| 1日時 | 平成11年6月1日(火) 14:00〜15:30 | |
| 2場所 | 労働省 省議室 | |
| 3出席者 | 【委 員】 | 岩瀬孝、大宅映子、小野旭、尾原蓉子、北裏昌興、神津カンナ、笹森清、清水仁、関英夫、高梨昌、田嶋義明、目黒依子の各委員 |
| 【事務局】 | 征矢労働事務次官、野寺官房長、藤井女性局長、渡邊職業安定局長、日比職業能力開発局長、戸苅職業安定局次長、石本審議官、横田審議官、長谷川高齢・障害者対策部長、坂本政策調査部長、鳥生総合政策課長、太田雇用政策課長 | |
| 4議題 | (1)経済審議会の検討状況について | |
| (2)雇用対策基本計画の策定について | ||
| 5議事 | ||
○会 長:
ただいまから、雇用審議会総会を開催いたしたいと思います。本日から、雇用審議会は議事を公開するということで、傍聴を許可するとなっておりましたけれども、第1回になります。
本日は、新しい雇用対策基本計画の策定について最初の総会ということになりますので、労働事務次官のほうからご挨拶を承りたいと思います。よろしくお願いします。
○事務次官:
雇用審議会開催に当たりまして、皆様方、お忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。ご承知のとおり、世界的な規模での経済社会グローバル化が進む中で、国際的な大競争、あるいは情報化の進展、あるいは少子・高齢化の問題、あるいは生活環境の変化の問題、労働者意識の変化の問題、21世紀に向かい、さまざまな難しい課題の中で対処しなければならない、そういう時代であります。そういう中で、当面の経済雇用情勢についてはご承知のとおりで、本日発表された最近の資料で見ましても、完全失業率が4.8%、あるいは有効求人倍率が0.48倍ということで、高度成長期以降、いずれも最悪の数字で、大変厳しい状況になっているわけです。
第8次雇用対策基本計画をご検討いただくときも、大変厳しい状況であるということで、そういう中で構造改革を進めなければ、より厳しい姿になるということで、3%台後半の失業率というような数値も踏まえた計画をおつくりいただいたわけですが、それ以上にテンポが激しく、かつ厳しくなってきている、そういう状況であろうかと思います。
そういう中で、新しい雇用対策基本計画の策定をお願いするということですが、本年1月、既に内閣総理大臣から経済審議会に対して、新しい経済計画、21世紀初頭の10年間ぐらいをメドにした、あるべき姿についての諮問が行われておりまして、経済計画と併せて雇用対策基本計画のお願いをするということです。そういうことで、本日お集まりいただいたわけです。
大変厳しい状況の中で、今回9回目のご検討をお願いするわけですが、おそらく今までで最も厳しい、難しい時期のご検討をお願いするということになろうかと思いますが、これはやはりいくら足下の雇用情勢が厳しかろうが、今後21世紀に向けて、日本の雇用失業問題はどうあるべきか、長期的な視点でご議論をいただき、新しい姿をご検討いただいたうえで、そういうものを念頭に置きながら行政を進めていく。これ以外に方策はないわけですので、そういう意味で、これから短期間になろうかと思いますけれども、十分ご検討、ご審議をお願いいたしたいというふうに考えております。どうかよろしくお願いいたします。
○会 長:
どうもありがとうございました。ただいま征矢事務次官からお話がありましたように、新しい雇用対策基本計画の策定の件に入りたいと思います。既に皆さん方ご承知のことと思いますが、経済審議会のほうで、現在、経済計画の見直し作業が進められております。第8次雇用対策基本計画は平成7年に策定されたものですが、経済計画との整合性を図るため、これを今回見直し、新たな雇用対策基本計画を策定する必要があります。この点について、初めに経済企画庁から経済審議会の検討状況について、ご説明を願いたいと思います。
○経済企画庁:
資料No.1に沿いまして、経済審議会の検討状況について、簡単にご説明申し上げたいと思います。平成11年1月18日に、小渕総理から経済審議会に対して、現行経済計画である、構造改革のための経済社会計画に代わるものとして、新たなる時代の姿、政策方針策定の諮問がなされたところです。「内外の歴史的な大転換期に当たり、『新たな時代』の我が国経済社会のあるべき姿とその実現に向けての経済新生の政策方針いかん」というのが諮問文です。
これについて若干、説明させていただきますと、中段以降に、「目下の我が国経済は深刻な不況化にあるが、これを克服して経済を再生し、少子・高齢化、人口減少などの課題を乗り越え、新しい時代においては繁栄と安寧を長期に実現することが求められる」。「今後、これまで蓄積された労働、資本、土地等の生産要素を最適活用し、情報化を一層推進することにより、市場メカニズムを通じた効率性を最大限に発揮できるよう、構造改革を抜本的に前進させる必要がある。これを通じて、新しい経済社会のシステムに対する不透明感を払拭するために、個々人が自らの好みを選択でき、かつ、全体としては調和のとれた安心と安全が確保できるような経済社会の具体像とそれを実現可能とする政策的道筋を明確に示すことが求められる」としております。「こうした時代認識を踏まえて、21世紀初頭の我が国経済社会のあるべき姿を描き、国民が自信と誇りを持って未来に臨めるように、平成11年から21世紀初頭までの10年間程度に、とるべき政策の基本方針を策定することを求める」というものです。
こういった諮問を踏まえて、現在、企画、構造改革推進、国民生活文化、グローバリゼーション、地域経済社会資本部会という5部会を設置して、ご審議いただいているところです。なお、答申の時期については、今年の夏ごろを1つの目途としているということです。
続きまして、各部会の検討内容について、簡単にご説明します。企画部会は、各部会の検討事項を整理し、あるいは各部会での議論を総括し、全体をとりまとめるという役割を負っているとともに、「規格大量生産社会から知価社会へ、あるいは少子・高齢化、環境制約の高まり等といった経済社会の歴史的展開、マクロ経済の展望について検討する」、と位置付けております。
構造改革推進部会ですが、当部会におきましては、「グローバリゼーションに対応した経済社会」、「企業や個人の創造性と自由度の高い経済社会」、「環境と調和した循環型経済社会」といった3つの観点に立った経済社会を実現することが重要と考え、そのための構造改革について、重点的に議論をお願いしているところです。
国民生活文化部会では、「人材育成、教育における新たなネットワークについて」、あるいは「人々を結び付けるNPO、ボランティア、家族、企業などの新たなネットワークの構築」、あるいは「年金制度と雇用システム」、「高齢者等の意欲と能力が発揮される社会システム」、「医療と介護の相互関係などについて」、審議をお願いしているところです。
グローバリゼーション部会においては、「世界経済の発展と安定化を積極的に促進するコアメンバーとしての役割」、あるいは「世界経済のコアメンバーとしてのアジア地域における役割」、「豊かで開かれた経済社会を創造する」ためにはどうあるべきかなどの観点から、審議をお願いしているところです。
地域経済社会資本部会においては、「歴史的潮流の大転換を踏まえて、21世紀の地域社会のあり方、大都市、地方都市、中山間地域等のあるべき姿・機能とこれを実現するための施策、これらを支えるネットワーク等に資する社会資本整備や、地域経済経営システムについて」、審議をお願いしているところです。
続きまして、特に雇用労働関係ですが、若干、資料を補足させていただきます。企画部会においては、完全失業率等を含むマクロ経済の展望。さらに、構造改革部会では、企業や個人の創造性と自由度の高い経済社会を実現するための個人の面から見た構造改革として、個人が主体的に取り組む能力開発のあり方。国民生活文化部会においては、高齢者や女性がより一層、活躍できるような雇用システムのあり方。そして、グローバリゼーション部会においては、専門的、技術的分野の外国人労働者を受け入れるための環境整備、といった点について、ご審議をお願いしているところです。
○会 長:
どうもありがとうございました。ただいまの経済審議会のご説明について、ご質問、ご意見がありましたらどうぞ。
○委 員:
それぞれの部会の中の審議状況の進展具合がどのぐらいかというのはまだわからないのですが、各委員がペーパーで提出をした内容がありますね。それについて、どういう形で集約をされて、意見討論の中で、それがどういう活用のされ方をするのか、ちょっと伺っておきたいのですが。
○経済企画庁:
