雇用審議会総会 議事録

1日時 平成10年12月21日(月) 10:30〜12:00
2場所 労働省共用第13会議室
3出席者 【委 員】  市川佳子、岩瀬孝、大宅映子、小野旭、尾原蓉子、佐伯昭雄、笹森清、関英夫、高梨昌、田島優子、田嶋義明、浜田広、福岡道生の各委員
【事務局】  征矢労働事務次官、渡邊職業安定局長、日比職業能力開発局長、坂本政策調査部長、鳥生総合政策課長、太田雇用政策課長
4議題 (1)会長及び副会長の選出
(2)雇用審議会の公開について
(3)最近の雇用失業情勢について
5議事  

○事務局:
 ただいまから、雇用審議会を開催します。本日は、第20期委員による第1回目の雇用審議会ですので、会長が選任されますまで、事務局で議事を進行させていただきます。
 皆様方には、大変お忙しい中、引き続き、あるいは新しく委員をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。今回、新たに委員になられました方は6名です。本日は4名の方が出席されておりますのでご紹介申し上げます。ゼンキン連合政策教育部門局長の市川佳子さん、宮城県中小企業団体中央会会長の佐伯昭雄さん、全国ガス労働組合連合会中央執行委員長の田嶋義明さんです。なお、旭化成工業(株)ファッションビジネス人材開発部長の尾原蓉子さんは遅れて出席の予定です。本日は欠席ですが、経済団体連合会事務総長の内田公三さんと、東京急行電鉄(株)代表取締役社長の清水仁さんが新たに委員となっておりますのでご報告いたします。
 また、本日ご出席をいただいております、弁護士の田島優子さんは、既に今年の3月2日から委員にご就任いただいているわけですが、就任後初めて開催される会議ですので、改めてご紹介させていただきます。
 次に、会長の選出をお願いいたします。会長については、雇用審議会設置法第5条により、委員の互選によって定めると規定されておりますので、どなたかご推薦をいただければと思います。

○委 員:
 日本労働研究機構会長の高梨さんをご推薦申し上げます。

○事務局:
 ただいま、会長は高梨委員にお願いしてはどうかというご提案がございましたが、いかがでしょうか。

(一同異議なし)

○事務局:
 皆様方のご賛同が得られましたので、高梨委員に会長をお願いいたします。会長には、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

○会 長:
 雇用失業情勢は大変深刻な事態ですので、雇用審議会でも大いに議論していただいて、皆様方のお知恵を拝借しながら対策を講じていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、副会長を選出したいと思います。副会長については、雇用審議会設置法5条により、委員の互選によって定めるとされておりますが、慣例上会長が推薦することになっていると伺っておりますので、引き続き小野委員にお願したいと思いますがいかがでしょうか。

(一同了承)

○会 長:
 それでは小野委員、よろしくお願いいたします。

○会 長:
 本日は、第20期委員の最初の総会ですので、事務次官からご挨拶をいただきます。

○事務次官:
 委員の改選が遅れてしまい誠に申し訳ございませんでしたが、今月18日付で改選が行われました。再任された委員の皆様方には、引き続き大変お世話になりますがよろしくお願いいたします。今回、6名の方に新たにご就任いただきましたが、大変お忙しい中をありがとうございます。どうか、よろしくご指導をお願いいたします。
 最近の雇用情勢等につきましては、大変厳しい事態が続いているわけです。完全失業率4.3%、有効求人倍率0.48倍という、過去最低の水準で推移しております。それに対応し、緊急経済対策が策定される中で、雇用活性化総合プランを定め、補正予算も組み、これから対処しようというところでございます。来年度の予算についても最終的な調整が行われているところであります。最近の状況等を踏まえ、その辺の事情をご説明し、皆様方の率直なご意見等をお伺いできれば大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○会 長:
 議事に入ります。最初は、雇用審議会の会議の公開についてですが、雇用審議会としての今後の方針をお諮りし、皆様方の意見を伺っていきます。いままでの経緯について、事務局から説明をお願いします。

○事務局:
 雇用審議会の会議の公開の取扱いについてご説明いたします。
 資料No.2「行政改革プログラム」が、平成8年12月25日に閣議決定されております。第3の1の(2)で、「審議会等の在り方について」は、「会議、議事録等の公開をさらに推進する」ということになっており、「その公開等の推進状況については、半年ごとにフォローアップ調査を行い、その結果を公表する」ということで取り組んできております。
 雇用審議会においては、「行政改革プログラム」を受け、平成9年6月25日の総会において、議事録を公開するということで決定しております。その際、会議の公開については、「会議の公開により、公正かつ中立な審議に支障を及ぼす恐れがある」ということで、会議自体については非公開という取扱いになっております。以後、そういった取扱いで対応してきておりますが、行政改革プログラムにありますように、「会議等の公開をさらに推進する」ということで、政府全体としては、会議自体を公開する審議会が非常に増えてきております。また、行政情報の公開を望む声も大変高まってきており、審議会についても公開してほしいという要望も出されてきております。
 こういった状況を受け、労働省の審議会のうち、公労使の三者構成については、相反する労使の利害に関する事項について審議することが多いということで、公正中立な審議を確保するという観点から、公開はなかなか難しいが、学識経験者のみで構成する審議会については、審議への影響等の懸念が少ないので、公開する方向で各審議会において検討をお願いしたいということで取り組んでいるところです。
 当審議会においても、公開についてのご議論をお願いしたいと思っております。申し上げるまでもなく、雇用審議会の委員構成は、雇用審議会設置法第3条で、「学識経験のある者のうちから選任」ということになっておりますので、こうした事情を踏まえ、よろしくご審議をお願いしたいと思います。

