そういうことが議論されたかどうか。

○委員:
 いまのご指摘は、私も同じことを思ったのです。関連質問として、資料No.3の2頁目の○の5つ目、「アクティブ・エージングの具体的な取組を考えるに当たっては、各国において女性の置かれた環境に特に留意する必要がある」というのは、これは具体的にはどういう内容の議論だったのかということをご質問したいのです。

○事務局:
 ビジョン研究会の報告書の冊子に資料編として、15頁以下、資料を添付させていただいております。この中で、資料No.1から資料No.2、資料No.3ということで、「平均余命」、あるいは「高年齢労働力の国際比較」、「性、年齢階級別労働力の国際比較」ということで、いずれも男女ということで推移を見ながら考えております。当然のことながら、女性の方々につきまして、どういう形でやるかということですが、この研究会はどうしても高齢者ということで話をさせていただいておりますので、女性労働者のおかれた、M字カーブのあり方につきましてはそこまでは行かないわけです。今後、少子・高齢化になるということの中で、どうしても高齢者の方々と、M字カーブがさらに台形になるような形で、女性労働者の方々もやはり社会のほうに参加していただくということを前提にしながら、この研究会というものはお話がなされたということで、その辺は意識して、資料等につきましても男女別にわかる部分につきましては掲げさせていただきました。ただ、報告書のほうでは男女を問わず、一般論的に掲げさせていただいておりますが、そこは意識しながらなされたということだけ、ご報告しておきます。

○事務局:
 最後の国際シンポジウムの女性の問題は全体のまとめの中に入っておりますが、実際、時間もそんなになかったものですから、会議の場では議論になったという感じではありません。ただ、特にICFT、国際自由労連という国際的な組合の代表の方の発言の中で、高齢化の問題を議論する際に、女性の問題を十分意識してやってほしい、ということがかなり強調されたということです。
 先ほど差別禁止のお話がありましたが、ビジョン研究会報告の本体の10頁に「定年制のあり方と年齢差別禁止との関係」ということで、実際この研究会で出た議論の考え方については整理させていただいております。広い観点で差別禁止のご議論をというご指摘はそのとおりなのですが、ここで問題になりましたのは、アメリカで年齢差別禁止法という法律が実際にあるということです。これについて、どういうふうに考えるのかということ。それから、一方でECでも、最近イギリス辺りでは年齢にかかわりなくやるべきではないかということで、イギリスでは具体的に、例えば公共職業安定所に求人を申し込むときには、年齢の上限を設けてはいけない、というようなガイドラインを作ったりしております。
 ヨーロッパの場合は、アメリカのように法律で禁止をするという考え方ではなくて、法律は時期尚早ということでガイドラインを作ってやっていこうというのが現状のように聞きました。日本の場合も、いままでの年功の処遇制度、あるいは定年制の現状を踏まえると、このビジョン研の報告にありましたように、アメリカ的なアプローチはまだ難しいのではないか。そういう議論のまとめです。

○委員:
 先ほど質問させていただいた趣旨は、いまの雇用差別をできるだけ禁止に近い方向に持っていっていただきたいというお願いの関連で申し上げたかったのですが、高齢女性の経済的不安というのが先ほど委員からありましたが、これは非常に深刻な問題だと思います。1つは年金の問題もありますが、寿命が平均4歳、女性のほうが長いわけです。それから、いま定年離婚とかいうのが随分ジャーナリスティックに取り上げられておりますが、たぶん男性より4歳分、女性がまだ元気でいるのに、そこで定年退職した配偶者と一緒にいることに関して、非常にいろいろな問題を抱えているという社会的な問題もあるわけです。いま、ここで議論されているのは、いままで仕事を持っていた人、既就業者に対して、高齢になっても勤務の機会を与えようというのがメインになっていると思うのです。それに関係なく、高齢者にチャンスを与えるというような意味で、例えば60歳以上の女性が、いままで働いたことがなかったのだけれども、初めて何かの仕事をする。それは家事の延長線で有効なものも、スキルとしてたくさんあるだろうと思うのです。そのようなこともできるような環境にするために、雇用差別を広い意味でなくするというようなことが、非常に重要なのではないかと思います。