答申文の説明の所にありますように、「策定に当たっては、全国規模での広く国民の生の声を聞くとともに、海外からも意見を求めるなど、内外に開かれた活発な議論が求められる」ということがあります。まさしく今週も地方審議会というのもやっておりますし、委員のペーパー等もあります。そういったものを企画部会を中心にご報告させていただいて、それを踏まえて議論していただくことになっているということです。
○委 員:
大体、各委員は全部ペーパー提出をされたのですか。
○経済企画庁:
平成11年4月13日、「経済社会のあるべき姿」というものを公表しておりますが、これにつきまして、おおむね各委員から意見を頂戴しているところです。
○委 員:
そのペーパーは、公開はされないのですか。
○経済企画庁:
いまの段階ではしていないということです。そこは、ちょっと確認させていただきたいと思います。
○会 長:
また後ほどの議論と絡みますが、もし経済審議会の審議状況についてご質問がなければ、次の議題に移ってよろしいですか。
(異議なし)
○会 長:
続きまして、労働省のほうから、関係資料についてのご説明をお願いいたします。
○事務局:
資料No.2、3、4とご説明申し上げます。まず、資料No.2、「新しい雇用対策基本計画の策定について」ということです。そこにあります1、2、3は、計画策定の趣旨で、次官からご挨拶申し上げたとおりです。4の所で、経済計画との関係ですが、基本的に計画の対象期間は新しい経済計画と同じ期間ということで、大体10年間程度です。従来よりも少し長期のスパンで、ご検討いただきたいということです。計画の策定時期は、新しい経済計画とおおむね同時期を目途とするということです。半月ぐらい雇対計画のほうが遅れるというのが、従来のペースです。5番目に「主な検討課題」として、そこに5項目挙げていますが、これに限らず幅広くご審議をいただきたいと考えております。
全体としては10年ぐらいの長いスパンでご審議、見通しをいただきたいと思っておりますけれども、とりあえず当面の足下の雇用情勢は大変厳しい状況にありますので、情勢と雇用対策について、資料No.3でご説明申し上げます。1頁は、本日発表の数字ですが、完全失業率が4.8%です。先月と同水準ですが、史上最高の水準です。有効求人倍率が0.48倍です。これは先月よりも0.01ポイント下がっております。昨年末、10、11、12月が0.47で最低の水準でしたが、若干、上向きにはなっておりますけれども、非常に厳しい水準です。その下の全体のマクロの雇用者数のグラフですが、4月で見ても、前年同月で39万人減。昨年の2月ごろから、前年に比べると、ずっと雇用者数を減らしているというような状況です。完全失業者数の実数が342万人で、これは前年同月よりも52万人増えており、過去最多です。男性が206万人、女性が136万人というような状況です。
2頁は、「理由別失業者の動向」で、342万人の失業者の内訳です。いちばん多いのが、左のグラフにある、いわゆる「非自発」ということで、倒産解雇、定年もこの中に入っておりますが、115万人ということで、過去最多です。昨年と比べても、かなり増えているという状況です。2つ目に、一方で「自発的理由」による離職者も、依然として108万人ということで、100万人を超えるような水準ということです。「学卒未就職者」はなかなか厳しい状況になっておりますが、大学、高校、短大だけでなくて、各種学校等も入れて、23万人ということで、昨年と同様の厳しい水準です。「その他」という方が84万人です。これは(主婦など)と書いてありますが、いままで働いていなかった方が働きに出てくるという形です。主婦だけでなくて、若年者で、いままで仕事をしていなかったのですが、あるいはフリーターの形で一旦休んでいた人が労働市場に出てくる、という方もかなりの数に上っております。
3頁は、「産業別の状況」です。プラス、マイナスで増減を出しておりますが、製造業がマイナス53万人と、前年同月よりも非常に減少しているわけで、この傾向はここ1、2年ずっと続いているような状況です。一方、建設業がプラス7万人で、これは昨年5月以来のプラスの水準です。一時期ずっと減らしておりましたが、公共事業の影響等もあって、プラスに転じております。運輸・通信業、サービス業がプラス、卸・小売・飲食店がマイナスということです。従来、ずっとサービス業が雇用者数を増やしてきたわけですが、最近はサービス業の伸びも縮まってきているという状況です。
4頁は、「年齢別の状況」です。上が完全失業率で、下が有効求人倍率です。完全失業率、年齢計4.8%ですが、完全失業率が高いのが若年層と高齢層です。25歳未満の若年層は10.1%ということで、10人に1人が失業者ということです。ただ、かなり自発的な失業者が多いという状況にあります。一方で求人倍率を見ると、45歳未満の方は平均よりもかなり高いわけですが、45歳を超えると低くなります。特に60歳を超えると0.06倍ということで、100人に6人しか仕事の口がないというような状況です。失業率を見ますと、いわゆる中年層、45歳から54歳は3.3%と低い状況ですが、ここも昨年に比べると、やはり上昇傾向にあるということです。
5頁は、「職業別の状況」です。有効求人倍率で見ますと、平均よりも高いのが専門的、技術的職業、販売の職業、サービスの職業です。一方で、管理的職業、事務的職業などは、求人倍率が非常に低いということで、なかなかこういう職種の仕事がないという状況です。
6頁は、「地域別の状況」です。完全失業率と有効求人倍率ですが、完全失業率で見ますと、いちばん高いのが近畿の5.4%です。それから、南関東が5.2%と、こういう近畿、首都圏という大都市圏が非常に悪いという状況です。一方で、九州5.2%、北海道5.1%と、九州、北海道も非常に完全失業率が高いという状況です。
7頁は、「学卒未就職者の状況」です。これは年平均の数字でとっておりますが、平成2年等のバブルのころは、数万人、5、6万人という状況でしたが、平成10年では年平均で15万人の学卒未就職者ということで、大体3倍ぐらいになってきているということです。下のほうで、3月の就職内定状況を見ても、大学が92.0%でマイナス1.3ポイント、短大が88.4%、高校が93.6%という状況です。
8頁は、完全失業率4.8%を分析して、それが景気循環的な需要不足要因によるものなのか、ミスマッチ等の構造的・摩擦的要因によるものかということで分析したものです。11年4月の完全失業率4.8%のうち、需要不足失業、いわゆる景気要因が1.5%程度、構造的・摩擦的失業、これは均衡失業率を用いていますけれども、3.3%程度となっております。この1年間で失業率が1%程度上昇しておりますが、その大部分が需要不足、景気要因です。
「参考」にありますように、ハローワークでは、新規求人数が532万人ほどあり、新規求職者が613万人という状況です。かなり求人数はありますが、充足率が大体4分の1ということで、必ずしもマッチングしない部分もあるという状況です。
9頁は、「各国の状況」です。日本は4.8%の失業率です。アメリカ4.3、カナダ8.3、イギリス4.5、ドイツ、フランス、イタリアは、ちょっと月がばらついておりますが、大体2桁という状況です。基本的には、日本とアメリカとカナダはILOの基準を使っておりますので、そのまま統計が使えるということです。イギリスは4.5となっておりますが、ILOの基準にしますと、大体1.5ポイントぐらい乗せた、6%ぐらいで日本と比較できるのではないかと思います。ドイツは10.6ですが、これはILO基準になりますと、もう少し低いような形になってまいります。以上が雇用の状況です。
最近の雇用対策について、ご説明申し上げます。昨年11月の緊急経済対策で、1兆円規模の雇用対策ということで、「雇用活性化総合プラン」という対策で、今年の1月から実施しております。主なものを載せておりますが、大きく5つあります。1つは「雇用の開発」ということで、これは2つあります。1つは、中小企業労働力確保法を改正して、今年の1月1日から施行しております。これは、創業とか、分社化とか、異業種へ進出するような中小企業とか、自ら業を起こす失業者を支援するということです。「雇入れ助成」ということで、例えば中小企業ですと、賃金の半分ぐらいをみるというような制度がありますが、4月末現在で計画申請数が約2,500件ほどです。3月、4月は1,000件を超えるような数字になっていて、1件で大体3人から4人、3,000人から4,000人の雇用増が期待できるということです。年間ですと、大体、目標にしております5万人ということで、いま進んでおります。