○会 長:
 事務局から説明がありましたように、こういう状況を踏まえ、審議会の運営の透明性の観点から、この会議については原則公開することとしたいと思いますがいかがでしょうか。

○委 員:
 原則公開は賛成ですが、説明の中で、公正中立を阻害する要因として三者構成になっているわけですが、利害対立の部分があるのでこの審議会もいままで非公開だったという説明として、理解して良いのか。

○事務局:
 平成9年6月の総会では、まず議事録を公開しようということでした。会議自体については、利害の対立があるからということではないのですが、そういう支障を及ぼす恐れも懸念されるので、当面は議事録の公開だけでいきましょう、ということだったと理解しております。

○委 員:
 私自身は、恐れがあるとは思っていませんが、委員の選出の仕方が、それぞれの代表としてイーブンで出されているということではなく、有識者というジャンルで括られているとすれば、当然対立部分は対立部分としてあってもいいのですが、会議そのものの公開も必要だと思います。

○委 員:
 対立しない人を入れたのでは何の意味もないので、対立した色々な意見があるところで審議するから審議する意味があるわけです。対立した意見が言えないような人だったら出さなければいいのです。オープンにするのは当然のことだと思います。

○委 員:
 労働省の三者構成の委員会のあり方のほうを検討すべきであると思います。審議会を統合するとか抜本的に考え直してほしい、というのが基本的な気持です。この審議会は有識者ということになっておりますので、三者構成という枠が入っていませんから公開は当然です。三者構成という枠が入っているからというのも何とかできないかと思っております。

○会 長:
 今のところ、三者構成のほうは公開になっていない。

○事務局:
 議事録だけ公開しております。

○会 長:
 この審議会としては、原則公開するということでよろしいでしょうか。

(一同異議なし)

○会 長:
 他の審議会についても、労働省に引き続きご検討いただくということでよろしくお願いいたします。会議は、次回から公開にいたします。
 次の議題に入ります。「最近の雇用失業情勢の現状」について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局:
 資料No.3に基づき、最近の雇用失業情勢についてご説明申し上げます。
 1頁は、失業率を見たものです。この10月の完全失業率は4.3%で、過去最高水準で推移しており、有効求人倍率は0.48倍で、これも過去最低水準で推移している状況です。失業率は、平成9年は3%台で推移していましたが、平成10年4月に4.1%と初めて4%台に乗り、6月に4.3%と過去最高になり、7月は4.1%で若干落ち、8月から10月まで連続3カ月4.3%で推移している状況です。
 有効求人倍率は、昭和53年の0.51倍が最低だったわけですが、それを更新して平成10年10月は0.48倍まで落ちてきている状況です。
 棒グラフは、雇用者数の増減を対前年で見たものです。平成10年2月に対前年同期で初めて減少に転じ、10月は10万人減となっております。9月は対前年同期で35万人減となっていることから、減少幅が減っているということは言えるかと思います。
 2頁ですが、平成10年10月の完全失業者数は実数で290万人となっております。平成9年10月と平成10年10月の失業者数を比べたものですが、会社の倒産や解雇等による非自発的な失業者が増えている状況です。非自発的理由による離職者は、平成9年10月に56万人だったのが、平成10年10月には38万人増えて94万人と著しく増加幅が大きいです。
 次の自発的理由による離職者は、100万人から112万人と増加しており、学卒未就職者、主婦・その他などがそれぞれ横ばいで推移していますので、非自発的離職が際立っているような状況にあります。
 3頁は、地域別です。全国平均が7〜9月で4.2%ですが、これを超えている所は北海道の5.2%、南関東の4.7%、近畿の5.2%、九州の4.6%となっております。地域の事情があると思いますが、南関東や近畿では、製造業も非常に集積しておりますが、金融機関等をはじめとするホワイトカラーの集積が多い地域であります。また、自発的失業の高い若年者の就業者数も多い、という特徴もあります。北海道については、金融問題もあるかと思いますが、公共事業の影響も現れているということもあると思います。九州地域においては、アジアの経済不況の影響をかなり強く受けている面もあるのではないかということが考えられます。地域的にも、かなり失業率にアンバランスがあります。
 4頁は、産業別に失業状況を見たものです。産業別の雇用者数の平成9年10月との比較ですが、建設業で22万人減、製造業で48万人減と、減少幅が大きくなっております。運輸・通信で6万人減ですが、卸・小売・飲食では13万人増、サービス業で48万人増となっております。卸・小売では地方における大型店舗の進出等の影響もあるようで伸びております。サービス業は、他の産業に比べて健闘しております。最近の我が国の開業率、廃業率を見ると、製造業では廃業率の割合が高くなっていますが、唯一伸びているのがサービス業ということもあり、そうした一面も表していると思います。
 5頁は、年齢別の雇用・失業情勢です。24歳までが7.6%で、これは非自発を中心とした失業率であります。60〜64歳の6.8%が際立っております。一方、有効求人倍率は、24歳までは0.74倍と比較的高くなっております。35〜44歳が最も高く、高齢者になると0.06倍と極めて低い状況です。
 6頁は、主要先進国の失業率を見たものです。日本が4%台であるのに比べて、アメリカが4.5〜4.6%で最近は推移しております。カナダは8%台、イギリスは4%台、ドイツ、フランスは10%の前半、イタリアは11%となっております。
 ILOの基準によって調整したものを載せておりますが、日本の3.4%に比べて、アメリカの4.9%、カナダの9.9%、イギリスの7.1%等となっております。ILOの基準で調整したというのは、日本やアメリカは、労働力をアンケート調査で統計を取っておりますが、ドイツやフランスは、失業保険の受給者数を基にしています。ドイツでは、在職で求職活動をしている人も数字に含まれているというようなことがありますので、この辺をアンケート型に調整してみると、こういった数字になります。日本だけ見ると上昇しているのですが、先進各国と比べると、4%台の低い状況で推移しているということです。以上です。

