| 1日時 | 平成11年7月8日(木) 10:00〜12:00 | |
| 2場所 | 労働省 省議室 | |
| 3出席者 | 【委 員】 | 岩瀬孝、内田公三、大宅映子、小野旭、尾原蓉子、笹森清、高梨昌、田島優子、福岡道生の各委員 |
| 【事務局】 | 坂本政策調査部長、鳥生総合政策課長、鈴木賃金時間部長、藤井女性局長、渡邊職業安定局長、戸苅職業安定局次長、石本審議官、太田雇用政策課長、長谷川高齢・障害者対策部長、日比職業能力開発局長 | |
| 4議題 | (1)新しい雇用対策基本計画骨子案について | |
| (2)その他 | ||
| 5議事 | ||
○会 長:
これより雇用審議会の今年度2回目の総会を開催いたします。前回の総会でお認め願った検討小委員会において、2回にわたり検討してきました第9次雇用対策基本計画の骨子案、今日はそれの中間段階ですが、これをご検討いただきたいと思います。
なお、先日、経済審議会から「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針について」の答申が出されておりますので、最初に経済審議会の答申についてご説明いただいた上で、第9次雇用対策基本計画の骨子案について事務局より説明をいただいて議論したいと思います。
○事務局:
経済審議会の答申は7月5日に出されまして、お手元の資料No.1「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」ということで配付いたしております。時間の関係もありますので、当審議会での議論に関連が深いと思われる事項を中心に簡単に概要をご説明したいと思います。
構成ですけれども、目次にありますように、序章で「知恵の時代へ」ということで大筋の考え方を整理いたしております。その後、第一部で、今回の政策方針策定の意義、基本的役割といったようなことをまとめました。第二部で、21世紀初頭、2010年を目処とした「経済社会のあるべき姿」ということで、「多様な知恵の社会」、「少子・高齢社会、人口減少社会への備え」、「環境と調和」等々、あるべき姿について述べる。第三部で、「経済新生の政策方針」ということで、それに向けての基本的な方針を述べる。そういう構成になっております。
15頁です。一部の3章で、「『経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針』の基本的役割とその実行」ということです。その第1節のところの一番最初のパラグラフですが、「基本的役割」として、第1は、「21世紀初頭の日本の経済社会のあるべき姿について、選択の方向を明らかにすること」。第2に、「今後10年程度にわたって政府が行うべき経済運営の基本方向・課題を定めるとともに、重点となる政策目標と政策手段を明らかにすること」。第3に、「家計や企業の活動のガイドラインを示す」といったことを挙げております。その実行、具体化ということを検討していくということで、毎年のフォローアップ等も行っていく、といったことが述べてあります。
次の16頁以降、第二部「経済社会のあるべき姿」ということで、その展望というか、あるべき姿について具体的に述べております。前文の所にありますが、21世紀、「グローバリゼーションという条件の下で、次の三つの課題に応えた経済社会」ということで、第一、「規格大量生産型の経済社会体制から、多様な知恵の時代に相応しい経済社会へと脱皮」。第二は、「高齢社会・人口減少社会に備えた仕組みに変革し、生産性を高め活力を維持する」。第三として、「顕在化している環境制約を克服し、環境と調和した経済社会を構築していく」ということを挙げております。
その下の真ん中のパラグラフですけれども、「自己責任原則のもとに個々人が夢に挑戦できるより大きな自由と、しっかりした安全ネットを備えたシステムが必要である。また、『公』のことは官に任せればよいとの風潮を廃し、個々人が地域コミュニティー、NPOなどを通じて『公』の問題に取り組む」ということを挙げております。
第1章ですが、「多様な知恵の社会」ということです。第1節で、「経済活動の自由が備わり多様性と独創性が発揮される社会」ということです。17頁の第3パラグラフ、「多様な知恵の社会においては、これまでの横並び的発想とは違った発想が必要である」ということで、「外国人、外国文化との交流がそのための有効な手段となり得る」と。「専門的・技術的分野の外国人労働者や、外国人研究者及び外国人留学生の受入れが積極化している」ということです。
第2節ですが、「個々人が『夢』に挑戦できる社会」ということです。下から9行目辺りですが、「挑戦とそれに伴うりスクに相応する報酬は正当な評価であり、それによる格差は是認される。また、その前提として、すべての人に対して公正な機会が与えられる」ということで、「失敗した場合の最低限の安全ネットと再挑戦の可能性が確保されている」社会ということです。
18頁ですが、第3節で「性別にとらわれない社会」ということです。「性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮することができるようになる」ということで、「『男は仕事、女は家庭』といった性別による固定的な役割分担意識が払拭されるとともに、女性の多様なライフスタイルの選択を困難にしている社会制度等の見直しも進む」と。
これは、「雇用の分野においても、性別に関わらず、充実した職業生活を送ることができるような環境整備が進む」。
第4節、「多様な個人の帰属先」ということです。「会社中心主義の典型である職場単属主義は是正され、多種多様な帰属先が存在する」社会になるべきであるとしております。
20頁にまいります。第7節ですが、「人材の育成」というところです。ここでは「教育についての選択の幅が拡がる」ということ。「社会人の学習機会が大幅に拡充されるとともに、職業能力開発や職業能力評価の充実に努めること等を通じて、技術や技能と知恵の融合を図り、知恵の時代を担う人材が育成される」ということとしております。
第2章は、「少子・高齢社会、人口減少社会への備え」ということです。
21頁です。第1節、第2節は人口の減少を補って生産性の上昇によって経済成長を維持することが重要であるといったこと。長期的に人口減少という事態に陥らないことが望ましい、ということを述べております。
第3節で、「年齢にとらわれない社会」ということで、「年齢にとらわれず、個々の意欲、能力等に応じて選択することが可能になる」社会ということで、22頁の第2パラグラフにおきまして、「高齢期においても働き方の多様化・柔軟化や労働時間の短縮等によって希望に応じて職業生活を継続することができる一方、会社を早期に退職して、地域やNPO等の活動に従事することもできる」こと。個人のキャリアにおいて、さまざまな働き方を選択することができること。そういう社会であるとしております。
第4節として「職業生活と家庭生活が両立しうる社会」ということで、「働き方の多様化、柔軟化や労働時間の短縮、子育て・介護サービスの整備等によって、男女ともに職業生活と家庭生活の両立が可能となる」社会になる。「出産や育児・介護により一時的に休業した労働者が、本人の希望次第でハンディキャップなしで復職したり、育児・介護を行いながら就業を継続することができるような環境整備が進む」としております。
以上が、第二部の「あるべき姿」の中の関連が深いと思われる論点でございます。
第三部、27頁以降で「経済新生の政策方針」ということで、今後の政策方針を示しております。第1章「多様な知恵の社会の形成」の中の2番、「魅力ある事業環境の整備」という所の前文で「国内的にも創業・起業がしやすく、また失敗した場合でも再挑戦のできる環境を整備することが必要である」としております。そのいちばん下のパラグラフの「創業・起業の促進」のところに、「リスクに見合った高い報酬が可能となる環境を実現する」。
その下のカ)の所ですが、「創業・起業予備軍の層を厚くするため、産業界と学校との人的交流の一層の促進、インターンシップの促進等を通じ、起業家精神醸成に向けた教育を実施する」といったことが盛り込まれております。
次の29頁ですが、3番で「個人がより自由に選択したり挑戦できる環境の整備」ということで、ア)の所で「長期継続雇用等特定の雇用システムを有利とする制度や、自らの希望による労働移動に抑制的な制度を、中立的なものに見直す」ということ。「労働者派遣事業及び職業紹介事業に関する規制改革、企業年金のポータブル化」といったことで「労働移動に対応した外部労働市場の整備を図る」。
「自立した個人が主体的に仕事に向かい、そうした働き方を通じて自己実現を目指したり、創造的な能力が発揮できるよう、労働基準法による裁量労働制の的確かつ効果的な活用を進める」。
「個人の幅広い能力開発の取組を支援するため、教育訓練給付制度の対象範囲拡大等による、能力開発に必要な費用面への支援。」「多様な休暇制度の導入や労働時間の弾力化に向けての企業の取り組みへの支援を通じて、能力開発に必要な時間への支援」を挙げております。
「個人の意欲や能力による公正な評価、適正な処遇を受けることができるよう」ということで、「男女共同参画社会形成の形成の促進に関する取組み」、あるいは「雇用の分野における性差別禁止に向けての取組みを推進」を盛り込んでおります。
第2節で、「多様な人材の育成と科学技術の振興」の中で、1番の「教育の充実」の中で「知育偏重から創造性や豊かな感性を育むことを重視した教育へ移行」ということ、「特色ある教育の推進」ということで何点か盛り込んでおります。
30頁の2番の所ですが「外国人労働者の受入れによる多様性と活力の確保」というところですが、多様な知恵の時代ということで、「多様で異質な才能の積極的活用や創造的な発想に基づく経済活動の拡大が不可欠」ということで、「専門的・技術的分野の外国人労働者の受入れを積極的に進めるための具体的方策等を検討し、推進する」と。次の「なお」以下ですが、「いわゆる単純労働者の受入れについては、日本の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼす」といったこと等から、「国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠である」ということを盛り込んでおります。
(1)で「専門的・技術的分野の外国人労働者の積極的な受入れ」ということで、下から3行目以下、「専門的・技術的分野の労働者の受入れをより積極的に進めるための方策を推進する」ということで、「内外の人材にとって魅力の高い就労・生活環境をつくる。また、留学生宿舎の整備等支援策の充実」といったことを盛り込んでおります。