「緊急雇用創出特別基金」、これは一般会計で600億円、基金を積みまして、雇用失業情勢が悪化した場合、例えば全国ですと、5.2%を超えた失業率が3カ月以上続いたような場合に発動する、というような基準を設けております。中高年の非自発的失業者を雇い入れる事業主へ、従来の助成金に加えて上乗せして助成しようという制度で、沖縄で3カ月間発動しております。ただ、沖縄は景気、あるいは雇用状況が上向きになりましたので、現在は休止しております。
2つ目の柱は、「雇用の維持・安定」ということで、雇用調整助成金ということで、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が失業防止のために休業、教育訓練、あるいは出向する場合の助成ということで、事業主の雇用維持・努力を支援しようとするものです。本年4月の休業等の対象者数が約28万人で、この助成金を使ってこのぐらいの方の雇用が維持されているという状況です。しかしながら、どうしても雇用を維持できない所もありますので、それはAで「失業なき労働移動」ということで、労働移動をしていただこうということです。Aという会社からBという会社に移していただくというときに、そのBという会社に賃金助成を行うという制度です。これは、業種限定なしに、すべての業種でやるというような新しい制度で、今年の1月から実施しております。そういうことで、雇用の維持と労働移動と、両方相俟って安定を図っている状況です。
3は、「労働力需給のマッチング強化」ということです。求人倍率は0.48倍ですが、安定所にはかなり求人もありますので、そういう求人と求職のマッチングを強化していこうということです。@はいま国会で労働者派遣法と職業安定法をご審議中で、衆議院は通過して、参議院でご審議いただいておりますが、民間の活力も活かした需給調整機能の強化を図っていこうということです。Aは、公共職業安定所の機能の強化で、経済団体との連携による求人情報等のネットワーク化、あるいは「ハローワーク情報プラザ」ということで、情報提供専門のパソコンを、例えば20台、30台並べて、そこで検索できるような仕組みをつくり、土曜日とか平日夜間も利用可能ということで、いま順次、県庁所在地等に設置しているところです。3番目の「・」は、「インターネットを活用した求人情報」ということで、今年の3月から、東京23区分について試行的な実施をしております。Bは、「公共職業安定所の土曜日、平日夜間開庁」ということで、東京、大阪において、今年の2月から実施しているものです。Cは、「学卒未就職者等」ですが、大変厳しい状況になっているということで、今年の連休明けからは、特に新しい対策として「学生職業センター」等、これは学生専門のハローワークですが、そこで早期就職を希望する学卒の未就職者の方については、登録をさせていただいて、体系的な就職支援対策を実施しているというものです。そのほか、面接会とか求人一覧表の作成配布もやっているということです。Dは、「特定求職者雇用開発助成金」ということで、就職困難な方の雇入れ助成です。昨年の6月から、従来55歳以上だったものを45歳以上に引き下げてやっているもので、賃金の一部を助成するという制度です。平成10年度の対象者は約30万人ということで、30万人の方がこの助成金を使って再就職をしているという状況です。
4番目は「能力開発」です。1つは、中高年離職者に対する民間の教育訓練機関、各種学校とか専修学校等を活用した職業訓練を実施しております。2つ目は、ホワイトカラーがなかなか厳しい状況にありますので、その職業訓練ということで、錦糸町にありますホワイトカラー専門の能力開発施設アビリティーガーデン、この方式のノウハウを全国で実施しているということです。3つ目は、職業能力開発促進センターという公共の訓練施設ですが、夜間コースも導入して、枠の拡充、離転職者訓練の拡充を行っているというものです。4つ目は、「教育訓練給付制度による職業能力開発の支援」ということで、昨年の12月から創設して、これは離職者でも在職者でも結構ですが、自分で勉強しようという場合に、20万円限度、8割まで助成するというものです。現在、指定講座数は約4,000講座で、この指定講座の所で勉強していただければ支援をする、という制度です。
最後は、「失業中のセイフティ・ネットの確保」ということで、「失業給付間の訓練中の延長措置の拡充」ということで、訓練を受けているときに、保険の予定の期間が切れても、訓練を受けている期間は延長するというものです。以上が、最近の雇用失業情勢と当面の対策です。
資料No.4は、雇用政策研究会の報告書です。「労働力需給の展望と課題」というもので、最初に1枚の紙、3枚の概要、それから資料があります。8頁までが資料で、この8頁まででご説明申し上げたいと思います。そのあと、「労働力需給の展望と課題」ということで、本文が付いております。
メンバー表ですが、「雇用政策研究会」ということで、職業安定局長の私的研究会です。当審議会の副会長の小野旭先生が座長で、そこにありますようなメンバーでご検討をいただきました。今年の2月から精力的にご検討いただいて、先般、報告書をまとめていただきました。
まず、研究会報告の問題意識としては、21世紀初頭の10年間を見通すということで、特に労働力の供給面では、初めて労働力人口が減少するような社会がやってくるということ。それから、一方で需要面を見ると、経済・産業構造が大きく転換するということで、労働者に求められる能力が高度化、専門化する時期であるという見込みを立てていただいております。
そういう中で、雇用政策の課題、大きな目標としては、適切な経済運営によって、良好な雇用機会の創出・確保を図るということ。もう1つは、労働力需給のミスマッチの拡大を抑制するということで、具体的には「失業なき労働移動の実現」、「マッチング機能の強化」、「能力開発の推進」、「高齢者の対策」、「若年者の雇用対策」などが大きな課題となっているということです。特に現下の雇用情勢、経済情勢は大変厳しい状況ですので、明確なビジョンを示して、雇用の安定を図ることが、経済や社会の安定に結び付くということです。
こういった問題意識から、「2010年までの労働力需給の長期展望」、「今後、雇用政策を進めていく際の理念・目標」、さらには、それを踏まえた「具体的な政策対応のあり方」について検討をいただいて、取りまとめていただいたものです。その内容は、以下、要旨と御覧いただきたいと思います。「人々の意欲と能力が活かせる社会の位置付けを目指して」ということで、全体に2つに分かれております。1つは、「労働力需給の長期展望」ということです。まず、「労働力供給の見通し」です。少子・高齢化の進行等もあり、労働力率は徐々に低下するということです。労働力人口の伸びは、2005年までは鈍化するわけですが伸びていくということで、2005年をピークに以降は減少に向かうということです。
一方、「労働力需要の見通し」ですが、「情報化の進展」、「経済社会のグローバル化」、あるいは「規制改革の推進」、「商慣行の是正」、「技術革新の促進」等、いろいろな要素がありまして、それぞれプラス、マイナスがあるわけです。結論的に5番目の「・」にありますように、全体としては、やはり競争が活発化しますので、労働生産性が向上するということで、特に対策を講じなければ、1人当たり2%成長であっても、労働力需要は弱含み傾向になるということです。就業者数は、特に対策を講じなければ減少するというような見通しです。
3番目は、「労働力需給と就業構造の長期展望」です。産業構造の変化が非常に早くなってきているということ、あるいは少子・高齢化が進展するということ。それから、若年層については、意識の変化の中で、完全失業率が高まっている。いろいろな要素を考えますと、全体としてはかなり拡大する要因が多いということです。
そういう中で、(2)の「完全失業率の見通し」ですが、これは経済成長率によってパターン分けしております。経済成長率によって違ってきますが、特に対策を講じなければ、完全失業率は4%台前半から5%台前半になるのではないかということです。これは、後ほど表でご説明申し上げます。そういうことで、(2)の2番目の「・」にありますような、適切な経済対策とか雇用対策を講じることによって、1つは需要不足失業を減少させるということ。もう1つは、構造的な失業の増加を可能な限り抑制するということで、就業者数の増加を図るとともに、完全失業率を引き下げる必要があるということです。今後の雇用政策の目標としては、2010年の完全失業率は3%台後半を目指すべきである、というようなご報告をいただいております。