○委員:
 先ほどの労働省からの説明で、来月から職業紹介事業と労働者派遣事業の原則自由化が実施されますね。その中で、高齢者の雇用促進という観点から、具体的にどういう雇用促進の場がつくられる可能性があるのか。高齢者の雇用促進という観点から見ると、この2つの法律の原則自由化の施行によって、具体的にどういうことが機能してくるのだろうか。先ほど少し関連性について説明がありましたが、それが第1点です。
 もう1つは、高齢者雇用の安定に関する法律は改定を含め検討を行うとなっていますが、予定としては来年の1月末の通常国会の中で、できれば改正案を提出していきたいというお考えなのかどうか、その2つについてご説明いただきたいのです。

○事務局:
 前半のほうの派遣法と安定法改正で、特に高齢者に焦点を当てた改正というのはないと思うのですが、派遣がいままでの委譲業務から原則自由になって、ただ期間は1年ということになったときに、これからどういう派遣が伸びるだろうかということで業界なんかもいろいろ注目した中で、例えば営業なんか、セールスの部分は派遣としてこれから非常に伸びるのではないか。ということになると、高齢者の非常に幅広い人脈といいますか、そういうものを活かした高齢者の派遣といいますか、そういう点で結果的にそういう所が伸びていくという可能性はあるのではないかと思っています。
 高齢法の改正は通常国会で是非お願いしたいと思っているのですが、その中では、私ども腹案としては、高齢者派遣についての例えば特例なども議論していただけたらどうかということは、いま内々考えているところです。

○委員:
 事務局が最後の所で説明した関連施策との一体的な見直しの中で、雇用保険の問題について若干触れられたのですが、年金の支給開始年齢の引上げ、給付率の引下げ、これと雇用保険の見直しについて、どう考えられて最終的にどうなのかというのは、まだ結論は出ていないのですが、ここのところが、もしいま考えられているような状況で行ったとすると、ダブルで効く年齢層が極めて影響が大きいのです。だから、関連施策との関係でもしやるとすれば、その辺の配慮について十分に意見を聞いたうえで、対応策を出していただきたいと思います。

○事務局:
 当然のことでありますが、いまの委員のお話のように、雇用保険について検討をしております。それから、高年齢者の雇用対策についても検討をしています。要するに考えられることは、例えば世の中のことをみんな雇用保険で解決ができないわけですし、高齢者雇用対策だけで実は高齢者の雇用対策をみんな解決できない。そういう意味で、それぞれの制度を個別に検討するに当たって、いまお話がありましたように、年金の問題とか、あるいは職業紹介なりチャンスをどういうふうに持っていくか。あらゆることを含めたうえで、雇用保険というパートではどうあるべきか。高年齢者の雇用対策という所ではどういうことができるか、あるいは職業紹介一般の中で、どういうかかわりを持つかという、少し幅広い見知からご議論が行われておりますし、私どももそういうことに対応して、いろいろな資料その他もお出ししながら、ご議論いただいているところです。