31頁の(2)の所で、「経済社会の状況変化への対応」ということで、「在留資格及び在留資格に関する審査基準によって規定される外国人労働者を受け入れる範囲については、今後も日本の経済社会の状況変化に対応して見直していくことが必要」としております。その場合に、「日本の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案しつつ、雇用情勢の悪化など日本の労働市場の状況を反映して的確かつ機動的に入国者数の調節ができるような受入れのあり方についても検討する」とされています。
35頁ですが、第2章の「少子・高齢社会、人口減少社会への備え」ということです。36頁の第2節、「年齢にとらわれない経済社会」ということで、「向こう10年間のうちに厚生年金の支給開始年齢の引上げが開始され、最終的に65歳からの支給という状況になる場合には、当面60歳台前半層の雇用機会の創出は最重要課題である」ということで、「65歳まで希望者全員が雇用される継続雇用制度の普及、促進を図る」。
その次のパラグラフですが、「労働力が高齢化すれば、年功的な賃金・処遇制度を前提としたこれまでの雇用システムの維持は困難」となるということで、「高齢者の意欲と能力を活かせる雇用システムに変更していくことが必要」としております。その下の、「なお」以降ですけれども、「定年制については、定年年齢になれば、意欲と能力にかかわらず雇用契約を終了させるという側面を持つ一方で、その年齢までは概ね雇用が保障されるという制度であり、年功序列型の給与体系や昇進システムとも密接な関係がある」ということで、「今後、個人の能力、貢献度に応じた賃金・処遇制度の普及状況等を踏まえながら、高齢者の雇用促進の観点から、年齢差別禁止という考え方について、定年制と比較し、検討していくことが求められる」としております。
38頁ですが、第5節の「少子化への対応」という所です。ア)以下ですが、「固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正」、「仕事と育児の両立が容易となる多様な働き方の推進」、あるいは「働き続けることのできる環境整備」といったこと。「再就職できる開かれた労働市場の実現」、あるいは「労働時間1,800時間の達成・定着」といったこと等を盛り込んでおります。
51頁の第6章です。「回復軌道へ向けての政策課題と新しい成長の姿」ということで、第1節、「回復軌道に向けての政策課題」ということです。1番は現状の記述ですが、2番で「回復軌道へ向けての政策課題」ということで、52頁のところでございます。現在の日本経済の回復軌道においてのリスクが5つほど挙げられております。1つは、「厳しい企業経営や雇用情勢を反映して、家計所得の改善が遅れるとともに、将来の雇用及び所得に対する不安から消費マインドが低迷する」こと。53頁にまいりまして、以下、数点が挙げられておりますが、第四の「厳しい企業のリストラが、解雇等までに及んだ場合、これまでの日本企業の強みであった良好な労使の協調関係を損ない、対立関係を生み出すリスクがある」といったことが挙げられております。
こうした回復のリスクの影響を防ぎながら、「中長期的に日本の経済社会のあるべき姿の実現を念頭においた政策方針と整合的」に対策をとっていくべきとしておりまして、真ん中よりも下の2パラグラフ目ですが、第一は「財政・金融面からの適切な対応」。第二は、「現下の厳しい雇用情勢に対応するために雇用対策が極めて重要」ということで、「新しい雇用の受け皿を積極的に創出」すると。「労働市場の需給調整機能を強化することや、職業能力開発、職業能力評価を充実することを通じて、労働力の有効利用を促進」といったことが盛り込まれております。いちばん最後の行で、「また」以下ですが、「雇用の維持・安定に向けた対策については、景気の変動等による一時的な雇用調整への対応を重点的に行う」ということにしています。
第2節で、「新しい成長軌道におけるマクロ経済の姿」といたしまして、「実質経済成長率はバブル崩壊前のような高い率を中長期的に期待することはできない」ことですけれども、「成長率に対する労働の寄与があまり見込めない」という中で、「生産性向上が全体を牽引する形での経済成長の姿が実現する」。
雇用につきましては、その真ん中よりも少し下の所ですが、「内外での競争激化の中で産業構造の変化が速まり、産業・職業間のミスマッチが拡大する」。あるいは、「若年層における自発的離職失業の傾向的な増加の可能性がある」。あるいは、「年齢間のミスマッチが拡大する可能性がある」といったこと等、「完全失業率を高める要因が多い」。そういう中で、「適切な経済運営や労働力需給のミスマッチ解消、職業生涯を通じた職業能力開発、職業能力評価の充実に努めること等により、完全失業率をできる限り低くするよう努める必要がある」ということとされております。
以上が本体のほうの政策方針の関連部分等ですけれども、「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針−参考資料−」というものをお配りしております。これは2010年ごろまでの経済について展望をするとともに、そのころに実現するであろう国民生活の姿を具体的に参考として示したものですが、その中の1頁、「経済の展望」の所で「経済成長率」につきましては「1%程度の資本の寄与、若干マイナスの労働の寄与、1%強の技術進歩の寄与の合計で、年2%程度の成長率になる」と見込んでおります。
次の2頁目の第3節の「失業率」の所で、「産業・職業のミスマッチが拡大するとみられるなど、完全失業率を高める要因が多い。こうした中、2010年頃の完全失業率は3%台後半〜4%台前半と見込まれるが、適切な経済運営に努めるとともに、新規雇用機会の創出、職業能力開発や職業能力評価の充実、労働力需給の調整機能の強化を図ること等により、できる限り低くするよう努める必要があるとされております。
以下、国民生活の姿を具体的に描いたものを参考として添付していますけれども、説明は省略させていただきます。
○会 長:
引き続き、基本計画をお願いします。
○事務局:
資料No.2で「雇用対策基本計画(骨子案)」につきましてご説明申し上げます。前回の総会の後、小委員会を開催しましてご議論をいただきまして、その意見を踏まえて作成したものです。全体としましては3部構成になっておりまして、Iが「計画の基本的考え方」、IIが「雇用の動向と問題点」、IIIが「雇用対策の基本的事項」ということです。I、IIにつきましては総論的な部分、分析的な部分ですので、文章である程度書き込みをしました。IIIの「基本的事項」の部分は骨子ということで項目を書いております。
この構成は、前回の計画に倣っておりますが、基本的に雇用対策法の中でどういうことを計画の中に定めるかということが決まっておりまして、雇用の動向に関する事項あるいは政策の基本となるべき事項を記載せよ、というような法律がありますので、それに沿って3部構成で整理したものです。
全体としましては、「計画の基本的考え方」の中で、「計画の課題」と「計画の期間」、2つ目の「雇用の動向と問題点」で「最近の特徴」と「今後の雇用動向と問題点」、3番目で「雇用対策の基本的事項」ということで、「雇用の創出と安定」、以下9項目の事項を記載しているところでございます。
1頁からが骨子案の内容です。最初に、「計画の基本的考え方」というところで、総論的な部分を記載しております。この10年の課題、あるいは現在の課題、計画の役割、計画の重点という、こういう総論的な部分を記載させていただいております。この21世紀初頭の10年間ですけれども、1つは、初めて労働力人口が減少する時代が来るということです。グローバル化、情報化等々で経済・産業構造が大きく転換する時期というふうに見通しております。
こういう中での雇用労働問題の課題ですけれども、2段落目です。1つは、適切な経済運営によって良好な雇用機会の創出・確保を図るということ。労働力需給のミスマッチの拡大が懸念されますので、それを抑制するために能力開発、失業なき労働移動、需給調整機能の強化、高齢者対策、若年者雇用対策などが大きな課題になってくるということです。
さらには、少子・高齢化の進展、女性労働者の増加、若年層を中心とした勤労者の意識の多様化等に対応して、個人が主体的に多様な働き方を選択でき、安心して働ける社会をつくっていくことが重要であるという基本的考え方です。
現在の状況ですけれども、かつてない厳しい状況にあるわけですけれども、政府としては、いま申し上げました21世紀初頭の10年間に向けた諸課題に取り組むとともに、現在の課題に対しましても、経済の回復、雇用の改善を早期に実現し、国民の雇用や生活に対する不安の払拭に努めなければならない、ということでございます。そのための対策を、政府を挙げて迅速かつ効果的に実施するということです。いわば、この10年の課題と現在の課題と両方に対応することが必要である、ということです。
次に、中ほどですが、「計画の役割」です。これは、その課題と雇用の動向と問題点、対策の基本的事項を示しまして、この10年間程度の政策目標と政策手段を明らかにするということです。今後、政府は、雇用問題が今まで以上に大きな広がりを持つということですので、関連諸施策と緊密な連携をとりながら目標の達成を目指していく、ということです。
「計画の重点」ですが、後ほども出てまいりますけれども、基本的に4点ということで、第1は、「経済・産業構造の転換に的確に対応して、雇用の創出・安定を図ること」。第2が、「個々人のエンプロイアビリティを向上させるとともに経済社会の発展を担う人材育成を推進すること」。第3が、「人々の意欲と能力が活かされる社会の実現を目指すこと」。第4は、「国際的視野に立って雇用対策を展開していくこと」。これが、いわば、課題なり重点という総論部分です。
具体的に「計画の課題」というところでして、ここは労働市場の変化を踏まえて計画の課題と目標について記載をしております。まず「需給の変化」で、「需要面の変化」が5点ほどあります。1点は「経済成長」ということです。これは「経済計画」のほうにもこのような記載がありますけれども、今までのような高成長は期待できないと。特に、労働力人口の伸びが鈍化し、2005年頃を境に減少に転じるということで、成長率に対する労働力供給の寄与は見込めなくなるということで、効率性を高めて生産性向上が全体を牽引する形で新しい経済成長の姿になっていくであろうということです。
2点目は、「経済産業構造の転換」ということで、特に情報化が経済・社会全体あらゆる面で大きな影響をもたらすということ。情報化以外にも、医療・福祉とか生活文化、流通・物流、環境関連などの分野の発展によって、全体として産業構造はサービス業、3次産業にウェイトが移っていく。当然ながら、これらの動きというのは労働力需要へ大きな影響をもたらすと。プラスマイナスあるわけですけれども、新技術とか産業にかかわる専門的・技術的職業従事者など、良好な雇用・就業機会を生み出す側面も持っている。一方で、当然、効率化によって雇用機会を減少させる側面もあるということです。