7頁の4表で、いまの点を数字で見ていただきたいと思います。労働力人口がいちばん上にありますが、1998年、6,793万人です。これが1人当たり2%成長ということで想定しても、6,736万人と減少に向かうわけです。特に対策を講じなければ減少するということです。こういうものに加えて、能力開発なり、時間短縮、あるいは派遣労働、育児の話、高齢者対策等々、いろいろな施策を充実させると6,831万人ということで、2010年には1998年よりも増加するということです。
就業者数についても、1998年は6,514万人ですが、特に対策を講じなければ2%成長のときに6,455万人。政策を充実させると、6,579万人に増加するということです。
失業率ですが、98年の実績は4.1%ですが、1人当たり2%成長ですと、4.2%の完全失業率。もう少し成長率が落ちて1人当たり1%成長ですと、5%台になる。特に計算しておりませんが、0%成長とかマイナス成長ですと、もっと失業率が上がるということです。すべての政策を充実させると、(c)の3.7%ということで、これを目標とすることが必要ではないかということです。
2頁の(3)の「今後の就業構造」です。1番目の「・」の所で、長期継続雇用については、基幹的な労働者を中心として、今後も基本的な就業形態の1つではあり続けるわけですが、全労働者に占める長期継続型の労働者の比率は低下し、労働移動が今まで以上に増加するということです。それから、2番目の「・」にありますような多様な働き方、働き方の多様化が進展するということです。
そういう中で、雇用調整の方法も、従来の労働力の投入量の調整に加えて、賃金による調整もこれまで以上に、労使合意の中で行われて、雇用調整がよりフレキシブルに行われるのではないか。労使合意の中で、賃金プロファイルの見直しとか、総額人件費の見直し等々も行われるようになるのではないか。そういうシステムに変わっていくと見込まれるということです。以上が大きな1の柱です。
次に「雇用政策の方向」ということです。まず、「基本的な考え方」です。その中で2つに分けておりまして、1つは「(1)21世紀初頭の10年間の課題」です。3つの課題がありまして、第1の課題は、「当面の足下の長期的な不況を克服するとともに、これからやってくる人口減少社会に備える」ということです。その中で、需要不足失業を減少させ、構造的失業の増加を可能な限り抑制することが第1の課題です。第2の課題は、「新たな社会的な規範とか労働市場において、労使、政府が共通して尊重すべきようなルールを社会全体でつくること。併せて、その遵守システムをつくる」ということです。具体的には、「労働者の再挑戦が可能になるようなルール」とか、「多様な働き方が一般的に受けられるようなルール」とか、「能力に応じた格差をある程度認めるようなルール」しかし、「極端に所得格差が拡大しないような社会を目指す」ということです。第3の課題は、事前誘導とか指導中心型の行政から、事後規制型に力点を移しながら、両者を適切に組み合わせるということです。
(2)は、「雇用政策の理念・目標と対象」です。まず理念は4点で、第1は「人々の能力、意欲が活かされる社会で、多様な選択肢のある社会」です。それから、特に「再挑戦をしようという意欲を支えるようなセイフティ・ネット」、能力開発とかマッチング機能も含めた、落ちてくるものを救い取るだけではなくて、もうちょっと積極的な意味のセイフティ・ネット、言葉の定義の問題はありますけれども、そういうものが必要ではないかということです。第2は、「個々人が主体的に行動できるような社会」。第3は、「社会全体や労働の立場から評価される企業のあり方について、共通の認識をつくっていく」ということです。雇用の創出・確保は、企業の社会的責務であって、企業にとっても、人材の確保や育成を図ることが生産性の向上とか、安定的に発展に資するということです。第4は、「全ての人々が意欲と能力に応じて、職業生活に積極的に参加することができるような社会」です。
次は、「雇用政策の具体的な目標」です。第1は、「良好で長期的に働くことができる雇用機会が確保されるということが基本」ですが、「失業した場合には再就職が早期に見つかるようにすること」が大事であるということです。次の「・」にありますような、雇用の立場からのマクロ経済の安定が大変重要である、ということです。雇用の安定なくして、経済社会の安定を図ることは困難であるということです。したがって、マクロ経済の安定化とか、景気対策を機動的に実施することが必要であるということです。
いちばん下は、「雇用政策の対象」です。基本的には、「より緊要度の大きい労働者に重点的に施策を実施」するということです。短期的には、やはり中高年労働者のうち、倒産、解雇によって、思いがけず離職した人々を中心にやっていくということです。ただ、中長期的に見ますと、やはり若年者対策も非常に重要ではないかということです。もう1つは、SOHOとか、在宅就業とか、ワーカーズ・コレクティブとか、NPOとか、雇用関係ではない、多様な働き方が出てきていますので、こういうものも対象として視野に入れていくことが必要ではないかということです。
2つ目は、「具体的施策の方向」です。1つは、新しい事業をつくり出して、雇用をつくり出す。その中で、「失業なき労働への移動の支援」を図っていくことが必要ではないかということで、「新事業の創出と雇用創出、雇用の安定」です。
(2)は、「人材育成」です。産業構造の変化に伴って、労働移動の増加が見込まれて、ミスマッチの拡大が懸念されますので、人材育成がますます重要になるということで、「労働者のエンプロイアビリティの向上を支援し、雇用の安定を図る」。それから、「今後の経済社会の発展を担う、高度で専門的な職業能力を有する人材育成」をしていくことが大切であるということです。
(3)は、「労働力需給調整機能の強化」ということで、公的機関の機能の充実・強化を図るとともに、民間機関が活力とか創意工夫を活かして、マッチング機能を果たしていくということで、官民相俟って、労働市場全体の需給調整機能の強化が必要であるということです。併せて、能力開発機関との連携、情報提供機能の強化、カウンセリング等々の機能の強化が必要であるということです。
(4)は、「少子・高齢化と女性の社会進出の対応、多様な選択肢のある社会の実現」です。いちばん上のものが高齢者対策で、「全ての意欲と能力のある高齢者が、65歳まで働ける社会」をつくっていくということで、継続雇用とか定年年齢の引上げが必要ということです。多様な働き方ということ、あるいは社会参加も大事であるということです。2つ目の「・」は、男女の均等確保対策、両立支援対策です。3点目は、中長期的に、若年者の適切な職業選択とか、円滑な就職促進を図ることが重要であるということで、学校も含めて、能力向上のため、社会全体としての対応が必要であるということです。確定拠出型の年金導入の問題、多様な働き方を可能とするような環境の整備、労使紛争の処理の問題、労働時間の問題です。雇用保険については、制度の安定的な運営の確保、一層の雇用の安定、再就職の促進に資するような制度にしていくことが必要ではないかということです。
(5)は、「国際化への対応」です。本文では海外進出対策の問題とか、外資系企業対策のことも言及しておりますが、ここでは外国人労働者の問題について記載しております。1つは、「専門的、技術的分野の外国人労働者については、積極的に受け入れていくことが必要ではないか」ということです。 一方で、単純労働分野への外国人労働者の受入れについては、十分、慎重に対応すべきということです。「少子・高齢化に伴う労働力不足への対応として、移民を受け入れてはどうか」という議論もありますが、「その社会的、経済的影響は大きく、かつ長期にわたるということで、適当ではない」というご報告です。
3番目は、「企業の雇用システムのあり方」です。「長期雇用システム」ですが、これは労使双方に合理的なメリットがある、また社会全体にとっても、失業率を低く抑えるという大きな役割を果たしていますので、メリットがある限りは、引き続きそのメリットを活かすようにしていくことが必要ではないかということです。ただ、「企業が持っている雇用システムに対して、政府の政策、退職金なり年金なり税制の問題は、中立的なものに変更」していくことが必要ではないかということです。
ここには記載していませんが、本文のほうでは、「働くことについての多様な価値観が尊重され、受け入れられるようなシステムの構築が必要」であるとか、「多様な働き方が増加していく中で、働き手の権利を守るとともに、多様性を認め合う社会をつくることが必要」という記載もあります。
4番目は、「政策手法、行政体制の課題」ということで、政策手法については、不断に見直す努力が必要、あるいは政策効果については、評価するシステムを今後、検討することが必要であるということです。行政体制全体としては、産業政策も含めて、連携をとりながら、「政府一体となって雇用対策に取り組むこと」が重要であるということです。