○会 長:
 ただいまの説明について、ご質問、ご意見はございますか。

○委 員:
 有効求人倍率ですが、24歳以下が0.74倍で、60〜64歳が0.06倍となっています。35〜44歳が0.90倍と一番大きいのですが、今までもこうでしたか。

○事務局:
 過去の数字でも、45歳未満が高い傾向だったと思います。

○委 員:
 若い方は、沢山失業するけれども、また求人があって仕事がある。若いほうの有効求人倍率が高くて、右下がりになっていたような記憶があったのですが、記憶違いかもしれません。

○事務局:
 離職する人も少なくなっているのだろうと思いますが、調べてみます。
 25歳未満も、昨年ぐらいまでは1倍を超えていたのですが、全体の影響を受けて下がってきていることは事実ですが、相対的にまだ若いほうが高いということです。

○委 員:
 2頁のデータによると、失業者が大変増えているということになっているわけですが、非自発的理由による離職による失業が94万人ということで、前年同月に比べて随分増えています。自発的理由による離職者が依然として高いのですが、これはどのように説明するのですか。

○事務局:
 30歳未満の離職者の7〜8割は自発的理由で辞めている方が圧倒的に多く、理由には、会社の先行き不安というものも入っていて、あらかじめ自分で先に辞めるという人も含まれますから、そういうことも影響していると思います。
 失業率4.3%、300万人近いという中には、これだけの方が自ら転職しているという状況はあるのだろうと思いますので、その辺よく注意して見ないと、300万人という数字だけが一人歩きすると大変危険ではないかと思っています。いずれにしても、30歳以下は非自発が圧倒的です。

○委 員:
 求職理由別の失業者の内容ですが、年齢別、性別のもっと細かいデータはお持ちですか。

○事務局:
 年齢別では、25歳未満で非自発が8万人、自発が27万人です。全体で62万人の失業者です。25〜34歳は非自発が17万人、自発が43万人、全体の失業者数が71万人です。35〜44歳では、非自発が14万人、自発が18万人、全体で42万人です。45〜54歳では、非自発が20万人、自発が14万人ということで、ここで初めて自発と非自発が逆転します。全体で44万人です。55歳以上になると、55〜59歳で非自発が12万人、自発が5万人、全体が22万人です。60〜64歳では、非自発が23万人、自発が4万人、全体で40万人です。
 性別については、この原データをコピーして配付させていただきますので、後ほどご確認していただきたいと思います。

○会 長:
 この労働力調査を細かく整理した時に、雇用・失業情勢を深刻に考えたのは、働き盛りの30代、40代の非自発的失業率が、6月以後高まってきているということです。若い層は、自発的失業率がもともと多いので、親がかりの男女の自発的失業率がいちばん高く、安易に離職しているのではと考えました。60歳のところで非自発が多いのは定年退職がありますから、ここがどうなるかということです。
 製造業が減少し始めたのは今年に入ってからですが、建設業は昨年の秋からで、今年は横ばいになりつつあります。製造業はちょっと心配です。中規模企業の減少率が高く、大規模企業は大体横ばいです。この夏ぐらいから、30人未満の零細の所が少し減り始めているという状況があります。私が、労働力調査を丹念に整理した結果、こういう状況になっておりました。