3点目は、「グローバル化」の問題でございまして、これが我が国産業構造を大きく変化させるということです。当然、外資企業も増えてまいりますので、その面の雇用創出もありますし、人事・労務管理諸制度にも大きな影響を与える。外国人も全体としては数が増えてくる、ということです。
4点目は、「経済構造改革等による豊かな国民生活の実現、雇用・就業機会の増大」ということで、経済構造改革等によって高コスト構造を改善することによって、豊かな国民生活が実現する。一方で、雇用・就業機会の増大も期待されるということです。
「産業競争力強化策と雇用面への影響」ということで、特にサプライサイド、経済の供給面に対しての強化、産業の競争力の強化ということが課題になっているわけですけれども、その際には労使が十分に話し合って協力することによって、産業の競争力を進めること。また、政府も雇用面への影響を把握して的確な対応に努めることが重要であるということです。以上が需要面の変化です。
第2は、「供給面の変化」です。これは、前回報告した雇用政策研究会の報告書の基本的な考え方に基づいているものです。4点あります。1点目は、「少子・高齢化の進展」ということで、特に21世紀初頭には労働力人口の約5人に1人が60歳以上の高齢者ということですので、今後とも経済社会の活力を維持、発展させていくためには、高齢者の高い就業意欲が活かされ、その有する能力が十分に発揮されることが必要不可欠となるということです。
それから、「女性労働者の増加」ということです。全体に労働力が上昇してきているわけですし、これからも意欲の高まりによってさらに上昇していくことが見込まれるわけですけれども、いろいろな面で課題があるということですので、職業生活と家庭生活との両立を支援、あるいは、育児とか介護後の再就職の際にも良好な就業機会を確保できるような環境整備を図ることが今後の重要な課題であるということです。
3点目は、「若年層を中心とした勤労者意識の多様化」ということで、若年層の意識、転職の希望の考え方、あるいは働き方ということも相まって、非常に意識が変化してきているということがあります。こういうことは、構造的・摩擦的要因による失業の増大をもたらす可能性がありまして、若年者に対する総合的な雇用対策の必要性が高まっているということです。後ほどまた出てまいりますけれども、特にこの辺は小委員会でも問題意識の高い部分でもあります。
「外国人労働者の動向」。全般に、専門的・技術的分野を有する方、あるいは技能実習で入ってきた方、不法就労等も含めて、かなり増えてきている。今後も増えることが見込まれるということです。
以上が需給両面の変化で、これを踏まえて「計画の課題と目標」ということです。労働市場は、いま申し上げました構造変化があるわけで、それに対応してどういう雇用対策を実施していくことが必要であるか。大きく2点、1つは「積極的な雇用の創出・安定」。2つ目は、「全ての人々が意欲と能力に応じて働くことのできる社会の実現」ということで整理をしております。
第一点目は、「積極的に雇用の創出・安定を図る必要がある」ということです。当然ながら、雇用の創出・安定というのは、国政上の最重要課題でありまして、雇用の創出・安定なくして経済や社会の安定を図ることは困難であるということです。
こういう基本認識の下で、これからグローバル化、産業構造の転換によって失われる雇用というのが、量あるいは範囲が、従来以上に拡大するのではないかということです。これを上回る良好な雇用機会をつくっていくことが必要であるということです。このため、政府全体で支援を行って、民間の活力を活かして一層の雇用機会の創出が図られるようにしていくことが必要であるということです。当然、新しい雇用ができますので、そこへ円滑に労働移動ができるための環境整備も重要であるということです。
また、構造変化が進む過程では、景気の変動の振幅の拡大とか長期化が生じ易くなるということで、適切な経済運営が一層重要になるということです。財政・金融政策を機動的に講じてマクロ経済の安定化に努める。景気対策や雇用対策を迅速に実施し、雇用の改善を図ることも必要であると。当然ながら、社会資本の整備も、雇用の創出・確保の観点からも重要であるということです。
最後は、なお書きの部分ですけれども、最近特にリストラとか人員削減を発表する企業が、企業全体として評価されるという風潮が出てきているわけです。企業が安易な雇用調整を行わないで、雇用創出・確保することが企業の社会的責務であります。また、企業にとりましても、長期的な観点から人材の確保・育成を図ることは、その生産性の向上、あるいは安定的な発展に資するということで、今後は企業について社会全体から評価されるあり方について共通の認識をつくっていくことが必要ではないかということです。
第二ですけれども、「女性や高齢者、障害者なども含めて、全ての人々が意欲と能力に応じて働くことのできる社会の実現を目指す」ということです。勤労者の意識が多様化していく中で、自己選択・自己責任の下に、個々人が主体的に行動できる社会を目指すということですが、その中で意識や希望の変化に応じた多様な選択肢のある社会をつくっていくことが必要ではないかということです。
そういう中で、セイフティ・ネットですが、この言葉の定義の問題もありますけれども、単に最低限の生活を確保するということではなくて、人々の再挑戦しようという意欲をもう少し積極的に支えるような、そういうセイフティ・ネットを構築していくことも重要ではないかということです。
また、雇用だけではなくて、就業も含めて多様な働き方が今後増加していくことが見込まれるわけです。働く人の権利を守る環境の整備を図るとともに、働き方の多様性を認めあうような社会をつくることも必要であるということです。
そういう中での「計画の課題」ですが、「労働市場の構造変化に的確に対応して、積極的に雇用の創出・安定を図り、人々の意欲と能力が活かされる社会の実現を目指すこと」、これが計画の課題ではないかということです。
「計画の目標」です。この辺も、先ほど説明申し上げました新しい経済の方針との整合性を考慮していますけれども、「適切な経済運営に努めるとともに、新規雇用機会の創出、能力開発や能力評価の充実、労働力需給の調整機能の強化を図ること等により、完全失業率については、できる限り低くするように努める必要がある」ということです。
「計画の期間」、これも整合性をとっておりますけれども、平成11年から21世紀初頭までの10年間程度ということです。以上が計画の基本的な考え方です。
次が2つ目の柱で、「雇用の動向と問題点」です。1番目は、「最近の特徴」ということで、最近の経済の動向と雇用失業情勢について記載をしております。これは、説明を省略させていただきます。あと、「労働移動の動向」、「労働時間の動向」など、最近の特徴を記載しております。
8頁にまいりまして、「今後の雇用動向と問題点」です。最初は、「今後の労働力供給と就業構造等の見通し」です。この点も、基本的には前回ご報告させていただいた雇用政策研究会の報告の見通しを採用して整理しております。
「労働力人口の見通し」ですが、これは先ほど申し上げたとおり、労働力人口は2005年までは増加していきますが、それをピークに2010年までに減少していくということです。
ただ、中身が大きく変化して、若年層が大幅に減少して、高年齢層が大幅に増加するということです。女性につきましては、全体にほとんどの年齢階級で労働力率が上昇して労働市場への参入が引き続くと見込まれるわけです。
「就業者数の見通し」です。これは、「経済成長」の所でも申し上げましたけれども、全体に競争の活発化によって生産性が向上しますので、労働力需要は弱含み、あまり強くならないというふうに見込まれます。
「働き方の多様化」、いろいろな形で働き方の多様化、新しい就業形態が増加することが見込まれます。
「長期継続雇用の変化」です。基本的には、基幹的な雇用者を中心に長期継続雇用は今後も我が国における基本的な就業形態であり続けると考えられるわけですけれども、今後、労働移動が活発化し、増加するということで、働き方の多様化が進むわけですので、全労働者に占める長期継続雇用型の労働者の比率は当然低下をしていくということです。
「雇用調整システムの変化」です。いままでは、基本的には時間の問題とか配置転換、出向といった労働投入量の調整を中心に雇用調整を行ってきたわけです。今後はグローバルな競争の激化とか景気変動の振幅の拡大や長期化に対応するために、労使合意の上で賃金による調整もこれまで以上に用いられ、雇用調整がより弾力的に行われるようなシステムに変わっていくのではないかと見込まれるということです。
「今後の雇用の動向をめぐる問題点」です。3点ほどあります。1つが、「労働力需給のミスマッチの拡大」です。これは、産業間の労働力需給の不均衡、あるいは職業間、年齢間ということで、全体に産業構造の変化とか勤労者の意識の変化によりましてミスマッチは拡大傾向があるのではないか。特に施策を講じない限りは拡大していく、ということが見込まれるのではないか。
2つ目の大きな問題としまして、「若年層の失業の増加による経済社会への影響」ということです。若年層の意識の変化あるいは能力等の問題もあって、完全失業率が非常に高まってきている。これからも持続的な高まりによって、技能形成とか能力開発に重大な支障が生ずることが懸念されるのではないか。時間の経過とともに、失業者の多い年齢層、コーホートがそのまま高い年齢層へ移っていくということで、マクロレベルの労働生産性とか活力の維持など、経済や社会全体への影響が生ずる可能性があるということです。
3点目は、「経済構造改革、経済の供給面の体質強化等による雇用への影響」ということです。改革が進む中で新しい経済分野の拡大が当然出てくるわけです。既存分野における雇用機会の減少に遅れて起こるような場合、あるいは既存分野から新規分野へ労働移動が円滑に行われない場合には失業問題が顕在化する恐れがあるということ。また、質的な面でも、労働者の意に反した非正規雇用の増大とか、賃金等の労働条件の低下の懸念もあるということですので、構造改革を進めるに当たっては、その雇用に及ぼす影響にも十分注意を払いつつ、これに伴う労働移動ができる限り円滑になされるようにしていく必要があるということです。以上がIIの「雇用の動向と問題点」です。
11頁以下ですが、IIIの「雇用対策の基本的事項」ということです。ここは総論で整理しました。4つの方針を重点的に具体的施策の強力な展開を図るということです。