○会 長:
どうもありがとうございました。ただいまの事務局のご説明は、失業の現状認識と、もう1つは雇用対策基本計画をこれから策定するわけですが、これに当たって、もしご注文なり、ご意見があれば、この席で承りたいと思いますので、よろしくお願いします。どなたからでもどうぞ。
○委 員:
いまのご説明の中で、3頁の下のほうに「3 企業の雇用システムのあり方等」というのがあります。そこで、「長期雇用システムは、労使双方に長期的な経営、雇用の安定というメリットをもたらし」という項目があります。これは、「長期雇用」というのをここで特別定義しているわけではないのですが、従来のままの長期雇用システムのデメリットということについては、どのような議論がなされたのでしょうか。
○事務局:
本文では32頁に記載してあるのですが、長期雇用システムについては、確かにこれはメリット、デメリットがあるのではないかというご議論がありました。メリットについては、そこにも記載しているような、安定的な雇用関係、あるいは労使関係。そういう中で、企業の行う技術革新とか事業転換に柔軟に対応して、教育訓練投資も可能であるということで、社会全体にとっては非常にメリットがあるのではないか。ただ、一方で、こういう大競争時代の中で、長期雇用システムだけではもたなくなってくる部分もあるのではないか。かなり流動化して、その中で雇用の安定を図っていく。外部労働市場に出していくことも必要ではないかというような、両者のご議論がありました。ただ、全体としては、やはりいまの企業の労使は、こういう長期雇用システムにメリットを感じておりますので、こういう仕組みを維持していくことが必要ではないか、というご議論があったわけです。そういう中で、こういう整理をしています。
○委 員:
本文に書いてあるとおりかとは思うのですが、労使が非常にメリットを感じる長期雇用システムというのは、従来の男性中心、正社員中心の仕組みということではないかと思います。したがって、それ以外の働く意欲のある人という立場から見ますと、必ずしもここに指摘のとおりではないのではないかと思いますので、その辺は是非、反映をしていただけたらと思います。
○事務局:
その点もご議論がありまして、本文の32頁に、「長期雇用システムのメリットを活かすと同時に、一方で」ということで、会社人間の話が書いてあります。その働くことについての多様な価値観が尊重され、受け入れられるような仕組み、システムを構築していくことが必要であるということで、長期雇用システムだけではなくて、いろいろな形の多様な働き方が出てくる。そういう中で、多様な働き方を尊重するような仕組みをつくっていくことが必要ではないか。また一方で、多様な働き方の中で、権利がきちっと守られていくかどうか。その辺も含めてチェックして、働き方の多様性が認められるような社会をつくっていくことが必要である、というような形で全体としては整理がされているということです。
○委 員:
数字的なもので質問をしたいと思うのですが、資料No.3の現状の数字の中です。2頁の「非自発的失業者」の部分の倒産、解雇、定年の115万人の内訳がわかりますか。
7頁の「学卒者の就職状況」の中で、バブルが終わったあと、平成7年以降、2桁の未就職者の数になっているのですが、これは新年度、新年度という数だと思いますが、累積でどうなっているのか、その辺の数を教えてください。
資料No.4の7頁の第4表の「労働力需給の見通し」の中で、2010年推計の真ん中の所で、「時間短縮(b)」とあります。これは下のほうの注を見ると、総実労働時間の短縮がみられ、パートタイム労働者が増加するということなのですが、この総実労働時間の短縮というのをどのぐらいに見込んでいて、パートがどう増加するのか。この実態値をひとつ教えてください。
○事務局:
資料No.3の2頁、非自発の内訳ですが、115万人についての倒産、解雇、あるいは定年等という内訳はないのですが、総務庁で別途特別に調査したことがあります。そのときのもので、大体、定年等、「等」は契約期間満了が入っていますが、大部分は定年です。定年が大体3割ぐらい、この「非自発」の中に入っております。それ以外は倒産、解雇が中心になると思います。
学卒については、7頁ですが、これは年平均ですが、月別にとってまいりますと、大体3月がいちばん多い数字になります。今年の3月ですと30万人です。4月が23万人ということですので、この1月間で7万人が就職しているということで、2月に向けてだんだん減っていくと。大体、去年ですと、2月はたしか12〜13万人ぐらいまで減りました。去年は3月が26〜27万人だったのが12万人ぐらいになって減っていくということですので、いまは大体12、13万人、2月にまだ残って、次の年に繰り越されていく。3月になると、また卒業生が出ますので、今年はそれに上乗せがあって30万人という状況です。
最後のご質問にお答え申しあげますが、雇用政策研究会の報告書の7頁の労働時間短縮のペースはどういう仮定をおいているのかというご質問だったと思います。現状が大体、月に150時間強程度、年間にすると1,800時間強という認識の下に、労働時間が2010年に、たしか140時間強ぐらいまで短縮される、というような仮定で計算をしております。パートのほうは、ただいま数字は出しておりませんけれども、総実労働時間の短縮に合わせて、その分パート比率が増加していく、という仮定において計算していたと記憶しております。
○委 員:
質問に対する答えは結構です。
○会 長:
ご意見も含めてどうぞ。
○委 員:
いまの7頁の表で、経済成長の次に能力開発充実により、完全失業率が3.8%になるということで、能力開発充実を非常に重要視されているように見受けられて、結構だと思います。この能力開発充実についての助成金制度がいろいろあるようですが、その周知徹底が図られているのかどうかということを、私は非常に疑問に思っているわけです。それは、私の会社でこの件についてちょっと調べましたら、年間400万、助成金をいただいていると。これは400万ぽっちというのか、それとも我々のような会社で400万もの助成金をいただいたら申し訳ないと言うべきなのかわからないのですが、そのことを関連の企業に話しましたら、知らない会社が多いのです。社内の社員教育をやる上において、そういう助成金が頂戴できるということが、どの程度周知されているのか。また、非常に条件が厳しくて、簡単な手続ではいただけないのかどうか。その辺まだ私は調べていないのです。このように能力開発を重視されていることは非常に結構なのですが、もう少し制度を簡便化されるか、あるいは周知していただくとか、そういうことはどうなのでしょうか。
○事務局:
能力開発のいろいろな助成金がありますが、これは基本的には周知徹底を図っているつもりですが、ご指摘のように、知らないというようなお声も聞こえてまいりますので、いま情報提供システムをいろいろな形で工夫しているところです。助成金の簡素化、使いやすさの点を含めて、十分、心がけてまいりたいと思っております。
○会 長:
従来から、雇用対策のメニューというのは豊富にあるのですが、どういうメニューで、どうやって利用できるのか、なかなか周知徹底しないという問題があるわけです。
○委 員:
非常にたくさんのメニューがあります。
○会 長:
だから、それをもう少し簡素化して、組織的に体系立てる必要はあると、私は思っています。
○委 員:
研究会の報告のほうは、小野先生を柱にされてまとめられた先生方の努力には敬意を表したいと思いますが、これを受けて、労働省として、どういう対応を出すかということになるわけです。その中で、先ほどの経済企画庁の経済審議会の論議もそうなのですが、どうもサプライサイド側の論理のほうが強すぎるのではないか。だから、私どものほうの立場からすると、デマンドサイドのほうの内容について、もう少し突っ込んでほしいという気持が非常にあります。
その中で、1つはグローバルの問題を含めて、規制緩和せざるを得ないという部分については、これは労働側も十分理解をしているのですが、規制緩和の中で、本来、強化をしなければならない部分が忘れられすぎているのではないか。経済的な規制と社会的な規制とありますが、社会的な規制の中では、ルールをきっちりして、そのことが遵守されれば、逆に雇用拡大につながるというような部分も中には含まれているわけで、全て規制緩和という名で、社会的規制まで取っ払ってしまうというような考え方が、どうもベースとしてあるのではないかと思っています。