○事務局:
 有効求人倍率の関係ですが、ここ数年を見ると、35歳から44歳が一番高く、傾向はそれほど変わっておりません。

○会 長:
 こういう失業情勢の中で、どういう雇用対策が必要かということになってきます。若者には転職より定着の勧めを言っています。高齢者の問題は、独自に色々やらなければなりませんが、それぞれの方に考えていただくこととして、次の議題に移らさせていただきます。
 最近、我が国の経済の厳しい情勢に鑑み、緊急経済対策が策定されました。この中には、雇用対策、雇用活性化総合プランの実施ということがうたわれております。この概要について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局:
 資料No.4に基づき、ご説明申し上げます。当面の厳しい経済情勢に対応するためということで、11月16日付で、緊急経済対策が閣議決定されました。その労働省関係部分を抜粋しております。「はじめに」のところで、日本経済を平成11年度、平成12年度のうちに回復軌道に乗せる第一歩ということで、今回立案されたわけです。その中で、平成11年度に3つの目標を達成するという中の2番目に、「失業者を増やさない雇用と企業の推進」という項目が盛り込まれております。
 緊急経済対策の総論部分では、政府としては、100万人規模の雇用の創出・安定を目指して、総事業規模17兆円超の事業を緊急に実施する、ということが盛り込まれております。
 この総論を受け、各論部分では、「産業再生・雇用対策」という項目が設けられており、雇用対策として、早急な雇用の創出及びその安定を目指し、ということで、中小企業における雇用創出をはじめとした施策を内容とする「雇用活性化総合プラン」を実施し、産業再生計画に沿った新規開業、あるいは、その成長支援等による新規雇用の創出を行い、雇用情勢に臨機に対応して、「緊急雇用創出特別基金」を創設する、ということが盛り込まれております。第2パラグラフで、以上により事業規模1兆円程度の施策を実施する、第3パラグラフでは、労働移動の円滑化を図っていくための施策を整備する、ということが盛り込まれております。
 雇用活性化総合プランは、全体として5つの柱で構成されております。
 第1の柱は、総量としての雇用の場の拡大ということで、労働力の需要側に対する支援措置です。1番目は、新規雇用の創出のための対策です。中小企業における雇用機会創出のための支援の強化ということで、創業・分社化、あるいは異業種への進出を行う中小企業の人材確保を支援するために、法的整備を行うということです。この点については、先般の臨時国会において、中小企業労働力確保法の改正を行って措置したところです。2つ目は、緊急雇用創出特別基金の創設です。今後の雇用情勢に臨機に対応できるように、中高年の非自発的失業者に必要な雇用機会の提供を行うために基金を設けることになっております。
 2番目は、臨時・短期的な雇用・就業の場の掘り起こしということで、シルバー人材センターに事業を発注する地方公共団体に対する奨励措置といったものを通じて、臨時・短期的就業機会を提供する。あるいは、障害者の臨時・短期的な雇用の場を、官民連携してこういった場を確保していく。また、日雇い労働者の雇入れの促進といったこともここに盛り込んでおります。
 3番目として、解雇等の防止、雇用の維持安定ということです。雇用調整助成金について、機動的、弾力的な運用を行うということです。業種指定を全国一律ではなく、地域を限って、その地域で特に落ち込んでいる業種を指定できるように弾力的な運用をしていきたいということです。2つ目に、失業なき労働移動への支援とありますが、中高年労働者が失業という状況を経ないで、次の雇用の場に円滑に移動できるために、受入事業主に対する支援措置を講ずることにしております。また、65歳までの継続雇用についても積極的に推進することにしております。
 第2の柱は、労働者の就職支援対策(エンプロイアビリティの向上)、労働力の供給側に対する支援措置ということです。1つ目には、中高年の労働者の雇用対策です。中高年求職者の就職支援プロジェクトを実施することにしております。各種講習やカウンセリングを行います。また、ミスマッチを解消して、就職に結び付けるためのモデル事業を実施します。さらに、民間教育訓練機関を大いに活用した、職業訓練等を積極的に実施することにしております。
 2点目の若年者の雇用対策としては、早期離転職者のための相談コーナーを設けるといったような形で、若年者に対する積極的な就職支援対策に取り組んでいくことにしております。また、来年3月新卒者の就職支援のための事業についても取り組んでいくことにしております。
 3点目は、障害者の雇用対策です。医療機関等と連携をしたジョブガイダンス事業に取り組むことにして、障害者に対する在宅就労支援事業についても取り組んでいくことにしております。
 4点目は地域の雇用対策。5点目は能力開発対策ですが、ホワイトカラーを対象としたアビリティガーデンといったものを活用し、職業能力開発を積極的に展開してまいりたいと思っております。また、能力開発促進センターで夜間コースを導入し、離転職者訓練を拡充してまいります。この12月1日から新たに施行された教育訓練給付制度を積極的に活用し、労働者の主体的な能力開発に対する取組みを支援してまいりたいと思っております。
 第3の柱が、労働力需給のミスマッチの解消のための措置施策です。「産業雇用情報ネットワーク」の構築、経済団体と連携した求人情報をネットワーク化する。あるいは、求職者が自己検索端末でいろいろな情報を引き出せるような機能強化を図ってまいりたいと思っております。
 第4の柱が、失業中のセーフティネットの確保です。失業給付期間の訓練中の延長措置についての拡充を図ってまいりたいと思っております。
 第5の柱が、緊急雇用開発プログラムのさらなる推進です。雇用調整助成金の給付率の引上げとか、特定求職者雇用開発助成金の支給対象者の年齢を45歳まで引き下げるといった取組みを行っているわけですが、こうした施策について、さらに推進していくことにしております。以上が、雇用活性化総合プランの概要です。
 参考配付しておりますが、今回の緊急経済対策の中で、100万人規模の雇用の創出・安定を目指して、といった取組みを行うことになったバックグラウンドとして、「政労使雇用対策会議」がこの9月から発足しています。この中で、労使双方から100万人の雇用創出といったご提案をいただいております。こうした状況を踏まえ、また、先ほどの雇用情勢の説明の中にありましたように、非自発的離職者が100万人程度に増加してきているような状況も念頭に置きながら、100万人規模の雇用の創出・安定に取り組んでいくところです。