第1が、「経済・産業構造の転換に的確に対応して、雇用の創出・安定を図る」ということです。良好で長期的に働くことができる雇用機会の創出・確保を雇用政策の目標の基本とするということですけれども、失業した場合には再就職が早期に見付かるようにすることが最も重要であるということです。具体的には、政府全体で良好な雇用機会の創出に努めるということ。円滑に労働移動が行われるように、失業なき労働移動への支援を強化するということです。さらには、ミスマッチの解消というのも大変重要な点ですので、官民それぞれ特性機能を活かして、適切な需給調整の役割を果たすということです。また、連携、協力も行うことによって労働市場全体の需給調整機能の強化が必要であるということです。
第2は「個々人のエンプロイアビリティ(就業能力)の向上と経済社会の発展を担う人材育成を推進する」ということです。構造変化の中でミスマッチの拡大が懸念されるわけですので、エンプロイアビリティの向上を目指して、働く人が企業内部だけではなくて企業外でも通用する能力を習得できるように支援することによりまして、雇用の安定を図るということ。今後の経済社会の発展を担う高度で専門的な職業能力を有する人材を育成することが重要になってきているということです。このために、労働者一人一人が、職業紹介を通じて自発的な職業能力開発に取り組むことができるように支援していくということ。企業における能力開発が推進されるための環境整備も求められているわけです。さらには、人材の高度化とか労働移動の増加に対応するために、社会全体として能力の適切な評価を積極的に推進する必要があるということです。
第3番目の重点は「人々の意欲と能力が活かされる社会の実現」ということです。1つは、活力ある高齢社会の実現のために、全ての意欲と能力のある高齢者が65歳まで働ける仕組みを構築していくこと。あるいは、社会参加ができることが重要であるということです。性別にかかわらず、個人が主体的に職業選択を行って、能力を十分に発揮して、充実した職業生活を送ることができるようにすること。職業生活と家庭生活の両立支援、健康で安心して働ける職場の実現、多様な働き方を可能とする環境を整備することが必要であるということです。
第4番目は「国際的視野に立って雇用対策を展開していく」ということです。特に、雇用問題をはじめとして社会労働問題の解決に向けて積極的に貢献していくこと。人づくりを中心とした労働分野における国際協力を積極的に推進すること。対日投資に向けた支援。企業の海外進出に伴う問題に対して適切な対応をすることが重要であるということです。
労働力の問題ですが、新しい経済計画にもありましたような専門的・技術的分野の労働者は積極的に受け入れる。しかし、単純労働者の受入れにつきましては、十分慎重に対応するということです。
「行政体制の整備等」ということで、特に政策手法については、その効果について評価を行うということ。政策効果を評価するようなシステムを体系的につくっていくことも今後検討すべき課題である、ということです。
あとが、「基本的事項」の各論です。ここからは項目だけを整理しておりますが、全体としまして大きく9つの項目があります。1番目は、「重点的な方針」にもありました「雇用の創出と安定」ということです。(1)にあります「新規事業展開等による雇用の創出」。いろいろな面での雇用の創出を図っていくということです。(2)が、政府でも閣議決定をしております「成長分野による雇用創出」ということです。(3)が、「失業なき労働移動の支援」ということで、雇用創出がなされた新しい分野への移動の円滑化ということです。(4)は、「景気循環に対応した雇用の維持・安定対策」も重要であるということ。(5)が、これからは労働力人口が減少する時代に入りますので、そういう面での「人材確保対策」。(6)は、特に「介護分野における雇用創出・労働力確保対策」が大きな課題になっていますので、対策を進めていく。(7)が、「地域雇用対策の推進」ということです。
2番目が、「重点方針」の2番目にありました「人材育成の推進」ということです。(1)は、「労働者の自発的な職業能力開発のための環境整備」。(2)が、「企業における計画的な職業能力開発の推進」。(3)が、「能力の適正な評価」。(4)が、「高度熟練技能の維持・継承」。(5)が、「セイフティ・ネットとしての職業能力開発対策の推進」です。(6)が、「産業構造の変化に対応した教育内容の充実」ということです。
大きな3番目、「労働力需給調整機能の強化」ということです。基本的にはミスマッチの拡大が懸念されますので、ミスマッチ解消のためにもこういう需給調整機能の強化が求められているということです。(1)は、「官民一体となった労働力需給調整機能の強化」です。(2)は、「公共機関の情報提供、カウンセリング・職場体験機会提供の機能の強化」です。
4番目が、「高齢者の雇用対策の推進」ということで、「60歳台前半層の雇用機会の確保」。「高齢者の多様なニーズに応える雇用・就業機会の確保」。「高齢期に向けた社会参加の促進」というようなことです。
5番目が「若年者の雇用対策」ということで、広い意味での「学校教育も含めた若年者対策」。意識がずいぶん変化してきていますので、「若年者の職業意識啓発対策」ということで、インターンシップも含めた対策を推進すること。(3)が「新卒者、未就職卒業者、早期転職者に対する就職支援」ということです。
6番目が、「個人が主体的に働き方を選択できる社会の実現」ということです。(1)で、「男女雇用機会均等確保対策」ということです。(2)が、「仕事と育児・介護との両立支援対策」。(3)が、「多様な働き方を可能とする環境整備」ということです。
7番目が、「安心して働ける社会の実現」ということで、(1)が「個別の紛争処理対策」。(2)が、「労働条件の明確化と法定労働条件の履行確保」。(3)が、「公共機関の職業紹介」。(4)が、「雇用保険」。(5)は、「労働時間対策」。(6)が、「安全と健康確保対策」。(7)が、「中小企業労働対策」。(8)が、「勤労者福祉対策」。ということで、全体として安心して働ける社会をつくっていこうということです。
8が、「特別な配慮を必要とする人達への対応」ということです。「障害者の雇用対策」、「日雇い、ホームレス対策」、「その他」ということです。
9が「国際化への対応」ということです。(1)が「国際協力等の推進」。(2)が「外資系企業対策」。(3)が、「企業の海外進出対策」。(4)が、「外国人労働者対策」ということです。量が多かったものですから、説明が端折りがちで恐縮ですが、以上でございます。
○会 長:
ただいまの事務局にご説明いただいた件につきまして、それぞれ、どこからでも結構でございます。ご意見を承りたいと存じます。
○委 員:
特に細かい説明はなかったのですが、資料として付いています産業構造転換・雇用対策本部の決定の内容ですけれども、これは、いま政府のほうで産業再生法案として取りまとめている作業をやっている最中だと思うのです。いま回ってきている資料はまだ完全なものではないかもしれませんが、その法案の中身を見ていきますと、いまご説明のありました雇用対策基本計画のほうにかなり影響される部分があるのではないか。細かく精査しているわけではないので決め付けた言い方はできませんけれども、産業競争力会議の提言に基づいた産業再生法案の中身から言うと、サプライサイドからの観点の産業の育成強化というふうになっていると思うのです。デマンドサイドの部分が極めて欠落している、というふうに我々は見ておりまして、セイフティ・ネットがあの部分に、特に働く側の部分で張り巡らされませんと、リストラ推進法案になりかねないという危険性を持っているのではないか。これに対して労働省はどういう見方と対応をされようとしているのか、初めにその辺について考え方をお聞かせいただきたい。
○事務局:
産業再生法案自体についてはまだ協議の段階というわけではないのですが、ただいまお話がございましたように、産業再生に当たって、基本的に雇用にどういった目配りをしていくのか、そういったことは大変重要な課題ですので、どういった形で仕組めるのかについては、これから十分に協議をしていかなければいけないだろうと思っております。問題意識については、労政局のほうにもよく伝えて対応をしていきたいと思っております。
○委 員:
それと合わせて、法制審議会の中でも、新再建型の手続法案要綱、これも7月中に取りまとめるという考え方を出しています。労働省の中で、持株制度の問題とか資産譲渡、いろいろな問題について検討をしている部分もあるのですが、いまの産業再生法案と法制審議会の中で出されている部分と、両方が出てくると、企業の再構築、活性化、新たな雇用を生み出すという方向性については別に否定しないのですが、その間の中で、先ほど説明のあった、次に雇用創出ができるまでに失業を生じさせない、空白を生み出させないという部分が、実際的にはできない可能性が極めて高いということになるのです。
それの手立てを、今回の雇用基本計画が10年の見通しということになると、直近のこの再生法案とか法制審で出されている部分が実行されるのはこの2、3年ということになりますので、10年タームの計画を出していると、この部分に対してどう対応するか、ということを入れ込んでおかないと、完全に雇用ギャップを生ずることになるのだろうと思うのです。これはいまの中身の中であまり明確に入れられていないのではないか、というように受け止めるのです。もし入っていれば、入っているところを言ってください。なかったら、それに対してはどうしようとされるのか。
○事務局:
10年スパンを取っておりますけれども、1頁でご説明申し上げたとおり、2つ課題があって、今後10年間でどういう課題が生じてくるかということ。もう1つは、現在の課題があるということもあります。1頁の4段落目ですか、現在が非常に厳しい状況にあるということですので、「経済の回復、雇用の改善を早期に実現し、国民の雇用や生活に対する不安の払拭に努めなければならない」と。
「このため」ということで、「民間企業による雇用の創出と迅速な再就職の推進、国、地方公共団体による臨時応急の雇用、就業機会の創出などの緊急の雇用対策を政府を挙げて迅速かつ効果的に実施する」ということです。
この産業構造転換・雇用対策本部の決定の緊急雇用対策の部分も受けて総論的に記載しております。あと、具体的には各論部分で雇用の創出・安定、新しい雇用をつくっていくこと。失業なき労働移動への支援をやっていくこと。当然、景気循環に対した雇用の維持・安定対策、こういうことを中心に、現在の課題に対する対策も当然検討していかなければいけない課題だと思っております。
○委 員:
全ての人々が意欲と能力に応じて働くことができる、というのは実に素晴らしいことだと思いますし、私もそうしてほしいと思うのですが、個人の立場で個人が自由にするということと、国の立場で人材確保とかということとが混ざっています。片方では個人の立場で「自由よ」と言って、片方では国の立場で考えて「皆、きちんと働いてもらわないと困るのよ」というのがあっちとこっちで揺れ動いている、というのがあるような気がするのです。例えば、「若年者の雇用対策」というところを見ると、どう見ても「あなたたち、そんな勝手にフラフラやっていると駄目よ。職業というのはこういうものなのだからきちんとやらなければ駄目だ」と。どっちなのかというのが、まだ上から「安定的に就職したほうが良いですよ」と言いたいのではないかというのがチラホラと見えてくるという気がするのです。私は、意欲と能力があればどんどん良いチャンスに恵まれるよ、という言い方をしなければ駄目なのではないかなと。