連合のほうで生産性本部とタイアップして、大学の研究室に調査依頼をした内容の集約ができまして、生産性本部が具体的にそれを発表するようになっております。これは労使交渉上の問題なのかもしれませんが、先ほど時短の問題を伺いましたのは、サービス残業の問題と、所定外労働時間の問題です。このサービス残業をトータル的にゼロにすると、90万人の雇用が生まれるというデータが出てきています。所定外労働時間のほうは、170万人の雇用が生まれると、こういう実態があるのです。社会的規制の中のルールをきっちりすれば、そういう雇用は自然的に出てくるというものを、需要側のほうからの目として入れていただかないと、供給サイドだけでやっていくと、そのことが全く疎かになる。それがなぜ消えないのかというのは、もちろん総収入の関係もあるのだけれど、実際的には安いペナルティで使えるという、言うなれば残業の部分の25%程度という制度が悪用されている、という部分に繋がっているのではないかと思いますので、そういう観点も入れていただく必要があるのかなと思っております。
それから失業率の目標の問題は、3%台後半です。これは実績の先ほどの7頁の数字からいくと、そういうことになっているのかもしれませんが、いまの状況からいって、完全就業にしろとは言いませんが、日経連も連合もこの数字については、日本の実情の場合には2%台の失業率というのが、やや完全就業に近いのではないかという考え方を持っています。実態値で合わせていって3%台後半が望ましいというより、目標設定をしていって、それにどう努力していくかということを考えていただきたい。3%ちょうどぐらいを目標にしながらも、そういう道筋をどういうふうにつくるかというやり方をしていかないと、不安は全く解消しないということに繋がるのではないでしょうか。ですから目標設定については実態値ではなくて、ある部分、夢を与える部分のプラスアルファーが付いているのかもしれませんが、そういう部分を是非取り入れてもらえないかと思います。
もう1つは、3頁の「政策手法・行政体制の課題」の中のいちばん最後に、「政府一体となって雇用体策に取り組む」とあります。この姿勢は大いに結構だと思うのですが、問題はいまの予算の組立て方と、それを最終的に決定して執行するというのが、全省庁ばらばらということです。日経連と連合で、100万人の雇用創出の部分をお願いしましたら、各省庁もそのことを受けて、分野的には大体同じような分野での雇用創出計画になっているのですが、それぞれの項目を合わせますと、ほとんど擦り合わないのです。
極端な話をすれば、100万と77万と政府が言っているのを両方足せば、177万人の雇用になってしまうではないかという部分があるわけです。労働省の管轄からすれば、私は全部網羅してやっていただきたいのですが、新たに雇用を創り出す部分と、現実に雇用危機に陥っている所にどういう助成策を出すかということと、もうすでに職を失った人たちに対する手当てをどうするかという3段階の中の2番目、3番目が大体労働省所管で、1番目のほうは通産省マターから各省庁に行ってしまうわけです。ですから個別にやると個別に予算を付けて、大蔵省と折衝して最終的に全部削られて、具体的効果がどうだったのかということになりますから、政府一体としてやるとすれば、できれば雇用問題は労働省だよということで、創出まで含めて全部コントロールしていくと。予算の使い方もプールでどうするかということを考えないと、いまの実情ではとても解決できないのではないかと思っております。
もう1点は、同じく3頁の(4)の中ほどに、「確定拠出型年金制度の導入に向け、関係省庁と共に取り組む」という内容になっていますが、ちょっと危惧されるので、ここについてはできれば表現を変えてもらったほうがいいのかなと思います。いまアメリカ型401Kが何となく流行りのようで、日本に導入すれば年金はバラ色の世界になるよ、というイメージを出し過ぎているのですが、果たして実態はそうなのだろうか。日本の場合のいまの年金制度は、退職金倒産をしそうなときに、30年代に分離をしたという経過の中からいうと、アメリカ型とは違うのです。
また、いま現実にアメリカの中の401Kで行われている、大変リスキーな部分を含めると、そのまま日本に拠出型を導入してきて、それで万々歳という形には、まずならないと思うのです。ですから「導入に向け」というように、ありきに決められてしまいますと、極めて危険な状況をそのまま検討してください、そして実行しなさいというふうになりますので、確定拠出型年金を日本に導入する場合のメリット、デメリットをどういうふうに研究するかという程度のところで、是非お願いできないかと思っております。
○会 長:
何か補足することはありますか。
○事務局:
委員のおっしゃったことは、またこれからの議論の中で、いろいろ検討されることが多いと思いますので、雇用対策と労働行政のかかわりについて1つだけ言いますと、いままでの雇用・失業情勢の中では、各省がそれぞれやっていれば結構済んでいたという時代が、長く続いたと思うのです。今回、これだけの失業情勢になって、各省挙げて政府全体で雇用問題を取り組むというのは、おそらく歴史上初めてではないかと思うのです。したがってだんだんこういうことでやっていくというふうに、これから緒に付いているところではないかと思います。
例えば雇用創出にしても、規制緩和ということになると労働省の所管している行政だけではありませんから、やはり各省でそれぞれの分野で規制緩和に取り組んでいただくことになりますから、労働省が全部をするということは、なかなか難しい。むしろ協力というものをどれだけやりながら、雇用に対する責任官庁としての責任を果たしていくかだろうと思うのです。いま内政審議室のほうで、各省の取りまとめをやっているということになっておりますが、実質的には通産省と労働省とでやることになっておりますので、こういったことを徐々にやりながら、これらについて広く関与していくと。そういうことで、今ちょうどそういう体制をつくりつつある時期ではないかと思っておりますので、これはそのまま充実していかなければいけないと思っております。
○会 長:
それは私もお願いしたい。もともと雇用審議会というのは、経済審議会とも連動していますし、雇対計画も経済計画の中の1つの重要な要素で入るわけです。もともと私が経済学を勉強したのは、やはり雇用の安定と良好な雇用機会をどう創るかというのが、最大のポイントだと思うのです。そのために、狭い意味での失業対策では困ります。「雇用政策」と言うときには、やはり経済政策、社会政策そのものだと思ったからです。ですから、その中には社会保障政策も入ってくるし、産業政策も入るし、さまざまな複合的な科学を動員しながらやらないと、雇用政策はなかなか立たないと思うのです。そういう意味で私は、労働省には大いに頑張ってもらいたいと思います。この雇用審議会は政府に直接ものが言えるわけですから、そういうことで大いにこの審議会を活用しながら、雇対計画を立ててもらいたいという希望です。
○委 員:
「少子・高齢化と女性の社会進出への対応」の所ですが、特に「女性の社会進出への対応」の本文を見ますと、26頁の5と6で、それぞれ3行ずつあります。ほかの所ではかなり具体的な議論もあったようですが、これに関しましてはこういう制度があるから、それで良しという感じで、あまり議論されなかったのでしょうか。これだけのまとめに対して、労働省としてはどのように受けとめられているのでしょうか。例えば介護休業制度についてもいまの問題は、制度があってもなかなか取れないということです。特に男性が女性と同じような立場で取ろうとしても、なかなか取れないということには、雇用労働のシステムと深い繋がりがあるということは、周知の事実です。ですから雇用のあり方、あるいは労働のあり方全体にかかわるような問題が、ここには絡んでいるわけですが、それについて基本的に労働省はどういうふうに受けとめておられるのか、お教え願いたいのです。
○事務局:
いまのご指摘ですが、前般部分の1頁のいちばん下の所で、女性労働者の増加という問題と、女性労働者については就業形態なり何なりが非常に多様化しているという問題があります。そういう中で育児等を行いながら、継続就業できるように環境整備を図ることが、今後の重要な課題であるということで、ご指摘いただいております。これを踏まえまして、26頁の記述では、均等対策と育児・介護対策というものが柱立てとして書かれていると、私どもは理解しております。先ほど委員がおっしゃった、雇用システム全体とのかかわり、あるいは人事管理システムとのかかわりというのは、問題意識としては十分ございます。そういうものも踏まえての均等対策、育児・介護の両立支援、働きやすい職場環境づくりという書きぶりになっているかと、私どもは理解しております。