○会 長:
 ご質問、ご意見はございますか。雇用需要というのは、経済活動の派生需要ですから、労働省自体ではなかなかやりにくいので、産業政策とか、景気政策とどう連動させるかが一番のポイントだと思います。プランの中では、労働省関係部分とありますが、他の省庁との連携はどうなっていますか。

○事務局:
 100万人規模の雇用の創出・安定については、労働省だけでできる施策ではありませんので、政府全体として取り組む目標ということで、総論部分に明記しております。
 雇用対策では、産業再生計画に沿った新規開業等について、新規雇用の創出の部分では、十分、産業政策と連携を取って展開していくことにしております。特に、中小企業における雇用創出等については、先般、中小企業労働力確保法の改正を行いましたが、これは、通産省、中小企業庁と密接に連携を取りながら、今後展開していくことにしております。

○会 長:
 労働省は、雇用対策を労働力確保法とか、地域雇用開発促進法とか、色々個別にやってきていますが、基本的なのが雇用対策法3条にあるわけです。この中身は抽象的なことしか書かれていませんが、具体的には個別にやられているけれども、これを全体に体系化する考え方はないのですか。

○事務局:
 雇用対策関係法は、時代の時々の要請に応じて、具体的な法律を個別に地域であるとか、経済状況等と絡みながら、個別効率で対応してきているわけです。雇対法で雇用対策の基本法としての位置付けをしっかりする、というところまではまだ検討してはいないのですが、いずれ課題になるという気はしております。

○委 員:
 政府全体の経済回復の見通しが全体として非常に甘かったために、それと連動した雇用対策をこれだけ網羅的に挙げてあるわけです。経済政策以上に、雇用対策というのは国民に浸透するまでに時間がかかります。いま先進国共通の現象として、雇用なき成長と言われています。普通、失業率というのは半年ぐらいですが、今回の場合は相当遅れるのではないだろうか。その辺の見通しは何か立てているのでしょうか。
 アメリカでもヨーロッパでも全部遅れています。かつての循環不況の時代とは全然変わってしまっています。そういう意味で、日本の高い失業率と、かなりの量の失業者の状態が相当続くのではないだろうか、という感じがするのですが、その点について何かお考えを持っていますか。

○事務局:
 大変難しいご質問ですが、政府としては、その辺の対処として、これから最終的に決める経済見通しと政策の基本的態度の中で、とりあえず来年度をどう見るか、という話になろうかと思います。
 成長率を来年度はプラス実質でどのぐらいに見るか、それとの関係で失業率をどう見るかということであります。従来の見通しに比べると、来年度についてもかなり厳しい見通しをしております。
 それは年度平均の話ですが、それが、どんなスケジュールで、どうなっていくかというのは難しいところです。一般的には、景気の底が何時ごろ見えて、それがどう反転していくか。それに応じて、少なくとも有効求人倍率は景気と大体並行していきますから良くなっていくであろう。ただ、失業率については滞留状況が続いていく。それが、どこまで続いて、どうなっていくか。その滞留状況の続き具合も、過去の景気と比べて相当深刻で状況が違っていますから、長引くことが予想されるとは考えております。どの辺のレベルまで行ってどうなるか、それがどうかということについては、難しいと考えております。

○委 員:
 関連してですが、雇用対策基本計画は、経済計画とともに、全く現状を反映しないような状況になってしまっています。それを、途中で見直すとか、経済計画との連動があるのでしょうが、いまの話との関連が出てくるわけですが、どういうお考えがあるのでしょうか。

○事務局:
 現在の経済計画及び雇用対策基本計画が現状と相当乖離があることははっきりしているわけですが、それを見直して新しい経済計画を作るか作らないかというところについては、政府の政治的な判断があるわけです。一時、新聞等に経済企画庁長官の発言等も載りましたが、現状において具体的な動きはありませんが、いまの計画のままで良いとは言えない、というのははっきりしています。