この失業の所を見ましても、7頁に、非自発的理由による離職失業者が、高水準となっている」としてあるのですが、この7月の失業情勢などを見ても、非自発的理由の人のほうは減っていて、自発的理由のほうが圧倒的に増えているわけです。個人の自由を認めるのであれば、「好きじゃないから辞めるわ」とみんな辞めるわけです。本当にどっちなの、という気がするのです。もしこの数字を言うのであれば、この自発的理由で辞める人がこんなに多いというほうが特筆すべきことであって、絶対数においても自分で辞める人のほうが多いわけですから、そちらのほうを書かなければいけないと思うのです。何か、辞めさせられる人がかわいそう、という発想がまだあって、労働省としての仕事をやらねばならぬ、ということがこの辺でチラチラ見えるのです。
本当に個人の自由と意欲に任せるのであれば、どんどん辞める人が増えるのです。そういう人たちがもう一度再挑戦できるためのものは、セイフティ・ネットと言ってもいいのですが、職業訓練とか、この勤労体験プラザですが、この「勤労」と言っただけで若い人は絶対に行かないですよ。こんな所へ行くわけがないですよ。こういう面白い仕事があって、こういうことをやったらこういうところへ行けるよ、というようなものをドンと出すことが、いまいちばんやらなければいけないことなのではないか、という気がする。この両方に揺れ動いているものは、何かちょっと違うのではないかな、という気がしてしょうがない。どっちかにしたほうが良いのではないでしょうか。
○事務局:
基本的には、方向として全ての人々の意欲と能力が活かされる社会を目指すわけです。特に、若年者の部分は、雇用政策研究会なり小委員会でも非常に問題意識の強かった部分でありまして、学校教育も含めて、若年者全体の能力が非常に落ちてきているのではないかという問題と、意識が落ちてきていると。そういう中で、いわゆるフリーター現象みたいなものが非常に増えてきている。こういうものを5年、10年と積み重ねていくと、こういう若い人が社会の中堅を支えていくときに、経済・社会の活力はどうなっていくのかということが非常に議論されました。
そういう意味では、若い人の意欲と能力を喚起するような対策、これは学校教育も受けて、社会全体でやっていく必要があるのではないか。それは当然、学校教育の段階から始まって、マッチングの問題、能力開発の問題というような議論を踏まえて若年者の部分は書かせていただいているところです。
○委 員:
今はとりあえずフリーターで食えるけれども、本当に構造改革が進んでものすごく変わるわけですから、「その中では今のままだったら食えないよ」と脅さないと駄目なのではないかと私は思っているのです。何か、「皆さんの自由に好きなようにできるんですよ」と言われると、「今のままでいいんだな」と。
○事務局:
そういう意味では、自己選択だけではない、自己責任があるのだと。そこを強調していかないといけない。もう1つは、自分が選んだら最後の落とし前は自分でつけろ、ということがあると思うのです。ただ、そのときに、落とし前をつけなければいけないという事態になるかどうかということを知らずにいる若い層というのがいるわけです。
その辺りについて、自己選択が適切にできるように、適切な情報をいかに提供していくか、ということも重要でしょう。それから、自己選択の道がなるべく多くなるように、多様な選択肢を用意していく。万一失敗をしたときも、自己責任とは言いつつ、やはり、セイフティ・ネットは用意しておかないといけないだろうと。みんなが生活保護へ行ってしまう、という世界ではまずいのではないか。1回落ちても、再挑戦をして、もう一度自己選択で頑張っていこう、というような仕組みはつくらなければいけないだろうとは思っているのですけれども、その辺りが読み取りにくいとすると、もう少し文章を工夫してみるかということだろうと思います。
○委 員:
いまのことにも関係があるのですが、キャリアパスというものが見えないのがいまの若い方の問題ではないかと思います。雇用環境がこういうことで非常に大きく変わる。確かに、日本独特の長期雇用は直ぐにはなくならないだろうけれども、それがだんだんに変わっていくという視点よりは、ここでものすごく大きなパラダイムシフトがあるという考えに立たないといけないのではないかと思います。
そうすると、「皆、自由に仕事を選択しなさい」と言っても、私も繊維・ファッション関連業界の人材育成に長年携わってきているのですが、どんな職業があるかもよくわからないわけです。ですから、そのキャリアというものについて、1つは、もっと若い時点で、例えば米国ですと、私も子供を向こうで育てたのが1人いるのですが、高校時代に、世の中にどんな産業があって、どんな職業があって、というような教育を必須科目としてキャリア・オリエンテーションということを公立高校でいたします。これは、その時点で興味を持って、何か少し試みてみる、あるいはバイトでその業界へ行ってみる。それで違ったと思ったらまた変える。非常にフレキシブルなものです。そこでキャリアの方向性、一生の方向を決めるわけではないのですが、いろいろな情報と実態にイクスポーズするというか、触れさせてやるということも、文部省管轄と言わないでやらなければいけないのではないか。
もう1つは、キャリアパスということに関して、資格が明確になっているような職業はそんなに問題ないと思うのですが、これから雇用の流動性を促進しようとしたときに、あるいは先ほどのエンプロイアビリティとか、個人の意欲と能力に応じたということを考えたときに、仕事を替わることが容易にできるようにしなければいけない。
例えば、私どもの業界を見ると、いわゆるホワイトカラーは専門能力を要求されるような仕事がたくさんあるわけです。例えば、小売り業のバイヤーとか、マーチャンダイジングとか、マーケッティングとか、あるいはマネージメントもそうですけれども、それが、今まで終身雇用を前提に動いてきたために、例えばA社のバイヤーとB社のバイヤーは同じ百貨店でもやっていることが非常に違う。あるいは、企業内の人事制度が違うために、どういう能力をどのレベルで要求して、ということが企業間でまちまちであって、それが今まで公開されていなかったわけです。ですから、いまバイヤーがA社からB社に移ろうとしたときに、ものすごい不利な条件でなければ、何もないレベルからスタートするに近いようなことをしないとできないと。
したがって、このキャリアパスということに絡んでお願いできたらと思いますのは、そういった資格が明確に取れないような、だけれどもある程度の専門性や経験が要求されるような分野の職務モデルみたいなものをつくる。これは、いわゆる検定的なことでつくるとまた堅くなりすぎるのですが、業界個別の問題がたくさんあるとは思いますが、それを業界の一つのデファクト的につくっていく動きをサポートするような施策が非常に有効なのではないかと思います。
例えば、いま我々がやろうとしていますのは、ファッション・繊維関連業界で人を育てるときに「このコースを出たらこのレベルのことができるようになるよ」と言えるようにしたい。だけれども、それは業界のコンセンサスがないわけです。それをつくるところから始めなければいけない。その職務モデル、例えばバイヤーといっても、もちろん企業によって違いはありますけれども、「最低限これだけのことができなければいけない、それがバイヤーであります」と。ただ、それも第1レベル、第2レベル、第3レベルまで分けて考えられるでしょうと。最後は、利益責任まで持てるバイヤーと。そういうことを決めるとキャリアパスも明確になるし、教育機関は人材育成の方向が明確になる。企業は、それの雇用・再雇用・評価の基準になるというようなことがあると思うのです。ですから、それは何らかの形でそういうことを労働省として決めるということは非常に難しいとしても、そういう動きをサポートするようなことをしていただけると、いまのキャリアというものが、個々の企業内ではなくて一般に公になって、先ほどのキャリアパス、若い人が将来何になりたいかと思ったときに、初めにこれになって、その次にこれになって、というものも見えるようになるのではないか、ということが1点です。
もう1つは、非常につまらない小さいことなのですが、「人材育成のための再教育」といろいろ出ているのですが、教育ということがいままで文部省の枠の中で行われてきたために、例えば私どもの業界がつくった学校なのですが、大学卒業者に向けて2年間の全日制の教育をやっている学校にもかかわらず、通学定期が下りないのです。いわゆる文部省が認定した学校ではないために下りない。これはほかに外国系のアメリカンスクールとか韓国系の学校などにもそういう問題があるし、これはここの課題とは少し違いますけれども、そういう教育を促進しようとしたときに、そういうようないろいろなバリヤーを何らかの形で取っていく、というようなこともお願いできたらと思います。
○事務局:
1点目のキャリアパスの問題ですけれども、先ほどの、特に若い人を中心に非常に能力なり意欲が落ちてきている、という問題とも関連するのですが、私ども、いろいろな意味で、職業に関する情報とか体験とか、そういうものを積極的に提供していくことが必要ではないかと考えております。例えばインターンシップなども、いまは大学生でやっていますけれども、高校生も含めてもっと積極的に進めて、実際に世の中の社会はどういう仕事が動いているのか、ということを体験していただく。
先ほど、「勤労体験プラザ」というのは名前が悪いのではないかと。これは、名前は別として、この趣旨も特に若い人たちを中心に、世の中にどういう職業があってどういう働き方をしているかという、いわば、情報提供機能、そこで実際に体験をしてもらうと。それは、職業の歴史から始まって、働くことがどういう意義があるかとかも含めて、実際にどういう職業があって自分は何が良いのか、という選択肢を提供して広げていくと。それで自分のキャリアパスを見付けていく。そういう方向で考えているものでありますので、この10年を睨んだ対策でも、特に若い人を中心に職業に関する情報とか体験とか、そういうことは大変重要な課題だと思っております。
○委 員:
それは具体的にはどういう方法ですか。
○会 長:
実は、日本は、学校紹介制度で、高校の場合は安定所に求人を受理して高校に向けるわけです。高校の進路指導、就職指導担当の先生が推薦をするわけです。そのときに、学校には全くそういう産業界、職業の知識がないわけです。アメリカはもう既に開発されているのですが、職業ハンドブックというものを20年前ぐらい前に開発されているのです。今般、その改訂版をつくりまして、300職種ぐらいでCD−ROM版もつくりました。それで、高校にダイレクトメールを送ったところが、相当なオーダーが来ました。そういう情報は労働省としてもやっているわけです。そういうようにして、もう少し学校教育段階でも受験教育偏重ではなしに、職業と接近できる、また、職業情報が的確に入るようなことはやっているのが現状でありまして、もう既に1万部以上が出ています。私の研究機構がやっているものですから、自己宣伝になって恐縮ですけれども、そういうことで、新たに中学生向けのジュニア版も開発しようと努力しているところです。
○事務局:
そういう意味では、学校教育も含めた若年者対策という形で書かせていただいていますけれども、学校との連携をもっと強めて情報提供なり体験なりをやっていきたい、ということです。2点目は、能開協の。
○会 長:
2点目は、アビリティガーデンでケーススタディを相当集めています。能開局長が説明いたします。
○事務局:
職務の体系的なものにつきましては、私どもの外の団体ですけれども、中央職業能力開発協会、あるいは雇用促進事業団のアビリティガーデンのほうでいろいろな職種について体系図をつくっているのですが、いろいろな方にはいろいろなご意見がありまして、いまのところ、いろいろな実例を集めて平均化するというようなことになっているのです。標準モデルと言えば言えるのですけれども、場合によっては企業現場から見ると物足りなさも起こる。いずれにしましても、そういうことは非常に大切なのでやっていく、という方向です。
なお、先ほどもお話がありましたけれども、行政側としてどういう形でモデルをつくったり提供をするのか、ということについてはいろいろと疑義もあるわけですので、できればこの中でも職業能力の評価の問題が今後出てくるというときに、必ずしも国がとか官が何か検定をするということではなくて、どちらかといえば、民間レベルでいろいろな評価が大切になっていくような仕組みはないだろうかと。例えば、個別企業におきましても、企業内の訓練をするときでも、その訓練の目標をはっきりさせる、それを受ければどのレベルに到達する、それははっきりさせていくべきではなかろうか。その個々の積み重ねでどのレベルかということが、最初は各社バラバラかもしれません。ただ、現在のところでも、各社で行われているときに、到達目標なりを定めるときには割と共通部分もあるようですので、そういうことを通じて、必ずしも官が枠をはめるやり方ではないやり方も含めて、今後進めるべきではなかろうかと思っております。現在、骨子案でまだ素朴ですし、具体的な話になっていくのはまだまだ先ですけれども、方向とすればそういう方向を目指すべきと思っております。
○委 員:
やはり、官がやっては駄目なのです。官はあくまで支援をするということでないと。それと、要するに、日本はいままで企業内労働市場というものが非常に重要な役割を果たしてきた。企業内労働市場というのは、例えば、ある製糸会社が化学会社に転換する。半分以上が化学会社あるいは薬品会社に転換した例もありますけれども、そこで薬品の仕事をするカリキュラム、あるいは目標というものを会社の中でつくるわけです。それに従業員が挑戦をする。いままで糸をつくっていた人が薬品屋になるとか、化学屋に転換するとか、そういうような企業内労働市場の場合は目標もキャリアパスも、そこでやるべき学習課程も全部明確にできて、何にどういうふうに挑戦すれば自分はどう変革できるか、ということができたわけです。したがって、日本の企業内労働市場というのは非常に重要な役割をやってきた。
ところが、いまは企業内労働市場では駄目だと。これは、ごく一部の選択肢としてはもちろん残りますが、もっと社会全体の中でいかに人を活かしていくか、という時代に大きく転換しようとしているわけです。そうすると、官がいろいろな意味で1つのモデル的にやって見せていただいている。例えば、錦糸町のアビリティガーデンもそうなのですが、あそこも実際は官でなくて民間からたくさん人を出して、コースごとの学習コースを作成しているのは民間人がやっているわけです。しかし、それでも物足らないです。
○委 員:
物足らないです。私も拝見しています。
○委 員:
問題は、もっと的確に言うと、職業紹介と教育とが直結するアウトプレースメントと言ってもいいのだろうと思うのですが、そういうことをもっと民間がガンガンやるような時代がこないと、そこは解決しないのです。それを、逆にサポートするのが官の役割だと。したがって、いまの能力開発局長のご説明は非常に的確なご説明だと思うのです。率直に言って、そういう支援をするのが官で、いかにも官が主導するような形ではろくなものができないです。全くお金の無駄遣い。
そうではなくて、支援をする、仕組み、そういう場を与えるとか、こういうことは非常に大切なことです。しかし、箱物をつくってもらっては困ります。箱物は絶対に駄目なのですが、そういう仕組みをどうやって仕掛けていただくかということはあると思うのです。やるべきは民間です。ただ、民間がやっても、例えば、昔、私はシステム会社の責任者だったからアレなのですが、情報システムで特殊1種、2種とあるのです。いまは膨大な人が受けて持っている。ところが、成果物について、それで値段が違うかというと全然違わないのです。そういうようなことが平気で行われている。
ところが、これがまた官の結び付きがつくと全然違ってくるのだと思うのだけれども、例えば、一級建築士がサインをしないと建築物は認めてくれないのです。ところが、コンピューターシステムの膨大な基本設計を、特殊という人がサインをしなくても成果物として堂々と通るし、値段もつくわけです。もっと言うと、特殊の人がサインをする力を持っているかというと持ってないのです。資格と現実が全然別の世界で動いているのが現実なのです。そこは非常に難しい問題で、雇用政策課長がおっしゃるようにそんな簡単に割り切れる世界では全くない。
そういう意味では、むしろ、これから七転八倒苦しんで、民主導の世界をどうやってつくっていくか。七転八倒の世界がいま始まっているわけです。もう既にかなり動いています。今度、職安法の改正とか派遣法の改正をいただいて、少し窓口が開いてきましたから、そこから七転八倒して、いかにそういうものをつくっていくか、という問題だと思うのです。
もう1つは、「セイフティ・ネット」とよく出てくるのですが、これもよく理解をしておいていただかないと困るのです。セイフティ・ネットというのは、弱者に対するセイフティ・ネットと敗者に対するセイフティ・ネットと全然違うのです。ここもきちっと物を分けて考えておかないと、何かセイフティ・ネットと、滅多やたらにそれを高くすればということになると、経済は完全に損なわれて身動きがとれなくなってしまいます。経済の活性化が潰れてしまうことになりますので、そこはよくご判断いただきたいというように思います。
○委 員:
先ほど冒頭に緊急雇用対策と産業競争力強化対策との整合性という問題がありました。そのほか、最近、小渕内閣の下で経済戦略会議だとか、いろいろと経済と雇用に関する考え方が次々に出ているわけです。長期のスパンで見る場合と、経済戦略会議というのは中期計画ぐらいだと思うのですが、いかにそれとの整合性を図るかというのは非常に重要だと思うのです。
特に、今回、経済新生の政策方針ということで経済審議会でまとめたわけですが、経済企画庁というのはあまり現場を抱えていないせいか、かなり思い切っていろいろなことを打ち出しているわけです。おそらく、労働分野については、労働省と整合性を図って出してきていると思うのですが、労働省のこういう文章を見ると少し後退するのです。それは、現場を抱えている、あるいは労使関係があるとか、これは前回もそうだったと思うのですが、そういうことで少し後退しているという感じが各所にあるわけです。経審のほうは、政策方針ということで出ていますが、この前伺ったところによると、雇対計画のほうは計画ということで出すと。それは、法律上そう出さざるを得ないということなのですが、経審のほうは大臣、つまり、政治家が相当絡んで中身に関与しているわけです。
この雇対計画の場合は、労働大臣がどれだけ絡んでいるかまだわかりませんけれども、我々、こっち側に座っている人が、いろいろな分野の方がいろいろ言うときに、従来の労働政策との関連では労働省の方はここまでしか言えないということがあるかもしれませんが、大臣が、政治家が責任をとるということであれば、もう一歩突っ込んで言えることがあるのではないだろうか、という印象を私は持っているのです。それから先は皆さんの判断の問題だと思います。
全般としては、まだ項目だけなものですから、基本的事項にどれだけ具体的なものが入ってくるかということを見ないと判断しかねることがありますけれども、先ほどから問題になっている労働者の職業能力の関連で言えば、労働者の職業能力の評価という項目が1つあります。検定ということは、「技能検定制度の改善等」と書いてありますが、労働省の内部的な分担から言えば、職業安定局と能開局の分野の両方でこの部分を書き込まないと、能開局長が来ているからあえて申し上げるのですが、キャリア診断とか、キャリアについての社会的評価をしっかりしないと、労働移動の活発化といっても実際問題としてなかなか難しいわけです。そういう点でどれだけ国が支援できるかということも、これではまだ書き込んでいないのではっきり言えないのですが、そういう必要もあるのではないかということです。
研究会の報告では、たしか、ワークシェアリングの発想がどこかに入っていたと思うのですが、それが今日の骨子案にはないのです。ワークシェアリングの発想というのは、日本の雇用システム、あるいは雇用の実態から言うと本当に難しいわけです。日本的ワークシェアリングというのは、残業調整とか、いろいろなことでありますけれども、文字どおりヨーロッパで行われているようなワークシェアリングというのは、雇用についての価値観とか考え方とかを、相当変えていかないと実際問題としては難しい。しかし、2010年ですから、一言触れるべき項目かなという印象は持っております。
○事務局:
政治家が関与するというお話は、実際問題なかなか難しい。私ども、節目節目で大臣には、研究会の討議の過程でご報告をしてディスカッションをしているわけですけれども、貴重なご意見だとは思いますけれども、政治主導で雇用対策をつくったという経験はなかなかないだろうと思います。確かに、この雇対計画というのは、いろいろな議論の地道な積み上げでつくっていくということですけれども、私どもこの経審のほうのいちばんもめたのは、例えば定年制の問題で、労働行政、いまの定年制というのは現実に果たしている役割が非常に大きいので、これを一挙に年齢差別廃止ということに持っていくについては危険性のほうが大きいのではないかと。客観的に見るとやや消極的かもしれないという意見でだいぶガチャガチャとやったのですが、結果的にはそういったことをかなり配慮していただいた文章になりましたけれども、確かに、そういうことを巡っても大胆な発想と、我々、現実を見るとなかなかそこまで急には、というふうなところはあったと思います。そこは十分ご議論願いたいと思います。