○事務局:
問題意識はあちこちにあるのです。
○事務局:
いま全部はご説明できなくて申し訳ございません。
○事務局:
例えばいまのお話でいくと、16頁に今後の基本的な考え方が書いてあります。16頁のUの1の(1)のAに「多様な働き方が選択肢として社会一般に受け入れられるような動き」というのがあります。要するに男性が育児休業を取っても、介護休業を取ってもいいではないかと、みんなが受け入れてくれということが重要ではないかとか、あるいは32頁の今後の「雇用システムのあり方」の第3パラグラフの真ん中辺では、「働くことについての多様な価値観が尊重され、受け入れられるようなシステムを構築する必要がある」というのがあります。具体的にはということで1行飛ばしていただくと、「育児・介護休業など、労働者が主体的に職業紹介を通じて時間を配分することができるようなシステムを構築する」ということで、いろんな所に書いてあります。確かにまとめている所というと、先ほどの26頁が目立ってしまって、何か嫌に貧弱ではないかということはありますが、このあたりの施策をどうするかは、この審議会でご検討いただければということだろうと思うのです。具体的な政策提言という意味で研究会報告自身は、むしろ問題意識を提起していただいているということだろうと思います。
○委 員:
私もそれは重々読み取っております。「多様性」とか「選択性」という言葉が、あちこちに散りばめられているということは、とても前向きだし、転換を思わせるというニュアンスは感じられます。ただ「具体的な施策を」と言ったとき、26頁にあるような書き方ですと、このようなことを今さら言わなくてもわかっていると。だからもうちょっと具体的にどういう施策をというのが出ていると、もっとコンベンシングだと思います。ですから、そういうことが読み取れるようなものにしていくことを、より積極的に考えるように要望したいと思います。
○委 員:
本当に個人の多様な選択とか流動性というのは、全くそのとおりです。いまの日本の世の中は企業とかお上から、すべて個人にくるという流れになっていると思うのです。今まではあまりにも会社におんぶにだっこで、社宅から保養所からゴルフ場の費用まで全部やってもらったけれど、もし会社が儲かったのであれば、個人の財布に一旦入れて、好きな所へ行くというのが、多分いちばん豊かさが実現できるあり方だと思うのです。
その流れは重々大賛成ですが、その目から見て思うのは、1つは中高年者やクビになった人を雇うと、事業主に助成金というのを出しますね。それをやめて、やはり個人に出すという話のほうが良いのではないか。そうすれば先ほどの会社がもらっているのもよく分からないというのも、こういう人にはこういう意欲があって、こういうことをやりたい人にはお金が出ますという話のほうが、ずっと本筋ではなかろうかというのが1つです。
それと同じ視点からいって、今度は個人の意欲に従って移動できるということは、リスクが自分ですから、自己責任というものを言わなくてはいけないわけです。このまとめの頁に、「思いがけず離職をした人」などと、またここで妙にかわいそがったりするのが、不気味な感じがするのです。しかし世の中は銀行もつぶれるし、リストラもあるのだという前提で、「思いがけず」というのは駄目なのです。「もういつでもクビになるかもしれないという覚悟はおしよ」と言わなくてはいけないのではないか。もちろん思いがけずあることもあると思いますよ。すごく貢献していたと思っているのにクビになるときも、もちろんあると思うけれど、こういう言葉があると、ああ、また何かあったらやってもらえるのだと思ってしまうのではないか。
もう1つは同じ2頁に、「活力ある高齢社会の実現のため、長年培った知識や経験が活かされるような高齢期の雇用」とあります。いまの時期は、長年培った経験が活きないのです。活きないのだから、活きそうな話というのは、私はやめたほうがいいと思います。かわいそがるのも良くないし、バラ色になりそうな話も良くないと思います。
もう1つ気になっていますのが、外国人労働者についてです。自らの意思に沿った選択をすればするほど、単純労働には行かないだろうと思います。しかし外国人を入れたら、社会的にもいろんな混乱が大きいからやめようと。やめたいという願望はわかりますが、人手も不足していて、単純労働にも行かなくなっているけれど入れない、という願望と現実というのは、やはりちょっと別にして、現実的なことを考えるのが政策ではないかと思うのです。 以上、2つの意見です。
○事務局:
1つは、労働者本人への助成というお話ですが、実は最近私どもが取っている雇用対策は、そういう方向をかなり強く打ち出してきています。昔は事業主の共同連帯で教育訓練をやるとか、高齢者の雇用を進めるということでやってきたのですが、最近は例えば高齢者の方が定年退職して、賃金が一定程度下がった格好で、再就職しているといったときに、下がった後の賃金の一定割合を補填します。これは雇用保険から補填しているわけです。失業して失業保険をもらうより、若干賃金が下がった後に、さらに失業保険の代わりに、失業保険を財源とした給付を払うことによって、雇用に就いてもらうと。要するに家でぶらぶらしているより、働きたいのだったら働いてもらうという考え方です。
能力開発にしても、いまのお話ですと会社べったりで、会社が与える訓練を受けているということだと、いつか会社が左前になってしまうかもしれないから、やはり自分で計画的に訓練を受けていく、能力開発をしていくということが、非常に重要だろうということで、これも雇用保険で労働者の方と事業主の方の保険料を財源にして、昨年12月から教育訓練給付というのをやっております。これはかかった費用の8割を本人に助成するという制度です。そういうことで最近は、とにかく自立した労働者をプッシュしていくという方向を、大きな方向として取り組んでいこうと思っております。
それから外国人につきましては、単純労働は日本人が就かないから、外国人を就けるという発想より、我々としては単純労働はできるだけ人手をかけずに機械でやってもらう、あるいは生産性を上げていくということが、重要ではないかと思っております。むしろ生産性の低い部門、あるいは人が就きたがらないような非常につらい仕事というのは、外国人を入れるということではなくて、企業の努力でなるべくそういうものを克服していくという方向のほうが、いいのではないか。これまでも人手不足のときに外国人を入れず、労使でいろいろ工夫し、あるいは企業の努力で生産性を上げることで乗り切ってきたので、これからもそういう方向で乗り切っていくほうが、いいのではないかと思います。社会的なコストとかいろいろなことを考えると、移民問題はさらに大きな問題になると思いますが、単純労働の外国人を入れるというのは、やはり慎重に対応したほうがいいというのが、私どもの考えです。
○事務局:
自己責任といった問題ですが、これからは、やはり自主選択、自己責任というものが活かされるような社会を、つくっていく必要があるのではないかということで、理念などが書かれています。その中で「思いがけず離職した」という表現がありますが、ここは確かに将来的にそういう自己責任とか、自分の選択というものを強調して、個々人が主体的に行動できるような社会を目指すということがあるのですが、短期的にいまど こに重点を打つかというと、自発的に離職している人よりも、中高年で一定の再就職が困難な人に、重点を置く必要があるのではないかと。「思いがけず」というのは、ちょっと表現が適当かどうかということはあるのですが、短期的にはそういうところがやはり重点ではないかということで、ご議論を踏まえて書かれているという経過です。
○委 員:
いまの自己責任に関係して、これからの短期的という問題も、もちろんあるのですが、同時に長期的な施策を打っていかなければいけないと思います。中長期的に、あるいは短期を含めて考えても、専門的知識や能力というのが、いま非常に求められています。その変化のスピードも非常に速く、情報、技術、金融、あるいは私の関係しておりますようなファッション関連でもそうです。これを長期雇用の中で補助金をもらいながらとか、いろんな形で企業が教育するというのは、間に合わないと思うのです。ですから私は個人的に、長期雇用で日本の伝統的な良さを活かしながらというのが、非常に重要なスタンスなのだけれど、同時に専門的能力を持った人たちが、非常に流動的にチャンスと個人の意欲によって動くことを奨励するような仕組みも、片方でつくらなければいけないのではないかと思います。