○委 員:
 日本の構造改革が進まない根っこは、失業したら困るという不安だと思います。今までは、企業や役所が終身雇用だとか、色々な形で何とかしてあげる、という形でずっと守ってきました。企業の中には失業者のような人が結構いる。明らかに窓際とわかってもクビにしない、という体制で来たわけです。それは、今更もう無理だと理解しております。
 失業者を増さない雇用と起業の推進とありますが、失業者を増さないということではなくて、失業しても他がある、色々な場が提供される。しかも、個人を強くしなければいけないと思います。企業を強くするのではなくて、どこかほかへ行けるという個人の能力を増すということを一番やらなければいけないことなのではないかと思っています。
 その見方で見ると、若年者は自分で勝手に辞める。自己責任で辞めるわけですから、その人たちに対して無理して手を差し伸べる必要はないと思います。早期離職者のための相談コーナーとか、積極的な就職支援対策などというのは余計なことだろうと思います。こんなところにお金をかける必要は全然ない。食べる物がないから助けてくれと言っているのではなくて、何店の何とかでなければ食べないとか、この味は私の好みに合わないから食べないと言っている人のために、高級なものまで提供する必要は全然ない。自分で探したらどうですか、ということだと思います。
 問題は、今までは最後まで雇ってもらえると思っていたのに、世の中がこうなったから、リストラでクビですと言われる中高年の人たちだろうと思います。その時に、事業者に対する助成とか、受入事業に対する支援というのが間違っているので、個人に力を付けるためにお金を支給すべきだと思います。そういう意味で、教育訓練給付制度等というのは、どういうものなのか。つまり個人が、「もう少しああいう所で力を付けていけば他の所へ行けるかもしれない」という、希望を持たせることが大事、そこにお金を出してほしいと思っています。
 そういう中で、「職業訓練」という言葉はやめていただきたいという気がします。「エンプロイアビリティ」などという難しい名前を使うのであれば、「キャリアアップ」とか、もう少し夢のある言葉にしてもらいたい。「職業訓練」だったら、ほとんどこれは諦めたほうがいいかなと思ってしまいます。個人を強くするという発想に、動きたい人が動けるような形にする。それで、個人に力が付けられる、というような夢が与えられるようなことをやっていただきたいと思います。

○会 長:
 最近の労働政策は、そういう方向に動いています。

○委 員:
 事業主にあげるというのが気に入らないのです。中高年者を雇ったらお金を出す、という話でしょう。

○会 長:
 教育訓練給付金はそうではなく個人です。

○委 員:
 受入れ事業所に対してと。

○会 長:
 それも支援して、両方支援していくという考え方です。個人のほうに傾斜しつつあります。

○事務局:
 「職業訓練」という言葉についてのお話がありましたが、例えば組織も変えて、「職業能力開発」というような言葉にしております。ここは、昔の「職業訓練」という言葉が出てきたのですが、これは変えます。

○委 員:
 今までのイメージで、「まずくてもいいからこれを食え」という感じがしてしようがない。皆もっとおいしい物を食べたいと思っているのに、「これで栄養は満点ですから、これを食べていれば生きていけます」というようなイメージがある。

○委 員:
 今は、様々な省が「ベンチャー企業の支援」とか、何かで「ベンチャー」という言葉が使われています。労働省として、ベンチャーでどれ程雇用の創出ができるのか。既存の中小企業を活性化したほうが数は多い。従来ある中小企業の活性化、新規事業の展開などに目を向けた方が良いいのではないか。ベンチャーというのは時代の流れのようですが、本当はそれ程雇用を創出しないのではないかという感じがしますがどうでしょうか。

○事務局:
 先の臨時国会で、中小企業労働力確保法の改正をしましたが、それは「ベンチャー支援」と一般には言っていますが、創業の場合と、企業は分社化するケースと、新しい分野に進出をするという、形としては3つのものを支援することとしまして、創業はその一部ということで、分社化と異業種進出というものも助成の対象にすることにしております。数から言えば、圧倒的に、日本の企業は98%か99%は中小企業ということですから、この人たちが新しい所へ出ていくということが大きな雇用になると思いますので、主力はそちらになるかもしれないと思っております。

○会 長:
 問題は、いかにしたら産業界に元気が出るかということだと思います。長い歴史を見れば、1960年代の高度経済成長期に、年率実質10%の経済成長を記録しました。この時の生産技術は、大量生産技術です。オイルショック後、成長率が大体4%に落ちたが、その点、マイクロエレクトロニクス技術なのです。多品種少量生産の自動化・効率化をやったわけです。いま必要なのは情報通信技術だと思います。
 極端なことは、光ファイバー通信を全国ネットワークで引いて、それを国道や県道と同じように、無料で利用させたらどうか、という提言まであるわけです。通信の交通通路ですから、それが今後の経済成長を、少なくとも実質2%程度に維持する生産技術の基礎だと言っているわけです。
 物作りを欠いては、日本の経済が成り立たないのははっきりしているわけですから、そういう方向をはっきりグランドデザインを書いて、そこは公共投資しかできませんから、公共的な共通資本を整備して、それで産業界の活性化の基盤作りをやっていくということがポイントではないかと思います。
 そういうプランも、今度の中に若干匂わせているのですが、そういう方向がどうも見えないのです。