○会長:
 ただいま皆さん方からいろいろご意見を伺いました。私としては、実は60歳定年延長のときもこの雇用審議会でいろいろ発言させていただいたのですが、日本でも年金支給開始年齢が55歳から60歳にずらされたのは1954年のことで、60歳定年制はその後30年ぐらいかかって一般化しているわけです。基礎年金部分ですけれども、今回の年金法改正が通れば、報酬比例部分も2013年から3年おきに65に延ばされるということになりますから、向こう20年間に少なくとも65歳まではすべて雇用機会が保障されるシステムができないと困るわけです。私はその辺はいろいろな知恵を出し合って、アクセルを踏んでいく必要があると思っています。
 国際的なこの間のシンポジウムでもそうですけれども、日本はとりわけ高齢者の就業意欲が高くて、労働能力が大変高い高齢者が多いわけですから、この人たちを有効に活用する。先ほどもご指摘がありましたが、少子・高齢化というのは、まさに高齢者を活用しなければ動かなくなる社会ですから、私はこれから高齢者が働くことが望ましいではなくて、まさに必要不可欠な存在になっていくに違いないと思います。そういう中で、労使の方々もいろいろ努力をお願いしたいと思うわけです。
 女性の問題は、第9次雇用対策基本計画のときにもこの中で大変議論がありまして、わざわざ1節を設けて、「女性雇用対策」というのを充実させていただきました。今回のビジョン研では、それは特に節を設けていないために、どこに潜り込んでいるのかと、こういうことがわかりにくい問題もあるので、女性の高齢者の問題を少し詰めて議論していただけないのかと私は思います。
 まだいろいろ議論があるかと思いますが、このビジョン研報告を踏まえながら、一部は今回の高齢法の改正の中に盛り込まれているわけですが、こういう問題を継続的に行政としても努力をお願いしたいと、こういうことを希望してこの議題を終えたいと思いますが、何かありますか。
 なければ、次の議題に移ります。これは緊急対策ですが、今般決まりました政府の経済新対策の労働に関することについて、事務局からご説明をお願いします。