○事務局:
計画の呼び方につきましては小委員会でもご議論がありましたので、私のほうから基本的な考え方をお話させていただきます。経済計画のほうは、確かに、今回は「計画」と呼ばないで「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」という形になっております。私ども、いまご議論いただいておりますものは雇用対策法で雇用対策基本計画の策定をしなければいけないと。国がするという形で雇用対策基本計画という、法律上はそういう形で定められておりますので、今回は第9次の「雇用対策基本計画」ということでお願いしているものです。
形としては、当然、その中で当審議会の意見を聞いて決めなさい、という形になっております。いまの絡みで言うと、これは閣議決定をしますので、当然、大臣が決めていくというような形ですので、いま局長もお話しましたように、大臣のご指示をいただきながら考え方を整理してまいりたいと思っております。
あと、個別の問題で、ワークシェアリングの問題はまた小委員会でもう少しご議論いただきたいと思っておりますが、いまの時点では12頁の「雇用の創出と安定」という所で、(1)で「新規事業展開等による雇用創出」という所の6番目で、「雇用・労務管理の創意工夫による雇用創出」という項目があります。ここは、いわば、ワークシェアリング的なことがどういう形でできるかということをまたご議論いただいて、どういう形で記載させていただけるかということでございますので、また小委員会でもご議論いただきたいと思っております。
○委 員:
いま言った計画の用語の使い方ですけれども、普通、我々専門家は社会主義国のことを「計画経済」と言って、資本主義国がやっているのを「経済計画」と、こう区別して使ってきたのです。私は、むしろ、主題は主題で柱になるようなスローガンを出して、副題に「第9次雇用対策基本計画」と謳えば済むことではないですか。そういうことで法律との整合性も立てる、経審との整合性も保てるのではないか。
○委 員:
関連して、2010年にかけてのさまざまな推計があります。経審のほうはこれを参考値として別立てで括っています。こちらのほうも、非常に推計が難しい部分はそういうふうにされたほうがいいのではないかと私は思っているのです。第8次のときに、5年計画を立てて、例えば構造改革がうまくいかなければ失業率は3.75%であるという、さまざまな数字が出てしまっているのです。構造改革が順調に行けば2.75%。私の感じでは、それは2〜3年で崩壊してしまったのです。取り囲む経済社会が変わってしまったのです。変わったからといってどうこう言えないわけですが、そういうことを考えますと、グローバルな経済の中で需要面の変化というのは予測が相当難しい。やはり、難しい数値については別立てにしたほうがいいのではないだろうか、という印象を持っています。
○事務局:
先ほどご説明させていただいたように、この方針も本体と参考資料と分かれております。経済審議会のほうも、経済成長率とか物価とか失業率という経済の展望は閣議決定をしない参考資料になっております。私どもとしましては、そういう意味で整合性を保つ意味でも、本文ではなくて参考とする形にするのが適当ではないかと考えております。
○委 員:
いまの岩瀬委員の10年、5年の話、私が冒頭にどのぐらいのスパンかとあえて聞いたのは、ここの10年間もそうですが、これからの10年間を見通せる人はいないし、データ的にも、厚生省が少子・高齢社会のいろいろな数字を出していますが、私どもがいろいろなところからもらう数字を全部比較するとあの数字は信用できない。もしそのことが基になっているとすると、計画設定を間違えることになりかねないと思うのです。
1つは、こういう極めて変化が激しい状況の中で、10年という計画をつくって、それで目標としていいですか、ということで言えるかどうか。もう少し短期の部分をどう入れ込むか。夢を与える部分があるとすれば、それに向かっての目標をどう設定するのか、というようなことをしませんと、一体どうなるのかな、ということになりかねない。その背景が、どうも労働行政の枠を超えられないのではないかと。
雇用維持・安定の部分と、救済措置の部分が労働省のいままでの主たる行政業務だったと思うのですが、いまのような雇用状況になってくると、雇用創出の部分を含めてどういうようにそれをクリヤーするかというのは、労働にいちばん携わる主管省が行うべきことだとすると、通産とかよその各省に任せておく問題ではないと思うのです。もっと積極的に出て行かなければいけない。
ところが、そのことに対すると極めて受け身なのです。労働行政の枠の限界をどのように超えられるかどうか。いままで考えられてきたこと、やろうとしてきたこと、守ろうとしてきたことの範囲を、労働省が超えるということが前面に出るようなイメージがこの中に入らないと、好転をさせるというところにはなかなか行かない、というふうに思うのです。
そういう意味では、先ほどの産業政策再生法案、これはいまの日本の経済を回復させなければいけない、というのは誰が見ても当然なことだから、いろいろな企業戦略の中でああいうことをやられること自体は我々だって反対などいたしません。どんどんやってほしい。しかし、そこに「過剰設備を廃止する」という項目があります。それに対して税制を付与しますと。恩典を与えますと。そこに雇用が付いている部分が、新規創出の計画がそこに付いて、いま廃棄の所に100の雇用があったとすると、たとえそれが3でも4でも新規雇用創出の流動化ができるということが認定されれば、通産大臣が認知をすれば、それに対して設備の廃棄と税制の優遇をするという、そういう考え方なのです。これは完全に雇用の切り捨てなのです。
そのことに対して労働省は、政府の中の行政対行政の共管提案にはならないと思うけれども、いままでの労働行政の枠を超えろと言ったのは、そこに切り込めるかどうかということなのです。これは、審議会だとか、外の立場の人ではやれないことなのだから、そういうことに対してもっと積極的に関与してほしいと思います。
○事務局:
特に産業再生競争力強化については、通産省も法案はまだはっきりとは固まっていないのですが、いま委員がおっしゃったように、労働力の切り捨てをして企業が生き残るのだと。それでは切り捨てられた部分はどうするのだということがないと、個別の企業だけが生き残ればいいという話ではないだろう、というふうに思っています。協議の過程では、その過程でどういうふうに労働者の意見を聞くのか、雇用対策として特別なものをというのは難しいと思うのですが、いまの仕組みをどういうふうにうまくマッチしながら雇用対策として活用させていくのか、というような点で通産省とガチャガチャやっている最中であります。
結局、産業政策が優先して、結果的にそれが労働者のほうに負いかぶるということでは、結果的には産業の競争力だって強化されないのだろうと思うのです。そういう観点は大変大事なことだろうと思いますので、そこは抜けないようにやっているつもりではあるのです。協議中ということですが、視点としてはそういう視点で行きたいと思っています。
○委 員:
整理の中でこれはずいぶんお願いをして、いわゆる、従来は非常に狭い意味の雇用ということが労働省の所管だということで、いままでの基本計画というのは非常に狭い意味の雇用を中心にとらえたことになっていたわけです。今回は、就労といいますか、就業というのか、そういうかなり広い範囲の話もこの中に入れていただいているという意味では私は非常に良いのではないかと。要するに、従属的な雇用関係の中だけで雇用されるのが人間の生き方ではないわけでありますから、どんな形であれ、仕事を1人でやるにしても、それも堂々たる就業なわけですから、今後、むしろ、そういうものが大きく展開して行ってもらわないと、この国も良い国にならないわけです。そういう範囲も含めて、今回とらえてもらっているのは非常に良いと思うのです。
ただ、そこのところが、出たり入ったりで、就労と雇用の関係、あるいは就業と雇用の関係がもう少し整理できないかな、という感じが全体的にするのが1つあります。その辺はもう少し整理してもらえないかな、という気がします。したがって、例えば就業支援という問題についても、労働省としても発言をしますよ、というスタンスをとっていただくことが非常に大事なことだろうと思います。いま通産省がやろうとしているベンチャー育成の問題だとか何とかにも、当然に労働省として口を入れますよ、ということが大事なことではないかなという気がしているのです。
もう1つは、先ほど来議論のありました非自発的失業者の問題、これも非常に重要な問題なのですが、自発的失業者についてはいろいろな価値観の多様化、いろいろなものを用意しますということに終わっているところが本当にこのままで良いのかなと。これはどう切り込むのか非常に難しいのですが、このままで本当に良いのかなという感じは少ししないでもない。そこをもう少し切り込んだらどうかな、という感じはいたします。
○委 員:
いまのことを論議するに当たって、冒頭、お話のあったことですけれども、自発失業者の中の退職優遇制度の中で辞めさせられた人は、自ら辞めて行ったというカウントが相当増えてきたのではないかと思うのです。その実態はどういうふうに見られていますか。
○事務局:
自発の中身の中で、早期優遇制度の中で辞めさせられたと。これは、労働力調査でアンケート調査ですので、本人がどういうふうに受け取ったかと。辞めさせられたと受け取れば、非自発になりますし、自らの意思で辞めたとなれば自発になってくる、という整理になってくると思います。
労働力調査の中ではこういう形で自発と非自発を整理しています。例えば、人員整理とか会社倒産などは当然非自発です。定年がこの中に入っています。あと、事業不振など先行き不安、その他、勤め先や事業の都合ということは非自発に入っております。勤め先の都合でこういう制度をつくって辞めて行ったとなると非自発になる。
自発的理由による離職の整理は、より良い条件の仕事を探す、結婚のため、出産・育児のため、介護・看護のため、家事、通学、健康上の理由などという整理になっております。ですから、考え方の整理としては本人の考え方なのですが、アンケートを整理する段階ではそういう非自発と自発の整理の仕方をしている、という状況になっています。
○会 長:
希望退職応募者は非自発でしょう。
○事務局:
基本的には、その人は勤め先や事業の都合になりますので、非自発になる場合が多いと思います。
○委 員:
そうなると、若い人たちの部分は、どんな審議会に出て行っても行き着く先は教育問題に行ってしまうのです。学校教育の崩壊は、諸悪の根源は文部省だと思うのだけれども、いま若い人たちの雇用問題で、仕事をやらない、フリーター、これはまだ1,200兆円も持っているという個人貯蓄の中で親がまだカバーできてしまっているのです。これがどこまで持つか。
非自発の方々も給付期間を超えてきているけれども、まだそんなに騒ぎになっていないのは食いつなぎができるから。これができなくなったときの失業率の問題が、先ほど言われたような3.7ぐらいのベースを最低下限に見るような状況になっていくと、これは極めて深刻な状況も超えてしまうところになるわけです。そういう教育の問題だとか何とかということに帰結させない対応策と、民間の活力利用という、私どもも連合ハローワークを設置して、訓練、紹介、派遣まで全部やるか、という計画をいま一生懸命に練っているのです。
そのぐらいに乗り出さないと間に合わない。そこのところを、どういうふうにサポートできるかというのは、政府全体として産業再生をやるのならば、雇用戦略会議か何かを持って、雇用の部分と労働の部分をどのぐらい重視するか、という政策を打ち出さなければ駄目なのです。
いまのところ、ここが欠けている。政府の戦略の中に、そこだけが最大の欠点として抜けているのだと思う。総理がやっていることに対抗するのに労働大臣が雇用戦略会議をつくるというのもどうかな、ということもあるけれども、そのぐらいの規模のものをやらないと抜本改革になりませんよ。そういう考え方をもう少し鮮明に出せないかなと思います。
○委 員:
この3頁の、「計画の課題」の労働力の需給関係の需要面の所で、「経済構造改革等による豊かな国民生活の実現、雇用・就業機会の増大」と書いてあります。つまり、規制緩和をしたり、いままでの商慣行などをやめて、技術革新で人がやるところを機械がやるとかということを全部進めていくと、ここで失業が大量に出るわけです。そこに時間が経つと新しい産業も出てきて新規の雇用も出る。その間のギャップと皆が失業をするという不安、これをやらなければいけないわけですよ。ここを言わなければいけないことなのだろうと思うのです。これを読んだときに、「昔から、内外価格差などといったときに、いつもこの話をしてたな」と。そのときに、例えば問屋さんが何次まであって、それぞれ何パーセントずつか乗せるから高い物を買わされていたのだと。これを「こんなことは駄目だ」と切ってしまえば、当然、失業が出るわけです。それをどこで吸収するわけと。新規産業というのは直ぐ出るわけではないですから、その人たちに新しい職業訓練なりをする。それより前に、例えば失業をしてもこういうことでこういうふうにやれば新規就職のチャンスがあります、というようなことを見せるのがいまいちばん必要なことだろうと思っているのに、なかなかそれが出てこなくて、みんな不安でお金も使わないという、すべてのところはそこだと思うのです。だから、この間のことをいまここでいちばん言わなければいけないことだろうと思うのです。いまおっしゃったことと同じなのですが、ここを読んだときに、何か、すごく変な感じがしたのです。これをやらなければいけない、というふうに思うのです。
○事務局:
いまの点ですけれども、3頁にそういう形で、これの目標そのものが「豊かな国民生活の実現」とか「雇用・就業機会の増大」なわけですけれども、これが雇用面に影響をどう及ぼすかというのが10頁にあります。そこで、先ほどお話をした新しい経済分野の拡大が既存分野の雇用機会の減少に遅れて起こるとか、新規分野への労働移動が起こらない場合は雇用問題に影響が出てくるということで、その雇用に及ぼす影響にも十分注意を払いながら労働移動ができる限り円滑になされるような考え方でやっていく、というのが基本的な考え方であります。
具体的なことは、「雇用対策の基本的事項」の中で雇用の創出を図っていく、失業なき人材移動を進める、人材育成を進める、そのための需給調整機能の強化を図っていく、安心して働ける社会の実現の中で、雇用保険給付などを整備していく、というような形での全体のフレームワークになっているということです。
○事務局:
お話を聞いていて、委員のおっしゃったフリーターの話ですけれども、「理由別の失業率」の「その他」という所は、我々、従来、家庭の主婦が景気が悪くなったから、あるいは景気が良くなったから働きに出るので、それが失業者として出ているというようなことを言っていたのです。しかし、実際の中身は男性のほうが多いのです。若い男性が多いのです。おそらく、それはフリーターなのだろうと思うのです。そういうものがいつまで持つのだろうということで、私どもも実際にそういうふうに思います。
失業でそれだけあるということは、いま働いているフリーターというのはもっと何倍もあるはずなのです。その実態はいま把握できていないのです。ですから、「その他」というのは家庭の主婦では決してなくて、若い男性のフリーターが相当部分占めていて、この失業問題というのは、当然のことですが、日本の社会・経済の状況を反映していると。本当に親がかりで、働かない若い人が増えていって一体どうなるのだろうか、という深刻な問題が1つあるのだろうと思うのです。
それから、いまの規制緩和等で変わっていくと。それは見通しは良いのだろうけれども、そこの過程が大事であって、それをどうするのだというお話です。これは当面のことを言って恐縮なのですが、日本の雇用の吸収力というのはなくはないのです。安定所だけでも毎年500万もの新規求人が来るわけです。そこのところと結びつかないところは、根本的に当面の問題ではないかと。日本の国に雇用量が絶対に足りないから何か拡大をしていく、新規産業を何が何でもつくっていくという、将来の姿はそうだろうと思うのです。ただ、少なくとも現状は、それがいまできないからものすごく大変だということではないのではないかと。求人情報誌のほうでも年間250万の求人が来て、おそらく、安定所と重なっているのが50万ぐらいとすると、非常に多くの求人はあるなと。ただ、それが「年齢は35歳までです」というようになるものだから、中高年はそこでアウトということになっているわけです。何か、需要不足でものすごくシャービーな社会ということではなくて、構造的に難しくマッチングしなくなっているというところをどうやって雪を溶かしていくか、ということが大きな課題としてあるのではないかという感じがするのです。日本の産業がこれから構造転換をするときに、失業者がものすごく町に溢れているという、そういうイメージではないのではないか、という気がするのです。その辺はご議論いただければと思います。
事実の問題としては、求人は溢れている。溢れていると言うと言いすぎですけれども。労働者のほうから見ると、賃金が低い、年齢で切られる、職種が合わない、というところで空振りになっている求人が山ほどある。安定所の求人は7割5分ぐらい空振りになっています。そこのところを何とかしなければいけない。これは労働行政の固有の課題のような気もするのです。少し感想ですけれども。
○会 長:
時間も迫ってまいりましたけれども、何かご発言ございますか。
○委 員:
いまご指摘の問題で、いちばん大きいのは、結局、かつて日本のあらゆる施策がうまくいったのは、人口構成が小さな三角形を大きな台形で支えてきたということなのですが、いまは円筒形になり、さらにこうなっていると。団塊の世代はどこにいるかということと関連するのですが、シミュレーションしてみますと、人を雇うというのは、それによって成果を得るために雇うわけですが、先輩と同じように歩かせたと仮定してやりますと、多分、ここ数年間、3割以上人件費を増やさなければならないということになるわけです。それは人口構成から自動的に出てくる話で、自然現象として出てくる話です。
ところが、その3割を増やしたからアウトプットが増えるという保障は全くありませんから、賃金は3割カットしなければいけない。これは自然現象の話なのです。ここは大きな前提として置いておかないと困る。ところが、自分の生活設計というのは先輩の姿を見て生活設計をしているものですから、先輩があれぐらいの家を建てているのだから私もあれぐらいの家を建てよう、ということでローンを組んでやってきているわけです。そこのギャップというものが非常に大きなギャップなので、急に是正せよと言われてもなかなか苦しい。
しかし、現実は間違いなく先輩のとおりに歩くとすると、企業内人口構成、国の人口構成、全部そうなのですが、コストを3割上げなければいけない。それは物理的にインプット、アウトプットの関係からできない。そういう問題とまともにぶつかってくる問題が出てきているわけです。そこのところを、ある程度軟着陸するような弾力性というものをどう考えていくのかというのも、ここから数年間の大きな課題になってくる。そういうことは頭に置いておかないといけないわけです。
例えば、そこのところは先ほどおっしゃった求人表をずっとご覧になれば、新宿職安に行かれてご覧になってもわかりますが、「月給35万円」と言われると確かにないのです。しかし、25万円だと結構あるのです。そういうものをよく見ながら判断していかないと、数の問題でいま職安局長がご指摘になりましたとおり、求人はあるのです。あるけれども、「35万円くれ」とか、「40万円くれ」とか、こういう話でいくと、これは経営側も悪いのですけれども、年齢何歳以上はいけないと。それはなぜかというと、当然高い給料を要求される、という先入観の問題があるものだからそういうことになってしまうわけです。
話が飛躍して恐縮ですが、例えば定年制をやめてエージレスの社会にするとか、年齢差別禁止法をやったらいいではないかという話も、アメリカなどではそうなっているという話ももちろんあります。一方で、年齢による差別はいけないけれども能力のない人を解雇することは完全に自由なのです。それは、要するに、企業は能力がなければいつでも解雇できます、ということが一方で社会的な合理性としてインプットされない限り、年齢差別禁止法だけが出てくるとかいうことは成り立たない話なのです。そういう経済合理性とか社会の合理性をどこまで容認しながら在来のものと調和させていくかというところが非常に悩ましいところだ、という座標だけは持っておいていただいたほうがいいのではないかと思うのです。少し余計なことを言いましたけれども以上です。
○会 長:
それでは、今日いろいろとご意見を伺いましたので、それを踏まえてまた検討小委員会のほうで文章の作案作業を進めたいと思います。本日はこれで閉会いたします。本日の議事録の署名人は、大宅委員と福岡委員にお願いいたしております。よろしくお願いします。それでは、どうもありがとうございました。
| (注) | 本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、大臣官房政策調査部総合政策課 03-3593-1211(代)までお願いします。 |