○委 員:
 先ほど意見が出たように、根っこのところ「放っといてくれ」という権利があるわけです。今までは、産業政策とか、政府が色々なお膳立てをしていましたが、本当に自立させる気であれば、どんなに苦しくてもしばらくは放っといてくれ、という話になるのがベーシックにあります。日本の場合には、そういう大道が生まれてこないという問題があります。一方では、そういうことを進めなければいけないから、規制緩和もまだ進行させていかなければいけないという問題がベーシックにあると思います。
 途中で何を起こすかという問題について、一度ものすごい失業者を出して、再び自分で一生懸命勉強し、再び雇用されていくという道を歩くか、その途中を雇用調整助成金のように雇用している側に付けていたのを、新しく人を雇う側に付けていく、というように大きくシフトさせる。しかし、今度は雇用調整助成金を大幅に雇う側に移すので、まだ企業部分にある。
 その途中にエンプロイアビリティ、雇用され得る力ということですから、ハイクラスの雇用され得る力もあれば、ロークラスの雇用され得る力もある。雇用され得る力を付けることに対して、極力助成して勉強しやすい形を取っていくという話だろうと思うのです。
 一方で、日本の場合失業率が7%などになった時に耐え得るのかという問題があります。単に失業問題だけではなく、日本の活力の問題であり、あるいは景気というか、みんな財布を締めてしまうというようなことで、消費性向を低めてしまうのではないかという危惧がある。国の政策としても、そこのところを、ある程度、なだらかにモデレートに持っていく施策がどうしても必要になってくるのではないか、というのが雇用活性化総合プランの中には入っていると思います。
 もう一つあるのは、1月中旬頃に通産省の産業再生計画というものが出てくるはずです。
 労働省サイドから仕事を作れというのはなかなか難しいが、声を大にして言うべきではないか、ということを申し上げている。実際に雇用を作り出すのは起業家であり、産業的に支援するのが産業政策だろうと思う。それがどのように接合しているのか。今、ベーシックな大きな流れと、今日現在起こっている緊急避難的な事態と、どこまで組み合わせて進めていくかというところが大きな問題になっている。見方によっては、非常に後退的な仕事をやっているのではないかとも見えるし、少しは進んでいるとも見える、両方が交錯しているのが今の現状ではないかと思う。
 今やっている様々な施策を全部やっていくと、借金王国になるのですが、それでは止めるのかということになると、それはなかなかできない。どちらかというと、遅れ遅れの小出し小出しがここまで悪くしたという側面もないわけではない。そうした意味の対策の打ち方と、全国民が実力以上の生活をしているわけですから、実力並みの生活に戻すにはどうすればいいか、というのが大きな課題として後に残ってくるわけです。その課題の解決が、5年後か何年後には必ず出てくるのだろうと思います。その途中のプロセスの問題だろうと思います。

○会 長:
 日本の経済を活性化してもらわないと困るわけですから、大いに皆で知恵を出し合っていかなければいけないと思います。

○委 員:
 この緊急経済対策で、来年度以降はっきりしたプラス成長ということを切に望みますが、将来の問題として、プラス成長していった時に、労働需要は確かに増えてくるだろうが、従来のような雇用需要として出てくる部分、例えば、8時間常用雇用の日本的雇用慣行の下における需要として出てくるのか、新しい形の就業形態として出てくるのか、その辺が大きな問題点の1つで、将来の計画を考えていく時に、そういうことも頭に置いていかなければいけないのだろうと思う。ただ、従来の日本的雇用の中身はいろいろ変質していくにしても、そうでない新しい働き方の部分というのも相当増えるのではないか。そうだとすれば、その辺がどうなっていくか、非常に難しい問題ですが、今から色々推計したり、勉強したりしていく必要があると思いますので、労働経済学者の先生方に大いに論文を書いていただきたいというのと同時に、労働省としても、色々やってみていただきたいと希望します。

○会 長:
 労働省としては、需給見通しは計算しているのですか。

○事務局:
 経済計画がどう動いていくか、それと雇用対策基本計画は連動しますので、それが始まりましたら需給見通しをやる予定ですが、今は準備段階です。経済計画は、本日も経済審議会をやっておりますが調整中です。経企庁長官はやる方向で動いているようですが、最後は総理の判断になりますので、その動きを見て準備しているということです。

○会 長:
 経済計画の見直しがあれば、第8次雇用対策基本計画も見直さざるを得ないことになりますね。

○事務局:
 はい、連動いたします。

○委 員:
 経済が活性化しなければ、雇用問題はますます厳しい状況になっていくというのは正論だと思うし、同感です。
 いま企業サイドが日本の終身雇用の習慣の中で、正社員を1人雇う、というのはかなりの勇気が要ることです。何百人も正社員として採用していたというのが、10年前の同じ国の出来事だろうかというぐらい、今は大変憶病になっていて、先行きの見通しが見えてこない。一度雇ったら責任が伴うということもあります。
 雇用形態、就業形態の多様化というのを労働省が中心になって推進していただきたいが、まだまだ様々な規制があります。
 今朝、朝日新聞の記事に、31歳の女性が9歳の子供を抱えて、どれだけ就職で努力をしてきて、今どういう状態であるかということが書いてありました。最初はアルバイトで入って、正社員に認められて、給料は12万円だったのが24万円に上がって、今は古本チェーンの店長にまでなったということでした。こういうステップアップがもっと自由になるようにしていく。ただ、様々な弊害はあると思う。派遣労働者を増やしていって、正社員の代替というような形にして良いのか。アルバイトがあって、パート、契約社員、派遣があって、そして正社員という各段階があります。今は仕事はあるけれども、正社員を増やすには決断しにくい。アルバイト、あるいはパートや派遣を入れて、そのプロセスが採用テストみたいになって良いのかというのも問題があります。その辺の多様化をどんどん進めると、仕事に就いている人を増やすということなので、今はなりふり構っていられない状況なのではないかと思います。