○事務局:
 先般11月11日に「経済新生対策」が決定されております。資料No.6で対策の本体を配布して、資料No.7はその中に含まれている雇用対策です。本体の9頁の4に「雇用対策」という項がありまして、大体1頁余りありますが、それの労働省の部分を少し詳しめにして、資料No.7ということでお配りしております。
 時間もないので、資料No.7の「雇用対策」の主なものについて、簡単にご説明したいと思います。1番の柱として、「中小企業の創業支援及び基盤強化を通じた雇用創出・安定対策」ということです。その中のいちばん最初の柱は、「中小企業の創業支援による雇用機会の創出」の中で、「地域の特性等を活かした中小企業の雇用機会の創出支援」というのが今回の1つの大きな目玉政策です。これは、「地域の特性等を活かして、新たに相当数の労働者を雇い入れ、良好で魅力ある雇用機会の創出を行う」ということです。成長分野、あるいは地場産業などの先導的な中小企業に対して、人材開発、労務管理等にかかる支援措置を創出するということです。別紙1に資料を付けておりますが、全国で4,000企業程度を予定しておりまして、人材開発のための高度な機材の購入、あるいは労務管理にかかる専門的な指導に要する経費というのを支援するというもので、雇入労働者数により750万円から1,500万円を支給するということです。2、3はそれぞれ、シンポジウム等の開催による意識啓発の展開、あるいは創業に必要な基礎的能力の習得を付与する機会の提供ということで、能力開発を行うといった事項が盛り込んであります。
 2番目の「中小企業の基盤強化による雇用機会の拡大と安定」ということで、第1点として、「新規・成長分野の人材確保及び雇用機会の拡大のための総合的支援策の推進」ということです。「新規・成長分野人材サービスセンター」と書いてありますが、公共職業安定施設の窓口機能と、雇用能力開発機構の都道府県センターで行っている機能を総合的に行う。求職者に対する相談、援助、あるいは能力開発といったことに対する相談を行うということです。それから、企業に対する雇用管理の支援、人材の確保といった事業を効率的に行っていこうということで、来年度に要求していたものを前倒しで実施するというものです。は中小企業に対するニーズに応じた人材の育成を推進するということで、「中小企業に求められる知識・技能・資格等を明確にしたうえでの専修学校等を活用した能力開発の推進」、「公共職業能力開発施設に人材育成コンサルタントを配置して、企業ごとの人材育成プランや具体的なカリキュラムの作成を行うといったことにより、各企業が必要とする人材育成の支援を行う」といったことを盛り込んでおります。
 2番目の大きな柱として、「21世紀人材育成戦略の推進」と書いてありますが、そのうちの2の「21世紀人材立国計画の推進」ですが、これは来年度の「経済新生特別施策」ということで要求しておりましたものの前倒しです。別紙2に詳しいことは書いてありますが、地域において産・学・官が結集して、各人の要する多様な職業経歴等に応じて、いま各地域において、どういう能力開発、教育訓練機会が必要かといったことで、地域ごとの産業の配置、地域の産業特性、人材の状況等を踏まえたうえで、教育訓練機会の開発整備を行う。それから、そういった開発整備をした教育訓練の斡旋を行うといったシステムを先導的に構築していこうというものです。特に新たな事業展開を担う人材の育成を図る中小企業、自ら新たな就業機会を創出する高齢者に対して、特別な支援を行うといったことを考えております。中小企業の場合であれば、例えば「新たな事業展開を担う高度な人材を長期間、国内外の高等教育機関等に派遣する」といったことに対する費用の助成ということです。そういったことを内容とする「21世紀人材立国計画の推進」を盛り込んでいます。それから、新裁量労働制促進のための環境整備といったことも書いてあります。
 3番目の柱として、「雇用機会の創出・就職支援対策」ということです。「地域の実情に応じた雇用の創出対策の実施」ということで、大規模なリストラの実施により、大きな影響を受ける地域における雇用創出を図るということで、「特定地域・下請企業離職者雇用創出奨励金」というものを創設するということです。これは別紙3にありますが、地域雇用に大きな影響を及ぼすと見込まれるリストラを実施する事業所の指定事業所として指定して、その所在する地域にある事業所を離職した、あるいは取引を行っている下請取引先事業所を離職した者といった労働者に、これは常用雇用だけではなくて期間雇用でもいいということで、雇用期間に応じて1カ月につき10万円、60万円を上限ということで奨励金を支給しようというものです。
 3頁目の2の「雇用機会の創出」の所は、介護労働者に対する研修を実施する、あるいは介護分野での雇用機会の創出、あるいは能力開発等支援を実施するための法改正を行う、ということを盛り込んでいます。3では、「若年者の就職支援対策」として、「新卒者をはじめとした若年者の就職支援対策」として、求人(求人情報の提供)、就職面接会開催という若年早期離転職者等の就職促進のための相談コーナーを増設といったことを盛り込んでおります。「障害者の就職支援対策」として、「障害者緊急雇用安定プロジェクト」というのを現在行っておりますが、その拡充を行っていくといったことなどを盛り込んでいます。
 IVは「早期再就職の促進とセーフティー・ネットの確立」ということで、「官民一体となった労働力需給調整機能の強化」ということです。先ほど来話題になっております、雇用保険法の改正、あるいは高齢法の改正といった内容を盛り込んでおります。
 4頁のVは、「安心して働けるゆとりある勤労者生活の実現」ということで、「財形持家融資制度の積極的な活用を図る」ということです。これは、住宅金融公庫の金利より財形貯蓄制度のほうが安いということで、そのPR、周知徹底等を行っていくということです。「長期休暇制度の導入」ということで、国民会議を開催している、確定拠出型年金の導入、こういった内容を盛り込んでいて、第2次補正予算で対応していくということです。

○会長:
 ただいまの新生策について、ご質問、ご意見はありますか。

○委員:
 別紙1、別紙3、これは基になっている法律は何かあるのですか。別紙1は労確法か何かの中でやるのかとか、そういうことなのですが、これは労確法ですか。

○事務局:
 別紙1も別紙3も、予算区分としては一般会計予算です。それで、別紙1は、もちろん委員がおっしゃいますように、中小労確法の現在のスキームがベースになっておりまして、そこからいわば少し地域のリーダーになって、地域そのものの雇用を持ち上げるところをさらに一般会計の中で少し底上げをしていく、リーダーになってもらうと、こういう仕掛けです。したがって、予算措置です。