それに関して専門的職種、あるいは職務の標準化というものが、日本では全くできていないのです。ですから企業内で同じような仕事をしている人も、やっている内容や守備範囲、要求される知識レベル、技能レベルが違うということで、流動性が持てないわけです。例えばこの施策の中に専門的な職能で、かなり広い業種、あるいはたくさんの企業に関係するようなものについて、何らかの専門職務のモデルというものを明解にして、そのジョブのグレードを明確にして、標準化されたスペックの人間が雇用市場を流動的に動きやすくするというのも、非常に重要な施策ではないかと思いますが、その点はいかがですか。
○事務局:
実は22頁にCというのがあります。ここではいまお話のように、とにかくグローバル化の中で国際競争力を維持していくためには、人材の高度化を図っていくことが重要だということで、そういう中で職業能力評価制度の活用に対する期待が高まっております。そのために企業内外で求められている労働者の職業能力を適正に評価できるよう、職業能力評価制度の整備充実を図るということで、問題意識は持っているのですが、どうも企業内特殊的技能・知識というものが、何となく蔓延っているものですから、そういった中でこういったものをどれだけ客観化するかというのは、なかなか難しい課題です。
○委 員:
これは是非お願いいたします。
○会 長:
第9次雇用対策基本計画を策定するに当たり、若干お願いがあります。この雇用政策研究会の報告は大変よくできて、まとまっていると思うのです。 ただ、あちらこちらにあまり気配りしたために、どこにウエートがあるのか、ちょっと不明確なところがあるので、どういうふうにウエートを付けて基本計画を立てるかというのは、大変重要だと思うのです。
その中で私は2つの点を指摘しておきたいと思います。1つは、学校卒業生の紹介状況、就職状況が出ておりますが、いま高卒の進路状況の統計を見ておりますと、進学者もおりますが、これは大学、短大はほぼ横這いです。ところがいま東京と神奈川は、就職者と無業者は絶対数が逆転していて、無業者のほうが多くなっているのです。一体これをどう見るかです。
それから失業統計を見ても、25歳未満層が10%台と高いのです。しかも不況の時期は減るはずの自発的失業者が、減っていないのです。好不況にかかわらず、それだけ高い失業率です。これはやはり若い者の職業選択行動なり価値観が変わってしまった面もあると思うのです。ですから、ここのところは学校教育、学校紹介、高校の紹介制度をどういうふうに見直していくかです。インターンシップ制度とか、勤労体験プラザなどの評価が出ておりまして、これも私は高い評価をしますが、その辺全体を学校紹介も含めて、新規学卒者が新しい成長産業分野にちゃんと入職できるシステムを、組織的に体系立てる必要があるのではないでしょうか。この辺の叙述が弱いのではないかというのが1つです。
もう1つは、今度は60歳台の高齢者の問題です。少子・高齢化社会ということで、大変重要なテーマにはなっているのですが、60歳台の65歳までは労働政策の縄張りですよというのは、折角労働省と厚生省が統合するわけですから、もう少し年齢を65歳できちんと線引きせずに、70歳近くまでが雇用対策の対象になるようなことを考えないと、まずいのではないかと思います。その際、60歳未満層の働き盛りの人の労働市場と、60歳台になると健康の個人差も目立つし、労働からの引退過程に入っていくわけですから、労働市場の性質がちょっと違うと私は思うのです。ですから、その辺について何がしかの公共サービスがないと、とても高齢者の雇用就業機会というのは満足に、また引退もスムーズにいかないと思うのです。その辺をどういうように理論構成しながらいくかというのが、もう1つのポイントだと思うのです。
ここでシルバー人材センターとかシニアワークが触れてありますが、これをどういうように理論的に位置付けていくかというのは、私は大きな問題があるのではないかと思います。その点がこの報告書の認識の理論的枠組みでは、どうも弱いなと思います。身体障害者や心身障害者のハンディキャップを持っている方々の対策も、ちょっとおざなりに触れ過ぎるのではないかなという印象が大変強いのです。その点について雇対計画のほうで小野さんの研究会報告には、私は注文を出したいなと思います。
○委 員:
これは第9次ということですが、第8次の計画を作ったときは、5年ぐらいの計画でやったわけです。ところがたしか3年ぐらい経ったら、経済情勢や雇用情勢がガラッと変わってしまったのです。今回は10年ということですが、果たしてここでまとめたことが10年間持つのかというと、おそらく持たないと思うのです。ですから、そういうことを前提にして、途中で手直すというような少し余裕のある、ゆとりのある作り方をしていってはどうだろうかという印象です。
○会 長:
前は5カ年計画で、途中で見直しがあったと思いますが、10年では絶えずアフターケアをしなければ駄目でしょうね。時間も迫ってまいりましたが、どなたかございますか。あと、議題になっております雇用対策基本計画を策定するに当たっては、小委員会を設けたいのですが、そちらのほうでいま皆さん方から伺った意見を鋭意取り入れながら、検討を進めていただきたいと思います。まだいろいろご意見もあるかと思いますが、そういうことでこの議題はよろしいでしょうか。
(異議なし)
○会 長:
では次の議題で、いま申し上げました雇用対策基本計画の策定に当たって、資料No.5をご覧いただきたいと思います。このための審議の進め方ですが、小委員会を設けて、そこで精力的に検討されて、その結果をここの総会に報告して、決定していくという手順で進めたいと思います。ここに小委員会のメンバー予定として、それぞれ公労使の方々にお願いして、こういうメンバーで進めたいと思いますが、いかがでしょうか。雇用審議会では従来から雇用対策基本計画は、小委員会をつくって検討して、労使の代表に入っていただいておりますので、今回もそういうことで進めたいと思います。何かご意見はございますか。座長には引き続き小野旭先生にお願いしたいと思っております。そういうことでお手元にお配りした名簿でお願いするということでよろしいですか。
(異議なし)
○会 長:
では小委員会の皆様にはご審議のほど、よろしくお願いしたいと思います。今後のスケジュールは事務局から、よろしくお願いします。
○事務局:
今後のスケジュールですが、小委員会のほうのスケジュールは、委員の皆様方のご都合を伺いながら、今後調整させていただきたいと思っております。小委員会で大体3回ほどご議論いただいて、小委員会としての検討結果を取りまとめていただきたいと思います。その検討結果につきましては、この総会で再度ご議論いただいて、取りまとめをお願いしたいと思っております。 全体の作業スケジュールは、経済審議会の議論の進捗状況との関係もございますので、いまの時点であまりはっきりは言えませんが、早ければ7月中ぐらいに最終報告としての答申をいただければと。大体そういったメドで進めさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○会 長:
かなりのハードスケジュールになりそうですが、小委員会のメンバーの方、ひとつよろしくお願いします。それでは本日の案件はこれで終了いたしました。ほかに何かご発言はございませんか。
○委 員:
1つだけお願いがあります。従来どおり労使とおっしゃいましたが、是非労働組合という組織の論理ではなくて、一人ひとり働く人という観点でお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○委 員:
それは全くそのとおりだと思いますよ。今はあまりこだわりはありませんし、6、000万人雇用の労働者の全部をどう見るかです。もっと言えば給与生計所帯が、国民の中の81.5%なのですよ。そこにどう目を入れるかということをやらないと。我々としては個別の利益などを求めるつもりは全くありません。全体をどう見るかです。
○会 長:
それぞれ事実上、個人で参加ということになると思います。バックの組織があると、責任者はなかなか発言しにくい面があるだけです。
○委 員:
いや、最近はそうでもないですよ。結構勝手なことを言っておりますから。
○会 長:
それでは本日の審議会はこれで閉会したいと思います。
(署名委員の指名)
次回の会議については、いま申したように事務局のほうから相談の上、後刻また連絡申し上げますので、よろしくお願いします。今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。
| (注) | 本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、大臣官房政策調査部総合政策課 03-3593-1211(代)までお願いします。 |