○委 員:
 こういう日本の経済状況の中で、なりふり構わず日本の経済を再生しなければいけないということで、膨大な赤字国債を含めて、緊急経済対策をやらなければいけないということです。そのために、雇用の流動化とか、様々なことをやっていますが、その時に考えなければいけないのは、いま何とかしなければいけない方策なのか、日本のこれからを考えて将来に向けてどういうふうにしておくべきなかという議論を整理していく必要がある。
 いま雇用者が足りないから、流動化してやっていけば良いのかというと、それが何年か後に裏目に出るとかあると思います。その辺は、今すぐ必要なものか、それとも長期的に構造改革をしなければならないとすれば、構造をどうするのかという点をきちんと分けて議論していかないと、時代に流されてしまう。我々は、バブルのときの反省をきちんとしなければいけない。
 そういう面では、短期の話と長期の話をきちんとやる必要があるのではないか。長期的には、60〜65歳の継続雇用の問題とか、いまの経済情勢の中では、若年層、中年層も雇用できないのに、60歳以降の方については考えられないという会社の方が非常に多いと思います。そういう中では、将来的に高齢化社会になり、どうしていくかという視点を踏まえて議論していく必要があるのではないかと思います。

○会 長:
 緊急経済対策がどのように施行されていくか、ということを見届けながら、色々ご意見を伺いたいと思います。他にご発言はございますか。

(特に発言なし)

○会 長:
 私からお願いがあるのですが、会議の原則公開に関してのご意見がありました。労働省には、各局別に審議会があり、例えば均等法を見直せば基準審とも関係し、安定審にも関係する。審議会の相互の関係があります。
 私が雇用審議会の会長に最初に就任したときに行政にお願いしたのは、審議会を少し統合・整理することを考えられないかということでした。差し当たり、審議会の座長懇談会を開いていただきました。審議会でどのように議論して、どう調整したら良いかという話題を提供し合ったのですが、厚生、労働省の行革絡みになって、頓挫してしまっています。
 通産省の産業構造審議会のように一本にして、各局は部会などに位置付け直していく。雇用審議会は、総合労働政策審議会にしたらどうか、というのが私の考え方です。これからは、審議会の見直しも当然出てきますから、そういう点も含めて、行政のほうでご議論いただきたい。

○委 員:
 年金審議会や産業構造審議会などは、それぞれの立場を背負っていますが、全部有識者として出ているわけです。この審議会は別ですが、労働省の審議会は公労使の代表で出ていて、必ず議決で過半数を超えないといけない、ということが決まっています。もともとは局別審議会になっていて、それが議決で必ず過半数を超えなければならない。どう考えてもこれは今の時代に合わないと前から申しあげています。例えば女性少年審議会に出ている委員の方々の意見と、中央労働基準審議会に出ている方々の意見が合わないと、同じものでもまた錯誤が起こるとか無駄なことが多い。労働省の審議会も、通産省の産業構造審議会のように一本にしていただきたいというのを前からお願いしております。
 もう一つは、公益側、労働者側、使用者側というように、必ず三者構成でなければいけないということと、議決しなければいけない、という2点の枠を外していただいて、それぞれ立場は負っているにしても、有識者ということにしていただく。法律そのものを作るのは国会の仕事ですから、そこで議決を採らなければいけないということではないと思いますが、50年の慣行で来ているのだと思います。是非とも検討してもらいたいし、是非お願いしたいと思います。是非とも強く要望しておきたいと思います。

○事務局:
 今度の行革で、各省とも基本的に極めて少数の審議会にする、という方向で打ち出されています。労働省としては、三者構成は原則として残すという方向で来ていますが、極めて少数の審議会に整理するという案で来ています。これは、労働省だけでなく、各省共通ということです。方向としては、来年の法律が出る時には、そういう形になる可能性が非常に高いのではないかと思います。
 三者構成かどうかというのはこれから十分検討することですが、労働行政は、基本的に行政が何かするというより、決めたことは労使の中でやっていくことになるものですから、三者構成というのは、今まであったということの合理性があるのではないかと思っていますが、これも、よく議論したいと思います。

○委 員:
 前段のほうには異論ありませんし、いま行革推進本部でやっている内容も聞いています。いままでの審議会が機能していたか、機能していなかったかということも含めて、当然見直さなければいけない。三者構成について、そういう委員会をつくったときの経過が何だったのかというのは非常に必要性があるわけです。

○会 長:
 基準や安定は、許認可の業務がありますから、そう簡単ではないと思っていますが、ご検討いただくということで、問題提起だけにとどめさせていただきます。皆様方の考えを聞いていただきたいと思います。

○委 員:
 雇用審議会の情報公開ということで、皆さんが、そうしようということにになったわけです。雇用審議会というのは、年にせいぜい2回ぐらいです。情報公開ということを決めた以上、そして雇用・失業問題がこれだけ問題になっているわけですから、できるだけ早くその実績を作ったほうがいいのだろうと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○会 長:
 私も、できるだけ雇用審議会を開き、もっと活用すべきではないかと思っています。本日は、これで閉会したいと思います。

(署名委員の指名)

 次回の会議については、事務局と相談したうえでご連絡しますが、委員から発言がありましたが、年度内に開きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(注)  本文中に記述されている資料については多量なため省略しております。資料についての詳細及び問い合せについては、大臣官房政策調査部総合政策課 03-3593-1211(代)までお願いします。



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