○委員:
 別紙3のほうも、労確法が基礎になっているわけですか。

○事務局:
 別紙3は、これも予算措置で、両者とも法理念的にはどの法律がベースということはありません。いわゆる単独予算措置です。

○委員:
 3頁のいちばん上の2の最後の「所要の法改正」というのは、どのような法律の改正を想定されているのですか。

○事務局:
 雇用保険につきましても、中高年齢者の問題につきましても、それぞれ中央職業安定審議会で、介護の問題につきましても、現在、中央職業安定審議会で公・労・使の委員の皆さんで議論が行われております。

○委員:
 何の法律ですか。

○事務局:
 これは介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律です。

○委員:
 新しい法律ですか。

○事務局:
 平成4年からなので、前からあります。

○会長:
 質問があるのですが、政府でどこまで詰めるかなのです。いまの新規学卒者の就職難の問題です。これは私は教育問題が絡んでいると思うのです。だから、文部省とどういう連携をとられてやられるかです。この前、雇用審議会の第9次雇用対策基本計画でも証言しましたが、この10年ぐらい東京・神奈川は高卒無業者が就職者を上回り続けているのです。だから、殊更、今年は無業者が多くなったということだけではなくて、そのように職業選択行動がちょっと違ってきているし、学校から社会へのトランジションがどうもうまくいっていない。大変根の深い問題だと思うのです。
 そういうことで、雇用審でも議論をしましたけれども、今回の緊急対策の中でどこまで文部行政と連携プレーをとって、その辺はどうやられているのでしょうか。

○事務局:
 従来から申していた、例えば「インターンシップの実施」ということで、通産省を巻き込んで、大学だけではなくて、今年度から高校生にもそれを広げるということでやっておりますし、特に能力開発関係では文部省と連携をとっているのですが、確かにまだ非常に不足していると思うのです。たしか来年度予算ですけれども、全高校生に職業指導をするような場を設けて、全員が1回は必ず受けられる、その後のフォローアップもするというシステムを来年度予算でつくろうということで、これは例えば文部省と協力してやるという予算要求をしております。
 それから、これはJILのほうでもされると思うのですが、若年者の就職意識というか、行動というか、いま非常に離職率が高い。それから、フリーターが増えているという問題をどう考えるかというのは、私どものほうでも調査研究に取りかかりたいと思って、当然、文部省と一緒にやることになると思うのです。それぞれテーマ別なので、もう少しトータルとして、文教行政と労働行政の連携については、至急、検討しようというふうに考えています。早速、今日も午後、事務次官の下でそういう研究会をまず開こうかということを考えておりまして、もう個別テーマだけの協力では足りないのではないかという意識を、いま持っております。

○委員:
 そのときに、就職指導ということよりは、キャリアガイダンスという意味で、進学も含めた自分のキャリアのあり方をガイドするというような方向で是非、取り組んでいただきたいと思います。

○会長:
 いまJILのほうで調査を始めたのですが、私も参加してやっているのです。専修学校の学生を調べますと、大学を卒業して入ってきたのが結構いるのです。

○委員:
 いまダブル・スクールが5%あります。

○会長:
 いわば寄り道してしまっているのです。その辺は進路指導がえらく影響していると私は思います。
 もう1つ、ものづくり産業の人材養成をどうするかというのを考えなければ駄目だと思うのです。何でもかんでも大学・短大へというような世の中ではないので、その辺をいったいどのように高校教育の中で取り入れていくかというのは、私はかなり重要だと思っています。
 いま景気が上向きつつありますけれども、まだまだ雇用対策が重要な問題であることは窺われますから、絶えず気配りしながら、行政にもいろいろお願いしていきたいと思います。よろしくお願いします。今日はここで会議を閉じたいと思います。本日の議事録署名委員は、小野委員と尾原委員にお願いいたします。それでは、どうもありがとうございました。


(注)  本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、大臣官房政策調査部総合政策課 03-3593-1211(代)までお願いします。



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